(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581504
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】窒化ホウ素を含むマスターバッチ、その複合体粉末、ならびにそのような材料を含む組成物および物品
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20190912BHJP
F16D 69/02 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
C09K3/14 530Z
C09K3/14 520L
F16D69/02 C
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-533180(P2015-533180)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2016-501914(P2016-501914A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013060600
(87)【国際公開番号】WO2014047274
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/702,790
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506390498
【氏名又は名称】モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112896
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏記
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】ライスト ジョン
(72)【発明者】
【氏名】レール トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ガンガル サンジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ディオルカ ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ゼン ラリー キアン
【審査官】
岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−126600(JP,A)
【文献】
特開2000−313012(JP,A)
【文献】
特開平06−346931(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0357758(US,A1)
【文献】
特開2009−263476(JP,A)
【文献】
特開2001−172398(JP,A)
【文献】
特開2001−172604(JP,A)
【文献】
特開2009−035742(JP,A)
【文献】
特開2008−285511(JP,A)
【文献】
米国特許第05984055(US,A)
【文献】
特開2009−024153(JP,A)
【文献】
特表平11−500151(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0196691(US,A1)
【文献】
米国特許第06062351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00− 3/28
C08J99/00
C08J 5/00− 5/02
C08J 5/12− 5/22
F16D49/00− 71/04
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、およびマスターバッチ組成物から形成され、
前記マスターバッチ組成物が、(a)窒化ホウ素材料、および(b)高分子樹脂材料の複合体を含む、ブレーキパッド。
【請求項2】
前記マスターバッチ組成物が、約5重量パーセントから約60重量パーセントの窒化ホウ素、および約40重量パーセントから約95重量パーセントの前記高分子樹脂を含む、請求項1に記載のブレーキパッド。
【請求項3】
前記マスターバッチ組成物が、約20重量パーセントから約50重量パーセントの窒化ホウ素、および約50重量パーセントから約80重量パーセントの前記高分子樹脂を含む、請求項1に記載のブレーキパッド。
【請求項4】
前記窒化ホウ素が、小板状窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素、窒化ホウ素ナノチューブ、窒化ホウ素繊維、六方晶窒化ホウ素の凝集体、またはそれらの2種以上の組み合わせから選ばれる、請求項1から3のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項5】
前記窒化ホウ素が、約1から約500ミクロンの平均粒子径を有する窒化ホウ素粒子または凝集体を含む、請求項1から4のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項6】
前記高分子樹脂材料が熱硬化性材料または熱可塑性材料から選ばれる、請求項1から5のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項7】
