特許第6581223号(P6581223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーベーベー シュヴァイツ アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6581223電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械
<>
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000002
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000003
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000004
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000005
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000006
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000007
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000008
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000009
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000010
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000011
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000012
  • 特許6581223-電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581223
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】電気機械用ロータ、およびこれを有する電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20190912BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H02K1/28 Z
   H02K1/32 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-568118(P2017-568118)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-520627(P2018-520627A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2016065165
(87)【国際公開番号】WO2017001490
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】201510393646.5
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500412356
【氏名又は名称】アーベーベー シュヴァイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルムベリ、ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイケル、カール − ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】コイヴィスト、テロ
(72)【発明者】
【氏名】ハルメスメキ、ヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】コロンドヨブスキー、ズラトコ
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−092762(JP,A)
【文献】 特開2002−369472(JP,A)
【文献】 特開2015−061466(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0084469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
H02K 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコア(2j)を有する電気機械用ロータであって、前記ロータコア(2j)は、外側部分(21j)と、前記外側部分(21j)よりも前記ロータコア(2j)の回転軸の近くに配置された内側部分(22j)とを有し、前記外側部分(21j)は、複数のスポーク(6j)を介して前記内側部分(22j)に接続され、前記ロータコア(2j)は、ロータシャフトに焼きばめによって接続されるように適合され、前記各スポーク(6j)は、2つの外側枝部(66j、67j)、スキュー部(61j)および内側枝部(68j)を有し、前記スキュー部(61j)は、前記ロータコア(2j)の半径方向に対してスポーク角(α)で延び、かつ前記2つの外側枝部(66j、67j)および前記内側枝部(68j)に接続されており、前記各スポーク(6j)は、前記2つの外側枝部(66j、67j)を介して前記ロータコア(2j)の前記外側部分(21j)に接続され、かつ前記内側枝部(68j)を介して前記ロータコア(2j)の前記内側部分(22j)に接続されている、電気機械用ロータにおいて、
