特許第6581640号(P6581640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581640
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】分岐構造の取外し方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/08 20060101AFI20190912BHJP
   B23D 21/14 20060101ALI20190912BHJP
   B30B 1/20 20060101ALN20190912BHJP
【FI】
   F16L41/08
   B23D21/14 B
   !B30B1/20
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-215267(P2017-215267)
(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-86096(P2019-86096A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000240673
【氏名又は名称】ヨネ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】米田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】道満 則雄
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−197135(JP,A)
【文献】 特開2014−118994(JP,A)
【文献】 特開2012−189111(JP,A)
【文献】 特開2012−077899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/08
F16L 41/06
F16L 47/26 − 47/34
B23D 21/14
B30B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に接続される枝管との間に設けられる分岐構造を取り外すための取外し方法であって、
前記分岐構造は、
前記本体と前記枝管との接続箇所に設けられる孔部と、
前記孔部に嵌め込まれるシールパイプと、
前記シールパイプに嵌め込まれるスリーブと、を備え、
前記シールパイプは、前記本体の内側に突出する内端部を有し、
前記スリーブは、前記本体の内側に突出する内端部を有し、
前記スリーブの前記内端部は、前記シールパイプの前記内端部が前記本体に密着するように、前記シールパイプの前記内端部に沿って折り返され、前記シールパイプの前記内端部を巻き込み、
前記取外し方法は、
切断機を準備する第1工程と、
前記切断機を用いて、前記スリーブの周方向に沿って前記スリーブを切断して、前記本体の外側に配置される第1スリーブ部と、前記本体の内側に配置される第2スリーブ部とに分割する第2工程と、
前記シールパイプ及び前記第1スリーブ部を前記孔部から取り出す第3工程と、
加圧機を準備する第工程と、
前記加圧機を用いて、前記第2スリーブ部の径方向に前記第2スリーブ部を加圧して変形する第工程と、
変形された前記第2スリーブ部を前記孔部から取り出す第工程と、を備える
ことを特徴とする分岐構造の取外し方法。
【請求項2】
前記第工程は、
引っ掛け具を準備する工程と、
前記引っ掛け具を用いて、前記第2スリーブ部を前記加圧機に取り付ける工程と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の分岐構造の取外し方法。
【請求項3】
前記第工程は、
前記引っ掛け具を用いて、変形された前記第2スリーブ部を前記孔部から取り出す
ことを特徴とする請求項2に記載の分岐構造の取外し方法。
【請求項4】
前記切断機は、
前記スリーブを切断するための切断刃と、
前記切断刃を回転駆動するための駆動機構と、
前記スリーブの軸方向に前記切断刃の位置を調整すると共に、前記スリーブの径方向に前記切断刃の位置を調整するための調整機構と、
前記スリーブの周方向に前記切断刃を旋回するための旋回機構と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分岐構造の取外し方法。
