(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1帯域の受信品質を示す値があらかじめ定められた閾値よりも受信品質が悪い状態であることを示す値である場合に前記複数の周波数帯域から選択された第2帯域の受信品質を示す値を取得する第2取得部を備えること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の通信装置。
前記第2取得部が取得した前記第2帯域の受信品質を示す値が前記第1取得部が取得した前記第1帯域の受信品質を示す値にあらかじめ定められた値を加えた和よりも受信品質が良い状態であることを示す値であるか否かを判定する第1判定部と、
前記第2帯域の受信品質を示す値が前記和よりも受信品質が良い状態であることを示す値であると前記第1判定部により判定された場合に前記通信部が使用する周波数帯域を前記第2帯域に変更する変更部と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
前記第2取得部が取得した前記第2帯域の受信品質を示す値があらかじめ定められた規定値よりも受信品質が良い状態であることを示す値であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2帯域の受信品質を示す値が前記規定値よりも受信品質が良い状態であることを示す値であると前記第2判定部により判定された場合に、前記通信部が使用する周波数帯域を前記第2帯域に変更する変更部と
を備えることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか一つに記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
本実施の形態は、無線通信中に無線を使用する他の機能が起動した場合に、無線通信に使用可能な他の帯域の受信品質を示す値を取得して、状況に応じて無線通信に使用する帯域を変更する通信装置に関する。具体的には、本実施の形態における無線通信は、LTE(Long Term Evolution)によるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォンである。以下では、これらの具体例を使用して説明する。
【0012】
電気通信事業者に対しては、たとえば700MHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯および2GHz帯など、複数のLTE用電波の帯域が電波監理を行う当局により割り当てられている。電気通信事業者は、割り当てられた帯域の電波を送受信する基地局を営業地域内の各地に設置している。各ユーザが使用するスマートフォンは、契約している電気通信事業者に割り当てられているLTE用電波の帯域の中から状況に応じて選択した帯域を使用して、基地局とのデータ通信を行う。データ通信中に地上波デジタル放送を視聴するアプリケーションソフトウェアが起動した場合には、LTE用電波の他の帯域の受信品質を示す値を調査して、適切な場合には使用する帯域を変更する。
【0013】
図1は、無線通信ネットワークを示す説明図である。以下、
図1を使用して、無線通信ネットワークの概要について説明する。
【0014】
図1では、LTE用の基地局11A、基地局11Bが設置されている。基地局11Aは、電気通信事業者に割り当てられた複数のデータ通信用の帯域を使用して範囲12A内にあるスマートフォン13との間でデータ通信を行う。同様に、基地局11Bは、電気通信事業者に割り当てられた複数のデータ通信用の帯域を使用して範囲12B内にあるスマートフォン13との間でデータ通信を行う。範囲12Aと範囲12Bとは一部で重複している。なお、以後の説明では基地局11Aと基地局11Bとをまとめて基地局11と記載する。同様に、以後の説明では範囲12Aと範囲12Bとをまとめて範囲12と記載する。
【0015】
ユーザの持つスマートフォン13が範囲12A内でLTEによるデータ通信を行っている場合を例にして説明する。基地局11Aが放射する電波は、減衰および拡散により原則としては基地局11Aから離れるにつれて弱くなる。その一方、電波は建物の壁、大型車両の車体等によって反射および回折するため、基地局11Aから近くても電波の弱い場所および基地局11Aから遠くても電波の強い場所が生じる。さらに、電波の減衰、回折等の挙動は周波数帯域により異なるので、同じ場所でも一つの帯域の電波の品質は高いが、別の帯域の電波の品質は低いという現象も発生する。
【0016】
スマートフォン13は基地局11から受信する電波の品質を随時評価して、品質があらかじめ定めた閾値を下回る場合には、他の帯域の電波または他の基地局11から受信する電波の品質の評価を開始する。所定の条件を満たす場合には、スマートフォン13は受信する電波の帯域または基地局11を切り替える。以上の動作により、スマートフォン13は受信する電波の状況が変化しても途切れることなくデータ通信を継続できる。
【0017】
電波塔14は、地上波デジタル放送の番組を放送する。地上波デジタル放送では、複数のチャンネルを利用して複数の番組が同時に放送されている。各チャンネルには、それぞれ使用する電波の帯域が割り当てられている。ユーザがスマートフォン13の地上波デジタル放送を視聴するアプリケーションソフトウェアを起動すると、スマートフォン13は地上波デジタル放送の受信を開始する。ユーザは、好みのチャンネルを選択して、地上波デジタル放送の番組を視聴することができる。
【0018】
ところで、データ通信に使用中の帯域とユーザが視聴中の地上波デジタル放送の帯域とが近接する場合がある。データ通信を行う場合、スマートフォン13は電波の送信および受信を行う。両者の帯域が近い場合には、送信されたデータ通信用の電波がスマートフォン13の地上波デジタル放送受信用のアンテナにより受信されることにより、電波干渉が発生する。電波干渉により生じる現象は、地上波デジタル放送の画面への四角いモザイク状のブロックノイズならびに映像および音声の一時的な停止等である。これらの現象が発生すると、ユーザは地上波デジタル放送を快適に視聴することができない。
