特許第6581656号(P6581656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6581656グルカゴンおよびGLP−1受容体のコアゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581656
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】グルカゴンおよびGLP−1受容体のコアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20190912BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   C07K14/605ZNA
   A61K38/26
   A61P1/16
   A61P3/04
   A61P3/06
   A61P3/10
【請求項の数】33
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2017-521548(P2017-521548)
(86)(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公表番号】特表2017-537068(P2017-537068A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】US2015056794
(87)【国際公開番号】WO2016065090
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年6月14日
(31)【優先権主張番号】62/068,157
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/208,869
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596129215
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】キャリントン,ポール・イー
(72)【発明者】
【氏名】デン,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】ナーガンド,ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】パラニ,アナンダン
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,トーマス・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキ,エリザベッタ
(72)【発明者】
【氏名】オルヴィエート,フェデリカ
(72)【発明者】
【氏名】ペッシ,アントネッロ
【審査官】 柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−525901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
A61K 38/00−38/58
A61K 41/00−45/08
A61K 48/00
A61K 50/00−51/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
Google
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を含むか、又は該アミノ酸配列からなるペプチドであって、ここで、
はD−セリン、L−アラニン、または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸である;
はL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンである;
10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンである;
12はL−リジンまたはL−ロイシンである;
15はL−グルタミン酸、L−ロイシンまたはL−アスパラギン酸である;
16はL−アラニン、またはL−バリンである;
18はL−アラニンまたはL−アルギニンである;
27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンである;
10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合している;および
該ペプチドは、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合している;ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない、そして、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する(ここで、「約」の語は、示されている値または値の範囲より10%大きい又は小さいことを意味する)、ペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
該ペプチドは配列番号7、8、10、13または17のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチドスペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されており、16位のセリンがL−アラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を含むか、又は該天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列及び該6個までの追加的なアミノ酸置換からなるペプチドであって、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し(ここで、「約」の語は、示されている値または値の範囲より10%大きい又は小さいことを意味する)、該ペプチドは、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合している、ペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
18位のアルギニンがL−アラニンで置換されている、請求項記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
27位のメチオニンがL−ロイシンで置換されている、請求項記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
28位のアスパラギンがL−アスパラギン酸で置換されている、請求項記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
16位のセリンがL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンがL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンがL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンがL−アスパラギン酸で置換されている、請求項記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載のペプチドまたはその医薬上許容される塩と、医薬上許容される担体とを含む組成物。
【請求項9】
代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、請求項1、2、3、4、5、6、若しくは7に記載のペプチド若しくはその医薬上許容される塩、又は請求項記載の組成物の使用。
【請求項10】
代謝疾患が糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である、請求項記載の使用。
【請求項11】
糖尿病がI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である、請求項10記載の使用。
【請求項12】
代謝疾患の治療のための、請求項記載の組成物。
【請求項13】
代謝疾患が糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
糖尿病がI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載のペプチドまたはその医薬上許容される塩、インスリンまたはインスリン類似体および医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項16】
代謝疾患の治療のための、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
代謝疾患が糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
糖尿病がI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載のペプチドまたはその医薬上許容される塩、インスリンまたはインスリン類似体および医薬上許容される担体を含む組成物の、代謝疾患の治療用の医薬の製造のための使用。
【請求項20】
代謝疾患が糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
糖尿病がI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
該ペプチドは配列番号7のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項23】
該ペプチドは配列番号8のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項24】
該ペプチドは配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項25】
該ペプチドは配列番号13のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項26】
該ペプチドは配列番号17のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項27】
該医薬上許容される塩がナトリウム塩である、請求項1、2またはに記載のペプチド、またはその医薬上許容される塩。
【請求項28】
該医薬上許容される塩がナトリウム塩である、請求項1215または16に記載の組成物。
【請求項29】
該医薬上許容される塩がナトリウム塩である、請求項または19に記載の使用。
【請求項30】
該代謝疾患が糖尿病である、請求項または19に記載の使用。
【請求項31】
該代謝疾患が糖尿病である、請求項12または16に記載の組成物。
【請求項32】
該代謝疾患が肥満である、請求項または19に記載の使用。
【請求項33】
該代謝疾患が肥満である、請求項12または16に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルカゴンのペプチド類似体に関するものであり、該ペプチド類似体は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断および不活性化に対して抵抗性となるように、ならびに該ペプチド類似体のインビボ半減期が増加する一方で、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体およびグルカゴン(GCG)受容体における比較的バランスのとれたアゴニスト活性を該ペプチド類似体が有することが可能となるように修飾されている。本発明はまた、代謝障害、例えば糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肥満の治療のための、そのようなGLP−1受容体/GCG受容体コアゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プレプログルカゴンは158アミノ酸の前駆体ポリペプチドであり、これは種々の組織においてプロセシングされて、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃内容排出、および腸成長ならびに食物摂取の調節を含む多種多様な生理的機能に関与する多数の異なるプログルカゴン由来ペプチド、例えばグルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)およびオキシントモジュリン(OXM)となる。グルカゴンは、プレプログルカゴンのアミノ酸33〜61に対応する29アミノ酸のペプチドであり、一方、GLP−1は、プレプログルカゴンのアミノ酸72〜108に対応する37アミノ酸のペプチドとして産生される。GLP−1(7−36)アミドまたはGLP−1(7−37)酸は、GLP−1受容体において実質的に同等の活性を示す、GLP−1の生物学的に強力な形態である。
