(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581207
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】ユーザ端末を置く場合の仰角推定デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01C 1/00 20060101AFI20190912BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
G01C1/00 Z
H01Q1/24 Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-551259(P2017-551259)
(86)(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公表番号】特表2018-512815(P2018-512815A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016025012
(87)【国際公開番号】WO2016160992
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月20日
(31)【優先権主張番号】14/674,363
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517180785
【氏名又は名称】ワールドビュー・サテライツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】メルヴィン・エス・ニ
【審査官】
河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07541975(US,B2)
【文献】
米国特許第06169881(US,B1)
【文献】
特開平07−049372(JP,A)
【文献】
特開平01−129506(JP,A)
【文献】
特開2010−020031(JP,A)
【文献】
特開2016−045173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00−1/14
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するためのデバイスであって、
凸状像反射面と、
前記凸状像反射面の上に配設されている透明な照準面と、
前記透明な照準面上に、または前記透明な照準面内に形成される仰角制限マーキングと、
を備え、
前記仰角制限マーキングの反射像は、前記凸状像反射面内に生成され、前記仰角制限マーキングの前記反射像は、地上の水平線よりも高く仰角を定義し、前記ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように前記凸状像反射面の視野内の前記1つまたは複数の物体が、前記仰角制限マーキングの前記反射像によって定義される前記仰角の下になっていなければならない、デバイス。
【請求項2】
前記仰角制限マーキングによって定義される前記仰角は、最大仰角を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記透明な照準面上にまたは前記透明な照準面内に形成される少なくとも第2の仰角制限マーキングをさらに備え、前記第2の仰角制限マーキングの第2の反射像は、前記凸状像反射面内に生成され、前記第2の仰角制限マーキングの前記第2の反射像は、前記地上の前記水平線よりも高く少なくとも第2の仰角を定義し、前記ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように前記凸状像反射面の前記視野内の前記1つまたは複数の物体が、前記第2の仰角制限マーキングの前記第2の反射像によって定義される前記第2の仰角の下になっていなければならない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記仰角制限マーキングは、円を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記仰角制限マーキングは、同心円を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記透明な照準面上にまたは前記透明な照準面内に形成され、前記凸状像反射面の極と軸方向に揃えられている、ボアサイトマーキングをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ボアサイトマーキングは、十字形を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記凸状像反射面の前記視野内の前記1つまたは複数の物体の反射像は、前記凸状像反射面の背後に形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1つまたは複数の物体の前記反射像が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に外側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の下にあると推定される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記1つまたは複数の物体の前記反射像の一部が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に内側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の上にあると推定される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記凸状像反射面は、凸面鏡を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記透明な照準面は、透明スクリーンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記透明な照準面と前記凸状像反射面との間に延在するチューブ状スペーサをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、組み立て済み一体型ユニットを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、ユーザが組み立てる組み立て式キットを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