【0019】
そこで、スマートフォン13は使用していないLTEの帯域の電波の品質を調べ、適切な場合にはデータ通信に使用する帯域を変更する。地上波デジタル放送とデータ通信の帯域を離すことにより、双方を同時に快適に使用することが可能なスマートフォン13を実現できる。
【0020】
図2は、スマートフォン13のハードウェア構成を示す構成図である。
図2を使用して、本実施の形態のスマートフォン13の構成について説明する。
【0021】
スマートフォン13は、CPU(Central Processing Unit)15、主記憶装置16、補助記憶装置17、表示部18、入力部19、通信部20、TV(TeleVision)受信部30およびバスを備える。
【0022】
CPU15は、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等を備えた演算制御装置である。CPU15は、バスを介してハードウェア各部と接続されている。CPU15は、補助記憶装置17に保存された制御プログラムに従い、スマートフォン13に必要な演算処理およびハードウェア各部の制御を行う。
【0023】
主記憶装置16は、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置である。主記憶装置16には、CPU15が行う処理の途中で必要な情報およびCPU15で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0024】
補助記憶装置17は、半導体メモリディスク等の記憶装置である。補助記憶装置17には、CPU15に実行させる制御プログラムおよび制御プログラムの実行に必要な各種データが保存される。
【0025】
表示部18は、スマートフォン13の1面をほぼ覆うディスプレイである。図示しないスピーカーを表示部18に利用しても良い。また、有線または無線によりスマートフォン13に接続された外付けディスプレイ等を表示部18に利用しても良い。
【0026】
入力部19は、表示部18の表面に設けられたタッチパネルである。図示しないマイクを入力部19に利用して、音声認識により入力を行っても良い。また、有線または無線でスマートフォン13に接続されたマウス、キーボード等を入力部19に利用しても良い。
【0027】
通信部20は、LTEによるデータ通信を行う。通信部20のハードウェア構成については後述する。
【0028】
TV受信部30は、TVアンテナ31、TVチューナ32およびチャンネル切替部33を備える。TV受信部30は、補助記憶装置17に記憶されたTV視聴アプリケーションソフトウェアをCPU15が実行することにより制御される。
【0029】
TVアンテナ31は、地上波デジタル放送の電波を受信する。TVチューナ32はTVアンテナ31が受信した電波を復調する。チャンネル切替部33は、CPU15が入力部19から受け付けた操作に基づいてTVチューナ32が復調する地上波デジタル放送のチャンネルを切り替える。CPU15は、TVチューナ32が復調した地上波デジタル放送を、表示部18に表示する。
【0030】
図3は、通信部20のハードウェア構成を示す構成図である。
図3を使用して、本実施の形態の通信部の構成について説明する。
【0031】
通信部20は、通信アンテナ21、スイッチ22、700MHz送受信回路231、800MHz送受信回路232、1.5GHz送受信回路233、2GHz送受信回路234、700MHz取得部241、800MHz取得部242、1.5GHz取得部243、2GHz取得部244、検知部25、改変部26および変更部27を備える。以後、700MHz送受信回路231、800MHz送受信回路232、1.5GHz送受信回路233および2GHz送受信回路234をまとめて送受信回路23と呼ぶ。同様に、700MHz取得部241、800MHz取得部242、1.5GHz取得部243および2GHz取得部244をまとめて取得部24と呼ぶ。
図3に示す各部位は、CPU15により制御される。
【0032】
通信アンテナ21は、LTEの電波を送受信する。スイッチ22は、通信アンテナ21に接続される送受信回路23を切り替える。送受信回路23は、通信アンテナ21を介して各周波数の電波を送受信する。
【0033】
取得部24は、送受信回路23が受信した電波から受信した信号の強さを示すRSRP(Reference Signal Received Power)および受信した信号の品質を示すRSRQ(Reference Signal Received Quality)の2種類の受信品質を示す値を取得する。RSRQとRSRPは、いずれも大きい値ほど受信品質が高いことを示す。なお、以後の説明では、RSRQおよびRSRPをまとめて受信品質値と記載する。
【0034】
検知部25は、TV受信部30の起動の有無を検知して改変部26に伝える。改変部26は、検知部25から入力された情報に基づいて、TV受信部30が起動している場合には取得部24が取得した受信品質値を改変して、取得部24に戻す。一方改変部26は、TV受信部30が起動していない場合には取得部24が取得した受信品質値を改変せずにそのまま取得部24に戻す。変更部27は取得部24が取得した受信品質値および検知部25が検知したTV受信部30の状況が所定の条件を満たす場合にスイッチ22を切り替えてデータ通信に使用する帯域を変更する。ここで、改変部26は、取得部24が取得した受信品質値を、あらかじめ定めた値よりも受信品質が悪い状態であることを示す値になるように改変する。
【0035】
図4は、データ通信中のスマートフォン13の動作を示す説明図である。