【0003】
低血糖時、血糖値が正常値未満に低下すると、グルカゴンは肝臓にシグナルを伝達して、グリコーゲンを分解させ、グルコースを放出させて、血液グルコースレベル(血糖値)を正常レベルまで上昇させる。低血糖は、糖尿病による高血糖(グルコースレベルの上昇)を示す患者におけるインスリン治療の一般的な副作用である。したがって、グルコース調節におけるグルカゴンの最も良く認識されている役割は、インスリンの作用を相殺し、血液グルコースレベルを維持することである。
【0004】
GLP−1はグルカゴンとは異なる生物活性を有する。その作用には、インスリンの合成および分泌の刺激、グルカゴン分泌の抑制、ならびに食物摂取の抑制が含まれる。GLP−1は糖尿病における高血糖を軽減することが示されている。エキセンジン(Exendin)−4は、GLP−1に対して約50%のアミノ酸同一性を有するトカゲ毒由来のペプチドであり、GLP−1受容体を活性化し、同様に、糖尿病における高血糖を軽減することが示されている。
【0005】
GLP−1およびエキセンジン−4は食物摂取を低減し、体重減少を促進させるという証拠も存在し、これは、糖尿病に有益なだけでなく肥満患者にも有益な効果である。肥満患者は糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管疾患および筋骨格疾患のリスクがより高い。
【0006】
グルカゴンは、グリコーゲン分解および糖新生の刺激により血液グルコースを増加させる急性能力に関して十分に認識されているGLP−1に構造的に関連したペプチドホルモンである(Jiang & Zhang,Am.J.Physio.l Endocrinol.Metab.284:E671−E678(2003))。それほど十分には認識されていないものとしては、熱生成、満腹感、脂肪分解、脂肪酸酸化およびケトン生成の増強により特徴づけられるグルカゴンの薬理作用の慢性効果が挙げられる(Habeggerら,Nat.Rev.Endocrinol.6:689−697(2010))。グルカゴンの反復投与は、体重減少を伴って、げっ歯類の代謝の改善をもたらすことが、数十年前に最初に報告された(Salter,Am.J.Clin.Nutr.8:535−539(1960))。それにもかかわらず、特にT2DMのようなインスリン抵抗性状態における高血糖の固有のリスクは、これらの観察をヒトでの研究に移行させることを複雑にしている。
【0007】
ホルモンであるオキシントモジュリン(OXM,グルカゴン−37)は、腸および中枢神経系(CNS)においてプロセシングされるプレプログルカゴンの翻訳後産物であり、食物摂取に応答して腸内のL細胞から分泌される。1983年に発見されたOXMは食物摂取およびエネルギー消費の調節に関連づけられている(Jarrouseら,Endocrinol.115:102−105(1984);Schjoldagerら,Eur.J.Clin.Invest.,18:499−503(1988))。ラットにおけるOXMの中枢または末梢投与は、胃内容排出に対する最小の効果を伴って、短期的な食物摂取の減少をもたらす(Dakinら,Endocrinology,142:4244−4250(2001),Dakinら,Endocrinology,145:2687−2695(2004))。ラットにおけるOXMの反復的な脳室内投与は、ペアフィード動物と比較して、深部体温の上昇および体重減少をもたらし、これはカロリー摂取およびカロリー消費の両方に対する効果を示唆している(Dakinら,Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.,283:E1173−E1177(2002))。
【0008】
関連研究において、OXMの末梢投与は絶食誘発性食物摂取および暗期食物摂取の両方を用量依存的に抑制したが、GLP−1とは異なり、胃内容排出には影響を及ぼさなかった。OXMはまた、空腹時グレリンのレベルを低減し、c−fos免疫反応性(弓状核(ARC)におけるもの)を増強した。OXMの7日間の反復IP投与はラットにおける体重増加率および肥満率の低減をもたらした(Dakinら,Endocrinology,145:2687−2695(2004)を参照されたい)。
【0009】
マウスにおけるOXMの作用の研究は、OXMはグルカゴン(GCG)およびGLP−1の両方の受容体を活性化しうるが、OXMの食欲抑制作用はGLP−1受容体のみを要するに過ぎないことを示している。なぜなら、icv OXMはグルカゴン受容体ノックアウトマウスにおける食物摂取を抑制するからである。一方、OXMの食欲抑制作用はGLP−1受容体ノックアウトマウスには全く存在しない。更に、エキセンジン−4はマウスにおけるエネルギー消費を調節するが、OXMはそうではない。したがって、OXMは、薬理学的濃度で使用された場合、GLP−1受容体における弱いアゴニストであるらしい(Baggioら,Gastroenterol.127:546−58(2004)を参照されたい)。また、OXMは、高脂肪食が与えられたマウスにおけるグルコース不耐性を改善し(Dakinら,Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.294:E142−E147(2008))、GLP−1受容体には無関係にマウスにおける内因性心拍数を増加させることが判明した(Sowdenら,Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol.292:R962−R970(2007))。また、OXMはGLP−1受容体ベータ−アレスチンのリクルートメントおよびシグナリング(Gアルファを介したもの)に差次的に影響を及ぼし(Jorgensenら,J.Pharma.Exp.Therapeut.322:148−154(2007))、OXMの末梢注射後の視床下部ニューロン活性化に差次的に影響を及ぼすことが示されている(Choudhriら,Biochem.Biophys.Res.Commun.350:298−306(2006))。
【0010】
ヒトにおいては、正常体重の健常被験者におけるOXMの1回の90分間の静脈内注入はビュッフェ食における食物摂取および空腹スコアを約19%低減した。累積的な12時間のカロリー摂取は約11%減少し、悪心または食物の嗜好性の変化は報告されていない(Cohenら,J.Clin.Endocrinol.Metab.,88:4696−4701(2003);Lykkegaardら,ADA Scientific Sessions,Abstract #1506−P(2003))。その後、肥満健康ボランティア(BMI約33)における4週間にわたるOXMの食前注射は治療初日におけるカロリー摂取の有意な減少をもたらし(約25%)、これは研究の経過の全体にわたって維持された(4週間後に35%の減少)(Wynneら,Diabetes 54:2390−2395(2005))。治療された被験者においては、研究終了時に、確固たる体重減少が観察された(1.9%、プラセボ補正)。OXMの血漿レベルは、注入研究において観察されたものに類似していた(最高濃度約950pM)。OXMのインビボ安定性(血漿t1/2<12分)が低いことにより比較的高い用量が必要とされるにもかかわらず、タキフィラキシーの非存在および軽度かつ一過性の悪心の低い頻度(約3%)は、このホルモンを、ヒトにおける妥当性および魅力的な許容性の両方を伴う少数の肥満標的の1つにする。
【0011】
OXMは非常に短い半減期を有し、細胞表面ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)によって迅速に不活性化される(Zhuら,J.Biol.Chem.278:22418−22423(2002))。しかし、DPP−IVインヒビターは臨床において体重に対して中立的であり、このことは、ヒトにおいて体重減少を達成するためには超生理学的レベルのOXM(900〜1000pM)が要求されうることを示唆している。ヒトにおいて体重減少を誘導するためのOXMペプチド類似体が公開国際出願番号WO03/022304、WO2004/062685、WO2006/134340およびWO2010/096052の対象となっている。
【0012】
最近、2つの独立した同時期の論文が、純粋なGLP1Rアゴニストと比較して増強した効力および安全性を有する比較的バランスのとれたGLP−1受容体/GCG受容体コアゴニストの、げっ歯類の肥満の治療における使用を、同時に得られる血糖コントロールの改善と共に報告している(Dayら,Nat.Chem.Biol.5:749−757(2009);Pocaiら,Diabetes 58:2258−2266(2009))。それとの関連で重要なのはオキシントモジュリン(OXM)に関する研究であり、OXMはグルカゴンの内因性前駆体であり、食後に空腸−回腸のL細胞によりGLP−1と共に分泌される(Holst,Regul.Pept.93:45−51(2000);Drucker,Nat.Clin.Pract.Endocrinol.Metab.1:22−31(2005))。
【0013】
GLP−1受容体およびGCG受容体における種々の度合の活性を有するように修飾されたグルカゴンペプチド類似体および誘導体が公開国際出願番号WO2008/1010017、WO2009/155258、WO2011/075393、WO2012/177444およびWO2012/177443に開示されている。開示されているグルカゴンペプチド類似体の幾つかはGLP−1受容体およびGCG受容体の両方における活性を有すことがそれらにおいて報告されている。しかし、GLP−1受容体およびGCG受容体における比較的バランスのとれた活性または効力を有するコアゴニストペプチドが尚も必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
発明の簡潔な概要
本発明は、グルカゴン(GCG)受容体およびグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体のアゴニストであるペプチドであって、両方の受容体における比較的バランスのとれた活性または効力を有するペプチドを提供する。天然グルカゴンは、通常、GLP−1受容体においては天然GLP−1の活性の約1%を有する。しかし、本発明のGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体およびGLP−1受容体における比較的バランスのとれた活性または効力を有する。特定の態様においては、該GCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体における約0.02〜約1.04nMのEC50およびGLP−1受容体におけるにおける約0.03〜約1.3nMのEC50を有する。特定の態様においては、該GCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドは、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。本発明におけるペプチドは、代謝障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病または妊娠糖尿病)(これらに限定されるものではない)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肥満の治療の治療に有用である。
【0015】
一般的な実施形態においては、本発明のGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドは、2位のL−セリンがD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸で置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列(配列番号1)を含み、そして6個までの追加的なアミノ酸置換を含んでいてもよく、ここで、GCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体およびGLP−1受容体における比較的バランスのとれた活性を有し、所望により、保護基を含有していてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0016】
