特許第6581491号(P6581491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581491
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】シート巻取装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   B60R5/04 T
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-244443(P2015-244443)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-109566(P2017-109566A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】棚倉 誠貴
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−129773(JP,A)
【文献】 特開平08−142757(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/108241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内壁に設けられて車両上方に開口する係合手段に、シート巻取装置の端部を着脱可能に取り付けるシート巻取装置の取付構造であって、
前記係合手段は、
車両上方の開口から前記シート巻取装置の端部を収容する収容部と、
前記シート巻取装置の端部に係合する係合位置に付勢され、前記収容部に収容された前記シート巻取装置の端部に係合する係合部材と、
前記シート巻取装置の端部に係合しない非係合位置に前記係合部材を移動させて、前記係合部材と前記シート巻取装置の端部の係合を解除する解除部材と、
前記収容部に収容された前記シート巻取装置の端部を付勢して、前記係合部材と前記シート巻取装置の端部の係合が解除されたときに、前記シート巻取装置の端部を前記係合部材と係合しない車両後方の位置に移動させる付勢部材と、
を有するシート巻取装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたシート巻取装置の取付構造において、
前記収容部は、前記シート巻取装置の端部の下面を支持する底面を有し、
前記付勢部材は、前記係合部材と前記シート巻取装置の端部の係合が解除されたときに、前記収容部の底面から車両上方に突出し、前記シート巻取装置の端部の下面内で車両前方側の部分を押して、前記シート巻取装置の端部を車両後方に移動させるシート巻取装置の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載されたシート巻取装置の取付構造において、
前記付勢部材と前記シート巻取装置の端部のそれぞれの接触面の少なくとも一方は、車両後方に向かって車両下方に傾斜する傾斜面であるシート巻取装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の係合手段にシート巻取装置の端部を取り付けるシート巻取装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シート巻取装置は、シートを巻き取った状態で車両に取り付けられて、例えば、車両のトノカバー装置に用いられる。シート巻取装置の両端部は、一対の車両内壁の係合手段に係合されて、係合手段に取り付けられる。シートは、シート巻取装置から引き出されて、トノカバーとして車両後部の荷室を覆う。また、シート巻取装置の端部が係合手段から取り外されて、シート巻取装置が車両から取り出される。このシート巻取装置の取付構造に関し、従来、巻取装置の端部を凹状の取付部に着脱可能に取り付ける巻取装置の取付構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の巻取装置の取付構造では、巻取装置の端部が車両上方の開口から取付部の凹部に挿入されて、端部の係合素子が凹部の切欠きに係合する。係合素子が切欠きから外れたときには、巻取装置の端部は、付勢突起の付勢により飛び上がり、付勢突起により車両上方に持ち上げられた状態で停止する。これにより、係合素子が切欠きに係合しない位置に配置されて、巻取装置の端部が車両の取付部から取り外される。その後、巻取装置は、ユーザにより車両から取り出される。
