(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムを模式的に示す図である。内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いて人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、
図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5と、光源装置6とを備える。
【0020】
超音波内視鏡2は、その先端部に設けられた超音波振動子によって、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。
【0021】
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、または呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器のいずれかの撮像を行うことが可能である。また、その周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を、超音波を用いて撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、光学撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置6に接続されている。
【0022】
超音波内視鏡2は、
図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ24とを備える。挿入部21は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部21は、
図1に示すように、先端側に設けられ、超音波振動子7を保持する硬性の先端部211と、先端部211の基端側に連結され湾曲可能とする湾曲部212と、湾曲部212の基端側に連結され可撓性を有する可撓管部213とを備える。ここで、挿入部21の内部には、具体的な図示は省略したが、光源装置6から供給された照明光を伝送するライトガイド、各種信号を伝送する複数の信号ケーブルが引き回されているとともに、処置具を挿通するための処置具用挿通路などが形成されている。
【0023】
超音波振動子7は、複数の圧電素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる圧電素子を電子的に切り替えたり、各圧電素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるコンベックス型の超音波振動子である。超音波振動子7の構成については、後述する。
【0024】
図2は、本実施の形態1に係る超音波内視鏡の挿入部の先端構成を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、先端部211は、超音波振動子7を保持する超音波振動子モジュール214と、撮像光学系の一部をなし、外部からの光を取り込む対物レンズ215a、および、照明光を集光して外部に出射する照明レンズ215bを有する内視鏡モジュール215と、を備える。内視鏡モジュール215には、挿入部21内に形成された処置具用挿通路に連通し、挿入部21の先端から処置具を突出させる処置具突出口215cが形成されている。処置具用挿通路は、処置具突出口215cに連なる端部近傍が、挿入部21の長手軸に対して傾斜し、処置具が処置具突出口215cから長手軸に対して傾斜した方向に突出するように設けられている。ここでいう長手軸とは、挿入部21の長手方向に沿った軸である。湾曲部212や可撓管部213では各位置によって軸方向が変化するが、硬性の先端部211では、長手軸は、一定した直線をなす軸である。
【0025】
操作部22は、挿入部21の基端側に連結され、医師等のユーザからの各種操作を受け付ける部分である。この操作部22は、
図1に示すように、湾曲部212を湾曲操作するための湾曲ノブ221と、各種操作を行うための複数の操作部材222とを備える。また、操作部22には、処置具用挿通路に連通し、当該処置具用挿通路に処置具を挿通するための処置具挿入口223が形成されている。
【0026】
ユニバーサルコード23は、操作部22から延在し、各種信号を伝送する複数の信号ケーブル、および光源装置6から供給された照明光を伝送する光ファイバ等が配設されたケーブルである。
【0027】
コネクタ24は、ユニバーサルコード23の先端に設けられている。そして、コネクタ24は、超音波ケーブル31、ビデオケーブル41、および光ファイバケーブル61がそれぞれ接続される第1〜第3コネクタ部241〜243を備える。
【0028】
超音波観測装置3は、超音波ケーブル31(
図1参照)を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、超音波ケーブル31を介して超音波内視鏡2にパルス信号を出力するとともに超音波内視鏡2からエコー信号が入力される。そして、超音波観測装置3は、当該エコー信号に所定の処理を施して超音波画像を生成する。
【0029】
内視鏡観察装置4は、ビデオケーブル41(
図1参照)を介して超音波内視鏡2に電気的に接続し、ビデオケーブル41を介して超音波内視鏡2からの画像信号を入力する。そして、内視鏡観察装置4は、当該画像信号に所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。
【0030】
表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)、プロジェクタ、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いて構成され、超音波観測装置3にて生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4にて生成された内視鏡画像等を表示する。
