(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の土壌改質剤では、ケイ酸の溶出性を高めるために、スラグを加熱溶融して急冷することにより非晶質にする処理が行われている。このように、非晶質にするために加熱溶融して急冷するような処理を行うと、製造コストが増加する可能性がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、製造コストをより低減可能な作物用の土壌改良材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る土壌改良材は、作物用の土壌改良材であって、シラス粉末を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る土壌改良材において、前記シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上132.0μm以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る土壌改良材において、前記シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上54.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上103.0μm以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る土壌改良材において、前記シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が7.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が53.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が102.0μm以上132.0μm以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る土壌改良材において、前記作物用は、稲作用であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の作物用の土壌改良材によれば、主成分がSiO
2からなり、非晶質成分を多く含むシラス粉末を用いているので、非晶質化するための処理が不要であり、製造コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。作物用の土壌改良材は、シラス粉末を含んで構成されている。作物用には、稲を栽培する稲作用や、野菜や穀類を栽培する畑作物用等が含まれる。
【0014】
まず、シラス粉末の原料であるシラスについて説明する。シラスは、シラス台地を形成しているものである。シラス台地は、日本国の鹿児島県から宮崎県南部にかけて最大150mの厚さになっている。シラス台地は、大量の火砕流として一気に堆積したものであるので、他の土と混ざることなく厚い地層を形成している。シラスは、マグマの状態から超高温で焼成された高純度の無機質セラミック物質で構成されている。シラスは、火山ガラスを主成分とし、非晶質分を60質量%から80質量%含む多孔質のものである。
【0015】
シラスの化学組成は、質量比で、65%から73%のSiO
2と、12%から18%のAl
2O
3と、1%から3%のFe
2O
3と、2%から4%のCaOと、3%から4%のNa
2Oと、2%から3%のK
2Oと、1%以下のMgOと、1%以下のTiO
2と、2%から5%の強熱減量(水分等)と、から構成されている。このように、シラスは、主成分がSiO
2からなり、多くの非晶質成分を含んでいる。シラス粉末は、原料のシラスをふるい分けや粉砕等して形成される。
【0016】
シラス粉末は、水と混合した場合でも懸濁水が中性となるので、中性の土壌でもケイ酸を溶出することが可能になると共に、土壌汚染を防止することができる。後述する実施例で明らかとなるように、シラス粉末と水とを混合させた懸濁水は、pHが7.0であり中性を示す。また、シラス粉末の粒度分布を変えた場合でも、シラス粉末と水とを混合させた懸濁水は、pHが7.0であり中性となる。これに対して、スラグを原料とするケイカル等では、スラグに含まれるアルカリ分の含有率が大きいので(例えば、CaOの含有率が約30質量%から65質量%)、水と混合するとアルカリ分が多く溶出してアルカリ性を示す可能性がある。また、スラグを原料とするケイカル等では、粒径を小さくすると、アルカリ分の溶出量が更に多くなり、より強いアルカリ性を示す場合がある。このように、スラグを原料とするケイカル等は、土壌をアルカリ性にして汚染する可能性があるが、土壌改良材にシラス粉末を用いた場合には、土壌汚染を防止することができる。
【0017】
シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上132.0μm以下であることが好ましい。シラス粉末の粒度分布をこの範囲とすることにより、シラス粉末のケイ酸溶出量を大きくすることが可能となり、例えば、中性リン酸緩衝液抽出法による測定で、280(mg/kg)から350(mg/kg)とすることができるからである。また、シラス粉末の粒度分布が、この範囲より小さい側である場合や、この範囲より大きい側である場合には、シラス粉末のケイ酸溶出量が低下するからである。
