(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リポソームコアが、様々な長さおよび飽和状態の、スフィンゴ脂質、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質ならびにフィトスフィンゴシン等、様々な長さおよび飽和状態の、リン脂質、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質ならびにプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態の、ステロール、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロールならびに多価不飽和ステロール等、飽和C8〜C22脂肪酸、グリセロールの飽和C8〜C22エーテル誘導体、ならびにC8〜C22脂肪酸の飽和および不飽和アミド誘導体、ならびに、モノ−および1,2−または1,3−ジ−アミノグリセロールから選択される1以上の脂質からなる、請求項1または2に記載のナノ構造体。
免疫刺激物質が、モノホスホリル脂質A、細菌起源からの脂質A、22:0トレハロース、ジメチルジオクタデシル−アンモニウム、Kdo2脂質A、IP3(1,3,4)、IP3(1,3,5)、IP3(1,4,5)、IPR(1,3,4,5)を含むイノシトールホスファート、LPA/S1P受容体選択的アゴニスト、PAFおよびPAFアナログ、リポヌクレオチド、サイクリックLPA、生理活性セラミド、エンドカンナビノイド、アナンダミド、脂質酸化生成物、ジアシルグリセロールホスファート、細菌膜脂質、N−アシルグリシン脂質、アシルカルニチン脂質、ミコール酸、植物脂質抽出物、FSL−1、PAM3CSK4、HKLM、LPS、FLA−ST、イミキモド、レシキモド、C12−IE−DAP、L18−MDP、トール様受容体アゴニスト、NOD受容体アゴニスト、ならびに炎症誘発性免疫受容体アゴニストからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノ構造体。
医薬における使用が、障害を有する対象の処置におけるものであって、障害が、がん、感染性疾患、ウイルス感染、細菌感染、アレルギー、喘息、または自己免疫疾患である、請求項17に記載の使用のための組成物。
【発明の概要】
【0006】
本発明の概要
多価免疫調節物質として機能するリポソーム球状核酸は、本発明の側面に従って提供される。本発明は、いくつかの側面において、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチドを含む、ナノ構造体に基づく。
【0007】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成する、を含む。
【0008】
他の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、ここでオリゴヌクレオチドシェルは、少なくとも1つのパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドから構成される、を含む。
【0009】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、ここでオリゴヌクレオチドシェルは、少なくとも1つのパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドから構成され、ここでパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドは、TLRアゴニストである、を含む。
【0010】
他の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、ここでオリゴヌクレオチドシェルは、少なくとも1つのパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドから構成され、ここでパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドは、TLRアンタゴニストである、を含む。
【0011】
他の態様において、TLRは、TLR3、TLR7、TLR8、TLR9およびTLR13からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、ここでオリゴヌクレオチドシェルは、少なくとも1つのパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドから構成され、ここでパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドは、RIG−Iアゴニストである、を含む。
【0013】
他の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、ここでオリゴヌクレオチドシェルは、少なくとも1つのパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドから構成され、ここでパターン認識受容体調節オリゴヌクレオチドは、RIG−Iアンタゴニストである、を含む。
【0014】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドシェルは、オリゴヌクレオチドおよび担体分子から構成される。
他の態様において、オリゴヌクレオチドシェルは、全体的にオリゴヌクレオチドから構成される。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖DNAオリゴヌクレオチドから構成される。
他の態様において、オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖RNAオリゴヌクレオチドから構成される。
他の態様において、オリゴヌクレオチドは、キメラRNA−DNAオリゴヌクレオチドから構成される。
別の態様において、オリゴヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖DNA、RNAまたはキメラRNA−DNAオリゴヌクレオチドの組み合わせから構成される。
【0015】
別の態様において、オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドは、構造的に同一のオリゴヌクレオチドを有する。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの、構造的に異なるオリゴヌクレオチドを有する。
他の態様において、オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドは、2〜10の異なるオリゴヌクレオチド配列を有する。
【0016】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオアート連結を有する。
他の態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアート連結を有しない。
別の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、CpGモチーフ含有オリゴヌクレオチドを含む、を含む。
いくつかの態様において、CpGオリゴヌクレオチドは、Aクラス、BクラスおよびCクラスCpGオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
【0017】
別の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、免疫刺激性一本鎖または二本鎖RNAを含む、を含む。
【0018】
いくつかの態様において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、ナノ構造体の外表面に露出したその5’末端を有する。
他の態様において、全てのオリゴヌクレオチドは、ナノ構造体の外表面に露出したそれらの5’末端を有する。
別の態様において、オリゴヌクレオチドは、リポソームコアに直接的に連結されている。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、リンカーを通じてリポソームコアに間接的に連結されている。
他の態様において、オリゴヌクレオチドは、1超のリンカーを通じてリポソームコアに間接的に連結されている。
【0019】
別の態様において、リンカーは、1以上の以下のリンカー:トコフェロール、様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質ならびにフィトスフィンゴシン等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、およびプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロール、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、多価不飽和ステロール等、飽和C8〜C22脂肪酸、グリセロールの飽和C8〜C22エーテル誘導体、C8〜C22脂肪酸の飽和および不飽和アミド誘導体、および、モノ−および1,2−または1,3−ジ−アミノグリセロール、ならびに、その誘導体である。
【0020】
別の態様において、オリゴヌクレオチドは、2〜1,000のオリゴヌクレオチドを含む。
いくつかの態様において、リポソームコアは、様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質ならびにフィトスフィンゴシン等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、およびプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロール、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、および多価不飽和ステロール等、飽和C8〜C22脂肪酸、グリセロールの飽和C8〜C22エーテル誘導体、およびC8〜C22脂肪酸の飽和および不飽和アミド誘導体、および、モノ−および1,2−または1,3−ジ−アミノグリセロール、ならびに、その誘導体から選択される1以上の脂質から構成される。
【0021】
別の態様において、リポソームコアは、1種類の脂質から構成される。
いくつかの態様において、リポソームコアは、2〜10の異なる脂質から構成される。
他の態様において、免疫刺激物質は、モノホスホリル脂質A、細菌起源からの脂質A、22:0トレハロース、ジメチルジオクタデシル−アンモニウム、Kdo2脂質A、IP3(1,3,4)、IP3(1,3,5)、IP3(1,4,5)、IPR(1,3,4,5)を含むイノシトールホスファート、LPA/S1P受容体選択的アゴニスト、PAFおよびPAFアナログ、リポヌクレオチド、サイクリックLPA、生理活性セラミド、エンドカンナビノイド、アナンダミド、脂質酸化生成物、ジアシルグリセロールホスファート、細菌膜脂質、N−アシルグリシン脂質、アシルカルニチン脂質、ミコール酸、植物脂質抽出物、FSL−1、PAM3CSK4、HKLM、LPS、FLA−ST、イミキモド、レシキモド、C12−IE−DAP、L18−MDP、トール様受容体アゴニスト、NOD受容体アゴニストならびに炎症誘発性免疫受容体アゴニストからなる群から選択される。
【0022】
別の態様において、ナノ構造体は、抗原をさらに含む。
いくつかの態様において、抗原は、ナノ構造体とともに混合される。
他の態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドシェルに直接的に連結されている。
いくつかの態様において、抗原は、リンカーを通じてオリゴヌクレオチドシェルに間接的に連結されている。
他の態様において、抗原は、リポソームコアに直接的に連結されている。
さらに別の態様において、抗原が、リンカーを通じてリポソームコアに間接的に連結されている。
別の態様において、抗原−オリゴヌクレオチドのコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを通じてリポソームコアに連結されている。
【0023】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここで免疫刺激物質は、リポソームコア内に埋め込まれることによりリポソームコアと結び付けられる、を含む。
【0024】
他の態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここで免疫刺激物質は、リポソームコアに間接的に連結されていることによりリポソームコアと結び付けられる、を含む。
【0025】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここで免疫刺激物質は、リポソームコアに直接的に連結されていることによりリポソームコアと結び付けられる、を含む。
【0026】
いくつかの態様において、ナノ構造体は、脂質二重層を有するリポソームコア、ここで免疫刺激物質または免疫抑制物質は脂質二重層と結び付けられ、および、リポソームコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチド、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成し、オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドが、放射状に、外側に指向する、を含む。
