(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1係合部、前記固定具、および前記第2係合部のそれぞれに、前記ベース部に着脱可能に立設されているピンを挿通可能な基準取付け用孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のキャリッジ。
前記治具、および前記ベース部の前記治具が配置される箇所の何れか一方に前記第2方向に沿うスライド溝が形成されていると共に、他方に該スライド溝内をスライド移動可能に嵌るスライド凸部が形成されており、
前記治具は、前記第2係合部を受け入れる凹部を有していると共に、前記ベース部に着脱可能に立設されているピンを挿通可能な挿通孔を有しており、
前記挿通孔は、前記治具の前記第2方向へのスライド移動を許容するように長円形状に形成されていることを特徴とする請求項4また請求項5に記載のキャリッジ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、摺接部材と液体噴射ヘッドの相対位置を高精度に決めないとキャリッジに対する液体噴射ヘッドの取り付け位置精度が低下してしまう。このため、摺接部材を高精度に加工する必要があり、この分加工コストが嵩んでしまうという課題がある。また、キャリッジに対する液体噴射ヘッドの平面方向の角度調整(以下、θ調整という)は行えるが、キャリッジに対する液体噴射ヘッドの長手方向や短手方向の調整を行うことが困難であるという課題がある。
【0007】
一方、特許文献2では、キャリッジに対する液体噴射ヘッドの位置決め構造が複雑になり、製造コストが嵩んでしまうという課題がある。また、キャリッジに対する液体噴射ヘッドの長手方向や短手方向の位置調整が行えるが、キャリッジに対する液体噴射ヘッドのθ調整を行うことが困難であるという課題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構造で液体噴射ヘッドのθ調整だけでなく、液体噴射ヘッドの長手方向の調整も行うことができるキャリッジおよび液体噴射記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るキャリッジは、第1方向に走査可能に設けられたベース部と、前記ベース部に取り付けられ、前記第1方向と交差すると共に前記ベース部の面方向に沿う第2方向に長くなるように形成された支持プレートを有する液体噴射ヘッドと、前記支持プレートの前記第2方向一端側に設けられた第1係合部と、前記ベース部に対して前記第1方向にスライド移動可能に設けられていると共に、前記第1係合部に係合されており、前記ベース部に対して前記支持プレートを位置決め固定するための固定具と、を備え、前記支持プレートは、前記ベース部の一面に該一面に沿って回動可能に支持されており、前記固定具は、該固定具に対する前記第1係合部の前記第2方向への移動を許容しており、且つ前記固定具に対する前記第1係合部の前記第1方向への移動、および前記第1係合部の前記ベース部の厚さ方向への移動を規制していることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、簡素な構造でキャリッジに対する液体噴射ヘッド(支持プレート)のθ調整を行うことができると共に、液体噴射ヘッドの第2方向(長手方向)の調整も行うことができる。
【0011】
本発明に係るキャリッジにおいて、前記第1係合部は、前記厚さ方向に沿う直線を中心とする円形状に形成された円形部を備えていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、固定具をスライド移動させた際、この固定具に追随しながら支持プレートの第2方向一端側(第1係合部)を固定具に対してスムーズに回動させることができる。
【0013】
本発明に係るキャリッジにおいて、前記支持プレートは、前記第2方向他端側が前記ベース部に回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0014】
このように、支持プレートの第2方向他端側を回動中心とし、この回動中心とは反対側の第2方向一端側で支持プレートの回動方向の調整を行うように構成することで、支持プレートの回動方向における微調整を容易に行うことができる。また、回動中心と作用点(第1係合部)との間の距離を十分に確保することができるので、僅かな力で支持プレートを回動させることができ、調整作業し易くできる。
【0015】
本発明に係るキャリッジは、前記支持プレートの前記第2方向他端側に設けられた第2係合部と、前記ベース部に対して着脱可能に設けられ、且つ前記ベース部に対して前記第2方向にスライド移動可能に設けられていると共に、前記第2係合部に係合されており、前記ベース部に対する前記支持プレートの位置決めを行うための治具と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、キャリッジに対する液体噴射ヘッドの第2方向(長手方向)の調整を、より行い易くすることができる。
【0017】
本発明に係るキャリッジは、前記第1係合部、前記固定具、および前記第2係合部のそれぞれに、前記ベース部に着脱可能に立設されているピンを挿通可能な基準取付け用孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、ピンを用いてベース部に対する液体噴射ヘッドの粗位置決めを容易に行うことができる。粗位置決めされている状態からベース部に対する液体噴射ヘッドの位置調整を行うことにより、位置調整作業をさらに容易に行うことが可能になる。