【0018】
シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上54.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上103.0μm以下であってもよい。シラス粉末の粒度分布をこの範囲とすることにより、シラス粉末のケイ酸溶出量をより大きくすることが可能となり、例えば、中性リン酸緩衝液抽出法による測定で、330(mg/kg)から350(mg/kg)とすることができる。
【0019】
シラス粉末の粒度分布は、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が7.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が53.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が102.0μm以上132.0μm以下であってもよい。シラス粉末の粒度分布をこの範囲とすることにより、シラス粉末のケイ酸溶出量を大きくすることができると共に、シラス粉末の粒径が比較的大きいので作物に散布し易くなるからである。シラス粉末の粒度分布をこの範囲とすることにより、シラス粉末のケイ酸溶出量を、例えば、中性リン酸緩衝液抽出法による測定で、280(mg/kg)から330(mg/kg)とすることができる。
【0020】
シラス粉末の粒度分布測定方法については、レーザー散乱・回折式粒度分布測定法等の一般的な粒度分布測定方法を用いることが可能である。また、上記のシラス粉末の粒度分布については、いずれも体積基準で表している。
【0021】
土壌改良材は、シラス粉末から構成されていてもよいし、シラス粉末と他の材料とを含めて構成されるようにしてもよい。土壌改良材がシラス粉末のみから構成されている場合には、製造コストをより低減することができる。
【0022】
次に、土壌改良材の製造方法について説明する。まず、シラス粉末の形成方法について説明する。
図1は、シラス粉末の形成方法を示すフローチャートである。
【0023】
1次ふるい分け工程(S10)は、原料のシラスを1次ふるい分けして分別する工程である。原料のシラスには、例えば、宮崎県産や鹿児島県産の南九州産のシラス等を用いることができる。1次ふるい分けには、例えば、目開きが8mmのふるい等を使用することが可能である。
【0024】
乾燥工程(S12)は、1次ふるい分けでふるいを通過した1次シラス粉末を乾燥させる工程である。原料のシラスには水分が多く含まれているために、1次シラス粉末を乾燥する。1次シラス粉末の乾燥については、天日干しや乾燥機等で行うことが可能である。
【0025】
2次ふるい分け工程(S14)は、乾燥させた1次シラス粉末を2次ふるい分けして分別する工程である。2次ふるい分けには、例えば、目開きが250μm、2mmのふるい等を使用することが可能である。
【0026】
3次ふるい分け工程(S16)は、2次ふるい分けでふるいを通過した2次シラス粉末を3次ふるい分けして分別する工程である。2次ふるい分け工程(S14)で、例えば、目開きが250μmのふるいを用いた場合には、3次ふるい分けには、目開きが10μm、43μm、106μmのふるい等を使用することが可能である。また、2次ふるい分け工程(S14)で、例えば、目開きが2mmのふるいを用いた場合には、3次ふるい分けには、目開きが710μmのふるい等を使用することが可能である。このようにして、粒度調整を行うことにより所定の粒度分布のシラス粉末が形成される。
【0027】
シラス粉末の形成については、原料のシラスを粉砕せずに原形のまま(非粉砕)でふるい分けしてもよいし、原料のシラスを粉砕機等で粉砕し、ふるい分けしてもよい。ふるい、乾燥機、粉砕機等については、一般的なセラミックス粉末に用いられるものを適用可能である。なお、原料のシラスを粉砕せずに原形のまま(非粉砕)でふるい分けして形成する場合には、粉砕処理の工程が不要となるので、製造コストをより低減することができる。
【0028】
土壌改良材がシラス粉末からなる場合には、土壌改良材は、所定の粒度分布に調整されたシラス粉末のみで構成される。土壌改良材が、シラス粉末と他の材料とを含んで構成される場合には、土壌改良材は、所定の粒度分布に調整されたシラス粉末と、他の材料とを混合機で混合等して製造される。
【0029】
土壌改良材の使用方法については、田畑等の土壌に、土壌改良材を散布等することにより行うことが可能である。
【0030】
上記構成の土壌改良材によれば、主成分がSiO
2からなり、非晶質成分を多く含むシラス粉末を用いているので、ケイ酸の溶出性を高めるために非晶質化するための処理が不要であり、製造コストを低減することが可能となる。また、シラス粉末は、主成分がSiO
2からなり、非晶質成分を多く含むので、作物にケイ酸をより多く供給することができる。このため、上記構成の土壌改良材は、ケイ素をより多く必要とする稲作用等に好適である。
【0031】
上記構成の土壌改良材によれば、シラス粉末と水とを混合して得られる懸濁水が中性であることから、中性の土壌に対してもケイ酸を供給可能であると共に、田畑等の土壌に散布等した場合でも土壌汚染を防止することができる。また、稲作用の土壌は、稲の生育のために略中性であることが好ましいことから、上記構成の土壌改良材を好適に用いることができる。