【0031】
光源装置6は、光ファイバケーブル61(
図1参照)を介して超音波内視鏡2に接続し、光ファイバケーブル61を介して被検体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する。
【0032】
続いて、挿入部21の先端に設けられた超音波振動子7の構成を
図2〜5を参照して説明する。
図3は、本実施の形態1に係る超音波振動子モジュールの構成を模式的に示す斜視図である。
図4は、
図3に示す超音波振動子モジュールの要部の構成を説明する図であって、
図3に示す領域Rの構成を示す図である。本実施の形態1では、超音波振動子7が、
図2に示すようなコンベックス型の超音波振動子であって、複数の圧電素子71が一列に配列された一次元アレイ(1Dアレイ)であるものとして説明する。換言すれば、本実施の形態1に係る超音波振動子7では、複数の圧電素子71が、当該超音波振動子7の曲面をなす外表面に沿って湾曲して配列され、長手軸を含み、かつ該長手軸と平行な面上で超音波を送受信する。
【0033】
超音波振動子7は、角柱状をなし、長手方向を揃えて並べられた複数の圧電素子71と、圧電素子71に対し、当該超音波振動子7の外表面側に設けられる第1音響整合層72と、第1音響整合層72の圧電素子71と接する側と反対側に設けられる第2音響整合層73と、第2音響整合層73の第1音響整合層72と接する側と反対側に設けられる音響レンズ74とを有する。圧電素子71の第1音響整合層72と接する側と反対側には、図示しないバッキング材が設けられている。バッキング材は、圧電素子71の動作によって生じる不要な超音波振動を減衰させる。バッキング材は、減衰率の大きい材料、例えば、アルミナやジルコニア等のフィラーを分散させたエポキシ樹脂や、上述したフィラーを分散したゴムを用いて形成される。
【0034】
圧電素子71は、電気的なパルス信号を音響パルスに変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。圧電素子71には、例えば、バッキング材側の主面に信号入出力用電極71aが設けられているとともに、圧電素子71の第1音響整合層72側の主面にグラウンド接地用のグラウンド用電極71bが設けられている(
図6参照)。各電極は、導電性を有する金属材料または樹脂材料を用いて形成される。ここでいう主面とは音響放射面および音響放射面と対向する面のことをさし、主面と交差する面を側面という。
【0035】
第1音響整合層72および第2音響整合層73は、圧電素子71と観測対象との間で音(超音波)を効率よく透過させるために、圧電素子71の音響インピーダンスと観測対象の音響インピーダンスとをマッチングさせる。第1音響整合層72および第2音響整合層73は、互いに異なる材料からなる。なお、本実施の形態1では、二つの音響整合層(第1音響整合層72および第2音響整合層73)を有するものとして説明するが、圧電素子71と観測対象との特性により一層としてもよいし、三層以上としてもよい。
【0036】
第1音響整合層72には、圧電素子71のグラウンド用電極71bと電気的に接続するグラウンド用電極72aが設けられている(
図6参照)。グラウンド用電極72aは、圧電素子71の音響インピーダンスよりも大きい導電性材料によって形成され、デマッチング層として機能する。圧電素子71は、グラウンド用電極72aを介して外部に接地される。
【0037】
音響レンズ74は、第1音響整合層72、第2音響整合層73の外表面を被覆する。音響レンズ74は、超音波振動子7の外表面をなしている。音響レンズ74は、シリコーン、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミドなどを用いて形成され、一方の面が凸状または凹状をなして超音波を絞る機能を有し、第2音響整合層73を通過した超音波を外部に出射する、または外部からの超音波エコーを取り込む。音響レンズ74については、任意に設けることができ、当該音響レンズ74を有しない構成であってもよい。
【0038】
以上の構成を有する超音波振動子7は、パルス信号の入力によって圧電素子71が振動することで、第1音響整合層72、第2音響整合層73および音響レンズ74を介して観測対象に超音波を照射する。この際、圧電素子71において、第1音響整合層72、第2音響整合層73および音響レンズ74の配設側と反対側は、バッキング材により、圧電素子71からの不要な超音波振動を減衰させている。また、観測対象から反射された超音波は、音響レンズ74、第2音響整合層73および第1音響整合層72を介して圧電素子71に伝えられる。伝達された超音波により圧電素子71が振動し、圧電素子71が該振動を電気的なエコー信号に変換して、エコー信号として後述する配線材101を介して超音波観測装置3に出力する。
【0039】
図5は、本発明の実施の形態1に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を示す模式図であって、中継基板の構成を説明する模式図である。超音波振動子モジュール214は、超音波振動子7と、当該超音波振動子7(超音波振動子モジュール214)と超音波観測装置3とを電気的に接続する経路の一部をなす複数の信号線200(
図3参照)と、の間の電気的な接続を中継する中継基板100を備える。中継基板100は、超音波振動子7の側部において超音波振動子7に保持されるフレキシブル基板(Flexible Printed Circuits:FPC)である。中継基板100は、本発明における基板に相当し、第2中継基板201を介して複数の信号線200と電気的に接続している。中継基板100は、ポリイミドを用いて形成される基材に配線パターンを設けてなる。また、中継基板100は、当該中継基板100の一つの表面から延出する配線材101により、信号入出力用電極71aと電気的に接続している。本実施の形態1では、中継基板100の一つの主面から配線材101が延出している。中継基板100は、配線材101が延出する側の縁端が、複数の圧電素子71の配列に沿った弧状をなしている。