【0019】
本発明に係るキャリッジは、前記治具、および前記ベース部の前記治具が配置される箇所の何れか一方に前記第2方向に沿うスライド溝が形成されていると共に、他方に該スライド溝内をスライド移動可能に嵌るスライド凸部が形成されており、前記治具は、前記第2係合部を受け入れる凹部を有していると共に、前記ベース部に着脱可能に立設されているピンを挿通可能な挿通孔を有しており、前記挿通孔は、前記治具の前記第2方向へのスライド移動を許容するように長円形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、簡素な構造で、治具に対する第2係合部の第2方向への移動、およびキャリッジに対する支持プレートの回動を許容しつつ、治具に対する第2係合部の第1方向への移動を規制することができる。
【0021】
本発明に係るキャリッジにおいて、前記固定具は、前記ベース部に螺入されるねじを挿通可能な第1溝部と、前記第1係合部を受け入れる第2溝部と、を有しており、前記第1溝部は、前記ねじに対し、前記固定具を前記第1方向にスライド移動可能、且つ前記第2方向にスライド移動不能とするように、前記第1方向に長く形成されており、前記第2溝部は、前記固定具に対し、前記第1係合部が前記第2方向にスライド移動可能、且つ前記第1方向にスライド移動不能とするように、前記第2方向に長く形成されていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、簡素な構造で、固定具に対する第1係合部の第2方向への移動、および固定具に対する第1係合部の回動を許容しつつ、固定具に対する第1係合部の第1方向への移動を規制することができる。
【0023】
本発明に係る液体噴射記録装置は、上記に記載のキャリッジと、前記キャリッジに搭載される液体噴射ヘッドと、前記キャリッジおよび前記液体噴射ヘッドを走査させる走査手段と、前記液体を収容する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドと前記液体収容体との間に敷設され、液体を流通させる液体供給管と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
このように構成することで、簡素な構造でキャリッジに対する液体噴射ヘッド(支持プレート)のθ調整を行うことができると共に、液体噴射ヘッドの第2方向(長手方向)の調整も行うことが可能な液体噴射記録装置を提供できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡素な構造でキャリッジに対する液体噴射ヘッド(支持プレート)のθ調整を行うことができると共に、液体噴射ヘッドの第2方向(長手方向)の調整も行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、液体としてインクを噴射することにより、被記録媒体に記録を行う液体噴射記録装置(液体噴射記録装置)を例に挙げて説明する。
【0028】
(液体噴射記録装置)
図1は、液体噴射記録装置1の斜視図である。
液体噴射記録装置1は、いわゆるインクジェットプリンタであって、紙等の被記録媒体Sを搬送する一対の搬送機構2,3と、被記録媒体Sにインク滴を噴射する液体噴射ヘッド4と、液体噴射ヘッド4にインクを供給する液体供給手段5と、液体噴射ヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向(主走査方向)と略直交する方向(副走査方向)に走査させる走査手段6と、を備えている。
【0029】
なお、以下の説明において、副走査方向をX方向、主走査方向をY方向、そしてX方向、およびY方向に共に直交する方向をZ方向として説明する。ここで、液体噴射記録装置1は、X方向、Y方向が水平方向となるように、かつZ方向が重力方向上下方向となるように載置して使用されるようになっている。
すなわち、液体噴射記録装置1を載置した状態では、被記録媒体S上を液体噴射ヘッド4が水平方向(X方向、Y方向)に沿って走査するように構成されている。また、この液体噴射ヘッド4から重力方向下方(Z方向下方)に向かってインク滴が噴射され、このインク滴が被記録媒体Sに着弾するように構成されている。
【0030】
一対の搬送機構2,3は、それぞれX方向に延びて設けられたグリッドローラ20,21と、グリッドローラ20,21のそれぞれに平行に延びるピンチローラ22,23と、詳細は図示しないがグリッドローラ20,21を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構と、を備えている。
【0031】
液体供給手段5は、インクが収容された液体収容体25と、液体収容体25と液体噴射ヘッド4とを接続する液体供給管26と、を備えている。液体収容体25は、複数設けられており、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクが収容されたインクタンク25Y,25M,25C,25Kが並べて設けられている。インクタンク25Y,25M,25C,25KのそれぞれにはポンプモータMが設けられており、インクを、液体供給管26を通じて液体噴射ヘッド4へ押圧移動できる。液体供給管26は、液体噴射ヘッド4を支持するキャリッジ62の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースから成る。
