【実施例1】
【0019】
図6及び
図7により、本発明の一実施例に係る電気掃除機について説明する。
図6に本実施例の電動送風機が適用される電気掃除機の外観斜視図を示す。
【0020】
図6に示すように100は塵埃を集塵する集塵室及び集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(
図6)を収納する掃除機本体、101は一端が掃除機本体100に接続されるホース、102は一端がホース101の他端に接続される手元操作部、103は一端が手元操作部102の他端に接続される延長管、104、105は延長管103の他端に接続される第1、第2の吸口体である。106は手元操作部102に設けられた電動送風機200の入切を行うスイッチ部である。
【0021】
以上の構成において、手元操作部102のスイッチ部106を操作すると、掃除機本体100に収納された電動送風機200が運転し、吸込気流を発生させる。そして、吸口体105から塵埃を吸込み、延長管103、手元操作部102、ホース101を通して掃除機本体100の集塵室に集塵する。
【0022】
次に、
図7に示す電気掃除機における掃除機本体100を模式的に示した断面図を用いて、掃除機本体100について説明する。
【0023】
掃除機本体100の内部には、吸引力を発生させる電動送風機200、電動送風機200を駆動する電池ユニット107、駆動用回路108、集塵室109が配置され、電動送風機200の吸引力で吸い込まれた塵埃を捕集する紙パック110(捕集部材)、さらには、紙パック110で塵埃を取り除かれた空気が通過するフィルター111等が配置されている。電動送風機200は、掃除機本体100の電動送風機室112に防振ゴム113を介して収容される。本実施形態では、この集塵室109に紙パック110を取り付けた紙パック集塵機項としているが、サイクロン集塵機構としても良い。
【0024】
次に、
図5に示す電動送風機の縦断面図を参照して電動送風機200について説明する。この電動送風機200は、送風機部201と電動機部202に大別される。送風機部201は、遠心羽根車203と、該遠心羽根車203を収納するファンケーシング204及び、ディフューザ205と該ディフューザ205の裏面にリターンガイド206を持つ静止流路部とを含み構成される。ファンケーシング204には空気吸込口204aが設けられ、シール部204bを備え、シール部材207が配設されている。遠心羽根車203は吸込開口203aを有し、吸込開口203aとシール部材207が概略接触し、漏れを防ぐ構造を有している。遠心羽根車203は熱可塑性樹脂製で、回転軸208に直結されている。
【0025】
遠心羽根車203の中心部には、焼結等により形成された金属製の支持スリーブ209が取り付けられている。支持スリーブ209は、回転軸208が圧入される内周面を有している。このような支持スリーブ209は遠心羽根車203にインサート成形されている。遠心羽根車203は、支持スリーブ209に回転軸208を圧入することで固着される。本実施例では、遠心羽根車203を回転軸208に圧入固定しているが、回転軸208の端部にねじを設け、遠心羽根車203を固定ナットを用い固定しても良い。
【0026】
電動機部202は、ハウジング210内に収納される回転軸208に固定されている回転子211、及びハウジング210に固定されている固定子212から構成される。固定子212の周りには、図示しない導線が巻かれ、一緒になって相巻線を形成する。相巻線は、電動送風機200に備わる図示しない回路部に電気的に接続される。
【0027】
回転子211は、回転軸208の反遠心羽根車203の端部側に形成されており、希土類系のボンド磁石からなる。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石等を用いることができる。なお、本一実施例では回転子211に永久磁石を用いているが、これに囚われることがなく、例えば毎分80,000回転以上の高速回転を可能とする無整流子電動機の一種であるリラクタンスモータなどを使用しても良い。
【0028】
ハウジング210には、軸受213を内包する円筒状の軸受カバー214を固定する支持部210aを有している。軸受カバー214内には、軸受213とスリーブ215と、ばね216を備えている。ばね216は圧縮された状態で配置され、軸受213の外輪にそれぞれ当接して予圧を付与している。
