特許第6581373号(P6581373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立産機システムの特許一覧

<>
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000011
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000012
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000013
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000014
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000015
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000016
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000017
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000018
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000019
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000020
  • 特許6581373-モータ制御装置 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581373
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   H02P27/08
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-60305(P2015-60305)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-181968(P2016-181968A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】高岡 碧
(72)【発明者】
【氏名】隅田 悟士
(72)【発明者】
【氏名】戸張 和明
(72)【発明者】
【氏名】岩路 善尚
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−053824(JP,A)
【文献】 特開2012−151998(JP,A)
【文献】 特開2014−050194(JP,A)
【文献】 特開2010−284017(JP,A)
【文献】 特開2012−120296(JP,A)
【文献】 特開2014−072935(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/118318(WO,A1)
【文献】 特開平9−238472(JP,A)
【文献】 特開平8−251930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ制御装置において,
周波数指令および電圧指令に基づいて,信号波を生成する信号波生成部と,
キャリア周波数に基づいてキャリア波を生成するキャリア波生成部と,
前記信号波と前記キャリア波を比較し,ゲート信号を出力するPWM発生部と,
前記ゲート信号に基づいて,スイッチング素子を制御するインバータと,
前記信号波に加算するオフセット量を演算するオフセット量演算部とを備え,
前記信号波は前記オフセット量が加算されて生成されるものであって,
前記インバータは,パルス電圧を出力し,
前記パルス電圧の基本波周波数によらず前記キャリア周波数が固定される非同期PWM制御であり,
前記パルス電圧がオンオフするように前記信号波と前記キャリア波の一方が他方を超える角度をスイッチング位相角としたとき,高次の電圧高調波を低減するようなスイッチング位相角を演算し,前記演算されたスイッチング位相角で前記信号波と前記キャリア波の一方が他方を超えるように,前記オフセット量を演算するものであり,前記信号波の周期と前記キャリア波の周期の最小公倍数に基づいて算出された電圧高調波に応じて基本波成分より低い周波数成分である低次の高調波成分をも増減させるように前記スイッチング位相角を演算することを特徴とするモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,高調波損失を低減するための,モータ制御装置および駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを用いたPWM制御によるモータ駆動システムにおいて,各種損失の低減が望まれている。損失は,モータに発生する損失(以下,モータ損失)と,インバータで発生する損失(以下,インバータ損失)に分けられる。モータ損失は,基本波成分に起因した損失(以下,基本波損失)と,高調波成分に起因した損失(以下,高調波損失)がある。インバータ損失は,スイッチング素子のオンオフ動作に起因する損失(以下,スイッチング損失)と,スイッチング素子の導通時に発生する損失(以下,導通損失)がある。
【0003】