【0027】
他の態様において、リンカーは、トコフェロール、様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質、およびフィトスフィンゴシンなどのスフィンゴ等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、およびプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロール、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、および多価不飽和ステロール等、飽和C8〜C22脂肪酸、グリセロールの飽和C8〜C22エーテル誘導体、C8〜C22脂肪酸の飽和および不飽和アミド誘導体、および、モノ−および1,2−または1,3−ジ−アミノグリセロール、ならびに、その誘導体からなる群から選択される。
【0028】
いくつかの態様において、抗原は、内部の水性層中のリポソームコア内にカプセル化されている。
他の態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドに、非共有結合的に付着されている。
他の態様において、抗原は、がん抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、寄生虫抗原、ハプテンおよびアレルゲンからなる群から選択される。
いくつかの態様において、ナノ構造体は、自己アセンブリナノ構造体である、
本発明の別の側面において、核酸ナノ構造体を、免疫応答を促進するのに有効な量で、対象に投与することを含む、対象を処置するための方法を含む。
【0029】
1つの態様において、対象は、障害を有し、方法は、障害を処置するための方法である。
別の態様において、障害は、がんである。
いくつかの態様において、障害は、感染性疾患である。
他の態様において、感染性疾患は、ウイルス感染である。
いくつかの態様において、感染性疾患は、細菌感染である。
別の態様において、障害は、アレルギーである。
いくつかの態様において、障害は、喘息である。
別の態様において、障害は、自己免疫疾患である。
いくつかの態様において、対象に治療プロトコールを施すことをさらに含む。
別の態様において、治療プロトコールは、手術である。
いくつかの態様において、治療プロトコールは、放射線である。
他の態様において、治療プロトコールは、医薬である。
1つの態様において、方法は、アジュバントを投与することをさらに含む。
【0030】
1つの態様において、対象は、障害を有し、方法は、障害を処置するための方法であり、ナノ構造体は、標的分子と結び付けられる。
1つの態様において、対象は、障害を有し、方法は、障害を処置するための方法であり、ナノ構造体は、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、呼吸器、直接注射、浣腸および経皮からなる群から選択される経路により送達される。
【0031】
別の側面において、疾患の処置における使用のための組成物は、核酸ナノ構造体よびこれらの態様を含む。
【0032】
本発明の限定の各々は、本発明の様々な態様を包含することができる。したがって、任意の1つの要素または要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々は、本発明の各側面に含まれ得ることが予想される。本発明はその適用において、以下の記載に説明されまたは図面に例証された構成要素の構成および配置の詳細に限定されない。本発明は、他の態様で、および様々な方法で、実践または実施可能である。本発明の1以上の態様の詳細は、添付の発明の詳細な説明、例、特許請求の範囲および図面に説明される。本発明の他の特徴、目的および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかであるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の特定の態様の詳細な説明
トール様受容体(TLR)は、先天性免疫細胞の活性化を引き起すパターン認識受容体(PRR)のファミリーであり、それらのエフェクター機能を促進し、かつ先天性免疫と獲得免疫との橋渡しをする。TLRを刺激する剤は、これらの受容体が免疫応答に従って果たす中心的な役割のために、潜在的な治療的および予防的化合物として、広範囲にわたり調査されている。免疫細胞が病原体を処理するときに、複数のTLRおよび免疫受容体が刺激される方法と同様に、複数の化合物による複数のTLRの刺激が、すぐれた有効性を生じ得ることは示されている。しかしながら、組み合わせにおいて複数のTLRアゴニストを有効的に送達することは、多数の理由:(1)相乗効果は、それらの典型的に異なるIC50またはEC50値に起因して、2つの化合物間の固定された濃度比率の狭いウインドウにおいてのみしばしば観察されること、(2)異なるサイズ、電荷および疎水性などの異なる物理化学的特性は、それらを互いに付着させることを困難にし得るか、またはそれらに大幅に異なるPK/PD/ADME特性を与え得ること、(3)化合物の毒性レベルは異なる傾向にあること、および(4)1以上の異なる化合物の標的受容体は、細胞基質などの到達しがたい場合があるか、またはエンドソームもしくはリソソームなどの分解性区画に位置する場合があること、から困難であり得る。
【0045】
予想しないほど高い免疫調節活性を有するナノ構造体の新規のクラスは、本発明に従って開発されている。これらのナノ構造体は、免疫調節リポソーム球状核酸(時おり、SNAと呼ばれる)である超分子アセンブリである。これらのナノ構造体は、高度に空間時間的に統制された方式において、免疫調節材料の組み合わせを細胞に送達することができる(例は
図1〜3に示される)。これらのナノ構造体の顕著な特徴は、コア内のみならず外のシェル内の双方への免疫調節材料の組み込みであり、それは免疫応答の程度および質の観点において、予想外の免疫調節効果の達成のために協調して働く。これらの免疫調節効果は、材料を個別に、または同じ構築物中に物理的に一緒に結びついていない組み合わせで送達することによっては、達成され得ない。単一の構造体中への全ての構成要素のアセンブリが、最適な効果を達成するのに重要であることは、本発明に従って実証される(データは
図6〜7に描かれる)。
【0046】
上記に加えて、多価免疫調節構造体と併せた、抗原の共送達を達成するための方法はまた、開発された(例は
図2〜3に描かれる)。これは、これらの構築物が、様々な疾患に対する強固な免疫応答を誘導するために先天性免疫および獲得免疫を橋渡しする抗原シグナルおよび共刺激シグナルの双方を送達することを可能にするか(刺激適用)、あるいは刺激シグナルの欠如により、またはアンタゴニスト分子によって免疫シグナル伝達を阻害することにより達成される、共刺激の不在において抗原を送達することにより抗原特異的寛容を引き出し、エフェクター細胞アネルギーまたは制御T細胞の誘導を導くことを可能する(制御適用)。
【0047】
現在、免疫学的効果を誘導するために臨床において用いられている方法は、一般的に、2つのカテゴリー:1)中でも、免疫応答を活性化または増強する化合物、例えば、ワクチンおよびアジュバント、イミキモドおよびレシキモドなどのトール様受容体の小分子アゴニスト、またはISS1018(Dynavax Technologies Corporation)などのオリゴヌクレオチド等、および2)望ましくない免疫応答を低減させるように作用する化合物、例えば、コルチコステロイド、シクロスポリンおよびタクロリムス等に分けられる。これらの化合物は、当業者に知られているかなりの制約を有する。
【0048】
一般的に、従来技術における免疫刺激の試みは、標的抗原に対する強固な細胞性免疫応答を活性化する能力の欠如により限定されており、HIV、結核、マラリア、デング熱、クラミジアなどの様々な感染性疾患のための、有効的で費用効率の高いワクチンの開発の失敗を導く。同様に、がんのための様々な実験的ワクチン化合物は、後期ステージの臨床試験におけるそれらの主要エンドポイントに到達しない。未だ満足に適うように見えない重要な挑戦は、優れた結果を達成することができる抗原および免疫刺激物質の製剤である。本発明のナノ構造体は、これらのゴールを達成し、腫瘍量の著しい(95%)減少のエビデンスを伴う、in vivoにおける抗原に対する強力な細胞性応答の活性化を引き起した(
図12)。
【0049】
本発明のナノ構造体は:(1)脂質二重層に埋め込まれるか、またはそれと結び付けられる免疫刺激物質を含有する、脂質二重層を有するリポソームコア、および(2)オリゴヌクレオチドシェルであってもよく、そしてナノ構築物を免疫細胞に対して標的化させることを助け、かつ核酸を認識することができる免疫受容体を刺激するという作用も有するという点で、二重の機能を有する、オリゴヌクレオチドの層を含む(
図1)。抗原は、それが共刺激シグナルと一緒に送達されるように、この構築物とカップリングされてもよい(
図2)。
図1に示されるものと同様の構築物は、さらなる修飾を受け、それにより、抗原がコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドは、ナノ構造体に付着されている。あるいは、またはさらに、水溶性免疫刺激物質または抗原は、コア中にカプセルされ得る。
【0050】
本発明のナノ構造体は、リポソームコアを含む。本明細書で使用されるリポソームコアは、脂質二重層を形成する脂質またはリン脂質の構成要素により形成される中心に位置するコア区画を指す。「リポソーム」は、人工的な、様々なサイズおよび構造の自己閉鎖小胞性構造であり、1またはいくつかの膜が水性コアをカプセル化する。もっとも典型的には、リポソーム膜は、脂質二重層膜から形成され、親水性頭部は、水性環境に向いて指向し、脂質鎖は、親油性コアに埋め込まれる。リポソームは、他の両親媒性モノマー分子、およびブロックコポリマーのようなポリマーまたはポリペプチドなどのポリマー分子からも形成され得る。単層の小胞は、水性空間を取り囲む単一の膜により定義されるリポソームである。これに対して、オリゴ−または複数層小胞は、いくつかの膜で組み立てられる。典型的に、膜は、おおよそ4nmの厚さで、天然または合成起源のリン脂質などの両親媒性脂質から成り立つ。随意的に、膜特性は、ステロールまたはコール酸誘導体などの他の脂質の組み込みにより修飾され得る。
【0051】
脂質二重層は、脂質分子の2つの層から成り立つ。層中の各脂質分子は、
図1〜3の概略図に示されるように、隣接する脂質二重層に実質的に平行に指向し、二重層を形成する2つの層は、水性相に暴露されるそれらの分子の極性末端および互いに隣接する非極性末端を有する。リポソームコアの中心の水性領域は、空であるか、または水、水性エマルジョン、抗原、免疫刺激物質、免疫抑制物質または他の治療剤もしくは診断剤で全体的にまたは部分的に充填されてもよい。
【0052】
「脂質」は、脂肪、脂質、原形質のアルコール−エーテル可溶性構成成分を包含する一般的な用語としてその従来の意味を指し、それらは水に不溶性である。脂質は通常、親水性部分および疎水性部分からなる。水中において、脂質は、二重層膜を形成するように自己組織化することができ、ここで親水性部分(頭部)は水性相に向いて指向し、親油性部分(アシル鎖)は、二重層コア中に埋め込まれる。脂質は、2つの親水性部分も含むことができる(双頭型両親媒性化合物)。その場合において、膜は、二重層ではなく、単一の脂質層から形成されてもよい。現在の文脈における脂質についての典型的な例としては、脂肪、脂肪油、ワックス、ステロイド、ステロール、リン脂質、グリコ脂質、スルホ脂質、アミノ脂質、クロモ脂質、および脂肪酸である。用語は、天然の脂質および合成の脂質の双方を包含する。本発明に関して好ましい脂質は:ステロイドおよびステロール、特にコレステロール、ホスファチジル、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンおよびスフィンゴミエリンを含むリン脂質である。脂肪酸が存在する場合、それらは、約12〜24炭素鎖長であり、最大6つの二重結合を含有し得る。脂肪酸は骨格に連結し、それはグリセロールに由来してもよい。1つの脂質内の脂肪酸は、異なることができ(非相称)、あるいは1つの脂肪酸鎖、例えばリゾレシチンのみが存在してもよい。混合製剤はまた、特に、非カチオン性脂質が卵黄、ウシの心臓、脳、肝臓またはダイズから精製されたレシチン(ホスファチジルコリン)などの、天然のソースに由来する場合も可能である。
【0053】
リポソームコアは、限定はされないが:様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えば、スフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質、およびフィトスフィンゴシン等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えば、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、およびプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロールならびにその誘導体、例えば、コレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、および多価不飽和ステロール等を含む、当業者に知られている1以上の脂質から構成され得る。