図4Aは700MHz取得部241の、
図4Bは800MHz取得部242の、
図4Cは1.5GHz取得部243の、
図4Dは2GHz取得部244の、
図4EはTV受信部30の動作をおのおの示す。
図4Aから
図4Eの横軸は全て時間である。各図の縦軸に平行な方向に同一の場所は、同一の時刻を示す。
図4Aから
図4Dの縦軸は、取得部24が取得した各帯域の受信品質値のうちRSRPを示す。矢印は取得部24が動作したことを示す。矢印の延長にある黒丸は、取得部24が取得した受信品質値を示す。
図4Eの縦軸は、TV受信部30の動作の有無を示す。OFFはTV受信部30が動作していないことを、ONはTV受信部30が動作していることを示す。
【0036】
図4を用いて、データ通信中のスマートフォン13の動作の例を時系列に沿って説明する。
図4の開始時刻T0においては、スマートフォン13は800MHz帯域でデータ通信を行っている。時刻T0における800MHz帯域の受信品質値はGである。なお、データ通信はパケット通信方式により行われるので厳密には断続的に通信が行われ、受信品質値も断続的に得られる。しかし便宜上データ通信中の受信品質値は連続線で示す。
【0037】
時刻T0においては、TV受信部30は動作していない。検知部25は、TV受信部30が動作していないことを検知する。TV受信部30が動作していない場合には、改変部26は受信品質値の改変を行わない。
【0038】
スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により800MHz帯の受信品質値は徐々に低下して、時刻T1において閾値Kになる。データ通信に使用している800MHz帯域の受信品質値が閾値Kを下回ることをトリガーとして、他の帯域の取得部24は異バンドサーチを行なう。異バンドサーチは、取得部24が一つずつ動作して各帯域の受信品質値を取得する動作である。
図4において、各帯域の異バンドサーチの動作を上向き矢印で示す。また異バンドサーチにより取得した各帯域の受信品質値を、上向き矢印近傍の点で示す。
図4においては700MHz帯および2GHz帯の受信品質値は低く、1.5GHz帯の受信品質値は高い。
【0039】
なお、前述の通り取得部24はRSRPとRSRQの2種類の受信品質値を取得する。取得部24は、データ通信に使用している帯域のRSRPとRSRQのいずれか片方または両方が閾値を下回ったことをトリガーとして、異バンドサーチを実行する。
【0040】
スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により800MHz帯の受信品質値が更に低下した場合、時刻T2にCPU15は変更部27を動作させて、データ通信に使用する帯域を800MHz帯から1.5GHz帯に切り替える。なお、CPU15がデータ通信に使用する帯域を切り替える条件については後述する。
【0041】
図4においては、時刻T2から時刻T3までは、データ通信に使用中の1.5GHz帯の受信品質値が閾値Lよりも大きいため、取得部24は異バンドサーチを行わない。スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により1.5GHz帯の受信品質値が低下して時刻T3に閾値Lになった場合、取得部24は異バンドサーチを行う。
図4においては700MHz帯の受信品質値は高く、800MHz帯および2GHz帯の受信品質値は低い。
【0042】
図4は、スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により1.5GHz帯の受信品質値が更に低下した場合を示している。CPU15は時刻T4に変更部27を動作させて、データ通信に使用する帯域を1.5GHz帯から700MHz帯に切り替える。切り替え後は、データ通信に使用中の700MHz帯の受信品質値が閾値Jよりも大きいため、取得部24は異バンドサーチを行わない。
【0043】
ユーザの操作を受け付けて、時刻T5にCPU15がTV受信部30を起動させる。CPU15は、検知部25を用いてTV受信部30の起動を検知する。TV受信部30が起動したことを検知すると、CPU15は、改変部26に対して700MHz取得部241が取得した受信品質値を各帯域の閾値よりも低い値に改変するように指示する。改変部26により改変された受信品質値が700MHz取得部241に伝達される。700MHz取得部241は、受信品質値が閾値を下回ったと判定し、これをトリガーとして、他の帯域の取得部24が異バンドサーチを行う。
【0044】
各帯域の受信品質値およびTV受信機の動作状況が所定の条件を満たす場合に、変更部27はデータ通信に使用する帯域を切り替える。所定の条件については後述する。
【0045】
図5は、通信装置の処理を示すフローチャートである。
図5を使用して、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0046】
CPU15は、TV受信部30が起動しているか否かを判定する(ステップS501)。TV受信部30が起動していないと判定した場合(ステップS501でNO)、改変部26が動作しないため、CPU15は、データ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS502)。
【0047】
TV受信部30が起動していると判定した場合(ステップS501でYES)、CPU15は改変部26で改変後の第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS503)。なお、ステップS503でCPU15が受け取る受信品質値は、改変部26により閾値よりも低い値に改変されている。
【0048】
