(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、ポリ(カルボキシレート)、キトサン、セルロースエーテルおよびキサンタンガムから選択される少なくとも1種類のポリマー材料を含み;
前記ポリ(カルボキシレート)は、好ましくは、アルギン酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリル酸)から選択され;
前記セルロースエーテルは、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースから選択され;
前記ポリ(カルボキシレート)および/または前記カルボキシメチルセルロースは、場合により、部分的または完全に中和されており;
前記ポリマー材料は、場合により、少なくとも部分的に架橋されている、請求項1〜3のいずれかに記載の粒子。
前記ビタミンは、レチノール、レチナール、β−カロテン、チアミン、シアノコバラミン、ヒドロキシシアノコバラミン、メチルコバラミン、リボフラビン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ビオチン、葉酸、フォリン酸、アスコルビン酸、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノンおよびメナキノンから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子。
前記微量栄養素が、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コリンまたはタウリンから選ばれる有機酸;ホウ素、コバルト、クロム、カルシウム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、セレン、亜鉛、ナトリウム、カリウム、リンから選ばれる微量金属または塩素の塩;およびコレステロールから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子。
前記水膨潤性または水溶性のポリマー要素、前記第1の脂質要素、場合により前記アミノ酸、前記ビタミン、前記微量栄養素、前記第2の脂質要素、場合により1種類以上の薬理学的に不活性な賦形剤から本質的になる、請求項1〜9のいずれかに記載の粒子。
請求項1〜11または請求項13のいずれかに記載の複数の粒子を含む、経口投与のための固体組成物であって、前記組成物中の粒子は、場合により、0.1mm〜3mmの範囲の質量平均ふるい径を有し、および/または前記組成物を重量比1で水に懸濁させて調製される懸濁物の動的安息角が30°未満である、固体組成物。
請求項1〜11または請求項13のいずれかに記載の粒子と、場合により1種類以上の薬理学的に不活性な賦形剤とから本質的になる、請求項14〜15に記載の組成物。
請求項14〜16のいずれかに記載の組成物を含む単回投薬単位またはパッケージであって、前記組成物の量が3g〜20gであり、および/または前記組成物中の前記第1の脂質要素の量が少なくとも2gである、単回投薬単位またはパッケージ。
被験者の治療に対するアドヒアランスおよび/または治療の有効性に関する情報を収集、保存および/または表示するためのデバイスの使用をさらに含み、前記デバイスが、場合により、着用可能なデバイスである、請求項18に記載の使用のための組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の態様において、本発明は、ふるい径が0.05〜3mmの範囲の摂取可能な粒子であって、水膨潤性または水溶性のポリマー要素、第1の脂質要素、場合によりアミノ酸、ビタミン、および/または微量栄養素を含む、摂取可能な粒子を提供する。第1の脂質要素は、中鎖または長鎖の脂肪酸化合物を含む。この粒子は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、脂質要素の中に埋め込まれ、および/または前記脂質要素でコーティングされていることをさらに特徴とする。
【0017】
誤りを避けるために、本発明の粒子(および/またはこの粒子を調製するための混合物)中のアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素の存在は、他の意味であると明確に述べられていない限り、全ての実施形態で任意であることを理解すべきである。このことは、本明細書で示される場合、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素を含む列挙が、これらの任意要素を含まない実施形態を除外することなく、単に、任意要素のアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素が存在する特定の実施形態を指すことを意味している。
【0018】
さらに、本発明の粒子へのアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素の組み込みは、互いに独立している。すなわち、この粒子は、これら全ての粒子を含んでいなくてもよく、4種類のうち1種類のみ、2種類のみ、または3種類のみを含んでいてもよく、または4種類全てを含んでいてもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」または「その(the)」という用語またはこの単数形で記載される特徴は、複数のそれぞれの特徴を除外しないことも理解すべきである。他の意味であると明確に述べられているか、または記載されていない限り、「アミノ酸(an amino acid)」、「ビタミン(a vitamin)」、「微量栄養素(the micro−nutrient)」、「ポリマー(the polymer)」などの表現は、単に単純化のために選択され、1種類以上のアミノ酸、ビタミン、微量栄養素、ポリマーなどを、例えば、それぞれの2種類以上の要素のブレンドまたは混合物の形態で包含することを意味する。
【0020】
本願発明者らは、本明細書で定義される摂取可能な粒子、特に、この粒子を複数含むか、この複数の粒子から調製される経口組成物が、満腹状態を効果的に誘発し、食欲を抑制することができ、それによって、例えば、体重減少のために本明細書に定義される摂取可能な粒子および/またはこの粒子を複数含むか、この複数の粒子から調製される組成物を用いることによって、肥満または肥満に関連する状態を予防または治療するために使用可能であることを発見した。理論に束縛されることを望まないが、現時点では、経口投与すると、粒子に含まれる脂肪酸または脂肪酸エステルが、水膨潤性または水溶性のポリマー要素によって胃腸管(例えば、胃または十二指腸)の粘膜にさらに効果的に送達され、脂肪酸材料と粘膜中の標的構造との相互作用が長く保たれるか、または他の方法で高まるのに役立つ場合があると考えられる。さらに、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素(存在する場合)と粘膜中の標的構造との相互作用が長く保たれるか、または他の方法で高まるのに役立つだろう。
【0021】
おそらく、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含まない脂質粒子と比較して、消化後の粒子の完全性を長く保つ。脂質を含有する粒子の完全性が長く保たれることによって、粒子の胃内容排出がさらに迅速に起こり、粒子から誘導される脂肪酸または脂肪酸エステルと、腸粘膜とがさらに迅速に相互作用するだろう。脂質を含有する粒子の完全性が長く保たれることによって、空腸または回腸のような小腸のさらに遠い部分への脂肪酸または脂肪酸エステルの送達も起こるだろう。
【0022】
おそらく、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、他の方法では消化率が制限されるトリステアリンのような固い脂肪などの脂質要素の消化性も高める。公開されているラット栄養補給試験において、トリステアリン(Dynasan(登録商標)118、溶融範囲72〜75℃)は、エネルギー容量がわずか3kcal/gであることがわかっており、これは、摂取とは独立してわずか0.15g/gのトリステアリンからのステアリン酸の真の消化率に対応する。おそらく、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、粒子の表面濡れ特性を高め、および/または水および胆汁酸との接近と、その後の脂質の乳化およびリパーゼが介在する加水分解を促進する。
【0023】
おそらく、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、特に、粒子の完全性が長く保たれることと組み合わせて、粘膜付着特性を有する粒子を与える。
【0024】
本明細書で使用される場合、摂取可能な粒子は、原理的に経口消化または経口投与に適している粒子である。その組成に起因して、大きさおよび形態が、経口使用のための食品要素または医薬組成物の要素として適している粒子が、摂取可能な粒子の一例である。
【0025】
この粒子は、ふるい径が約0.05mm〜約3mmの範囲であり、これは、通常、穴または開口部の大きさが約3mmのふるいを通過するが、穴または開口部の大きさが約0.05mm以下のふるいを通過しないことを意味する。この粒子は、直径が、それぞれ、例えば、約0.1mm〜約2.5mm、または約0.1mm〜約2mm、例えば、約0.25±0.20mm、約0.5±0.25mm、約1.0±0.25mm、約1.5±0.25mm、または約2.0±0.25mmの範囲であってもよい。本発明の複数の粒子を含む組成物の中で、これらの粒子の大きさは、好ましい質量平均ふるい径の摂取可能な粒子を特徴とすると解釈すべきである。
【0026】
水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、水性環境で溶解または膨潤することができる親水性または両親媒性のポリマー材料である。この材料は、粘膜付着性化合物または粘膜付着性化合物の混合物を含んでいてもよく、または粒子に粘膜付着性を誘発することができるものであってもよい。混合物である場合、混合物が水膨潤性である限り、それ自体が水膨潤性または粘膜付着性ではない1種類以上の構成要素も含んでいてもよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、水または水性環境による膨潤は、典型的には、流入または水和に伴う水の拡散プロセス(すなわち、濡れ)および水分の吸収によって生じる固体の体積増加を意味する。
【0028】
水溶性ポリマー要素は、水溶解度が少なくとも1mg/Lの親水性または両親媒性のポリマーである。
【0029】
粒子の完全性が長く保たれることは、in vivo条件または模倣されたin vivo条件でインキュベーションしている間、粒子の大部分(50%より多く)が、その体積または質量が減少せず、または溶融して液滴にならない時間が長くなることである。粒子の完全性は、裸眼による視覚観察または顕微鏡によって、または顕微鏡画像形成を含む画像形成技術、その後のコンピュータによる画像処理によって容易に判断されてもよい。
【0030】
粘膜付着性は、粘液または粘膜に付着する能力である。粘膜付着性を決定するために、種々の従来の方法、例えば、引張強度の測定、エリプソメトリーまたはレオロジー測定が利用可能である(D.Ivarsson et al.、Colloids Surf B Biointerfaces、vol.92、353−359ページ、2012)。これらの方法は、粘膜付着性自体の絶対値を与え得るものではないが、材料の粘膜付着性の存在および相対的な大きさを示す。
【0031】
本発明の内容で粘膜付着性を決定するために、改変した落下液体膜法(粘膜付着性薬物送達系において他の方法と共に記載される、Carvalho F.C.et al.、Brazilian Journal of Pharmaceutical Sciences 46(2010))が使用されることが好ましい。この方法によれば、選択された粘膜(例えば、ブタの胃由来)を、37℃の制御された温度で、模倣した胃液と共にペトリ皿に配置する。このペトリ皿を、傾斜運動を行うテーブルに配置する。粘膜組織表面に小さなバッファーの波が連続して流れるように、傾斜運動とバッファー体積の両方を選択する。この落下液体膜法において、45°の角度に傾けた粘膜組織の上にバッファーを圧送することによって同様の運動が達成される。所定の時間間隔後に粘膜の上に残る粒子の量を、種々の方法によって定量することができる。例えば、粒子を、場合により、拡大ガラスまたは顕微鏡を用いて数えることができ、または粒子を集め、乾燥させ、重量測定によって測定してもよい。
【0032】
本発明の内容において、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、接触したときに粘膜に付着するのに十分に強い粘膜付着性を有するか、または誘発し、粒子またはその要素が、粘膜付着性ではない材料(例えば、固体トリグリセリドまたは親油性ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン)よりも顕著に長い時間、付着したまま留まってもよい。ある好ましい実施形態において、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、粘膜付着性ポリマーを含む。特に、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、ポリ(カルボキシレート)、キトサン、セルロースエーテルおよびキサンタンガムから選択される少なくとも1種類のポリマー材料を含んでいてもよい。
【0033】
さらに好ましい実施形態において、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、植物繊維である。本発明の内容において、植物繊維は、植物繊維の個々の要素または植物繊維から誘導されるもの、およびこれらの混合物を含む。例えば、適切な水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、サイリウムシードのハスク、またはサイリウムシードのハスク繊維であり、サイリウムハスクまたは単にサイリウムとも呼ばれる。サイリウムシードハスクは、プランタゴ・オバタ(Plantago ovata)の種の種被覆物であり、デザートインディアンウィート(Desert Indianwheat)またはブロンドサイリウム(Blond Psyllium)としても知られる。サイリウムシードハスクの主要な要素は、可溶性であるが、水への膨潤性が高い摂取可能な多糖繊維である。サイリウムは、食物繊維源として、また、緩下剤または便軟化薬として知られている。
【0034】
ポリ(カルボキシレート)が使用される場合、ポリ(カルボキシレート)は、好ましくは、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリル酸)、またはアルギン酸またはペクチンまたはカルボキシメチルセルロースから選択される。セルロースエーテルは、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(ヒプロロースとしても知られる)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースとしても知られる)およびメチルセルロースから選択される。ポリ(カルボキシレート)および/またはカルボキシメチルセルロースのようなイオン性ポリマーが使用される場合、イオン性ポリマーは、部分的または完全に中和されていてもよく、好ましくは、ナトリウム塩またはカリウム塩として、最も好ましくは、ナトリウム塩として中和されていてもよい。さらに、ポリマー材料は、少なくとも部分的に架橋されていてもよい。
【0035】
さらに好ましい実施形態において、粘膜付着性ポリマーは、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、またはアクリル酸とメタクリル酸とマレイン酸のコポリマーである。このコポリマーは、少量のポリアルケニルポリエーテルで架橋されていてもよい。このようなコポリマーは、親水性が高く、多量の水を吸収し、膨潤させることができる。
【0036】
本発明を実施するのに特に適しているのは、例えば、カルボマーである。カルボマー樹脂は、高分子量の架橋したアクリル酸系ポリマーである。市販の態様のカルボマーは、例えば、Carbopol(登録商標)、Noveon(登録商標)、Pemulen(登録商標)、Polygel(登録商標)、Synthalen(登録商標)、Acritamer(登録商標)またはTego Carbomer(登録商標)である。これらのブランドは大部分が種々のグレードのカルボマーを含む。
【0037】
例えば、Carbopol(登録商標)ポリマーシリーズは、Carbopol(登録商標)Aqua SF−1(アクリレートコポリマー、軽く架橋したアクリレートコポリマー)、Carbopol(登録商標)Aqua SF−2(アクリレートクロスポリマー−4)、Carbopol(登録商標)Aqua CC(ポリアクリレート−1クロスポリマー)、Carbopol(登録商標)934(カルボマー、ショ糖のアリルエーテルで架橋したアクリレートホモポリマー)、Carbopol(登録商標)940(カルボマー)、Carbopol(登録商標)941(カルボマー)、Carbopol(登録商標)971P(カルボマー、アリルペンタエリスリトールで軽く架橋したもの)、Carbopol(登録商標)71G(直接圧縮製剤に使用するためのCarbopol(登録商標)971Pの自由に流動する顆粒形態)、Carbopol(登録商標)974P(カルボマー、高度に架橋したもの)、Carbopol(登録商標)980(カルボマー)、Carbopol(登録商標)980(カルボマー)、Carbopol(登録商標)981(カルボマー、アリルペンタエリスリトール架橋したもの)、Carbopol(登録商標)1342(アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、アリルペンタエリスリトールで架橋したアクリル酸とC10−C30アクリル酸アルキルのコポリマー)Carbopol(登録商標)1382(アクリレート/C10−30アクリル酸アルキルクロスポリマー、アリルペンタエリスリトールで架橋したアクリル酸とC10−C30アクリル酸アルキルのコポリマー)、Carbopol(登録商標)2984(カルボマー)、Carbopol(登録商標)5984(カルボマー)、Carbopol(登録商標)Ultrez 10(カルボマー)、Carbopol(登録商標)Ultrez 20(アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Carbopol(登録商標)Ultrez 21(アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Carbopol(登録商標)Ultrez 30(カルボマー)、Carbopol(登録商標)ETD 2001、Carbopol(登録商標)ETD 2020(アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、ポリエチレングリコールと長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するインターポリマー)、Carbopol(登録商標)ETD 2050(カルボマー)によって例示される、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマーを包含する。