【0054】
免疫刺激物質は、リポソームコアの脂質二重層と結び付けられる。本明細書で使用される免疫刺激物質は、1以上の免疫因子、すなわち、サイトカイン、免疫細胞、抗体、ケモカインを誘導するか、または活性化するような、免疫系の刺激を引き起す物質である。免疫応答は、細胞性および/または体液性応答を含んでもよい。免疫刺激物質は、例えば、小分子、核酸、タンパク質、またはこれらの組み合わせであり得る。免疫刺激物質はまた、局限性の微細環境の細胞上の免疫刺激性分子の発現を活性化することができてもよい。
【0055】
二重層に組み込まれる免疫刺激物質は、限定はされないが:モノホスホリル脂質A、細菌起源からの脂質A、22:0トレハロース、ジメチルジオクタデシル−アンモニウム、Kdo2脂質A、IP3(1,3,4)、IP3(1,3,5)、IP3(1,4,5)、IPR(1,3,4,5)を含むイノシトールホスファート、LPA/S1P受容体選択的アゴニスト、PAFおよびPAFアナログ、リポヌクレオチド、サイクリックLPA、生理活性セラミド、エンドカンナビノイド、アナンダミド、脂質酸化生成物、ジアシルグリセロールホスファート、細菌膜脂質、N−アシルグリシン脂質、アシルカルニチン脂質、ミコール酸、植物脂質抽出物、FSL−1、PAM3CSK4、HKLM、LPS、FLA−ST、イミキモド、レシキモド、C12−IE−DAP、L18−MDPならびにトール様受容体、NOD受容体および免疫応答の誘導に生産的であるだろう他の炎症誘発性免疫受容体を刺激することができる当業者に知られている他の化合物を含む、多種多様な分子であり得る。
【0056】
免疫刺激物質は、リポソームコアと結び付けられる。それは、コア内に埋め込まれることにより結び付けられていてもよく、あるいは間接的に(すなわち、リンカーなどの他の分子を通じて非共有結合的にまたは共有結合的に)または直接的に(すなわち、共有結合的に)付着または連結されていてもよい。
【0057】
本発明のナノ構造体はまた、好ましくは、治療的オリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを含む。本明細書で使用されるオリゴヌクレオチドは、分子を含有する任意の核酸を指す。核酸は、DNA、RNA、PNA、LNA、ENAもしくは組み合わせまたはそれらの修飾物でもよい。それはまた、一本鎖、二本鎖または三本鎖でもよい。治療的オリゴヌクレオチドは、治療剤およびまたは診断剤として機能することができるオリゴヌクレオチドである。
【0058】
オリゴヌクレオチドは、リポソームコアの外部に配置される。少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、外部に存在する。いくつかの態様において、少なくとも25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900もしくは1,000オリゴヌクレオチドまたはそれらの任意の範囲の組み合わせが、リポソームコアの外部に存在する。いくつかの態様において、1〜1000、10〜500、50〜250、または50〜300オリゴヌクレオチドは、表面に存在する。いくつかの例において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドシェルを形成する。オリゴヌクレオチドシェルは、リポソームの外部表面の利用可能な表面積の少なくとも50%がオリゴヌクレオチドを含む場合に、形成される。いくつかの態様において、リポソームの外部表面の利用可能な表面積の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%は、オリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドシェルのオリゴヌクレオチドは、様々な方向に指向してもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、放射状に、外側に指向する。
【0059】
オリゴヌクレオチドは、コアに連結されていても、または直接的に、もしくはリンカーを通じて間接的に、のいずれかで、抗原などの1つの別のおよび/もしくは他の分子に連結されていてもよい。オリゴヌクレオチドは、5’末端または3’末端を介してリンカーにコンジュゲートされていてもよい。例えば、[配列、5’−3’]−リンカーまたはリンカー−[配列、5’−3’]。ナノ構造体のいくつかの、または全てのオリゴヌクレオチドは、共有結合的または非共有結合的連結を通じて、直接的に、または間接的に、のいずれかで、互いに連結されていてもよい。1つのオリゴヌクレオチドと別のオリゴヌクレオチドとの連結は、加えて、または代替的に、そのオリゴヌクレオチドとリポソームコアとの連結であってもよい。1以上のオリゴヌクレオチドはまた、抗原などの他の分子と連結していてもよい。オリゴヌクレオチドは、共有または非共有結合的連結を通じて、直接的に、または間接的に、のいずれかで、コアの抗原と連結していてもよい。
【0060】
オリゴヌクレオチドシェルは、限定はされないが:一本鎖デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および当業者に知られている1または複数の修飾を組み込む他の一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および当業者に知られている1または複数の修飾を組み込む他の二本鎖オリゴヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドを組み込むオリゴヌクレオチドトリプレックス、リボヌクレオチド、または当業者に知られている1または複数の修飾を組み込むオリゴヌクレオチドを含む多種多様な分子であり得る。別の態様において、1または複数の異なるオリゴヌクレオチドは、単一のリポソームナノ構造体の同じ表面に存在する。
【0061】
オリゴヌクレオチドシェルは、限定はされないが:トコフェロール、様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質ならびにフィトスフィンゴシン等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、およびプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロールおよびその誘導体、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、および多価不飽和ステロール等を含む1または複数のリンカー分子とのコンジュゲーションを通じて、リポソームコアの表面にアンカーされてもよい。
【0062】
オリゴヌクレオチドは、刺激されたときに、その相互作用に応答して免疫応答を生じる、分子または分子の複合体と相互作用する核酸であってもよい。分子または分子の複合体は、受容体であってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、パターン認識受容体(PRR)調節オリゴヌクレオチドであってもよい。PRRは、先天性免疫系の細胞によって発現されるタンパク質からなる免疫系の原始的な部分であり、微生物病原体または細胞ストレスに関連する病原体関連分子パターン(PAMP)、および細胞損傷の間に放出される細胞構成要素に関連する損傷関連分子パターン(DAMP)を識別する。PRRは、限定はされないが、膜結合PRR、例えば受容体キナーゼ、トール様受容体(TLR)、およびC型レクチン受容体(CLR)(マンノース受容体およびアシアロ糖タンパク質受容体)など;細胞質PRR、例えばRIG−I様受容体(RLR)、RNAヘリカーゼ、植物PRR、およびNonRDキナーゼ;ならびに分泌PRRを含む。PRR調節オリゴヌクレオチドは、限定はされないが、TLRアゴニスト、RIG−Iのアゴニストまたはアンタゴニスト、転写因子、細胞翻訳機構、細胞転写機構、核酸作用酵素、および核酸関連自己抗原を含む。この態様の1つの例としては、非メチル化5’−シトシン−ホスファート−グアノシン−3’(CpG)モチーフの使用である。別の例としては、5’−UUG−3’または5’−UUA−3’モチーフの使用である。さらに別の例としては、長い二重鎖RNAの使用である。
【0063】
本明細書で使用される場合、TLRアゴニストは、TLRと相互作用し、かつその活性を刺激する核酸分子である。トール様受容体(TLR)は、哺乳動物の先天性免疫において重要な役割を果たす、高度に保存されたポリペプチドのファミリーである。TLR1〜TLR10と指定されている、少なくとも10のファミリーメンバーが同定されている。様々なTLRの細胞質ドメインは、トール−インターロイキン1(IL−1)受容体(TIR)ドメインによって特徴付けられる。Medzhitov R et al. (1998) Mol Cell 2:253-8。TLRによる微生物侵入の認識は、ショウジョウバエと哺乳動物において進化的に保存されているシグナル伝達カスケードの活性化を引き起こす。TIRドメイン含有アダプタータンパク質MyD88は、TLRと関連して、IL−1受容体関連キナーゼ(IRAK)および腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連因子6(TRAF6)を、TLRへ動員することが報告されている。MyD88依存性シグナル伝達経路は、NF−κB転写因子およびc−Jun NH
2末端キナーゼ(Jnk)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の活性化、すなわち免疫活性化および炎症性サイトカインの産生における重要なステップを導くと考えられている。総説については、Aderem A et al. (2000) Nature 406:782-87を参照。
【0064】
TLRは、様々な組織および様々な種類の免疫細胞において差次的に発現されると考えられている。例えば、ヒトTLR7は、胎盤、肺、脾臓、リンパ節、扁桃腺、および形質細胞様前駆樹状細胞(pDC)で発現されることが報告されている。Chuang T-H et al. (2000) Eur Cytokine Netw 11:372-8); Kadowaki N et al. (2001) J Exp Med 194:863-9。ヒトTLR8は、肺、末梢血白血球(PBL)、胎盤、脾臓、リンパ節、および単球で発現することが報告されている。Kadowaki N et al. (2001) J Exp Med 194:863-9; Chuang T-H et al. (2000) Eur Cytokine Netw 11:372-8。ヒトTLR9は、脾臓、リンパ節、骨髄、PBLで、ならびにpDCおよびB細胞上で発現されると報告されている。Kadowaki N et al. (2001) J Exp Med 194:863-9; Bauer S et al. (2001) Proc Natl Acad Sci USA 98:9237-42; Chuang T-H et al. (2000) Eur Cytokine Netw 11:372-8。
【0065】
ヒトおよびマウスのTLR7のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている。例えば、GenBank受託番号AF240467、AF245702、NM_016562、AF334942、NM_133211;およびAAF60188、AAF78035、NP_057646、AAL73191およびAAL73192を参照、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ヒトTLR7は、1049アミノ酸長であると報告されている。マウスTLR7は1050アミノ酸長であると報告されている。TLR7ポリペプチドは、ロイシンリッチリピート領域を含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、およびTIRドメインを有する細胞内ドメインを含む。
【0066】
ヒトおよびマウスのTLR8のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている。例えば、GenBank受託番号AF246971、AF245703、NM_016610、XM_045706、AY035890、NM_133212;およびAAF64061、AAF78036、NP_057694、XP_045706、AAK62677およびNP_573475を参照、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ヒトTLR8は、少なくとも2つのアイソフォームで存在することが報告されており、1つは1041アミノ酸長であり、他は1059アミノ酸長である。マウスTLR8は1032アミノ酸長である。TLR8ポリペプチドは、ロイシンリッチリピート領域を有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、およびTIRドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0067】