【0029】
支持部210aの端部には軸方向に延在するねじ穴210bが形成されている。ねじ穴210bには固定ねじ217が螺合可能である。支持部210aの端部には、固定ねじ217の螺合によってディフューザ205が固定設置されている。
【0030】
ハウジング210には、ハウジング内に空気が流れ込むように開口210cと、電動送風機200の外部に空気を排出する排気口210dが複数個設けられている。
【0031】
次に、電動送風機200内における空気の流れを説明する。電動機202を駆動して遠心羽根車203を回転させると、ファンケーシング204の空気吸込口204aから空気が流入し、遠心羽根車203内に流入する。流入した空気は遠心羽根車203内で昇圧及び増速され、遠心羽根車203から吐出される。遠心羽根車203から吐出された空気流は、ディフューザ205に導かれる。
【0032】
ディフューザ205は複数のディフューザ羽根が設けられ、空気流がディフューザ羽根の羽根間で減速されることによって、空気流のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され圧力が上昇する。ディフューザ205から吐出された空気流は、ファンケーシング204の内面とディフューザ205の後縁間で形成された流路からリターンガイド206に流入する。なお、本実施例では羽根付ディフューザを用いているが、羽根無しディフューザとしても良い。その場合は、ディフューザ後縁側に支柱を複数本設け、ファンケーシング204を支持する。
【0033】
リターンガイド206を通過した空気流は、ハウジング210とファンケーシング204との空間S1に導かれ、ハウジング210の開口210cからハウジング210内部に流入し、軸受カバー214が冷却され、軸受カバー214を介して軸受213が冷却される。また、回転子211、固定子212、固定子212に巻かれた図示しない導線を冷却して外部へ排出される。空間S1に導かれた空気流の一部は、ハウジング210の排気口210dから外部へ排出される。これによって、ハウジング210内の各部が冷却される。
【0034】
本発明の一実施例を
図1から
図4を用い説明する。
図1(a)は本発明による遠心羽根車の一実施例の断面で表した斜視図で、(b)は子午面形状図、
図2は遠心羽根車の一実施例の構成図、
図3は遠心羽根車を構成するシュラウド板の外観図で、(a)は背面斜視図、(b)は側面図、(c)は背面図、
図4(a)は遠心羽根車を構成する羽根一枚の圧力面側の円筒展開図で、(b)は羽根の断面図である。
【0035】
図1から
図4に示すように、本発明に係る一実施例の遠心羽根車203は、シュラウド板1と、ハブ板2と複数枚の羽根3から構成されている。ハブ板2と羽根3は熱可塑性樹脂で一体成形されている。
【0036】
熱可塑性樹脂製のシュラウド板1は、中央部に空気を吸い込む円環状の吸込開口4が形成されている。吸込開口4は回転軸208と略平行に直線部5が設けられ、先端の板厚は薄く形成されている。シュラウド板1は、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れに転向する曲面部6が設けられ、直線部5と曲面部6が滑らかに接続され、曲面部6から外径にかけて半径方向を向くように形成されている。
【0037】
シュラウド板1の流路面には、曲面部6から外径にかけて羽根3と対応する位置に凹状溝7が形成され、凹状溝7には貫通穴8a、8bが設けられている。内径側の貫通穴8aから凹状溝7が形成され、外径側まで延設されている。
【0038】
ハブ板2の中央には、回転軸208が挿入されて固定される凸形状のボス9が形成されている。ハブ板2と一体成形されている羽根3は周方向に等間隔で設置されており、内径側から径方向外側に向かうにつれ、回転方向に後退した羽根形状を有する。羽根3の上面には突起状の爪10a、10bが形成されている。爪10aと爪10bの間と、爪10bから外径側の羽根3の上面には溶着用のリブ11が形成されている。羽根3の爪10aから内径側の羽根3の上面は、シュラウド板1の曲面部6と密着するように羽根3の圧力面(凸面)側に傾斜面12が形成されている。
図4に示す溶着用のリブ11の形状は三角形としているが、半円形や、台形としても良い。
【0039】