前記高分子樹脂材料がフェノールホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1から6のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項8】
前記高分子樹脂材料がノボラック樹脂である、請求項1から7のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項9】
約0.1重量パーセントから約10重量パーセントの窒化ホウ素を含む、請求項1に記載のブレーキパッド。
【請求項10】
約1重量パーセントから約8重量パーセントの窒化ホウ素を含む、請求項9に記載のブレーキパッド。
【請求項11】
約0.1重量パーセントから約7.5重量パーセントの銅を含む、請求項9又は10に記載のブレーキパッド。
【請求項12】
銅を実質的に含まない、請求項9から11のいずれかに記載のブレーキパッド。
【請求項13】
類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含むドライブレンド物から形成された物品のμ14値より最大35%大きいμ14値を有する、請求項12に記載のブレーキパッド。
【請求項14】
類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含むドライブレンド物から形成された物品のμ14値より約10%から約35%大きいμ14値を有する、請求項12に記載のブレーキパッド。
【請求項15】
類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含むドライブレンド物から得られた物品のSAE J2522試験後のパッド厚さ損失より、最大65%低い前記パッド厚さ損失を有する、請求項12に記載のブレーキパッド。
【請求項16】
類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含むドライブレンド物から得られた物品のSAE J2522試験後のパッド厚さ損失より、約10%から約65%低い前記パッド厚さ損失を有する、請求項12に記載のブレーキパッド。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2012年9月19日に出願された「窒化ホウ素を含むマスターバッチ、その複合体粉末、ならびにそのような材料を含む組成物および物品」と題する米国特許仮出願第61/702,790号明細書の利益を主張し、その全開示内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、窒化ホウ素の複合体および樹脂材料を含むマスターバッチ組成物およびその粉末、ならびにそのマスターバッチ粉末を含むブレーキパッドを含む、そのマスターバッチ粉末から形成された組成物および物品に関する。本発明は、また、銅を実質的に含まない窒化ホウ素を含むブレーキパッド物品を提供する。
【背景技術】
【0003】
米国(U.S.)の規制措置によって、米国の新しい自動車はすべて、銅を基本的に含まないブレーキパッドを装備することになるという必要性が生じた。米国の大半の自動車は、樹脂結合した摩擦処方物を用いている。銅は摩擦材料の性能において重要な役割を果たす。すなわち、銅は、ブレーキパッド表面に保護膜を形成する役割を持ち、(a)より大きい摩擦およびより少ない塵埃をもたらし、(b)表面温度を低下させるより高い熱伝導率に寄与し、パッド寿命を改善し、(c)機械的完全性を助ける。その結果、代替材料には、銅の機能を果たし、樹脂結合した摩擦処方物から銅を除去できることが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、窒化ホウ素および樹脂材料を含むマスターバッチ組成物を提供する。マスターバッチ組成物は、マスターバッチ窒化ホウ素/樹脂複合材料およびその粉末または粒子を提供するために使用することができる。マスターバッチ複合体粉末は、様々な用途において使用することができる。一実施形態において、マスターバッチ複合体粉末は、ブレーキパッドにおいて使用されてもよい摩擦処方物の一部として使用することができる。マスターバッチ複合体粉末は、別々の成分として窒化ホウ素および樹脂材料をドライブレンドすることによって形成された摩擦組成物より改善された特性を有する摩擦処方物を与える。
【0005】
一態様において、本発明は、(a)窒化ホウ素材料、および(b)高分子樹脂材料の複合体を含むマスターバッチ組成物を提供する。
【0006】
一実施形態において、マスターバッチ組成物は、約5重量パーセントから約60重量パーセントの窒化ホウ素、および約40重量パーセントから約95重量パーセントの高分子樹脂を含む。一実施形態において、マスターバッチ組成物は、約20重量パーセントから約50重量パーセントの窒化ホウ素、およびの約50重量パーセントから約80重量パーセントの高分子樹脂を含む。一実施形態において、マスターバッチ組成物は、約25重量パーセントから約40重量パーセントの窒化ホウ素、および約60重量パーセントから約75重量パーセントの高分子樹脂を含む。
【0007】
一実施形態において、窒化ホウ素は、小板状窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素、窒化ホウ素ナノチューブ、窒化ホウ素繊維、六方晶窒化ホウ素の凝集体、またはそれらの2種以上の組み合わせから選ばれる。
