【実施例】
【0022】
先ず、実施例の構成について説明する。
図1は、実施例の温調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0023】
この建物1は、基礎底盤コンクリート1bと、その側縁に立設された基礎側壁コンクリート1cと、さらにその上に立設された外壁部1dと、その外壁部1dの上端開口を塞ぐ天井部1eとから主に構成されている。
そして、この天井部1eと外壁部1dとに囲まれる空間は、床としての床部1aによって床下空間2と居室などの屋内空間としての床上空間3とが区切られている。
【0024】
ここで、屋内空間としての床上空間3内の天井の略中央には、天井埋込型の吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4が設置されている。
また、床上空間3内の左右の壁の上部には、熱放射パネル5がそれぞれ設置されている。
なお、これら熱放射パネル5,5の表面は、特に床上空間3の中央部がより重点的に温調されるように床上空間3の中心部に向けて傾斜させている。
【0025】
また、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4及び熱放射パネル5は、ヒートポンプ式のものであり、建物1の屋外に設置した共通のヒートポンプ装置6に、熱媒循環管41,51をそれぞれ介して接続されている。
なお、熱媒循環管41,51は、実際には、往路管と復路管とがあるが、見易いようにそれぞれ1本の管のみで示した。
また、熱媒循環管41内の熱媒には、代替フロンが用いられ、熱媒循環管51内の熱媒には、水が用いられている。
【0026】
さらに、図示は省略したが、エアコンディショナー4には、温調空気(暖気又は冷気)が横方向に吹き出すように吹出口が設けられている。
【0027】
そして、コントローラ7を操作して運転を開始させると、
図2に示したように、熱放射パネル5,5の運転立ち上がり時の所定時間(例えば10分間)のみ温調空気(暖気又は冷気)を吹き出し、熱放射パネル5,5の表面にあたるように、図示省略の制御部により制御される。
【0028】
その後、
図3に示したように、屋内空間としての床上空間3は、熱放射パネル5,5から放射される熱(温熱又は冷熱)のみにより温調(暖房又は冷房)される。
【0029】
なお、この実施例の温調システムは、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4の気流感を好む人のニーズにもこたえるように、エアコンディショナー4のみにより温調する運転モードと、エアコンディショナー4による温調と熱放射パネル5,5による温調とを複合した運転モードも備えている。
これらの運転モードは、コントローラ7を操作することにより切り替えることができる。
【0030】
次に、実施例の作用効果について説明する。
このような実施例の温調システムは、建物1の屋内空間としての床上空間3内に、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4と、熱放射パネル5,5とを備えており、エアコンディショナー4は、床上空間3の天井に設置されており、熱放射パネル5,5は、床上空間3の壁の上部に設置されており、エアコンディショナー4と熱放射パネル5,5とは、エアコンディショナー4から吹き出される温調空気が、熱放射パネル5,5の熱放射を行うための表面にあたる配置関係とされた構成とされている。
【0031】
上記した構成なので、熱放射パネル5,5は、屋内空間としての床上空間3の壁の上部に設置されているため、熱放射パネル5,5が床上空間3内の有効スペースを占有することがない。
そのうえ、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4から吹き出される温調空気が、熱放射パネル5,5の熱放射を行うための表面にあたるため、熱放射パネル5,5からの放熱が促進されて放熱量が大きくなり、屋内空間としての床上空間3の温調の立ち上がり時間を短縮することができる。
【0032】
ここで、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4は、天井内に埋め込まれる天井埋込型のものである。
このため、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4が屋内空間としての床上空間3にほとんど露出しないので、意匠的外観が良い。
【0033】
また、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4及び熱放射パネル5,5は、ヒートポンプ式のものである。
このため、ヒートポンプを用いるので、省エネルギー性能に優れたものとすることができる。
【0034】
さらに、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4及び熱放射パネル5,5は、共通のヒートポンプ装置6に接続されている。
このため、共通のヒートポンプ装置6を用いるので、制御構造を簡易なものとすることができる。
【0035】
また、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4は、熱放射パネル5,5の運転立ち上がり時の所定時間のみ温調空気を吹き出すように制御される。
このため、熱放射パネル5,5の運転立ち上がり時の所定時間のみ温調空気を吹き出すので、気流感による不快感がほとんど無くて済む。
【0036】
このような実施例の建物1は、上記した実施例の温調システムを備えた構成とされている。
【0037】
上記した構成なので、上記した実施例の温調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【0038】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0039】
例えば、上記した実施例では、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4を天井に埋め込んで設置し実施したが、これに限定されず、天井に吊って設置し実施してもよいし、壁の上部に設置し実施してもよい。
すなわち、吹出型空調装置としてのエアコンディショナー4と熱放射パネル5,5とが、エアコンディショナー4から吹き出される温調空気が、熱放射パネル5,5の熱放射を行うための表面にあたる配置関係とされていればよい。
【0040】
また、上記した実施例では、熱放射パネル5,5を壁の上部に設置して実施したが、これに限定されず、天井に設置して実施してもよい。
【0041】
さらに、上記した実施例では、説明が簡単となるように、熱放射パネル5を、左右の壁の上部に1枚ずつ設置して実施したが、これに限定されず、実際には、必要な枚数を設置して実施される。
【0042】
また、上記した実施例では、比較的広い屋内空間としての床上空間3に実施する場合を示したが、より狭い床上空間3では、
図4に示したように、片側のみに熱放射パネル5を設置して実施してもよい。