前記外側枝部(66j、67j)は、前記ロータコア(2j)の円周方向に互いに離間して配置され、前記スキュー部(61j)は、実質的に接線方向に延び、各外側枝部(66j、67j)および内側枝部(68j)は、実質的に半径方向に延び、前記各スポーク(6j)は、前記内側枝部(68j)の中心線に対して対称であり、また前記複数のスポーク(6j)は、互いに接触していない別個の要素であること、および
隣接するスポーク(6j)は、前記ロータコア(2j)の前記外側部分(21j)および前記内側部分(22j)と共に、内側中間冷却チャネル(47j)を画定し、前記内側中間冷却チャネル(47j)は、前記ロータコア(2j)を軸方向に貫通して延び、かつ冷媒の流れに適合され、また隣接するスポーク(6j)は前記内側中間冷却チャネル(47j)によって円周方向に互いに離間していることを特徴とする電気機械用ロータ。
【請求項2】
前記ロータは、前記ロータコアの前記外側部分(21a)に配置された複数の冷却チャネル(4a)を有し、前記各冷却チャネル(4a)は、前記ロータコア(2a)を軸方向に貫通して延び、かつ冷媒の流れに適合されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記複数の冷却チャネル(4a)は、前記ロータコア(2a)の回転軸から第1の距離にある冷却チャネルの第1の群(41a)と、前記ロータコア(2a)の回転軸から第2の距離にある冷却チャネルの第2の群(42a)とを有し、前記各冷却チャネル(4a)の直径は、前記ロータコア(2a)の直径の0.06倍以下であることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータは、誘導機用のロータであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータコア(2i)は、軸方向に積み重ねられた複数のロータシート(RS1、RS2、RS3、RS4、RS5、RS6)を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
前記ロータは、焼きばめによって前記ロータコア(2i)に接続されたロータシャフト(3i)を有することを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記スキュー部(61j)は、前記ロータコア(2j)の前記外側部分(21j)よりも前記ロータコア(2j)の前記内側部分(22j)の近くに配置されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記スキュー部(61j)、前記2つの外側枝部(66j、67j)および前記ロータコア(2j)の前記外側部分(21j)は、前記ロータコア(2j)を軸方向に貫通して延びる中間冷却チャネル(46j)であって、冷媒の流れに適合された中間冷却チャネル(46j)を画定していることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
ロータとステータとを有する電気機械であって、前記電気機械の前記ロータが請求項1からまでのいずれか一項に記載のロータであることを特徴とする電気機械。
【請求項10】
前記電気機械の公称出力が100kW以上であることを特徴とする請求項に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械用ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導機用の既知のロータは、外側部分と、外側部分よりもロータコアの回転軸の近くに配置された内側部分とを有するロータコアを備え、外側部分は、複数のスポークを介して内側部分に接続され、複数のスポークのそれぞれ1つは、半径方向に延在する。スポークは、それぞれ2つの隣接するスポーク間に軸方向の冷却チャネルが存在するように、円周方向に互いに離間している。前記既知のロータは、ロータコアに焼きばめ(shrink fit)によって接続されたロータシャフトをさらに備える。電気機械用の既知のロータの例は、特開2000−092762号公報、米国特許出願公開第2014/225470号明細書および独国特許出願公開第1763591号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のロータに関連する欠点の1つは、ロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめが、使用中にロータが加熱するときに実質的に緩むことである。誘導機ロータの外面は、例えば、永久磁石機械のロータの外面よりも動作条件の間により加熱する。設計に応じて、誘導機のロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめは、ロータが冷えた状況と比較して、動作温度においてトルクのたった30%しか伝達することができないかもしれない。焼きばめの締まりを増やすことは、ロータシャフトの湾曲を招く可能性がある。したがって、ロータコアとロータシャフトとの間に実用的な焼きばめを提供することは困難である。