【0038】
これらの中で、医薬品用途のために承認されたポリマーグレード、例えば、薬局方のモノグラフに一致するもの、例えば、欧州薬局方(Ph.Eur.8)のモノグラフ「カルボマー」または米国薬局方/国民医薬品集(USP−NF)の「カルボマー910」、「カルボマー934」、「カルボマー934P」、「カルボマー940」、「カルボマー941」、「カルボマーホモポリマー」、「カルボマーコポリマー」、「カルボマーインターポリマー」または「カルボマー1342」というタイトルのモノグラフに一致するものが好ましい。
【0039】
ジビニルグリコールで架橋した高分子量アクリル酸ポリマーを表すポリカルボフィル(USP−NF)も特に適している。このポリカルボフィルは、優れた生体付着特性を与える。ポリカルボフィルの好ましいグレードの一例は、NOVEON(登録商標)AA−1である。
【0040】
場合により、水膨潤性ポリマー要素または水溶性要素は、賦形剤または食品添加剤または食品成分としての経口使用のために承認された少なくとも1種類の多糖を含む。少なくとも1種類の多糖は、カチオン性多糖、アニオン性多糖および非イオン性多糖の群から選択されてもよい。
【0041】
適切なカチオン性多糖としては、限定されないが、キトサン、四級アンモニウム基によって修飾された多糖(例えば、カチオン性グアーガム、カチオン性セルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースおよびカチオン性デンプン)、これらの誘導体、またはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
【0042】
または、カチオン性多糖は、中性環境で少なくとも部分的にプロトン化される塩基性アミノ基を有するポリマー材料である。カチオン性多糖は、遊離塩基として、定量的にプロトン化された塩形態として、またはこの2種類の形態の任意の混合物として与えられてもよく、または組み込まれてもよい。
【0043】
「遊離塩基」形態は、塩基形態(例えば、−NH
2)でアミノ側鎖を含むポリグルコサミン(キトサン)のようなポリマーを指す。「塩形態」は、アンモニウム基の塩化物塩の塩形態(例えば、−NH
3+Cl
-)でアミノ側鎖を含むポリグルコサミン(キトサン)のようなポリマーを指す。塩形態は、塩の混合物を指していてもよいことが理解され、例えば、塩形態は、異なる塩の混合物(例えば、−NH
3+Cl
-および−NH
3+CH
3−COO
-)で構成されていてもよい。「この2種類の形態の任意の混合物」は、アミノ基を含むポリマー材料を指し、ここで、アミノ基の一部が遊離塩基形態で存在するもの、例えば、一級アミノ基の場合の−NH
2、この側鎖の一部が塩形態で存在するもの、例えば、−NH
3+Cl
-を含む。例えば、このような混合物は、キトサンの部分的な塩化物塩を指していてもよい。
【0044】
「キトサン」は、本発明の目的のために、真菌から誘導されるキトサン、またはキチンの脱アセチル化によって誘導されるキトサンであると定義され、平均脱アセチル化度は、好ましくは、それぞれ、約75%より高く、約80%より高く、約90%より高く、または約95%より高い。脱アセチル化度は、キチンの脱アセチル化されたアミノ基の割合を指す。特に好ましいキトサンは、カンジダ・ギリエルモンジィ(Candida Guillermondii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される真菌バイオマスから誘導され、キトサンを含有する材料は、キチン中のN−アセチル基のうち、85%より多い基が脱アセチル化されており、1%酢酸水溶液中、25℃で25センチポイズ(mPa・s)未満の粘度を示す。
【0045】
適切なアニオン性多糖としては、限定されないが、ヘパラン、ヘパランサルフェート、ヘパリンを含む硫酸化グリコサミノグリカン;アルギネート;プロピレングリコールアルギネート;カラゲナン;硫酸セルロース;カルボキシメチルセルロース;フコイダン;グルクロン酸またはガラクツロン酸を含有するガラクタン;コンドロイチンまたは硫酸コンドロイチン;ゲランガム;ヒアルロナンおよびヒアルロン酸;改質デンプン、例えば、オクテニルコハク酸デンプンまたはリン酸化モノデンプン、酸化デンプンまたはカルボキシメチル化デンプン;ペクチン酸、アミド化ペクチンを含むペクチン、ホモガラクツロナン、置換ガラクツロナン、ラムノガラクツロナン、これらのメチルエステルおよびエチルエステル;ポルフィラン;硫酸化ガラクタン;トラガカントまたはカラヤガム;キサンタンガムおよびキシランが挙げられる。
【0046】
ある特に適したポリカルボキシレート多糖は、アルギン酸である。アルギン酸は、(1−4)結合したβ−D−マンヌロネート(M)およびそのC−5エピマーであるα−L−グルロネート(G)残基のホモポリマーブロックが異なる配列またはブロックで一緒に共有結合したものをそれぞれ含む直鎖コポリマーである。このモノマーは、連続したG残基(Gブロック)、連続したM残基(Mブロック)のホモポリマーブロック、またはM残基とG残基が交互に並ぶブロック(MGブロック)で表すことができる。
【0047】
アニオン性多糖は、遊離酸の形態で組み込まれてもよく、または酸の中和した塩形態として、またはこれらの混合物として、すなわち、部分的に中和した塩として組み込まれてもよい。「遊離酸」形態は、イオン化されていない形態、プロトン化された酸形態(例えば、−COOHまたは−SO
4H
2)で酸基を含むポリマー材料を指す。「塩形態」は、イオン化した形態または塩形態(例えば、カルボン酸のナトリウム塩の場合、−COO
-Na
+、または硫酸ナトリウム塩の場合、−SO
42-2Na
+)で酸基を含むポリマー材料を指す。塩形態は、塩の混合物を指していてもよいことが理解され、例えば、塩形態は、−COO
-Na
+塩と−COO
-K
+塩または−COO−Ca
2+−COO
-塩の混合物で構成されていてもよい。「この2種類の形態の任意の混合物」は、酸基を含むポリマー材料を指し、ここで、これらの基の一部がイオン化していない酸形態で存在し(例えば、カルボン酸の場合の−COOH)、この酸基の別の部分がイオン化した塩形態で存在する(例えば、カルボン酸ナトリウム塩の場合、−COO
-Na
+)。例えば、このような混合物は、アルギン酸の部分的なナトリウム塩と呼ばれてもよい。
【0048】
好ましくは、アニオン性多糖は、アニオン性食物繊維である。食物繊維は、本発明の目的のために、ヒトの小腸の内在酵素によって加水分解されない10個以上のモノマー単位を含む炭水化物ポリマーである。アニオン性多糖は、典型的には、物理的手段、酵素手段または化学的手段によって食品原材料から得られた炭水化物ポリマー、または合成炭水化物ポリマーを表す。
【0049】
好ましくは、アニオン性多糖は、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロナン、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギネート、カラゲナン、ゲランガム、ペクチン、トラガカントまたはキサンタンガムである。特に好ましいのは、少なくとも1つのアニオン性多糖がカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムまたはプロピレングリコールアルギネート、ペクチン、キサンタンガムまたはヒアルロナンであるものである。場合により、アニオン性多糖の組み合わせ、例えば、アルギン酸ナトリウムとキサンタン、またはアルギン酸ナトリウムとペクチンが使用される。
【0050】
ペクチン多糖(ペクチン)は、ガラクツロン酸を豊富に含む。ペクチン群の中で、数種類の別個の多糖が特定され、特性決定される。ホモガラクツロナンは、α−(1−4)結合したD−ガラクツロン酸の直鎖である。置換ガラクツロナンは、D−ガラクツロン酸残基の骨格から分岐する糖側鎖残基(例えば、キシロガラクツロナンおよびアピオガラクツロナンのそれぞれの場合にD−キシロースまたはD−アピオース)の存在によって特徴付けられる。ラムノガラクツロナンIペクチン(RG−I)は、繰り返し二糖である4)−α−D−ガラクツロン酸−(1,2)−α−L−ラムノース−(1)の骨格を含む。ラムノース残基の多くから、種々の中性糖の側鎖が分岐していてもよい。この中性糖は、主に、D−ガラクトース、L−アラビノースおよびD−キシロースであり、中性糖の種類および割合は、ペクチンの由来によって変わる。別の構造的な種類のペクチンは、ラムノガラクツロナンII(RG−II)である。単離されたペクチンは、分子量が典型的には60〜130,000g/molであり、由来および抽出条件によって変わる。本質的に、ガラクツロン酸のカルボキシル基のほぼ80%がメタノールでエステル化されている。この割合は、ペクチン抽出中にさまざまな程度まで低下する。エステル化していないガラクツロン酸に対するエステル化したガラクツロン酸の比率は、食品用途でのペクチンの挙動を決定付ける。このため、ペクチンは、高エステルペクチンと低エステルペクチンに分類され(短HMペクチンとLMペクチン)、全てのガラクツロン酸の半分より多い部分または半分より少ない部分がエステル化されている。エステル化されていないガラクツロン酸単位は、遊離酸(カルボキシル基)またはナトリウム、カリウムまたはカルシウムとの塩のいずれかであってもよい。部分的にエステル化されたペクチンの塩は、ペクチネートと呼ばれる。エステル化度が5%未満の場合、その塩は、ペクテートと呼ばれ、不溶性の酸は、ペクチン酸を形成する。アミド化ペクチンは、ペクチンの修飾された形態である。ここで、ガラクツロン酸の一部は、アンモニアでカルボン酸アミドに変換される。最も好ましいペクチンは、高エステルペクチンである。
【0051】
適切な非イオン性多糖としては、限定されないが、アガロース;アミロペクチン;アミロース;アラビノキシラン;カロース、カードラン、クリソラミナリンまたはロイコシン、ラミナラン、レンチナン、リケニン、プロイラン(pleuran)、シゾフィラン、ザイモサンを含むβ−グルカン;カプスラン(capsulan);ヘミセルロースを含むセルロース、セルロースエステル、例えば、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよび酢酸酪酸セルロース;セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(ヒプロロース)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロースまたはアルコキシヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ここで、アルコキシ基は、分岐していないか、または分岐しており、2〜8個の炭素原子を含む;キチン;シクロデキストリン;デキストラン;デキストリン(例えば、Nutriose(登録商標)またはBenefiber(登録商標)として市販されるもの);ガラクトグルコマンナン;フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガムまたはキャロブガムを含むガラクトマンナン;コニャックガムを含むグルコマンナン;イヌリン、レバン、シニストリン(sinistrin)またはフレイン(phlein)を含むフルクタン;マルトデキストリン;グリコーゲン;プルラン;レジスタントスターチ、改質デンプン、例えば、アセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンまたはヒドロキシエチルデンプンを含むデンプン;ポリデキストロース;ウェランガムおよびキシログルカンが挙げられる。
【0052】
好ましくは、非イオン性多糖は、非イオン性食物繊維である。好ましくは、非イオン性多糖は、β−グルカン、セルロースエーテル、グアーガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、イヌリンおよびデキストリンからなる群から選択される。好ましくは、非イオン性多糖は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)またはローカストビーンガム、またはオーツまたは大麦のβ−グルカンまたはコニャックガムまたはレジスタントデキストリンである。中でも、特に好ましい非イオン性多糖は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、オーツまたは大麦由来のβ−グルカンおよびデンプン由来のレジスタントデキストリンである。
【0053】
レジスタントデキストリンは、ヒト消化酵素の加水分解作用に比較的耐性を有する、甘味のない短鎖グルコースポリマーである。レジスタントデキストリンは、例えば、高度に制御されたデキストリン化プロセスの後、クロマトグラフィーによるフラクション化工程を用い、小麦から作られてもよい(NUTRIOSE(登録商標)FB範囲またはBenefiber(登録商標))か、またはトウモロコシデンプンから作られてもよい(NUTRIOSE(登録商標)FM範囲)。デキストリン化工程中、デンプンは、ある程度の加水分解を受け、その後、再重合し、繊維へと変換され、典型的なデンプンのα−1,4消化性結合およびα−1,6消化性結合に加え、非消化性のグリコシド結合、例えば、β−1,2またはβ−1,3が作られ、これらの結合は消化管の酵素によって開裂することができない。
【0054】
場合により、本発明の水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、1種類より多い多糖を含む。好ましいのは、特に、アニオン性多糖と非イオン性多糖、特に、キサンタンガムとヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)の組み合わせの選択である。
【0055】
場合により、本発明の水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、水膨潤性または水溶性の合成ポリマー材料、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)またはポリビニルピロリドン(PVP)を含む。このようなポリマーは、直鎖であってもよく、分枝または架橋していてもよく、例えば、クロスポビドン(架橋したポリビニルピロリドン)またはPEGヒドロゲルであってもよい。
【0056】
場合により、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、チオール化ポリマー、例えば、キトサン−4−チオブチルアミジン、キトサン−チオグリコール酸抱合体、キトサン−システイン抱合体、キトサングルタチオン抱合体、ポリカルボフィル−システイン抱合体、ポリアクリル酸−システイン抱合体、カルボキシメチルセルロース−システイン抱合体、またはこれら2種類以上の混合物または組み合わせを含む。
【0057】
第1の脂質要素は、中鎖または長鎖の脂肪酸化合物を含む。脂肪酸化合物は、本明細書で使用される場合、遊離脂肪酸、部分的または完全に中和した脂肪酸、すなわち、脂肪酸塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩、またはエステル化した脂肪酸を指していてもよい。エステル化した脂肪酸は、アルコール残基としてグリセロールを含んでいてもよく、そのため、エステル化した脂肪酸は、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドである。脂肪酸のアシル鎖は、飽和または不飽和であってもよい。
【0058】
中鎖脂肪酸は、6〜12個の炭素原子を含むアシル残基を有する脂肪酸であると理解され、一方、長鎖脂肪酸は、13〜21個の炭素原子を含むアシル鎖を有する脂肪酸を意味する。好ましい中鎖脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸であり、これらのエステルおよび塩を含み、特に、これらのモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩を含む。ジグリセリドおよびトリグリセリドの場合、これらは、グリセリド分子あたり、異なる脂肪酸残基を有していてもよい。好ましい長鎖脂肪酸の例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸、ならびにそれぞれの塩およびグリセリドが挙げられる。
【0059】
好ましい実施形態の1つにおいて、第1の脂質要素は、中鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸の1種類以上の部分グリセリド、特に、中鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸のモノグリセリドを含む。例えば、モノオレインまたはモノラウリンは、個々に、または互いに組み合わせて、本発明を実施するのに非常に適している。本明細書で使用される場合、モノオレインまたはモノラウリンのようなモノグリセリドは、実質的に純粋な化合物として組み込まれてもよく、またはモノグリセリドとジグリセリドの混合物として、または種々の脂肪酸を含むモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの混合物として組み込まれてもよいが、特定のモノグリセリド化合物の含有量が高い(「豊富である」)。例えば、モノオレインのグレードは、実際のオレイン酸のモノグリセリドを少なくとも約40%(または少なくとも約50%、または60%または70%または80%または90%)を含むものを使用してもよい。
【0060】
第1の脂質要素は、もちろん、2種類以上の脂肪酸および/または脂肪酸エステルもしくは塩を組み込んだ混合物を表していてもよい。例えば、この要素は、1種類以上の脂肪酸を含んでいてもよく、部分的または完全に中和されていてもよく、1種類以上のグリセリド、例えば、トリグリセリドと組み合わせた状態であってもよい。
【0061】