基本波損失は,インバータによる可変速駆動を採用することによって,商用電源による一定速駆動に比べて低減される。しかし,スイッチング動作により電圧・電流が歪み,高調波成分が発生するため,高調波損失が増加する。高調波成分および高調波損失は,インバータのキャリア周波数の向上により低減できる。しかし,同時にスイッチング損失が増加するため,キャリア周波数を固定したまま,高調波損失を低減することが望まれる。特に,非同期PWM制御の過変調駆動では,高調波成分および高調波損失が顕著に増加することが知られており,その低減が望まれている。
【0004】
特許文献1では,非同期PWM制御の過変調駆動において,高調波成分を低減するため,変調率の上限値KHmaxを設定し,変調率がこれより小さくなるよう信号波を補正している。これにより,高調波成分の実効値が低減され,高調波損失も低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-143316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の問題点は,(1)変調率の上限値を設定するために,インバータ出力の範囲が制限されること,(2)高調波損失の周波数依存性が考慮されておらず,高調波損失を十分に低減できないことである。高調波損失の周波数依存性とは,高調波損失の発生量が,高調波実効値だけではなく,周波数にも依存することである。つまり,高調波実効値を低減するだけでは,必ずしも高調波損失を低減できるとは限らない。高調波損失を十分に低減するには,この周波数依存性を考慮し,高調波成分の周波数帯域を最適化する必要がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は,スイッチング回数を増やすことなく,非同期PWM制御を用いて,交流モータを過変調駆動したときに生じる高調波損失を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その一例として、モータ制御装置において,周波数指令および電圧指令に基づいて,信号波を生成する信号波生成部と,キャリア周波数に基づいてキャリア波を生成するキャリア波生成部と,前記信号波と前記キャリア波を比較し,ゲート信号を出力するPWM発生部と,前記ゲート信号に基づいて,スイッチング素子を制御するインバータと, 前記信号波に加算するオフセット量を演算するオフセット量演算部とを備え,前記信号波は前記オフセット量が加算されて生成されるものであって,前記インバータは,パルス電圧を出力し,前記パルス電圧の基本波周波数によらず前記キャリア周波数が固定される非同期PWM制御であり,前記パルス電圧がオンオフするように前記信号波と前記キャリア波の一方が他方を超える角度をスイッチング位相角としたとき,高次の電圧高調波を低減するようなスイッチング位相角を演算し,前記演算されたスイッチング位相角で前記信号波と前記キャリア波の一方が他方を超えるように,前記オフセット量を演算するものであり,前記信号波の周期と前記キャリア波の周期の最小公倍数に基づいて算出された電圧高調波に応じて基本波成分より低い周波数成分である低次の高調波成分をも増減させるように前記スイッチング位相角を演算する
【発明の効果】
【0009】
本発明により,スイッチング回数を増やすことなく,非同期PWM制御の過変調駆動における高調波損失を低減することができる。これにより,交流モータの高出力化あるいは冷却系の小型化などの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1におけるモータ制御装置の構成図
図2】モータ制御装置の要素図
図3】従来技術の同期PWM制御によるパルスパターン
図4】従来技術の同期PWM制御による,変調率が異なる場合でパルスパターン
図5】従来技術の同期PWM制御および非同期PWM制御のパルスパターン
図6】損失係数
図7】非同期PWM制御の周期性
図8】本発明のパルスパターン
図9】本発明のスイッチング幅の規制
図10】本発明の効果
図11】実施例2の構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図10および表1を用いて実施例1を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は,実施例1におけるモータ制御装置の構成図であり,図2はシステムの要素である。交流モータ1は,インバータ2よりパルス電圧(U相パルス電圧Vu,V相パルス電圧Vv,W相パルス電圧Vw)が印加されることで,三相交流電流(U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iw)が流れ,駆動周波数fで駆動される。ここで,交流モータ1のU-V相の間にかかる電圧を,線間電圧Vuvと呼ぶ。
【0013】
キャリア波生成部3は,キャリア周波数fcに基づいてキャリア波Vc*を生成する。キャリア波Vc*は,図3(a)に示すように振幅1(直流電圧の半分VDC/2で正規化)・周波数fcの三角波である。
【0014】
信号波生成部4は,周波数指令f1*および,電圧指令V1*基づいて信号波(U相信号波Vu1*,V相信号波Vv1*,W相信号波Vw1*)を生成する。信号波は,図3(a)に示すような周波数f1*の正弦波であり,その振幅は,電圧指令V1*に等しい。周波数指令f1*および,電圧指令V1*は,図2に示すV/f制御部8あるいはベクトル制御部9により,速度指令F*を基に決定される。ここで,信号波とキャリア波の振幅の比を変調率Khと呼ぶ。
【0015】
オフセット量演算部5では,信号波のオフセット量A*を算出し,加算部6に出力する。
【0016】
加算部6は,オフセット量A*を信号波に加算することで,後述する補正信号波Vu2*,V2*,Vw2*を生成する。