特定の実施形態においては、本発明は、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を含むペプチドを提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0017】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0018】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0019】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0020】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を有するペプチドと医薬上許容される担体とを含む組成物を提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0021】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0022】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0023】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0024】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を有するペプチドと医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0025】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0026】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0027】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0028】
本発明は更に、2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を含むペプチドを提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0029】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0030】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されている。
【0031】
本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されている天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有するペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とを含む組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0032】
特定の態様においては、16位のセリンはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンはL−アスパラギン酸で置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0033】
本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されている天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有するペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0034】
特定の態様においては、16位のセリンはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンはL−アスパラギン酸で置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0035】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記ペプチドのいずれか1つのペプチドの有効量を患者に投与することを含む、代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0036】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記組成物の有効量を患者に投与することを含む、代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0037】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0038】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0039】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0040】
本発明は更に、代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記ペプチドのいずれか1つの使用を提供する。
【0041】
本発明は更に、代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記組成物のいずれか1つの使用を提供する。
【0042】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0043】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0044】
特定の態様においては、該医薬は、2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満の治療のためのものである。
【0045】
本明細書に開示されている化合物の特定の態様においては、C末端保護基はアミドまたはエステルでありうる。例えば、C末端アミノ酸のカルボン酸は電荷中性基、例えばアミドまたはエステルで置換される。
【0046】
更に、コアゴニストペプチドを含む前記組成物のいずれか1つの有効量を患者または個体に投与し、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物の有効量を患者または個体に投与して、患者または個体における代謝疾患を治療することを含む、患者または個体における代謝疾患の治療方法を提供する。
【0047】
特定の態様においては、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与する時点より前の時点で、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する。もう1つの態様においては、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する時点より前の時点でインスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与する。更にもう1つの態様においては、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与するのと同時に、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する。
【0048】
特定の態様においては、インスリン類似体はインスリン・デテミル(detemir)、インスリン・グラルギン(glargine)、インスリン・レベミル(levemir)、インスリン・グルリシン(glulisine)、またはインスリン・リスプロ(lispro)である。
【0049】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0050】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0051】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0052】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物を提供する。
【0053】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物の、代謝疾患の治療のための使用を提供する。
【0054】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0055】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物の、代謝疾患の治療用の医薬の製造ための使用を提供する。
【0056】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0057】
もう1つの実施形態においては、本発明のGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドは、2位のL−セリンがD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸で置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列(配列番号1)からなり、そして6個までの追加的なアミノ酸置換を含んでいてもよく、ここで、GCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体およびGLP−1受容体における比較的バランスのとれた活性を有し、所望により、保護基を含有していてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0058】
特定の実施形態においては、本発明は、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
からなるペプチドを提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0059】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0060】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0061】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0062】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を有するペプチドと医薬上許容される担体とからなる組成物を提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0063】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0064】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0065】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0066】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を有するペプチドと医薬上許容される担体とからなる医薬組成物を提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0067】
特定の実施形態においては、該ペプチドは配列番号7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18または19のアミノ酸配列を有する。
【0068】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0069】
特定の実施形態においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0070】
本発明は更に、2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換からなるペプチドを提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0071】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0072】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されている。
【0073】
本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されている天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有するペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とからなる組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0074】
特定の態様においては、16位のセリンはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンはL−アスパラギン酸で置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0075】
本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されている天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有するペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とからなる医薬組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0076】