【0032】
なお、液体収容体25は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクが収容されたインクタンク25Y,25M,25C,25Kに限られるものではなく、さらに多色のインクを収容したインクタンクを備えていてもよい。
【0033】
走査手段6は、X方向に延びて設けられた一対のガイドレール60,61と、一対のガイドレール60,61に沿って摺動可能なキャリッジ62と、キャリッジ62をX方向に移動させる駆動機構63と、を備えている。駆動機構63は、一対のガイドレール60,61の間に配設された一対のプーリ64,65と、一対のプーリ64,65間に巻回された無端ベルト66と、一方のプーリ64を回転駆動させる駆動モータ67と、を備えている。
【0034】
一対のプーリ64,65は、一対のガイドレール60,61の両端部間にそれぞれ配設されており、X方向に間隔をあけて配置されている。無端ベルト66は、一対のガイドレール60,61間に配設されており、この無端ベルト66に、キャリッジ62が連結されている。
【0035】
キャリッジ62には、複数の液体噴射ヘッド4が取り付けられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ噴射する4つの液体噴射ヘッド4、すなわち液体噴射ヘッド4Y、4M、4C、4Kがキャリッジ62に取り付けられている。各液体噴射ヘッド4Y,4M,4C,4Kは、供給されるインクの色以外は何れも同一の構成からなるため、以下の説明では、まとめて液体噴射ヘッド4として説明する。
【0036】
(液体噴射ヘッド)
図2は、キャリッジ62に液体噴射ヘッド4を1つ取り付けた状態を示す斜視図、
図3は、液体噴射ヘッド4の斜視図である。なお、キャリッジ62には、実際は4つの液体噴射ヘッド4が取付られるが、説明を分かり易くするために、1つだけ液体噴射ヘッド4を取り付けた状態を示している(以下に用いる図についても同様)。
図2、
図3に示すように、液体噴射ヘッド4は、Z方向の下部にインク滴を吐出するヘッドチップ70を備え、且つこのヘッドチップ70のZ方向の上部にヘッド本体71を備え、全体としてY方向に長い略直方体状になっている。
【0037】
ヘッドチップ70は、Y方向に長い略直方体状のアクチュエータプレートと、このアクチュエータプレートのZ方向下端面に設けられたノズルプレート(何れも不図示)等により構成されている。アクチュエータプレートは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成されたプレートでありインクを充填可能な複数のチャネルを有している。各チャネルは、Y方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0038】
ノズルプレートは、ポリイミドや金属等のフィルム材からなるシート状とされている。ノズルプレートには、各チャネルに連通する複数のノズル孔が形成されている。すなわち、各ノズル孔は、Y方向に所定の間隔をあけて並ぶように形成されている。
そして、アクチュエータプレートに所望の駆動電圧を印加すると各チャネルの容積が変化し、これによって、各ノズル孔からインクが吐出される。
【0039】
ヘッド本体71は、液体供給管26(
図1参照)が接続された流体流通部や、ヘッドチップ70に所望の駆動電圧を印加するための制御部(何れも不図示)等を有している。そして、液体供給管26から流入されるインクが、液体流通部を通ってヘッドチップ70に供給される。液体流通部は、圧力緩衝器として機能しており、液体供給管26を介してインクが供給されると、インクを内部の貯留室内に一旦貯留した後、所定量のインクをヘッドチップ70に供給する。
【0040】
このような構成のもと、
図1、
図2に示すように、例えば、一対の搬送機構2,3により被記録媒体Sを搬送方向Yに搬送させながら、走査手段6によりキャリッジ62を介して各液体噴射ヘッド4を走査方向Xに往復移動させる。この間に、各液体噴射ヘッド4の各ノズル孔からインクを吐出する。この結果、被記録媒体Sに、4色のインクを利用して、文字や画像等の各種情報が記録される。
【0041】
(支持プレート)
ここで、液体噴射ヘッド4のヘッドチップ70には、支持プレート72が設けられている。この支持プレート72を介し、キャリッジ62に液体噴射ヘッド4が固定される。
支持プレート72は、ヘッドチップ70の周囲からX−Y平面に沿って張り出すように形成されY方向に長い長方形状のプレート本体73を有している。プレート本体73のY方向一端には、第1係合部74が延出形成されている。また、プレート本体73のY方向他端には、第2係合部75が延出形成されている。
【0042】
これら第1係合部74および第2係合部75は、キャリッジ62と支持プレート72(液体噴射ヘッド4)との位置決めを行い、且つキャリッジ62に支持プレート72を固定するためのものである。
第1係合部74は、プレート本体73のY方向一端で、且つX方向略中央からY方向一方に向かって延出する脚部76と、脚部76の先端に一体成形されている略円環状の頭部77と、により構成されている。頭部77は、外周面77aがプレート本体73の厚さ方向に沿う直線L1を中心とする円形状となるように形成されている。また、頭部77は、内周面77bがY方向に沿って若干長い長円形状となるように形成されている。