第1の脂質要素の構成要素は、天然材料、合成材料または半合成材料を表してもよい。例えば、ココアバターを使用してもよく、ココアバターは、それ自体が種々の脂質化合物の混合物であり、そのほとんどが、本明細書に定義される脂肪酸化合物を表す。第1の脂質要素の別の好ましい構成要素は、パームステアリンまたはパーム核油ステアリンである。パームステアリンは、パーム油の固体フラクションであり、制御された温度での部分的な結晶化によって作られる。
【0062】
一実施形態において、第1の脂質要素は、1種類以上の遊離脂肪酸を含む。例えば、遊離オレイン酸または遊離ラウリン酸は、脂質要素の一部であってもよい。他の好ましい遊離脂肪酸は、いわゆるオメガ脂肪酸または共役リノール酸のような不飽和脂肪酸の混合物である。共役リノール酸(CLA)は、リノール酸の異性体ファミリーである。共役リノール酸は、CLAの二重結合が共役しており、その間の単結合によって分離されるため、トランス脂肪酸とシス脂肪酸の両方がある。CLAのブランドは、栄養補助食品として上市されている(Tonalin(登録商標)、BASF、およびClarinol(登録商標)、Stepan)。Ω−3脂肪酸は、炭素鎖の末端から3番目の炭素原子に二重結合(C=C)を有する多価不飽和脂肪酸(PUFA)である。ω−3脂肪酸の例は、α−リノレン酸(ALA)(植物油中に見出される)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)(両者とも一般的に魚油中に見出される)である。第1の脂質要素が不飽和脂肪酸を含む場合、ビタミンEまたはその誘導体のような酸化防止剤も含んでいてもよい。
【0063】
好ましい実施形態の1つにおいて、第1の脂質要素の中鎖または長鎖の脂肪酸化合物は、そのままin vitroで、または水和状態でin vivoで、37℃より低い溶融範囲を有する。本明細書で使用される場合、溶融範囲の下限が37℃より低い場合に(上限は必ずしもそうではない)、溶融範囲は、37℃より低いと理解される。言い換えると、35℃〜38℃の溶融範囲を有する化合物は、本発明の溶融範囲が37℃より低い材料の一例である。言い換えると、この実施形態によれば、脂質要素の脂肪酸材料の少なくとも一部が、ヒトの身体の生理学的温度で溶融すべきである。さらに、脂質要素を水和することができる場合、水和状態での溶融範囲が37℃より低いときにも、所定の溶融範囲を満たす。ある種の脂質のこのような挙動は、「水和による溶融」としても記載されている。
【0064】
さらに好ましくは、第1の脂質要素は、溶融範囲または溶融範囲の下限がそれぞれ約10℃〜37℃、または約25℃〜37℃の中鎖または長鎖の脂肪酸化合物を含む。
【0065】
驚くべきことに、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、このような低温溶融脂肪酸化合物を含む脂質要素に埋め込まれているか、またはこのような低温溶融脂肪酸化合物を含む脂質要素でコーティングされた粒子は、長く保たれる粒子の完全性を示すことができることを本願発明者らは発見した。おそらく、粘膜付着特性は、ポリマー要素の性質に依存して、粒子に付与される。おそらく、これらの効果は、単独で、または組み合わせた状態で、粒子の胃での滞留時間を長くすること、脂質のバイオアベイラビリティの増加、粒子の投与によって生じる満腹状態の誘発にも関与し、または関係する。
【0066】
さらに驚くべきことに、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、このような低温溶融脂肪酸化合物を含む脂質要素に埋め込まれているか、またはこのような低温溶融脂肪酸化合物を含む脂質要素でコーティングされた粒子は、胃腸管で粘性エマルションを生成することができることを本願発明者らは発見した。おそらく、この効果も、粒子の胃での滞留時間を長くすること、粒子の投与によって生じる満腹状態の誘発にも関与し、または関係する。
【0067】
場合により、第1の脂質要素は、完全に異なる溶融範囲を有していてもよい1種類以上のさらなる構成要素を含んでいてもよい。例えば、溶融範囲が13℃〜14℃のオレイン酸と、溶融範囲が42℃〜45℃の固い脂肪(すなわち、トリグリセリド混合物)の混合物を第1の脂質要素として使用してもよい。固い脂肪の代わりとして、ミリスチン酸(mp 54℃〜55℃)またはラウリン酸(mp 43℃〜44℃)をこのような混合物で使用してもよい。例えば溶融範囲を所望な最適値に調節するために、選択した比率で脂肪酸と脂肪酸塩とを合わせることが有利な場合もある。
【0068】
好ましい実施形態の1つにおいて、第1の脂質要素の脂肪酸化合物は、そのままin vitroで、または水和状態でin vivoで、37℃を超える溶融範囲を有する。本明細書で使用される場合、溶融範囲の下限が37℃を超える場合に、溶融範囲は、37℃を超えると理解される。言い換えると、40℃〜44℃の溶融範囲を有する化合物は、
本発明の溶融範囲が37℃を超える材料の一例である。さらに、脂質要素を水和することができる場合、水和状態での溶融範囲が37℃を超えるときにも、所定の溶融範囲を満たす。溶融範囲が37℃を超える特に好ましい第1の脂質要素は、フラクション化されているが、水素添加されていないパームステアリンまたはパーム核ステアリンである。パームステアリンは、パーム油の固体フラクションであり、制御された温度での部分的な結晶化によって作られる。好ましい市販品質の一例は、Sime Darby Unimills製のPrifex(登録商標)300である。
【0069】
本発明によれば、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、脂質要素の中に埋め込まれ、および/または脂質要素でコーティングされている。本明細書で使用される場合、「埋め込まれ」という用語は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、分子状態で、コロイド状態で、または固体懸濁物の形態であるかによらず、大部分が脂質要素の中に分散していることを意味する。脂質要素は、連続相を形成し、水膨潤性または水溶性のポリマー要素は、不連続であり、分散した形態である。誤りを避けるために、このことは、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を表す材料の一部(典型的には小さなフラクション)が完全に埋め込まれていないが、脂質要素の外側表面に位置しているものを除外しない。
【0070】
典型的には、「埋め込まれ」は、本発明の内容で、脂質要素と水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、得られる脂質−ポリマー組成物の多孔性が、水膨張性または水溶性のポリマー自体から作られる粒子(例えば、ローラー圧縮または凝集によって作られるような粒子)と比較して大きく減少するように、十分に混合されていることも意味する。粒子の多孔性は、材料の多孔性の種々の定量化可能な態様(例えば、穴の直径、全穴体積および表面積)を決定するために用いられる分析技術であるポロシメトリーによって決定されてもよい。この技術は、ポロシメトリーを使用することによって、濡れていない液体を高圧で材料に侵入させることを含む。
【0071】
「コーティングされた」という用語は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含む粒子が、第1の脂質要素を表す脂質材料の層に実質的に囲まれていることを意味する。実際に、両方の形態(「埋め込まれている」か、または「コーティングされている」)は、調製方法に依存して、ある程度まで同時に存在する場合がある。
【0072】
好ましい実施形態の1つにおいて、本発明の粒子は、活性コアと、このコアを覆うコーティングとを示すように設計されてもよく、活性コアは、埋め込まれているか、またはコーティングされた水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含む第1の脂質要素を含み、一方、コーティングは、第2の脂質要素および/または親水性要素を含む。コーティングは、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を実質的に含まなくてもよい。
【0073】
この実施形態は、コーティングが保護層として作用するため、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、消化中に口または食道の粘膜と相互作用することなく、コーティングが簡便な経口投与を可能にするという点で、特に有用である。このコーティングは、製造、保存および運搬中の凝集および焼結に対する保護も与え、許容され得る保存可能期間を達成するのに寄与する。
【0074】
言い換えると、この群の実施形態において、活性コアは、生理学的に不活性のコーティング(例えば、ポリマーフィルムコーティングまたは脂質コーティング)でコーティングされていてもよい。このポリマーフィルムコーティングは、親水性要素に由来しており、脂質を含まなくてもよく、または比較的少量の脂質(例えば、可塑剤)を含んでいてもよい。脂質コーティングは、単に第2の脂質要素で構成されていてもよく、またはある量の親水性要素を例えば崩壊促進剤として含有していてもよい。
【0075】
コーティングは、粒子の活性コアが膨潤後に迅速に放出されるように迅速に崩壊するように設計されていてもよい。好ましくは、第2の脂質要素は、すなわち、粒子のコーティングに組み込まれているが、上に定義するように、融点または溶融範囲が約37℃よりも低い、例えば、溶融範囲が約25℃〜約37℃の1種類以上の脂質を含む。第2の脂質要素の組成は、場合により、第1の脂質要素の組成と同じであってもよい。または、異なっていてもよい。
【0076】
上述のように、この実施形態の粒子のコーティングは、親水性要素を含んでいてもよい。この親水性材料は、第2の脂質材料の中に埋め込まれるか、または第2の脂質材料に分散していてもよく、コーティング層のための崩壊促進剤として作用してもよい。崩壊促進は、親水性要素の選択に依存して、種々の機構によって達成されてもよい。例えば、崩壊剤、例えば、クロスポビドン、クロスカルメロース、低置換ヒプロメロースまたはイオン交換樹脂は、水を迅速に取り込み、体積が膨張し、それによって、コーティングを崩壊させてもよい。一方、非膨潤性の水溶性が高い賦形剤、例えば、糖または糖アルコールは、主に、穴生成剤として作用する場合があり、これによって水の経路が迅速に作られ、それにより崩壊も促進される。場合により、親水性要素は、親水性化合物の混合物を含む。好ましくは、親水性要素は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素とは異なり、粘膜付着性を有しないか、粘膜付着度が低い。
【0077】
コーティングが、親水性要素のみを含有し、脂質要素を含有しない場合、親水性要素は、好ましくは、水溶性ポリマーのような膜生成剤を表す。潜在的に適した膜生成ポリマーの例としては、メチルセルロース、ヒプロロース、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。場合により、組成物は、1種類以上の可塑剤、pH調整剤、穴生成剤、着色剤、甘味剤、フレーバー、粘着防止剤または分散助剤のようなさらなる成分を含んでいてもよい。
【0078】
この群の実施形態において、本発明の粒子が、埋め込まれているか、またはコーティングされた水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含む第1の脂質要素を含み、コーティングによって囲まれている活性コアを示す場合、活性コアが、粒子全体の重量に対して少なくとも約50%を占めることがさらに好ましい。場合により、活性コアの重量は、粒子全体の重量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%である。
【0079】
関連する実施形態において、本発明の粒子は、不活性コアと、不活性コアを覆う第1のコーティングと、第1のコーティングを覆う第2のコーティングとを含む。この場合、第1のコーティングは、水膨潤性または水溶性のポリマー要素と、第1の脂質要素とを含み、第2のコーティングは、第2の脂質要素と、場合により親水性要素を含み、さらに、第2のコーティングは、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を実質的に含まない。親水性要素は、上述のように選択されてもよい。既に記載した実施形態のように、埋め込まれているか、またはコーティングされた水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含む第1の脂質要素は、第2の脂質要素を含むコーティング層で囲まれている。その違いは、第1の脂質要素と水膨潤性または水溶性のポリマー要素が粒子のコアを形成しないが、異なる組成を有する不活性コアの上の層を形成することである。
【0080】
不活性コアは、薬理学的に不活性な材料、例えば、ショ糖、デンプンまたは微結晶性セルロースで構成されていてもよい。適切な不活性コアの具体例としては、例えば、Cellets(登録商標)100またはCellets(登録商標)200として市販される、微結晶性セルロースに由来する平均直径が約100〜200μmの球状物;同様の直径を有するデンプンおよび糖のノンパレイユ;または同様の直径を有する糖結晶、例えば、ふるい分けによって得ることができるものが挙げられる。
【0081】
脂質要素、水膨潤性または水溶性のポリマー要素および親水性要素の組成およびさらなる任意の特徴に関し、上述の内容が参照される。
【0082】
この実施形態の内容において、不活性コアは、好ましくは、粒子全体の重量の約70%を超えるべきではない。さらに好ましくは、コアの重量は、粒子全体の重量の約60%より高くなく、または約50%より高くない。他の実施形態において、コアの重量は、粒子全体の重量の約10%〜約50%、または約10%〜約40%、または約15%〜約35%である。
【0083】
既に述べたように、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が第1の脂質要素の中に埋め込まれ、または第1の脂質要素でコーティングされていることが本発明の鍵となる特徴であり、胃腸粘膜での脂肪酸とその標的との相互作用が向上し、および/または長くなるようである。標的構造は、例えば、GPR120のような腸の脂質の検知に関与するGタンパク質共役受容体(GPCR)によって表されてもよい。
【0084】
ある実施形態において、これにより、第1の脂質要素のバイオアベイラビリティも増加するだろう。また、存在する場合、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素のバイオアベイラビリティも増加するだろう。この内容において、バイオアベイラビリティは、例えば、アベイラビリティの程度および/持続時間という観点で、例えば、生体の標的部位(例えば、胃または腸の粘膜)での第1の脂質要素またはその生物学的に活性な構成要素のアベイラビリティを含むと理解すべきである。
【0085】
場合により、粒子は、さらに、アミノ酸、ビタミン、微量栄養素、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0086】
本明細書で使用される場合、アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を含む有機化合物であり、大部分は、NH
2−CHR−COOHの一般的な構造において、Rが、それぞれのアミノ酸に対して特定の側鎖を表す。場合により、カルボキシル基は、部分的または完全に中和されている。アミノ酸は、そのL−形態、そのD−形態またはそのラセミ形態で与えられてもよい。好ましい実施形態において、アミノ酸は、タンパク質を構成するアミノ酸、すなわち、翻訳または生合成中にタンパク質に組み込まれてもよい、タンパク質の潜在的な前駆体であるアミノ酸である。現時点で特定されているタンパク質を構成するL−アミノ酸は、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−セレノシステイン、L−ピロリシンおよびN−ホルミル−L−メチオニンである。別の実施形態において、アミノ酸は、遺伝子コードを形成する20種類のアミノ酸から選択され、その群は、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシンおよびL−バリンからなる。
【0087】
別の好ましい実施形態において、アミノ酸は、ヒトの臓器が合成することができないアミノ酸からなる、いわゆる必須アミノ酸、すなわち、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、L−トリプトファンおよびL−バリンの群から選択される。
【0088】
さらに好ましい実施形態において、アミノ酸は、L−イソロイシン、L−バリン、L−チロシン、L−メチオニン、L−リシン、L−アルギニン、L−システイン、L−フェニルアラニン、L−グルタメート、L−グルタミン、L−ロイシンおよびL−トリプトファンからなる群から選択される。これらから、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−グルタメートおよびL−トリプトファンからなる群が特に好ましい。別の好ましい実施形態において、アミノ酸は、L−トリプトファンである。
【0089】
場合により、粒子は、2種類以上のアミノ酸を含む。このようなアミノ酸の混合物または組み合わせは、好ましくは、上述の少なくとも1種類のアミノ酸、すなわち、タンパク質を構成するアミノ酸、または遺伝子コードを形成するアミノ酸の群からのアミノ酸、または必須アミノ酸からのアミノ酸、またはL−イソロイシン、L−バリン、L−チロシン、L−メチオニン、L−リシン、L−アルギニン、L−システイン、L−フェニルアラニン、L−グルタメート、L−グルタミン、L−ロイシンおよびL−トリプトファンからなるアミノ酸の群を含むべきである。アミノ酸の混合物または組み合わせを含む特に好ましい粒子は、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−グルタメートおよびL−トリプトファンからなる群からの少なくとも1種類のアミノ酸を含む。特に、L−トリプトファンは、2種類以上のアミノ酸の組み合わせの好ましい構成要素である。
【0090】
さらに好ましいのは、少なくとも2種類のアミノ酸が、既に定義したような好ましい群のいずれかのメンバーであるアミノ酸の混合物または組み合わせである。さらに、アミノ酸の混合物または組み合わせが、本発明の粒子に使用されてもよく、本質的に全ての組み込まれたアミノ酸が、既に定義したような好ましい群のいずれかのメンバーである。
【0091】