【0004】
ところが、巻取装置の取り出し時には、巻取装置を持ち上げて、巻取装置の端部を凹部の外まで移動させる必要がある。そのため、巻取装置の取り出しには、ある程度の力と手間を要する。また、巻取装置の取り出し時には、巻取装置がユーザにより誤って押し込まれ、或いは、ユーザが巻取装置を落下させることがある。この場合には、係合素子が切欠きに係合して、巻取装置の端部が車両の取付部に取り付けられる。そのため、巻取装置の端部の取り外し作業を再び行う必要があり、取り外し作業の手間が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−203326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、車両内壁の係合手段からシート巻取装置の端部を容易に取り外して、シート巻取装置を車両から容易に取り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両内壁に設けられて車両上方に開口する係合手段に、シート巻取装置の端部を着脱可能に取り付けるシート巻取装置の取付構造である。前記係合手段は、車両上方の開口から前記シート巻取装置の端部を収容する収容部と、前記シート巻取装置の端部に係合する係合位置に付勢され、前記収容部に収容された前記シート巻取装置の端部に係合する係合部材と、前記シート巻取装置の端部に係合しない非係合位置に前記係合部材を移動させて、前記係合部材と前記シート巻取装置の端部の係合を解除する解除部材と、前記収容部に収容された前記シート巻取装置の端部を付勢して、前記係合部材と前記シート巻取装置の端部の係合が解除されたときに、前記シート巻取装置の端部を前記係合部材と係合しない車両後方の位置に移動させる付勢部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両内壁の係合手段からシート巻取装置の端部を容易に取り外して、シート巻取装置を車両から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のシート巻取装置の斜視図である。
図2】本実施形態のシート巻取装置の斜視図である。
図3】本実施形態のシート巻取装置の斜視図である。
図4】シート巻取装置の端部の取り付け手順を示す図である。
図5】シート巻取装置の端部の取り付け手順を示す図である。
図6】シート巻取装置の端部の取り外し動作を示す図である。
図7】シート巻取装置の端部の取り外し動作を示す図である。
図8】係合手段に取り付けられたシート巻取装置の端部を示す断面図である。
図9】付勢部材により付勢されたシート巻取装置の端部を示す図である。
図10】シート巻取装置の端部の取り外し動作を示す図である。
図11】シート巻取装置の端部の取り外し動作を示す図である。
図12】シート巻取装置の端部の取り外し動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシート巻取装置の取付構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のシート巻取装置は、車両用のトノカバー装置であり、本実施形態のシート巻取装置の取付構造により、車両に取り付けられる。シート巻取装置は、例えば、ハッチバック式の自動車に搭載されて、後部座席とバックドアの間の荷室を覆う。
【0011】
図1図2は、本実施形態のシート巻取装置1の斜視図であり、車両10に取り付けられたシート巻取装置1を示している。また、図1図2は、車両10の後部(車両後部)の一部を示している。図1図2において、矢印Uは車両10の上方(車両上方U)であり、矢印Dは車両10の下方(車両下方D)である。また、矢印Fは車両10の前方(車両前方F)であり、矢印Rは車両10の後方(車両後方R)である。矢印Wは、車両10の幅方向(車両幅方向F)である。
【0012】
図示のように、車両10は、車両後部に設けられた荷室11と、車両10内で車両幅方向Wの両側に位置する車両10の内壁(車両内壁12)と、一方の車両内壁12に設けられた保持部13と、他方の車両内壁12に設けられた係合手段20を備えている。荷室11は、後部座席の背後に形成された荷物の積載空間であり、一対の車両内壁12の間に設けられる。
【0013】