【請求項5】
前記加圧機は、
前記第2スリーブ部を係止するための係止機構と、
前記係止機構に係止された前記第2スリーブ部を加圧する加圧機構と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分岐構造の取外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体と、本体に接続される枝管との間に設けられる分岐構造を取り外すための取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の配管設備において、主管を通過する流体を所定の場所へ移送するために、主管に枝管を接続する場合がある。主管と、主管に接続される枝管との分岐構造は、例えば特許文献1に開示されている。分岐構造は、主管と枝管との接続箇所に流体が接して主管及び枝管が腐食しないように、接続箇所を確実に密閉する必要がある。
【0003】
図17に基づいて、分岐構造を説明する。枝管101は、主管100の直角方向に延設される。枝管101は、主管100の外周に適合する円弧状のサドル部101aと、別の連結管(不図示)を連結するためのフランジ部101bと、を備える。主管100の外周に適合する円弧状のバンド103が、枝管101のサドル部101aに対向して配置される。枝管101のサドル部101a及びバンド103は、一対のボルト104で連結される。これにより、枝管101は、サドル部101aを介して、主管100に密着される。
【0004】
主管100と枝管101のサドル部101aとの接続箇所に孔部102が形成される。孔部102に、ゴム製のシールパイプ1が嵌め込まれる。シールパイプ1は、フランジ部1aを有する。フランジ部1aは、枝管101の内側でサドル部101aに係止する。シールパイプ1は、主管100の内側に突出する内端部1bを有する。
【0005】
シールパイプ1に、金属製のスリーブ2が嵌め込まれる。スリーブ2は、フランジ部2cを有する。フランジ部2cは、枝管101の内側でシールパイプ1のフランジ部1aに係止する。スリーブ2は、主管100の内側に突出する内端部2bを有する。
【0006】
スリーブ2の内端部2bは、シールパイプ1の内端部1bが主管100の内面に密着するように、シールパイプ1の内端部1bに沿って折り返される。スリーブ2の内端部2bは、折り返されるとき、シールパイプ1の内端部1bを巻き込む。これにより、シールパイプ1の内端部1bは、スリーブ2の内端部2bに覆われる。さらに、スリーブ2のフランジ部2cは、シールパイプ1のフランジ部1aを押圧して枝管101のサドル部101aに密着する。
【0007】
これにより、シールパイプ1のフランジ部1aが、枝管101のサドル部101aに密着し、かつ、シールパイプ1の内端部1bが、主管100の内面に密着する。そのため、スリーブ2を介して主管100及び枝管101を通過する流体は、孔部102に接しないように構成されている。即ち、流体が孔部102に接すると、孔部102を通じて主管100及び枝管101が腐食するおそれがあるが、流体が孔部102に接しないと腐食するおそれがない。
【0008】
ところで、従来では、分岐構造を取り外すとき、スリーブ2を主管100から引き抜いている。スリーブ2の内端部2bは折り返されているので、スリーブ2の内端部2bの径は、主管100の孔部102の径より大きい。そのため、スリーブ2を引き抜くときに、主管100の孔部102に大きな力が加わり、主管100が破損するおそれがある。主管100が破損すると、復旧に過大な手間及び費用がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/148645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、主管が破損することなく分岐構造を取り外すことができる分岐構造の取外し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る分岐構造の取外し方法は、
本体と、本体に接続される枝管との間に設けられる分岐構造を取り外すための取外し方法であって、
分岐構造は、
本体と枝管との接続箇所に設けられる孔部と、
孔部に嵌め込まれるシールパイプと、