ハウジングと、前記ハウジング内に配設されるアンテナと、前記ハウジングの外面上に配設されるか、または外面内に埋め込まれる請求項1に記載のデバイスとを備える、ユーザ端末。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のデバイスを用いてユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法であって、
凸状像反射面を前記ユーザ端末上にまたは前記ユーザ端末に隣接して置くステップと、
その上またはその中に仰角制限マーキングが形成されている透明な照準面を通して前記凸状像反射面を見るステップであって、前記仰角制限マーキングの反射像は、前記凸状像反射面内に生成され、前記仰角制限マーキングの前記反射像は、地上の水平線よりも高く仰角を定義し、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように前記凸状像反射面の視野内の前記1つまたは複数の物体が、前記仰角制限マーキングの前記反射像によって定義される前記仰角の下になっていなければならない、ステップと、
前記1つまたは複数の物体の反射像が前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に外側にあるか、またはその一部が前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に内側にあるかを観察するステップであって、前記1つまたは複数の物体の前記反射像が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に外側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の下にあると推定され、前記1つまたは複数の物体の前記反射像の一部が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に内側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の上にあると推定される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数の物体の反射像が前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に外側にあるか、またはその一部が前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に内側にあるかを観察するステップの前に、
前記透明な照準面上に、または前記透明な照準面内に形成されるボアサイトマーキングに焦点を合わせるステップと、
前記ボアサイトマーキングを前記凸状像反射面内に形成される前記ボアサイトマーキングの反射像と軸方向に揃えるステップとをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のデバイスを用いてユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法であって、
前記ユーザ端末上に、または前記ユーザ端末に隣接して置かれている凸状像反射面内に仰角制限マーキングの反射像を生成するステップであって、前記仰角制限マーキングの前記反射像は、地上の水平線よりも高く仰角を定義し、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように前記凸状像反射面の視野内の前記1つまたは複数の物体が、前記仰角制限マーキングの前記反射像によって定義される前記仰角の下になっていなければならない、ステップと、
前記凸状像反射面内に前記1つまたは複数の物体の反射像を生成するステップであって、前記1つまたは複数の物体の前記反射像が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に外側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の下にあると推定され、前記1つまたは複数の物体の前記反射像の一部が、前記仰角制限マーキングの前記反射像の実質的に内側にある場合、前記1つまたは複数の物体は、前記仰角の上にあると推定される、ステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記仰角制限マーキングの前記反射像を前記生成するステップは、透明な照準面で実行され、仰角制限マーキングが前記透明な照準面上にまたは前記透明な照準面内に形成される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非静止衛星通信システムのユーザ端末に関係する。より詳細は、本開示は、ユーザ端末が遮られずに空を見通せるようにユーザが適切にユーザ端末を位置決めするのを補助するために、ユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安価なブロードバンドインターネットサービスを地球上の任意の場所にもたらすための衛星システムは、現在開発中である。そのようなシステムは、典型的には、非静止衛星群にインターネットをリンクするゲートウェイアンテナを備え、次いでこれらの衛星群は地上に位置する安価なユーザ端末にリンクする。ユーザ端末は、インターネット接続性を住宅および会社に提供する。
【0003】
上で言及されている安価なユーザ端末は、衛星から無中断サービス(uninterrupted service)を受けるためにすべての方位角方向(北、南、東、および西の方向)で遮られずに空の大部分を見通せることを必要とするアンテナを備える。樹木、建物、および山は、すべての方位角方向で特定の仰角(水平、すなわち、地上と空とが会合する直線よりも大きい角度)よりも低いままでなければならない。世界のいくつかの部分において、最大仰角は、約45度と低い角度であってよい。そのようなユーザ端末の一例は、2015年2月20日に出願した特許文献1、名称「User Terminal Having A Linear Array Antenna With Electronic And Mechanical Actuation System」において説明されている。
【0004】