CPU15は、ステップS502またはステップS503で受け取った受信品質値が閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS504)。受信品質値が閾値以上であると判定した場合には(ステップS504でNO)、CPU15は処理を終了する。
【0049】
受信品質値が閾値未満であると判定した場合には(ステップS504でYES)、CPU15は取得部24に異バンドサーチの実行を指示する(ステップS505)。なお、ステップS501でTV受信部30が起動していると判定した場合には、CPU15はステップS503で閾値よりも小さい受信品質値を受け取っているので、ステップS504では必ずYESと判定される。
【0050】
CPU15は取得部24からデータ通信を移行する帯域の候補である第2帯域の受信品質値を受け取る(ステップS506)。ここで第2帯域は、データ通信に使用していない帯域の中で最も受信品質値の良い帯域である。第2帯域は、RSRPとRSRQのいずれか片方を基準に選択しても良いし、あらかじめ定めた算定方法に基づいて両方を用いて選択しても良い。
【0051】
CPU15は、取得部24からデータ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS507)。CPU15は、第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値にあらかじめ定められた値αを加えた値よりも大きいか否かを判定する(ステップS508)。ここでαは、第1帯域の受信品質値と第2帯域の受信品質値とが近接している場合に、両帯域の間で頻繁に帯域の切り替えが発生することを防止するためのオフセット値である。第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値に値αを加えた値以下であると判定された場合は(ステップS508でNO)、CPU15は処理を終了する。
【0052】
なお、ステップS508では、RSRPとRSRQのいずれか一方が条件を満たす場合にYESと判定し、それ以外の場合にNOと判定する。値αは、RSRPとRSRQのそれぞれに対して定める。
【0053】
第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値に値αを加えた値より大きいと判定された場合は(ステップS508でYES)、CPU15は変更部27にデータ通信に使用する帯域を第2帯域に切り替えるように指示する(ステップS509)。その後、CPU15は処理を終了する。
【0054】
本実施の形態によれば、TV受信部30が動作している場合にはデータ通信に使用中の帯域の受信品質値が十分に高い場合であっても異バンドサーチを行なうことができる。そのため、CPU15はTV受信部30およびLTEの各帯域の品質を総合的に判定して、適切な場合にはデータ通信に使用する帯域を変更することができる。
【0055】
ステップS504の判定を行う閾値はRSRPまたはRSRQのいずれか一方についてのみ定めても良いし、RSRPとRSRQの双方について定めても良い。双方について閾値を定めた場合、そのうち一方が閾値を下回った場合に異バンドサーチを実行しても良いし、双方が閾値を下回った場合に異バンドサーチを実行しても良い。
【0056】
ステップS506で、第2帯域はRSRPのみを基準に選択しても良いし、RSRPとRSRQの双方を用いて選択しても良い。
【0057】
なお、ステップS508ではRSRPとRSRQの両方が条件を満たす場合にYESと判定し、それ以外の場合にNOと判定しても良い。このようにすると帯域の切り替えが起こりにくくなるので、基地局11に対する負荷が小さくなる。また、ステップS508ではRSRPとRSRQのいずれか一方のみを用いて判定しても良い。このようにすると判定が簡単になるので、CPU15に対する負荷が小さくなる。
【0058】
ステップS508で使用する値αを大きい値に設定すると、帯域の切り替えが起こりにくくなるので、基地局11に対する負荷が小さくなる。
【0059】
通信装置は、スマートフォン13に限定されない。多機能型携帯電話、ウェアラブル情報機器またはカーナビゲーション装置等の移動体通信装置を使用することができる。
【0060】
無線通信は、LTEに限定されない。いわゆる第4世代移動通信システム等を採用することもできる。
【0061】
取得部24は、たとえばRSSI(Received Signal Strength Indicator)、SIR(Signal to Interference Retio)等、RSRQおよびRSRP以外の受信品質値を取得しても良い。また取得部24は、RSRQまたはRSRPのいずれか一方のみを取得しても良い。
【0062】
無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送に限定されない。道路交通システムであっても良いし、無線LAN(Local Area Network)等を用いたデータ通信機能であっても良い。
【0063】
[実施の形態2]
実施の形態2は、無線を使用する他の機能が起動しているときに特定の帯域での通信が開始された場合に、無線通信に使用可能な他の帯域の受信品質値を取得して、状況に応じて無線通信に使用する帯域を変更する通信装置に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。特定の帯域とは、LTEに使用可能な帯域のうちの他の機能が使用されている間は使用を避けたい帯域である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0064】
地上波デジタル放送のチャンネルのうち、50チャンネルから52チャンネルは692MHzから710MHzの周波数帯域を使用するので、LTEの700MHz帯域との電波干渉を起こしやすい。そのため、地上波デジタル放送の受信機能を使用している場合には、700MHz帯域以外の帯域をデータ通信に使用することが望ましい。したがって、700MHzを特定の帯域とする。