爪10a、10bの高さはシュラウド板1からおよそ0.2mm〜0.5mm飛び出すように設定している。また溶着リブ11の体積は、凹部溝7に羽根3が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしている。
【0040】
羽根3の突起状の爪10aとシュラウド板1の貫通穴8a、爪10bと貫通穴8b、及びシュラウド板1の凹状溝7と羽根3を係合させ、爪10a、爪10b、及び溶着リブ11を溶着加工により接合することで遠心羽根車203が形成される。 なお、
図1(b)のXで示すシュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12には溶着加工を施していない。
【0041】
貫通穴8aと突起状の爪10a、貫通穴8bと爪10bの溶着加工は、略軸方向から行うことができる。
図1(b)のXの位置に貫通穴8aと突起状の爪10aを設けて溶着加工を行う場合、略軸方向の溶着加工に加え略径方向からも溶着加工を行う必要が生じるため、貫通穴8aと突起状の爪10a、貫通穴8bと爪10bの溶着加工を同時に行うことができない。しかし、本実施の形態例では、シュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜面12には溶着加工を施していないため、シュラウド板1の曲面部6から外径にかけての略軸方向からの溶着加工のみで、2箇所の溶着加工を一度で行うことができる。
【0042】
溶着リブ11は凹状溝7内で溶融するが、溶着リブ11の体積を凹部溝7に羽根3が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしているため、溶融した樹脂材が遠心送風機流路内にはみ出すことがない。また、羽根3の爪10の高さはシュラウド板3の板厚よりも高くしているため、爪10が溶融することで、シュラウド板1の貫通穴8a、8bが塞がれ、貫通穴8a、8bからも空気が漏れることが無い。
【0043】
また、流路中央付近から出口までの圧力の高くなる流路内は、羽根3の溶着リブ11が溶融し、シュラウド板1と溶着されているため、羽根3間での漏れを防止することができる。
【0044】
また、羽根3の爪10aより前縁側は、シュラウド板1の曲面部6の形状と一致するように、傾斜面12を形成している。遠心羽根車203では、特に入口流れが重要でシュラウド板1の曲面部6には、溶着加工を施していないため、羽根3の傾斜面12部には溶着によるバリなどが発生しない。すなわち、入口側で流れを乱すことが無く、空気を羽根3にスムーズに流入させることができる。
【0045】
さらに、シュラウド板1の吸込開口4が形成され、直線部5が設けられ、曲面部6と滑らかに形成されているため、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れにスムーズに転向することができ、羽根3に流入させることができ、入口での曲がり損失を低減することができる。
【0046】
さらに、羽根3の爪10とシュラウド板3の貫通穴8a、8bにより、シュラウド板1が精度良く位置決められる。そのため、吸込開口4は回転軸208との同心度を高めることができる。このため、遠心羽根車203の面振れを抑えることで遠心羽根車203からディフューザ205への流れを一様にすることができ、ディフューザ205の性能を向上することができる。
【0047】
また、吸込開口4は先端の板厚は薄く形成されているため、加えて、遠心羽根車203の面振れを抑制しているため、ファンケーシング204に設けたシール部204bでの摩擦損失が低減すると共に、入口部での空気の漏れ量も少なくできる。
【0048】
なお、本実施例では突起状の爪10と貫通穴8a、8bを1枚の羽根3に2箇所設けているが、3箇所でも良く、または内径側の1箇所でも良い。また、貫通穴8a、8bとしているが、穴は貫通させなく羽根3の突起状の爪10と嵌合し、シュラウド板の位置を決めることができれば良い。
【0049】
特許文献2に示すように、家庭用電気掃除機に搭載される電動送風機のシュラウド板1は金属製で、吸込開口4を切削加工により先端を薄くするようにしていることが一般的である。本一実施例ではシュラウド板1を樹脂製としているため、精度良く先端部を薄くした形状とすることができる。そのため、2次加工である切削加工をする必要が無く、製作コストを抑えることができる。
【0050】