【0043】
内周面77bは、キャリッジ62と支持プレート72との相対位置を決定するための係合部側第1基準孔81として機能している。内周面77bは、キャリッジ62に液体噴射ヘッド4を取り付けた状態で、Z方向からみて後述のベースプレート(ベース部)10のベース側第1基準孔12とほぼ同じ位置になる。また、内周面77bの幅は、ベース側第1基準孔12の孔径とほぼ同一に設定されている。さらに、内周面77bの長さは、ベース側第1基準孔12の孔径よりも若干大きくなるように設定されている。なお、以下の説明では、内周面77bを係合部側第1基準孔81と称して説明する。
【0044】
一方、第2係合部75は、プレート本体73のY方向他端で、且つX方向略中央からY方向他方向かって延出形成されている。また、第2係合部75は、Y方向に長い略長方形状に形成されている。さらに、第2係合部75には、2つの貫通孔78,79がY方向に沿って並んで形成されている。第2係合部75のY方向他方側の貫通孔78は、後述のネジ91が挿通されるネジ孔として機能する。
【0045】
2つの貫通孔78,79のうち、もう一方の貫通孔79は、キャリッジ62と支持プレート72との相対位置を決定するための係合部側第2基準孔82として機能している。貫通孔79は、キャリッジ62に液体噴射ヘッド4を取り付けた状態で、Z方向からみてベースプレート10のベース側第2基準孔14とほぼ同じ位置になる。また、貫通孔79の孔径は、ベース側第2基準孔14の孔径とほぼ同一に設定されている。なお、以下の説明では、貫通孔79を係合部側第2基準孔82と称して説明する。
【0046】
(キャリッジ)
図4は、キャリッジ62のベースプレート10の斜視図である。
図2、
図4に示すように、キャリッジ62は、ベースプレート10を有している。このベースプレート10が、一対のガイドレール60,61に摺動可能に連結されていると共に、無端ベルト66(何れも
図1参照)に連結されている。
ベースプレート10には、Y方向に長い略長方形状の複数(例えば、本実施形態では4つ)の取付開口部11がX方向に並んで形成されている。取付開口部11は、ヘッドチップ70の外周面の形状よりも若干大きくなる程度に形成されている。
【0047】
そして、各取付開口部11には、各液体噴射ヘッド4のヘッドチップ70がZ方向上方から挿入される。すなわち、各液体噴射ヘッド4は、取付開口部11に対応するように、Y方向が長手方向となるように配置され、且つX方向に並んで配置される。
また、ベースプレート10には、各取付開口部11のY方向一方側で、且つ支持プレート72の第1係合部74(
図3参照)に対応する位置に、それぞれベース側第1基準孔12が形成されている。各ベース側第1基準孔12は、第1係合部74の第1基準孔81とZ方向(ベースプレート10の厚さ方向)で重なるように配置されている。さらに、各ベース側第1基準孔12を挟んでX方向両側に、雌ネジ部13が刻設されている。
【0048】
また、ベースプレート10には、Y方向他方側で、且つ支持プレート72の第2係合部75(
図3参照)に対応する位置に、雌ネジ部17が刻設されていると共に、ベース側第2基準孔14が形成されている。雌ネジ部17は、Z方向からみて第2係合部75の貫通孔78と同じ位置になるように配置されている。また、ベース側第2基準孔14は、Z方向からみて第2係合部75の係合部側第2基準孔82と同じ位置になるように配置されている。
さらに、ベースプレート10には、雌ネジ部17のベース側第2基準孔14とは反対側の他方に、ベース側第3基準孔15が形成されている。これらベース側第2基準孔14、およびベース側第3基準孔15の孔径と、ベース側第1基準孔12の孔径は、全て同一寸法に設定されている。
【0049】
また、雌ネジ部17、ベース側第2基準孔14、およびベース側第3基準孔15は、Y方向に沿って並んで配置されている。そして、これら雌ネジ部17、ベース側第2基準孔14、およびベース側第3基準孔15を挟んでX方向両側に、それぞれスライド溝16が形成されている。これらスライド溝16は、後述の治具40の移動方向を規制するためのものであって、Y方向に沿って長く形成されている。
このような構成のもと、キャリッジ62に対して支持プレート72(液体噴射ヘッド4)を、固定具30や治具40(
図7、
図8、
図9参照)を用いて位置決めを行う。そして、キャリッジ62に対して支持プレート72を固定し、この結果、キャリッジ62に液体噴射ヘッド4が取り付けられる。
【0050】
(固定具)
図5は、固定具30を斜め上方からみた斜視図、
図6は、固定具30を斜め下方からみた斜視図、
図7は、固定具30をZ方向上方からみた平面図である。
図2、
図5〜
図7に示すように、固定具30は、支持プレート72の第1係合部74に取り付けられている。固定具30は、ベースプレート10のベース側第1基準孔12、および雌ネジ部13を覆うように、X方向に若干長い直方体状に形成されている。
【0051】
固定具30のX方向略中央には、第1係合部74の係合部側第1基準孔81、およびベースプレート10のベース側第1基準孔12に連通する固定具側第1基準孔31が形成されている。固定具第1基準孔31の孔径は、第1係合部74の係合部側第1基準孔81の直径よりも大きく設定されている。このため、固定具第1基準孔31を介して、第1係合部74の係合部側第1基準孔81、およびこの係合部側第1基準孔81の周囲が露出する。