ヒトおよびマウスのTLR9のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている。例えば、GenBank受託番号NM_017442、AF259262、AB045180、AF245704、AB045181、AF348140、AF314224、NM_031178;およびNP_059138、AAF72189、BAB19259、AAF78037、BAB19260、AAK29625、AAK28488、およびNP_112455を参照、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ヒトTLR9は、少なくとも2つのアイソフォームで存在することが報告されており、1つは1032アミノ酸長であり、他は1055アミノ酸長である。マウスTLR9は1032アミノ酸長である。TLR9ポリペプチドは、ロイシンリッチリピート領域を有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、およびTIRドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0068】
本明細書で使用する用語「TLRシグナル伝達」は、TLRを通したシグナル伝達に関連する、細胞内シグナル伝達の任意の側面を指す。本明細書で使用する用語「TLR媒介性免疫応答」は、TLRシグナル伝達に関連する免疫応答を指す。TLRシグナル伝達のレベルは、シグナル伝達の前に存在するレベルを超えて増大されてもよいか、またはそれはシグナル伝達のバックグラウンドレベルを超えて誘導されてもよい。
【0069】
TLR3媒介性免疫応答は、TLR3シグナル伝達に関連する応答である。TLR3アゴニストは、限定されないが、複数のAUモチーフを有するdsRNAなどのdsRNAを含む。
【0070】
TLR7媒介性免疫応答は、TLR7シグナル伝達に関連する応答である。TLR7媒介性免疫応答は、一般に、IFN−αおよび、IP−10およびI−TACなどのIFN誘導性サイトカインの誘導によって特徴付けられる。TLR7媒介性免疫応答において誘導されるサイトカインIL−1α/β、IL−6、IL−8、MIP−1α/βおよびMIP−3α/βのレベルは、TLR8媒介性免疫応答において誘導されるものよりも低い。TLR7リガンドは、限定することなく、C8置換グアノシンなどのグアノシンアナログ、本質的にGおよびUからなるリボヌクレオシドの混合物、グアノシンリボヌクレオチドおよびRNAまたはRNA様分子(PCT/US03/10406)、ならびにアデノシンベースの化合物(例えば6−アミノ−9−ベンジル−2−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−9H−プリン−8−オール、およびSumitomoにより作製された類似化合物(例えば、CL−029))を含む。
【0071】
本明細書で使用する用語「グアノシンアナログ」は、グアニン塩基、グアノシンヌクレオシド糖、またはグアニン塩基とグアノシンヌクレオシド糖の両方を含む化学的修飾を有する、グアノシン様ヌクレオチド(グアノシンを除く)を指す。グアノシンアナログは、具体的には、限定することなく、7−デアザ−グアノシンを含む。
【0072】
グアノシンアナログはさらに、C8置換グアノシン、例えば7−チア−8−オキソグアノシン(イムノシン)、8−メルカプトグアノシン、8−ブロモグアノシン、8−メチルグアノシン、8−オキソ−7,8−ジヒドログアノシン、C8−アリールアミノ−2’−デオキシグアノシン、C8−プロピニル−グアノシン、C8−およびN7−置換グアニンリボヌクレオシド、例えば7−アリル−8−オキソグアノシン(ロキソリビン)および7−メチル−8−オキソグアノシン、8−アミノグアノシン、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン、8−ヒドロキシグアノシン、および7−デアザ8−置換グアノシンを含む。
【0073】
TLR8媒介性免疫応答は、TLR8シグナル伝達に関連する応答である。この応答は、例えば、IFN−γ,IL−12p40/70、TNF−α、IL−1α/β、IL−6、IL−8、MIP−1α/βおよびMIP−3α/βなどの炎症誘発性サイトカインの誘導により、さらに特徴付けられる。TLR8リガンドは、GおよびUから本質的になるリボヌクレオシドの混合物、グアノシンリボヌクレオチドおよびRNAまたはRNA様分子を含む(PCT/US03/10406)。さらなるTLR8リガンドは、Gorden et al. J. Immunol. 2005, 174:1259-1268にも開示されている。
【0074】
本明細書で使用される場合、「TLR7/8アゴニスト」は、TLR7および/またはTLR8シグナル伝達を増加させることができる、任意の核酸を集合的に指す(すなわち、TLR7および/またはTLR8のアゴニスト)。いくつかのTLR7/8リガンドは、TLR7シグナル伝達のみを誘導し(例えば、TLR7特異的アゴニスト)、いくつかはTLR8シグナル伝達のみを誘導し(例えば、TLR8特異的アゴニスト)、他は、TLR7およびTLR8シグナル伝達の両方を誘導する。
【0075】
TLR9媒介性免疫応答は、TLR9シグナル伝達に関連する応答である。この応答は、少なくとも、IFN−γとIL−12の産生/分泌によってさらに特徴付けられるにもかかわらず、TLR8媒介性免疫応答を介して達成されるよりも低いレベルである。本明細書で使用する用語「TLR9アゴニスト」は、TLR9シグナル伝達を増加させることができる任意の剤を指す(すなわち、TLR9のアゴニスト)。TLR9アゴニストは、具体的には、限定することなく、免疫刺激性核酸、および特にCpG免疫刺激性核酸を含む。
【0076】
「免疫刺激性CpG核酸」または「免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチド」は、免疫細胞を活性化することができる任意のCpG含有核酸を指す。CpGジヌクレオチドの少なくともCは、典型的には(必ずしもそうではないが)、非メチル化されている。免疫刺激性CpG核酸は、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,218,371号;第6,239,116号;第6,339,068号;第6,406,705号;および第6,429,199号を含む、多くの発行特許および公開特許出願に記載されている。
【0077】
TLR13媒介性免疫応答は、TLR13シグナル伝達に関連する応答である。TLR13アゴニストは、細菌23SrRNAである。
オリゴヌクレオチドはまた、レチノイン酸誘導性遺伝子−I(RIG−I)アゴニストまたはアンタゴニストでもよい。RIG−Iは、GenBank受託番号AF038963に対応する。RIG−Iアゴニストは、限定はされないが、ポリ(I:C)などのdsRNAを含む。RIG−Iアンタゴニストは、短い5’トリホスファートDNAまたはRNAを含む。
【0078】
「免疫刺激性オリゴヌクレオチド」は、免疫応答を誘導することができる免疫刺激性モチーフまたは骨格を含有する任意の核酸(DNAまたはRNA)である。免疫応答の誘導は、免疫細胞の数または活性の任意の増加、またはサイトカインなどの免疫因子の発現または絶対レベルの増加を指す。免疫細胞は、限定はされないが、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、B細胞、樹状細胞、マクロファージおよび他の抗原提示細胞を含む。サイトカインは、限定はされないが、インターロイキン、TNF−α、IFN−α、βおよびγ、Fltリガンド、ならびに共刺激性分子を含む。免疫刺激性モチーフは、限定はされないが、CpGモチーフおよびTリッチモチーフを含む。
【0079】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドの非限定的な組は、以下を含む:
【数1】
【0081】
用語「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は互換的に使用され、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基に連結され、置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)またはウラシル(U))または置換プリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである交換可能な有機塩基に連結された糖(リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)を意味する。したがって、この用語は、DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドの双方を包含する。用語はまた、オリゴヌクレオシド(すなわち、オリゴヌクレオチドからホスファートを引いたもの)および任意の他の有機塩基含有ポリマーを含む。オリゴヌクレオチドは、既存の核酸ソース(例えば、ゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成である(例えば、核酸合成によって産生される)。
オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってもよい。二本鎖オリゴヌクレオチドはまた、本明細書において二重鎖とも呼ばれる。本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つの別々の相補的な核酸鎖を含むことができる。
【0082】
本明細書で使用される「二重鎖」は、相補配列または部分的に相補的な配列が互いに水素結合した、二本鎖核酸分子を含む。相補配列は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含むことができる。アンチセンスヌクレオチド配列は、標的遺伝子配列に対する効果的な標的遺伝子阻害を媒介するために、標的遺伝子に対して同一であるか、または十分に同一であることができる(例えば、少なくとも約98%同一、96%同一、94%、90%同一、85%同一、または80%同一)。
【0083】
二本鎖オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって二本鎖であることができ、それがオーバーハングする一本鎖配列を有さず、したがって平滑末端であることを意味する。他の態様において、二本鎖オリゴヌクレオチドの二本の鎖は、1以上の一本鎖オーバーハングを生じる、異なる長さを有することができる。本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、ミスマッチおよび/またはループまたはバルジを含有し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超が、二本鎖である。いくつかの態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも、または最大、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15個のミスマッチを含有する。
【0084】
本発明に関連するオリゴヌクレオチドは、例えば糖部分、ホスホジエステル連結、および/または塩基などにおいて、修飾され得る。本明細書で使用される「糖部分」は、ペントース、リボースおよびデオキシリボースを含む天然で未修飾の糖、修飾された糖、および糖アナログを含む。糖部分の修飾は、ヒドロキシル基の、ハロゲン、ヘテロ原子、または脂肪族基による置換を含むことができ、例えば、エーテル、アミンまたはチオールなどの、ヒドロキシル基の官能化を含むことができる。
【0085】
糖部分の修飾は、2’−O−メチルヌクレオチドを含むことができ、これは「メチル化」と呼ばれる。いくつかの例において、本発明に関連するオリゴヌクレオチドは、修飾または未修飾の糖部分のみを含有してもよく、一方他の例において、オリゴヌクレオチドは、修飾されたいくつかの糖部分および修飾されていないいくつかの糖部分を含有する。
【0086】
いくつかの例において、修飾ヌクレオモノマーは、糖−または骨格−修飾リボヌクレオチドを含む。修飾リボヌクレオチドは、5’位で修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば5’−(2−アミノ)プロピルウリジンおよび5’−ブロモウリジン;8位で修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば、8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7−デアザ−アデノシン;およびN−アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6−メチルアデノシンなどの非天然塩基を含有し得る。また、糖修飾リボヌクレオチドは、2’−OH基を、H、アルコキシ(もしくはOR)、Rもしくはアルキル、ハロゲン、SH、SR、アミノ(例えば、NH
2、NHR、NR
2)、またはCN基で置き換えて有していてもよく、式中Rは、低級アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。いくつかの態様において、修飾リボヌクレオチドは、ホスホロチオアート基などの修飾基で置き換えられた隣接するリボヌクレオチドに接続するホスホジエステル基を有し得る。
【0087】
いくつかの側面において、2’−O−メチル修飾は、二本鎖核酸に対するインターフェロン応答などの、望ましくない細胞ストレス応答を低減させるために有益であり得る。修飾された糖は、D−リボース、2’−O−アルキル(2’−O−メチルおよび2’−O−エチルを含む)、すなわち、2’−アルコキシ、2’−アミノ、2’−S−アルキル、2’−ハロ(2’−フルオロを含む)、2’−メトキシエトキシ、2’−アリルオキシ(−OCH