特定の態様においては、16位のセリンはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンはL−アスパラギン酸で置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0077】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記ペプチドのいずれか1つのペプチドの有効量を患者に投与することからなる、肥満代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0078】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記組成物の有効量を患者に投与することからなる、肥満代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0079】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0080】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0081】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0082】
本発明は更に、肥満代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記ペプチドのいずれか1つの使用を提供する。
【0083】
本発明は更に、肥満代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記組成物のいずれか1つの使用を提供する。
【0084】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0085】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0086】
特定の態様においては、該医薬は、2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満の治療のためのものである。
【0087】
本明細書に開示されている化合物の特定の態様においては、C末端保護基はアミドまたはエステルでありうる。例えば、C末端アミノ酸のカルボン酸は電荷中性基、例えばアミドまたはエステルで置換される。
【0088】
更に、コアゴニストペプチドからなる前記組成物のいずれか1つの有効量を患者または個体に投与し、インスリンまたはインスリン類似体からなる組成物の有効量を患者または個体に投与して、患者または個体における代謝疾患を治療することからなる、患者または個体における代謝疾患の治療方法を提供する。
【0089】
特定の態様においては、インスリンまたはインスリン類似体からなる組成物を投与する時点より前の時点で、コアゴニストペプチドからなる組成物を投与する。もう1つの態様においては、コアゴニストペプチドからなる組成物を投与する時点より前の時点でインスリンまたはインスリン類似体からなる組成物を投与する。更にもう1つの態様においては、インスリンまたはインスリン類似体からなる組成物を投与するのと同時に、コアゴニストペプチドからなる組成物を投与する。
【0090】
特定の態様においては、インスリン類似体はインスリン・デテミル(detemir)、インスリン・グラルギン(glargine)、インスリン・レベミル(levemir)、インスリン・グルリシン(glulisine)、またはインスリン・リスプロ(lispro)である。
【0091】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0092】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0093】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0094】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体からなる組成物を提供する。
【0095】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体からなる組成物の、代謝疾患の治療のための使用を提供する。
【0096】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0097】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体からなる組成物の、代謝疾患の治療用の医薬の製造ための使用を提供する。
【0098】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0099】
定義
本明細書中で用いる「約」なる語は、示されている値または値の範囲より10%大きい又は小さいこと意味するが、いずれかの値または値の範囲をこの範囲の定義のみに指定することを意図するものではない。「約」なる語に続くそれぞれの値または値の範囲は、示されている絶対的な値または値の範囲の実施形態を含むことも意図される。
【0100】
「個体」なる語はヒトおよび伴侶動物または家畜、例えばイヌ、ネコ、ウマなどを含むと意図される。したがって、本明細書に開示されている化合物または1以上のコアゴニストペプチドを含む組成物は、ネコおよびイヌにおける肥満および肥満関連障害を治療または予防するのにも有用である。したがって、「哺乳動物」はヒトおよび伴侶動物、例えばイヌおよびネコを含む。
【0101】
本明細書中で用いる「医薬上許容される担体」なる語は、個体への投与に適した任意の担体、例えば、いずれかの標準的な医薬担体、例えば、リン酸緩衝食塩水、水、エマルション、例えば、油/水または水/油エマルション、および種々のタイプの湿潤剤(これらに限定されるものではない)を含む。この語はまた、ヒトを含む動物における使用に関して米国連邦政府の規制当局により承認されている又は米国薬局方に収載されている物質のいずれかを含む。一般に、「医薬上許容される担体」は、動物における使用、より詳細にはヒトにおける使用に関して米国連邦政府または州政府の規制当局により承認されている又は米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に収載されている、有効成分の生物活性の有効性を妨げない無毒性物質を意味する。「担体」なる語は、治療用物質と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを意味し、限定的なものではないが水および油のような無菌液体を含む。担体の特性は投与経路に左右される。
【0102】
本明細書中で用いる「医薬上許容される塩」なる語は、親化合物の生物活性を保有し生物学的に又は他の様態において不適切ではない化合物の塩を意味する。本明細書に開示されている化合物の多くは、アミノおよび/またはカルボキシル基あるいはそれらに類似した基の存在ゆえに、酸および/または塩基塩を形成しうる。医薬上許容される塩基付加塩は無機および有機塩基から製造されうる。無機塩基に由来する塩には、単なる例示に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が含まれる。有機塩基に由来する塩には、一級、二級および三級アミンの塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
医薬上許容される塩は、医薬上許容される無毒性塩基または酸、例えば無機または有機塩基および無機または有機酸から製造されうる。無機塩基に由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛塩などが挙げられる。特に好ましいのはアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬上許容される有機無毒性塩基に由来する塩には、第一、第二、および第三級アミン、置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。「医薬上許容される塩」なる語は更に、溶解度または加水分解特性を改変するための剤形として使用されうる或いは徐放またはプロドラッグ製剤において使用されうる全ての許容される塩、例えば、酢酸塩、ラクトビオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、重炭酸塩、マレイン酸塩、重硫酸塩、マンデル酸塩、重酒石酸塩、メシル酸塩、ホウ酸塩、臭化メチル、臭化物、メチル硝酸塩、エデト酸カルシウム、メチル硫酸塩、カンシル酸塩、ムカート、炭酸塩、ナプシル酸塩、塩化物、硝酸塩、クラブラン酸塩、N−メチルグルカミン、クエン酸塩、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸塩、エデト酸塩、シュウ酸塩、エジシル酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、エストラート、パルミチン酸塩、エシラート、パントテン酸、フマル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、グルセプト酸塩、ポリガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、ステアリン酸塩、グリコリルアルサニラート、硫酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、塩基性酢酸塩、ヒドラバミン、コハク酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、テオクル酸塩、ヨウ化物、トシラート、イソチオナート、トリエチオジド、乳酸塩、パノアート、吉草酸塩などを含む。本明細書においては、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドに対する言及は、コアゴニストペプチドおよび1以上の医薬上許容される塩を含む実施形態をも含むと意図されると理解されるであろう。
【0104】
本明細書中で用いる「治療」なる語は、特定の障害もしくは状態の予防、または特定の障害もしくは状態に関連した症状の軽減、および/または該症状の予防もしくは排除を含む。例えば、本明細書中で用いる「糖尿病の治療(糖尿病を治療する)」なる語は、一般に、グルコース血液レベル(血糖値)を正常レベルに向けて変化させることを意味し、与えられた状況に応じて血液グルコースレベルを増加または減少させることを含みうる。
【0105】
本明細書中で用いる「有効量」または「治療的有効量」は、有意義な患者の利益、すなわち、関連する医学的状態の治療、治癒、予防もしくは軽減、またはそのような状態の治療、治癒、予防もしくは軽減の率(速度)の増加を示すのに十分である、医薬組成物または方法の各有効成分の総量を意味する。それは、無毒性であるが所望の効果をもたらすのに十分であるコアゴニストペプチドの量を意味する。例えば、1つの望ましい効果は、例えば、正常レベルに近くなる血液グルコースレベルの変化により測定される、高血糖の予防または治療、あるいは、例えば、体重の減少により測定される、体重減少を誘導することおよび/または体重増加を予防することによる肥満の治療、あるいは体重増加の予防または低減、あるいは体脂肪分布の正常化であろう。「有効」である量は、個体の年齢および全身状態、投与方法などに応じて、対象(被験者)によって変動するであろう。したがって、厳密な「有効量」を特定することは常に可能なわけではない。しかし、いずれかの個々の場合における適当な「有効」量は、通常の実験を用いて、当業者により決定されうる。この語は、単独で投与される個々の有効成分に適用される場合には、その単独の成分を意味する。この語は、組合せに適用される場合には、組合せて又は連続的に又は同時に投与される場合のいずれであっても、治療効果をもたらす有効成分の組合された量を意味する。
【0106】
「非経口」なる語は、消化管経由ではなく、何らかの他の経路、例えば皮下、筋肉内、脊髄内または静脈内を意味する。
【0107】