最低限の専門知識技術を有する個人ユーザは、ユーザ端末を装着し、取り付けている可能性が高く、したがって、ユーザ端末が遮られずに空を見通せるような仕方で、住宅、会社、および同様のものにユーザ端末を位置決めすることができることが不可欠である。
【0005】
安価なインターネットサービスを維持するために、ユーザは、専門家の補助なしでユーザ端末を配置し、装着し、取り付け、および位置決めすることができるべきである。ユーザ端末は、いくつかの用途では水平から上に約45度の仰角に至るまですべての方位角方向で遮られずに空を見通せなければならないので、ユーザがユーザ端末を正しく配置し、位置決めすることができることは重要な課題である。現状、ユーザは、端末が遮られずに空を見通せるかどうかを視覚的に推定することによってユーザ端末を配置し、位置決めしており、多くの場合、最大10度までの誤差を生じ、ドロップアウト期間(dropout period)の問題がある。測量機器は、ユーザ端末を正しく配置し、位置決めするのを補助するために使用することができるが、そのような機器は、高価であり、操作するのに専門技術を必要とする。
【0006】
ユーザ端末が遮られずに空を見通せるようにすることに関する問題は、通信の分野では新しい問題である。より旧式のワイヤレス通信ネットワークでは、樹木、建物、および類似の障害物の影響を受けないより低い無線周波数を使用していた。より高い周波数で動作するより新しい通信システムは、静止衛星への1本の変化しない視線に沿った遮るもののない視野(clear view)を有するアンテナのみを必要とする。しかしながら、特許文献1で説明されているような、安価なユーザ端末は、空の遮られている部分によって引き起こされる受け入れがたいほどに長いドロップアウト期間を回避するためにすべての方位角方向で遮られずに空を見通せることを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国出願第14/627,577号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、約45度の仰角に至るまですべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように非静止衛星通信システムのユーザ端末をユーザが配置し、位置決めすることができるようにユーザが1つまたは複数の周囲の物体の仰角を正確に推定することを可能にするための安価で、使いやすいデバイスおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、ユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するためのデバイスが開示されている。様々な実施形態におけるデバイスは、凸状像反射面と、凸状像反射面の上に配設されている透明照準面(transparent sighting surface)と、照準面上に、または照準面内に形成される仰角制限マーキング(elevation limit marking)とを備えるものとしてよく、仰角制限マーキングは、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように凸状像反射面の視野内の1つまたは複数の物体が下になっていなければならない地上の水平線よりも高く仰角を定義する凸状像反射面内の反射像を生成する。
【0010】
いくつかの実施形態において、仰角制限マーキングによって定義される仰角は、最大仰角を含むものとしてよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、デバイスは、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように凸状像反射面の視野内の1つまたは複数の物体が下になっていなければならない地上の水平線よりも高く少なくとも第2の仰角を定義する凸状像反射面内の反射像を生成する照準面上にまたは照準面内に形成される少なくとも第2の仰角制限マーキングをさらに備え得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、マーキングは円を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、仰角制限マーキングは、同心であってよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、デバイスは、照準面上にまたは照準面内に形成され、凸状像反射面の極と軸方向に揃えられている、ボアサイトマーキング(boresight marking)をさらに備え得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、ボアサイトマーキングは十字形を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、凸状像反射面の視野内の1つまたは複数の物体の反射像が、凸状像反射面の背後に形成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の物体の反射像が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の下にあると推定される。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の物体の反射像の一部が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の上にあると推定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、凸状像反射面は、凸面鏡を含むものとしてよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、照準面は透明スクリーンを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、デバイスは、照準面と凸状像反射面との間に延在するチューブ状スペーサをさらに備えるものとしてよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、デバイスは、組み立て済み一体型ユニットを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、デバイスは、ユーザが組み立てる組み立て式キットを含み得る。
【0024】