【0004】
本発明の目的は、上記欠点を改善するために、ロータを備えた電気機械用ロータおよび電気機械を提供することである。本発明の目的は、以下に説明するロータおよび電気機械によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ロータコアの外側部分と内側部分とを接続するスポークを再設計するという考えに基づいており、これによってロータコアの外側部分と内側部分との間の半径方向の力の伝達が低減される。再設計されたスポークの各々は、非半径方向に延在するスキュー部(skew portion)を含むフレキシブル(可撓性)スポークである。スポークのスキュー部は、ロータコアの形状をよりフレキシブルにし、それにより、ロータコアの外側部分と内側部分との間の半径方向の力の伝達を低減する。スキュー部は、ロータの表面がロータの内部よりも多く加熱すると、各々のスポークが変形することを可能にする。
【0006】
一実施形態では、ロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめのトルク伝達能力は、ロータコアの外側部分の冷却が改善されるように複数の小さな冷却チャネルをロータコアの外側部分に設けることによってさらに改善される。複数の小さな冷却チャネルは、より少ない大きな冷却チャネルと比較して、冷却チャネルの全冷却面積を増加させる。これは、ロータコアの外側部分と内側部分との間の温度差を減少させ、それにより、動作条件におけるロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめの締付性を改善する。さらに、ロータコアの外側部分に複数の小さな冷却チャンネルを設けることにより、ロータコアの回転対称性が改善され、冷却チャンネルがロータバーの近くに配置されている場合でも磁束の対称分布が可能になる。
【0007】
本発明の利点は、ロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめにおける接触圧が、半径方向スポークを有する従来技術の設計の場合よりもロータコアの外面の加熱による影響を受けにくいことである。本発明に係るロータでは、ロータコアの外側部分によってロータコアの内側部分に及ぼされる半径方向外側に向けられた力は、既知のロータよりも小さい動作状態にある。したがって、焼きばめは、半径方向スポークを備えた既知のロータの焼きばめよりも良好な動作条件でそのトルク伝達能力を維持する。これは、動作条件において焼きばめが係合解除することを恐れることなく、より緩い焼きばめが製造可能であることを意味する。
【0008】
以下では、添付の図面を参照して好ましい実施形態により本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ロータコアの軸方向から見たときの本発明の一実施形態に係るロータコアを示す図である。
図2図1のロータコアの一部の拡大図である。
図3】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図4】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図5】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図6】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図7】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図8】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図9】本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す図である。
図10】軸方向に積み重ねられた複数のロータシートを備えたロータコアを示す図である。
図11図10のロータコアと、焼きばめによってロータコアに接続されたロータシャフトを備えたロータを示す図である。
図12】各々のスポークが2つの外側枝部を介してロータコアの外側部分に接続され、かつ内側枝部を介してロータコアの内側部分に接続される、本発明の一実施形態に係るロータコアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、外側部分21aと、外側部分21aよりもロータコア2aの回転軸の近くに配置された内側部分22aとを有するロータコア2aを示している。外側部分21aは、複数のスポーク6aを介して内側部分22aに接続されている。外側部分21aは、複数の冷却チャネル4aを備え、複数の冷却チャネル4aの各々は、ロータコア2aを軸方向に貫通して延在し、冷媒(例えば、空気)の流れに適合している。内側部分22aは、ロータコア2aをロータシャフトに焼きばめによって接続するためのロータシャフトを受け入れるように適合された中央開口部25aを備える。