保持部13は、車両内壁12から車両幅方向Wの内側に突出する係合突起(図示せず)を有し、車両上方Uに開口する。シート巻取装置1の一方の端部30は、シート巻取装置1の端面に形成された係合凹部(図示せず)を有する。シート巻取装置1の端部30が、保持部13に収容されて、保持部13により保持される。その際、保持部13の係合突起が、シート巻取装置1の端部30の係合凹部に入り、係合凹部に係合する。保持部13は、係合突起により、シート巻取装置1の端部30に係合して、シート巻取装置1の端部30を保持する。
【0014】
係合手段20は、車両内壁12の係合部(取付部)であり、車両上方Uに開口する。シート巻取装置1の一方の端部30が保持部13に配置された状態で、シート巻取装置1の他方の端部31は、車両下方Dに移動して、車両内壁12の係合手段20により係合される(図1参照)。これにより、シート巻取装置1の端部31は、係合手段20に着脱可能に取り付けられて、係合手段20により保持される。また、シート巻取装置1は、一対の車両内壁12の間に架け渡されて、車両幅方向Wに配置される。シート巻取装置1の取り出し時には、シート巻取装置1の端部31は、係合手段20から取り外されて、車両後方Rに移動する。このように、シート巻取装置1の取付構造は、シート巻取装置1の着脱構造である。
【0015】
シート巻取装置1は、巻取可能なシート40と、シート40の先端に取り付けられた引出部材41と、シート40を収容するケース42と、ケース42の端部カバー43、44を備えている。シート40は、車両10の荷室11を覆うトノカバーであり、ケース42から車両後方Rに引き出される(図2参照)。また、シート40は、荷室11の車両上方Uに配置されて、荷室11の全部又は一部を覆う。引出部材41は、シート40の先端を保持する保持部材であり、シート40がケース42に収容された状態で、ケース42の出入口45に配置される。引出部材41を車両後方Rに移動させることで、シート40は、出入口45を通って、ケース42から引き出される。
【0016】
引出部材41によりシート40をケース42から引き出した後に、引出部材41は、車両10の連結部14に連結される。連結部14は、一対の車両内壁12に設けられて、係合手段20と保持部13の車両後方Rに位置する。一対の連結部14が、それぞれ引出部材41の車両幅方向Wの端部に連結して、引出部材41を保持する。これにより、引出部材41は、一対の車両内壁12の間に架け渡されて、車両幅方向Wに配置される。その状態で、シート40は、ケース42と引出部材41の間で展開して、荷室11を覆う状態に維持される。引出部材41が連結部14から取り外された後、シート巻取装置1は、シート40を巻き取り、ケース42にシート40を収容する。
【0017】
ケース42は、筒状の収容部材であり、スリット状の出入口45を有する。端部カバー43、44は、ケース42の長手方向の端部に取り付けられて、ケース42の端部の開口を塞ぐ。巻取シャフト(図示せず)がケース42内に収容されて、巻取シャフトの両端部が端部カバー43、44により回転可能に支持される。シート40の基端は、巻取シャフトに取り付けられている。回転付勢手段(図示せず)により、巻取シャフトは、常に、シート40を巻き取る回転方向に付勢されている。シート40は、回転する巻取シャフトに巻き取られて、ケース42に収容される。
【0018】
端部カバー43、44は、シート巻取装置1の端部部材である。一方の端部カバー43の一部又は全部が、シート巻取装置1の一方の端部30であり、車両10の保持部13により保持される。他方の端部カバー44の一部又は全部が、シート巻取装置1の他方の端部31であり、車両10の係合手段20により係合される。係合手段20は、車両内壁12に形成された凹状の収容部21と、シート巻取装置1の端部31の係合を解除する解除部材22を有する。
【0019】
車両10は、車両内壁12に形成された凹部15を有する。凹部15は、収容部21から車両後方Rに向かって形成され、凹部15の底面は、収容部21の底面23に連続する。凹部15と収容部21は、車両上方Uに開口するとともに、車両幅方向Wの内側に開口する。シート40を巻き取った状態で(図1参照)、シート巻取装置1の端部31は、収容部21の車両上方Uの開口24から、収容部21に挿入されて、収容部21に収容される。これに伴い、係合手段20は、シート巻取装置1の端部31に係合して、収容部21内の端部31を保持する。解除部材22は、ユーザにより係合手段20の操作に用いられる操作部材である。ユーザは、解除部材22を操作して、シート巻取装置1の端部31と係合手段20の係合を解除する。
【0020】