【0008】
一実施形態において、窒化ホウ素は、約1から約500ミクロンの平均粒子径を有する窒化ホウ素の粒子または凝集体を含む。
【0009】
一実施形態において、高分子樹脂材料は熱硬化性材料または熱可塑性材料から選ばれる。一実施形態において、高分子樹脂材料はフェノールホルムアルデヒド樹脂を含む。一実施形態において、高分子樹脂材料はノボラック樹脂である。
【0010】
一実施形態において、本組成物は粉末の形態である。一実施形態において、粉末は、粒子の約75%から約100%が200メッシュを通るような平均粒子径を有する粒子を含む。
【0011】
一実施形態において、マスターバッチ組成物は官能基化剤を含む。一実施形態において、官能基化剤は、窒化ホウ素充填剤重量の約1%から約15%である。一実施形態において、官能基化剤は、シラン、チタネート、ジルコネート、アルミネート、超分散剤、マレイン化オリゴマー、脂肪酸またはワックスおよびその誘導体、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの2種以上の組み合わせから選ばれる。
【0012】
別の態様において、本発明は、本発明の態様および実施形態による、基材およびマスターバッチ組成物から形成された組成物を提供する。一実施形態において、基材は、非石綿有機処方物、低濃度金属−樹脂結合の処方物、または半金属−樹脂結合の処方物である。
【0013】
なお別の態様において、本発明は、マスターバッチ組成物を含む組成物を含む物品を提供する。一実施形態において、本物品はそのような組成物から形成することができる。一実施形態において、本物品はブレーキパッドである。
【0014】
一実施形態において、本物品は、約0.1重量パーセントから約10重量パーセントの窒化ホウ素を含む。一実施形態において、本物品は、約1重量パーセントから約8重量パーセントの窒化ホウ素を含む。一実施形態において、本物品は、約2.5重量パーセントから約7.5重量パーセントを含む。一実施形態において、本物品は、約0.1重量パーセントから約7.5重量パーセントの銅を含む。
【0015】
一実施形態において、本物品は銅を実質的に含まない。
【0016】
一実施形態において、本物品は、類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含みドライブレンド物から形成された物品のμ14値より最大35%大きいμ14値を有する。一実施形態において、本物品は、類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含みドライブレンド物から形成された物品のμ14値より、約10%から約35%;15%から30%;さらに20%から25%大きなμ14値を有する。
【0017】
一実施形態において、本物品のSAE J2522試験後のパッド厚さ損失は、ドライブレンド物から得られた類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含む物品の前記パッド厚さ損失より最大65%低い。一実施形態において、本物品のSAE J2522試験後のパッド厚さ損失は、ドライブレンド物から得られた類似の濃度の窒化ホウ素および/または銅を含む物品の前記パッド厚さ損失より約10%から約65%低い。
【0018】
一態様において、マスターバッチ組成物は、窒化ホウ素、高分子樹脂および任意の他の材料を配合して複合体粉末にすることによって形成することができる。一実施形態において、配合プロセスは、予備混合、押出加工および粉砕を含む。一実施形態において、マスターバッチ組成物は、窒化ホウ素、高分子樹脂および任意の他の材料を粉砕して複合体粉末にすることによって形成される。
【0019】
なお別の態様において、本発明は、窒化ホウ素を含み、銅を実質的に含まない摩擦組成物を含むブレーキパッドを提供する。
【0020】
一実施形態において、摩擦組成物は、約0.1重量パーセントから約10重量パーセントの窒化ホウ素を含む。一実施形態において、摩擦組成物は、約1重量パーセントから約8重量パーセントの窒化ホウ素を含む。一実施形態において、摩擦組成物は、約2.5重量パーセントから約7.5重量パーセントの窒化ホウ素を含む。
【0021】
一実施形態において、摩擦組成物中の窒化ホウ素はドライブレンド物として添加される。
【0022】
一実施形態において、摩擦組成物中の窒化ホウ素はマスターバッチ組成物の一部として添加される。
【0023】
一実施形態において、本ブレーキパッドのSAE J2522試験後のディスク厚さ損失は、銅を含み実質的に窒化ホウ素を含まないブレーキパッドの、SAE J2522試験に基づく前記ディスク厚さ損失より最大35%低い。
【0024】
一実施形態において、本ブレーキパッドのSAE J2521騒音指数は、銅を含み実質的に窒化ホウ素を含まない物品のSAE J2521騒音指数より最大2ポイント高い。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、窒化ホウ素および樹脂材料を含むマスターバッチ、ならびにそのようなマスターバッチ組成物を含む組成物および物品を提供する。マスターバッチ組成物は、潤滑剤として働き、組成物に熱伝導率を与えることができる。マスターバッチ組成物は様々な用途において使用することができる。
【0026】