【0052】
また、固定具30のZ方向の上面30aには、X方向両側に、つまり、ベースプレート10の雌ネジ部13に対応する位置に、それぞれ第1溝部32が形成されている。これら第1溝部32は、雌ネジ部13に螺入されるネジ92を挿通可能なように、固定具30のX方向両端から切り込まれて形成されている。そして、第1溝部32は、Z方向平面視で略半長円形状に形成されている。
【0053】
また、第1溝部32は、固定具30のZ方向下部に配置された小溝32aと、固定具30のZ方向上部に配置され、小溝32aよりも幅広の大溝32bと、が連通形成されてなる。
一方、ネジ92は、いわゆる段付ネジとされている。すなわち、ネジ92は、先端に設けられた小径軸部92aと、小径軸部92aよりも段差により拡径形成された大径軸部92bと、大径軸部92bの小径軸部92aとは反対側の基端に設けられた頭部92cと、が一体成形されたものである。そして、小径軸部92aに雄ネジが刻設されており、大径軸部92bには、雄ネジが刻設されていない。
【0054】
小溝32aの溝幅は、ネジ92の大径軸部92bを挿通可能で、且つ頭部92cを挿通不能な溝幅に設定されている。一方、大溝32bの溝幅は、ネジ92の頭部92cを挿通可能な溝幅に設定されている。小溝32aの溝幅について詳述すると、大径軸部92bとの間に、微小な隙間を確保できる程度に設定されている。また、大溝32bの溝幅について詳述すると、ネジ92の頭部92cとの間に、微小な隙間を確保できる程度に設定されている。
このため、
図7に詳示するように、固定具30は、ベースプレート10に対し、X方向にスライド移動可能(
図7における矢印Y1参照)、且つY方向にスライド移動不能になっている。
【0055】
さらに、固定具30のZ方向の下面30bには、X方向略中央に、Y方向に沿って第2溝部33が形成されている。この第2溝部33に、支持プレート72の第1係合部74が挿通される。第2溝部33の溝幅は、第1係合部74における頭部77の外周面77aの直径とほぼ同程度に設定されている。
換言すれば、第2溝部33と第1係合部74の脚部76との間に十分な隙間を確保しつつ、Y方向に長い第2溝部33に、外周面77aが円形状の頭部77が嵌り込んだ形になっている。このため、
図7に詳示するように、第1係合部74(支持プレート72)は、固定具30に対し、Y方向にスライド移動可能(
図7における矢印Y2参照)、且つベースプレート10の面方向に沿って回動可能(
図7における矢印Y3参照)になっている。また、第1係合部74は、固定具30に対してX方向にスライド移動不能になっている。
【0056】
(治具)
図8は、キャリッジ62に固定具30と共に治具40を介して液体噴射ヘッド4を取り付けた状態を示す斜視図であって、前述の
図2に対応している。
図9は、治具40を斜め上方からみた斜視図である。
図10は、治具40を斜め下方からみた斜視図である。
図11は、治具40をZ方向上方からみた平面図である。
図8〜
図11に示すように、治具40は、支持プレート72の第2係合部75に取り付けられている。治具40は、ベースプレート10の雌ネジ部17、ベース側第2基準孔14、およびベース側第3基準孔15を覆うように、Y方向に若干長い直方体状に形成されている。
【0057】
治具40のZ方向の上面40aには、Y方向における液体噴射ヘッド4とは反対側(他方側)に、上面側凹部41が形成されている。この上面側凹部41のX方向略中央には、支持プレート72の第2係合部75に治具40を取り付けた際、ベースプレート10のベース側第3基準孔15に連通する治具側第3基準孔42が形成されている。
治具側第3基準孔42は、Y方向に沿って若干長い長円形状となるように形成されている。すなわち、治具側第3基準孔42の幅は、ベース側第3基準孔15の孔径とほぼ同一に設定されている。さらに、治具側第3基準孔42の長さは、ベース側第3基準孔15の孔径よりも若干大きくなるように設定されている。
【0058】
また、治具40の上面側凹部41よりも液体噴射ヘッド4側(Y方向一方側)には、下面40bのX方向略中央に、Y方向に沿って下面側凹部43が形成されている。これら上面側凹部41と下面側凹部43は、Y方向で連通している。
また、下面側凹部43には、支持プレート72の第2係合部75が挿通される。下面側凹部43のX方向の幅は、第2係合部75のX方向の幅よりもやや大きく設定されている。このため、
図11に詳示するように、下面側凹部43内において、第2係合部75の取付角度のズレ(Y方向およびX方向の若干の移動とベースプレート10の面方向に対する若干の回動;
図11における矢印Y4参照)が許容される。
【0059】
さらに、治具40には、第2係合部75の貫通孔78に対応する位置に、貫通孔44が形成されている。この貫通孔44は、後述のネジ91が挿通されるネジ孔として機能する。貫通孔44の孔径は、第2係合部75の貫通孔78の孔径よりも大きく、さらにネジ91の頭部91aの直径よりも大きく設定されている。このため、貫通孔44を介して、第2係合部75の貫通孔78、およびこの貫通孔78の周囲が露出する。
