(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6581326
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】パーゴラ
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
E04H1/12 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-115810(P2019-115810)
(22)【出願日】2019年6月21日
【審査請求日】2019年7月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301062226
【氏名又は名称】株式会社日本設計
(73)【特許権者】
【識別番号】390004422
【氏名又は名称】第一園芸株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519227662
【氏名又は名称】有限会社アイエヌティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 基一
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 晶子
(72)【発明者】
【氏名】松下 泰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 麻理絵
(72)【発明者】
【氏名】山田 英俊
【審査官】
土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0214363(US,A1)
【文献】
特開2008−75322(JP,A)
【文献】
中国実用新案第208251689(CN,U)
【文献】
特開平7−293011(JP,A)
【文献】
特開平7−279241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04F 10/00
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼材からなる角柱を束ね、前後左右に設置される支柱と、
前記支柱の底部に取付けられ、床を形成する敷板鋼板と、
鋼材からなり、前記支柱の頂部に取付けられる天井枠と、
前記天井枠の上側に固定され、中央部の高さが周囲部より高く、上方向に突出する木製格子と、
前記天井枠の長手方向両側に、斜め下方に向けて設けられるファンと、
前記ファンに隣接して設けられる噴霧ノズルと、
が備えられることを特徴とするパーゴラ。
【請求項2】
連結板が、左右両側の前後2つの前記支柱の下端を連結するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のパーゴラ。
【請求項3】
前記天井枠に、前記木製格子の中央部を囲むようにコ字形のプランターが向かい合わせに設けられることを特徴とする請求項1に記載のパーゴラ。
【請求項4】
前記角柱は、内部が中空で、下部に排水口が設けられることを特徴とする請求項1に記載のパーゴラ。
【請求項5】
前後左右の前記支柱に取りつけられるテーブルと、正面側と背面側の前記支柱に取り付けられ、外側に突出する片持ち式のベンチと、が備えられることを特徴とする請求項1に記載のパーゴラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーゴラ(日陰棚)に係り、より詳細には、公園等に設置され、涼しくて快適に休憩することができるパーゴラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天井に格子棚を備えたパーゴラが示される。しかしながら、桟が高さ方向に幅がなく太陽光が上から直に差し込んでくるので、日蔭となる箇所が十分にできない。また、建物にボルト連結されるので、移動が容易ではない。そのため、公園等への設置には適していない。
【0003】
特許文献2に示される雨水施設には、屋根に太陽光パネルを搭載した休憩所を備える。休憩所にはミスト噴霧装置が設けられ、真夏の炎天下でも涼しい環境にできる。しかしながら、屋根が太陽光パネルで覆われるので、雨には強いが、晴れた日に空が見えず開放感が得られない。また、霧を発生させても風がないから、蒸し暑さから解放されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−102801号公報
【特許文献2】特開2016−166454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、涼しくて快適なパーゴラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるパーゴラは、複数の鋼材からなる角柱を束ね、前後左右に設置される支柱と、前記支柱の底部に取付けられ、床を形成する敷板鋼板と、鋼材からなり、前記支柱の頂部に取付けられる天井枠と、前記天井枠の上側に固定され、中央部の高さが周囲部より高く、上方向に突出する木製格子と、前記天井枠の長手方向両側に、斜め下方に向けて設けられるファンと、前記ファンに隣接して設けられる噴霧ノズルと、が備えられることを特徴とする。
【0007】