本明細書中で用いる「ペプチド」なる語は、3個以上のアミノ酸、典型的には100個未満のアミノ酸の鎖を含み、ここで、該アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸もしくはコード化アミノ酸、または天然に存在しないアミノ酸もしくは非コード化アミノ酸である。天然に存在しないアミノ酸は、インビボで天然に存在しないが、それでも、本明細書に記載されているペプチド構造内に組込まれうるアミノ酸を意味する。本明細書中で用いる「非コード化」は、以下の20アミノ酸のいずれかのL−異性体ではないアミノ酸に関するものである:Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、He、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr。本明細書中で用いる「コード化」は、以下の20アミノ酸のいずれかのL−異性体であるアミノ酸に関するものである:Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、He、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているペプチドおよび変異体ペプチドは配列番号1(これは29アミノ酸長である)とほぼ同じ長さであり、例えば、25〜35アミノ酸長である。典型的な長さには、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50アミノ酸長が含まれる。
【0108】
典型的には、ポリペプチドおよびタンパク質は、「ペプチド」の長さより大きなポリマー長を有する。
【0109】
同様に、「28位」に対する本明細書における言及は、配列番号1のN末端の前に1つのアミノ酸が付加されているグルカゴン類似体に関する対応する29位を意味するであろう。本明細書中で用いる「アミノ酸修飾」は、(i)配列番号1のアミノ酸を、異なるアミノ酸(天然に存在する若しくはコード化アミノ酸または非コード化若しくは天然に存在しないアミノ酸)で置換する又は置き換えること、(ii)アミノ酸(天然に存在する若しくはコード化アミノ酸または非コード化若しくは天然に存在しないアミノ酸)を配列番号1に付加すること、あるいは(iii)配列番号1の1以上のアミノ酸を欠失させることを意味する。
【0110】
アミノ酸「修飾」は1つのアミノ酸の挿入、欠失または別のアミノ酸での置換を意味する。幾つかの実施形態においては、アミノ酸の置換または置き換えは保存的アミノ酸置換であり、例えば、2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28または29位の1以上におけるアミノ酸の保存的置換である。本明細書中で用いる「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸が、類似特性(例えば、サイズ、電荷、疎水性、親水性および/または芳香性)を有する別のアミノ酸置換で置換されることであり、以下の5つの群の1つのなかにおける置換を含む:
I.無極性または弱い極性の小さな脂肪族残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性負荷電残基ならびにそれらのアミドおよびエステル:Asp、Asn、Glu、Gln、システイン酸およびホモシステイン酸;
III.極性正荷電残基:His、Arg、Lys;オルニチン(Orn);
IV.大きな脂肪族無極性残基:Met、Leu、He、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン;
V.大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
【0111】
幾つかの実施形態においては、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換ではなく、例えば、非保存的アミノ酸置換である。
【0112】
本明細書中で用いる「荷電アミノ酸」または「荷電残基」なる語は、生理的pHの水溶液中で負に荷電した(すなわち、脱プロトン化した)または正に荷電した(すなわち、プロトン化した)側鎖を含むアミノ酸を意味する。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸およびホモグルタミン酸が含まれ、正荷電アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが含まれる。荷電アミノ酸には、20種のコード化アミノ酸および非典型または天然に存在しないまたは非コード化アミノ酸のなかの荷電アミノ酸が含まれる。
【0113】
本明細書中で用いる「酸性アミノ酸」なる語は、(アミノ酸のカルボン酸以外の)第2の酸部分(例えば、カルボン酸またはスルホン酸基を含む)を含むアミノ酸を意味する。
【0114】
本明細書中で用いる「アシル化アミノ酸」なる語は、それが産生される手段(例えば、ペプチド内にアミノ酸を取り込む前のアシル化、またはペプチド内への取り込みの後のアシル化)には無関係に、天然に存在するアミノ酸にとって非天然であるアシル基を含むアミノ酸を意味する。
【0115】
本明細書中で用いる「アルキル化アミノ酸」なる語は、それが産生される手段には無関係に、天然に存在するアミノ酸にとって非天然であるアルキル基を含むアミノ酸を意味する。したがって、本開示のアシル化アミノ酸およびアルキル化アミノ酸は非コード化アミノ酸である。
【0116】
本明細書中で用いる、第2受容体と比較した場合の第1受容体に対する或る分子の「選択性」なる語は、以下の比、すなわち、第1受容体における該分子のEC50で割り算された第2受容体における該分子のEC50を意味する。例えば、第1受容体における1nMのEC50および第2受容体における100nMのEC50を有する分子は、第2受容体と比較した場合の第1受容体に対する100倍の選択性を有する。
【0117】
本明細書中で用いる「天然グルカゴン」なる語は、配列番号1からなるペプチドを意味し、「天然GLP−1」なる語は、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)酸またはそれらの2つの化合物の混合物を示す総称である。
【0118】
本明細書中で用いる、ある分子の「天然グルカゴンと比較した場合の効力」または「グルカゴン効力」は、グルカゴン受容体における天然グルカゴンのEC50により割り算されたグルカゴン受容体における該分子のEC50の逆比を意味する。
【0119】
本明細書中で用いる、ある分子の「天然GLP−1と比較した場合の効力」または「GLP−1効力」は、GLP−1受容体における天然GLP−1のEC50により割り算されたGLP−1受容体における該分子のEC50の逆比を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1図1は、実施例18に詳細に記載されているとおり、ビヒクル対照または配列番号6〜11のペプチドの1日量で処理された食餌誘発性肥満(DIO)マウスの累積体重変化(グラム)のグラフを表す。
図2図2は、実施例19に詳細に記載されているとおり、配列番号6〜11のペプチドの1日量で処理されたDIOマウスの、ビヒクル処理対照群に対する累積体重変化(%)のグラフを表す。
図3図3は、実施例20に詳細に記載されているとおり、ビヒクル対照または配列番号6〜11のペプチドの用量で処理されたDIOマウスの食物摂取における累積変化(第0日に対する食物摂取の変化率(%)として表されている)のグラフを表す。
図4図4は、実施例21に詳細に記載されているとおり、ビヒクル対照または配列番号6〜11のペプチドの用量で処理されたDIOマウスの基礎グルコース(mg/dL)のグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0121】
発明の詳細な説明
本開示は、GLP−1受容体(GLP−1)およびグルカゴン(GCG)受容体の両方における活性を示すペプチドおよび変異体ペプチドを提供する。これに関して、本開示はGLP−1受容体/GCG受容体コアゴニストペプチドを提供する。典型的な実施形態においては、本開示ペプチドおよび変異体ペプチドは、天然ヒトグルカゴン(配列番号1)と比較してGCG受容体およびGLP−1受容体における比較的バランスのとれた活性または効力を示す。
【0122】
典型的な実施形態においては、本明細書に記載されているペプチドおよび変異体ペプチドは、天然グルカゴンまたは天然GLP−1と比較して、特性における他の改善、例えば、安定性の増強、溶解度の増加、循環中の半減期の延長、作用開始の遅延、作用持続時間の延長、ピークの減弱(例えば、比較的減少した平均ピーク血漿濃度)、およびプロテアーゼ、例えばDPP−IVに対する抵抗性の改善を示す。
【0123】
本明細書に開示されているペプチド配列のいずれかのコンジュゲート、融合タンパク質および多量体も想定される。
【0124】
グルカゴンは、グリコーゲン分解および糖新生の刺激により血液グルコースを増加させる急性能力に関して十分に認識されているGLP−1に構造的に関連したペプチドホルモンである。グルカゴンの投与は、体重減少を含む、げっ歯類の代謝の改善をもたらすことが、60年以上前に最初に報告されたが(Salter,Am.J.Clin.Nutr.8:535−539(1960))、これらの結果は、特にインスリン抵抗性2型糖尿病患者における特に高血糖の固有のリスクゆえに、ヒトにおける肥満の治療のための療法におけるグルカゴンの使用につながっていない。
【0125】
純粋なGLP−1受容体アゴニストと比較して増強した効力および安全性を有するバランスのとれたGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストの、げっ歯類の肥満の治療における使用を、同時に得られる血糖コントロールの改善と共に報告されている(Dayら,Nat.Chem.Biol.5:749−757(2009);Pocaiら,Diabetes 58:2258−2266(2009))。オキシントモジュリン(OXM)はグルカゴンの内因性前駆体であり、食後に空腸−回腸のL細胞によりGLP−1と共に分泌され、比較的低い効力ではあるもののGLP−1受容体およびグルカゴン受容体におけるバランスのとれたコアゴニストであることが示されている(Holst,Regul.Pept.93:45−51(2000);Drucker,Nat.Clin.Pract.Endocrinol.Metab.1:22−31(2005);Baldisseraら,Regul.Pept.21:151−166(1988);Grosら,Endocrinol.133:631−638(1993);Pocaiら,前掲)。肥満被験者における4週間の臨床研究は、OXMの反復皮下投与が十分に許容され、食物摂取の付随的減少と共に有意な体重減少を引き起こすことを示した(Wynneら,Diabetes 54:2390−2395(2005))。
【0126】
Dayら,Peptide Sci.98:443−450(2012)は、肥満マウスにおけるGCG受容体媒介性高血糖の予防におけるGLP−1受容体のバランスの重要性を、それらの2つの受容体に対するマウス受容体効力が様々であるコアゴニストペプチドのファミリーを使用して報告しているが、彼らは、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドのバランスのとれた効力または活性を有するコアゴニストペプチドを開示していない。
【0127】
これとは対照的に、本発明のGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体およびGLP−1受容体における比較的バランスのとれた活性または効力を有する。本発明は、2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を含むペプチドを提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。特定の態様においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0128】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を含むペプチドを提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を含まない。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0129】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を含む又はそれからなるペプチドを提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を含まない。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0130】
本発明のペプチドの例を表1に示す。
【表1】
【0131】
前記例に示されているとおり、本発明のGCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドはGCG受容体における約0.02〜約1.04nMのEC50およびGLP−1受容体における約0.03〜約1.3nMのEC50を有する。特定の態様においては、GCG受容体/GLP−1受容体コアゴニストペプチドは、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。したがって、本発明は、GLP−1受容体およびGCG受容体に対する相対的なバランスのとれたアゴニスト活性または効力を有するペプチドであって、GCG受容体活性化に伴う高血糖リスクを低減しつつ、体重減少のための最適な治療プロファイルを示すペプチドを提供する。
【0132】