【0032】
上記構成の土壌改良材によれば、シラス粉末の粒度分布を、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上132.0μm以下とすることにより、ケイ酸の溶出量をより大きくすることが可能となる。
【実施例】
【0033】
土壌改良材を作製し、ケイ酸溶出特性等について評価した。
【0034】
(原料のシラス)
原料は、高千穂シラス株式会社のシラスを使用した。原料のシラスの化学組成は、質量比で、67.8%のSiO
2と、15.1%のAl
2O
3と、3.7%のNa
2Oと、2.2%のCaOと、2.5%のFe
2O
3と、2.2%のK
2Oと、0.27%のTiO
2と、0.06%のMnOと、0.58%のMgOと、0.03%のP
2O
5と、0.20%のSO
3と、0.001%未満のCl
−(塩化物イオン)と、2.7%の強熱減量と、から構成されている。
【0035】
SiO
2については、凝集重量吸光光度併用法により測定した。Al
2O
3、Fe
2O
3、TiO
2、CaO、MgO、Na
2O、K
2O、MnO、及びP
2O
5については、フッ化水素酸、硝酸、過塩素酸分解―ICP発光分析法により測定した。Cl
−については、環境庁告示第13号に準じた溶出を行い、検液をイオンクロマトグラフ法で測定した。強熱減量については、JIS R5202により測定した。
【0036】
(土壌改良材の作製)
原料のシラスを用いて実施例1から6の土壌改良材を作製した。実施例1から6の土壌改良材は、いずれもシラス粉末から構成されている。
【0037】
まず、実施例1の土壌改良材の作製方法について説明する。原料のシラスを1次ふるい分けして分別した。ふるいには、目開きが8mmのものを使用した。ふるいを通過した1次シラス粉末(8mmアンダーのシラス粉末)を天日干しで乾燥させた。乾燥させた1次シラス粉末の含水率は、約0.9%である。乾燥させた1次シラス粉末を2次ふるい分けして分別した。ふるいには、目開きが250μmのものを使用した。ふるいを通過した2次シラス粉末(250μmアンダーのシラス粉末)を、高圧コンプレッサを備えた粉砕装置で粉砕した。粉砕圧については、1.1MPaとした。粉砕した粉末を、3次ふるい分けして分別した。ふるいには、目開きが10μmのものを使用した。実施例1の土壌改良材については、このふるいを通過した3次シラス粉末(10μmアンダーのシラス粉末)から構成した。
【0038】
次に、実施例2から4の土壌改良材の作製方法について説明する。実施例2から4の土壌改良材の作製方法については、実施例1の土壌改良材の作製方法と、2次シラス粉末(250μmアンダーのシラス粉末)の形成までは同じである。実施例2の土壌改良材では、2次シラス粉末(250μmアンダーのシラス粉末)を粉砕せずに、3次ふるい分けして分別した。実施例2の土壌改良材については、目開きが43μmのふるいを通過した3次シラス粉末(43μmアンダーのシラス粉末)から構成した。実施例3の土壌改良材では、2次シラス粉末(250μmアンダーのシラス粉末)を粉砕せずに、3次ふるい分けして分別した。実施例3の土壌改良材については、目開きが106μmのふるいを通過した3次シラス粉末(106μmアンダーのシラス粉末)から構成した。実施例4の土壌改良材については、3次ふるい分けを行わずに、目開きが250μmのふるいを通過した2次シラス粉末(250μmアンダーのシラス粉末)から構成した。
【0039】
次に、実施例5から6の土壌改良材の作製方法について説明する。実施例5から6の土壌改良材の作製方法については、実施例1の土壌改良材の作製方法と、1次シラス粉末(8mmアンダーのシラス粉末)の乾燥までは同じである。実施例5から6の土壌改良材では、乾燥させた1次シラス粉末(8mmアンダーのシラス粉末)を2次ふるい分けして分別した。ふるいには、目開きが2mmのものを使用した。実施例5の土壌改良材では、2次シラス粉末(2mmアンダーのシラス粉末)を粉砕せずに、3次ふるい分けして分別した。実施例5の土壌改良材については、目開きが710μmのふるいを通過した3次シラス粉末(710μmアンダーのシラス粉末)から構成した。実施例6の土壌改良材については、3次ふるい分けを行わずに、目開きが2mmのふるいを通過した2次シラス粉末(2mmアンダーのシラス粉末)から構成した。このように、実施例1から6の土壌改良材は、シラス粉末のみから構成されており、実施例2から6の土壌改良材では、原料シラスを粉砕せずに原形のまま(非粉砕)でふるい分けして形成した。
【0040】
比較例1の土壌改良材として、市販されているJA全農の粒状ケイカルを用いた。ケイカルの原料は、鉄や合金鉄等を製錬するときに生成するスラグ(鉱さい)から構成されている。例えば、製鉄スラグでは、CaOが35質量%から45質量%含有されている。
【0041】
(pH測定)
各土壌改良材と水とを混合して得られた懸濁水について、ガラス電極法によりpH測定を行った。実施例1から6の土壌改良材を用いた懸濁水のpHは、いずれも7.0であった。比較例1の土壌改良材を用いた懸濁水のpHは、10.5であった。この結果から、比較例1の土壌改良材を用いた場合には、高アルカリ性になるのに対して、実施例1から6の土壌改良材を用いた場合には、中性となることがわかった。また、実施例1から6の土壌改良材を用いた懸濁水のpHは7.0であり、粒度分布を変えた場合でも中性であることが明らかになった。