用語「マスターバッチ」は、担体樹脂にカプセル化した添加剤の固体または液体の濃縮混合物を指す。マスターバッチは、続いて様々な技法を使用し、他の材料とブレンドされて、最終物品を形成し、そこで添加剤の濃度が希釈される。マスターバッチ手法は、最終物品に添加剤を組み込むより好都合な方法を提供する。
【0027】
本発明において、マスターバッチ組成物は、樹脂組成物に分散した添加剤として窒化ホウ素材料を含む。マスターバッチ組成物は、窒化ホウ素および樹脂材料の複合体である複合材料を形成するために使用される。用語「マスターバッチ」はまた、そのような複合体、および、そのような複合体から形成された粉末、顆粒または粒子を含み、本明細書において「マスターバッチ複合体」、「マスターバッチ粉末」または「マスターバッチ複合体」などとも呼ばれる。
【0028】
マスターバッチ組成物に使用される窒化ホウ素(複数可)の形態は特に限定されない。窒化ホウ素は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ、Sintec Keramik、川崎化学、サンゴバンセラミックなどを含むがこれらに限定されない幾つかの供給源から市販されている。
【0029】
マスターバッチ組成物において使用される窒化ホウ素の形態は限定されず、例えば、非晶性窒化ホウ素(本明細書においてa−BNと呼ぶ);六方晶形の網状層の層状構造を有する六方晶系の窒化ホウ素(本明細書においてh−BNと呼ぶ);またはランダム配向した層を有する乱層構造窒化ホウ素(本明細書においてt−窒化ホウ素と呼ぶ);小板状窒化ホウ素;窒化ホウ素繊維;窒化ホウ素凝集体;窒化ホウ素ナノチューブなど、またはそれらの2種以上の組み合わせから選ぶことができる。一実施形態において、窒化ホウ素は、小板、乱層構造形態、六方晶形態、またはそれらの2種以上の混合物である。
【0030】
マスターバッチを形成するのに使用される窒化ホウ素粒子のサイズは、特定の目的または意図した使用に応じて選択される。一実施形態において、粒子径はナノメートルからミクロンサイズ粒子の範囲であってもよい。一実施形態において、窒化ホウ素粉末は、約1μmから約500μm;約5μmから約100μm;さらに約10μmから約30μmの平均粒子径を有する。一実施形態において、窒化ホウ素粉末は少なくとも50μmの平均粒子径を有する。一実施形態において、窒化ホウ素粉末は、10μmを超える平均粒子径を有する、hBN小板の不規則な形状をした凝集体を含む。本明細書および特許請求の範囲の他の箇所のように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0031】
一実施形態において、窒化ホウ素粒子は、100ミクロン未満の平均一次粒子径を有する。第2の実施形態においては、50ミクロン未満である。第3の実施形態においては、10から30ミクロンの範囲にある。第4の実施形態においては、20ミクロン未満の平均粒子径を有する。また別の実施形態において、窒化ホウ素粉末粒子は250ミクロン未満の平均一次粒子径を有する。
【0032】
一実施形態において、窒化ホウ素粒子は、約10から約300のアスペクト比を有するhBN小板から本質的になる。別の実施形態において、窒化ホウ素粒子は0.2から2.5重量%の酸素含有率を有する。別の実施形態において、hBN粒子は7未満の黒鉛化指数を有する。
【0033】
窒化ホウ素成分は、当該分野で公知のプロセスによって製造された結晶性または部分的に結晶性の窒化ホウ素粒子を含むことができる。これらには、米国特許第6,652,822号明細書に開示されているプラズマガスを使用するプロセスで製造されたミクロンサイズ範囲の球状窒化ホウ素粒子;米国特許出願公開第2001/0021740号明細書に開示されている、結合剤によって一緒に結合され続いて噴霧乾燥した、不規則な非球状の窒化ホウ素粒子から形成された球状窒化ホウ素凝集体を含むhBN粉末;米国特許第5,898,009号明細書および第6,048,511号明細書に開示されている加圧成形プロセスから製造された窒化ホウ素粉末;米国特許出願公開第2005/0041373号明細書に開示されている窒化ホウ素凝集粉末;米国特許出願公開第2004/0208812A1号明細書に開示されている高い熱拡散率を有する窒化ホウ素粉末;および米国特許第6,951,583号明細書に開示されている高度に薄層に分かれた窒化ホウ素粉末が含まれる。これらは、また形態学的に小板の窒化ホウ素粒子を含む。
【0034】
別の実施形態において、窒化ホウ素粉末は、hBN小板の球状凝集体の形態をしている。球状窒化ホウ素粉末の一実施形態において、凝集体は、約10μmから約500μmの平均の凝集体粒度分布(ASD)または直径を有する。別の実施形態において、窒化ホウ素粉末は、約30μmから約125μmの範囲のASDを有する球状凝集体の形態をしている。一実施形態において、ASDは約74から約100ミクロンである。別の実施形態において、約10μmから約40μmである。本明細書および特許請求の範囲中の他の箇所のように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0035】
一実施形態において、窒化ホウ素粉末は、少なくとも約1ミクロン、通常約1μmから20μmの間のb軸に沿った平均長、および約5ミクロン以下の厚みを有する小板の形態をしている。別の実施形態において、粉末は、約50から約300の平均アスペクト比を有する小板の形態をしている。