また、下面側凹部43には、第2係合部75の係合部側第2基準孔82に対応する位置に、この係合部側第2基準孔82に嵌合可能な凸部46が突設されている。凸部46は、係合部側第2基準孔82に対し、ほぼガタつくことなく嵌合するように形成されている。これにより、支持プレート72の第2係合部75と治具40とが高精度に位置決めされた状態で係合される。
【0060】
さらに、治具40のX方向両側には、これら両側全体からベースプレート10側に向かって突出するスライド凸部45が形成されている。これらスライド凸部45は、ベースプレート10のスライド溝16に嵌り込む。このため、
図11に詳示するように、治具40は、ベースプレート10に対し、Y方向にスライド移動可能(
図11における矢印Y5参照)、且つX方向にスライド移動不能に取り付けられる。
【0061】
(ベースプレートへの液体噴射ヘッドの位置調整および固定方法)
次に、
図12〜
図16に基づいて、ベースプレート10への液体噴射ヘッド4の位置調整および固定方法について説明する。
【0062】
(基準の固定方法)
まず、基準(初期)の固定作業について説明する。
図12は、ベースプレート10への液体噴射ヘッド4の基準の固定方法を示す斜視図である。
図13は、
図12のA矢視図である。
図12、
図13に示すように、まず、液体噴射ヘッド4の支持プレート72に設けられている第1係合部74(
図3参照)に固定具30をセットする。このとき、固定具30の第2溝部33に第1係合部74が挿入された状態にする。
【0063】
そして、ベースプレート10の各取付開口部11に、対応する液体噴射ヘッド4のヘッドチップ70を向け、ベースプレート10のZ方向上方から各取付開口部11のヘッドチップ70を挿入する。
続いて、ベースプレート10のベース側第1基準孔12(
図4参照)と、第1係合部74の係合部側第1基準孔81と、固定具30の固定具側第1基準孔31との位置がZ方向からみておおよそ同じ位置になるように、液体噴射ヘッド4の位置を粗調整する。これと同時に、ベースプレート10のベース側第2基準孔14と、支持プレート72の第2係合部75に形成されている係合部側第2基準孔82との位置がZ方向からみておおよそ同じ位置になるように、液体噴射ヘッド4の位置を粗調整する。
【0064】
続いて、ベース側第1基準孔12、係合部側第1基準孔81、および固定具側第1基準孔31に基準ピン93を挿入すると共に、ベース側第2基準孔14、および係合部側第2基準孔82に基準ピン93を挿入する。
【0065】
図14は、基準ピン93の斜視図である。
同図に示すように、基準ピン93は、ピン本体93aと、ピン本体93の先端に段差部93bを介して縮径形成された縮径部93cと、により構成されている。
ベース側第1基準孔12、係合部側第1基準孔81、および固定具側第1基準孔31では、ベース側第1基準孔12、係合部側第1基準孔81に、基準ピン93の縮径部93cが挿入され、固定具側第1基準孔31にピン本体93aが挿入される。そして、第1係合部74の頭部77に、基準ピン93の段差部93bが当接される。
また、ベース側第2基準孔14、および係合部側第2基準孔82には、基準ピン93の縮径部93cが挿入される。そして、第2係合部75に、基準ピン93の段差部93bが当接される。
【0066】
基準ピン93を挿入することにより、ベースプレート10(キャリッジ62)に対する支持プレート72(液体噴射ヘッド4)の基準位置(初期位置)が決定される。この状態で、
図10,12に示すように、固定具30の第1溝部32の上からネジ92を挿入し、このネジ92を、ベースプレート10の雌ネジ部13(
図4参照)に螺入する。
また、支持プレート72の第2係合部75の上から貫通孔78(
図3参照)にネジ91を挿入し、このネジ91をベースプレート10の雌ネジ部17(
図4参照)に螺入する。これにより、ベースプレート10に液体噴射ヘッド4が締結固定される。そして、2つの基準ピン93を抜去して液体噴射ヘッド4の基準の固定が完了する。
【0067】
ところで、上記のようなベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4の位置決め固定は、キャリッジ62や液体噴射ヘッド4等の各部品の製造精度によって決定される。このため、固定具30、治具40、および基準ピン93を用いて、ベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4の微調整を行う。
【0068】
(θ調整方法)
まず、ベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4のθ調整について説明する。
図15は、ベースプレート10への液体噴射ヘッド4のθ調整方法を示す説明図であって、前述の
図13に対応している。
同図に示すように、θ調整を行う際、まず、支持プレート72に設けられている第2係合部75の係合部側第2基準孔82、およびベースプレート10のベース側第2基準孔14に、基準ピン93を挿入する。これと同時に、各ネジ91,92を僅かに緩め、ガタつかない程度の仮止め状態にする。
【0069】
この状態では、
図7で示したように、ベースプレート10に対して固定具30をX方向のみにスライド移動させることができる(
図7、
図15における矢印Y1参照)。また、第1係合部74(支持プレート72)は、固定具30に対し、Y方向にスライド移動可能(
図7における矢印Y2参照)、且つベースプレート10の面方向に沿って回動可能(
図7における矢印Y3参照)になっている。さらに、第1係合部74は、固定具30に対してX方向にスライド移動不能になっている。