本明細書では、アンテナとユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための上で説明されているデバイスとを備えるユーザ端末がさらに開示されている。
【0025】
本明細書では、ユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法がさらに開示されている。様々な実施形態において、方法は、凸状像反射面をユーザ端末上にまたはユーザ端末に隣接して置くステップと、その上またはその中に仰角制限マーキングが形成されている透明照準面を通して凸状像反射面を見るステップであって、仰角制限マーキングは、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように凸状像反射面の視野内の1つまたは複数の物体が下になっていなければならない地上の水平線よりも高く仰角を定義する凸状像反射面内の反射像を生成する、ステップと、1つまたは複数の物体の反射像が仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にあるか、またはその一部が仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にあるかを観察するステップであって、1つまたは複数の物体の反射像が仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にある場合に、1つまたは複数の物体は仰角の下にあると推定され、1つまたは複数の物体の反射像の一部が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にある場合、1つまたは複数の物体は仰角の上にあると推定される、ステップとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の物体の反射像が仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にあるか、またはその一部が仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にあるかを観察するステップの前に、この方法は、照準面上に、または照準面内に形成されるボアサイトマーキングに焦点を合わせるステップと、ボアサイトマーキングを凸状像反射面内に形成されるボアサイトマーキングの反射像と軸方向に揃えるステップとをさらに含み得る。
【0027】
様々な他の実施形態において、ユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法は、ユーザ端末上に、またはユーザ端末に隣接して置かれている凸状像反射面内に仰角制限マーキングの反射像を生成するステップであって、仰角制限マーキングは、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せるように凸状像反射面の視野内の1つまたは複数の物体が下になっていなければならない地上の水平線よりも高く仰角を定義する、ステップと、凸状像反射面内に1つまたは複数の物体の反射像を生成するステップであって、1つまたは複数の物体の反射像が仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にある場合に、1つまたは複数の物体は仰角の下にあると推定され、1つまたは複数の物体の反射像の一部が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にある場合、1つまたは複数の物体は仰角の上にあると推定される、ステップとを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、仰角制限マーキングの反射像の生成は、照準面上または照準面内に形成される仰角制限マーキングを有する透明照準面で実行される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本開示による仰角推定デバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図1B】
図1Aに例示されている仰角推定デバイスの側面図である。
【
図1C】
図1Aに例示されている仰角推定デバイスの平面図である。
【
図2】仰角推定デバイスの別の実施形態の平面図である。
【
図3】仰角推定デバイスを備えるユーザ端末の斜視図である。
【
図4A】約0.76メートルのユーザ観察高さを例示する仰角推定デバイスの平面図である。
【
図4B】約1.5メートルのユーザ観察高さを例示する仰角推定デバイスの平面図である。
【
図5】仰角推定デバイスのユーザおよび動作を示す図である。
【
図6A】仰角制限円の反射仮想像の実質的に外側に出現する、それによって、凸状像反射面の視野内の物体(およびしたがってユーザ端末)が所望の最大仰角の下にあると推定されることを示す、ユーザ端末の周囲の物体の仮想像を例示する仰角推定デバイスの平面図である。その結果、ユーザ端末はすべての方位角方向で遮られずに空を見通せる。
【
図6B】物体の1つまたは複数が仰角制限円の反射仮想像の内側に出現する、それによって、凸状像反射面の視野内の物体(およびしたがってユーザ端末)が所望の最大仰角の上にあると推定されることを示す、ユーザ端末の周囲の物体の仮想像を例示する仰角推定デバイスの平面図である。その結果、ユーザ端末は少なくとも1つの方位角方向で空の見通しを遮られる。
【
図7】本開示のデバイスによりユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図8】本開示のデバイスによりユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1A〜
図1Cは、本開示により、ユーザが1つまたは複数の周囲の物体の仰角を正確に推定することを可能にする仰角推定デバイス10の一実施形態をまとめて例示している。デバイス10は、凸状像反射面20、凸状像反射面20と軸方向に揃えられ、上に配設される平面状透明照準面30、および照準面30と凸状像反射面20との間に延在するチューブ状スペーサ40を備える。
【0031】
図1Bに例示されているように、凸状像反射面20は、極P(凸状像反射面20の幾何学的中心)と像反射面20の曲率中心Cを通る主軸Aを有する。いくつかの実施形態において、凸状像反射面20は、半球(球の半分)または部分球(sub-hemispherical)(球の半分未満)の形状を有する鏡を含むものとしてよい。他の実施形態において、凸状像反射面20は、像を反射することができる、半球または部分球の形状を有する他の任意の好適なデバイスまたは装置を含むものとしてよい。