シールパイプに嵌め込まれるスリーブと、を備え、
シールパイプは、本体の内側に突出する内端部を有し、
スリーブは、本体の内側に突出する内端部を有し、
スリーブの内端部は、シールパイプの内端部が本体に密着するように、シールパイプの内端部に沿って折り返され、シールパイプの内端部を巻き込み、
取外し方法は、
切断機を準備する第1工程と、
切断機を用いて、スリーブの周方向に沿ってスリーブを切断して、本体の外側に配置される第1スリーブ部と、本体の内側に配置される第2スリーブ部とに分割する第2工程と、
シールパイプ及び第1スリーブ部を孔部から取り出す第3工程と、
加圧機を準備する第工程と、
加圧機を用いて、第2スリーブ部の径方向に第2スリーブ部を加圧して変形する第工程と、
変形された第2スリーブ部を孔部から取り出す第工程と、を備える。
【0012】
好ましくは、
工程は、
引っ掛け具を準備する工程と、
引っ掛け具を用いて、第2スリーブ部を加圧機に取り付ける工程と、を備える。
【0013】
好ましくは、
工程は、
引っ掛け具を用いて、変形された第2スリーブ部を孔部から取り出す。
【0014】
好ましくは、
切断機は、
スリーブを切断するための切断刃と、
切断刃を回転駆動するための駆動機構と、
スリーブの軸方向に切断刃の位置を調整すると共に、スリーブの径方向に切断刃の位置を調整するための調整機構と、
スリーブの周方向に切断刃を旋回するための旋回機構と、を備える。
【0015】
好ましくは、
加圧機は、
第2スリーブ部を係止するための係止機構と、
係止機構に係止された第2スリーブ部を加圧する加圧機構と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る分岐構造の取外し方法は、主管が破損することなく分岐構造を取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】分岐構造が設けられた本体及び枝管を示す断面図。
図2図1に続き、切断機が使用される工程を示す断面図。
図3図2に続き、スリーブが切断される工程を示す断面図。
図4図3に続き、シールパイプ及び第1スリーブ部が取り除かれる工程を示す断面図。
図5図4に続き、引っ掛け具及び加圧機が使用される工程を示す断面図。
図6図5に続き、第2スリーブ部が加圧機に取り付けられる工程を示す断面図。
図7図6に続き、第2スリーブ部が加圧機で加圧される工程を示す断面図。
図8図7に続き、引っ掛け具で第2スリーブ部が取り除かれる工程を示す断面図。
図9】切断機を示す断面図。
図10】切断機の構成の一部を示す断面図。
図11】案内軸を示し、(A)は平面図、(B)は正面断面図、(C)は底面図。
図12】旋回軸を示し、(A)は平面図、(B)は正面断面図、(C)は底面図。
図13】調整機構の構成の一部を示し、(A)は平面図、(B)は正面断面図。
図14】加圧機を示し、(A)は正面断面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
図15】加圧機を示し、(C)は図14(B)のC−C線断面図、(D)は図14(B)のD−D線断面図。
図16】第2スリーブ部が取り付けられた加圧機を示し、(A)は平面図、(B)は正面断面図。
図17】分岐構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明に係る分岐構造の取外し方法の一実施形態を説明する。
【0019】
[分岐構造の取外し工程]
図1図8に基づいて、分岐構造の取外し工程を説明する。
【0020】
図1の通り、分岐構造は、主管(本体)100と、主管100に接続される枝管101との間に設けられる。枝管101は、主管100を流れる流体を別の場所に移送するために、主管100の直角方向(径方向)に延設される。枝管101は、主管100の外周に適合する外管部101aを備える。枝管101は、別の連結管又は空気弁等(不図示)を連結するためのフランジ部101bを備える。
【0021】
分岐構造は、主管100の接続箇所に設けられる孔部102を備える。分岐構造は、シールパイプ1を備える。シールパイプ1は、弾性変形可能な材料からなり、例えば、ゴム製である。シールパイプ1は、孔部102に嵌め込まれる。シールパイプ1の外径は、孔部102の直径より若干小さい。シールパイプ1は、枝管101の内側で係止するフランジ部1aを有する。フランジ部1aは、シールパイプ1の外側に突出する。シールパイプ1は、孔部102に嵌め込まれるときに、主管100の内側に突出する内端部1bを有する。