本発明は、2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を含む1以上のペプチドと、医薬上許容される担体とを含む又はそれらからなる組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。特定の態様においては、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0133】
本発明は更に、アミノ酸配列
HXQGTXTSDX10SX12YLX1516RX18AQDFVQWLX27DT(配列番号20)
を含む又はそれからなるペプチドおよび医薬上許容される担体を提供する。ここで、XはD−セリン、L−アラニン、α−アミノイソ酪酸(Aib)または1−アミノ−シクロブタンカルボン酸であり、XはL−フェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニンまたはトレオ−β−フェニルセリンであり、X10はL−リジンまたはパラ−アミノメチルフェニルアラニンであり、X12はL−リジンまたはL−ロイシンであり、X15はL−グルタミン酸またはL−ロイシンであり、X16はL−アラニン、Aib、L−グルタミン酸またはL−バリンであり、X18はL−アラニンまたはL−アルギニンであり、X27はL−ロイシン、メチオニンスルホンまたはL−ノルロイシンであり、10位のアミノ酸はガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合しており、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を含まない。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09または1.10の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有する。
【0134】
本発明は更に、2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を含むペプチドを提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0135】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0136】
特定の態様においては、16位のセリンはD−アラニンまたはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、29位のアスパラギンはL−ロイシンで置換されている。
【0137】
本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されている天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有する又はそれらからなるペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とを含む組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0138】
本発明は更に、表1に示されているペプチドの1以上と医薬上許容される担体とを含む又はそれらからなる組成物を含む。
【0139】
医薬組成物
更に、個体における代謝障害の治療のための、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドの1以上の治療的有効量を含む医薬組成物を提供する。そのような障害には、肥満、メタボリックシンドロームまたはX症候群、II型糖尿病、糖尿病の合併症、例えば網膜症、高血圧症、脂質異常症、心血管疾患、胆石、骨関節炎、および特定の形態の癌が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明における肥満関連障害は肥満に関連している、または肥満により引き起こされる、または肥満から生じる。
【0140】
「肥満」は、過剰な体脂肪が存在する状態である。肥満の実施上の定義は、身長(メートル)の2乗で体重を割り算することにより算出されるボディ・マス・インデックス(BMI)(kg/m2)に基づいている。「肥満」とは、他の点では健康な対象(被験者)が30kg/m2以上のボディ・マス・インデックス(BMI)を有する状態、または少なくとも1つの併存疾患を有する対象が27kg/m2以上のBMIを有する状態を意味する。「肥満対象」は、30kg/m2以上のボディ・マス・インデックス(BMI)を有する、他の点では健康な対象、または27kg/m2以上のBMIを有する、少なくとも1つの併存疾患を有する対象を意味する。「肥満のリスクを有する対象」は、25kg/m2〜30kg/m2未満のBMIを有する、他の点では健康な対象、または25kg/m2〜27kg/m2未満のBMIを有する、少なくとも1つの併存疾患を有する対象を意味する。
【0141】
肥満に関連したリスクの増加は、アジア人においては、より低いボディ・マス・インデックス(BMI)で生じる。日本を含むアジア諸国では、「肥満」は、体重減少を要する又は体重減少により改善するであろう少なくとも1つの肥満誘発性または肥満関連併存疾患を有する対象が、25kg/m2以上のBMIを有する状態を意味する。日本を含むアジア諸国では、「肥満対象」は、体重減少を要する又は体重減少により改善するであろう少なくとも1つの肥満誘発性または肥満関連併存疾患を有する、25kg/m2以上のBMIを有する対象を意味する。アジア諸国では、「肥満のリスクを有する対象」は、23kg/m2〜25kg/m2未満のBMIを有する対象である。
【0142】
本明細書中で用いる「肥満」なる語は肥満の前記定義の全てを含むと意図される。
【0143】
肥満誘発性または肥満関連併存疾患には、糖尿病、インスリン非依存性糖尿病−2型、耐糖能異常、空腹時血糖異常、インスリン抵抗性症候群、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝;脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作、整形外科的障害、変形性関節炎、腰痛(lumbodynia)、月経異常および不妊が含まれるが、これらに限定されるものではない。特に、併存疾患には、高血圧症、高脂血症、脂質異常症、耐糖能異常、心血管疾患、睡眠時無呼吸、糖尿病および他の肥満関連状態が含まれる。
【0144】
(肥満および肥満関連障害の)「治療」は、肥満対象の体重を減少または維持させるための、本発明の化合物の投与を意味する。1つの治療結果は、肥満対象の体重が、本発明の化合物の投与の直前のその対象の体重と比較して減少することである。もう1つの治療結果は、ダイエット、運動または薬物療法の結果として既に減少した体重の再増加の予防でありうる。もう1つの治療結果は肥満関連疾患の発生および/または重症度の低減でありうる。該治療は、適切には、対象による食物またはカロリー摂取の減少、例えば、総食物摂取の減少、または食事の特定の成分(例えば、炭水化物または脂肪)の摂取の減少、および/または栄養吸収の抑制、および/または代謝速度の減少の抑制、および体重減少を要する患者における体重減少をもたらしうる。該治療はまた、代謝速度の変化、例えば、代謝速度の増加(これは、代謝速度の減少の抑制の代わりに、またはそれに加えて生じうる)、および/または通常は体重減少から生じる代謝抵抗性の最小化をもたらしうる。
【0145】
(肥満および肥満関連障害の)「予防」は、肥満のリスクを有する対象の体重を減少または維持させるための、本発明の化合物の投与を意味する。1つの予防結果は、肥満のリスクを有する対象の体重が、本発明の化合物の投与の直前のその対象の体重と比較して減少することである。もう1つの予防結果は、ダイエット、運動または薬物療法の結果として既に減少した体重の再増加の予防でありうる。もう1つの予防結果は、肥満のリスクを有する対象における肥満の発生開始の前に治療投与を行った場合の、肥満の発生の予防でありうる。もう1つの治療結果は、肥満のリスクを有する対象における肥満の発生開始の前に治療投与を行った場合の、肥満関連障害の発生および/または重症度の低減でありうる。更に、既に肥満の対象において治療を開始した場合、そのような治療は肥満関連障害、例えば動脈硬化症、II型糖尿病、多嚢胞性卵巣疾患、心血管疾患、変形性関節症、皮膚障害、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症および胆石症(これらに限定されるものではない)の発生、進行または重症化を予防しうる。
【0146】
本発明における肥満関連障害は肥満に関連している、または肥満により引き起こされる、または肥満から生じる。肥満関連障害の例には、過食および過食症、高血圧、糖尿病、血漿インスリン濃度の上昇およびインスリン抵抗性、脂質異常症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心疾患、異常な心臓リズムおよび不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、突然死、脳卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏患者、正常変異低身長、ターナー症候群、および代謝活性の低下または総除脂肪体重の百分率としての安静時エネルギー消費の減少を示す他の病的状態、例えば、急性リンパ性白血病を有する小児が含まれる。肥満関連障害の他の例としては、X症候群としても公知であるメタボリック症候群、インスリン抵抗性症候群、性機能および生殖機能不全、例えば不妊症など、男性における性腺機能低下症および女性における多毛症、胃腸運動障害、例えば肥満関連胃食道逆流、呼吸器障害、例えば肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、心血管障害、炎症、例えば血管系の全身性炎症、動脈硬化症、高コレステロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、痛風および腎臓癌が挙げられる。本発明の化合物は、肥満の続発的結果のリスクの低減、例えば、左心室肥大のリスクの低減にも有用である。
【0147】
本明細書中で用いる「糖尿病」なる語は、インスリン依存性糖尿病(IDDM;I型糖尿病としても公知)およびインスリン非依存性糖尿病(NIDDM;II型糖尿病としても公知)の両方を含む。I型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンの絶対的な欠乏により生じる。II型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(すなわち、非インスリン依存性糖尿病)は、しばしば、インスリンレベルが正常である又は更には上昇している場合にも生じ、インスリンに組織が適切に応答し得ない結果であるらしい。II型糖尿病のほとんども肥満性である。本発明の化合物は、I型糖尿病およびII型糖尿病の両方を治療するのに有用である。該化合物はII型糖尿病の治療に特に有効である。本発明の化合物は妊娠糖尿病の治療および/または予防にも有用である。
【0148】
米国特許第6,852,690号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)は、栄養的有効量の1以上の栄養素またはそれらのいずれかの組合せと1以上のインスリン分泌性ペプチドとを含む製剤を非糖尿病患者に投与することを含む、栄養素の代謝を増強するための方法を開示している。本明細書に開示されているコアゴニストペプチドはインスリン分泌性であり、グルコース代謝障害、例えばインスリン抵抗性を示すが明白な糖尿病を有さない患者、および何らかの理由により消化管経由で栄養を摂取できない患者に投与されうる。そのような患者には、手術患者、昏睡状態の患者、ショック状態の患者、消化器疾患を有する患者、消化ホルモン疾患を有する患者などが含まれる。特に、肥満患者、アテローム性動脈硬化症患者、血管疾患患者、妊娠糖尿病を有する患者、肝疾患、例えば肝硬変を有する患者、末端肥大症を有する患者、グルココルチコイド過剰、例えばコルチゾール処置またはクッシング病を有する患者、外傷、自己および手術などの後で生じる活性化対抗制御的ホルモンを有する患者、高トリグリセリド血症を有する患者、ならびに慢性膵炎を有する患者は、本発明に従い、患者を低血糖または高血糖にさらすことなく、容易かつ適切に栄養供給されうる。特に、そのような患者への投与は、約160〜180ミリグラム/デシリットルのいわゆる腎閾値未満に患者の血漿グルコースを維持しつつ、栄養およびカロリー必要物を可能な限り迅速に患者に運搬するために治療を行うことを目的としている。腎閾値をぎりぎり下回るグルコースレベルを有さない正常患者も前記のとおりに本発明に従い治療されうるが、グルコース代謝異常を有する患者、例えば、腎閾値をぎりぎり上回る血漿グルコースレベルを有する高血糖患者も、それらの状態に適した療法が受けられる。特に、断続的な間隔で腎閾値未満の高血糖値を有するそのような患者は、以下のレジメンのいずれかによるインスリン分泌性ペプチドと栄養素との併用療法を受けることが可能である。そのような高血糖に罹患していない正常患者も、本明細書に開示されているペプチド類似体を使用して治療されうる。