【0011】
焼きばめは、組立後の相対的な寸法変化によって締まりばめが達成される周知の技術である。ロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめは、ロータコアを組み立てる前に加熱し、組み立て後にそれを周囲温度に戻すことによって達成することができる。このような焼きばめは、熱膨張を利用している。
【0012】
スポーク6aの各々は、ロータコア2aの半径方向に対してスポーク角αで延在するスキュー部61aを備える。スポーク角αは、スポーク6aの中心線に対して測定される。スポーク角αは、スポーク角が測定される場所に応じて、約80°である。スポーク角αは、スポーク6aの内端部で最大である。スポーク6aの内端部は、ロータコア2aの内側部分22aに隣接して配置された端部である。スポーク6aの外端部は、ロータコア2aの外側部分21aに隣接して配置された端部である。
【0013】
スキュー部の長さは、対応するスポークの可撓性に影響する。図1において、スキュー部61aの長さは、ロータコア2aの直径の約0.07倍である。別の実施形態では、スキュー部の長さは、ロータコアの直径の0.04〜0.15倍の範囲内にある。いくつかの実施形態では、スポークは、スポークの可撓性部分の全長が2以上のスキュー部の長さの合計となるように、2以上のスキュー部を含む。そのような一実施形態の一例が、図6に示されている。
【0014】
ロータコア2aを備えた電気機械の動作中、ロータコア2aの外側部分21aは加熱されて膨張する。しかしながら、ロータコア2aの内側部分22aには、複数のスポーク6aを介して外側に向けられた小さな力しか働かない。スポーク6aの形状により、スポーク6aは、ロータコア2aの外側部分21aとロータコア2aの内側部分22aとの間に良好なトルク伝達能力を有するが、半径方向の力はほとんど伝達しない。スポーク6aは、ロータコア2aの外側部分21aとロータコア2aの内側部分22aとの間で半径方向に非常にフレキシブルな接続を提供する。フレキシブルなスポーク6aにより、ロータコア2aの外側部分21aの熱膨張は、ロータコア2aとロータシャフトとの間の焼きばめのトルク伝達能力にほとんど影響を及ぼさない。
【0015】
スポークの幅は、ロータコアの外側部分の熱膨張がロータコアとロータシャフトとの間の焼きばめのトルク伝達能力に過度に影響しないように、スポークが所望の可撓性を有するように選択される。スポークの数は、複数のスポークがロータコアの外側部分とロータコアの内側部分との間で十分にトルクを伝達できるように選択される。
【0016】
複数の冷却チャネルは、ロータコア2aの回転軸から第1の距離にある冷却チャネルの第1群41aと、ロータコア2aの回転軸から第2の距離にある冷却チャネルの第2群42aと、ロータコア2aの回転軸から第3の距離にある冷却チャネルの第3群43aとを備える。冷却チャネルの各群は、残りの冷却チャネル群とはロータコア2aの回転軸から異なる距離に配置される。冷却チャネルの第1群41aは最外周群であり、冷却チャネルの第3群43aは最内周群であり、冷却チャネルの第2群42aは、半径方向に第1群41aと第3群43aとの間に配置されている。
【0017】
複数の冷却チャネル4aの各々の断面は実質的に円形であり、複数の冷却チャネル4aの各々の直径は、ロータコア2aの直径の0.03倍未満である。代替の実施形態では、複数の冷却チャネルの各々の直径は、ロータコアの直径の0.06倍以下である。さらに、代替の実施形態では、冷却チャネルの断面は、円形とは異なる形状(例えば、楕円形または多角形)を有してもよい。また、いくつかの実施形態では、別個の冷却チャネルは省かれ、ロータコアの冷却は、スポーク間の間隙を通る冷媒の流れによって実現される。別個の冷却チャネルを備える実施形態では、冷却チャネルの数および冷却チャネル群の数は、変化し得る。また、冷却チャネルの1つの群は、冷却チャネルの別の群とは異なるサイズの冷却チャネルを有してもよい。
【0018】
図2は、ロータコア2aの一部の拡大図を示している。図2には、ロータコア2aの外側部分21aと内側部分22aとの間の温度差によって誘導される力の方向を示す矢印5a1〜5a3が設けられている。図2は、スキュー部61aに存在する力が、スキュー部61aに平行な方向に延びることを示している。この力はほぼ接線方向であり、したがって、それは外側部分21aを内側部分22aに対してわずかに回転させる。
【0019】
ロータコア2aは、その周辺部に複数のロータスロット23aを備える。各々のロータスロット23aは、対応するロータバー(図示せず)を受け入れるように適合される。
【0020】
図3図9は、本発明の代替の実施形態に係るロータコアを示す。図3図9の参照符号は図1の参照符号に対応し、これによって特定の構成が参照符号の始めに共通の数字部分を有する参照符号によってこれらの図に示されている。各々の参照符号は、問題になっている実施形態を識別する文字をさらに含む。図1の参照符号は文字「a」を含み、図3図9の参照符号は文字「b」から「h」をそれぞれ含む。
【0021】