【0022】
分岐構造は、スリーブ2を備える。スリーブ2は、塑性変形可能な材料からなり、例えば、金属製である。スリーブ2は、シールパイプ1に嵌め込まれる。スリーブ2は、シールパイプ1に嵌め込まれると、シールパイプ1に密着する。スリーブ2の外径は、シールパイプ1の内径より若干大きい。そのため、孔部102に嵌め込まれたシールパイプ1にスリーブ2が嵌め込まれると、シールパイプ1が孔部102の内面に密着する。
【0023】
スリーブ2は、外周に設けられたネジ部2aを有する。ネジ部2aは、枝管101の内側で、シールパイプ1のフランジ部1aに対向する。スリーブ2は、シールパイプ1と共に孔部102に嵌め込まれるときに、主管100の内側に突出する内端部2bを有する。
【0024】
分岐構造は、ナット3を備える。ナット3は、例えば、金属製である。ナット3は、内周に設けられたネジ部3aを有する。ナット3のネジ部3aは、スリーブ2のネジ部2aに螺合される。
【0025】
スリーブ2の内端部2bは、シールパイプ1の内端部1bに沿って外側に折り返される。スリーブ2の内端部2bは、折り返されるとき、シールパイプ1の内端部1bを巻き込む。これにより、シールパイプ1の内端部1bは、主管100の内面に確実に密着する。そのため、主管100内の流体が孔部102に接触することがなく、主管100及び枝管101の腐食を防止する。さらに、シールパイプ1の内端部1bは、スリーブ2の内端部2bで覆われる。そのため、主管100内の流体がシールパイプ1に接触する面積が少なくなり、シールパイプ1の腐食を防止する。
【0026】
ここで、折り返されたスリーブ2の内端部2bの径は、主管100の孔部102の径よりも大きくなる。
【0027】
ナット3は、シールパイプ1のフランジ部1aを押圧する。これにより、シールパイプ1のフランジ部1aは、枝管101の外管部101aに確実に密着する。そのため、主管100内の流体が孔部102に接触することがなく、主管100及び枝管101の腐食を防止する。なお、ナット3は省略されてもよい。
【0028】
図2の通り、オペレータは、枝管101のフランジ部101bに、スペーサ105を介して、切断機10を取り付ける。スペーサ105の長さは、枝管101のフランジ部101bから突出するスリーブ2の長さより長く構成される。スペーサ105によって、切断機10は、枝管101のフランジ部101bから突出するスリーブ2に干渉しないように設置される。
【0029】
切断機10の構成に関する詳細な説明は後述する。切断機10は、スリーブ2を切断するための切断刃11を備える。切断刃11は、スリーブ2の内端部2bに近く、かつ、スリーブ2が折り曲げられていない位置に配置される。切断刃11は、スリーブ2の周方向2Z(図11)に沿ってスリーブ2を切断する。
【0030】
図3の通り、切断機10によって切断されたスリーブ2は、主管100の外側に配置される第1スリーブ部2Aと、主管100の内側に配置される第2スリーブ部2Bと、に分割される。第2スリーブ部2Bは、第1スリーブ部2Aから離れて、主管100の内側に落下する。折り返されたスリーブ2の内端部2bは、第2スリーブ部2Bと共に、主管100の内側に落下する。
【0031】
図4の通り、オペレータは、第1スリーブ部2Aと、それに螺合されたナット3とを枝管101から引き抜く。なお、主管100の孔部102の径より大きな径を有するスリーブ2の内端部2bは、第2スリーブ部2Bと共に、主管100の内側に落下しているので、オペレータは、大きな力を必要とせずに、第1スリーブ部2Aを枝管101から取り出すことができる。
【0032】
次に、オペレータは、シールパイプ1を枝管101から引き抜く。シールパイプ1の内端部1bの径は、主管100の孔部102の径より大きいが、シールパイプ1は、弾性変形可能な材料からなるので、オペレータは、大きな力を必要とせずに、枝管101から取り出すことができる。
【0033】
従って、主管100を破損することなく、シールパイプ1及び第1スリーブ部2Aを、主管100の孔部102から取り外すことができる。
【0034】