【0040】
図6は、
図3に示す超音波振動子モジュールの要部の構成を説明する部分断面図であって、圧電素子71の配列方向と直交し、かつ配線材101を通過する平面を切断面とする部分断面図である。配線材101は、銅、または、銅を主成分とする合金などの導電性材料を用いて形成されてなるフライングリードである。配線材101は、中継基板100の一部から外部に延出してなり、信号入出力用電極71aと接続する側の端部が湾曲されてなるL字状をなしている。なお、接合部102の形成を補助するために、配線材101の表面にニッケル/金メッキや、半田メッキを形成してもよい。
【0041】
配線材101は、屈曲してなる先端部において、接合部102によって信号入出力用電極71aと接合されている。接合部102は、ニッケル、銅、半田、または、ニッケル、銅もしくは錫を主成分とする合金などの導電性材料を用いた電解めっき法によって形成されている電解めっき層である。電解めっき法は、電圧または時間を制御することによって接合部102を形成する材料の量的制御を行うことができる。なお、接合部102は、半田による接合によって形成されるものであってもよいし、溶融半田法によって形成されるものであってもよい。
【0042】
ここで、圧電素子71は、接合部102による接合部分が、圧電的に不活性な領域となっていることが、超音波の送受信を正確に行ううえで好ましい。圧電的に不活性とは、分極されていない、または電界が印加されないことをいう。
【0043】
続いて、上述した超音波振動子モジュール214を製造する製造方法について説明する。超音波振動子モジュール214を製造する際には、まず、圧電素子71に第1音響整合層72および第2音響整合層73を積層する。この際、圧電素子71におけるグラウンド用電極71bと、第1音響整合層72におけるグラウンド用電極72aとが接触する。
【0044】
その後、圧電素子71の信号入出力用電極71aと配線材101とを接触させた状態で、接合部102によって信号入出力用電極71aと配線材101とを接合する。接合部102は、例えば、上述した電解めっき法を用いて形成される。電解めっき法を用いることにより、信号入出力用電極71aと配線材101とを接合する際の熱の発生を抑制することができ、圧電素子71の熱劣化を抑制することが可能である。また、電解めっき法を用いることにより、複数組の信号入出力用電極71aと配線材101とを一括して接合することができ、製造コストを低減することができる。なお、接合部102は、上述したように、半田による接合や、溶融半田法により形成してもよい。
【0045】
なお、上述した製造順は、逆であってもよい。具体的には、信号入出力用電極71aと配線材101とを接合した後、圧電素子71に第1音響整合層72および第2音響整合層73を積層するようにしてもよい。
【0046】
その後、圧電素子71の第1音響整合層72側と反対側にバッキング材を充填し、音響レンズ74を取り付ける。さらに、この音響レンズ74を筐体に取り付ける。これにより、
図2に示す超音波振動子モジュール214が作製される。
【0047】
以上説明した本実施の形態1によれば、圧電素子71と中継基板100とを接合するうえで、圧電素子71の信号入出力用電極71aと、中継基板100から延出するL字状の配線材101とを接合部102により接合するようにしたので、中継基板100と一体化した複数の配線材101により、複数の圧電素子71とそれぞれ接合されるため、各々が独立している複数の信号線を圧電素子71にそれぞれ接続する場合と比して、圧電素子71と中継基板100との接続の位置精度を向上することができる。これにより、圧電素子71と配線材101との接合強度を確保しつつ、圧電素子71の配列密度を大きくすることができる。
【0048】
また、上述した実施の形態1によれば、配線材101の先端をL字状に湾曲させて、この先端を信号入出力用電極71aに接続させるようにしたので、外部から加わる応力をL字状により分散して、圧電素子71に加わる応力を低減させることができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態1では、中継基板100が、第2中継基板201を介して複数の信号線200と電気的に接続しているものとして説明したが、第2中継基板201を介さずに複数の信号線200と直接接続するようにしてもよい。
【0050】
(実施の形態1の変形例1)
図7は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図である。
図7に示すように、本変形例1では、上述した配線材101に代えて、平板状をなして延びる配線材101Aを有する。本変形例1のように、L字状に屈曲していない配線材であっても適用可能であり、各々が独立している複数の信号線を圧電素子71にそれぞれ接続する場合と比して、圧電素子71と中継基板100との接続の位置精度を向上することができる。
【0051】
(実施の形態1の変形例2)
図8は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図である。
図8に示すように、本変形例2では、上述した配線材101が、接合部102による接合部分を除き、圧電素子71、第1音響整合層72および第2音響整合層73の積層方向に延びる領域、すなわちマッチング層に応じた領域の外部に位置している。本変形例2のように、マッチング層に応じた領域外に配線材101を配置することにより、圧電素子71から配線材101に超音波が伝わらず、圧電素子71に配線材101が反射した超音波が入射することがないため、圧電素子71が不要な超音波エコーを受信することを抑制することができる。これにより、不要な超音波エコーによるノイズを抑制し、超音波振動子7により得られる超音波画像を高画質化することが可能となる。