連結板が、左右両側の前後2つの前記支柱の下端を連結するように設けられることを特徴とする。
【0008】
前記天井枠に、前記木製格子の中央部を囲むようにコ字形のプランターが向かい合わせに設けられることを特徴とする。
【0009】
前記角柱は、内部が中空で、下部に排水口が設けられることを特徴とする。
【0010】
前後左右の前記支柱に取りつけられるテーブルと、正面側と背面側の前記支柱に取り付けられ、外側に突出する片持ち式のベンチと、が備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるパーゴラによれば、(1)天井枠の長手方向両側に、斜め下方に向けて設けられるファンと、これに隣接する噴霧ノズルとを設けたので、霧と風の両方が得られ、涼しくてかつ快適に休憩することができる。(2)敷板鋼板を設けたので、重心を低くでき、置くだけなので設置が容易である。移動も容易である。(3)天井枠の上側に固定され、中央部の高さが周囲部より高く、上方向に突出する木製格子を設けたので、太陽光の差し込む量を制限でき、日除けの機能を果たせる。
【0012】
左右両側の前後の2つの支柱の下端を連結する連結板を設けたので、重さが増えて、パーゴラの重心をさらに低下させることができ、強風でも転倒しない安定した設置ができる。
【0013】
天井枠に、コ字形のプランターを設けたので、植物が生い茂った状態では太陽光の差し込む量がさらに制限できる。
【0014】
支柱を構成する角柱の下部に排水口を設けたので、角柱の上端開口部から雨水が浸入しても排出できる。天井枠にプランターを設けた場合、プランターの底部排水孔を角柱の上端開口部に連結することで、プランターの排水ができる。
【0015】
支柱にテーブルとベンチを取り付けたので、座っての休憩ができる。ベンチは外側に突出する片持ち式としたので、脚がなく地面の掃除がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるパーゴラの斜視図である。(実施例1)
【
図6】パーゴラの内側から左側面上方向を見た図である。
【
図7】本発明によるパーゴラの平面図である。(実施例2)
【
図8】
図7でプランターの植物が茂った状態を示す図である。
【
図9】ベンチとテーブルを備えるパーゴラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明によるパーゴラを詳しく説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明によるパーゴラ100の斜視図である。パーゴラ100は、前後左右に設置される4本の支柱1を有する。支柱1は、中空の鋼材の柱4本を繋ぎ部材10で束ねたものである。支柱1底部には、敷板鋼板7が取付けられ、床を形成する。これにより、地面にアンカーボルトを打ち込むことなしに設置できる。支柱1の頂部には、鋼材からなる天井枠2が取付けられる。天井枠2の上側には、木製格子3が載置され固定される。木製格子3は、周辺部3aと中央部3bからなる。中央部3bの高さは、周囲部3aより高く、上方向に突出した形状である。中央部3bの高さは、具体的には120mmで、周辺部3aの高さ80mmの1.5倍の高さがある。
【0019】
左右両側の支柱1、1の下端を連結するように連結板8が設けられる。連結板8は、敷板鋼板7に加えて、パーゴラ100の重量を増し、重心を下げるので、安定した設置ができる。例として、敷板鋼板7の重量は約152kgで、連結板8の重量は約28kgで、両側合わせて約56kgの重さがある。敷板鋼板7と連結板8の合計は約208kgとなる。パーゴラ100の重心を低くできる。
【0020】
左右両側の支柱1、1間の下部を連結するように脚連結部材9が設けられる。幕板6は上幕板6aと下幕板6bからなる。木製格子3の周囲部3aの4方の側面には、木製の上幕板6aを設け、上幕板6aの下側に少し離して、木製の下幕板6bを設けた。上幕板6aは、木製格子3を構成する桟の端面を覆う。下幕板6bは、天井枠2の4方の側面の下側部分を覆う。
【0021】
支柱1は、例として亜鉛メッキを施した。木製格子3には、酸化亜鉛含浸処理を施し、防腐と防虫を可能にした。加圧水蒸気下の加熱処理によっても同様の効果がある。天井枠2はステンレスとした。パーゴラ100の寸法は、これに限るものではないが、横幅は天井側で約2.7m、床側で約2.1m、高さは約2.4m、奥行きは、天井側で約2m、床側で約1mである。支柱1を構成する角柱は、縦横35mm、中空で、16本が使用される。なお、パーゴラ100の設置面積は、約2.15m
2である。総重量は、約540kgである。
【0022】
図2は、
図1に示すパーゴラ100の正面図である。下幕板6bの下側には、左右の支柱1、1の上部を連結する連結部材2aが見える。木製格子3の中央部3bは、上幕板6aより上方向に突出している。中央部3bは、横幅は、両側とも上幕板6aの横幅より1格子分小さい。木製格子3の周辺部3aは、側面が上幕板6aで覆われて見えない。上幕板6aと下幕板6bの隙間に、天井枠2の側面が見える。連結板8は、幅が約140mm、奥行が約1m、厚さが約25mmである。敷板鋼板7は、幅が約2m、奥行が約1m、厚さが約9mmである。
【0023】
図3は、