【0042】
(粒度分布測定)
実施例1から6の土壌改良材について粒度分布を測定した。実施例1から6の土壌改良材の粒度分布については、レーザー散乱・回折式粒度分布測定法により体積基準で求めた。実施例1から4の土壌改良材の粒度分布については、シーラス(CILAS)社のCILAS 1064型粒度分布測定装置を使用した。実施例5から6の土壌改良材の粒度分布については、(株)セイシン企業社のLMS−2000e型粒度分布測定装置を使用した。なお、粒度分布測定では、試料を超音波分散により分散させて測定した。
図2は、各土壌改良材の粒度分布測定結果を示す図である。
【0043】
実施例1の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が1.3μmであり、50%累積粒径(D
50)が6.5μmであり、90%累積粒径(D
90)が18.0μmであった。
【0044】
実施例2の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.5μmであり、50%累積粒径(D
50)が27.0μmであり、90%累積粒径(D
90)が54.8μmであった。
【0045】
実施例3の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が7.5μmであり、50%累積粒径(D
50)が53.8μmであり、90%累積粒径(D
90)が102.3μmであった。
【0046】
実施例4の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が7.3μmであり、50%累積粒径(D
50)が61.4μmであり、90%累積粒径(D
90)が132.0μmであった。
【0047】
実施例5の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が8.1μmであり、50%累積粒径(D
50)が101.3μmであり、90%累積粒径(D
90)が349.9μmであった。
【0048】
実施例6の土壌改良材の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が11.0μmであり、50%累積粒径(D
50)が134.1μmであり、90%累積粒径(D
90)が938.2μmであった。
【0049】
(ケイ酸溶出量の測定)
実施例1から6の土壌改良材について、中性リン酸緩衝液抽出法によりケイ酸溶出量の測定を行った。まず、中性リン酸緩衝液抽出法による測定方法を説明する。中性リン酸緩衝液(0.02mol/L、pH=7)を用い、試料重量:抽出液比が1:10、40℃加温条件で、初期と途中の合計6回の混合撹拌による5時間抽出を行った。中性リン酸緩衝液には、0.02MのNaH
2PO
4と、0.02MのNa
2HPO
4の1:1混合液を用いた。静置した抽出液の上澄み液をフィルタ(0.45μm)でろ過し、ケイ素をICP発光分光法により分析した。
【0050】
図3は、各土壌改良材のケイ酸溶出量の測定結果を示すグラフである。
図3のグラフでは、横軸に実施例1から6の各土壌改良材を取り、縦軸にケイ酸溶出量を取り、実施例1から6の各土壌改良材のケイ酸溶出量を黒菱形で表している。ケイ酸溶出量については、実施例1の土壌改良材が94(mg/kg)であり、実施例2の土壌改良材が350(mg/kg)であり、実施例3の土壌改良材が330(mg/kg)であり、実施例4の土壌改良材が280(mg/kg)であり、実施例5の土壌改良材が220(mg/kg)であり、実施例6の土壌改良材が210(mg/kg)であった。なお、ケイ酸溶出量の単位(mg/kg)については、1kg当たりの土壌改良材に対するケイ酸の溶出量(mg)を表している。
【0051】
実施例2から4の土壌改良材では、他の実施例1、5、6の土壌改良材よりケイ酸溶出量が大きくなった。実施例2から3の土壌改良材では、実施例4の土壌改良材よりもケイ酸溶出量が更に大きくなった。これに対して実施例1の土壌改良材では、他の実施例の土壌改良材よりもケイ酸溶出量が小さくなった。実施例5、6の土壌改良材では、実施例1の土壌改良材よりケイ酸溶出量が大きくなり、実施例2から4の土壌改良材よりケイ酸溶出量が小さくなった。
【0052】
この結果から、土壌改良材におけるシラス粉末の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上62.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上132.0μm以下である場合には、ケイ酸溶出量を大きくすることが可能となることがわかった。また、シラス粉末の粒度分布が、この範囲より小さい側である場合や、この範囲より大きい側である場合には、ケイ酸溶出量が低下することがわかった。更に、土壌改良材におけるシラス粉末の粒度分布については、累積粒度分布の10%累積粒径(D
10)が3.0μm以上8.0μm以下であり、50%累積粒径(D
50)が27.0μm以上54.0μm以下であり、90%累積粒径(D
90)が54.0μm以上103.0μm以下である場合には、ケイ酸溶出量をより大きくすることが可能となることがわかった。