【0032】
図1Cに例示されているように、照準面30のいくつかの実施形態は、平面状透明スクリーンを含み得る。照準面30は、円形輪郭、および凸状像反射面20の直径Drsに等しいか、またはそれよりわずかに大きい直径Dss、ならびに凸状像反射面20の極Pよりも上の高さHを有し得る。
【0033】
なおも
図1Cを参照すると、照準面30は、所定の直径の円形マーキング(仰角制限円)32をさらに含む。仰角制限円32の直径、凸状像反射面の直径Drs、照準面の直径Dss、および凸状像反射面20の極Pの上の照準面30の高さは、ユーザが凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vを見たときに、凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vが、凸状像反射面20の視野(FOV)内の樹木、建物、山、および他の構造物などの、デバイス10の周囲の物体(およびしたがってユーザ端末)が下になっていなければならない水平線よりも上に最大仰角を定め、ユーザ端末がすべての方位角方向で遮られずに空を見通せ、したがって衛星から無中断サービスを受け取ることができるように選択される。仰角制限円32は、制限なく、照準面30(
図1B)の外面30oまたは内面30i上にプリントされた暗色円、照準面30の外面30oもしくは内面30i内に、または外面30oもしくは内面30i上に形成された円形隆起部、ビーズ、または溝、およびこれらの任意の組合せを含むことができる。好ましい一実施形態において、仰角制限円32の直径、凸状像反射面の直径Drs、照準面の直径Dss、および凸状像反射面20の極Pよりも上の照準面30の高さは、45度±1.0度の最大仰角を定める凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vを形成するように選択される。他の実施形態において、仰角制限円32の直径、凸状像反射面の直径Drs、照準面の直径Dss、および凸状像反射面20の極Pよりも上の照準面30の高さは、45度超または未満の他の任意の望ましい最大仰角を定める凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射像Vを形成するように選択され得る。
図2に例示されているように、照準面30のいくつかの実施形態は、デバイス10の周囲の物体が下になっていなければならない水平線よりも高い異なる最大仰角に対応する凸状像反射面20内の、それぞれ反射像V−1およびV2を有する、異なる直径の2つまたはそれ以上の同心円マーキングまたは仰角制限円32−1および32−2を含むことができる。
【0034】
再び
図1Cを参照すると、照準面のいくつかの実施形態は、仰角制限円32の中心に位置決めされている、第2のマーキング34(ボアサイトマーク)をさらに含み得る。ボアサイトマークは、凸状像反射面20の極P(
図1B)と軸方向に揃い、凸状像反射面20の主軸A上に置かれるべきである。第2のマーキング34は、照準面30の外面30oまたは内面30i上にプリントされるか、埋め込まれるか、または他の何らかの形で形成される暗色十字形または他の好適なマーキングを含み得る。
【0035】
デバイス10の凸状像反射面20、透明照準面30、およびチューブ状スペーサ40は、各々、プラスチックまたは他の任意の好適な材料から作られ、比較的低い寸法公差で製造され得る。いくつかの実施形態において、デバイス10の凸状像反射面20、透明照準面30、およびチューブ状スペーサ40は、組み立て済み一体型ユニットとして製造され販売され得る。他の実施形態では、デバイス10は、キットとして製造され販売されるものとしてよく、デバイス10の凸状像反射面20、透明照準面30、およびチューブ状スペーサ40のうちの1つまたは複数は、ユーザによって一緒に組み立てられる。なおも他の実施形態では、デバイス10は、ユーザ端末の一部であってよい。そのようなユーザ端末の一例は、2015年2月20日に出願した特許文献1、名称「User Terminal Having A Linear Array Antenna With Electronic And Mechanical Actuation System」において説明されている。特許文献1の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
図3に例示されているように、そのような実施形態におけるデバイス10は、アンテナ54に隣接するユーザ端末50のハウジング52内に組み込まれるか、または取り付けられ得る。
【0036】
凸状像反射面20は、約0.25から約1.5メートルまでの間の任意のユーザ観察者距離のところで上から見えるくらい十分に大きくなければならず、ユーザ観察者距離は、ユーザUの目とデバイス10の照準面30との間で測定される。
図4Aは、約0.76メートルのユーザ観察高さのところのデバイス10を例示しており、
図4Bは、約1.5メートルのユーザ観察高さのところのデバイス10を例示している。
【0037】
凸状像反射面20内の仰角円32の反射像Vが45度±1.0度の最大仰角を定める例示的な一実施形態において、凸状像反射面20は、約50mmの直径Drs(
図1C)および約40mmの曲率半径R(
図1B)を有するものとしてよい。さらに、照準面は、直径Dss(
図1C)または約60mmの幅、約10mmの凸状像反射面20の極Pよりも上の高さH(
図1B)を有するものとしてよく、仰角制限円32は、約58mmの直径を有するものとしてよい。デバイス10の他の実施形態は、上に掲載されている寸法と異なる1つまたは複数の寸法を有するものとしてよい。
【0038】
次に、仰角推定デバイス10の使い方および動作は、
図5を参照しつつ説明される。しかしながら、デバイス10を使用する前に、ユーザは、アンテナが(地面に対して)水平になるようにユーザ端末(図示せず)を配置し、位置決めすべきである。アンテナが水平かどうかを決定するために、気泡水準器などの、従来のどのような水平指示器具をも使用できる。そのような器具は、ユーザ端末ハウジングから独立しているか、またはその中に組み込まれていてもよい。仰角推定デバイス10が、
図3に例示されているようにユーザ端末50内に組み込まれている場合、デバイス10は、アンテナ54が水平であるときに水平であるべきである。デバイス10が、ユーザ端末から独立している場合、デバイス10は、ユーザ端末上に置かれ、ユーザ端末のアンテナとともに水平にされるべきである。次いで、