【0017】
PWM発生部7は,補正信号波Vu2*,Vv2*,Vw2*と,キャリア波を比較することで,ゲート信号Gun,Gup,Gvn,Gvp,Gwn,Gwvを生成し,それをインバータ2に出力する。インバータ2は,ゲート信号に基づいて,スイッチング素子をオンまたはオフ制御し,パルス電圧を交流モータ1に印加する。以下,パルス電圧の波形図を,パルスパターンと呼ぶ。
【0018】
次に,PWM制御の動作原理および問題点である高調波損失について説明する。
【0019】
キャリア波生成部3,信号波生成部4,PWM発生部7は,PWM制御を実現している。PWM制御は,直流電圧VDCを任意の電圧・周波数に変換する手段であり,可変速駆動に必須である。PWM制御では,図3(a)に示す信号波とキャリア波の振幅を比較することで,スイッチング素子のオン・オフを決定する。例えば,図3の区間Aに示すように,信号波がキャリア波よりも小さい場合,パルス電圧Vuはオフさせる。キャリア周波数が十分に高ければ,パルス電圧Vu,Vv,Vwの基本波周波数および振幅は,元の信号波と等しくなる。ゆえに,パルス電圧Vu,Vv,Vwを交流モータ1に印加することで,交流モータ1が同期機であれば,駆動周波数f=f1*,誘導機であれば,f=f1*-fs(fs:すべり)で駆動される。以上が,PWM制御の動作原理である。
【0020】
次に,PWM制御の問題点である高調波損失について説明する。PWM制御では,インバータ2のスイッチング素子のオンオフ動作に伴い,電圧・電流に歪みが発生する。この歪みは,図3(d)に示す高調波成分として表すことができ,これにより高調波損失が発生する。特に,非同期PWM制御の過変調駆動では,高調波成分および高調波損失が顕著に増加することが知られている。
【0021】
過変調とは,変調率Khが1(p.u.)を超えることである。図4に,過変調の場合と,非過変調の場合のパルスパターンを示す。図4(b)示すとおり,過変調の場合は非過変調の場合に比べ,基本波1周期分のパルス数が減少する。これは,信号波が,そのピークとなる位相90deg,270degにて,キャリア波より大きくなり,パルス電圧が連結されるからである。この結果,高調波成分の実効値が大きくなり,高調波損失が増加する。例えば,図4(c)に示すとおり,7次の高調波電圧は,非過変調では0.105 p.u.であるが,過変調では0.258 p.u.であり,およそ2倍となっている。また,13次の高調波電圧は,非過変調では0.008 p.u.,過変調では0.291 p.uであり,およそ30倍となっている。このように過変調では,高調波成分が増加する問題がある。
【0022】
非同期PWM制御とは,モータの基本波周波数(駆動周波数)に関係なく,キャリア周波数を固定するPWM制御方式である。一方,同期PWM制御とは,基本周波数の整数倍にキャリア周波数を調整する方式である。図5に,非同期PWM制御と同期PWM制御をそれぞれ過変調駆動した場合のパルスパターンを示す。同期PWM制御では,図5(b)に示す通り,高次の高調波成分のみが存在し,低次の高調波成分は存在しない。これは,同期PWM制御では,基本波とキャリア波が同期しており,基本波1周期を基準とする周期性を有するためである。一方,非同期PWM制御では,低次の高調波成分が発生している。これは,非同期PWM制御では,基本波とキャリア波は同期せず,パルス電圧のスイッチング位相が,基本波1周期ごとにばらつくためである。特許文献1では,これをパルス電圧の位相誤差と呼び,図5(A)に示す通り,信号波の傾きが大きい位相(0deg, 180deg)の近傍で,位相誤差が発生することを示している。このように,非同期PWM制御では,低次の高調波成分が存在し,高次の高調波成分と合わせて,高調波損失の原因となる。
【0023】
高調波損失は,交流モータ1の磁石に発生する渦電流や電磁鋼板に発生するヒステリシス損などの総和である。これらの高調波損失は,(数1)の電流高調波Inの2乗に比例し,かつ,表1に示すように周波数の階乗にも比例する。そこで,高調波損失Whは,後述する周期Tを用いて,(数2)で近似される。
【0024】
【数1】
ただし,Z:交流モータ1のインピーダンス L:交流モータ1のインダクタンス
Vn:電圧高調波 n:高調波次数
【0025】
【数2】
ただし,K:損失係数 H:高調波次数の上限
ここで,損失係数Kとは,交流モータ1の高調波損失Whの特性を表す係数である。交流モータ1の高調波損失の主要因(表1)によって,以下のように定まる。
(1)K = 0:周波数依存性がなく,銅損が主となる場合
(2)K = 1:ヒステリシス損が主となる場合
(3)K = 2:渦電流損が主となる場合
結果として,損失係数Knは, 0以上2以下の値となり,図6の通り正の相関を持つ。以上が,PWM制御の問題点である高調波損失の原因および特徴である。
【0026】
【表1】
【0027】
本実施例では,オフセット演算部5,加算部6を用いることによって,(数2)の高調波損失Whを低減あるいは最小化する。以下,その原理について説明する。
【0028】
(数2)の高調波損失Whの低減あるいは最小化するためには,損失係数Knが正の相関を持つため,低次の電圧高調波Vnの増加を許容してでも,高次の電圧高調波Vnを低減することが有効である。電圧高調波Vnは,パルスパターンにより決定される高調波成分の実効値である。パルスパターンの周期は,同期PWM制御では,基本波1周期と一致するため,電圧高調波Vnは,基本波1周期を基準に算出される。非同期PWM制御では,パルスパターンの周期は,基本波1周期と一致せず,図7に示す信号波の周期T1と,キャリア波の周期Tcの最小公倍数分の周期Tに一致し,これは(数3)で表わされる。本発明では,非同期PWM制御を扱うため,電圧高調波Vnは,(数3)の周期Tを基準に電圧高調波Vnを算出する。