【0065】
図6は、実施の形態2の通信部20のハードウェア構成を示す構成図である。
図6を使用して、本実施の形態の通信部の構成について説明する。
【0066】
通信部20は、通信アンテナ21、スイッチ22、700MHz送受信回路231、800MHz送受信回路232、1.5GHz送受信回路233、2GHz送受信回路234、700MHz取得部241、800MHz取得部242、1.5GHz取得部243、2GHz取得部244、検知部25、改変部26、変更部27および検出部28を備える。以後、700MHz送受信回路231、800MHz送受信回路232、1.5GHz送受信回路233および2GHz送受信回路234をまとめて送受信回路23と呼ぶ。同様に、700MHz取得部241、800MHz取得部242、1.5GHz取得部243および2GHz取得部244をまとめて取得部24と呼ぶ。
図6に示す各部位は、CPU15により制御される。
【0067】
検出部28は、特定の帯域である700MHz送受信回路231と改変部26との間に接続されている。改変部26は、検知部25および検出部28から入力された情報に基づいてTV受信部30と700MHz送受信回路231の両方が動作している場合には、取得部24が取得した受信品質値を改変して、取得部24に戻す。一方改変部26はTV受信部30と700MHz送受信回路231の一方のみが動作している場合およびどちらも動作していない場合には、取得部24が取得した受信品質値をそのまま取得部24に戻す。ここで、改変部26は、取得部24が取得した受信品質値を、あらかじめ定めた値よりも受信品質が悪い状態であることを示す値になるように改変する。
【0068】
図7は、実施の形態2の通信装置の動作を示す説明図である。
図7Aは700MHz取得部241の、
図7Bは800MHz取得部242の、
図7Cは1.5GHz取得部243の、
図7Dは2GHz取得部244の、
図7EはTV受信部30の動作をおのおの示す。
図7Aから
図7Eの横軸は全て時間である。各図の縦軸に平行な方向に同一の場所は、同一の時刻を示す。
図7Aから
図7Dの縦軸は、取得部24が取得した各帯域の受信品質値のうちRSRPを示す。矢印は取得部24が動作したことを示す。矢印の延長にある黒丸は、取得部24が取得した受信品質値の値を示す。
図7Eの縦軸は、TV受信部30の動作の有無を示す。OFFはTV受信部30が動作していないことを、ONはTV受信部30が動作していることを示す。
【0069】
図7を用いて、データ通信中のスマートフォン13の動作の例を時系列に沿って説明する。
図7の開始時刻T10においては、スマートフォン13はデータ通信を行っておらず、2GHz帯域で待ち受けの動作を行っている。待ち受けの動作は、着信の有無を確認するために電波の受信を行う動作である。スマートフォン13の電池容量を節約するために、待ち受けの動作は間欠的に行われる。待ち受けの動作を行った際に取得部24が取得した受信品質値を
図7中に白丸で示す。
【0070】
図7においては、時刻T10においては、TV受信部30は動作していない。ユーザの操作を受け付けて、時刻T11にCPU15がTV受信部30を起動させる。その後も時刻T12まで2GHzでの待ち受け動作が行われる。
【0071】
スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により2GHz帯の受信品質値は徐々に低下して、時刻T12において閾値Mを下回る。待ち受け動作に使用している2GHz帯域の受信品質値が閾値Mを下回ることをトリガーとして、他の帯域の取得部24は異バンドサーチを行なう。
図7において、各帯域の異バンドサーチの動作を上向き矢印で示す。また異バンドサーチにより取得した各帯域の受信品質値を、上向き矢印近傍の点で示す。
図7においては700MHz帯および800MHz帯の受信品質値は低く、1.5GHz帯の受信品質値は高い。
図7においては、時刻T13にCPU15は変更部27を動作させてデータ通信に使用する帯域を2GHz帯から1.5GHz帯に切り替える。
【0072】
スマートフォン13の移動または周囲の電波状況の変化により1.5GHz帯の受信品質値は徐々に低下して、時刻T14において閾値Lを下回る。待ち受け動作に使用している1.5GHz帯域の受信品質値が閾値Mを下回ることをトリガーとして、他の帯域の取得部24は異バンドサーチを行なう。
図7においては800MHz帯および2GHz帯の受信品質値は低く、700MHz帯の受信品質値は高い。しかし、TV受信部30が動作しているため改変部26が動作して700MHz帯の受信品質値を閾値Jより低い値に改変する。改変された受信品質値を
図7中にXで示す。そのため、データ通信に使用する帯域の切り替えは行われず、ひき続きT15以降においても1.5GHz帯で待ち受け動作が行われる。
【0073】
各帯域の受信品質値およびTV受信機の動作状況が所定の条件を満たす場合に、変更部27はデータ通信に使用する帯域を切り替える。
【0074】
なお、改変部26が700MHz帯の受信品質値を閾値Jよりも低い値に改変しても、他の帯域の受信品質値が更に低い値である場合には変更部27は待ち受け動作に使用する帯域を700MHzに切り替える。
【0075】
図8は、実施の形態2の通信装置の処理を示すフローチャートである。
図8を使用して、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0076】
CPU15は、TV受信部30が起動しているか否かを判定する(ステップS501)。TV受信部30が起動していると判定した場合(ステップS501でYES)、CPU15はあらかじめ定められた特定の帯域で通信を行っているかどうかを判定する(ステップS521)。ここで、通信を行っている場合には、データ通信を行っている場合と、待ち受け動作を行っている場合の両方を含む。特定の帯域で通信を行っていると判定した場合(ステップS521でYES)、CPU15は改変後の特定の帯域の受信品質値を受け取る(ステップS522)。なお、ステップS522でCPU15が受け取る受信品質値は、改変部26により閾値よりも低い値に改変されている。