【0036】
一実施形態において、窒化ホウ素は、表面処理(「被覆」)されて原料に潤滑特性をさらに与える。窒化ホウ素粉末用の表面被覆材料の例としては、イソヘキサデカン、液体パラフィン、非イオン性界面活性剤、ジメチルポリシロキサン(またはジメチコン)、トリメチルシロキシ単位で末端封鎖した、完全メチル化直鎖シロキサンポリマーの混合物、ペルフルオロアルキル基を有するシラザン化合物、ジルコネートカップリング剤、ジルコニウムアルミネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、およびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
ポリマーマトリクス材料は、特定の目的または意図した用途に応じて任意の高分子または樹脂材料を含むことができる。一実施形態において、樹脂材料は熱可塑性材料であってもよい。別の実施形態において、樹脂材料は熱硬化性材料であってもよい。
【0038】
適切な樹脂材料の例は、ポリカーボネート;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)(C
8H
8C
4H
6C
3H
3N);ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンアロイ(PC−ABS);ポリブチレンテレフタレート(PBT);ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリフェニレンオキシド(PPO);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリフェニレンエーテル;ポリスチレン含有変性ポリフェニレンエーテル;液晶高分子;ポリスチレン;スチレン−アクリロニトリルコポリマー;ゴム強化ポリスチレン;ポリエーテルケトン(PEEK);アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステルのポリマーおよびコポリマーなどのアクリル樹脂;スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー;スチレン−メタクリル酸メチル−ブタジエンコポリマー;ポリメタクリル酸メチル;メタクリル酸メチル−スチレンコポリマー;ポリ酢酸ビニル;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリアリレート;ポリアミドイミド;ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−エチレンコポリマー;塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー;ポリイミド、ポリアミド;ポリエチレンなどのポリオレフィン;超高分子量ポリエチレン;高密度ポリエチレン;直鎖状低密度ポリエチレン;ポリエチレンナフタラート;ポリエチレンテレフタラート;ポリプロピレン;塩素化ポリエチレン;エチレンアクリル酸コポリマー;ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6など;フェニレンオキシド樹脂;フェニレンスルフィド樹脂;ポリオキシメチレン;ポリエステル;ポリ塩化ビニル;塩化ビニリデン/塩化ビニル樹脂;およびポリスチレンなどのビニル芳香族炭化水素樹脂;ポリ(ビニルナフタレン);ポリ(ビニルトルエン);ポリイミド;ポリアリールエーテルエーテルケトン;ポリフタルアミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリアリールエーテルケトン、ならびにそれらの2種以上の組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0039】
樹脂マトリックス材料の選択は、窒化ホウ素/樹脂複合材料が使用される用途の特定の要件に依存し得る。例えば、耐衝撃性、引張強度、動作温度、熱変形温度、障壁特性などの特性はすべて、ポリマーマトリクス材料の選択によって影響される。
【0040】
幾つかの実施形態において、樹脂マトリックス材料は、1種または複数のポリアミド熱可塑性ポリマーマトリクスを含むことができる。ポリアミドポリマーは、主鎖にアミド結合(−NHCO−)を含む高分子であり、摂氏約300度未満の温度で熱溶融する。適切なポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジポアミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジポアミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジポアミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン61)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/61)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジポアミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、ならびにその共重合ポリアミドおよび混合ポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン9T、ナイロンMXD6、ならびにそれらの共重合ポリアミドおよび混合ポリアミドは、利用可能性、取り扱いのしやすさなどの意味において良好な例である。