【0029】
【数3】
ただし,n1およびn2は整数
電圧高調波Vnは,(数4)に示す通り,パルス電圧がスイッチングする位相αk(以下,スイッチング位相角αk)に依存する。そこで,スイッチング位相角αkを調整することで,所望の電圧高調波Vnを得る。このため,(数4)を(数2)に代入し,得られた(数5)を目的関数に設定する。この目的関数を低減あるいは最小化するように,スイッチング位相角αkを調整することで,高調波損失Whを低減あるいは最小化できる。
【0030】
【数4】
ただし,N:高調波次数の上限
【0031】
【数5】
【0032】
PWM制御の原理より,上記のスイッチング位相各αkの調整において,パルス電圧の基本波成分である振幅V1および位相θ1を固定する必要がある。基本波振幅V1およびθ1は,スイッチング位相角αkを用いて(数6)および(数7)の通り表すことができる。このため,本発明では,(数6)および(数7)を一定に保つようなスイッチング位相角αkを設定する必要がある。
【0033】
【数6】
【0034】
【数7】
【0035】
本実施例では,スイッチング位相角αkを調整するために,オフセット演算部5でオフセット量A*を演算し,これを基に,加算部6で信号波をオフセット補正する。以下,本実施例の手順を示す。
【0036】
(1) 交流モータ1の駆動条件に応じて,目的関数(数5)の値を設定する
(2) スイッチング位相角αkを変化させる
(3) スイッチング位相角αkを(数5)に代入し,演算する
(4) (1)で設定した値になるまで,(2)(3)の手順を繰り返す
(5) スイッチング位相角αkに基づき,信号波のオフセット量A*を演算する
(6) オフセット量A*を用いて,信号波の振幅がピークとなる位相90, 270degおよび,傾きが大きくなる位相0,180degを含むキャリア波1周期内(以下,ピーク位相領域およびゼロクロス位相領域)にオフセット補正し,図1に示す補正信号波Vu2*,Vv2*,Vw2*を生成する
(7) 補正信号波とキャリア波を基にパルス電圧を生成し,交流モータ1に印加する
以上の手順によって生成されたパルスパターンを図8に示す。この結果,図8(cに示すとおり,基本波成分を固定したまま,高次の電圧高調波Vnを低減することができるため,(数2)に示す高調波損失Whの低減が可能となる。
【0037】
以上により,本実施例において,高調波損失Whを低減あるいは最小化できる。以下,本発明に関して補足する。
【0038】
オフセット量A*の演算は,全て実施する必要はなく,一部省略しても良い。例えば,
(1) 変調率Kh <1の場合
(2) キャリア周波数fcが基本波周波数f1と同期している場合
においては,オフセット量A*を0とする。これは,上記の場合においては高調波損失が小さいためである。前述した条件で一部機能を省略することで,マイコンの演算負荷は低減される。
【0039】
図9に,ゼロクロス位相領域でのスイッチング幅α’と,ピーク位相領域でのスイッチング幅αの関係を示す。本図9(a)および図9(b)より,基本波振幅A1を固定するためには,スイッチング位相角αkは,(数8)の関係を持つように設定される必要がある。
【0040】
【数8】
【0041】
図10に,本実施例による効果を示す。本図10(a)および図10(b)では,従来手法と本発明において,電圧高調波Vnが等しいにも関わらず,高調波損失Whを低減できている。また,図10(c)および図10(d)では,電圧高調波Vnの実効値が増加しているにも関わらず,高調波損失Whを低減できている。
【実施例2】
【0042】
図11は,実施例2の構成図である。本実施例は,実施例1を交流モータ1の駆動システムに適用したものである。図11において,実施例1と同一である部分の説明は省略する。本実施例においては,コンピュータ10,などの上位装置により,速度指令F*を設定できるようになっている。
【0043】
本実施例によって,高精度速度制御特性を実現することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…交流モータ
2…インバータ
3…キャリア波生成部
4…信号波生成部
5…オフセット量演算部
6…加算部
7…PWM発生部
8…V/f制御部
9…ベクトル制御部
10…コンピュータ
VDC…直流電圧
Vu,Vv,Vw…U相パルス電圧,V相パルス電圧,W相パルス電圧
Vu1*,Vv1*,Vw1*…U相信号波,V相信号波,W相信号波
Vuv…線間電圧
Vu2*,Vv2*,Vw2*…U相補正信号波,V相補正信号波,W相補正信号波
Vc*…キャリア波
V1*…電圧指令
Vn…電圧高調波
Guu,Gup…U相ゲート信号
Gvu,Gvp…V相ゲート信号
Gwu,Gwp…W相ゲート信号
θ…電圧位相
F*…速度指令
f1*…周波数指令
f…駆動周波数
fc…キャリア波周波数
Iu,Iv,Iw…U相電流,V相電流,W相電流
Tc…キャリア波周期
T1…信号波周期
T…キャリア波と信号波の最小公倍数分の周期
In…電流高調波
Z…交流モータのインピーダンス
L…交流モータのインダクタンス
K…損失係数
n…高調波次数
Wh…高調波損失
V1…基本波振幅
θ1…基本波位相
A*…オフセット量
αk…スイッチング位相角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11