図5に例示されているように、ユーザUは、デバイス10の照準面30を見下ろし、自分の目の焦点を凸状像反射面20の主軸Aに合わせる。凸状像反射面20のFOV内の物体Oが、無限遠にあるか、または像反射面20の極Pと無限遠との間にあるときに、凸状像反射面20内の物体の反射像は、仮想的と考えられるが(たとえば、照準面反射仮想像V1、FOV反射仮想像V2)、それは、それらが凸状像反射面20の極Pと主焦点F(反射光が交わるように見えた後に光線が主軸Aに平行に進む主軸A上の点)との間の像反射面20の背後に形成されるからである。ユーザUは、自分の目を凸状像反射面20の極Pと一直線に揃えなければならない。照準面30のボアサイトマーク34は、ボアサイトマーク34の仮想像V3が見えるまでユーザUが自分の頭を動かせるようにすることによってこれを円滑にし、ボアサイトマーク34それ自体は、
図4Aおよび
図4Bに例示されているように、銃の狙いを定めるのと似たようにして同時に位置合わせする。
図6Aおよび
図6Bに例示されているように、ユーザUは、その反射仮想像V5が凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vに関してどこに配置されるかを観察することによって物体Oの仰角を推定することができる。
【0039】
図6Aを再び参照すると、ユーザ端末の適切な配置および位置は、各物体の反射仮想像V5全体が仰角制限円32の反射仮想像Vの実質的に外側に出現する場合に確認され、それによって、凸状像反射面20のFOV内の物体(およびしたがってユーザ端末)が所望の最大仰角の下にあると推定されることを示す。その結果、ユーザ端末はすべての方位角方向で遮られずに空を見通せる。物体のうちの1つまたは複数の反射仮想像V5の一部が、
図6Bに例示されているような凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vの実質的に内側にあるように見える場合、これは、これらの物体が所望の最大仰角よりも上にあると推定されることを示す。その結果、ユーザ端末は少なくとも1つの方位角方向で空の見通しを遮られる。したがって、ユーザ端末は、物体の各々の反射仮想像V5全体が凸状像反射面20内の仰角制限円32の反射仮想像Vの実質的に外側にあるように見えるように再位置決めされるか、または再配置され位置決めされるべきである。
【0040】
本開示の仰角推定デバイス10は、ユーザ端末が水平であると仮定して、ユーザが周囲の物体の仰角を約1から2度の精度で推定することを可能にする。したがって、デバイス10は、ユーザが自分の目のみを使用して物体の仰角を直接推定する従来技術の推定方法の精度の約10倍で周囲の物体の仰角を推定することを可能にする。このような高いレベルの精度に対する理由は、物体が照準面30に比べて、凸状像反射面20からかなり遠く離れているというものである。したがって、それらの反射仮想像の物理的サイズは、物体の仰角のみに依存し、物体までの距離には依存しない。
【0041】
それに加えて、精度は、ユーザが、
図4Aおよび
図4Bに例示されているように、照準面30のボアサイトマーク34を介して凸状像反射面の極Pと一直線に自分の目を揃える限り、照準面30に相対的なユーザの頭の高さの影響を受けない。
【0042】
図7は、本開示のデバイス10によりユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。ブロック60において、凸状像反射面は、ユーザ端末上にまたはユーザ端末に隣接して置かれる。ブロック62において、凸状像反射面は、その上またはその中に仰角制限マーキングが形成されている透明照準面を通して見られる。ブロック64において、ユーザは、1つまたは複数の物体の反射像が仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にあるか、またはその一部が仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にあるかを観察する。1つまたは複数の物体の反射像が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の下にあると推定され、1つまたは複数の物体の反射像の一部が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の上にあると推定される。いくつかの実施形態において、ユーザは、照準面上にまたは照準面内に形成されているボアサイトマーキングに焦点を合わせ、ブロック64を実行する前にボアサイトマーキングを凸状像反射面の極と軸方向に揃えるものとしてよい。
【0043】
図8は、本開示のデバイス10によりユーザ端末の周囲の1つまたは複数の物体の仰角を推定するための方法の別の実施形態を示すフローチャートである。ブロック70において、仰角制限マーキングの反射像は、ユーザ端末上に、またはユーザ端末に隣接して置かれている凸状像反射面内に生成される。ブロック72では、1つまたは複数の物体の反射像が、凸状像反射面内に生成される。1つまたは複数の物体の反射像が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に外側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の下にあると推定され、1つまたは複数の物体の反射像の一部が、仰角制限マーキングの反射像の実質的に内側にある場合、1つまたは複数の物体は、仰角の上にあると推定される。いくつかの実施形態において、ブロック70は、その上またはその中に仰角制限マーキングが形成されている透明照準面で実行される。
【0044】
仰角推定デバイスおよび方法は、例示的な実施形態に関して説明されているけれども、それに限定されない。むしろ、付属の請求項は、それの他の変更形態および実施形態を含むように広い意味で解釈されるべきであり、これはデバイスおよび方法の等価物の範囲および程度から逸脱することなく当業者によって行われ得る。
【符号の説明】
【0045】
A 主軸
Drs、Dss 直径
H 高さ
P 極P
R 曲率半径
U ユーザ
V 仮想像
V−1およびV2 反射像
V3 仮想像
V5 反射仮想像
10 仰角推定デバイス
20 凸状像反射面
30 平面状透明照準面
30i 内面
30o 外面
32 円形マーキング(仰角制限円)
32−1および32−2 仰角制限円
34 第2のマーキング
40 チューブ状スペーサ
50 ユーザ端末
52 ハウジング
54 アンテナ