2CH=CH
2)、2’−プロパルギル、2’−プロピル、エチニル、エテニル、プロペニル、およびシアノ基などを含むことができる。糖部分はまた、ヘキソースであることができる。
【0088】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含む。いくつかの態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に6個以下の(例えば、直鎖についてC
1〜C
6、分枝鎖についてC
3〜C
6)、およびより好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に3〜8個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造に5または6個の炭素を有する。用語C
1〜C
6は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を含む。
【0089】
特に断りのない限り、用語アルキルは、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、この後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置き換える、独立して選択される置換基を有するアルキル部分を指す。用語「アルケニル」は、上記のアルキルと長さおよび可能な置換において類似するが、少なくとも1つの二重結合を含有する、不飽和脂肪族基を含む。特に断りのない限り、用語アルケニルは、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、後者は炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置き換える、独立して選択される置換基を有するアルケニル部分を指す。
【0090】
用語「塩基」は、知られているプリンおよびピリミジン複素環式塩基、デアザプリン、およびアナログ(ヘテロ環置換アナログ、例えば、アミノエチオキシフェノキサジンを含む)、誘導体(例えば、1−アルキル−、1−アルケニル−、ヘテロ芳香族−および1−アルキニル誘導体)およびその互変異性体を含む。プリンの例としては、アデニン、グアニン、イノシン、ジアミノプリン、およびキサンチンおよびアナログ(例えば、8−オキソ−N
6−メチルアデニンまたは7−ジアザキサンチン)ならびにそれらの誘導体を含む。ピリミジンは、例えば、チミン、ウラシル、およびシトシン、ならびにそれらのアナログ(例えば、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−(1−プロピニル)ウラシル、5−(1−プロピニル)シトシンおよび4,4−エタノシトシン)を含む。適切な塩基の他の例としては、2−アミノピリジンおよびトリアジンなどの非プリニルおよび非ピリミジニル塩基を含む。
【0091】
いくつかの側面において、本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオモノマーは、修飾RNAヌクレオチドを含むRNAヌクレオチドである。
用語「ヌクレオシド」は、糖部分に、好ましくはリボースまたはデオキシリボースに共有結合的に付着された塩基を含む。好ましいヌクレオシドの例としては、リボヌクレオシドおよびデオキシリボヌクレオシドを含む。ヌクレオシドはまた、遊離カルボキシル基、遊離アミノ基、または保護基を含んでいてもよいアミノ酸またはアミノ酸アナログに連結された塩基を含む。適切な保護基は、当該技術分野でよく知られている(P. G. M. Wuts and T. W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, 2
nd Ed., Wiley-Interscience, New York, 1999を参照)。
【0092】
インターヌクレオチド連結の文脈において、本明細書で使用する用語「連結」は、隣接するヌクレオモノマーに共有結合する、天然の未修飾ホスホジエステル部分(−O−(PO
2−)−O−)を含む。本明細書で使用する用語「置換連結」または「修飾連結」または「修飾インターヌクレオチド連結」は、隣接するヌクレオモノマーに共有結合する、天然のホスホジエステル基の任意のアナログもしくは誘導体を含む。置換連結は、ホスホジエステルアナログ、例えば、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、およびP−エチオキシホスホジエステル、P−エトキシホスホジエステル、P−アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホナート、および連結を含有する非リン、例えば、アセタールおよびアミドが含まれる。かかる置換連結は、当該技術分野で知られている(例えば、Bjergarde et al. 1991. Nucleic Acids Res. 19:5843;Caruthers et al. 1991. Nucleosides Nucleotides. 10:47)。特定の態様において、ホスホロチオアート連結などの非加水分解性連結が好ましい。
【0093】
いくつかの側面において、本発明のオリゴヌクレオチドは、3’および5’末端を含む(環状オリゴヌクレオチドを除く)。オリゴヌクレオチドの3’および5’末端は、例えば3’または5’連結を修飾することによって、実質的にヌクレアーゼから保護することができる(例えば、米国特許第5,849,902号およびWO 98/13526)。オリゴヌクレオチドは、「ブロッキング基」を含めることにより、耐性にすることができる。本明細書で用いられる「ブロッキング基」という用語は、保護基としてまたは合成のためのカップリング基のいずれかとして、オリゴヌクレオチドまたはヌクレオモノマーに付着することができる置換基(例えば、OH基以外)を指す(例えば、FITC、プロピル(CH
2−CH
2−CH
3)、グリコール(−O−CH
2−CH
2−O−)ホスファート(PO
32−)、水素ホスホナート、またはホスホロアミダイト)。「ブロッキング基」はまた、「末端ブロッキング基」または「エキソヌクレアーゼブロッキング基」を含み、これらは、修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドエキソヌクレアーゼ耐性構造を含む、オリゴヌクレオチドの5’および3’末端を保護する。
【0094】
典型的な末端ブロッキング基は、キャップ構造(例えば、7−メチルグアノシンキャップ)、反転ヌクレオモノマー、例えば3’−3’または5’−5’末端の反転を含むもの(例えば、Ortiagao et al. 1992. Antisense Res. Dev. 2:129を参照)、メチルホスホナート、ホスホロアミダイト、非ヌクレオチド基(例えば、非ヌクレオチドリンカー、アミノリンカー、コンジュゲート)などを含む。3’末端ヌクレオモノマーは、修飾された糖部分を含むことができる。3’末端ヌクレオモノマーは、オリゴヌクレオチドの3’−エキソヌクレアーゼ分解を防ぐブロッキング基で任意に置換することができる、3’−Oを含む。例えば、3’−ヒドロキシルは、3’→3’インターヌクレオチド連結を通じてヌクレオチドにエステル化することができる。例えば、アルキルオキシラジカルは、メトキシ、エトキシ、またはイソプロポキシ、好ましくはエトキシであることができる。任意に、3’末端において3’→3’連結ヌクレオチドを、代替連結により連結することができる。ヌクレアーゼ分解を低減するために、最も5’の3’→5’連結を、修飾連結、例えば、ホスホロチオアートまたはP−アルキルオキシホスホトリエステル連結とすることができる。好ましくは、2つの最も5’の3’→5’連結は、修飾連結である。任意に、5’末端ヒドロキシ部分を、リン含有部分、例えば、ホスファート、ホスホロチオアート、またはP−エトキシホスファートで、エステル化することができる。
【0095】
いくつかの側面において、オリゴヌクレオチドは、DNAおよびRNAの双方を含むキメラRNA−DNAオリゴヌクレオチドであり得る。
オリゴヌクレオチドは、好ましくは長さが6から100塩基の範囲である。しかしながら、4ヌクレオチドより大きい任意のサイズ(複数kb長であってもよい)の核酸は、十分な刺激性モチーフが存在する場合、本発明による生物学的応答を誘導することができる。好ましくは、核酸は、ヌクレオチドのサイズが8〜100の範囲、いくつかの態様においては8〜50または8〜30である。
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアート(PS)骨格などの修飾された骨格を有する。他の態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル(PO)骨格を有する。さらに他の態様において、オリゴヌクレオチドは、混合されたか、またはキメラのPOおよびPS骨格を有する。
【0096】
ナノ構造体は、抗原を含んでもよい。本明細書で用いられる抗原は、身体における免疫応答、特に抗体の産生を誘発することができる分子である。抗原は、限定はされないが、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖類、多糖複合体、多糖類および他の分子のペプチドおよび非ペプチド模倣物、小分子、脂質、糖脂質、炭水化物、ウイルスおよびウイルス抽出物、ならびに寄生虫およびアレルゲンなどの多細胞生物が挙げられる。抗原という用語は、広義に、宿主免疫系によって外来性であるとして認識される任意の種類の分子を含む。抗原は、限定はされないが、がん抗原、微生物抗原、およびアレルゲンを含む。
【0097】
抗原は、共有結合または非共有結合、例えば、ワトソン/クリックハイブリダイゼーションを通じて、外に直面するオリゴヌクレオチドにより、構造体に付着させることができる。あるいは、またはさらに、抗原は、疎水性部分へのコンジュゲーションを介してリポソーム二重層中に組み込まれてもよい(
図2〜3)。本明細書に提示されるデータは、抗原送達のこの形態が、in vitroにおいて、免疫刺激効果の予測し得ない、より強力な誘導を誘発し(
図10)、有効的な抗原プロセッシングおよび提示を誘導し、高い、予測し得ない、レベルにおいて、in vivoで抗腫瘍免疫応答の有効的な誘導を導く(
図11〜12)ことを実証する。さらに他の態様において、抗原は、リポソームの内部の水性層の内側に組み込まれてもよい(
図3)。
【0098】
1つの態様において、抗原は、オリゴヌクレオチドシェルとの相互作用を介してリポソームナノ構造体にコンジュゲートされている(
図2)。いくつかの例において、抗原−オリゴヌクレオチドのコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを通じて、リポソームコアに連結されている。言い換えると、オリゴヌクレオチドは、完全にまたは部分的に相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされ、二重鎖または部分的な二重鎖を形成する。二重鎖のオリゴヌクレオチドの1つまたは両方は、リポソームコアに直接的に連結されており、外装(もしくは脂質二重層の外側上)であるか、または内側(内部の水性層中)であり、リポソームコアに直接的に連結しない抗原は、二重鎖のオリゴヌクレオチドの1つまたは両方に連結されている。別の態様において、抗原は、リポソームコアとの直接的な相互作用を介してリポソームナノ構造体にコンジュゲートされている(
図3)。
【0099】
抗原は、限定はされないが:トコフェロール、様々な長さおよび飽和状態のスフィンゴ脂質ならびにその誘導体、例えばスフィンゴシン、スフィンゴシンホスファート、メチル化スフィンゴシンおよびスフィンガニン、セラミド、セラミドホスファート、1−0アシルセラミド、ジヒドロセラミド、2−ヒドロキシセラミド、スフィンゴミエリン、グリコシル化スフィンゴ脂質、スルファチド、ガングリオシド、スフィンゴリン脂質ならびにフィトスフィンゴシン等、様々な長さ、飽和状態のリン脂質およびその誘導体、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、サイクリックLPA、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、イノシトールホスファート、LPI、カルジオリピン、リゾカルジオリピン、ビス(モノアシルグリセロ)ホスファート、(ジアシルグリセロ)ホスファート、エーテル脂質、ジフィタニルエーテル脂質、ならびにプラスマロゲン等、異なる長さ、飽和状態のステロールおよびその誘導体、例えばコレステロール、デスモステロール、スティグマステロール、ラノステロール、ラトステロール、ジオスゲニン、シトステロール、チモステロール、チモステノール、14−デメチル−ラノステロール、コレステロールスルファート、DHEA、DHEAスルファート、14−デメチル−14−デヒドロラノステロール、シトスタノール、カンペステロール、エーテルアニオン脂質、エーテルカチオン脂質、ランタニドキレート脂質、A環置換オキシステロール、B環置換オキシステロール、D環置換オキシステロール、側鎖置換オキシステロール、二重置換オキシステロール、コレスタン酸誘導体、フッ化ステロール、蛍光性ステロール、スルホン化ステロール、リン酸化ステロール、多価不飽和ステロール等を含む、1または複数のリンカー分子とのコンジュゲーションを通じて、リポソームコアの表面にアンカーされることができる。