図3図9において、各ロータコアの外面は滑らかな円形面として示されている。しかしながら、図3図9の各ロータコア設計には、図1および図2に示したものと同様のロータスロットを設けることができる。さらに、図1図9のすべてのロータコア設計は、誘導機においてのみではなく、多くの種類の電気機械に使用することができる。ロータコアの外面は、問題になっている機械の種類の要件に応じて形作られるが、ロータコアのスポークおよび内側部分の設計は同じままであってもよい。
【0022】
図1図9は、スポークの形状およびサイズが異なる実施形態において変化し、スポーク角αも変化することを示している。一般的な場合、スポーク角αは30°より大きい。
【0023】
スポークは、直線状または曲線状の要素とすることができる。また、スポークは、直線部と湾曲部の両方を有することができる。図1の実施形態では、各スキュー部61aは直線的に延在している。図7の実施形態では、スポーク6f全体が直線的に延在している。図6の実施形態では、各スポーク6eは、ロータコア2eの外側部分21eと内側部分22eとを接続する幅広のU字形状を有する曲線のある部材である。したがって、スキュー部61e1および61e2も曲線のある部材であり、スポーク角αe1およびαe2は、スキュー部全体にわたって一定ではない。
【0024】
一般的な場合、ロータコアの内側部分と外側部分とを接続するスポークの各々は、ロータコアの半径方向に対してあるスポーク角で延在する少なくとも1つのスキュー部を備える。図5の実施形態では、各スポーク6dは、ロータコア2dの内側部分22dに隣接する2つの枝部6d1および6d2を有する。枝部6d1および6d2は、ロータコア2dの半径方向に関して互いに鏡像関係にある。枝部6d1は、ロータコア2dの半径方向に対してスポーク角αd1で延在するスキュー部61d1を備え、スポーク角αd1は、枝部6d1の横方向外側部分において約90°である。ここで、横方向外側部分は、スポーク6dの半径方向中心線から最も離れて配置された枝部6d1の部分である。枝部の対称性により、枝部6d2は、ロータコア2dの半径方向に対してスポーク角αd2で延在するスキュー部61d2を備え、スポーク角αd2は、枝部6d2の横方向外側部分において約90°である。
【0025】
図5において、枝部6d1および6d2は、ロータコア2dの内側部分22dとスポーク6dとの間に空洞(キャビティ)7dを形成する。空洞7dは、ロータコア2dの半径方向に関して対称である。空洞7dの半径方向の寸法は、空洞7dの対称軸において最大であり、空洞7dの半径方向の寸法は、対称軸から外側に向かって減少する。ここで、半径方向の寸法とは、ロータコアの半径方向に平行な寸法を指す。
【0026】
空洞7dは、ロータコア2dの内側部分22dとスポーク6dとの間に可撓性を提供する。空洞7dは、ロータコア2dの外側部分21dと内側部分22dとの間の半径方向の力に対する応答として、そのサイズおよび形状を変化させるように適合される。したがって、スポーク6dも、ロータコア2dの外側部分21dと内側部分22dとの間の半径方向の力に対する応答としてその形状を変化させるように適合される。これにより、スポーク6dは、半径方向の力を伝達する能力が弱い可撓性部材となる。したがって、ロータコア2dの外側部分21dと内側部分22dとの間の温度差は、ロータコア2dの中央開口部25dの大きさに実質的に影響しない。
【0027】
図8のロータコア2gは、各々の第1の種類のスポーク6g1がロータコア2gの半径方向に対してスポーク角αg1で延在し、各々の第2の種類のスポーク6g2がロータコア2gの半径方向に対してスポーク角αg2で延在するように2種類のスポークを有する。スポーク角αg1およびαg2は、第1の種類のスポーク6g1と第2の種類のスポーク6g2とがロータコア2gの半径方向に関して互いに鏡像関係となるように、絶対値は同じであるが、符号が反対である。
【0028】
図9は、外側部分21hが複数のスポーク6h1および6h2を介して内側部分22hに接続されたロータコア2hを示す。各スポーク6h1は、外側スキュー部61h11と内側スキュー部61h12とを備えている。外側スキュー部61h11は、ロータコア2hの外側部分21hに隣接して配置され、内側スキュー部61h12は、ロータコア2hの内側部分22hに隣接して配置される。
【0029】
外側スキュー部61h11は、ロータコア2hの半径方向に対してスポーク角αh11で延在している。スポーク角αh11は約60°である。内側スキュー部61h12は、ロータコア2hの半径方向に対してスポーク角αh12で延在している。スポーク角αh12は約90°である。スポーク角αh11とαh12は符号が反対である。
【0030】
スポーク6h1および6h2は、ロータコア2hの半径方向に関して互いに鏡像関係にある。各スポーク6h1は、外側スキュー部61h11と内側スキュー部61h12との間に配置されたその中間部分を介して隣接するスポーク6h2に接続されている。さらに、各スポーク6h1は、ロータコア2hの外側部分21hに隣接して配置されたその外側部分を介して、別の隣接するスポーク6h2に接続されている。
【0031】
ロータコア2hの内側部分22hと、接続された内側スキュー部61h12および61h22との間には空洞7hが存在する。空洞7hは、ロータコア2hの半径方向に関して対称である。空洞7hは、実質的に接線方向に延在している。ここで、接線方向とは、ロータコアの接線方向を指す。空洞7hの半径方向の寸法は、空洞7h全体にわたって実質的に一定である。空洞7hは、ロータコア2hの外側部分21hと内側部分22hとの間の半径方向の力に対する応答として、そのサイズおよび形状を変化させるように適合される。