さらに初期的な質量不釣合い量を小さくすることができ、不釣合い量の修正が容易となり、運転中の振動や騒音の発生を防ぐことができる。
【0051】
遠心羽根車203は熱可塑性樹脂製であるが、電動機などにより発生する熱による変形等を防ぐために特に耐熱性が100℃以上、遠心応力に耐えるために引張強度が100MPa以上あるエンジニアリングプラスティック材料が望ましい。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、PEEKにカーボン繊維が含まれているものであるとより望ましい。
【0052】
以上説明した本実施形態の電動送風機200によれば、遠心羽根車203の流路内に溶着による溶融した樹脂材がはみ出すことがなく、流路内の気密性を確実に得ることができる。これによって、電動送風機200の効率を確実に向上させることができる。
【0053】
また、遠心羽根車203の前縁側は、シュラウド板1の曲面部6の形状と一致するように、傾斜面12を形成している。運転中は遠心力により、前縁側がシュラウド板1の曲面部6と羽根3の傾斜部12が密着するように働くため、遠心羽根車203の性能に影響が大きい入口側で羽根3とシュラウド板1の隙間がなくなり、電動送風機200の効率を確実に向上させることができる。
【0054】
また、入口側には溶着部を設けていないため、溶着によるバリが発生しない。そのため、入口側で流れを乱すことが無く、空気を羽根3にスムーズに流入させることができ、電動送風機200の効率を確実に向上させることができる。
【0055】
また、シュラウド板1に形成した吸込開口4に直線部5を設け、曲面部6と滑らかに形成されているため、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れにスムーズに転向させて、羽根3に流入させることができる。よって、遠心羽根車203の入口での曲がり損失を低減することができ、電動送風機200の効率を向上させることができる。
【0056】
さらに、シュラウド板1を回転軸208との同心度を高めることができ、ファンケーシング204に設けたシール部204bでの摩擦損失の低減や、入口部での空気の漏れ量を少なくすることができる。また、初期的な質量不釣合い量を小さくすることができ、不釣合い量の修正が容易となり、運転中の振動や騒音の発生を低減することができる。
【0057】
遠心羽根車203は、エンジニアリングプラスティック材料で製作されているため、運転中に発生する熱や遠心力による変形を抑えることができ、強度を確保し、高速回転に耐えることができる樹脂製遠心羽根車203を実現できる。
【0058】
本電動送風機200を電気掃除機に搭載することで、電気掃除機の出力を向上させることができる。また、電動送風機200の効率が向上することで、同じ出力を得る場合は電動送風機200の入力を低くすることができ、電池を駆動源とする充電式掃除機では運転時間を長くすることができる。
【実施例2】
【0059】
次に本発明の一実施例について説明する。上記実施例と基本的な構成は同じであるので、同一の構成については同一符号を用い説明する。
【0060】
本発明が対象とする掃除機用電動送風機の最高回転数は、毎分80,000回転〜100,000回転で動作し、遠心羽根車203の外径はおおよそφ35mm〜φ55mmの範囲にあり、羽根出口高さはおおよそ3mm〜6mmの範囲にあり、羽根の板厚はおおよそ0.5mm〜1.5mmの範囲にあり、羽根枚数はおおよそ6枚〜9枚の範囲にあり、電動送風機入力はおおよそ200W〜500Wの範囲にあるスティックタイプやハンディタイプの充電式掃除機を対象としている。
【0061】
図1から
図4に示すように、本発明に係る一実施例の遠心羽根車203は、シュラウド板1と、ハブ板2と複数枚の羽根3から構成されている。ハブ板2と羽根3は熱可塑性樹脂で一体成形されている。
【0062】
熱可塑性樹脂製のシュラウド板1は、中央部に空気を吸い込む円環状の吸込開口4が形成されている。吸込開口4は回転軸208と平行に直線部5が設けられ、先端の板厚は薄く形成されている。シュラウド板1は、吸込開口4から流入した軸方向流れを径方向流れに転向する曲面部6が設けられ、直線部5と曲面部6が滑らかに接続され、曲面部6から最外径にかけて半径方向を向くように形成されている。
【0063】