図3は、本実施形態のシート巻取装置1の斜視図であり、図1と同様に、シート巻取装置1と車両10を示している。
図示のように、係合の解除に伴い、シート巻取装置1の端部31は、係合手段20の付勢により、車両後方Rに移動する。収容部21の底面23は、シート巻取装置1の端部31の下面を支持する支持面であり、かつ、シート巻取装置1の端部31をガイドするガイド面である。シート巻取装置1の端部31は、収容部21の底面23によりガイドされて、車両後方Rに移動する。また、シート巻取装置1の端部31は、底面23の上で停止し、係合手段20から取り外される。
【0021】
図4図5は、シート巻取装置1の端部31の取り付け手順を示す図であり、図4A図5Aは、図1の矢印X1方向からみたシート巻取装置1と係合手段20の正面図である。図4B図5Bは、それぞれ図4A図5Aの矢印X2方向からみたシート巻取装置1の端部31と係合手段20を示す図であり、シート巻取装置1の端部31を透視して、端部31の係合凹部32を模式的に示している。
図示のように、係合手段20は、収容部21と解除部材22に加えて、シート巻取装置1の端部31に係合する係合部材50と、シート巻取装置1の端部31を付勢する付勢部材60を有する。
【0022】
係合部材50は、付勢手段51により付勢されて、収容部21の壁面から車両幅方向Wの内側に突出する。付勢手段51は、弾性体(例えば、ばね)により、係合部材50を車両幅方向Wの内側に付勢して、係合部材50を収容部21内に配置する。係合部材50は、付勢手段51により、収容部21内の係合位置に常に付勢されており、シート巻取装置1の端部31により押されたときに、収容部21外の非係合位置に移動する。また、係合部材50は、付勢手段51の付勢により、非係合位置から係合位置に移動する。係合位置は、係合部材50が端部31に係合する位置であり、非係合位置は、係合部材50が端部31に係合しない位置である。
【0023】
係合部材50は、垂直方向に対して傾斜した傾斜部52を有する。シート巻取装置1の端部31は、シート巻取装置1の端面に形成された係合凹部32を有する。シート巻取装置1の端部31が収容部21に収容されるときに、シート巻取装置1の端部31が、傾斜部52に接触して、係合部材50を押す。これにより、係合部材50は、係合位置に付勢された状態で、係合位置から非係合位置に移動する。続いて、係合凹部32が係合部材50の位置まで移動して、シート巻取装置1の端部31が収容部21に収容される。同時に、係合部材50は、係合凹部32に入り、係合凹部32に係合する。これにより、係合部材50は、収容部21に収容されたシート巻取装置1の端部31に係合する。
【0024】
付勢部材60は、付勢手段61により付勢されて、収容部21の底面23から車両上方Uに突出する。付勢手段61は、弾性体(例えば、ばね)により、付勢部材60を車両上方Uに付勢して、付勢部材60を収容部21内に配置する。付勢部材60は、付勢手段61により、収容部21内の突出位置に常に付勢されており、シート巻取装置1の端部31の下面33により押されたときに、車両下方Dに移動する。シート巻取装置1の端部31が収容部21に収容されるときに、シート巻取装置1の端部31の下面33が、付勢部材60に接触して、付勢部材60を車両下方Dに押す。これにより、付勢部材60は、突出位置に付勢された状態で、車両下方Dに移動する。
【0025】
付勢部材60は、シート巻取装置1の端部31の下面33に接触して、収容部21に収容されたシート巻取装置1の端部31を車両上方Uに常に付勢する。ここでは、付勢部材60は、端部31の下面33内で車両前方F側の部分(下面前方部34)に接触して、端部31の下面前方部34を付勢する。また、付勢部材60は、シート巻取装置1の重心よりも車両前方Fの位置で、端部31の下面33に接触して、端部31を付勢する。その状態で、係合部材50は、シート巻取装置1の端部31に係合して、シート巻取装置1の端部31を保持する。
【0026】
ユーザによる解除部材22の操作に伴い、解除部材22は、係合部材50を非係合位置に移動させて、係合部材50とシート巻取装置1の端部31の係合を解除する。具体的には、解除部材22は、解除機構の一部であり、ユーザにより押されて車両下方Uに移動する。解除部材22の移動の力は、解除機構の伝達部(例えば、歯車伝達機構)(図示せず)により、車両幅方向Wの外側の力に変換されて、係合部材50に伝達される。係合部材50は、解除部材22の移動に連動して、係合位置から非係合位置に移動する。これにより、係合部材50が係合凹部32の外側に移動して、係合部材50と係合凹部32の係合が解除される。解除機構の解除部材22により、係合部材50とシート巻取装置1の端部31の係合が解除されたときに、付勢部材60は、シート巻取装置1の端部31を付勢して、シート巻取装置1の端部31を係合部材50と係合しない車両後方Rの位置(車両後方位置)に移動させる。