【0041】
基板で使用される適切な熱硬化性ポリマーの例は、エポキシ、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド(ノボラック)、エポキシ修飾ノボラック、フラン、ウレア−アルデヒド、メラミン−アルデヒド、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノールホルムアルデヒドレゾール、フェノール−アルデヒド、ポリアセタール、ポリシロキサン、ポリウレタンなど、またはそれらの2種以上の組み合わせである。一実施形態において、熱硬化性ポリマーは、フェノール、メラミンまたはウレア系のアルデヒド縮合生成物である。フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、(a)1を超えるフェノールとホルムアルデヒドのモル比を有するレゾールまたは(b)1未満のフェノールとホルムアルデヒドの比を有するノボラックのいずれかとして使用することができる。ノボラック樹脂は、一般にポリマーを硬化させるために追加のホルムアルデヒド源を必要とする。
【0042】
エポキシ修飾ノボラックが、Gibbらへの米国特許第4,923,714号明細書によって開示されており、これは参考文献として本明細書に組み込まれる。フェノール部分は、フェノールノボラック高分子;フェノールレゾール高分子;フェノールノボラック高分子およびフェノールレゾール高分子の組み合わせ;予備硬化した樹脂を形成するためのフェノール/フランまたはフラン樹脂の硬化した組み合わせ(参考文献として本明細書に組み込まれる、Armbrusterの米国特許第4,694,905号明細書によって開示されている);または硬化性樹脂を形成するための強酸の存在下で硬化性である硬化性フラン/フェノール樹脂系(Armbrusterの米国特許第4,785,884号明細書によって開示されている)を含むことができる。上記のノボラックまたはレゾール高分子のフェノール樹脂は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール成分、または、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール成分であってもよい。
【0043】
マスターバッチ組成物は、例えば、シラン剤などの官能基化剤を含むことができる。一実施形態において、本組成物は約1から約5重量%;約1.5から約4重量%;さらに約2.7から約3.7重量%の官能基化剤を含むことができる。本明細書および特許請求の範囲中のどこか他のところのように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0044】
シラン剤は、組成物の加工の任意の時点で添加することができる。一実施形態において、シラン剤は、混合工程の任意の時点で、インサイチュ(in situ)で添加することができる。別の実施形態において、シランは、混合または加工設備への導入前に添加剤または添加剤組成物に添加される。
【0045】
シランに加えて、充填剤と樹脂マトリックスの間の界面を改善するために、他の様々な種類の官能基化剤を添加することができる。官能基化剤の他の例としては、チタネートおよびジルコネート(例えば、KenrichによるKen−react)などの有機金属化合物、アルミネート、超分散剤(例えばルーブリゾールによるソルスパース)、マレイン化ポリブタジエン樹脂またはスチレン無水マレイン酸コポリマー(例えば、Cray Valleyからのもの)などのマレイン化オリゴマーを含む。これらの官能基化剤は、1重量%から約15重量%;または約3重量%から約12重量%;さらに約5重量%から10重量%で使用されてもよい。本明細書および特許請求の範囲中の他の箇所のように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0046】
マスターバッチ組成物は、窒化ホウ素/高分子の複合体を含み、約40重量%から約99重量%;約45重量%から約95重量%;約50重量%から約90重量%;約60重量%から約75重量%;さらに約42重量%から約58重量%の量の高分子樹脂材料を含むことができる。マスターバッチ組成物は、約1重量%から約60重量%;約5重量%から約55重量%;約10重量%から約50重量%;約25重量%から約40重量%;さらに約42重量%から約58重量%の量の窒化ホウ素成分を含むことができる。本明細書および特許請求の範囲中の他の箇所のように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0047】
窒化ホウ素は、任意の適切な方式で樹脂材料に組み込むことができる。一般に、マスターバッチ組成物は、窒化ホウ素を樹脂材料に混合することによって形成することができる。混合は、望ましくは窒化ホウ素が樹脂マトリックス中に十分に分散するように行われる。剪断力が溶融した樹脂に窒化ホウ素を分散させるのに十分になるような条件下で混合が行われる。混合は、樹脂材料を混合するのに適する任意の種類の混合設備または用具によって行うことができる。適切な混合設備の例としては、ブラベンダーミキサー、バンバリミキサー、ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機、遊星ロール押出機などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