【0077】
ステップS521における特定の帯域は、前述の通りLTEの700MHz帯である。700MHz帯は、地上波デジタル放送の帯域と近接しているため、TV受信部30が起動している場合には電波干渉が発生する可能性があるからである。
【0078】
TV受信部が起動していないと判定した場合(ステップS501でNO)および特定の帯域で通信を行っていないと判定した場合(ステップS521でNO)、CPU15はデータ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS502)。
【0079】
ステップS502またはステップS522の終了後、CPU15はステップS504に進み、以後は実施の形態1と同一の処理が行われる。
【0080】
本実施の形態によれば、TV受信部30との干渉が発生しやすい特定の帯域でデータ通信を行っている場合にのみ、データ通信に使用中の帯域の受信品質値が十分に高い場合であっても異バンドサーチを行なうことができる。異バンドサーチの頻度を抑えることができるため、スマートフォン13の電池容量を有効に使うことができる。
【0081】
特定の帯域は700MHz帯に限らない。データ通信に割り当てられている帯域と、地上波デジタル放送等の機能に割り当てられている帯域との関係によって、700MHz以外の帯域を特定の帯域として検出部28により通信の有無を検出しても良い。
【0082】
特定の帯域は1つに限らない。データ通信に割り当てられている帯域と、地上波デジタル放送等の機能に割り当てられている帯域との関係によって、複数の帯域を特定の帯域として検出部28により通信の有無を検出しても良い。
【0083】
ステップS521において、データ通信を行っている帯域に加えてTV受信部30の受信している帯域が特定の帯域か否かを判定しても良い。ここで、特定の帯域とはたとえば地上波デジタル放送の50チャンネルから52チャンネルである。50チャンネルから52チャンネルは、前述の通りLTEの700MHz帯と近接しており、電波干渉が生じる可能性があるからである。
【0084】
[実施の形態3]
実施の形態3は、無線を使用する他の機能が使用している帯域と、無線通信に使用している帯域とが近い場合に無線通信に使用することが可能な他の帯域の受信品質値を取得して、状況に応じて無線通信に使用する帯域を変更する通信装置に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0085】
図9は、実施の形態3の通信装置の処理を示すフローチャートである。
図9を使用して、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0086】
CPU15は、TV受信部30が起動しているか否かを判定する(ステップS501)。TV受信部30が起動していると判定した場合(ステップS501でYES)、CPU15はデータ通信に使用中の帯域である第1帯域と、TV受信部の受信帯域とが所定の間隔よりも近いか否かを判定する(ステップS523)。所定の間隔は、あらかじめ両者の組み合わせを網羅するように作成したテーブルに記載されていても良いし、定数としてあらかじめ定められた値でも良い。また両者の帯域との関数としてあらかじめ定められていても良い。所定の間隔のテーブル、定数または関数は補助記憶装置17に記憶されている。
【0087】
第1帯域と受信帯域とが近いと判定した場合(ステップS523でYES)、CPU15は改変後の第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS503)。なお、ステップS503でCPU15が受け取る受信品質値は、改変部26により閾値よりも低い値に改変されている。
【0088】
TV受信部30が起動していないと判定した場合(ステップS501でNO)、および第1帯域と受信帯域とが近いと判定した場合(ステップS523でNO)、CPU15はデータ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS502)。
【0089】
ステップS502またはステップS503の終了後、CPU15はステップS504に進み、以後は実施の形態1と同一の処理が行われる。
【0090】
本実施の形態によれば、電波を使用する2つの機能が近接する帯域を使用している場合にのみ、データ通信に使用中の帯域の受信品質値が十分に高い場合であっても異バンドサーチを行なうことができる。異バンドサーチを行う頻度を下げることができるため、スマートフォン13の電池容量を有効に使うことができる。
【0091】
[実施の形態4]
実施の形態4は、無線を使用する他の機能が使用している帯域および無線通信に使用している帯域に応じて、無線通信に使用している帯域の受信品質値を改変する値を調整して異バンドサーチの発生の有無を制御する通信装置に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0092】
図10は、実施の形態4で改変に用いる値を示す表である。本実施の形態の処理の流れは、実施の形態1のフローチャートと同様である。ただし、ステップS503で第1帯域の受信品質値を改変する際に、
図10に示す表を使用する点が、実施の形態1と異なる。
【0093】
図10に示す表は、あらかじめ補助記憶装置17に記憶されている。
図10に示す表では、ユーザが視聴中の地上波デジタル放送のチャンネルおよびデータ通信に使用中のLTEの帯域と、改変に用いる値βとの関係が示されている。
【0094】