図5の通り、オペレータは、加圧機50及び引っ掛け具80を主管100及び枝管101の内側に挿入する。オペレータは、引っ掛け具80を操作して、主管100の内側にある第2スリーブ部2Bをフック部80aに引っ掛ける。加圧機50の構成に関する詳細な説明は後述する。
【0035】
図6の通り、オペレータは、引っ掛け具80を操作して、引っ掛けられた第2スリーブ部2Bを加圧機50に取り付ける。
【0036】
図7の通り、オペレータは、加圧機50を操作して、取り付けられた第2スリーブ部2Bを加圧する。これにより、第2スリーブ部2Bは、スリーブ2の径方向2Xに変形されて、楕円形になる。そのため、変形された第2スリーブ部2Bの短径は、主管100の孔部102の径よりも短くなる。
【0037】
図8の通り、オペレータは、引っ掛け具80を操作して、第2スリーブ部2Bを加圧機50から取り外し、加圧機50を主管100及び枝管101から抜き取る。その後、オペレータは、引っ掛け具80を操作して、第2スリーブ部2Bを主管100及び枝管101から取り出す。なお、変形された第2スリーブ部2Bの短径は、主管100の孔部102の径よりも短いので、主管100の孔部102から簡単に取り除かれる。
【0038】
[切断機]
図9図13に基づいて、切断機10を説明する。
【0039】
図9及び図10の通り、切断機10は、スリーブ2を切断するための切断刃11を備える。切断刃11は、スリーブ2の径方向2Xに延設される円板形状で構成される。
【0040】
図9及び図10の通り、切断機10は、切断刃11を回転駆動するための駆動機構20を備える。駆動機構20は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された回転軸21を備える。回転軸21の一端(下端)に、切断刃11が取り付けられる。
【0041】
駆動機構20は、モータ22を備える。モータ22は、出力軸22aを回転駆動する。回転軸21の他端(上端)とモータ22の出力軸22aとがスプライン結合される。モータ22の駆動によって、出力軸22aが回転して、回転軸21及び切断刃11が回転駆動する。
【0042】
図9及び図10の通り、切断機10は、スリーブ2の軸方向2Yに切断刃11の位置を調整すると共に、スリーブ2の径方向2Xに切断刃11の位置を調整するための調整機構30を備える。調整機構30は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された案内軸31を備える。案内軸31は、連結部220を介して、モータ22と連結される。
【0043】
図11の通り、案内軸31は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された挿通部31Aを備える。挿通部31Aには、回転軸21が挿通される。案内軸31及び回転軸21は、ベアリング311(図9及び図10)を介して、相対的に回転可能に取り付けられる。案内軸31の中心31a及び回転軸21の中心21aは、互いに離れている。そのため、案内軸31が中心31aの周りで回転すると、回転軸21が案内軸31の中心31aの周りで回転する。従って、図9及び図10の通り、案内軸31を中心31aの周りで回転することで、回転軸21に取り付けられた切断刃11の位置を、スリーブ2の径方向2Xに調整できる。
【0044】
図9図11の通り、案内軸31は、複数の第1調整孔310を備える。各第1調整孔310は、スリーブ2の軸方向2Yに所定間隔を置いて配置される。図9及び図13の通り、調整機構30は、調整ハンドル32を備える。調整ハンドル32は、スリーブ2の径方向2Xに延設されると共に、スリーブ2の径方向2Xに移動可能である。調整ハンドル32の先端32a(図13)は、各第1調整孔310に係合及び離脱可能に構成される。
【0045】
図2の通り、オペレータは、切断機10が枝管101のフランジ部101bに取り付けた後、図9の通り、調整ハンドル32の先端32aを第1調整孔310に係合及び離脱することで、案内軸31、回転軸21及び切断刃11の位置を、スリーブ2の軸方向2Yに調整する。
【0046】
図9及び図12の通り、調整機構30は、スリーブ2の周方向2Zに切断刃11を旋回するための旋回機構40を備える。旋回機構40は、旋回軸41及び旋回ハンドル42を備える。旋回軸41及び旋回ハンドル42は、一体的に構成される。
【0047】