【0052】
なお、上述した変形例2のほか、グラウンド用電極72aにより形成されるデマッチング層に応じた領域に配線材101を配置してもよい。この場合も、上述したように、圧電素子71に配線材101が反射した超音波が入射することがないため、圧電素子71が不要な超音波エコーを受信することを抑制することができる。
【0053】
(実施の形態1の変形例3)
図9は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図である。
図9に示すように、本変形例3では、上述した配線材101の中継基板100が配設されている側であって、信号入出力用電極71aに接触する側と反対側の表面に、弾性変形可能な補強層103が設けられる。
【0054】
補強層103は、例えば、中継基板100を構成する材料と同じポリイミドを用いて形成されている。補強層103は、中継基板100の端部から配線材101の先端まで延び、配線材101に復元力を付与している。これにより、配線材101が信号入出力用電極71aに圧接した際に、補強層103により、配線材101が圧電素子71側に加える荷重を大きくすることができ、配線材101と信号入出力用電極71aとの接触をより確実なものとすることができる。また、補強層103を設けることによって、配線材101の中継基板100から延出する側の端部における断線を抑制したり、配線材101の変形を抑制したりするなど、配線材101の形状安定性を向上させることができる。
【0055】
なお、補強層103は、弾性変形可能であり、配線材に復元力を付与できるものであれば、上述したポリイミドに限らない。また、補強層103の厚さは、中継基板100の厚さ以下であればよく、配線材101が圧電素子71側に加える荷重に応じて適宜調整可能である。また、上述した変形例2と組み合わせることにより、圧電素子71が不要な超音波エコーを受信することを抑制するとともに、配線材101と信号入出力用電極71aとの接触をより確実なものとすることができる。
【0056】
また、補強層103は、すべての配線材101に設ける必要はなく、接合位置などに応じて、一部の配線材101に設けるものであってもよい。また、補強層103は、中継基板100の端部から配線材101の先端まで延びるものとして説明したが、中継基板100の端部から配線材101の先端までのうちの一部に設けられるものであってもよい。
【0057】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を示す模式図であって、中継基板の構成を説明する模式図である。上述した実施の形態1では、配線材101が中継基板100の一つの面から延出しているものとして説明したが、本実施の形態2では、配線材101B,101Cが、中継基板100の互いに対向する面からそれぞれ延出している。なお、
図10では、説明のために5本の配線材が延出している構成を図示しているが、配線材の実際の本数は、圧電素子71の数に応じて設けられている。配線材101B,101Cは、各々が、中継基板100に形成される配線パターンに接続している。
【0058】
図10に示す中継基板100には、複数の配線材101Bおよび複数の配線材101Cが設けられている。複数の配線材101Bは、中継基板100の一つの面からそれぞれ延出している。これに対し、複数の配線材101Cは、中継基板100において、配線材101Bが延出する面とは異なる面からそれぞれ延出している。本実施の形態2では、配線材101Bと配線材101Cとが、互いに対向する主面から延出しているものとして説明する。また、本実施の形態2では、中継基板100の主面と直交する方向からみた平面視で、複数の配線材101Bと、複数の配線材101Cとが、互い違いに配列されている。配線材101B,101Cは、中継基板100の側面視で千鳥配列をなしている。
【0059】
配線材101B,101Cは、銅、または、銅を主成分とする合金などの導電性材料を用いて形成されるフライングリードである。配線材101B,101Cは、信号入出力用電極71aと接続する側の端部が湾曲されてなるL字状をなしている。配線材101B,101Cは、同一の形状をなしており、湾曲方向を揃えて中継基板100に保持されている。
【0060】
図11は、本実施の形態2に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図であって、圧電素子71の配列方向と直交し、かつ配線材101Bを通過する平面を切断面とする部分断面図である。配線材101B,101Cは、屈曲してなる先端部において信号入出力用電極71aと接合部102によってそれぞれ接合されている。
【0061】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様に、圧電素子71と中継基板100とを接合するうえで、圧電素子71の信号入出力用電極71aと、中継基板100から延出するL字状の配線材101B,101Cとを接合部102により接合するようにしたので、中継基板100と一体化した複数の配線材101により、複数の圧電素子71とそれぞれ接合させるため、各々が独立している複数の信号線を圧電素子71にそれぞれ接続する場合と比して、圧電素子71と中継基板100との接続の位置精度を向上することができる。これにより、圧電素子71と配線材101との接合強度を確保しつつ、圧電素子71の配列密度を大きくすることができる。
【0062】