シュラウド板1の流路面には、曲面部6から外径にかけて羽根3と対応する位置に凹状溝7が形成され、凹状溝7には貫通穴8a、8bが設けられている。内径側の貫通穴8aから凹状溝7が形成され、外径側まで延設されている。
【0064】
ハブ板2の中央には回転軸208が挿入されて固定される凸形状のボス9が形成されている。ハブ板2と一体成形されている羽根3は周方向に等間隔で設置されており、内径側から径方向外側に向かうにつれ、回転方向に後退した羽根形状を有する。羽根3の上面には突起状の爪10a、10bが形成されている。爪10aと爪10bの間と、爪10bから外径側の羽根3の上面には溶着用のリブ11が形成されている。羽根3の爪10aから内径側の羽根3の上面は、シュラウド板1の曲面部6と密着するように羽根3の圧力面(凸面)側に傾斜面12が形成されている。
図4に示す溶着用のリブ11の形状は三角形としているが、半円形や、台形としても良い。
【0065】
爪10a、10bの高さはシュラウド板1からおよそ0.2mm〜0.5mm飛び出すように設定している。また溶着リブ11の体積は、凹部溝7に羽根3が挿入された際の隙間の体積よりも小さくしている。
【0066】
羽根3の突起状の爪10aとシュラウド板1の貫通穴8a、爪10bと貫通穴8b、及びシュラウド板1の凹状溝7と羽根3を係合させ、爪10a、爪10b、及び溶着リブ11を溶着加工により接合することで遠心羽根車203が形成される。 なお、シュラウド板1の曲面部6には溶着加工を施していない。
【0067】
スティックタイプやハンディタイプの充電式掃除機では、電池容量と運転時間、重さなどから電動送風機入力が決定される。家庭での掃除時間は平均するとおよそ10分程度である。例えば、電池1本の定格電池電圧21.6V、定格電流容量2500mAhの電池を6本使用すると、全電池電力容量は54Whである。運転時間10分と考えると、電動送風機入力はおよそ320Wである。
【0068】
充電式掃除機は、一般の家庭用電源を用いている電気掃除機よりも入力が低く、吸引力では劣るが、部屋内で電気コードの差し替えが不要のため、使い勝手に優れている。充電式掃除機の吸引力を高くするためには、電動送風機200の効率を高くする必要がある。また、使い勝手の面から小型、軽量化が有利である。
【0069】
充電式掃除機の小型、軽量化のためには、電動送風機200の小型、軽量化が必要である。電動送風機200の小型、軽量化のためには、電動送風機200の高速回転化が有効である。高速化のためには、電動機202はブラシを使用していない無整流子電動機が有利である。
【0070】
一般の電気掃除機に搭載されている整流電動機では、最高回転数はおよそ毎分50,000回転、それに搭載されている遠心羽根車外径はφ60mm〜φ120mm程度で、遠心羽根車は金属製のシュラウド板と、ハブ板と、羽根を備え、羽根に設けた突起状の爪を加締ることによってシュラウド板、及びハブ板にお互いが固定されている。
【0071】
送風機は一般に高速化することで比速度を高められ、高効率化に有利である。また、高速化することで小型、軽量化を図ることができる。一方、電動機は、高速化することで軸受などの機械損失が増加するため、高速化によって電動機効率は低下する。すなわち、電動送風機200の効率には回転数に対し、ピークを有する回転数範囲がある。送風機効率と電動機効率から回転数は毎分80,000回転〜100,000回転で動作させるのが有利である。
【0072】
充電式掃除機の小型、軽量化のためには、使用電池の本数は少ないほうが良い。しかし、電池本数が少ないと入力が小さくなり、吸引力が低下する。電池の容量や質量から電動送風機入力は200W〜500Wの範囲が良い。
【0073】
電動送風機200の回転数を毎分80,000回転〜100,000回転、電動送風機200の入力はおおよそ200W〜500Wの範囲とすると、遠心羽根車203の外径はおおよそφ35mm〜φ55mm、羽根出口高さはおおよそ3mm〜6mm、羽根枚数はおおよそ6枚〜9枚とすることで、高効率なクローズタイプの遠心羽根車203を得ることができる。
【0074】
本電動送風機200を電気掃除機に搭載することで、電気掃除機の出力を向上させることができる。また、電動送風機200の効率が向上することで、同じ出力得るのに電動送風機200の入力を低くすることができ、電池を駆動源とする充電式掃除機では運転時間を長くすることができる。効果については、実施例1と同様である。