本明細書で使用される場合、ビタミンは、少量必要な生命維持に必要な栄養分であり、例えば、ヒト(または他の有機体)は、典型的に、十分な量で合成することができず、そのため、食事から取らなければならない。「ビタミン」という用語は、特定の有機体に依存するという点で条件付きである。例えば、アスコルビン酸は、ヒトのためのビタミンであり、一方、多くの他の動物は、アスコルビン酸を合成することができる。ビタミンは、その構造によってではなく、生体活性および化学活性によって分類される有機化合物である。それぞれのビタミンは、多くのビタマーを指し、ビタマーは、全てが特定のビタミンの生体活性を有し、体内でビタミンの活性形態に変換することができ、アルファベットで示される一般的な記述子でまとめてグループ分けされる(例えば、「ビタミンA」)。一般的に認識されるビタミンが、本発明に好ましい(カッコ内に関連するビタマー):ビタミンA(レチノール、レチナール、およびβ−カロテン、クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ゼアキサンチンを含むカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン、ナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB8(エルガデニル酸)、ビタミンB9(葉酸、フォリン酸)、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキシコバラミン、メチルコバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(コレカルシフェロール(D3)、エルゴカルシフェロール(D2))、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)。本発明のビタミンは、半合成源および合成源による栄養補助食品および/または天然由来(例えば、植物抽出物の形態での)の栄養補助食品として与えられてもよい。
【0092】
本明細書で使用される場合、「微量栄養素」という用語は、種々の生理学的機能、適切な成長および発達のためにヒトおよび/または他の有機体に少量必要な栄養素を指し、例えば、一般的に100mg/日未満の食用ミクロミネラルまたは微量元素を含む(マクロミネラルとは対照的)。ミクロミネラルまたは微量元素としては、少なくともホウ素、コバルト、クロム、カルシウム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、セレン、亜鉛が挙げられる。微量栄養素は、フィトケミカル、例えば、テルペノイドまたはポリフェノール化合物、およびビタミン(すなわち、ある種の化合物は、ビタミンおよび微量栄養素の両方のカテゴリーに適している場合がある)も含む。
【0093】
本発明の好ましい微量栄養素は、有機酸、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コリンおよびタウリン;微量ミネラル、例えば、ホウ素、コバルト、クロム、カルシウム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、セレン、亜鉛、ナトリウム、カリウム、リンまたは塩素の塩;およびコレステロールから選択されてもよい。
【0094】
任意要素、すなわち、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素は、異なる様式で本発明の粒子に組み込まれてもよい。例えば、親水性化合物、例えば、アミノ酸、水溶性ビタミンおよび水溶性微量栄養素が、水溶性または水膨潤性のポリマーと混合した状態で組み込まれてもよく、一方、親油性化合物が、第1の脂質要素および/または第2の脂質要素と混合した状態で組み込まれてもよい。
【0095】
粒子の有益な効果をさらに高めるために、水膨潤性または水溶性のポリマー要素に対する第1の脂質要素の重量比が、約0.1〜約10の範囲であることが好ましい。ある実施形態において、この重量比は、約0.1〜約5、約0.1〜約3、約0.1〜約2、または約0.1〜約1である。さらなる実施形態において、この重量比は、それぞれ、約0.2〜約1.5、約0.25〜約1.2、約0.25〜約1.0、例えば、約0.3、約0.5、約0.75、または約1である。特に好ましくは、重量比が、それぞれ、約0.5〜約5、または約0.75〜約4、または約1〜約3である。
【0096】
本願発明者らは、本発明の粒子の形態で送達されると、遊離脂肪酸またはエステル化した脂肪酸の満腹状態を誘発する効果が高まり、合成薬を用いた薬理学的介入を行わない場合でも、食欲抑制および肥満の予防および/または治療が可能になることを発見した。従って、粒子が合成原体も含まないことが好ましい実施形態である。言い換えると、粒子は、水膨潤性または水溶性のポリマー要素と第1の脂質要素、場合により第2の脂質要素、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素、場合により1種類以上の薬理学的に不活性な賦形剤、例えば、親水性要素または不活性コア材料から実質的になっていてもよい。
【0097】
本発明の粒子は、顆粒、ペレットまたはミニタブレットの形態であってもよい。さらに好ましくは、粒子は、顆粒および/またはペレットである。
【0098】
本明細書で使用される場合、顆粒は、複数の小さな一次粒子から調製された凝集した粒子を指す。凝集または造粒は、顆粒を調製するために、乾式、湿式または溶融状態での造粒技術の使用を含んでいてもよい。
【0099】
ペレットは、本明細書で使用される場合、比較的球形または球状の形状を有する粒子であると理解される。凝集プロセスによって調製される場合、ペレットは、特殊な種類の顆粒である。しかし、ペレット(すなわち、球形または球状の粒子)は、凝集以外の他のプロセスによって調製されてもよい。誤りを避けるために、ペレットの球形度は、種々の技術分野で異なっていてもよい。本発明の内容において、ペレットの球形度は、経口使用のために医薬製剤で使用されるペレットの典型的な範囲である。
【0100】
ミニタブレット(ミクロタブレットと呼ばれることも多い)は、粉末または顆粒の圧縮または圧密化によって作られる単位である。典型的には、圧縮は、パンチを用いるタブレットプレスで行われる。
【0101】
本発明の粒子を含むミニタブレット、タブレットまたはカプセルは、好ましくは、経口投与後に迅速に崩壊するような様式で配合され、処理される。本明細書で使用される場合、崩壊は、ミニタブレット、タブレットまたはカプセルの形態がかなり物理的に変化すること(例えば、本発明の粒子またはペレットまたは顆粒を放出するような、タブレットのコーティングの破壊または剥離、カプセルの溶解、またはタブレットまたはミニタブレットの崩壊)であると理解される。このようなタブレット、ミニタブレットまたはカプセルの崩壊挙動を検出するために、顕微鏡を使用してもよい。装置の観点で、試験媒体に水を使用してもよく、タブレット、ミニタブレットまたはカプセルのふるい径を考慮するようなメッシュの大きさに関し、ワイヤメッシュを適用してもよいという点を除き、米国薬局方29(USP29)の流体力学的条件、温度および方法<701>を使用してもよい。この方法に従って試験する場合、本発明の粒子を含むミニタブレットまたはタブレットまたはカプセルは、好ましくは、約15分以内に崩壊する。さらに好ましくは、約10分以内に崩壊する。別の実施形態によれば、それぞれ、約8分以内、または約5分以内に崩壊する。
【0102】
本発明の粒子は、(a)スクリュー押出成型機を用い、前記第1の脂質要素と前記水膨潤性または水溶性のポリマー要素と、場合によりアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素を含む混合物を押出成型し;(b)前記混合物を、場合により吐出破壊技術を用いて噴霧凝固し;(c)前記混合物を溶融造粒し;(d)前記混合物を圧縮してミニタブレットを生成し;(e)前記混合物を液体媒体に溶融吐出し;(f)前記混合物を不活性コアにスプレーコーティングすることによる、第1の脂質要素、水膨潤性または水溶性のポリマー要素と、場合によりアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素を含む混合物を処理する工程を含む方法によって調製されてもよい。
【0103】
第1の脂質要素、水膨潤性または水溶性のポリマー要素と、場合によりアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素を含む混合物の調製は、ブレンドまたは高剪断混合のような従来の手段によって達成されてもよい。場合により、混合物は、粒子が作られる後の工程にも利用される同じ装置を用いて調製される。例えば、溶融凝固、溶融造粒または溶融射出に使用される溶融物を調製するために、溶融物の構成要素を溶融する前に、乾燥プレミックスを調製する必要はないと思われるが、混合および溶融を1工程で同時に行うことができる。従って、上の工程(a)〜(f)に従って処理される混合物は、粒子を調製するのに必要な材料を合わせる任意の形態を包含すると広く解釈すべきである。
【0104】
一実施形態において、混合物は、スクリュー押出成型機を用いて押出成型される。場合により、押出成型工程を行うために、ツインスクリュー押出成型機が使用される。押出成型機は、適切な直径(例えば、0.5mmまたは1.0mm)を有する押出成型物を製造するのに有用な穴を有するスクリーンを有しているべきである。スクリューの速度は、押出成型機の能力および混合物の処理能を考慮して選択されてもよい。例えば、約20〜約100rpmの範囲のスクリュー速度を選択することが有用であろう。
【0105】
好ましくは、押出成型工程は、溶媒を使用せず、比較的低い温度、例えば、約35℃より低い温度、または約30℃より低い温度、例えば、室温で行われる。押出成型工程が、混合物の融点が最も低い構成要素の溶融範囲の下限よりも低い温度で行われることも好ましい。
【0106】
押出成型によって粒子を調製するために使用される成分を、押出成型機に供給する前に混合またはブレンドすることも好ましい。
【0107】
上述のように、押出成型工程に利用されるのと同じ装置を用い、成分を混合してもよい。従って、押出成型された粒子を調製するために使用される成分は、適切な供給装置を用い、同時供給によって押出成形機に与えられ、場合により、均一な混合物が得られ、その後の押出成型の準備ができるまで、押出成形機の中で(例えば、内部バイパスループによって)循環することも好ましい。
【0108】
押出成型工程の後に、ほぼ球形の粒子を得るために、押出成型物を球状化してもよい。この目的のために、任意の従来の球形整粒機を使用してもよい。球形整粒機のジャケットの温度は、好ましくは、混合物の融点が最も低い構成要素の溶融範囲の下限よりも低い温度に設定されるべきである。球状化プレートの速度は、約200〜約2,000rpm、例えば、約500〜約1,500rpmに設定されてもよい。その後、最適な粒径の生成物を選択するために、ふるい分けを行ってもよい。
【0109】
特定の実施形態において、噴霧凝固によって、混合物から粒子を調製する。このプロセスは、噴霧急冷または噴霧冷却と呼ばれることもある。このプロセスにおいて、液体溶融物を噴霧し、噴霧冷却チャンバの中で、ほぼ球形の微細な液滴の飛沫を作製する。ここで、この液滴は、液滴を固化するのに十分なほど冷たい空気または気体の流れと出会う。空気または気体の流れは、並流、混合流または向流の方向の流れを有していてもよい。
【0110】
適切な粒径および形状の液滴の生成を改良するために、加熱可能な回転噴霧ノズルまたは噴水ノズルを使用してもよい。本発明の内容において、高速回転ノズルは、粒子を調製するための好ましい種類のノズルの1つである。
【0111】
場合により、噴霧された液滴の均一性は、例えば、静電液滴生成、ジェットカッター技術、ジェット励起または流れ収束型のような吐出破壊技術を用いることによってさらに高まり得る。一般的に、吐出破壊は、吐出時に働く力に起因する液体/気体吐出流の崩壊を指す。
【0112】
静電液滴生成プロセスにおいて、電極を取り付けたノズルを使用し、溶融飛沫に電荷を付与する。ジェットカッター技術において、飛沫は、例えば、所定の大きさの穴を有する円板と類似のカッターを通り抜ける。ジェット励起は、振動させ、液体の分離を促進する超音波による溶融飛沫の励起を意味する。
【0113】
流れ収束型は、流体力と特定の幾何形状とを合わせることで生じ、連続的な収束する流体の供給によって加圧された加圧チャンバを用いることによって達成されてもよい。内部で、収束した流体が、その先端がチャンバと外部大気とを連結する小さなオリフィスの前面で開口しているキャピラリー供給管を通って吐出される。収束する流体の流れは、先端の中に流体メニスカスを成型し、先端にオリフィスを通ってチャンバを出ていくマイクロジェットを生じる。キャピラリーの不安定さが、静止した吐出流を破壊し、均質な液滴にする。
【0114】
別の特定の実施形態において、溶融した混合物を液体に吐出することによって粒子を調製する。この液体を、室温より低い温度まで冷却してもよく、または好ましくは、脂質要素の融点が最も低い構成要素の溶融範囲の下限よりも低い温度まで冷却してもよい。液体は、混合物の組成を考慮して選択すべきであるが、安全性および生理学的な忍容性も考慮すべきである。多くの場合に、エタノールが適切な液体である。
【0115】
別の実施形態において、溶融凝集または溶融造粒によって粒子を作製してもよい。本発明の内容において、凝集および造粒は、相互に置き換え可能に使用されてもよい。この目的のために、混合物の構成要素を混合またはブレンドし、凝集させるか、または適切な種類の装置、例えば、加熱可能な造粒機、高剪断ミキサー/造粒機または流動床造粒機で顆粒化する。装置の種類に依存して、顆粒化は、連続的に攪拌または混合しつつ、混合物を、少なくとも1種類の構成要素が軟化するかまたは溶融する温度まで加熱することによって行われてもよい。従来の造粒機において、これにより、大きな凝集物が得られる場合があり、次いで、これをふるいに通し、所望な粒径を得る。流動床装置が使用される場合、完全な混合物を流動化し、脂質要素の融点が最も低い構成要素の溶融範囲の下限よりも低い温度まで注意深く加熱してもよい。または、融点が最も低い構成要素を溶融し、残りの構成要素を含む流動化した粉末混合物に噴霧してもよい。
【0116】
場合により、溶融した顆粒をさらに処理し、圧縮してミニタブレットを生成してもよい。この目的のために、混合物の可塑性を高めるために、顆粒をまず1種類以上のタブレットフィラー/バインダーとブレンドすることが好ましい。さらに、顆粒の流動性を高め、その粘着性を下げるための従来の賦形剤も圧縮前に加えてもよい。タブレット生成は、従来の医薬タブレットプレス、例えば、偏心プレスまたは回転プレスを用いて行われてもよい。場合により、それぞれの圧縮によって複数のミニタブレットが得られるように、プレスには、マルチパンチ工具が取り付けられていてもよい。非常に小さな直径(例えば、約1mm〜約3mm、例えば、約1.5mm)のタブレットのためのパンチが好ましい。
【0117】
さらなる実施形態において、第1の脂質要素と水膨潤性または水溶性のポリマー要素とを含む混合物を不活性コアにスプレーコーティングすることによって、粒子が調製される。本明細書で使用される場合、不活性コアは、コーティングされるのに適しており、それ自体が本発明の粒子の生理学的効果(すなわち、満腹状態の誘発)に実質的に寄与しない、生理学的に許容され得る材料から得られる粒子である。適切なコアの例としては、適切な大きさおよび形状の結晶、例えば、糖(ショ糖)の結晶が挙げられる。好ましい実施形態の1つにおいて、糖、デンプン、セルロースから作られる球状のビーズまたはノンパレイユ、特に、微結晶性セルロース(例えば、Cellets(登録商標))を上述の混合物でスプレーコーティングする。
【0118】
不活性コアのスプレーコーティングは、例えば、流動床装置で行われてもよい。第1の脂質要素と水膨潤性または水溶性のポリマー要素の混合物を溶融し、流動化したコア粒子に噴霧してもよい。場合により、アミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素は、存在する場合には、この混合物に添加されてもよい。または、水または溶媒が蒸発し、第1の脂質要素と水膨潤性または水溶性のポリマー要素、場合により、存在する場合にはアミノ酸、ビタミンおよび/または微量栄養素の混合物が不活性コア粒子の上にコーティングを生成するような様式で、混合物の水性分散物または有機分散物(または懸濁物、懸濁物は、分散物の派生種であると理解される)を、流動化したコアに噴霧する。
【0119】
上述の全てのプロセスと同様に、さらに均一な粒度分布を得るために、ふるいを用い、得られた粒子を分級するその後の工程が有用な場合がある。
【0120】
第2の脂質要素および/または親水性要素を含むが、水膨潤性または水溶性のポリマー要素を含まないコーティング(または第1のコーティングを覆う第2のコーティング)をさらに示す本発明の粒子を調製するために、このような第2のコーティングを、医薬スプレーコーティング技術を用いて塗布してもよい。好ましい実施形態の1つにおいて、この目的のために、流動化する活性コアとして上述のように調製した粒子を用い、流動床コーティングを使用し、その上に、第2の脂質要素の溶融物または分散物/懸濁物、または親水性要素の溶液または分散物/懸濁物を噴霧する。第2の脂質要素と親水性要素が両方とも存在する場合、これらを水または溶媒の分散物/懸濁物の形態で一緒に塗布してもよく、または親水性要素が分散した脂質の溶融物として塗布してもよい。
【0121】
本発明のさらなる態様によれば、上述の方法によって得ることができる、摂取可能な粒子が提供される。
【0122】
さらなる態様において、本発明は、上述の複数の粒子を含むか、または、例えば、粒子を圧縮してタブレットを生成することによって、複数の粒子から調製された、経口投与のための固体組成物を提供する。圧縮してタブレットを生成しない場合、粒子は、原則として、カプセル、小袋、スティックパックまたは容器(例えば、ガラスまたは他の材料の瓶)に充填されてもよい。好ましい実施形態の1つにおいて、単位投薬量が1つの主要なパッケージに収容されるような様式で、顆粒を小袋、スティックパック、または容器に充填する。場合により、組成物は、1種類以上のさらなる不活性成分と共に粒子を含んでいてもよい。
【0123】
粒子自体が膨潤する場合、質量平均ふるい径が約0.1mm〜約3mmの範囲にあることも好ましい。さらに好ましくは、質量平均ふるい径が約0.5mm〜約3mm、または約0.75mm〜約2.5mm、または約1mm〜約2mmの範囲である。他の好ましい実施形態において、質量平均ふるい径は、それぞれ、約0.1mm〜約0.4mm、約0.2mm〜約0.5mm、または約0.2mm〜約0.4mmの範囲であってもよい。
【0124】