【0149】
本明細書に開示されているコアゴニストペプチドは、医薬上許容される担体と組合された場合、医薬組成物において使用されうる。そのような組成物は、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドの1以上の治療的有効量と医薬上許容される担体とを含む。そのような組成物は(本明細書に開示されているコアゴニストペプチドおよび担体に加えて)希釈剤、充填剤、塩、バッファー、安定剤、可溶化剤、および当技術分野でよく知られた他の物質をも含みうる。本明細書に開示されているコアゴニストペプチドを含む組成物は、塩が医薬上許容されるものである限り、所望により、塩の形態で投与されうる。塩は、合成有機化学の分野の当業者に公知の標準的な方法を用いて製造されうる。本明細書に開示されているコアゴニストペプチドは多量体(例えば、ヘテロ二量体またはホモ二量体)、またはそれ自体もしくは他のペプチドとの複合体でありうる。したがって、本発明の医薬組成物は、そのような多量体または複合体形態の、本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチドを含みうる。
【0150】
該医薬組成物は、本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチド、本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチド、および代謝障害を治療するための1以上の他の物質を含むことが可能であり、あるいは本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチドを含む医薬組成物は、代謝障害を治療するための物質を含む医薬組成物と共に同時に使用されうる。そのような障害には、肥満、メタボリックシンドロームまたはX症候群、II型糖尿病、糖尿病の合併症、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、胆石、骨関節炎、および特定の形態の癌が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
医薬組成物が、代謝障害を治療するための別の物質を含む場合、あるいは治療が、代謝障害を治療するための物質を含む第2の医薬組成物を含む場合、該物質には、カンナビノイド(CB1)受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体アゴニスト、グルカゴン受容体アンタゴニスト、リパーゼインヒビター、レプチン、テトラヒドロリプスタチン、2−4−ジニトロフェノール、アカルボース、シブトラミン、フェンタミン、脂肪吸収ブロッカー、シンバスタチン、メバスタチン、エゼチミブ、アトルバスタチン、シタグリプチン、メトホルミン、オルリスタット、Qnexa、トピラマート、ナルトレキソン、ブプロピオン、フェンテルミン、ロサルタン、ヒドロクロロチアジドと組合されたロサルタンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
本明細書に記載されているコアゴニストペプチドと組合せて別々に又は同じ医薬組成物において投与されうる他の有効成分の例には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:
(1)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)インヒビター[例えば、シタグリプチン(sitagliptin)、アログリプチン(alogliptin)、リナグリプチン(linagliptin)、ビルダグリプチン(vildagliptin)、サクサグリプチン(saxagliptin)およびオマリグリプチン(omarigliptin)];
(2)インスリン増感剤、例えば、(i)PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン(glitazone)[例えば、ピオグリタゾン(pioglitazone)、AMG131、MBX2044、ミトグリタゾン(mitoglitazone)、ロベグリタゾン(lobeglitazone)、IDR−105、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびバラグリタゾン(balaglitazone)]、および他のPPARリガンド、例えば、(1)PPARα/γデュアルアゴニスト[例えば、ZYH2、ZYH1、GFT505、チグリタザル(chiglitazar)、ムラグリタザル(muraglitazar)、アレグリタザル(aleglitazar)、ソデルグリタザル(sodelglitazar)およびナベグリタザル(naveglitazar)];(2)PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブリン酸誘導体[例えば、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブラート(clofibrate)、シプロフィブラート(ciprofibrate)、フェノフィブラート(fenofibrate)、ベザフィブラート(bezafibrate)]、(3)選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)、(例えば、WO 02 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408およびWO 2004/066963に開示されているもの);および(4)PPARγ部分アゴニスト;(ii)ビグアニド、例えばメトホルミン(metformin)およびその医薬上許容される塩、特に塩酸メトホルミン、およびその持続放出製剤、例えばGlumetza(商標)、Fortamet(商標)およびGlucophageXR(商標);および(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター(例えば、ISIS−113715およびTTP814);
(3)インスリンまたはインスリン類似体[例えば、インスリン・デテミル(detemir)、インスリン・グルリシン(glulisine)、インスリン・デグルデック(degludec)、インスリン・グラルギン(glargine)、インスリン・リスプロ(lispro)およびそれぞれの吸入可能製剤];
(4)レプチンおよびレプチン誘導体およびアゴニスト;
(5)アミリンおよびアミリン類似体[例えば、プラムリンチド(pramlintide)];
(6)スルホニル尿素および非スルホニル尿素インスリン分泌促進物質[例えば、トルブタミド(tolbutamide)、グリブリド(glyburide)、グリピジド(glipizide)、グリメピリド(glimepiride)、ミチグリニド(mitiglinide)、メグリチニド(meglitinide)、ナテグリニド(nateglinide)およびレパグリニド(repaglinide)];
(7)α−グルコシダーゼインヒビター[例えば、アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)およびミグリトール(miglitol)];
(8)グルカゴン受容体アンタゴニスト[例えば、WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088およびWO 00/69810に開示されているもの];
(9)インクレチン模倣体、例えばGLP−1、GLP−1類似体、誘導体および模倣体;ならびにGLP−1受容体アゴニスト[例えば、デュラグルチド(dulaglutide)、セマグルチド(semaglutide)、アルビグルチド(albiglutide)、エキセナチド(exenatide)、リラグルチド(liraglutide)、リキシセナチド(lixisenatide)、タスポグルチド(taspoglutide)、CJC−1131およびBIM−51077、例えば、それらの鼻腔内製剤、経皮製剤および週1回の製剤];
(10)LDLコレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター[例えば、シンバスタチン(simvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、クリバスタチン(crivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)およびロスバスタチン(rosuvastatin)]、(ii)胆汁酸封鎖剤[例えば、コレスチラン(colestilan)、コレスチミド(colestimide)、コレセバラム(colesevalam)塩酸塩、コレスチポール(colestipol)、コレスチラミン(cholestyramine)、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体]、(iii)コレステロール吸収のインヒビター[例えば、エゼチミブ(ezetimibe)]、および(iv)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター[例えば、アバシミブ(avasimibe)];
(11)HDL上昇薬(例えば、ナイアシンおよびニコチン酸受容体アゴニスト、およびそれらの持続放出形態;ナイアシン持続放出とDP−1アンタゴニストMK−524との組合せであるMK−524A);
(12)抗肥満化合物;
(13)炎症状態における使用を意図した物質、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬またはNSAID、グルココルチコイド、および選択的シクロオキシゲナーゼ−2またはCOX−2インヒビター;
(14)抗高血圧剤、例えばACEインヒビター[例えば、リシノプリル(lisinopril)、エナラプリル(enalapril)、ラミプリル(ramipril)、カプトプリル(captopril)、キナプリル(quinapril)およびタンドラプリル(tandolapril)]、A−II受容体ブロッカー[例えば、ロサルタン(losartan)、カンデサルタン(candesartan)、イルベサルタン(irbesartan)、オルメサルタンメドキソミル(olmesartan medoxomil)、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)およびエプロサルタン(eprosartan)]、レジンインヒビター[例えば、アリスキレン(aliskiren)]、ベータブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー;
(15)グルコキナーゼアクチベーター(GKA)(例えば、AZD6370);
(16)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビター(例えば、米国特許第6,730,690号に開示されているもの、およびLY−2523199);
(17)CETPインヒビター[例えば、アナセトラピブ(anacetrapib)およびトルセトラピブ(torcetrapib)];
(18)フルクトース1,6−ビスホスファターゼのインヒビター(例えば、米国特許第6,054,587、第6,110,903号、第6,284,748号、第6,399,782号および第6,489,476号に開示されているもの);
(19)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1または2(ACC1またはACC2)のインヒビター;
(20)AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)アクチベーター;
(21)Gタンパク質共役受容体の他のアゴニスト:(i)GPR−109、(ii)GPR−119(例えば、MBX2982およびPSN821)および(iii)GPR−40(例えば、TAK875、5−[4−[[(1R)−4−[6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−2−メチルピリジン−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]オキシ]フェニル]イソチアゾール−3−オール 1−オキシド、5−(4−((3−(2,6−ジメチル−4−(3−(メチルスルホニル)プロポキシ)フェニル)フェニル)メトキシ)フェニル)イソ、5−(4−((3−(2−メチル−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)ピリジン−3−イル)−2−メチルフェニル)メトキシ)フェニル)イソチアゾール−3−オール 1−オキシド、および5−[4−[[3−[4−(3−アミノプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フェニル]メトキシ]フェニル]イソチアゾール−3−オール 1−オキシド);