図1に示すパーゴラの右側面図である。木製格子3の中央部3bは、上幕板6aより上方向に突出している。中央部3bは、横幅が両側とも上幕板6aの横幅より1格子分小さい。上幕板6aと下幕板6bの隙間に、天井枠2の側面が見える。支柱1を形成する角柱の底部には排水口11が設けられ、角柱の上端開口部から雨水が浸入しても排出できる。
【0024】
図4は、
図1に示すパーゴラの平面図である。木製格子3の周囲は上幕板6aで囲まれる。その内側に木製格子3が設けられる。木製格子3は、縦桟と横桟が、格子状に組み合わされて構成される。縦桟は、x2〜x11の位置(〇印の位置)に10本が使用され、横桟は、y2〜y7の位置に(〇印の位置)に6本が使用される。破線で囲む部分が、木製格子3の中央部3bで、周囲部3aより高さが高くされる。
【0025】
天井枠2も縦桟と横桟からなる。
図4で上から見える天井枠2は、点々で塗り潰した。天井枠2の縦桟は、黒〇印で示す位置x1、x2、x6、x7、x11、x12にあって6本が使用される。x2、x6、x7、x11の縦桟は、木製格子3の縦桟の下側にあって重なり、上からは見えない。天井枠2の横桟は、黒〇印で示す位置y1、y2、y7、y8にあって、4本が使用される。y2とy7の横桟は、木製格子3の横桟の下側にあって重なり、上からは見えない。
【0026】
4本の支柱1は、連結部材2a、2aで左右方向の支柱1、1の上部が連結され、連結部材2b、2bで前後方向の支柱1、1の上部が連結される。
図4では、連結部材2a、2bは点々で塗り潰した。支柱1の角柱の上端は、開口部が開放されている。
【0027】
図5は、
図1に示すパーゴラ100の底面図である。底面には敷板鋼板7が設けられる。天井枠2の上に木製格子3が搭載されるので、
図5では、敷板鋼板7の周囲に天井枠2の縦桟と横桟が見える。木製格子3も一部が見える。
【0028】
図6は、パーゴラ100の内側から左側面上方向を見た図である。パーゴラ100の左側の天井部分に斜め下方に向けて設けられるファン12と、これに隣接して噴霧ノズル13が設けられる。同様にパーゴラ100の右側の天井部分にもファン12と噴霧ノズル13が設けられる。噴霧ノズル13は、水道に接続されるポンプ装置(図示せず)からホースで連結される。例として支柱1に操作盤16が設けられる。操作盤16には、噴霧ノズル13のオンオフボタンと、ファン12のオンオフボタンが設けられ、利用者が自在に運転を指示できる。噴霧ノズル13のみ、あるいはファン12のみを運転させることもできる。
【実施例2】
【0029】
図7は、本発明によるパーゴラ100(実施例2)の平面図である。実施例1との違いは、金属製のプランター4が、天井枠2の上に設置される点にある。プランター4は、箱型で平面視がコ字形で、向かい合うように2つが設置される。プランター4、4は、木製格子3の中央部3bを囲むように設けられる。木製格子3の外周部3aはそのまま残しており、そのため、実施例2の中央部3aは、実施例1の中央部3bより縦と横の寸法が小さい。
【0030】
木製格子3は、外周部3aと中央部3bがプランター4で分離されることがないので、一連のものに組み上げ、パーゴラ100の上方向から下方向に降ろすことで設置できる。天井枠2にプランター4を設けた場合、プランター4の底部排水孔を角柱の上端開口部に連結する。これによりプランター4の排水が、支柱1を構成する中空の角柱の下部に設けた排水口11から排水できる。
【0031】
図8は、
図7でプランター4の植物が茂った状態を示す図である。プランター4の高さは、木製格子3の中央部3bの高さと同じにした。プランター4に植えた植物5が生い茂った状態では太陽光の差し込む量が制限できる。格子枠から差し込む太陽光が遮られ、風で揺れる日陰ができる。
【0032】
図9は、ベンチ14とテーブル15を備えるパーゴラの斜視図である。支柱1にベンチ14とテーブル15を取り付けた。ベンチ14とテーブル15はオプションで、購入者の要望により取り付ける。ベンチ14は、外側に突出し片持ち式で脚がなく支柱1、1で支えられる。
【0033】
図10は、噴霧ノズル13の系統図である。噴霧ノズル13はホースでポンプに接続される。ポンプには、水道管が取り付けられ、100V電源で駆動される。ホースは数10mの長さで、ポンプの運転は、離れて設けられる操作盤16から指示される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のパーゴラは、ファンと噴霧ノズルを備えるので、公園などに設置するパーゴラとして好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 支柱
2 天井枠
2a 連結部材
2b 連結部材
3 木製格子
3a 外周部
3b 中央部
4 プランター
5 植物
6 幕板
6a 上幕板
6b 下幕板
7 敷板鋼板
8 連結板
9 脚連結部材
10 繋ぎ部材
11 排水口
12 ファン
13 噴霧ノズル
14 ベンチ
15 テーブル
16 操作盤
100 パーゴラ
【要約】
【課題】涼しくて快適なパーゴラを提供する。
【解決手段】本発明のパーゴラは、複数の鋼材からなる角柱を束ね、前後左右に設置される支柱と、支柱の底部に取付けられ、床を形成する敷板鋼板と、鋼材からなり、支柱の頂部に取付けられる天井枠と、天井枠の上側に固定され、中央部の高さが周囲部より高く、上方向に突出する木製格子と、天井枠の長手方向両側に、斜め下方に向けて設けられるファンと、ファンに隣接して設けられる噴霧ノズルと、が備えられる。
【選択図】
図1