上記のように、マスターバッチ組成物は官能基化剤を含むことができる。いかなる特定の理論にも束縛されないが、官能基化剤(例えば、シラン)は、窒化ホウ素の濡れを改善して窒化ホウ素が樹脂材料に容易に混じり合うようにすることができる。一実施形態において、官能基化剤は、窒化ホウ素材料の添加前にまたは添加と共に、樹脂材料に添加され得る。別の実施形態において、窒化ホウ素材料は、樹脂材料への窒化ホウ素の添加前に官能基化剤で処理され得る。
【0049】
一実施形態において、本明細書に記載されるものを含むシランまたは他の官能基化などの官能基化剤を樹脂材料に加えることができる。
【0050】
別の実施形態において、窒化ホウ素は、反応工程に添加されて、樹脂材料を形成することができる。一実施形態において、例えば、窒化ホウ素は、フェノールおよびホルムアルデヒドの反応に添加され、その成分として窒化ホウ素を有するノボラック樹脂を形成することができる。いかなる特定の理論にも束縛されないが、窒化ホウ素は、反応の核形成部位として働くことにより成分の反応を増強することができる。
【0051】
マスターバッチ組成物は、成型、注型などにより適切な形態(例えば、シート)に形成される。次いで、得られたマスターバッチ複合体形態は顆粒化されて、窒化ホウ素および樹脂材料の複合体粉末であるマスターバッチ粉末材料となる。マスターバッチ形態は、ハンマーミリング、ジェットミリング、ボールミリング、垂直ロールミリング、振動ミリング、分級ミル、ふるい分けミル、切削ミルなどを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって粉末粒子へ顆粒化または粉砕することができる。マスターバッチ粉末材料は、粒子の約75%から約100%が200メッシュを通るような粒子径;別の実施形態において、粒子の約95%から約100%が200メッシュを通るような粒子径を有することができる。本明細書において使用されるメッシュは米国標準ふるい系列を指す。本明細書および特許請求の範囲中の他の箇所のように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。
【0052】
粉末は、任意の適切な技法を使用して、粉砕、ミリングなどを含むがこれらに限定されない任意の適切な技法によって形成することができる。一実施形態において、粉砕作業は、粉砕中の粒子の凝集を防ぐための適切な加工剤を使用して行うことができる。なお別の実施形態において、粒子は、所望の様式で樹脂材料に影響を与える別の適切な材料の存在下で粉砕またはミリングすることにより製造することができる。例えば、複合体を好適な硬化剤と混合して複合体の樹脂材料を硬化させることが望ましい場合がある。複合体がノボラック樹脂を含む一実施形態において、粒子は、樹脂を硬化させるヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミンなどの適切な硬化剤の存在下で粉砕することにより形成することができる。一実施形態において、マスターバッチは、約0から約20%の硬化剤;2%から約15%の硬化剤;さらに6%から約12%の硬化剤の存在下で粉砕することができる。
【0053】
本マスターバッチ組成物およびマスターバッチ粒子は様々な用途において使用することができる。マスターバッチ複合体粒子は様々な組成物中の添加剤として使用することができ、潤滑特性および良好な熱伝導率などの望ましい特性を有するそのような組成物を与えることができる。マスターバッチ複合体粉末は、成型品を形成するための基材として使用することができる組成物に組み込むことができ、または、被覆組成物の一部として提供することができる。一態様において、マスターバッチ粒子は潤滑剤として適切であり、潤滑性が所望される組成物または物品に用いることができる。別の態様において、マスターバッチ組成物および粒子は、良好な熱伝導率を有する組成物または物品を提供することができる。
【0054】
マスターバッチ複合体粒子は、粉末または粒子形態のその後の組成物中に存在することができ、または、再溶融して対象とする組成物へブレンドすることができる。一実施形態において、マスターバッチ複合材料は、複合体粉末を再溶融し所望の形状への成型から物品を直接形成するのに使用することができる。
【0055】
マスターバッチ複合体粉末を含む組成物は、窒化ホウ素および樹脂材料の所望量を与えるために選択される量の粉末を含むことができる。
【0056】