また、本実施の形態2によれば、配線材101B,101Cが、中継基板100の互いに対向する面からそれぞれ延出し、中継基板100の主面と直交する方向からみた平面視で、互い違いに配置されるようにしたので、中継基板100内の配線パターンの間隔を広くすることが可能になる。これにより、配線パターン間のクロストークを抑制することができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態2では、配線材101B,101Cが、中継基板100の主面と直交する方向からみた平面視で、互い違いに配列されるものとして説明したが、中継基板100の互いに対向する面からそれぞれ延出するものであれば、上述した平面視において配線材101Bが隣り合うなど、千鳥配列とは異なる配置としてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態2では、配線材101B,101Cが、中継基板100の対向する二つの面から延出するものを例示して説明したが、これに限らず、互いに異なる複数の面から延出していればよい。ここでいう互いに異なる面とは、基板の表面において、所定の曲率半径(例えば90°)で屈曲した部分を境界として区別される複数の面である。例えば、側面から配線材が延出するようにしてもよい。この場合、配線材101B,101Cは、対向する二つの主面のうちの一方の主面と側面からそれぞれ延出するようにしてもよいし、他方の主面と側面からそれぞれ延出するようにしてもよいし、一方の主面、他方の主面および側面からそれぞれ延出するようにしてもよい。
【0065】
上述した実施の形態2では、配線材101B,101Cが、同一の形状をなし、湾曲方向を揃えて中継基板100に保持されているものとして説明したが、信号入出力電極71aと接続できれば、これに限らない。例えば、曲率半径が異なるものを含んでいてもよいし、湾曲方向を異なるものとしてもよい。以下、変形例1,2では、配線材の他の例を説明する。
【0066】
(実施の形態2の変形例1)
図12は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図である。
図12に示すように、本変形例1では、配線材104A,104Bが、接合部102に接合される湾曲部分が互いに交差するように配置されている。本変形例1のように、配線材104A,104Bの湾曲部分が互いに交差するように配線材104A,104Bを配置すれば、圧電素子71における配線材104A,104Bの接合箇所が、上述した実施の形態2と比して離れるため、圧電素子71に対して配線材104A,104Bが荷重を加える位置が分散し、圧電素子71に対する配線材104A,104Bによる荷重の集中を抑制することができる。また、接合箇所が離れることで、配線材104A,104Bと、各信号入出力用電極71aとの接合を容易に行うことができる。
【0067】
(実施の形態2の変形例2)
図13は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る超音波振動子モジュールにおける要部の構成を説明する部分断面図である。
図13に示すように、本変形例2では、配線材105A,105Bが、接合部102に接合される端部同士が互いに離れるように配置されている。本変形例2のように、端部同士が互いに離れるように配線材105A,105Bを配置すれば、圧電素子71における配線材105A,105Bの接合箇所が、上述した実施の形態2の変形例1と比して一層離れるため、圧電素子71に対して配線材105A,105Bが荷重を加える位置が分散し、圧電素子71に対する配線材105A,105Bによる荷重の集中をさらに抑制することができる。
【0068】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態および変形例によってのみ限定されるべきものではない。本発明は、以上説明した実施の形態および変形例には限定されず、請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。また、実施の形態および変形例の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0069】
また、上述した実施の形態1,2では、超音波を出射するとともに、外部から入射した超音波をエコー信号に変換するものとして圧電素子を例に挙げて説明したが、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用して製造した素子、例えばC−MUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)やP−MUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducers)であってもよい。
【0070】
また、超音波内視鏡として、光学系がなく、振動子を機械的に回転させ走査する細径の超音波プローブに適用してもよい。超音波プローブは、通常、胆道、胆管、膵管、気管、気管支、尿道、尿管へ挿入され、その周囲臓器(膵臓、肺、前立腺、膀胱、リンパ節等)を観察する際に用いられる。
【0071】
また、超音波振動子は、リニア振動子でもラジアル振動子でもコンベックス振動子でも構わない。超音波振動子がリニア振動子である場合、その走査領域は矩形(長方形、正方形)をなし、超音波振動子がラジアル振動子やコンベックス振動子である場合、その走査領域は扇形や円環状をなす。また、超音波内視鏡は、超音波振動子をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
【0072】
また、超音波内視鏡として、被検体の体表から超音波を照射する体外式超音波プローブを適用してもよい。体外式超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に用いられる。