【0070】
このため、ベースプレート10に対して固定具30をスライド移動させると、固定具30に対し、第1係合部74が追随する形で移動しながら回動する。この結果、支持プレート72が、第2係合部75側の基準ピン93を中心に回動する(
図15における矢印Y6参照)。
これにより、θ調整が行われる。θ調整を行った後、再び各ネジ91,92を増し締めすることにより、ベースプレート10に液体噴射ヘッド4が締結固定され、θ調整が完了する。
【0071】
(Y方向調整)
次に、ベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4のY方向(ノズルプレートの長手方向)の調整について説明する。
図16は、ベースプレート10への液体噴射ヘッド4のY方向の調整方法を示す説明図であって、前述の
図13に対応している。
【0072】
同図に示すように、Y方向の調整を行う際、まず、支持プレート72の第2係合部75に治具40をセットする。このとき、治具40の下面側凹部43に第2係合部75が挿入された状態にする。また、治具40に形成されている貫通孔44(
図9参照)は、ネジ91の頭部91aの直径よりも大きく設定されているので、ネジ91が締結された第2係合部75の上から治具40をセットできる。さらに、第2係合部75の係合部側第2基準孔82に、治具40の凸部46を嵌合させる。
また、この治具40のセットと同時にネジ91を僅かに緩め、ガタつかない程度の仮止め状態にする。さらに、先のθ調整方法でネジ92を増し締めしたことにより、支持プレート72がY方向に移動しない状態である場合は、ネジ91だけでなくネジ92を僅かに緩め、ガタつかない程度の仮止め状態にする。この状態で、
図8、
図16に示すように、ベースプレート10のベース側第3基準孔15、および治具40の治具側第3基準孔42に、基準ピン93を挿入する。
【0073】
ここで、
図9、
図11に詳示するように、治具側第3基準孔42のX方向の幅は、ベース側第3基準孔15の孔径とほぼ同一に設定されている。さらに、治具側第3基準孔42のY方向の長さは、ベース側第3基準孔15の孔径よりも若干大きくなるように設定されている。
また、治具40のX方向両側には、これら両側全体からベースプレート10側に向かって突出するスライド凸部45が形成されている。そして、治具40は、ベースプレート10に対し、Y方向にスライド移動可能(
図11における矢印Y5参照)、且つX方向にスライド移動不能に取り付けられる。
しかも、固定具30側では、この固定具30に対して第1係合部74がY方向にスライド移動可能(
図7における矢印Y2参照)に保持されている。
【0074】
このため、θ調整を完了させたままの状態で、ベースプレート10に対して治具40を、Y方向に沿ってスライド移動させることができる。つまり、治具40をY方向に沿ってスライド移動させることにより、この治具40に係合された支持プレート72(液体噴射ヘッド4)を、θ調整を完了させたままの状態で、ベースプレート10に対してY方向に沿ってスライド移動させることができる。これにより、Y方向の調整が行われる。Y方向の調整を行った後、再びネジ91(必要に応じてネジ92も含む)を増し締めすることにより、ベースプレート10に液体噴射ヘッド4が締結固定され、Y方向の調整が完了する。
なお、ベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4のX方向の調整は、特に行なう必要がない。これは、各液体噴射ヘッド4のX方向の間隔のズレによる被記録媒体Sへの画像や文字の品質の影響は、インクの吐出タイミングを調整することで解消できるからである。
【0075】
このように、上記実施形態では、液体噴射ヘッド4に支持プレート72を設け、この支持プレート72を介し、キャリッジ62のベースプレート10に液体噴射ヘッド4を取り付けるように構成している。そして、支持プレート72のY方向一端側に第1係合部74を設けている。この第1係合部74を、固定具30を用いてベースプレート10側に押え付けることで、ベースプレート10に固定している。
さらに、固定具30は、ベースプレート10に対してX方向にスライド移動可能に設けられている。そして、固定具30に対し、第1係合部74がY方向にスライド移動可能に設けられている。
このため、簡素な構造でキャリッジ62(ベースプレート10)に対する液体噴射ヘッド4(支持プレート72)のθ調整を行うことができると共に、液体噴射ヘッド4のY方向(液体噴射ヘッド4の長手方向)の調整も行うことができる。
【0076】
また、第1係合部74の頭部77は、外周面77aがプレート本体73の厚さ方向に沿う直線L1を中心とする円形状となるように形成されている。そして、この外周面77aが、固定具30の第2溝部33に嵌り込むようにして、第1係合部74と固定具30とが係合されている。このため、固定具30に対し、第1係合部74(支持プレート72)を、ベースプレート10の面方向に沿ってスムーズに回動させることができる。
【0077】
さらに、支持プレート72のθ調整を行うにあたり、支持プレート72のY方向他端側に第2係合部75を設けている。そして、この第2係合部75に形成されている係合部側第2基準孔82を中心に支持プレート72のθ調整を行うように構成している。つまり、支持プレート72のY方向他端を支点とし、支持プレート72のY方向一端を作用点として支持プレート72のθ調整を行っている。このため、支点と作用点の距離を十分に確保することができるので、僅かな力で支持プレート72のθ調整を行うことができると共に、θ調整の微調整を容易にできる。