単位投薬量として比較的大量の組成物を投与することが好ましいため、小袋、スティックパックまたは容器の中に粒子が入った形態での提示および経口投与も有用である。好ましい実施形態の1つにおいて、単位投薬量は、少なくとも約2gの組成物、さらに好ましくは、少なくとも約3gの組成物を含む。別の実施形態において、単位投薬量は、約3g〜約20gの組成物を含む。さらなる実施形態において、この量は、単位投薬量において、約4g〜約15g、または約5g〜約12g、または約5g〜約10gの組成物をそれぞれ含む。組成物が、本発明の粒子の含有量が多いこと、例えば、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%であることも好ましい。特に好ましくは、組成物中の粒子の含有量が、少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約98重量%、例えば、約100重量%である。
【0125】
投与のために、組成物を、液体または半固体のビヒクルに懸濁してもよい。液体は、単に、水またはフルーツジュースまたは乳飲料、またはその他の好ましくは非炭酸の摂取可能な液体であってもよい。場合により、液体は、キットの中の組成物と一緒に提供されてもよい。これは、液体の性質および量が制御され、投与の再現性が高くなるという利点を有する。使用準備ができた飲料懸濁物は、例えば、体積が約30mL〜約300mL、または約50mL〜約200mLであってもよい。
【0126】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、懸濁飲料として投与される。本発明の懸濁飲料は、良好な飲みやすさと食感を示しつつ、大量(例えば、1g以上)の組成物を投与するのに有用であることがわかった。本発明の懸濁飲料の飲みやすさは、濡れた顆粒状物質の流動性を決定するために使用される方法によって評価されてもよい。特に、動的安息角の測定は、ドラム全体またはその底部および上部が透明または半透明の回転ドラム装置を用いて行われてもよい。このような装置は、例えば、Mercury Scientific、USA(Revolution Powder Analyzer)およびAPTIS、ベルギー(GranuDruM Powder rheometer)から市販されている。水性流体を含む濡れた顆粒状物質の動的安息角の測定のための適切な実験設定において、ドラムは、好ましくは、PTFE(Teflon(登録商標))から作られるか、またはPTFEまたは同様の接着防止性材料でコーティングされ、その体積の半分が粉末または粒子の懸濁物で満たされている。水平軸に沿ってドラムの上部および底部を配置し、ドラム内容物を均一に分布させるために繰り返し叩いた後、懸濁物は、角度ゼロの水平メニスカスを生成する。これは、視覚的に観察され、角度測定の標準的な方法によって測定されてもよい。懸濁物のメニスカスがほぼゼロの角度に移動する前に、水平軸に沿ったドラムの回転によって、粉末懸濁物のメニスカスが特定の角度まで移動してもよい。水平からのメニスカスの移動を数回繰り返してもよく、動的安息角の平均値を計算してもよい。
【0127】
好ましくは、懸濁飲料は、本発明の複数の粒子と、少なくとも1種類の水性液体とを含み、粒子と少なくとも1種類の水性液体の体積分率の合計は、100vol%になる。従って、本発明は、50〜75vol%の本発明の粒子と、25〜50vol%の少なくとも1種類の水性液体とを含む懸濁飲料を提供し、ここで、体積分率は、懸濁飲料の合計堆積を基準とする。好ましくは、懸濁飲料の動的安息角は、約30°未満である。
【0128】
さらに好ましい実施形態において、粒子および液体の量は、適切な大きさの容器中で沈降した粒子の充填高さと、沈降した粒子を含む容器中の水性液体の充填高さとが一致するような、密に充填された懸濁飲料が得られるように選択される。言い換えると、液体の量は、液体のメニスカスが、沈降した粒子のほぼ上限位置にあるような様式で選択される。
【0129】
少なくとも1種類の水性液体は、さらに、アルコール、フレーバー化合物、着色化合物、防腐剤、増粘剤、健康成分、またはこれら2種類以上の混合物を含んでいてもよい。適切なフレーバー化合物は、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、天然および合成の芳香剤、甘味剤、例えば、単糖、二糖、多糖のアルコールであり、アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールまたはキシリトールを含む;またはシクラメート、サッカリン、ステビア、スクラロースおよび/またはアスパルテームを含む糖置換体である。さらに適したフレーバー化合物は、果実および/または野菜のジュースである。水性液体に適した着色化合物は、例えば、アルラレッドAC、アントシアニン、アゾルビン、ベタニン、ブリリアントブルーFCF、カロテン、キノリンイエローWS、ポンソー4R、グリーンS、パテントブルーVおよびタートラジンであり、そのまま、または対応するアルミニウムレーキの形態である。適切な防腐剤は、液体を基準として0.001〜0.1重量%の量で使用されるビタミンA、EまたはC、パルミチン酸レチニル、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウムである。
【0130】
組成物の鍵となる成分である第1の脂質要素の量は、好ましくは、単回投薬量またはパッケージあたり、少なくとも約1gであるべきである。別の実施形態において、単回投薬量は、少なくとも約2g、例えば、約3g、または約4gの第1の脂質要素を含む。さらに好ましい実施形態において、単回投薬量あたりの第1の脂質要素の含有量は、少なくとも約5gである。
【0131】
アミノ酸(またはアミノ酸の混合物または組み合わせが使用される場合はアミノ酸合計)の量は、単回投薬量またはパッケージあたり、約0.05g以上であってもよい。別の実施形態において、単回投薬量は、それぞれ、少なくとも約0.1g、または少なくとも約0.2g、または少なくとも約0.5gのアミノ酸を含む。さらなる実施形態において、単回投薬量あたりのアミノ酸の含有量は、0.5g〜約5g、または0.5g〜約3gである。
【0132】
実施形態の1つにおいて、粒子の要素は、組成物を重量比1で水に懸濁させて調製した懸濁物の動的安息角が30°未満になるように選択される。
【0133】
上述のように、食欲抑制のため、特に、ヒト被験者の食欲抑制のため、また、満腹状態の誘発のため、本発明の粒子および組成物を使用してもよい。
【0134】
理論に束縛されることを望まないが、現時点で、本願発明者らは、食欲抑制効果は、少なくとも部分的に、第1の脂質要素に含まれる脂肪酸化合物に由来し、消化すると、胃腸管(例えば、胃および/または十二指腸)の粘膜に位置する生理学的標的と相互作用し、それによって、1つ以上のシグナル伝達カスケードを活性化し、最終的に、満腹という感覚を作り出すか、または食欲または空腹状態を減らすと考えている。おそらく、脂肪酸が作用する標的の1つは、大部分が胃および十二指腸にあるグレリン細胞(またはグレリン受容体)である。
【0135】
存在する場合、アミノ酸は、さらに、食欲抑制効果に寄与すると思われ、これは、近位の胃腸管の化学センサの刺激に起因すると思われ、次いで、CCKおよびグルカゴンの分泌が生じる。
【0136】
本願発明者らは、水膨潤性または水溶性のポリマー要素が、脂肪酸の効果を高めることを発見し、これはおそらく、粒子(またはその要素が)胃または十二指腸の粘膜に長い間付着する膨潤特性および/または粘膜付着特性に起因し、脂肪酸と標的構造との相互作用を高める。もちろん、粒子の他の特性(例えば、選択した粒子の大きさまたは高い脂質含有量から生じる低い密度)も、胃での滞留時間を長くすることに影響を与え得るか、または寄与し得る。いかなる場合でも、本願発明者らは、粒子を志願者に経口投与すると、満腹状態を誘発し、その結果、被験者は、食欲の抑制を経験し、本明細書に記載する粒子を含む組成物を投与した後の食事中の食べ物の摂取量の減少を示すことを発見した。この効果は、この組成物によって試験動物の体重が低下または減少したことを示す動物データと一致していた。
【0137】
従って、本発明の粒子および/または組成物は、肥満の予防および/または治療、肥満に関連する疾患または状態の予防および/または治療のために、例えば、本明細書に定義されるような摂取可能な粒子および/または複数のこれらの粒子を含むか、これらの粒子から調製される組成物を体重減少のために用いることによって、臨床的に使用されてもよく、または栄養補助食品として使用されてもよい。
【0138】
言い換えると、本発明の1つの態様は、肥満および過体重の予防および/または治療、肥満に関連する疾患または状態の予防および/または治療のため、食欲抑制、体重減少のため、および/または満腹状態の誘発のための方法を提供し、この方法は、本発明の粒子および/またはこれら複数の粒子を含むか、またはこれら複数の粒子から調製される組成物を経口投与する工程を含む。場合により、この方法は、この粒子および/または組成物を少なくとも1週間の期間にわたり、1日に少なくとも1回経口投与することを含む。
【0139】
さらに言い換えると、本発明の1つの態様は、肥満および過体重の予防および/または治療、肥満に関連する疾患または状態の予防および/または治療のため、食欲抑制、体重減少のため、および/または満腹状態の誘発のための医薬の製造における、本発明の粒子および/またはこれら複数の粒子を含むか、またはこれら複数の粒子から調製される組成物の使用を提供する。場合により、この方法は、この粒子および/または組成物を少なくとも1週間の期間にわたり、1日に少なくとも1回経口投与することを含む。
【0140】
本明細書で使用される場合、肥満は、健康に有害な影響を与え得る程度まで、過剰な身体の脂肪が蓄積している医学的な状態である。過体重は、ボディマス指数(BMI)が25から30未満であることを特徴とする、境界的な状態であると理解される。BMI30からは、この状態は、肥満と分類される。
【0141】
一実施形態において、粒子および/または組成物は、時間経過に伴って体重が増えているか、または肥満が進行するリスクがある正常な体重の被験者または過体重の被験者に投与される。この場合に、治療目的は、体重増加を止めるか、または抑制し、肥満の進行を予防することである。別の目的は、被験者において、肥満に関連する疾患または状態、または肥満によって引き起こされる疾患または状態が進行するリスクを減らすことであってもよい。
【0142】
さらなる実施形態において、粒子および/または組成物は、肥満を治療するか、または肥満の重篤度を下げるために、肥満患者に投与される。ここでも、治療的な使用は、肥満に関連する疾患または状態、または肥満によって引き起こされる疾患または状態が進行するリスクを減らすことであってもよい。
【0143】
肥満と関連する機構がどのようなものであるかが常に完全に理解されていない場合であっても、多数の疾患および状態が、今日、肥満に関連するか、または肥満によって引き起こされると考えられている。特に、これらの疾患および状態としては、限定されないが、2型糖尿病、動脈性高血圧、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸、虚血性心疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、卒中、痛風および腰痛が挙げられる。これらいずれかの状態の予防および/またはリスクの低下は、本発明の治療的な使用の範囲内である。
【0144】
さらに、この治療的な使用は、好ましくは、少なくとも1週間の期間にわたり、本発明の粒子および/または組成物を少なくとも1日に1回経口投与することを含む。この内容で、「治療的な使用」という表現は、予防的な使用または抑止的な使用も包含すると理解される。さらに好ましい実施形態において、粒子および/または組成物は、それぞれ、少なくとも約2週間、または少なくとも約4週間、または少なくとも約6週間、または少なくとも約2ヶ月間の期間にわたって、ヒト被験者に投与される。さらに好ましいのは、1日に1回または2回投与する投与計画である。
【0145】
投与時間は、治療される被験者がその後に摂取する食べ物の量に対し、満腹状態を誘発する効果を最大限にするように選択すべきである。例えば、主な食事の前に、例えば、昼食前および/または夕食前に、これらいずれかの食事中に食べる食べ物の量を減らすように、ある投薬量の組成物を投与することが有用である。正確なタイミングに関し、この投薬量をそれぞれの食事の約5〜120分前、特に、食事の約10〜約120分前、または食事の約15〜約90分前、例えば、食事の約30分前、または約60分前に投与することが好ましい。
【0146】
特定の好ましい実施形態の1つにおいて、肥満または関連する疾患の予防および/または治療のために、少なくとも4週間の期間にわたり、食事の約15〜約90分前に、1日に少なくとも1回、少なくとも約5gの第1の脂質要素を含む投薬量が、ヒト被験者に投与される。
【0147】
本発明の粒子および/または組成物を、被験者の治療に対するアドヒアランスおよび/または治療の有効性に関する情報を収集、保存および/または表示するためのデバイスの使用と組み合わせて使用することがさらに想定される。本明細書で使用される場合、治療に対する被験者のアドヒアランスに関する情報は、例えば、ある投薬量を特定の期間(例えば、あるカレンダーの期間中)に投与するかどうか、またはそれぞれの投薬量を投与した時間を含んでいてもよい。デバイスは、好ましくは、プログラミングされた電子機器、例えば、コンピュータ、特に、マイクロコンピュータ、最も好ましくは、携帯型マイクロコンピュータ、例えば、モバイルフォン(「スマートフォン」)、または着用可能なデバイス、例えば、スマートウォッチ、電子リストバンドなどを含んでいてもよい。この情報は、センサからデバイスに受動的に受信してもよく、または、ユーザ(例えば、被験者または患者、医師、看護師または介護者)が手動で入力し、その後の分析または表示のために保存してもよい。例えば、患者は、治療に対する実際の順守状況またはアドヒアランスを周期的にモニタリングしてもよい。
【0148】
デバイスは、ユーザにフィードバックシグナルを与えるように、または順守していない場合、または治療に対する十分なアドヒアランスがない場合には、リマインダを与えるようにプログラミングされていてもよい。フィードバックシグナルは、光学的なもの、触覚的なもの(例えば、振動)または音によるものであってもよい。
【0149】
治療の有効性に関する情報は、例えば、被験者の体重、空腹または食欲の程度、食事および軽食の数、または特定の期間(例えば、あるカレンダーの期間中)に食べた食べ物の種類または量、または血中糖濃度または血圧のような生理学的データを含んでいてもよい。その種類に依存して、治療の有効性に関する情報は、デバイスが自動的に受信してもよく、またはユーザが手動で入力してもよい。満腹または空腹の感覚に関する情報は、手動モードでユーザまたは患者によって有用なように入力されてもよく、一方、血中糖濃度または血圧のような生理学的パラメータは、その決定のために使用されるそれぞれの測定デバイスから受信してもよい。後者の場合、測定デバイスによって作られる情報をコードするデータを、情報の保存および/または表示のためのデバイスへ送信するのは、好ましくはワイヤレスである。
【0150】
さらに詳細に、情報の収集は、ユーザが開始してもよく、またはデバイスが、満腹状態の情報をユーザに入力するように呼びかける警告を作成するアプリケーション(すなわち、ソフトウェア)によってプログラミングされていてもよい。好ましくは、情報の収集は、特定の時間間隔、例えば、15分間隔または30分間隔で進む。一実施形態において、情報の収集は、1日あたり、12時間、16時間または18時間の間、行われる。別の実施形態において、情報の収集は、例えば、1日あたり1〜3時間を複数回、例えば、それぞれ3時間を3回行われる。好ましくは、このような期間は、朝食、昼食および夕食のような食事の時間を含む。好ましくは、ユーザは、所与の期間の情報収集のために、リアルタイムの情報を与えるとき、前の満腹状態のランク付けに言及しなくてもよい。
【0151】
情報の収集は、以下の態様で進められてもよい。ユーザがソフトウェアアプリケーションを開いた後、視覚的な分析スケールを用い、満腹状態の評価のためにカラータッチスクリーンに満腹状態のスクリーンを表示する。このようなスケールおよびスコアは、すでに詳細に記載されている[Flint A、Raben A、Blundell JE、Astrup A.Reproducibility、power and validity of visual analogue scales in assessment of appetite sensations in single test meal studies.Int J Obes Relat Metab Disord 2000;24:38−48)。簡単に言うと、視覚アナログスケール(VAS)は、水平の構造化されていない10cmの線からなり、両端に、「現在十分に満足していますか」という単極的な質問に対する極端な言葉(「全くない」または「非常に強い」)といった言葉が付されている。信頼性高く、有効な結果を確実に得るために、参加者は、可能な限り正確に満足感をランク分けし、VASをマークするとき、以前のランク分けに言及することはできない。
【0152】
満腹状態のスクリーンは、片方の端の「全く空腹ではない」から、他方の端の「非常に空腹である」までの構造化されていないスライドスケールと共に、問1「どの程度空腹を感じますか」を表示してもよい。このアプリケーションは、ユーザがスライドスケールのある位置を触るのを待つ。スケールを触ったら、スライダーが現れてもよく、ユーザは、その位置を調節してもよい。アプリケーションは、ユーザが、スライダーの記号から触っている手を離した後、スライダーの位置を決定し、その位置の値を検索し、その値をさらなる処理に使用する。
【0153】
さらなる潜在的に有用な実施形態は、本明細書で上に提示し、以下の実施例に示すガイダンスに基づき、簡単に誘導することができる。
【実施例】
【0154】
(実施例1:噴霧凝固による粒子の調製)
水膨潤性または水溶性のポリマー要素が脂質要素の中に埋め込まれた粒子を、以下のように噴霧凝固によって調製してもよい。250gのカプリン酸を溶融する。この溶融物に100.0gのカルボマーホモポリマーA NF型および50.0gのカプリン酸ナトリウムを加え、そのまま混合し、粘性懸濁物を生成する。連続して加熱しつつ、この懸濁物を、噴霧凝固塔の加熱した回転ノズルに供給する。この塔に冷たい空気を連続的に導入し、得られた液滴を固化させる。次いで、この固体粒子を適切なふるいに通し、過剰に大きな粒子と過剰に小さな粒子を除去し、本発明の粒子を得る。場合により、この生成物を、例えば、粒子をコーティングすることによって、さらに処理してもよい。
【0155】
(実施例2:噴霧凝固による粒子の調製)