【0027】
図6図7は、シート巻取装置1の端部31の取り外し動作を示す図であり、図5Bと同様に、シート巻取装置1の端部31と係合手段20を示している。
図示のように、係合部材50とシート巻取装置1の端部31の係合が解除されたときに、付勢部材60は、収容部21の底面23から突出して、収容部21内の突出位置に復帰する。同時に、付勢部材60は、端部31の下面前方部34を車両上方Uに押して、シート巻取装置1の端部31を突き上げる。これにより、端部31の車両前方F側の部分が上方に移動して、シート巻取装置1の端部31が車両後方R側に傾く(図6の矢印K参照)。また、シート巻取装置1の端部31は、付勢部材60から車両後方Rに向かって落ちるように移動して、付勢部材60から離れる。
【0028】
シート巻取装置1の端部31は、突出する付勢部材60により、車両後方Rに移動して、係合部材50の位置から係合部材50の車両後方位置まで移動する。車両後方位置は、係合部材50よりも車両後方Rの位置であり、シート巻取装置1の端部31は、車両後方位置で係合部材50に接触しない。シート巻取装置1は、収容部21の底面23によりガイドされて、底面23に沿って移動し、係合部材50の車両後方位置で停止する。その状態で、係合部材50は、収容部21内の係合位置に復帰する。
【0029】
シート巻取装置1の取り外し時には(図3参照)、シート巻取装置1の一方の端部30が保持部13に保持された状態で、ユーザが解除部材22を操作して、係合部材50とシート巻取装置1の他方の端部31の係合を解除する。これに伴い、他方の端部31が、付勢部材60の突出により車両後方Rに移動して、シート巻取装置1が、一方の端部30を中心に回転するように移動する。シート巻取装置1の移動により、一方の端部30が保持部13から離れて、保持部13による一方の端部30の保持(係合)が解除される。続いて、ユーザは、シート巻取装置1を車両後方Rに移動させて、シート巻取装置1を車両10から取り出す。その際、一方の端部30が保持部13から取り外され、他方の端部31が係合手段20から取り外される。
【0030】
以上説明したシート巻取装置1の取付構造では、解除部材22を操作するだけで、シート巻取装置1の端部31を係合手段20から容易に取り外すことができる。シート巻取装置1の端部31を車両後方Rに移動させるため、シート巻取装置1の端部31が誤って係合手段20に再び係合されるのを防止することができる。また、シート巻取装置1を車両後方Rに移動させて車両10から容易に取り出すこともできる。シート巻取装置1の端部31には係合凹部32だけを形成すればよいため、シート巻取装置1の構造を簡単にすることができる。シート巻取装置1の重量の増加も抑制されるため、シート巻取装置1を容易に移動させることができる。
【0031】
付勢部材60がシート巻取装置1の端部31の下面前方部34を押すため、付勢部材60の突出により、シート巻取装置1の端部31を車両後方Rに円滑に移動させることができる。また、シート巻取装置1の端部31が係合手段20に再び係合されるのを確実に防止して、シート巻取装置1の端部31の取り外し作業を容易に行うことができる。シート巻取装置1の端部31が保持手段20に取り付けられた状態で、付勢部材60の付勢により、係合部材50とシート巻取装置1の端部31を確実に接触させて、ガタツキを抑制することもできる。
【0032】
図8は、係合手段20に取り付けられたシート巻取装置1の端部31を示す断面図であり、図5のX3−X3線で切断した係合手段20とシート巻取装置1の端部31を示している。また、図8は、端部31の係合凹部32に係合した係合部材50を示している。
図示のように、係合部材50が端部31の係合凹部32に係合した状態で、付勢部材60が端部31の下面前方部34を車両上方Uに押す。これにより、シート巻取装置1の端部31は、車両上方Uに付勢されるとともに、車両後方R側に傾くように付勢される。その結果、係合凹部32が係合部材50より大きいときでも、係合部材50が係合凹部32内の複数箇所に接触して、係合部材50が係合凹部32にガタツキなく係合する。また、ガタツキによる異音の発生が抑制される。