【0032】
図12は、外側部分21jと、外側部分21jよりもロータコア2jの回転軸の近くに配置された内側部分22jとを有するロータコア2jを示している。外側部分21jは、ロータコア2jの外側部分21jとロータコア2jの内側部分22jとの間に半径方向の非常にフレキシブルな接続を提供する複数のスポーク6jを介して内側部分22jに接続されている。フレキシブルなスポーク6jのため、ロータコア2jの外側部分21jの熱膨張は、ロータコア2jとロータシャフトとの間の焼きばめのトルク伝達能力にはほとんど影響しない。内側部分22jは、ロータコア2jを焼きばめによってロータシャフトに接続するためのロータシャフトを受け入れるように適合された中央開口部25jを備える。
【0033】
各スポーク6jは、参照符号66j、67jで示される2つの外側枝部を介してロータコア2jの外側部分21jに接続され、かつ内側枝部68jを介してロータコア2jの内側部分22jに接続されている。外側枝部66jおよび67jは、ロータコア2jの円周方向に互いに離間して配置されている。各スポーク6jは、2つの外側枝部66jおよび67jに接続され、かつ内側枝部68jに接続されたスキュー部61jを備える。スポーク6jは、内側枝部68jの中心線に対して対称である。スキュー部61jのスポーク角は90°である。
【0034】
外側枝部66jおよび67jの各々は、実質的に半径方向に延在している。また、スポーク6jの内側枝部68jは、実質的に半径方向に延在している。スキュー部61jは、実質的に接線方向に延在している。スキュー部61jは、その中心線がスキュー部61j全体にわたって実質的に接戦方向に延在する湾曲部である。別の一実施形態では、スポークのスキュー部は、2つの外側枝部の間で直線的に延在し、スキュー部の中心線は、スポークの内側枝部において接線方向である。
【0035】
スキュー部61jは、ロータコア2jの外側部分21jよりもロータコア2jの内側部分22jの近くに配置される。これは、スポーク6jの外側枝部66jおよび67jがスポーク6jの内側枝部68jよりも長いことを意味する。さらに、スキュー部61jとロータコア2jの外側部分21jとの間の距離は、スキュー部61jとロータコア2jの内側部分22jとの間の距離よりも大きい。
【0036】
スキュー部61j、2つの外側枝部66jおよび67j、およびロータコア2jの外側部分21jは、ロータコア2jを軸方向に貫通して延在し、冷媒の流れに適合する外側中間冷却チャネル46jを画定する。外側中間冷却チャネル46jは、ロータコア2jの円周方向に見て、スポーク6jの外側枝部66jと67jとの間に配置される。隣接するスポーク6jは、ロータコア2jの外側部分21jおよび内側部分22jとともに、ロータコア2jを軸方向に貫通して延在し、冷媒の流れに適合する内側中間冷却チャネル47jを画定する。
【0037】
ロータコア2jは、ロータコア2jの外側部分21jに配置される冷却チャネルを備えていない。しかしながら、ロータコア2jの外側部分21jに冷却チャネルを導入することによってロータコア2jを変更することが可能である。一実施形態では、ロータコアは、ロータコアの内側部分と外側部分との間に図12のスポークと、ロータコアの外側部分に配置された図1の複数の冷却チャネルとを備えている。
【0038】
図12において、ロータコア2jの外面は、滑らかな円形面として示されている。しかしながら、図12のロータコアには、図1および図2に示したものと同様のロータスロットを設けることができる。図12のロータコア設計は、多くの種類の電気機械に使用することができる。ロータコアの外面は、問題になっている機械の種類の要件に応じて形作られるが、スポークおよびロータコアの内側部分の設計は同じままであってもよい。
【0039】
図1図9および図12のロータコアの各々は、船舶の方位角スラスタの電気機械に使用することができる。一実施形態では、本発明に係るロータを含む電気機械の公称出力は100kW以上である。
【0040】
一実施形態では、本発明に係るロータコアは、軸方向に積み重ねられた複数のロータシートを備える。図1図9および図12のロータコアのいずれか1つをこのようなロータコアとして構成することができる。
【0041】
図10には、軸方向に積み重ねられた複数のロータシートを備えるロータコアの原理的構造が示されている。図11は、図10のロータコア2iと、ロータコア2iに焼きばめによって接続されたロータシャフト3iとを備えたロータを示している。ロータコア2iは、軸方向に積み重ねられたロータシートRS1、RS2、RS3、RS4、RS5およびRS6を備える。ロータシートRS1〜RS6の各々は、金属板からの打ち抜き加工により製造される。ロータシートRS1〜RS6の各々は、ロータシートの残りのものと同一である。
【0042】
本発明の概念は様々な方法で実施できることは当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上記の例に限定されず、特許請求の範囲内で変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12