【0100】
がん抗原は、腫瘍またはがん細胞表面に結び付けられているペプチドまたはタンパク質などの化合物であり、MHC分子の文脈において、抗原提示細胞の表面に発現された場合に免疫応答を誘発することが可能である。がん抗原は、例えば、Cohen, et al., 1994, Cancer Research, 54:1055に記載のようにがん細胞の粗抽出物の調製により、抗原の部分的精製により、組み換え技術により、または既知の抗原のde novo合成のいずれかにより、がん細胞から調製することができる。がん抗原は、限定はされないが、組み換え発現される抗原、腫瘍もしくはがんの免疫原性部分または全体を含む。かかる抗原は、単離され、または組み換えにより、もしくは当該分野において知られている任意の他の手段により調製されることができる。
【0101】
本明細書で用いられる微生物抗原は、微生物の抗原であり、限定はされないが、ウイルス、細菌、寄生虫、および真菌を含む。かかる抗原は、無傷の微生物および天然の単離物および断片またはそれらの誘導体、およびまた、天然の微生物抗原に同一または類似しており、その微生物に特異的な免疫応答を誘導する合成化合物を含む。化合物は、天然の微生物抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、天然の微生物抗原に類似している。かかる抗原は、当該技術分野において日常的に使用され、当業者によく知られている。
【0102】
ヒトにおいて見出されているウイルスの例としては、限定はされないが:Retroviridae(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV−1(HDTV−III、LAVEまたはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる;および他の単離物、例えばHIV−LP;Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例えば、胃腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えばウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えばデング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronoviridae(例えばコロナウイルス);Rhabdoviradae(例えば水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えばエボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、おたふくかぜウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);Orthomyxoviridae(例えばインフルエンザウイルス);Bungaviridae(例えばハンターンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);Arenaviridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvoviridae(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV);ヘルペスウイルス;Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviridae(例えば、アフリカ豚コレラウイルス);および他のウイルス(例えば、デルタ肝炎の剤(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトであると考えられている)、C型肝炎;ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)を含む。
【0103】
グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌は両方とも、脊椎動物における抗原としての役割を果たす。かかるグラム陽性細菌は、限定はされないが、Pasteurella種、Staphylococci菌種、およびStreptococcus種を含む。グラム陰性細菌は、限定はされないが、Escherichia coli、Pseudomonas種、およびSalmonella種を含む。感染性細菌の具体例としては、限定はされないが:Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria種(例えばM. tuberculosis、M. avium、M. intracellulare、M. kansaii、M. gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus(ビリダンス群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter種、Enterococcus種、Haemophilus influenzae、Bacillus antracis、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium種、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringers、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides種、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、Rickettsia、およびActinomyces israelliを含む。
【0104】
真菌の例としては、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Chlamydia trachomatis、Candida albicansを含む。
【0105】
他の感染性生物(すなわち、原生生物)としては、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium ovale、およびPlasmodium vivaxなどのPlasmodium種、ならびにToxoplasma gondiiを含む。血液由来および/または組織寄生虫には、Plasmodium種、Babesia microti、Babesia divergens、Leishmania tropica、Leishmania種、Leishmania braziliensis、Leishmania donovani、Trypanosoma gambienseおよびTrypanosoma rhodesiense(アフリカ睡眠病)、Trypanosoma cruzi(シャーガス病)、およびToxoplasma gondiiを含む。
【0106】
他の医学的に関連する微生物は文献(例えば、C.G.A Thomas, Medical Microbiology, Bailliere Tindall, Great Britain 1983を参照)に広く記載されており、この内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書で使用する場合、用語「がん抗原」および「腫瘍抗原」は互換的に使用されて、がん細胞によって差別的に発現され、これによりがん細胞を標的化するために利用することができる抗原を指す。がん抗原は、明らかな腫瘍特異的免疫応答を潜在的に刺激し得る抗原である。これらの抗原のいくつかは正常細胞によってコードされるが、必ずしも発現はされない。これらの抗原は、正常細胞において通常はサイレントであるが(すなわち、発現されない)、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、および胚性および胎児性抗原のように、一時的に発現されるものとして、特徴付けることができる。他のがん抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化ras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、変異p53)、内部欠失または染色体転座に起因する融合タンパク質などの変異細胞遺伝子によってコードされる。さらに他のがん抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルス上に担持されたものなどの、ウイルス遺伝子によってコードされ得る。
【0108】
本発明のナノ構造体は、治療的および/または診断的使用のためにin vivoまたはex vivoで、対象に送達されてもよく、研究目的のためにin vitro、ex vivoまたはin vivoで使用されてもよい。あるいは、ナノ構造体は、収穫されることができる抗体またはサイトカインなどの剤を生成するための免疫応答を誘発する目的のために使用されてもよい。
【0109】
ナノ構築体は、in vivoでの投与のために、それのみで投与してもよく、または任意の適切な医薬担体中、例えば生理食塩水などの液体、もしくは粉末中で投与してもよい。それらはまた、より大きな担体粒子と共に、または投与デバイス内で共送達することもできる。ナノ構築体は、製剤化されるか、または製剤化されなくてもよい。本発明の製剤は、薬学的に許容し得る溶液中で投与することができ、該溶液は、薬学的に許容し得る濃度の、塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、アジュバント、および任意に他の治療成分を日常的に含有することができる。いくつかの態様において、ナノ構造体は、ローションなどの物質(例えば、アクアフォー(aquaphor))と混合され、対象の皮膚に投与されて、これにより、ナノ構造体が対象の皮膚を通じて送達される。当該技術分野で知られているナノ粒子の送達の任意の方法は、本発明の側面と適合性であり得ることが理解されるべきである。ナノ構造体はまた、滅菌されていてもよい。
【0110】
治療における使用のために、有効量のナノ構造体は、所望の細胞にナノ構造体を送達する任意のモードにより、対象に投与され得る。医薬組成物の投与は、当業者に知られている任意の手段によって達成されてもよい。投与経路としては、限定はされないが、経口、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、粘膜、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼、膣、経皮、直腸、および直接注入を含む。
【0111】
従って、1つの側面において,本発明は、本発明のナノ構造体が、免疫刺激効果の媒介に非常に有効的であるという発見を含む。これらのナノ構造体(刺激および制御)は、がん、感染性疾患、アレルギー、喘息、自己免疫疾患および他の障害を処置するための、およびがん化学療法後の日和見感染からの保護を助けるための免疫系を調節するのに、治療的におよび予防的に有用である。
【0112】
従って、本発明のナノ構造体は、アレルギーもしくは喘息、感染性生物による感染または特異的ながん抗原が同定されているがんを発症するリスクにおける対象またはそれを有する対象の処置のためのワクチンとして有用である。ナノ構造体は、感染、アレルギーまたはがんに対する保護のための抗原またはアレルゲンなしに、製剤化することができ、この場合、反復投与は、より長期の保護を可能にしてもよい。本明細書において使用される、リスクを有する対象は、感染症を引き起こす病原体もしくはがんもしくはアレルゲンへの暴露の任意のリスク、またはがんを発症するリスクを有する対象である。例えば、リスクを有する対象は、特定種類の伝染性剤が発見された地域への旅行を計画している対象であってもよく、またはライフスタイルや医療処置を通じて、感染性生物を含有している可能性がある体液に暴露されるか、生物に直接暴露される対象であってもよく、または、感染性生物またはアレルゲンが同定されている地域に住む任意の対象であってもよい。感染症を発症するリスクのある対象はまた、医療機関が特定の感染性生物抗原によるワクチン接種を推奨する、一般的な集団を含む。抗原がアレルゲンであり、対象がその特定の抗原に対するアレルギー反応を発症し、対象が抗原にさらされる可能性がある場合、すなわち花粉の季節の間、その対象は、抗原への暴露のリスクがある。
【0113】
感染症を有する対象とは、感染性病原体に暴露されており、体内において、病原体の急性または慢性の検出可能なレベルを有する対象である。ナノ構造体を、病原体ありで、またはなしで用いて、感染性病原体のレベルを低下させるか、これを根絶することが可能な、抗原特異的な全身または粘膜の免疫応答を、開始することができる。感染性疾患は、本明細書で使用する場合、体内における外来微生物の存在から生じる疾患である。病原体侵入の主な部位である身体の粘膜表面を保護するための、効果的なワクチン戦略と処置法を開発することは、特に重要である。
【0114】