改変に用いる値βは、800MHz帯、1.5GHz帯または2GHz帯をデータ通信に使用している場合には全て0dBである。700MHz帯をデータ通信に使用している場合に改変に用いる値βは、地上波デジタル放送の52チャンネルを視聴している場合が一番大きい10dBで最大値である。51チャンネルを視聴している場合は、5dB、50チャンネルを視聴している場合は3dBと、地上波デジタル放送に使用する帯域が低くなるほど小さくなり、49チャンネル以下の番号のチャンネルを使用している場合には0dBである。
【0095】
図5のステップS503において、CPU15は改変後の第1帯域の受信品質値を受け取る。この際、CPU15は取得部24が取得したデータ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値から、
図10に示す改変に用いる値βを減算することにより改変した値を受け取る。
【0096】
改変に用いる値βが大きい場合には、ステップS504の判定で使用する受信品質値が小さくなるので、YESに分岐しやすくなる。すなわち、異バンドサーチが起動しやすくなる。
【0097】
本実施の形態によると、視聴中の地上波デジタル放送の帯域とLTEの帯域が近い場合にCPU15は異バンドサーチを行うと判定しやすくなる。ただし、受信品質値が非常に大きく、良好なデータ通信を行える場合には、異バンドサーチが行われない。これにより、データ通信の品質確保を重視したスマートフォン13を提供することができる。
【0098】
図10に示した改変に用いる値βは例示である。スマートフォン13のアンテナの感度、通信事業者の保有する基地局11の配置状況、TV受信部30の性能等に応じて、
図10に示した表は適宜変更することができる。
【0099】
[実施の形態5]
実施の形態5は、無線通信に使用する帯域を切り替える候補の帯域の受信品質値が所定の値より大きい場合、使用中の帯域の品質にかかわらず帯域を切り替える通信装置に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0100】
図11は、実施の形態5の通信装置の処理を示すフローチャートである。
図11を使用して、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0101】
本実施の形態における処理の流れは、ステップS507までは実施の形態1と同一である。CPU15は、データ通信に使用中の帯域である第1帯域と、TV受信部の受信帯域とが近いか否かを判定する(ステップS523)。判定は、あらかじめ両者の組み合わせを網羅するように作成したテーブルに基づいて行っても良いし両者の帯域の間隔とあらかじめ定められた値との対比に基づいて行っても良い。
【0102】
第1帯域と受信帯域とが近いと判定した場合(ステップS523でYES)、CPU15は第2帯域の受信品質値が規定値より高いか否かを判定する(ステップS525)。ステップS525で使用する規定値は、あらかじめ定められて補助記憶装置17に記憶されている。
【0103】
第1帯域と受信帯域とが近いと判定した場合(ステップS523でNO)および第2帯域の受信品質値が規定値より高くない場合(ステップS525でNO)、CPU15は第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値にあらかじめ定められた値αを加えた値よりも大きいか否かを判定する(ステップS508)。第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値に値αを加えた値以下であると判定された場合は(ステップS508でNO)、CPU15は処理を終了する。
【0104】
第2帯域の受信品質値が規定値より高い場合(ステップS525でYES)および第2帯域の受信品質値が第1帯域の受信品質値に値αを加えた値よりも大きいと判定された場合は(ステップS508でYES)、CPU15は変更部27にデータ通信に使用する帯域を第2帯域に切り替えるように指示する(ステップS509)。その後、CPU15は処理を終了する。
【0105】
本実施の形態によると、視聴中の地上波デジタル放送の帯域とデータ通信に使用中の帯域とが近く、他にデータ通信に使用できる受信品質値の高い帯域がある場合には、使用中の帯域の受信品質値にかかわりなくデータ通信に使用する帯域を切り替える通信装置を提供することができる。
【0106】
[実施の形態6]
実施の形態6は、無線通信に使用している帯域と無線を使用する他の機能が使用している帯域とが近い場合、可能であれば他の機能が使用する帯域を変更する通信装置に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0107】
図12は、実施の形態6の通信装置の処理を示すフローチャートである。
図12を使用して、本実施の形態の処理の流れを説明する。
【0108】
CPU15は、TV受信部30が起動しているか否かを判定する(ステップS501)。TV受信部30が起動していると判定した場合(ステップS501でYES)、CPU15はTV受信部30が受信しているチャンネルは、データ通信による影響を受けるチャンネルか否かを判定する(ステップS531)。さらに具体的には、地上波デジタル放送のチャンネルのうち、50チャンネルから52チャンネルを受信している場合には、データ通信による影響を受けるチャンネルを受信していると判定する。
【0109】
影響を受けるチャンネルを受信していると判定した場合(ステップS531でYES)、CPU15はチャンネルを変更可能か否かを判定する(ステップS532)。チャンネルを変更可能な場合とは、ユーザが視聴中の番組と同一の番組を放送していて、データ通信に影響を及ぼさない他のチャンネルが存在する場合である。他のチャンネルの存在の有無は、TV放送の電波を使用して番組表を提供するEPG(Electronic Program Guide)の情報、通信部20を介してインターネットから取得する番組表の情報、または地上波デジタル放送の番組表をあらかじめ収集したサーバを参照して判定する。