同様に、ポリカルボフィルと脂肪酸混合物とから粒子を調製してもよい。例えば、240.0gのラウリン酸と60.0gのカプリン酸を溶融し、この溶融物自体に100.0gのポリカルボフィル(USP)を組み込み、粘性脂質懸濁物を得る。連続して加熱しつつ、この懸濁物を、噴霧凝固塔の加熱した回転ノズルに供給する。再び、この塔に冷たい空気を連続的に導入し、得られた液滴を固化させる。その後、固化した粒子を適切なふるいに通し、過剰に大きな粒子と過剰に小さな粒子を除去し、本発明の粒子を得る。
【0156】
(実施例3:吐出破壊技術を用いた噴霧凝固による粒子の調製)
実施例1の変形として、適切な大きさの単分散粒子を生成するための吐出破壊噴霧プロセスのための装置(例えば、静電液滴生成、ジェットカッター技術、ジェット励起または流れ収束型)を備える噴霧凝固塔を使用してもよい。
【0157】
200.0gの固い脂肪EP/NF(例えば、Suppocire(登録商標)A)および400.0gのミリスチン酸ナトリウムを混合し、溶融する。この溶融物に100.0gのカルボマーホモポリマーB NF型を加え、そのまま混合し、粘性懸濁物を生成する。連続して加熱しつつ、ジェット励起装置を備える噴霧凝固塔のノズルにこの懸濁物を供給する。振動励起は、200μmの範囲の粒子を与えるように設定される。この塔に冷たい空気を連続的に導入し、得られた液滴を固化させる。均一な固化した粒子を最終生成物として集める。
【0158】
(実施例4:溶融射出による粒子の調製)
150.0gの固い脂肪EP/NFとグリセリルモノオレエート(40型)EP/NFの混合物(例えば、Ovucire(登録商標)WL 2944)および200.0gのラウリン酸ナトリウムを混合し、溶融する。この溶融物に90.0gのカルボマーインターポリマーA NF型を加え、そのまま混合し、粘性懸濁物を生成する。連続して加熱しつつ、この懸濁物を基本的な微小流体デバイスに供給し、これによって液滴を生成し、冷却した無水エタノールに注入し、250μmの範囲の粒子を与える。固化した粒子を集め、十分に乾燥させ、最終生成物を得る。
【0159】
(実施例5:無溶媒冷温押出成型による粒子の調製)
V−ブレンダーを用い、250.0gの硬化したパーム油、50.0gのオレイン酸ナトリウムおよび110.0gのカルボマー941 NFのよく混じった混合物を調製する。このブレンドを、重量分析型粉末フィーダーKT20型(K−Tron)によって、Leistritz NANO 16(登録商標)ツインスクリュー押出成型機の粉末投入開口部に供給し、25℃〜30℃の温度範囲で、第1のセグメント内で押出成型する。最後のセグメントを20℃まで冷却する。このプロセスによって、長さが約0.8〜1.5mmの短い棒状物が得られる。その後、この棒状物を、最終的な生成物が本質的に球状の粒子の形態で得られるまで、水ジャケット温度を30〜35℃に設定したCaleva(登録商標)MBS 120装置で球状にする。
【0160】
(実施例6:溶融造粒による糖結晶のコーティング)
200.0gのミリスチン酸、75.0gのオレイン酸ナトリウム、100.0gのカルボマー941 NFおよび250.0gのショ糖結晶(平均粒径200〜250μm)のプレミックスを調製する。このプレミックスを、加熱可能なジャケットを備える遊星型ミキサーに導入する。このミキサーを連続的に操作しつつ、脂質相が十分に溶融するまで、温度をゆっくりと上げる。再び、このミキサーを連続的に操作しつつ、温度を室温まで冷却する。得られた固化した塊をふるいに通し、過剰に大きな粒子を破壊するか、または除去し、最終生成物を得る。
【0161】
(実施例7:有機脂質溶液によるノンパレイユシードのコーティング)
200.0gのミリスチン酸、75.0gのオレイン酸ナトリウムおよび100.0gのカルボマー941 NFのプレミックスを調製し、無水エタノールに分散させる。275.0gの球状の糖EP/NF(ノンパレイユ)を、Wursterを取り付けた防爆型流動床装置に導入し、50〜55℃にあらかじめ加熱しておく。その後、あらかじめ加熱した球状の糖に上述の分散物をゆっくりと噴霧し、空気−エタノール混合物の臨界爆発限界を考慮しつつ、エタノールを蒸発させる。終了時に、コーティングされた球状の糖を室温まで冷却し、残留溶媒が許容限界内になるまで冷たい空気を流し、最終生成物を得る。
【0162】
(実施例8:水性懸濁物によるノンパレイユシードのコーティング)
300.0gのミリスチン酸および100.0gのカルボマー941 NFのプレミックスを調製し、脱塩水(適量)に分散させる。上の実施例と同様に、275.0gの球状の糖EP/NF(ノンパレイユ)を、Wursterを取り付けた流動床装置に導入し、50〜55℃にあらかじめ加熱しておく。その後、あらかじめ加熱した球状の糖に上述の分散物をゆっくりと噴霧し、水を蒸発させる。終了時に、コーティングされた球状の糖を室温まで冷却し、残留水の境界値が許容限界内になるまで冷たい空気を流し、最終生成物を得る。
【0163】
(実施例9:溶融顆粒物からのミニタブレットの圧縮)
本発明の粒子をミニタブレット、好ましくは、小さな粒径(例えば、1.5mm)を有するミニタブレットの形態で調製してもよい。例えば、300.0gのラウリン酸、50.0gのラウリン酸ナトリウム、100.0gの微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH101)および100.0gのカルボマー941 NFを混合してプレミックスを得て、次いで、これをジャケット付きの加熱した遊星型ミキサーに導入し、凝集させ、顆粒状物質を得る。次いで、この溶融顆粒物を、ナイフを備えた適切なふるいに通し、微細な顆粒状物質を得る。その後、この顆粒状物質を75.0gの微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH101)とブレンドする。得られたブレンドを、マルチパンチ偏心タブレットプレスで圧縮し、直径が1.5mm、厚みが約2mmの両凸型タブレットを得て、最終生成物を得る。この実施例では、微結晶性セルロースをラクトース(例えば、ラクトース一水和物NF)またはリン酸水素カルシウム二水和物(欧州薬局方)と置き換えてもよい。
【0164】
(実施例10:ヒプロメロースに由来するフィルムコーティングを用いた活性コアのコーティング)
実施例1〜9に従って調製した活性コアを以下のようにコーティングしてもよい。5.0gのヒプロメロース2910型(例えば、Pharmacoat(登録商標)603)を90.0mLの脱塩水に溶解することによって、ポリマー水溶液(A)を調製する。別個に、2.0gの二酸化チタン(例えば、Titanium Dioxide「Anatas」)および1.0gの顔料を15.0mLの脱塩水に分散させた後、高剪断ホモジナイザを用いて均質化することによって、顔料分散物(B)を調製する。その後、連続的に攪拌しつつ、ポリマー溶液(A)と顔料分散物(B)を混合することによってコーティング分散物(C)を調製する。
【0165】
次の工程において、実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアを、25〜30℃の温度で、Wursterカラムを備える流動床造粒装置の中で流動化する。投入空気温度および噴霧速度を調節することによって床温度を25〜30℃に維持しつつ、100mLのコーティング分散物(C)を活性コアにゆっくりと噴霧する。流動床の中で、コーティングされた活性コアを同じ温度で完全に乾燥させ、その後、流動床の中で室温まで冷却する。
【0166】
その結果、経口消化の後にコーティングが迅速に崩壊する粒子が得られるだろう。
【0167】
なお、5.0gのヒプロメロース2910型(例えば、Pharmacoat(登録商標)603)を、45.0mLのエタノールと55.0mLの脱塩水の混合物に溶解することによって、ポリマー溶液(A)を調製してもよい。この改変によって、噴霧コーティングプロセス中に溶媒がもっと迅速に蒸発するだろう。
【0168】
または、可塑剤、界面活性剤および少量のエチルセルロースをさらに組み込むことによって、コーティング分散物を調製してもよい。この場合、5.0gのヒプロメロース2910型(例えば、Pharmacoat(登録商標)603)および0.5gのトリアセチン(グリセロールトリアセテート)を50.0mLの脱塩水に溶解することによって、ポリマー溶液(A)を調製してもよい。これに加え、0.25gのラウリル硫酸ナトリウムを2.5mLの脱塩水に溶解し、界面活性剤溶液(A’)を生成する。2.5gのタルク、3.0gの二酸化チタンおよび0.2gの着色顔料を20.0mLの脱塩水に分散させ、均質化することによって、顔料分散物(B)を調製する。その後、ポリマー溶液(A)、界面活性剤溶液(A’)、顔料分散物(B)および5.0gのエチルセルロース分散物(1.5gの乾燥物質に対応する)を混合することによって、コーティング分散物(C)を調製する。コーティング手順自体を上述のように行う。
【0169】
(実施例11:コーティングされた粒子を含む組成物の調製)
1,005gの実施例10に従って調製したコーティングされた活性コアと、0.5gの疎水性コロイド状シリカ(NF)(例えば、AEROSIL(登録商標)R 972)を回転ドラム中で穏やかに混合することによって、スティックパックまたは小袋に簡単に充填し得る本発明の粒子を含む組成物を得てもよい。疎水性コロイド状シリカの代わりに、標準グレードのコロイド状二酸化ケイ素(例えば、AEROSIL(登録商標)200)を同じ量使用してもよい。この組成物において、シリカは、粘着防止剤として作用する。
【0170】
(実施例12:脂質要素と親水性要素の混合物を用いた活性コアのコーティング)
5.0gのヒプロメロース2910型(例えば、Pharmacoat(登録商標)603)を45.0mLのエタノールと55mLの脱塩水の混合物に溶解し、2.0gのラウロイルポリオキシル−32グリセリドNF(例えば、gelucire(登録商標)44/14)を分散させることによって、コーティング分散物を調製する。その後、105mLの上述の分散物で、実施例10と同じ装置および手順を用い、実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアをコーティングする。経口投与後にコーティングの迅速な崩壊を示す本発明のコーティングされた粒子が与えられる。
【0171】
ラウロイルポリオキシル−32グリセリドNFの代わりとして、同様の量のステアロイルポリオキシル−32グリセリドNF(例えば、Gelucire(登録商標)50/13)またはカプリロカプロイルポリオキシル−8グリセリドNF(例えば、Labrasol(登録商標))を使用してもよい。
【0172】
(実施例13:ポビドンに由来するフィルムコーティングを用いた活性コアのコーティング)
5.0gのポビドンK30および1.0gのポリエチレングリコール4000(またはポリエチレングリコール1000)を、60mLのエタノールと40mLの脱塩水の混合物に溶解することによって、コーティング溶液を調製してもよい。次いで、この溶液100.0mLを、実施例10と同じ装置および手順を用い、実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアに噴霧する。この手順によって、経口投与後にコーティングが迅速に活性コアを放出する粒子が得られる。
【0173】
(実施例14:エチルセルロースに由来するフィルムコーティングを用いた活性コアのコーティング)
4.0gのエチルセルロースNF(例えば、ETHOCEL(登録商標)10 FP)および1.0gのポリエチレングリコール4000を、25mLのアセトン、35mLのエタノールおよび40mLの脱塩水の混合物に溶解することによって、コーティング溶液を調製してもよい。次いで、この溶液100.0mLを、実施例10と同じ装置および手順を用い、空気−アセトン−エタノール混合物の臨界爆発限界を考慮しつつ、実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアに噴霧する。この手順によって、経口投与後にコーティングが迅速に活性コアを放出する粒子が得られる。
【0174】
(実施例15:リン脂質に由来するコーティングを用いた活性コアのコーティング)
この実施例において、コーティングは、親水性要素と組み合わせて脂質要素を含む。高剪断均質化を用い、10.0gの部分的に水素添加した大豆レシチン(例えば、Lipoid S75−35またはLipoid S−PC−35)を脱塩水(適量)に分散し、その後、水溶性コーティングポリマー、可塑剤および顔料を含有する少量(適量)の即時放出コーティング系(例えば、Opadry(登録商標))を添加することによって、コーティング懸濁物を調製する。次いで、この溶液100.0mLを、実施例10と同じ装置および手順を用い、実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアに噴霧する。この手順によって、経口投与後にコーティングが迅速に活性コアを放出する粒子が得られる。
【0175】
粘着性が低いコーティングされた粒子を得るために、部分的に水素添加した大豆レシチンの一部を、完全に水素添加したレシチン(例えば、Lipoid S75−3)と置き換えてもよく、または2.0gの完全に水素添加したレシチンを、10.0gの部分的に水素添加したレシチンに加えて組み込んでもよい。
【0176】
(実施例16:レシチンとマルトデキストリンの混合物を用いた活性コアのコーティング)
10.0gのレシチンおよびマルトデキストリンの粉末混合物(例えば、Soluthin(登録商標))を室温で95mLの脱塩水に分散させる。実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gのコアを20〜30℃の温度で、流動床装置で流動化する。その後、100,0mLの上述の分散物を、投入空気温度および噴霧速度を調節することによって床温度を20〜30℃に維持しつつ、上部からの噴霧手順によって活性コアにゆっくりと噴霧する。流動床の中で、コーティングされたコアを同じ温度で完全に乾燥させ、その後、流動床の中で室温まで冷却する。再び、経口投与後に活性コアを迅速に放出するコーティングされた粒子が得られる。
【0177】
(実施例17:ショ糖エステルを用いた活性コアのコーティング)
15.0gのショ糖ラウレートL−1695を90.0mLの脱塩水に室温で溶解することによって、透明溶液を調製する。実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアを実施例16に記載したのと同様の様式で流動化し、コーティングし、放出挙動に関して同様の特性を有するコーティングされた粒子を得る。
【0178】
ショ糖ラウレートL−1695の代わりとして、ショ糖ラウレートL−1570を、場合により、40%のL−1570を4%エタノールと56%の水に溶かした使用準備ができた溶液の形態のショ糖ラウレートLWA−1570で使用してもよい。例えば、30.0gのショ糖ラウレートLWA−1570を、110.0mLの脱塩水および20mLのエタノールで希釈してもよい。150mLのこのコーティング溶液を使用し、1,000gのコアをコーティングしてもよい。
【0179】
(実施例18:エチレングリコール/ビニルアルコールグラフトコポリマーを用いた活性コアのコーティング)
エチレングリコール/ビニルアルコールグラフトコポリマーを即時放出コーティング剤として使用することによって、本発明のコーティングされた粒子を調製してもよい。例えば、24.0gのKollicoat(登録商標)を96mLの脱塩水に分散させ、攪拌しつつ溶解することによって、ポリマー溶液を調製してもよい。別個に、4.5gのタルク、1.5gの赤色酸化鉄、3.9gの二酸化チタンを11.0mLの脱塩水に分散させ、その後、高剪断ホモジナイザによる均質化によって、顔料懸濁物を調製する。次いで、100.0mLの上述のポリマー溶液と、20.0gの上述の顔料懸濁物とを混合することによって、コーティング分散物を得る。実施例1〜9のいずれかに従って調製した1,000gの活性コアを実施例16に記載したのと同様の様式で流動化し、コーティングし、放出挙動に関して同様の特性を有するコーティングされた粒子を得る。全コーティングプロセス中、沈降を避けるために、コーティング懸濁物を連続して攪拌する。
【0180】
(実施例19:凍結粉砕による粒子の調製)
300gの固い脂肪(Caelo、ドイツ製のadeps solidus)を50℃で溶融させた。200gのCarbopol(登録商標)971G(Lubrizol)をスパチュラによって上述の脂質に組み込んだ。この粘性の塊をプラスチック袋に入れ、冷凍庫で−18℃まで冷却した。凍結した材料をハンマーで砕き、台所用ブレンダー(Bosch ProfiMIXX、ドイツ)で細かく粉末にした。25℃、減圧下で乾燥させ、残留する凝縮水を除去した後、一連のワイヤメッシュふるい(VWR International、ドイツ)によって、得られた粒子を分級し、粒径が0.5mm未満の分級した粉末を得る。
【0181】
(実施例20:凍結粉砕による粒子の調製)
500gの固い脂肪(NRC、ドイツ製のWitepsol(登録商標)W35)を50℃で溶融させた。250gのCarbopol(登録商標)971G(Lubrizol)をスパチュラによって上述の脂質に組み込んだ。この粘性の塊をプラスチック袋に入れ、冷凍庫で−18℃まで冷却した。凍結した材料をハンマーで砕き、超遠心分離ミル(ZM 200、Retsch、ドイツ)で細かく粉末にした。ミルによる粉砕のために、この材料をあらかじめドライアイスを用いて冷却し、回転速度18000/分を2分間適用した。この材料を、直径(D90)が0.2mmの粒子に定量的に変換した。粒子を分級する前に、粒子を25℃、減圧下で乾燥させ、残留凝縮水を除去し、このことが好都合であると考えられた。
【0182】
(実施例21:流動床造粒による粒子の調製)
400gの実施例19から分級した粉末を、IPC3生成物容器を取り付けた流動床デバイス(Innojet、ドイツ製のVentilus V−2.5/1)に入れた。この粉末を50m3/hの空気流を用い、32℃で流動化した。この材料を30分間かけて造粒し、一連のワイヤメッシュふるいによって分級し、粒径が0.5〜1.0mmの粒子240gと、粒径が1.0mmより大きい粒子64gを得た。
【0183】
(実施例22:動物実験)
(A.一般的な手順)
動物(ラット)をケージ中、標準的な動物用床敷で飼い(ケージあたり2匹の動物、または個々の筐体)、餌および水を自由に摂取できるようにしておいた。動物の餌は、ペレットラックにペレットとして、またはクリームとして、またはケージの内側に接続した容器に入った顆粒状粉末として与えた。
【0184】
実験開始時と終了時に体重を記録した。餌消費量を、週末以外、毎日記録した。動物保護に関するドイツ国法律に従って実験を行った。
【0185】