がんを有する対象は、検出可能ながん性細胞を有する対象である。がんは、悪性または非悪性のがんであってよい。がんまたは腫瘍としては、限定はされないが、胆道がん;脳のがん;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌;結腸がん;子宮体がん;食道がん;胃がん;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓がん;肺がん(例えば、小細胞および非小細胞);メラノーマ;神経芽細胞腫;口腔がん;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;直腸がん;肉腫;皮膚がん;精巣がん;甲状腺がん;および腎臓がん、ならびに他の癌および肉腫を含む。1つの態様において、がんは、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、または結腸癌である。
【0115】
対象は、ヒトまたは脊椎動物を意味し、限定はされないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウ、ニワトリ、霊長類、例えばサル、および魚(水産養殖種)、例えばサケを含む。したがって本発明はまた、非ヒト対象におけるがんおよび腫瘍、感染症、自己免疫疾患ならびにアレルギー/喘息を処置するために使用することができる。
【0116】
本明細書中で使用される場合、感染性疾患、自己免疫疾患、がん、アレルギー、または喘息などの障害に関連して使用される場合、処置、処置された、または処置する、なる用語は、疾患(例えば、病原体による感染症)の発症に対する対象の抵抗性を増大させる、または言い換えれば、対象が疾患を発症する(例えば、病原体に感染する)可能性を減少させる予防的処置、ならびに、対象が疾患を発症した後の、疾患と闘う(例えば感染を低減または除去する)ため、または疾患が悪化することを防ぐための処置を指す。
【0117】
本発明のナノ構造体はまた、抗微生物剤で被覆されるか、または抗菌剤と組み合わせて投与することができる。本明細書において抗微生物剤は、感染性微生物を殺傷または阻害することができる、天然または合成の化合物を指す。本発明による有用な抗微生物剤の種類は、対象が感染されているか、または感染するリスクのある微生物の種類に依存する。抗微生物剤としては、限定はされないが、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗寄生虫剤を含む。「抗感染剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生虫剤」および「殺寄生虫剤」などの句は、当業者に対して十分に確立された意味を有し、標準的な医学教科書に定義されている。簡潔に述べると、抗細菌剤は、細菌を殺傷または阻害し、抗生物質ならびに同様の機能を有する他の合成または天然の化合物を含む。抗生物質は、微生物などの細胞によって二次代謝産物として産生される低分子量分子である。一般に抗生物質は、微生物に特異的であり、かつ宿主細胞には存在しない、1または2以上の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス剤は、天然のソースから単離するかまたは合成することができ、ウイルスを殺傷または阻害するために有用である。抗真菌剤は、表在性真菌感染ならびに日和見性および原発性の全身性真菌感染症を処置するために使用される。抗寄生虫剤は、寄生虫を殺傷または阻害する。
【0118】
本発明のナノ構造体はまた、いくつかの免疫因子のレベルが減少するように、免疫応答を制御するために用いられてもよい。特異的な免疫下方制御または「寛容」の達成は、従来技術として有意な挑戦であり、一般的に、免疫応答を幅広く下方制御することにより作用する。この非特異的なアプローチは、副作用、毒性の高い発生率、および中でも感染性疾患に罹患する増加したリスクを導き得る。市販の化合物または構造体は、臨床における強力で特異的な抗炎症性効果を誘導するための能力を実証していない。挑戦は、さらなる共送達シグナルの不在において、抗原などの適切なシグナルの免疫細胞への送達である。
【0119】
本発明のナノ構造体は、従来技術において遭遇するこれらの問題のいくつかを解決する。いくつかの態様において、抗原を、寛容を達成または促進する様式において、本発明のナノ構造体とのコンジュゲートを介して、細胞内に効率的に送達することができる。方法は、抗原特異的な寛容を誘導する能力を増大させるために、抗原送達プロセスの間にトール様受容体を拮抗させることを含んでもよい。本発明のこれらの態様に用いられるナノ構造体は、TLR4免疫抑制物質などの免疫抑制物質に付着されているリポソームコア、およびコアの外部に配置されるオリゴヌクレオチドを含む。
【0120】
これらの制御ナノ構造体は、免疫応答を下方制御するために有用であるか、またはいつでも、寛容を誘導することが望ましい。例えば、それらは、自己免疫疾患、アレルギー、喘息または、病理学の構成要素が肝線維症または特発性肺線維症などの過活動の免疫応答を含む他の状態を処置および予防するために有用である。
【0121】
アレルギーを有する対象とは、アレルゲンに応答してアレルギー反応を有するか、これを発症するリスクのある対象である。アレルギーは、物質(アレルゲン)に対する後天性の過敏性を指す。アレルギー状態としては、限定はされないが、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hives))、および食物アレルギー、ならびに他のアトピー状態が挙げられる。
【0122】
アレルゲンは、感受性のある対象においてアレルギー反応または喘息反応を誘導し得る物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑粉、真菌胞子および薬物(例えばペニシリン)を含み得る。天然の動物および植物アレルゲンの例としては、限定はされないが、以下の属に特異的なタンパク質を含む:Canine(Canis familiaris);Dermatophagoides(例えば、Dermatophagoides farinae);Felis(Felis domesticus);Ambrosia(Ambrosia artemiisfolia;Lolium(例えばLolium perenneまたはLolium multiflorum);Cryptomeria(Cryptomeria japonica);Alternaria(Alternaria alternata);Alder;Alnus(Alnus gultinoasa);Betula(Betula verrucosa);Quercus(Quercus alba);Olea(Olea europa);Artemisia(Artemisia vulgaris);Plantago(例えばPlantago lanceolata);Parietaria(例えばParietaria officinalisまたはParietaria judaica);Blattella(例えばBlattella germanica);Apis(例えばApis multiflorum);Cupressus(例えばCupressus sempervirens、Cupressus arizonicaおよびCupressus macrocarpa);Juniperus(例えばJuniperus sabinoides、Juniperus virginiana、Juniperus communisおよびJuniperus ashei);Thuya(例えばThuya orientalis);Chamaecyparis(例えばChamaecyparis obtusa);Periplaneta(例えばPeriplaneta americana);Agropyron(例えばAgropyron repens);Secale(例えばSecale cereale);Triticum(例えばTriticum aestivum);Dactylis(例えばDactylis glomerata);Festuca(例えばFestuca elatior);Poa(例えばPoa pratensisまたはPoa compressa);Avena(例えばAvena sativa);Holcus(例えばHolcus lanatus);Anthoxanthum(例えばAnthoxanthum odoratum);Arrhenatherum(例えばArrhenatherum elatius) ;Agrostis(例えばAgrostis alba);Phleum(例えばPhleum pratense);Phalaris(例えばPhalaris arundinacea);Paspalum(例えばPaspalum notatum);Sorghum(例えばSorghum halepensis);およびBromus(例えばBromus inermis)。
【0123】
自己免疫疾患は、対象自身の抗体が宿主組織と反応するか、または免疫エフェクターT細胞が内因性自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす、疾患のクラスである。こうして免疫応答が、自己抗原と呼ばれる対象自身の抗原に対して開始される。自己免疫疾患としては、限定はされないが、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を有する強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫に関連する不妊症、糸球体腎炎(例えば、半月糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、ならびに自己免疫性糖尿病を含む。
【0124】
本明細書で使用する「自己抗原」は、正常な宿主組織の抗原を指す。正常な宿主組織は、がん細胞を含まない。したがって、自己抗原に対して開始された免疫応答は、自己免疫疾患の文脈において望ましくない免疫応答であり、正常組織の破壊および損傷に寄与し、一方がん抗原に対して開始される免疫応答は、望ましい免疫応答であり、腫瘍またはがんの破壊に寄与する。したがって、自己免疫疾患の処置を目的とした本発明のいくつかの側面において、自己抗原、特に自己免疫障害の標的であるものと共にナノ構造体を製剤化することは推奨されない。
【0125】
他の例において、ナノ構造体は、小量の自己抗原を含んでもよい。多くの動物試験は、低用量の抗原の粘膜投与が、免疫低応答性または「寛容」の状態をもたらし得ることを実証している。活性なメカニズムは、Th1から離れて主にTh2およびTh3応答に向かう(すなわち、TGF−βが支配する)、サイトカイン媒介性の免疫偏向であると思われる。低用量の抗原送達による活性抑制はまた、無関係な免疫応答を抑制することができ(バイスタンダー抑制)、これは自己免疫疾患、例えば関節リウマチおよびSLEなどの治療においてかなりの関心の的となっている。バイスタンダー抑制は、炎症誘発性サイトカインおよびTh1サイトカインが抗原特異的または抗原非特異的な様式のいずれかで放出される局所環境において、Th1カウンター制御性のサプレッサーサイトカインの分泌を伴う。本明細書で用いられる「寛容」は、この現象を指すために使用される。実際、経口寛容は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、実験的自己免疫性重症筋無力症、コラーゲン誘発関節炎(CIA)、およびインスリン依存性糖尿病含む、動物における多数の自己免疫疾患の処置に有効であった。これらのモデルにおいて、自己免疫疾患の予防および抑制は、抗原特異的な体液性および細胞性応答の、Th1からTh2/Th3応答へのシフトと関連する。
【0126】
別の側面において、本発明は、先に説明した1以上の組成物を含むキットに向けられる。本明細書で用いられる「キット」は、典型的には、本発明の1以上の組成物、および/または、例えば前に記載されたような本発明に関連する他の組成物を含む、パッケージまたはアセンブリを定義する。存在する場合、キットの各組成物は、液体形態(例えば、溶液中で)、または固体形態(例えば、乾燥粉末)で提供されてもよい。特定の場合において、組成物のいくつかは、例えば、キットと共に提供されていてもいなくてもよい適切な溶媒または他の種の添加によって、構成可能であるか、あるいは処理可能(例えば活性形態へと)であってもよい。本発明と関連し得る他の組成物の例としては、限定はされないが、溶媒、界面活性剤、希釈剤、塩、緩衝液、乳化剤、キレート化剤、充填剤、抗酸化剤、結合剤、増量剤、保存剤、乾燥剤、抗菌剤、針、シリンジ、包装材料、チューブ、ボトル、フラスコ、ビーカー、皿、フリット、フィルタ、リング、クランプ、ラップ、パッチ、容器、テープ、接着剤などであって、例えば、組成物の成分を、例えば試料および/または対象に対する特定の使用のために、用いる、投与する、修飾する、組織化する、保管する、包装する、調製する、混合する、希釈する、および/または保存するためのものを含む。
【0127】
いくつかの態様において、本発明に関連するキットは、ナノ構造体の1以上の構成要素を含む。キットは、例えば、リポソームコアを形成するためのリポソーム、免疫刺激物質またはTLR4免疫抑制物質およびまたはナノ構造体の外部のためのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。キットはまた、1以上の抗原およびまたは他の治療剤を含み得る。
【0128】
本発明のキットは、いくつかの場合において、当業者が、指示書が本発明の組成物と関連することを認識するような様式において、本発明の組成物に関連して提供される任意の形態の指示書を含むことができる。例えば、指示書は、キットに関連する組成物および/または他の組成物の、使用、修飾、混合、希釈、保存、投与、組織化、保管、包装、および/または調製のための指示を含んでもよい。いくつか場合において、指示書はまた、例えば、試料に対する等の特定の使用のための、組成物の使用についての指示書を含んでもよい。指示書は、当業者によってかかる指示書を含む適切な媒体として認識できる任意の形態で提供されてもよく、例えば、記載されたまたは公開された、口頭、可聴(例えば、電話)、デジタル、光学的、視覚的(例えば、ビデオテープ、DVDなど)、または電子通信(インターネットまたはウェブベースの通信を含む)であって、任意の様式で提供されるものである。