【0110】
チャンネルを変更可能と判定した場合(ステップS532でYES)、CPU15はチャンネル切替部33を制御してチャンネルを変更する(ステップS533)。チャンネルを変更不可能と判定した場合(ステップS532でNO)、CPU15は改変後の第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS503)。なお、ステップS503でCPU15が受け取る受信品質値は、改変部26により閾値よりも低い値に改変されている。
【0111】
TV受信部30が起動していないと判定した場合(ステップS501でNO)、影響を受けるチャンネルを受信していないと判定した場合(ステップS531でNO)およびステップS533でチャンネルを変更した後、CPU15はデータ通信に使用中の帯域である第1帯域の受信品質値を受け取る(ステップS502)。
【0112】
ステップS502またはステップS503の終了後、CPU15はステップS504に進み、以後は実施の形態1と同一の処理が行われる。
【0113】
本実施の形態によると、複数のチャンネルで同一のTV番組を放送している場合にはデータ放送に影響を与えない帯域のチャンネルに切り替えることで、データ通信と地上波デジタルTVの視聴を両立することができる。
【0114】
なお、ステップS531においては、TV受信部30が使用している電波の帯域と、各電波の送受信状況とを組み合わせて判断しても良い。具体的には、TV受信部30が受信している電波の受信電力値が大きい場合には干渉に対する耐性が大きいため、データ通信に使用する帯域と近接するチャンネルであっても影響を受けにくい。また、データ通信の送信電力値が小さい場合には、TVアンテナ31が受信するデータ通信用の電波が弱いため、データ通信に使用する帯域と近接するチャンネルであっても影響を受けにくい。したがって、たとえば補助記憶装置17にあらかじめ記憶したチャンネルと、TV受信部30の受信電力値またはデータ通信の送信電力値とを組み合わせた表あるいは式に基づいて、ステップS531の判定を行っても良い。また、チャンネル、TV受信部30の受信電力値およびデータ通信の送信電力値を組み合わせた表あるいは式に基づいて、ステップS531の判定を行っても良い。
【0115】
TV受信部30の受信電力値の代わりに、たとえばCNR(carrier‐noise ratio)等、無線を使用する他の機能の干渉に対する耐性を示す任意の指標を用いることができる。また、データ通信の送信電力値の代わりに、たとえば通信速度等、他の機能に対する干渉の起こしやすさを示す任意の指標を用いることができる。
【0116】
TV受信部30が受信している電波の受信電力値は、電波塔14からの距離が遠くなるほど弱くなる傾向がある。またデータ通信の送信電力値は、基地局11からの距離が遠くなるほど強くなる傾向がある。したがって、スマートフォン13に搭載されているGPS(Global Positioning System)により取得する位置情報と電波塔14または基地局11の設置位置とに基づいてステップS531の判定を行っても良い。また、位置情報ならびに電波塔14および基地局11の設置位置に基づいてステップS531の判定を行っても良い。これらの場合、電波塔14または基地局11の設置位置は、あらかじめデータ通信により取得して補助記憶装置17に記憶しておく。
【0117】
[実施の形態7]
実施の形態7は、通信装置と通信プログラム41とを組み合わせて動作させる形態に関する。本実施の形態においても、具体的には無線通信はLTEによるデータ通信である。無線を使用する他の機能は、地上波デジタル放送を視聴する機能である。また通信装置は、スマートフォン13である。以下では、これらの具体例を使用して説明する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0118】
図13は、実施の形態7のハードウェア構成を示す構成図である。
図13を使用して、本実施の形態の構成を説明する。なお、実施の形態1と共通する部分の説明は省略する。
【0119】
スマートフォン13は、CPU15、主記憶装置16、補助記憶装置17、表示部18、入力部19、通信部20、TV受信部30、読取部40およびバスを備える。
【0120】
読取部40は、可搬型記録媒体42を読み取る装置であり、具体的にはたとえばマイクロSD(Secure Digital)カードスロットである。
【0121】
通信プログラム41は、可搬型記録媒体42に記録されている。CPU15は、読取部40を介して通信プログラム41を読み込み、補助記憶装置17に保存する。またCPU15は、スマートフォン13内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ43に記憶された通信プログラム41を読出しても良い。さらに、CPU15は、通信部20を介して接続される図示しない他のサーバコンピュータから通信プログラム41をダウンロードして補助記憶装置17に保存しても良い。
【0122】
スマートフォン13、上述した各種ソフトウェア処理を実行する通信プログラム41を、可搬型記録媒体42もしくは半導体メモリ43から読み取り、または通信部20を介して図示しない他のサーバコンピュータからダウンロードする。通信プログラム41は、スマートフォン13の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置16にロードされて実行される。これにより、スマートフォン13は全体として上述した通信装置として機能する。
【0123】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。