本発明は、また、窒化ホウ素を含む摩擦組成物を提供する。摩擦組成物は基材および窒化ホウ素を含む。窒化ホウ素材料は、本開示の態様によるドライブレンド物の一部として、またはマスターバッチ組成物によって添加することができる。一実施形態において、摩擦組成物はブレーキパッド処方物である。一実施形態において、ブレーキパッド処方物は非石綿有機(NAO)処方物である。一実施形態において、ブレーキパッド処方物は、低濃度金属(すなわち、低濃度鋼鉄)処方物である。また別の実施形態において、ブレーキパッド処方物は半金属の処方物である。本処方物は特に限定されず、特定の目的または意図する使用のための要望に応じて選択することができる。一実施形態において、摩擦組成物は、約0.1重量パーセントから約10重量パーセント;約1重量パーセントから約8重量パーセント;約2.5重量パーセントから約7.5重量パーセント;さらに約3重量パーセントから約6重量パーセントの窒化ホウ素を含む。本明細書および特許請求の範囲中のどこか他のところのように、ここでも、数値を組み合わせて新規または非開示の範囲を形成することができる。一実施形態において、摩擦組成物は、約0.1重量パーセントから約7.5重量パーセントの銅を含む。一実施形態において、窒化ホウ素を含むブレーキパッド組成物は、約0.5重量パーセント以下の銅を含む。本明細書において使用される場合、約0.5重量パーセント以下の銅を有する組成物は、銅を実質的に含まないと考えられる。
【0057】
窒化ホウ素を含む摩擦組成物は、窒化ホウ素がなく銅を含む組成物より改善された特性を提供することができる。窒化ホウ素の添加は、窒化ホウ素を含まずより高濃度の銅を有する組成物と比較して、同等または改善された特性を提供することができる。
【0058】
その成分としてマスターバッチ複合体粉末を使用して形成された摩擦組成物は、ブレーキパッドを含むがこれらに限定されないコーティングまたは組成物の一部として使用することができる。発明者らは、その成分としてマスターバッチ窒化ホウ素/樹脂複合体粉末で形成された摩擦処方物を含むブレーキパッドが、摩擦処方物の形成において別々に窒化ホウ素材料および樹脂材料をドライブレンドすることから形成された処方物と比較して、圧縮性、熱圧縮、耐摩耗性および騒音指数に関して優れた特性を示すことができることを見いだした。さらに、摩擦処方物において使用される銅の濃度を低下させつつ、これらの改善された特性を得ることができる。これは、窒化ホウ素の低い装填率でさえ達成することができる。
【0059】
これらおよび本発明の他の態様をさらに説明し、以下の実施例を参照して理解することができる。
【実施例】
【0060】
マスターバッチ組成物
ドライブレンダーで窒化ホウ素とノボラック樹脂粉末を予備混合し、押出機に予備混合物を供給し、配合した材料を冷却することによって、窒化ホウ素/ノボラックマスターバッチ材料を製造する。次いで、ヘキサミン硬化剤の存在下で、配合した材料を粉砕またはミリングすることにより、マスターバッチ粒子を形成する。窒化ホウ素、ノボラックおよび硬化剤に加えて、他の添加剤(例えば、官能基化剤、樹脂改質剤、研摩材、潤滑剤、繊維)も、いずれかの工程段階(例えば、予備混合、配合、粉砕)でマスターバッチに組み込むことができる。
【0061】
ブレーキパッド組成物
比較例1−2
比較のブレーキパッド組成物は以下のように調製する:窒化ホウ素およびノボラック材料を別々にブレーキパッド処方物へドライブレンドすることによって組成物を調製する。
【0062】
実施例1−2
窒化ホウ素および樹脂材料を、マスターバッチ組成物を介して加えるという点を除いて、実施例1−2を同様に調製する。実施例1において、ブレーキパッド組成物は銅を含む。実施例2において、ブレーキパッド組成物は銅を含まない。
【0063】
ブレーキパッド組成物の諸特性は以下のように評価する:
【0064】
全体の摩擦水準は公称μによって表し、フェードはμ14(パッドは焦げない)によって表す。
【0065】
パッドの摩耗は、パッドの膜厚変化を指すパッド厚さ損失として測定する。これは摩耗してパッドから材料が除去されることによる。ディスクの摩耗は、摩耗でのディスクの膜厚変化を指すディスク厚さ損失として測定する。摩耗は、SAE J2522の手順で測定する。
【0066】
騒音指数はSAE J2521の手順によって測定する。
【0067】
表1は、実施例1−2および比較例1−2のブレーキパッド処方物に関する試験の結果を提供する。
【表1】
【0068】
窒化ホウ素/高分子マスターバッチ粉末を用いるブレーキパッドの実施例は、別々の成分として窒化ホウ素および高分子樹脂をドライブレンドすることによって調合したブレーキパッド組成物より改善された特性を示す。例えば、窒化ホウ素/高分子マスターバッチ粉末を使用して調製した実施例1は、最終処方物中に窒化ホウ素および銅の同様の装填率を有する比較例1と比較して著しく改善されたパッド摩耗およびフェード性能を示す。改善されたフェード性能は、0.23から0.31のμ14の35%増加によって示され、改善された摩耗性能は、パッド厚さ損失の平均61%の低減によって示される。
【0069】
実施例2−4は、銅を含む処方物と比較して、窒化ホウ素がブレーキパッド性能への利点を提供することができることを実証する。実施例2は、銅(比較例2)を含む処方物と比較して、窒化ホウ素/高分子マスターバッチ手法を用いる処方物を実証する。ディスク摩耗性能の改善はディスク厚さ損失の平均33%の低減で示され、騒音性能の改善は、4.4から6.5までの騒音指数の2ポイントの増加によって示される。実施例3および4は、ドライブレンド物(マスターバッチとは対照的に)を介して添加された窒化ホウ素を用い、比較例2より騒音指数が2または3ポイント超える。
【0070】
前述の記載は、窒化ホウ素マスターバッチ組成物、そのような組成物から形成された粉末、および本発明の態様によるそのような材料を含む物品の様々な非限定的な実施形態を特定している。当業者および本発明を製造し使用し得る者にとって変更が思い浮かぶことがある。開示される実施形態は、単に説明のためであり、本発明の範囲または特許請求の範囲において述べる主題を限定するようには意図されない。