【0033】
なお、シート巻取装置1の取り外し時には(図3参照)、係合部材50とシート巻取装置1の他方の端部31の係合が解除されて、他方の端部31が車両後方Rに移動する。その状態で、シート巻取装置1の一方の端部30が保持部13に保持されていてもよい。この場合には、シート巻取装置1を車両10から取り出すときに、一方の端部30が保持部13から離れて、保持部13による一方の端部30の保持(係合)が解除される。また、付勢部材60とシート巻取装置1の端部31の下面のそれぞれの接触面は、水平面であってもよく、その他の面(例えば、傾斜面、湾曲面)であってもよい。
【0034】
図9は、付勢部材60により付勢されたシート巻取装置1の端部31を示す図であり、図5Bと同様に、シート巻取装置1の端部31と係合手段20を示している。
図示のように、係合部材50がシート巻取装置1の端部31に係合した状態で、付勢部材60の接触面62がシート巻取装置1の端部31の接触面35に接触して、付勢部材60がシート巻取装置1の端部31を押す。端部31の接触面35は、端部31の下面33の下面前方部34であり、付勢部材60の接触面62は、下面33の接触面35に接触する。
【0035】
付勢部材60とシート巻取装置1の端部31のそれぞれの接触面62、35の少なくとも一方は、車両後方Rに向かって車両下方Dに傾斜する傾斜面である。即ち、接触面62、35のいずれか一方が傾斜面であり、又は、接触面62、35の両方が傾斜面である。ここでは、接触面62、35の両方が、斜め下方に傾斜する傾斜面であり、同じ方向に傾斜する。
【0036】
図10図12は、シート巻取装置1の端部31の取り外し動作を示す図であり、図9と同様に、シート巻取装置1の端部31と係合手段20を示している。
図示のように、係合部材50とシート巻取装置1の端部31の係合が解除されたときに、付勢部材60が突出して、付勢部材60の接触面62が端部31の接触面35を押す。端部31の接触面35は、付勢部材60の接触面62に沿って滑るように、車両後方Rに移動する。その結果、シート巻取装置1の端部31が車両後方Rに円滑に移動する。接触面62、35の両方が傾斜面であるときには、シート巻取装置1の端部31がより円滑に移動して、シート巻取装置1の端部31の移動量が大きくなる。
【0037】
以上、シート巻取装置1の他方の端部31を係合手段20に取り付ける例について説明したが、シート巻取装置1の端部30、31の両方を係合手段20に取り付けるようにしてもよい。この場合には(図1参照)、一方の車両内壁12に、保持部13に替えて、係合手段20を設けて、一対の車両内壁12に係合手段20を設ける。シート巻取装置1の端部30、31は、それぞれ係合手段20の係合部材50に係合されて、係合手段20に取り付けられる。
【0038】
シート巻取装置1の取り外し時には(図3参照)、例えば、係合部材50とシート巻取装置1の他方の端部31の係合を解除する。これに伴い、他方の端部31が、付勢部材60の突出により車両後方Rに移動して、シート巻取装置1が、一方の端部30を中心に回転するように移動する。続いて、一方の端部30が係合部材50により押されて、シート巻取装置1の全体が他方の端部31側に移動する。これにより、一方の端部30が係合部材50から外れて、係合部材50と一方の端部30の係合が解除される。一方の端部30は、付勢部材60の突出により車両後方Rに移動する。このようにして、シート巻取装置1の両端部30、31が、それぞれ係合手段20から取り外される。
【符号の説明】
【0039】
1・・・シート巻取装置、10・・・車両、11・・・荷室、12・・・車両内壁、13・・・保持部、14・・・連結部、15・・・凹部、20・・・係合手段、21・・・収容部、22・・・解除部材、23・・・底面、24・・・開口、30・・・端部、31・・・端部、32・・・係合凹部、33・・・下面、34・・・下面前方部、35・・・接触面、40・・・シート、41・・・引出部材、42・・・ケース、43・・・端部カバー、44・・・端部カバー、45・・・出入口、50・・・係合部材、51・・・付勢手段、52・・・傾斜部、60・・・付勢部材、61・・・付勢手段、62・・・接触面、D・・・車両下方、F・・・車両前方、R・・・車両後方、U・・・車両上方、W・・・車両幅方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12