げっ歯類の餌は、ssniff(登録商標)Spezialdiaten GmbH(ドイツ)から購入し、ポリ(アクリル酸)(PAA、Carbopol(登録商標)971 P NF)は、Lubrizol Corporation(USA)から得た。ココアバターチップ(Caelo 633B)は、Caesar & Lorentz(ドイツ)製であった。固い脂肪(Witepsol(登録商標))は、NRC(ドイツ)製であった。提示されている全てのパーセントは、他の意味であると明記されていない限り、w/wパーセントである。
【0186】
(B.5%の脂肪を含む標準的なペレット状の餌−通常の餌の摂取および重量増加のためのリファレンス)
平均体重が319±7gの12匹の雄のウィスターラットに、ペレットとして与えられた実験用餌を7日間食べさせた。この混合物は、標準的な餌用資材(ssniff(登録商標)EF R/M Control、5%)で構成されており、最終的な混合物の脂肪含有量は5%であった。
【0187】
標準的な餌用資材に水を加え、ペーストを生成し、これを押出成型し、フードプロセッサ(Kitchen Aid Classic、USA)で切断してペレット(1cm×3cm)を作製した。ペレットを25℃で一晩乾燥させた。
【0188】
実験終了時に、餌の摂取、エネルギー摂取および体重の変化を計算した(±SD)。動物は、体重が5.0±1.9%増えており、平均1日餌摂取量は24.3±2.7gであり、1日あたり、動物あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は374±40.8kJを表している。
【0189】
(C.11.6%の脂肪を含むペレット状の餌/ココアバター組成物−カロリーを調節した餌摂取のためのリファレンス)
平均体重が324±6gの6匹の雄のウィスターラットに、ペレットとして与えられた実験用餌を6日間食べさせた。
【0190】
この混合物は、標準的な餌用資材(ssniff(登録商標)EF R/M Control、5%)とココアバター(標準的な餌用資材の重量に対して7.5%)とで構成されており、全体(ココアバターを含む)の約11.6%が脂肪であり、最終的な混合物に対し、ココアバターが約7.0%であった。ココアバターを溶融し、標準的な餌用資材とブレンドした。水を加え、ペーストを生成し、これを押出成型し、フードプロセッサ(Kitchen Aid、USA)で切断してペレット(1cm×3cm)を作製した。ペレットを25℃で一晩乾燥させた。
【0191】
実験終了時に、餌の摂取、エネルギー摂取および体重の変化を計算した(±SD)。動物は、体重が3.8±1.3%増えており、平均1日餌摂取量は22.5±2.0gであり、1日あたり、動物あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は382.2±33.7kJを表している。
【0192】
(D.50%の脂肪を含むクリーム状またはペースト状の餌組成物、動物あたり10g/日に制限−制限したエネルギー供給によって誘発される体重減少のためのリファレンス)
平均体重が329±7gの4匹の雄のウィスターラットに、クリーム状、ペースト状の質感の混合物として与えられた実験用餌を5日間食べさせた。この実験用餌は、最終的な混合物に対し、50%の脂肪を含む高脂肪餌組成物であり、ssniff(登録商標)から得られる3種類の標準的な餌用資材、すなわち、「EF R/M Control、5%」、「30%の脂肪を含むEF R/M」および「80%の脂肪を含むEF R/M」をそれぞれ10:45:45の重量比でブレンドすることによって調製した。
【0193】
餌の供給を1日あたり10gに制限し、1日あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は236kJを表している。実験終了時に、体重の変化を評価した(±SD)。動物は、3.6±0.6%体重が減っていた。
【0194】
(E.4.5%の脂肪と9.1%のポリマーを含むペレット状の餌組成物−摂取量の減少に起因する、ポリマーによって誘発される体重減少のための実施例)
平均体重が301.4±9.2gの6匹の雄のウィスターラットに、ペレットとして与えられた実験用餌を7日間食べさせた。この混合物は、標準的な餌用資材(ssniff(登録商標)EF R/M Control、5%)と、合計で10%のポリマー(標準的な餌の重量に対して、具体的には、6.2%のCarbopol(登録商標)971 NFと、1.5% Kollicoat(登録商標)MAE 100P、Sigma−Aldrich、USAと、2.3%のカニの殻由来のキトサン、Sigma−Aldrich、USA)で構成されていた。これにより、最終的な混合物に対し、約4.5%の脂肪と、約9.1%の全ポリマーを含むペレット状の餌組成物が得られた(具体的には、約5.6%のCarbopol(登録商標)、約1.4%のKollicoat(登録商標)、約2.1%のキトサン)。
【0195】
標準的な餌用資材をポリマー粉末と混合した。水を加え、ペーストを生成し、これを押出成型し、フードプロセッサ(Kitchen Aid、USA)で切断してペレット(1cm×3cm)を作製した。ペレットを25℃で一晩乾燥させた。
【0196】
実験終了時に、餌の摂取、エネルギー摂取および体重の変化を評価した(±SD)。動物は、体重が3.9±4.6%減少しており、平均1日餌摂取量は18.1±2.1gであり、1日あたり、動物あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は253±29kJを表している。
【0197】
(F.4.7%の脂肪と5.7%のポリマーを含むペレット状の餌組成物−摂取量の減少に起因する、ポリマーによって誘発される体重減少のための実施例)
平均体重が317±14.5gの6匹の雄のウィスターラットに、ペレットとして与えられた実験用餌を7日間食べさせた。この混合物は、標準的な餌用資材(ssniff(登録商標)EF R/M Control、5%)と、6%のCarbopol(登録商標)971 NF(標準的な餌資材の重量に対して)とで構成されており、最終的な混合物に対し、約4.7%の脂肪と、約5.7%のCarbopol(登録商標)を含むペレット状の餌組成物が得られた。
【0198】
標準的な餌用資材をポリマー粉末と混合し、水を加え、ペーストを生成し、これを押出成型し、フードプロセッサ(Kitchen Aid、USA)で切断してペレット(1cm×3cm)を作製した。ペレットを25℃で一晩乾燥させた。
【0199】
実験終了時に、餌の摂取、エネルギー摂取および体重の変化を計算した(±SD)。動物は、体重が1.8±2.3%減少しており、平均1日餌摂取量は18.4±5.3gであり、1日あたり、動物あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は267±77kJを表している。
【0200】
(G.11.0%の脂肪と5.3%のポリマーを含む粉末状のペレット餌/Witepsol(登録商標)組成物−摂取量の減少に起因する、ポリマーによって誘発される体重減少のための実施例)
平均体重が307±8gの6匹の雄のウィスターラットに、粉末として与えられた実験用餌を5日間食べさせた。この混合物は、標準的な餌用資材(ssniff(登録商標)EF R/M Control、5%)と、Witepsol(登録商標)W25(標準的な餌資材の重量に対して7.5%)と、6% Carbopol(登録商標)971 NF(標準的な餌資材の重量に対して)とで構成されており、最終的な混合物に対し、合計で脂肪が約11.0%(Witepsol(登録商標)を含む)であり、Witepsol(登録商標)が約6.6%、Carbopol(登録商標)が約5.3%であった。
【0201】
溶融したWitepsol(登録商標)をポリマー粉末と混合し、ジップロック袋に移し、冷凍庫で−18℃まで冷却した。この材料をハンマーで砕き、台所用ブレンダー(ProfiMIXX、Bosch、ドイツ)で細かく顆粒物にした。標準的な餌資材を加え、この顆粒物と混合し、粉末の餌を得た。
【0202】
実験終了時に、餌の摂取、エネルギー摂取および体重の変化を計算した(±SD)。動物は、体重が2.4±1.8%減少しており、平均1日餌摂取量は15.1±0.8gであり、1日あたり、動物あたりの平均代謝可能なエネルギー摂取量は245±13kJを表している。
【0203】
(実施例23:健康な志願者に対する呼吸試験)
13C−オクタン酸呼吸試験を用い、遊離脂肪酸の胃腸での半減期およびバイオアベイラビリティを評価した。標識したオクタン酸基質は、腸で迅速に吸収され、肝臓で代謝され、13CO2を生成し、これを息により吐き出すため、これが、胃腸管からのオクタン酸の取り込みと、胃から出た後を反映している。実験開始時に、リファレンスとなる呼気サンプルを被験者から採取した。その後、被験者は、リファレンスサンプルとして多量の脂質顆粒物、または試験サンプルとしてポリマーを含有する脂質顆粒物を消費した。
【0204】
脂質を50℃で溶融し、100gの13Cオクタン酸(Campro Scientific、オランダ)を加えることによって、顆粒物を調製し、試験サンプルの場合、ポリマーを組み込んだ。その後、この混合物をジップロック袋に移し、冷凍庫で−18℃まで冷却した。この材料をハンマーで砕き、台所用ブレンダー(Bosch、ドイツ)で細かく顆粒物にし、25℃、減圧下で乾燥させ、一連のワイヤメッシュふるい(VWR International、ドイツ)によって分級し、0.5mmより大きく、1.3mmより小さい顆粒物を得た。
【0205】
サンプル摂取のために、凍結した顆粒物を100gの冷たいヨーグルト(フルーツフレーバー、約100カロリー)と混合し、1〜2分以内に消費した。サンプルを摂取した後、被験者は、マウスピースを介して息を吐き、所定の時間間隔で、終末呼気サンプルを300mLの金属箔の袋に集めた。呼気サンプルを410分間採取した。この間に、グラス約1杯/時間の速度で0.5〜1.0Lの水を飲み、180分後に軽い昼食を消費し、身体的な運動は、日常の運動に相当するものであった。
【0206】
呼気袋に集め終わったら、非分散形赤外分析計(Fischer Analysen Instrumente GmbH、ドイツ)に基づき、FANci2呼吸試験分析機で分析を行った。呼気中の13Cの存在量を、世界共通のリファレンス標準(Pee Dee Belemnite石灰石からの炭素)からの相対差(%0)として表した。13Cの存在量は、サンプル摂取前の呼気中の13C存在量と、サンプル摂取から所定の時間経過後の13C存在量の差であると定義され、基底値からのデルタ値(DOB、%0)で与えられた。呼吸試験の分析者が操作するソフトウェア(FANci version 2.12.42.14 02/14)から、用量の累積パーセント値(cPDR、バイオアベイラビリティに対応する)、cPDR値が半分になる時間(HLF、胃腸での半減期に対応する)をプロトコルに従って得た。
【0207】
本発明の粒子を含む数種類の試験組成物を投与した。以下の表に示されるように、この粒子によって、バイオアベイラビリティが増加し(試験組成物1、2、4、5および6)、または胃腸での半減期が長くなる(試験組成物3)ことがわかった。
【0208】
固い脂肪(Witepsol(登録商標))は、NRC(ドイツ)製であった。ココアバターは、地域の食料品店で購入した。ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸、微結晶性セルロースおよびHPCクオリティーは、Sigma−Aldrich(USA)製であった。HPMC(Metolose(登録商標)90SH)は、Harke(ドイツ)製であり、キサンタン(Xantan Texturas)は、Solegraells Guzman(スペイン)製であった。Carbopol(登録商標)は、Lubrizol(USA)製であった。グリセロールモノオレエートおよびグリセロールモノラウレートは、TCI(ベルギー)製であった。
【表1】
【0209】
(実施例24:in vitroでの粘膜接着および粒子完全性アッセイ)
アルギン酸ナトリウム中粘度(アルギネート1番)、アルギン酸、ラウリン酸ナトリウムおよびラウリン酸、微結晶性セルロース(MCC)、ヒドロキシプロピル−セルロース(HPC)およびカルボキシメチル−セルロース(CMC)クオリティー、アラビアガム、キトサンおよびカルシウム塩は、Sigma−Aldrich(USA)製であった。アルギネート3番は、Dragonspice(ドイツ)製であった。アルギネート4番(Satialgine(登録商標)S 1600)は、Cargill(フランス)製であった。アルギネート5番(Manucol(登録商標)DH)は、IMCD(ドイツ)製であった。アルギネート6番(Protanal(登録商標)LF)およびアルギネート7番(Protanal(登録商標)PH)は、FMC(UK)製であった。アルギネート8番(Alginex(登録商標)HH)およびアルギネート9番(Algin LZ−2)は、キミカ(日本)製であった。Carbopol(登録商標)クオリティーは、Lubrizol(USA)製であった。キサンタン(Texturas Xantan)、ゲランガム(Texturas gellan)、アルギネート2番(Texturas Algin)は、Solegraells Guzman(スペイン)製であった。HPMC(Metolose(登録商標)90SH)は、Harke(ドイツ)製であった。サイリウムクオリティー(99%;100メッシュ)およびグアーガムは、Caremoli(ドイツ)製であった。キャロブビーンガムは、Werz(ドイツ)製であった。ココナツ粉は、Noble House(ベルギー)製であった。リンゴペクチン、リンゴペクチン低エステル化品およびリソレシチンは、Dragonspice(ドイツ)製であった。ペクチン1番(Pektin Classic AU202)は、Herbstreith & Fox(ドイツ)製であった。ペクチン2番(Aglupectin(登録商標)HS−RVP)およびタラガム(AgluMix(登録商標)01)は、Silva Extracts(イタリア)製であった。低メトキシルペクチン、アミド化低メトキシルペクチン、ラピッドセット高メトキシルペクチンおよびスローセット高メトキシルペクチンクオリティーは、Modernist Pantry(USA)製であった。β−グルカン(Hafer−Beta−glucan Bio Kapselnの粉末充填物)は、Raab Vitalfood(ドイツ)製であった。PromOat(登録商標)β−グルカンは、Tate&Lyle(スウェーデン)製であった。ココア粉末低脂肪は、Naturata(ドイツ)製であった。ココア粉末高脂肪は、Cebe(ドイツ)製であった。イヌリンは、Spinnrad(ドイツ)製であった。Benefiber(登録商標)レジスタントデキストリン(Benefiber(登録商標)Nutriose(登録商標)としても知られる)は、Novartis(UK)製であった。
【0210】
Witepsol(登録商標)固い脂肪のクオリティー品は、NRC(ドイツ)製であった。Gelucire(登録商標)43/01の固い脂肪は、Gattefosse(フランス)製であった。モノグリセリドは、TCI(ベルギー)製であった。ココアバターは、地域のスーパーマーケットで購入した。パーム脂肪は、Peter Kolln(ドイツ)製であった。パームステアリン、Omega−3−Concentrate油およびOmega−3−Concentrate粉末67は、Bressmer(ドイツ)製であった。パームステアリンIPおよびパームステアリンMBは、Henry Lamotte(ドイツ)製であった。ココナツ油およびココナツ脂肪クオリティーは、Dr.Goerg(ドイツ)製であった。シアバター1番は、Gustav Hees(ドイツ)製であった。シアバター2番は、Cremer Oleo(ドイツ)製であった。大豆レシチン1番(粉末品質)は、Caelo(ドイツ)製であった。大豆レシチン2番(Texturas Lecite)は、Solegraells Guzman(スペイン)製であった。カカオマスは、Homborg(ドイツ)製であった。Cera flavaおよびalbaハチミツは、Heinrich Klenk(ドイツ)であった。共役リノール酸(Tonalin(登録商標))は、BASF(ドイツ)製であった。Prifex(登録商標)300パームステアリンは、Unimills(オランダ)製であった。Ω−3脂肪酸(Ω−3 1400)は、Queisser Pharma(ドイツ)製であった。ベニバナ油は、Brokelmann(ドイツ)製であった。
【0211】
50℃で1種類の脂質を溶融し、場合により、他の脂質要素および少量のOil Red O(Sigma Aldrich、USA)の結晶を加えて均質な溶融物または懸濁物を得ることによって顆粒物を調製した。試験サンプルの場合、機械的な混合によってポリマーを組み込んだ。それぞれの組成物をジップロック袋に移し、冷凍庫で−18℃まで冷却した。まず、この材料をハンマーで砕き、台所用ブレンダー(ProfiMIXX、ドイツ)で細かく顆粒物にし、場合により、25℃、減圧下で乾燥させ、次いで、一連のワイヤメッシュふるい(VWR International、ドイツ)によって分級し、1.3mmより大きく、2.0mmより小さい顆粒物を得た。新鮮なブタの胃(地域の肉屋から)を3cm×3cm片に切断し、ガラスペトリ皿(直径10cm)の底部に置いた。このペトリ皿に22mLの空腹状態を模倣した胃液(FaSSGF)を加えた。1gのNaCl(Sigma−Aldrich)を450mLの水に溶解し、30mgのSIF粉末(biorelvant.com)を加え、0.1N HCl(Sigma−Aldrich)を用いてpHを2.0に調節し、水を加えて最終的な体積を500mLにすることによって、FaSSGFを調製した。ペトリ皿を覆い、傾斜角12°、速度50/分に設定したペトリ皿シェーカー(CAT、ドイツ製のST5)に入れた。このシェーカーを37℃の温度に加熱したオーブンに入れた。30分後、攪拌を止めずに、ペトリ皿の内容物に350mgの顆粒物を加えた。5分後、オーブンからサンプルを取り出し、ブタの胃片を水で3回洗浄した(各3mL)。胃の表面に結合した物質をスパチュラで除去し、計量皿に移し、一定重量になるまで乾燥させた(電子水分計MLB 50−3N、Kern & Sohn、ドイツ)。粘膜付着性材料の乾燥重量を記録し、初期の顆粒物の重量の百分率として計算し、これは、粘膜接着性の指標としての結合を表している。残った結合していない物質を含むペトリ皿を37℃でさらに15分間攪拌し、粒子の完全性を、視覚観察によって、「低い」(完全な崩壊または粒子の少なくとも50%が崩壊)または「高い」(粒子の50%未満が崩壊)または「中程度」(粒子の50%未満が崩壊、しかし、粒子から少量の粉末が目で見て失われている)に分類した。
【0212】
その結果、以下の表に示されるように、本発明の粒子を含む特定の試験組成物が、粘膜に対する結合の実質的な向上および/または高い粒子完全性を示すことがわかった。