【0129】
例
本明細書に記載される本発明がより十分に理解されるために、以下の例が説明される。本出願に記載される例は、本明細書に提供される化合物、医薬組成物、および方法を例証するために与えられ、任意の方法においてこれらの範囲を限定するものとして解釈されない。
【0130】
例1
実施される1つの態様において、配列5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号1;「CpG1826」として命名される)のオリゴヌクレオチドを、アルファ−トコフェロールで3’−修飾し、(8%w/w)モノホスホリル脂質Aと混合された(92%w/w)1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)から成り立つ、小さい単層の小胞に組み込んだ(
図1)。下位の態様において、これらの構築物を、オボアルブミン−オリゴ構築物のワトソン−クリック型ハイブリダイゼーションを介して、オボアルブミン、すなわちモデルタンパク質抗原とさらにコンジュゲートし、ここでオリゴ部分は、CpG1826(5’−AACGTCAGGAACGTCATGGA−3’ 配列番号2)に相補的であった(
図2)。オリゴヌクレオチドを、TLR9を刺激するその能力に基づいて選択する一方で、MPLAを、TLR4を刺激するその能力について選択した。
【0131】
リポソームSNA(ナノ構造体)合成
4mLジクロロメタン(DCM)に溶解した25mgの1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)を、ガラス容器中で、1mLのクロロホルムに溶解した1mgモノホスホリル脂質A(MPLA)と混合した。脂質を、その後、全ての溶媒が蒸発するまで、アルゴン下で優しく乾燥させることにより、薄いフィルムにおいて、ガラス容器の壁上で乾燥させた。いくらかの残存する溶媒を、凍結乾燥により終夜除去した。翌日、脂質をボルテックスおよび超音波により10mLのリポソームバッファ(150mM NaCl、20mM HEPES)中で再構成し、その後、100nm、50nm、その後30nmの押し出し膜を通す連続押し出しの前に、2〜5の凍結融解サイクルを経た。押し出しの後、共有結合的に付着されている3’−アルファ−トコフェロール基を含む1umolのオリゴヌクレオチド(5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’ 配列番号1)を26mgの脂質と混合し、4℃で終夜インキュベートし、リポソームSNAを形成させた。翌日、リポソームSNAを、1xPBSの>5体積交換を用いた300kDa膜カットオフフィルターを用いて、接線流濾過により精製した。
【0132】
オボアルブミンをCpG1826(5’−AACGTCAGGAACGTCATGGA−3’ 配列番号2)と相補的なオリゴヌクレオチドと最初にコンジュゲートさせることにより、いくつかのリポソームSNAを、オボアルブミンを含有するようにさらに修飾した。このオボアルブミン−オリゴヌクレオチドコンジュゲートをその後、リポソームSNA上でオリゴヌクレオチドに対して2倍過剰のオボアルブミン−オリゴヌクレオチドコンジュゲートと、37℃で3時間、続いて4℃で終夜インキュベートすることにより、リポソームSNAとハイブリダイズさせた。過剰のオボアルブミン−オリゴヌクレオチドのコンジュゲートを接線流濾過により除去した。
【0133】
In Vitro試験
化合物を1:4に連続的に希釈した。20uLのこの混合物を96ウェルプレートに、二重に播種した。RAW Blue細胞(InVivoGen)、NF−kB誘導性分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)を含有するRAW 264.7細胞に由来するレポーターマウスマクロファージ細胞株を、ウェルあたり180uL中に100k細胞/ウェルで播種し、96ウェルプレート上に試験化合物を添加した。Ramos Blue細胞(InvivoGen)、NF−kB誘導性SEAPを含有するRamos細胞に由来するレポーターヒトB細胞株を、ウェルあたり180uL中に306k細胞/ウェルで播種し、96ウェルプレート上に試験化合物を添加した。重要なことに、Ramos Blue細胞は、TLR4を通した機能的シグナル伝達を有しない。細胞を加湿チャンバーにおいて、37℃、5%CO
2において、試験化合物と終夜インキュベートした。翌日、製造者の推奨するプロトコールに従って、QuantiBlue試薬(InVivoGen)を用いて、上清をSEAP活性について調査した。結果は、TLR4およびTLR9の双方のアゴニストを担持するリポソームSNAは、もっぱらいずれか単独よりも優れたRAW Blue細胞の活性化を誘導することを示す(
図4)。重要なことに、Ramos Blue細胞株ではなくRAW Blue細胞株が、刺激に対する応答におけるNF−kB活性化を実証したので、結果は、MPLAを含有するリポソームSNAによるNF−kBの活性化が、機能的TLR4に依存することを示す(
図5)。
【0134】
TLR9およびTLR4アゴニストの双方を含有するリポソームSNAにより引き起される応答をさらに分析するために、TNFおよびIFN−アルファの活性化レベルをそれぞれ測定することにより、MyD88依存的およびMyD88非依存的経路の活性化を誘導するリポソームSNAの能力を試験した。このために、600万のヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンで懸濁したRPMI−1640中100万/mLで再懸濁し、20uLの試験化合物とともに180k/ウェルで播種した。終夜のインキュベーション後、懸濁液をELISAによりTNFおよびIFN−アルファレベルについて調査した。結果は、単一の構築物におけるCpG1826およびMPLAの双方を送達するリポソームSNAが、各々単独で送達するか、または同じ構築物上ではないが、同じウェルにおいて双方の構成要素を送達することによっても再現することができない上昇したTNFおよびIFN−アルファレベルを実証することを示す(
図6)。TLR9を活性化しない配列(「CTL−ps」として命名される:5’−TCCATGAGCTTCCTGAGCTT−3’ 配列番号3)がリポソームSNAを構築するために用いられた場合においてさえ、MPLAの増大した活性が観察され(
図7)、リポソームSNAは、リポソーム製剤よりもより有効的にMPLAを送達することを提案する。
【0135】
次に、リポソームSNAの有効性を調節する可能性があるパラメーターを同定した。リポソーム製剤化工程へのMPLAフィードの量のみならずインターヌクレオチド連結化学(PO対PS)が関与している可能性がある。従って、リポソームSNAを3.8%(w/w)から11.5%(w/w)まで増加させたMPLAフィードならびにPOおよびPS連結の双方を含有する構築物で展開し、RAW Blue細胞における活性についてそれらを試験した。この細胞株において、最大7.7%MPLAであるが、最大11.5%でないMPLAフィードの増加が、リポソームSNAの活性化の有効性を増加させることが観察された(
図8)。RAW Blue細胞において、もっともこれは、種依存的であることが予測されるが、リポソームSNAの有効性におけるシフトが、最大刺激においてではないが観察された(
図9)。
【0136】
最後に、免疫細胞を活性化する抗原がコンジュゲートされたリポソームSNAの能力を、試験した。オボアルブミンがロードされたリポソームSNAを、QuantiBlueアッセイにより調査されたSEAPのレベルにおいて終夜、RAW Blue細胞で記載されるように、インキュベートした。リポソームSNAと抗原とのコンジュゲートは、それらの活性を増加させるようにみえる(
図10)。これは、CpG1826と二重鎖を形成したオボアルブミンに付着されている相補的なオリゴヌクレオチドにより導入されるさらなるCpGモチーフの存在に起因して、生じている可能性がある。
【0137】
In Vivo試験
抗原送達のこの形態は、in vitroでの免疫刺激効果のより強力な誘導を誘導し(
図10)、そして効果的な抗原プロセッシングおよび提示を誘導し、in vivoにおける抗腫瘍免疫応答の効果的な誘導を導くこと(
図11〜12)を示している。
【0138】
C57BL/6マウス(N=4/群)を、モデル抗原としてオボアルブミンを用いて、0および21日目に指示される製剤で、免疫賦与した(200μL s.c.、100μgオボアルブミン等量)(
図11)。28日目に、脾臓細胞を回収し、1uM OVA(257−264)を含むIFN−y ELISPOTプレート上で終夜インキュベートした。IFN−yスポットの数を、自動ELISPOTカウンターを用いて定量した。この研究は、SNAが、フリーPSオリゴおよびミョウバンよりもより有効的に細胞性応答を誘導することを示す。*p<0.05、NS=有意でない。
【0139】
別の実験において、C57BL/6マウス(N=11/群)を、0日目に1x10
6 E.G7-OVA細胞(ATCC #CRL-2113)で接種し、その後3、7、10日目に指示される化合物で処置した(200μL s.c.、100μgオボアルブミン等量)。腫瘍体積を、皮下腫瘍の長さおよび幅を測定し、腫瘍体積=(長さ)x(幅)x(幅)/2なる式を適用することにより計算した。結果は、腫瘍量の著しい(95%)低減のエビデンスを伴うin vivoにおける抗原に対する強い細胞性応答の活性化を実証する(
図12)。
【0140】
特許請求の範囲において、反対であることが指示されないかぎり、あるいは文脈から明らかでない場合、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、1または1超を意味する場合がある。1または1超のメンバーの群の間に「または」を含む特許請求の範囲または明細書は、反対であることが指示されないかぎり、あるいは文脈から明らかでない場合、群メンバーの1もしくは1超、または全てが一定のプロダクトまたはプロセスに存在する、採用される、またはさもなければ関連する場合に満たされることが考えられる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが一定のプロダクトまたはプロセスに存在する、採用される、またはさもなければ関連する態様を含む。本発明は、群メンバーの1超または全てが一定のプロダクトまたはプロセスに存在する、採用される、またはさもなければ関連する態様を含む。
【0141】
さらに、本発明は、1以上の挙げられた請求項からの1以上の限定、要素、節、および記述用語が別の請求項に組み込まれる、全てのバリエーション、組み合わせ、および配列を包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同じベースの請求項に従属する任意の他の請求項に見いだされる1以上の限定を含むように改変することができる。要素が、リストとして、例えばマーカッシュ群形式において提示される場合、要素の各サブ群はまた開示され、そして任意の要素は、群から取り除くことができる。一般的に、本発明または本発明の側面が、特定の要素および/または特徴を含むものとして言及される場合、本発明または本発明の側面の特定の要素は、かかる要素および/または特徴を含む、または本質的にそれらからなることは、理解されるべきである。簡潔性の目的ために、これらの態様は、本明細書を言葉通りに具体的に説明していない。用語「含む」および「含有する」は、オープンであることを意図し、さらなる要素または工程の組み入れを許容することも、留意される。範囲が与えられる場合、終点は含まれる。さらに、反対であることが指示されないかぎり、あるいは文脈および当業者の理解から明らかでない場合、範囲として表現される値は、文脈が明確に他に規定しない限り、範囲の低限の単位の10分の1までの、本発明の異なる態様における述べられる範囲内の任意の特定の値、またはサブ範囲を想定することができる。
【0142】
本出願は様々な交付済み特許、公開特許出願、雑誌論文および他の刊行物に言及し、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。任意の組み込まれた参考文献と本明細書の間に矛盾が存在する場合には、本明細書が支配する。加えて、当該技術分野内にある本発明の任意の特定の態様は、任意の1以上の請求項から明白に除外される場合がある。かかる態様は当業者に知られているとみなされるので、除外されることが明白に本明細書に記載されていない場合であっても、それらは除外される場合がある。本発明の任意の特定の態様は、先行技術の存在に関連して、または関連せずに、何らかの理由で、任意の請求項から排除することができる。
【0143】
当業者は、日常的にすぎない実験を用いて、本明細書に記載される特定の態様との多くの等価物を理解し、または理解することができるであろう。本明細書に記載される本態様の範囲は、上記の明細書に限定されることを意図せず、むしろ添付される特許請求の範囲を説明することを意図する。当業者は、この記載に対する様々な変更および改変は、以下の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨または範囲から離れることなく行われることを理解するであろう。