図12の通り、旋回軸41は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された挿通部41Aを備える。挿通部41Aには、案内軸31が挿通される。旋回軸41及び案内軸31は、相対的に回転可能に取り付けられる。旋回軸41の中心41a及び案内軸31の中心31aは、互いに離れている。そのため、旋回軸41が中心41aの周りで回転すると、案内軸31が旋回軸41の中心41aの周りで回転する。
【0048】
図2の通り、切断機10が枝管101のフランジ部101bに取り付けられると、旋回軸41の中心41aは、スリーブ2の中心と一致する。そのため、旋回ハンドル42を介して、旋回軸41を回転すると、案内軸31、回転軸21及び切断刃11を、スリーブ2の周方向2Zに旋回できる。
【0049】
図9及び図13の通り、調整機構30は、位置決め部33(本実施形態ではボールプランジャー)を備える。調整機構30は、調整ハンドル32及び位置決め部33を支持するための支持台34を備える。支持台34は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された挿通部34Aを備える。挿通部34Aには、案内軸31が挿通される。支持台34及び案内軸31は、相対的に回転可能に取り付けられる。支持台34及び旋回ハンドル42は、連結部12を介して、相対的に回転可能に連結される。
【0050】
図12の通り、旋回ハンドル42は、複数の第2調整孔330を備える。各第2調整孔330は、スリーブ2の周方向2Zに所定間隔を置いて配置される。各第2調整孔330は、旋回軸41の挿通部41Aの中心(案内軸31の中心31a)の周りに配置される。
【0051】
図9の通り、位置決め部33の先端33a(図13)は、各第2調整孔330に係合及び離脱可能に構成される。そのため、旋回ハンドル42を固定し、調整ハンドル32を第1調整孔310に係合し、かつ、調整ハンドル32をスリーブ2の周方向2Zに回転すると、位置決め部33の先端33a(図13)が各第2調整孔330に係合及び離脱し、案内軸31、回転軸21及び切断刃11の位置を、スリーブ2の径方向2Xに調整できる。
【0052】
以上の通り、調整ハンドル32及び第1調整孔310の係合及び離脱によって、切断刃11の位置を、スリーブ2の軸方向2Yに調整できる。よって、図2の通り、切断刃11を、スリーブ2の内端部2bに近く、かつ、スリーブ2が折り曲げられていない位置に配置できる。
【0053】
また、位置決め部33及び第2調整孔330の係合及び離脱によって、切断刃11の位置を、スリーブ2の径方向2Xに調整できる。例えば、案内軸31が、図9の状態から図10の状態へ180°回転すると、それに伴って、回転軸21及び切断刃11が180°回転するので、切断刃11の位置が、スリーブ2の径方向2Xに移動する。よって、図2の通り、切断刃11を、スリーブ2が切断され、かつ、主管100及び枝管101が切断されない位置に配置できる。
【0054】
オペレータが、調整ハンドル32及び第1調整孔310を係合し、かつ、位置決め部33及び第2調整孔330を係合した後、旋回ハンドル42を回転して、旋回軸41、案内軸31、回転軸21及び切断刃11を、スリーブ2の周方向2Zに旋回する。よって、図2及び図3の通り、切断刃11の旋回によって、スリーブ2をスリーブ2の周方向2Zに切断できる。
【0055】
オペレータは、調整機構30で、スリーブ2の軸方向2Yに切断刃11の位置を調整すると共に、スリーブ2の径方向2Xに切断刃11の位置を調整する。その後、オペレータは、駆動機構20で、切断刃11を回転駆動する。その後、オペレータは、旋回機構40で、スリーブ2の周方向2Zに切断刃11を旋回する。これにより、スリーブ2の内端部2bに近く、かつ、スリーブ2が折り曲げられていない位置で、スリーブ2をスリーブ2の周方向2Zに切断できる。
【0056】
[加圧機]
図14図16に基づいて、加圧機50を説明する。
【0057】
図14の通り、加圧機50は、第2スリーブ部2Bを係止するための係止機構60を備える。係止機構60は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された案内軸61を備える。係止機構60は、案内軸61の一端(下端)に設けられた係止部62を備える。係止機構60は、案内軸61の他端(上端)に設けられたハンドル63を備える。
【0058】