【0078】
また、固定具30は、ネジ92を挿通可能な第1溝部32と、第1係合部74を受け入れる第2溝部33と、を有している。そして、第1溝部32を、ネジ92(ベースプレート10)に対する固定具30のX方向のスライド移動を許容しつつ、Y方向のスライド移動を規制するように形成している。また、第2溝部33を、固定具30に対する第1係合部74のX方向のスライド移動を規制しつつ、Y方向のスライド移動を許容するように形成している。このように構成することで、固定具30を簡素な構成にでき、さらに、固定具30や第1係合部74のスライド移動方向を容易に規制できる。
【0079】
また、支持プレート72のY方向の調整を行うにあたり、第2係合部75に治具40を取付けている。そして、この治具40を介し、ベースプレート10に第2係合部75を固定させている。
さらに、治具40の治具側第3基準孔42を長円形状に形成している。そして、この治具側第3基準孔42とベースプレート10のベース側第3基準孔15とに基準ピン93を挿入した状態で、支持プレート72のY方向の調整を行うように構成している。
このため、θ調整された支持プレート72の姿勢を維持しながら治具40がガイドとして機能するので、キャリッジ62(ベースプレート10)に対する液体噴射ヘッド4(支持プレート72)のY方向の調整を、より行い易くすることができる。
【0080】
また、ベースプレート10にY方向に沿って延びるスライド溝16を形成する一方、治具40にスライド溝16内をスライド移動可能に嵌るスライド凸部45を形成している。このため、ベースプレート10に対する治具40の移動方向を、簡素な構成で確実に規制することができる。
【0081】
さらに、支持プレート72の第1係合部74に、係合部側第1基準孔81を形成すると共に、第2係合部75に係合部側第2基準孔82を形成している。また、固定具30に、固定具側第1基準孔31を形成している。そして、これら各基準孔81,82,31に、それぞれ基準ピン93を挿入し、これら基準ピン93を利用してベースプレート10に対する液体噴射ヘッド4の基準の固定を行っている。このように、液体噴射ヘッド4の基準の固定を行ってから液体噴射ヘッド4のθ調整やY方向の調整を行うことにより、これらの調整作業を、さらに容易に行うことが可能になる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上記実施形態では、固定具30は、ネジ92を挿通可能な第1溝部32と、第1係合部74を受け入れる第2溝部33と、を有している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ベースプレート10に対して固定具30がX方向にスライド移動可能、且つ固定具30に対して支持プレート72がY方向にスライド移動可能に構成されていると共に、ベースプレート10の面方向に回動可能に構成されていればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ベースプレート10にY方向に沿って延びるスライド溝16を形成する一方、治具40にスライド溝16内をスライド移動可能に嵌るスライド凸部45を形成する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、治具40にスライド溝16を形成する一方、ベースプレート10にスライド凸部45を形成してもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、治具40を用いてキャリッジ62(ベースプレート10)に対する液体噴射ヘッド4(支持プレート72)のY方向の調整を行う場合について説明した。しかしながら、治具40に代わって、ガイド等を用いて支持プレート72(液体噴射ヘッド4)をY方向にスライド移動させるように構成してもよい。また、支持プレート72の第2係合部75に形成されている貫通孔44の形状を変更し、この貫通孔44とネジ91の頭部91aとによって、支持プレート72をY方向にスライド移動させるように構成してもよい。
【0085】
さらに、上記実施形態では、キャリッジ62(ベースプレート10)に対する液体噴射ヘッド4(支持プレート72)の位置決めを行うにあたって、まずθ調整を行い、その後、Y方向の調整を行う場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、θ調整とY方向の調整の順番を逆に行ってもよい。
【0086】
また、液体噴射記録装置1の一例として、インクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であっても構わない。
【0087】
さらに、上記実施形態では、液体噴射ヘッド4が複数搭載された複数色用の液体噴射記録装置1について説明したが、これに限られるものではない。例えば、液体噴射ヘッド4が一つの単色用のプリンタとしても構わない。
キャリッジ62(ベースプレート10)の形状も、液体噴射ヘッド4の個数に応じて変化させればよい。つまり、ベースプレート10の取付開口部11、およびこの取付開口部11に対応して形成されるスライド溝16等、液体噴射ヘッド4の個数に応じて変化する。