【表2】
【0213】
(実施例25:高剪断造粒によるプレミックスの調製)
4.5kgの固い脂肪(Witepsol(登録商標)W25、Cremer Oleo)、1.5kgのグリセロールモノラウレート(Mosselman、ベルギー)、3.0kgのHPMC(Metolose 60SH、信越化学工業株式会社、日本)を、加熱ジャケットを取り付けたPloughshareミキサー(Lodige、ドイツ)に入れた。80rpmで連続的な混合操作を行いつつ、脂質要素が完全に溶融するまで、容器内の温度を60℃まで上げた。連続的に混合しつつ、加熱を止め、2kgの砕いたドライアイスを5分以内に加えた。二酸化炭素を蒸発させた後、得られた顆粒を容器から取り出し、押出成型実験のためのプレミックスとして使用した。好都合であると考えられる場合、例えば、分級する前に、得られた顆粒状粒子を25℃、減圧下で乾燥させ、残留凝縮水を除去した。
【0214】
(実施例26:高剪断造粒によるプレミックスの調製)
3.0kgの固い脂肪(Witepsol(登録商標)W25、Cremer Oleo)、1.0kgのグリセロールモノラウレート(Mosselman、ベルギー)を、加熱ジャケットを取り付けたPloughshareミキサー(Loedige、ドイツ)に入れた。80rpmで連続的な混合操作を行いつつ、脂質要素が完全に溶融するまで、容器内の温度を60℃まで上げた。連続的に混合しつつ、加熱を止め、3.0kgのサイリウムシードハスク(Carepsyllium、Caremoli、ドイツ)を加え、5分後に、2kgの砕いたドライアイスを5分以内に加えた。二酸化炭素を蒸発させた後、得られた顆粒を容器から取り出し、押出成型実験29のためのプレミックスとして使用した。好都合であると考えられる場合、例えば、分級する前に、得られた顆粒状粒子を25℃、減圧下で乾燥させ、残留凝縮水を除去した。
【0215】
(実施例27:高剪断造粒によるプレミックスの調製)
750gの固い脂肪(Witepsol(登録商標)W25、Cremer Oleo)、250gのグリセロールモノラウレート(Mosselman、ベルギー)、500gのHPMC(Metolose(登録商標)60SH、信越化学工業株式会社、日本)を、加熱ジャケットを取り付けたPloughshareミキサー(Loedige、ドイツ)に入れた。200rpmで連続的な混合操作を行いつつ、脂質要素が完全に溶融するまで、容器内の温度を54℃まで上げた。連続的に混合しつつ、加熱を止め、1kgの砕いたドライアイスを5分以内に加えた。得られた顆粒を容器から取り出し、場合により、25℃、減圧下で乾燥させ、一連のワイヤメッシュふるい(1.0mm(メッシュ18)および2.0mm(メッシュ10)および3.15mm、VWR、ドイツ)に通し、生成物を得た。材料の51%(w/w)を、1.0〜3.15mmの粒径フラクションとして得た。
【0216】
(実施例28:高剪断造粒による顆粒の調製)
900gのアルギネート(Satialgine(登録商標)、Cargill、ドイツ)、60gの大豆レシチン(粉末品質、Golden Peanut、ドイツ)、540gのパームステアリン(Palm Stearin 54、Bressmer、ドイツ)を、加熱ジャケットを取り付けたPloughshareミキサー(Loedige、ドイツ)に入れた。200rpmで連続的な混合操作を行いつつ、脂質要素が完全に溶融するまで、容器内の温度を60℃まで上げた。連続的に混合しつつ、加熱を止め、440gの砕いたドライアイスを5分以内に加えた。得られた顆粒を容器から取り出し、場合により、25℃、減圧下で乾燥させ、一連のワイヤメッシュふるい(1.0mm(メッシュ18)および2.0mm(メッシュ10)および3.15mm、VWR、ドイツ)に通し、生成物を得た。材料の48%(w/w)を、1.0〜3.15mmの粒径フラクションとして得た。
【0217】
(実施例29:押出成型による粒子の調製)
300gの固い脂肪(Witepsol(登録商標)W25、Cremer Oleo、ドイツ)、100gのグリセロールモノラウレート(Mosselman、ベルギー)、300gのサイリウムシードハスク(Carepsyllium、Caremoli、ドイツ)を含む、実験26のプロトコルに従って調製したプレミックスを、体積投入システム(Dosimex DO−50、Gabler、ドイツ)によって、ツインスクリュー押出成型機(Extruder DE−40/10、Gabler、ドイツ)の粉末投入口に供給し、30〜35℃の温度範囲で押出成型し、直径1.0mmのストランドを生成した。回転ブレードによって、押出成型されたストランドを切断して顆粒を生成した。その後、顆粒を球形整粒機(Spheronizer 250、Gabler、ドイツ)で直径約1mmの粒子に丸めた。
【0218】
(実施例30:押出成型による粒子の調製)
187.5gの固い脂肪(Witepsol(登録商標)W25、Cremer Oleo、ドイツ)、356.25gのグリセロールモノラウレート(Mosselman、ベルギー)、206.25gのグリセロールモノオレエート(Mosselman、ベルギー)の溶融したプレミックスを、オーバーヘッドスターラーを取り付けたホットプレート(80℃)の上のビーカー中で調製し、蠕動ポンプ(Masterflex(登録商標)、Thermo Fisher、ドイツ)によって、ツインスクリュー押出成型機(Pharma 11 HME、Thermo Fisher、ドイツ)の片方の投入開口部に供給した。並行して、256.25gのHPMC(Metolose(登録商標)60SH、信越化学工業株式会社、日本)、18.75gのキサンタン(Xanthan FF、Jungbunzlauer、スイス)の粉末プレミックスを、体積投入システム(Volumetric Single Screw Feeder、Thermo Fisher、ドイツ)によって押出成型機の粉末投入開口部に供給し、混合物を30〜35℃の温度範囲で押出成型し、直径1.5mmのストランドを生成し、その後、球形整粒機(Caleva MBS 120、Thermo Fisher、ドイツ)で丸め、約1〜2mmの顆粒物とした。
【0219】
(実施例31:脂質と乳化剤の混合物を用いたコアのコーティング)
実施例27〜30のいずれかに従って調製した600gの顆粒物を、流動床デバイス(Ventilus V−2.5/1、Innojet、ドイツ、IPC3生成物容器を取り付けた)に入れ、床温度20℃、空気流90立方メートル/hで流動化した。105.0gのDynasan(登録商標)115および45.0gのPolysorbate 65を、オーバーヘッドスターラーを取り付けたホットプレート(80℃)の上のビーカー中で溶融させた。蠕動ポンプと、噴霧速度6.5g/分で、上部からの噴霧手順を用い、熱い溶融物を顆粒物に噴霧した。10、15、20および25%(w/w)に対応する異なる量のコーティングのサンプルを所定の時間間隔で採取した。
【0220】
(実施例32:脂質とヒドロコロイドの混合物を用いたコアのコーティング)
実施例27〜30のいずれかに従って調製した600gの顆粒物を、流動床デバイス(Ventilus V−2.5/1、Innojet、ドイツ、IPC3生成物容器を取り付けた)に入れ、床温度20℃、空気流90立方メートル/hで流動化した。135gのDynasan(登録商標)116および15gのグアーガム(Careguar、Caremoli、ドイツ)を、メカニカルスターラーを取り付けたホットプレート(80℃)で加熱した。蠕動ポンプと、噴霧速度6.5g/分で、上部からの噴霧手順を用い、熱い溶融物を顆粒物に噴霧した。15および25%(w/w)に対応する異なる量のコーティングのサンプルを所定の時間間隔で採取した。
【0221】
(実施例33:コーティングされた顆粒物の粘膜付着アッセイ)
実験30に従って調製した顆粒物を、実験手順31に従って、異なるコーティング厚になるまでコーティングし、結合速度論を30分まで監視する以外は、上述の粘膜付着アッセイプロトコルを行った。
【0222】
10%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、6分後に最大になった。15%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、9分後に最大になった。20%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、12分後に最大になった。25%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、25分後に最大になった。
【0223】
(実施例34:コーティングされた顆粒物の粘膜付着アッセイ)
実験30に従って調製した顆粒物を、実験手順32に従って、異なるコーティング厚になるまでコーティングし、結合速度論を30分まで監視する以外は、上述の粘膜付着アッセイプロトコルを行った。
【0224】
15%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、14分後に最大になった。20%(w/w)のコーティングを有する顆粒物サンプルのブタの胃への結合は、25分後に最大になった。
【0225】
(実施例35:押出成型による顆粒物の調製)
224gのパームステアリン(Palmstearin 54、Juchem、ドイツ)、96gのアルギネート(Satialgine(登録商標)、Cargill、フランス)、32gのペクチン(Aglupectin(登録商標)HS−RVP、Silvateam、イタリア)、32gのオーツベータグルカン(PromOat(登録商標)、Tate&Lyle、スウェーデン)を含む実験26のプロトコルに従って調製したプレミックスを、体積投入システム(Dosimex DO−50、Gabler、ドイツ)によって、ツインスクリュー押出成型機(Extruder DE−40/10、Gabler、ドイツ、7rpmで操作する)の粉末投入口に供給し、10〜12℃の温度範囲で押出成型し、直径1.5mmのストランドを生成した。回転ブレード(100rpmで操作する)によって、押出成型されたストランドを切断し、長さ0.8〜2.5mmの顆粒物を生成した。プレミックスを5分未満で定量的に押出成型物に変換した。
【0226】
(実施例36:10kgバッチのコーティングされた顆粒物)
誘導プレート上の料理鍋中、8.25kgのパームステアリン(Palm Stearin 54、Bressmer、ドイツ)を溶融することによってプレミックスを調製した。この溶融物の温度が60℃になったら、4.5kgのアルギン酸ナトリウム(Satialgine(登録商標)、Cargill、フランス)、1.5gのオーツ繊維調製物(PromOat(登録商標)、Tate&Lyle、スウェーデン)、1.5kgのペクチン Pektin HV、Golden Peanut、ドイツ)を料理用スプーンによって組み込んだ。この混合物をジップロックプラスチック袋に等分して移し、室温まで冷却し、固体板を作製した。液体ポリマー板を冷凍庫でさらに−18℃まで冷却し、次いで、ブレンダー(Vitamix(登録商標)、Vita−Mix Corp.、USA)によって細かく切断して約5mm以下の粒子を作製した。得られたプレミックスを、体積投入システム(Dosimex DO−50、Gabler、ドイツ)によって、ツインスクリュー押出成型機(Extruder DE−40/10、Gabler、ドイツ、10rpmで操作する)の粉末投入口に供給し、10〜12℃の温度範囲で押出成型し、直径1.5mmのストランドを生成した。回転ブレード(100rpmで操作する)によって、押出成型されたストランドを切断し、長さ0.8〜2.5mmの顆粒物を生成した。プレミックスを5分未満で定量的に押出成型物に変換した。押出成型物を990gずつプラスチック袋に移し、−18℃で保存した。それぞれの袋に、9.9gのPromOat(登録商標)粉末を加え、押出成型物と十分に混合した。その後、顆粒物を場合により25℃、減圧下で乾燥させ、2mm(メッシュ10)および1.0mm(メッシュ18)のワイヤメッシュふるいを用いて分級した。分級した顆粒物を混合し、600gずつ等分した。この等分を流動床デバイス(Ventilus V−2.5/1、Innojet、ドイツ、IPC3生成物容器を取り付けた)に入れ、床温度20℃、空気流80立方メートル/hで流動化した。120gのDynasan(登録商標)115を、オーバーヘッドスターラーを取り付けたホットプレート(90℃)の上のビーカー中で溶融させた。蠕動ポンプと、噴霧速度6.5g/分で、上部からの噴霧手順を用い、熱い溶融物を顆粒物に定量的に噴霧した。各等分を合わせ、合計で10kgのコーティングされた顆粒物を得て、これをプラスチック容器に保存した。
【0227】
(実施例37:コーティングされた顆粒物)
14kgのプレミックスを、各2kgの7バッチで調製した。それぞれのバッチについて、誘導プレート上の料理鍋中、0.9kgのパームステアリン(Prifex(登録商標)300、Unimills、オランダ)、0.1kgの亜麻仁油(manako BIO Leinol human、Makana、ドイツ)を溶融した。溶融物の温度が60℃になったら、0.3kgのアルギン酸ナトリウム(Alginex(登録商標)、キミカ、日本)、0.1kgのオーツ繊維調製物(PromOat(登録商標)、Tate&Lyle、スウェーデン)、0.1kgのペクチン(Aglupectin(登録商標)HS−RVP、Silva、イタリア)を料理用スプーンによって組み込んだ。この混合物をジップロックプラスチック袋に等分して移し、室温まで冷却し、固体板を作製した。液体ポリマー板を冷凍庫でさらに−18℃まで冷却し、次いで、ブレンダー(Vitamix(登録商標)Professional 750、Vita−Mix Corp.、USA)によって細かく切断して約5mm以下の粒子を作製した。得られたプレミックスを、体積投入システム(Dosimex DO−50、Gabler、ドイツ)によって、ツインスクリュー押出成型機(Extruder DE−40/10、Gabler、ドイツ、10rpmで操作する)の粉末投入口に供給し、約30℃の温度範囲で押出成型し、直径1.0mmのストランドを生成した。回転ブレード(100rpmで操作する)によって、押出成型されたストランドを切断し、長さ0.8〜2.5mmの顆粒物を生成した。押出成型物を等分してプラスチック袋に移し、−18℃で保存した。その後、顆粒物を場合により25℃、減圧下で乾燥させ、2mm(メッシュ10)および1.0mm(メッシュ18)のワイヤメッシュふるい(Atechnik、ドイツ)を用いて分級した。2mmのふるいに残った物質を、家庭用ブレンドデバイス(MK55300、Siemens、ドイツ)を用いて運び、一連のワイヤメッシュふるいを用いて再び分級した。1〜2mmの範囲に分級した顆粒物を合わせ、収量9.0kgを得て、600gずつに等分した。バッチ(1回操作あたり1等分、15回操作)を流動床デバイス(Ventilus V−2.5/1、Innojet、ドイツ、IPC3生成物容器を取り付けた)に入れ、床温度20℃、空気流65m3/hで流動化した。1回操作あたり、120kgのパームステアリン(Prifex(登録商標)300、Unimills、オランダ)を、オーバーヘッドスターラーを取り付けたホットプレート(100℃)の上のビーカー中で溶融させた。蠕動ポンプと、噴霧速度6.5g/分で、上部からの噴霧手順を用い、熱い溶融物を顆粒物に定量的に噴霧した。バッチを合わせ、合計で10.67kgのコーティングされた顆粒物を得て、これをプラスチック容器に保存した。
【0228】
(実施例38:トリプトファンを含有する顆粒物の調製)
2gのグリセロールモノラウリン(Mosselman、ベルギー)および2gのグリセロールモノオレイン40(TCI、ベルギー)を55℃で溶融することによって、顆粒物を調製した。L−トリプトファン(1g、TCI、ベルギー)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Metolose(登録商標)90SH−100000SR、Harke、ドイツ)、キサンタンガム(0.5g、Solegraells、スペイン)を機械的な混合によって組み込んだ。組成物をジップロック袋に移し、冷凍庫で−18℃まで冷却した。まず、この材料をハンマーで砕き、台所用ブレンダー(ProfiMIXX、Bosch、ドイツ)で細かく顆粒物にし、場合により、25℃、減圧下で乾燥させ、次いで、一連のワイヤメッシュふるい(VWR International、ドイツ)によって分級し、0.5mmより大きく、1.0mmより小さい顆粒物を得た。
【0229】
200mgのトリプトファンを含有する顆粒物のサンプルを、22mLの空腹状態を模倣した胃液(FaSSGF)に37℃で懸濁させ、攪拌した(CAT、ドイツ製のシェーカーST5)。1gのNaCl(Sigma−Aldrich)を450mLの水に溶解し、30mgのSIF粉末(biorelevant.com)を加え、0.1N HCl(Sigma−Aldrich)を用いてpHを2.0に調節し、水を加えて最終的な体積を500mLにすることによって、FaSSGFを調製した。15分間隔で上澄みからアリコートを除去し、NanoDrop(登録商標)2000デバイス(Thermo Scientific、USA)において、波長280nmでの吸光度測定によってトリプトファンの濃度を決定した。トリプトファンの放出は、一次速度論に従い、半減期は20分であった。
【0230】
200mgのトリプトファンを含有する顆粒物のサンプルを、22mLの空腹状態を模倣した腸液(FaSSIF)に37℃で懸濁させ、攪拌した(CAT、ドイツ製のシェーカーST5)。0.21gのNaOHペレット(Sigma−Aldrich)、3.09gのNaCl(Sigma−Aldrich)、1.98gのリン酸二水素ナトリウム(Sigma−Aldrich)、を450mLの水に溶解し、1.12gのSIF粉末(biorelvant.com)を加え、pHを6.5に調節し、水を加えて最終的な体積を500mLにすることによって、FaSSIFを調製した。15分間隔で上澄みからアリコートを除去し、NanoDrop(登録商標)2000デバイス(Thermo Scientific、USA)において、波長280nmでの吸光度測定によってトリプトファンの濃度を決定した。トリプトファンの放出は、一次速度論に従い、半減期は15分であった。
【0231】
(トリプトファンコントロール)
30mgのトリプトファン粉末を、22mLのFaSSGFに37℃で懸濁させ、攪拌した(CAT、ドイツ製のシェーカーST5)。5分間隔で上澄みからアリコートを除去し、NanoDrop(登録商標)2000デバイス(Thermo Scientific、USA)において、波長280nmでの吸光度測定によってトリプトファンの濃度を定量した。トリプトファンは、10分後に定量的に溶解した。