係止部62は、一対の側壁部620を備える。図14(B)の通り、各側壁部620は、所定間隔を置いて配置される。係止部62は、側壁部620の一端(下端)に設けられた底壁部621を備える。
【0059】
係止部62は、案内軸61の一端(下端)、一対の側壁部620及び底壁部621に囲まれて形成された開口部625を備える。図14(B)の通り、開口部625は、一対の側壁部620の間で、横方向に挿通可能に構成される。
【0060】
図14及び図15(D)の通り、底壁部621は、係止溝622を備える。係止部62は、底壁部621から突出した一対の係止プレート623を備える。各係止プレート623は、一対の側壁部620の間に設けられる。係止プレート623は、係止溝624を備える。各係止溝622,624は、一列に配置される。
【0061】
図14の通り、加圧機50は、係止機構60に係止された第2スリーブ部2Bを加圧する加圧機構70を備える。加圧機構70は、スリーブ2の軸方向2Yに延設された送り軸71を備える。図14及び図15(C)の通り、送り軸71は、案内軸61の内部でネジ送り可能に構成される。そのため、送り軸71は、案内軸61の軸方向に前進及び後退可能に構成される。
【0062】
加圧機構70は、送り軸71の一端(下端)に設けられた加圧部72を備える。加圧機構70は、送り軸71の他端(上端)に設けられたハンドル73を備える。加圧部72は、開口部625に配置される。送り軸71の移動によって、加圧部72は、開口部625の内部を移動する。
【0063】
図16の通り、係止部62の開口部625に、第2スリーブ部2Bが係止される。第2スリーブ部2Bの内端部2bは、各係止溝622,624に嵌め込まれて、容易に係止される。その後、ハンドル63で案内軸61を固定し、かつ、ハンドル73で送り軸71を回転することで、加圧部72を前進して、加圧部72で第2スリーブ部2Bを加圧して変形する。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。
【0065】
本発明の効果について説明する。
【0066】
(1)本発明に係る分岐構造の取外し方法では、切断機10を用いて、スリーブ2を第1及び第2スリーブ部2A,2Bに分割し、その後、加圧機50を用いて、第2スリーブ部2Bを変形する。これにより、第2スリーブ部2Bは、主管100の孔部102を挿通可能になるので、主管100が破損されることなく、第2スリーブ部2Bを孔部102から取り出すことができる。
【0067】
(2)引っ掛け具80を用いて、オペレータは、主管100内に侵入することなく、第2スリーブ部2Bを加圧機50に取り付けることができる。
【0068】
(3)引っ掛け具80を用いて、オペレータは、主管100内に侵入することなく、第2スリーブ部2Bを孔部102から取り出すことができる。
【0069】
(4)切断機10は、スリーブ2の軸方向2Yに切断刃11の位置を調整すると共に、スリーブ2の径方向2Xに切断刃11の位置を調整するための調整機構30を備える。切断刃11を、スリーブ2の内端部2bに近く、かつ、スリーブ2が折り曲げられていない位置に配置できるので、第2スリーブ部2Bをできるだけ小さくして、加圧機50で小さな力で変形することができる。また、切断刃11を、スリーブ2が切断され、かつ、主管100及び枝管101が切断されない位置に配置できるので、主管100及び枝管101を損傷することがない。
【0070】
(5)加圧機50は、第2スリーブ部2Bを係止するための係止機構60を備える。第2スリーブ部2Bを加圧するときに、第2スリーブ部2Bが主管100内で遠くに飛ぶことを防止できる。
【符号の説明】
【0071】
1 シールパイプ
2 スリーブ
1b シールパイプの内端部
2b スリーブの内端部
2A 第1スリーブ部
2B 第2スリーブ部
2X スリーブの径方向
2Y スリーブの軸方向
2Z スリーブの周方向
10 切断機
11 切断刃
20 駆動機構
30 調整機構
40 旋回機構
50 加圧機
60 係止機構
70 加圧機構
80 引っ掛け具
100 本体(主管)
101 枝管
102 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
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