(22)SSTR3アンタゴニスト(例えば、WO 2009/001836に開示されているもの);
(23)ニューロメジンU受容体アゴニスト(例えば、WO 2009/042053に開示されているもの、例えば、限定的なものではないが、ニューロメジンS(NMS));
(24)SCDインヒビター;
(25)GPR−105アンタゴニスト(例えば、WO 2009/000087に開示されているもの);
(26)SGLTインヒビター[例えば、ASP1941、SGLT−3、エンパグリフロジン(empagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)、カナグリフロジン(canagliflozin)、BI−10773、PF−04971729、レモグロフロジン(remogloflozin)、TS−071、トホグリフロジン(tofogliflozin)、イプラグリフロジン(ipragliflozin)およびLX−4211];
(27)アシル補酵素A:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1および2(DGAT−1およびDGAT−2)のインヒビター;
(28)脂肪酸シンターゼのインヒビター;
(29)アシル補酵素A:モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1および2(MGAT−1およびMGAT−2)のインヒビター;
(30)TGR5受容体のアゴニスト(GPBAR1、BG37、GPCR19、GPR131およびM−BARとしても公知);
(31)回腸胆汁酸輸送体インヒビター;
(32)PACAP、PACAP模倣体およびPACAP受容体3アゴニスト;
(33)PPARアゴニスト;
(34)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター;
(35)IL−1b抗体[例えば、XOMA052およびカナキヌマブ(canakinumab)];ならびに
(36)メシル酸ブロモクリプチン(bromocriptine)およびその速放製剤。
【0153】
特に関心がもたれるのは、塩酸メトホルミン(metformin)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、シンバスタチン(simvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)またはスルホニル尿素である。
【0154】
本明細書に開示されている化合物と組合されうる抗肥満化合物には、トピラメート(topiramate)、ゾニサミド(zonisamide)、ナルトレキソン(naltrexone)、フェンテルミン(phentermine)、ブプロピオン(bupropion)、ブプロピオンとナルトレキソンとの組合せ、ブプロピオンとゾニサミドとの組合せ、トピラメートとフェンテルミンとの組合せ、フェンフルラミン(fenfluramine)、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、シブトラミン(sibutramine)、リパーゼインヒビター、例えばオルリスタット(orlistat)およびセチリスタット(cetilistat)、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、CCK−1アゴニスト、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト、ニューロペプチドYまたはYアンタゴニスト(例えば、MK−0557など)、CB1受容体インバースアゴニストおよびアンタゴニスト[例えば、リモナバント(rimonabant)およびタラナバント(taranabant)]、βアドレナリン受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(例えば、ボンベシン受容体サブタイプ3アゴニスト)、および5−ヒドロキシトリプタミン−2C(5−HT2c)アゴニスト、例えばロルカセリン(lorcaserin)が含まれる。本発明の化合物と組合されうる抗肥満化合物の総説としては、Chakiら,“Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);SpanswickおよびLee,“Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003);Fernandez−Lopezら,“Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002);ならびにGaddeら,“Combination pharmaceutical therapies for obesity,”Exp.Opin.Pharmacother.,10:921−925(2009)を参照されたい。
【0155】
本発明のもう1つの態様においては、以下の物質の1以上を含む医薬組成物を開示する:
(a)本明細書に開示されている化合物、例えば、本明細書に開示されている1以上のコアアゴニスト;ここで、各コアゴニストは、独立して、配列番号20のアミノ酸配列を含むペプチドでありうる;ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない;
(b)以下のものからなる群から選択される1以上の化合物:
(1)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)インヒビター;
(2)インスリン増感剤、例えば、(i)PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン(glitazone)[例えば、AMG131、MBX2044、ミトグリタゾン(mitoglitazone)、ロベグリタゾン(lobeglitazone)、IDR−105、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびバラグリタゾン(balaglitazone)]、および他のPPARリガンド、例えば、(1)PPARα/γデュアルアゴニスト、例えばZYH1、YYH2、チグリタザル(chiglitazar)、GFT505、ムラグリタザル(muraglitazar)、アレグリタザル(aleglitazar)、ソデルグリタザル(sodelglitazar)およびナベグリタザル(naveglitazar)、(2)PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブリン酸誘導体[例えば、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブラート(clofibrate)、シプロフィブラート(ciprofibrate)、フェノフィブラート(fenofibrate)、ベザフィブラート(bezafibrate)]、(3)選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)、および(4)PPARγ部分アゴニスト;(ii)ビグアニド、例えばメトホルミン(metformin)およびその医薬上許容される塩、特に塩酸メトホルミン、およびその持続放出製剤、例えばGlumetza(登録商標)、Fortamet(登録商標)およびGlucophageXR(登録商標);および(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター、例えばISIS−113715およびTTP814;
(3)スルホニル尿素および非スルホニル尿素インスリン分泌促進物質[例えば、トルブタミド(tolbutamide)、グリブリド(glyburide)、グリピジド(glipizide)、グリメピリド(glimepiride)、ミチグリニド(mitiglinide)およびメグリチニド(meglitinide)、、例えばナテグリニド(nateglinide)およびレパグリニド(repaglinide)];
(4)α−グルコシダーゼインヒビター[例えば、アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)およびミグリトール(miglitol)];
(5)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(6)LDLコレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター[例えば、ロバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)およびロスバスタチン(rosuvastatin)]、(ii)胆汁酸封鎖剤[例えば、コレスチラン(colestilan)、コレスチラミン(cholestyramine)、コレスチミド(colestimide)、コレセバラム(colesevalam)塩酸塩、コレスチポール(colestipol)、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体]、(iii)コレステロール吸収のインヒビター[例えば、エゼチミブ(ezetimibe)]、および(iv)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター[例えば、アバシミブ(avasimibe)];
(7)HDL上昇薬、例えばナイアシンまたはその塩およびそれらの持続放出形態;ナイアシン持続放出とDP−1アンタゴニストMK−524との組合せであるMK−524A、およびニコチン酸受容体アゴニスト;
(8)抗肥満化合物;
(9)炎症状態における使用を意図した物質、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイドおよび選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)インヒビター;
(10)抗高血圧剤、例えばACEインヒビター[例えば、エナラプリル(enalapril)、リシノプリル(lisinopril)、ラミプリル(ramipril)、カプトプリル(captopril)、キナプリル(quinapril)およびタンドラプリル(tandolapril)]、A−II受容体ブロッカー[例えば、ロサルタン(losartan)、カンデサルタン(candesartan)、イルベサルタン(irbesartan)、オルメサルタンメドキソミル(olmesartan medoxomil)、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)およびエプロサルタン(eprosartan)]、レジンインヒビター[例えば、アリスキレン(aliskiren)]、ベータブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー;
(11)グルコキナーゼアクチベーター(GKA)(例えば、AZD6370);
(12)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビター(例えば、米国特許第6,730,690号、WO 03/104207およびWO 04/058741に開示されているもの);
(13)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)のインヒビター[例えば、トルセトラピブ(torcetrapib)およびMK−0859];
(14)フルクトース1,6−ビスホスファターゼのインヒビター(例えば、米国特許第6,054,587、第6,110,903号、第6,284,748号、第6,399,782号および第6,489,476号に開示されているもの);
(15)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1または2(ACC1またはACC2)のインヒビター;
(16)AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)アクチベーター;
(17)Gタンパク質共役受容体のアゴニスト:(i)GPR−109、(ii)GPR−119(例えば、MBX2982およびPSN821)および(iii)GPR−40(例えば、TAK875、5−[4−[[(1R)−4−[6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−2−メチルピリジン−3−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]オキシ]フェニル]イソチアゾール−3−オール 1−オキシド、5−(4−((3−(2,6−ジメチル−4−(3−(メチルスルホニル)プロポキシ)フェニル)フェニル)メトキシ)フェニル)イソ、5−(4−((3−(2−メチル−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)ピリジン−3−イル)−2−メチルフェニル)メトキシ)フェニル)イソチアゾール−3−オール 1−オキシド、および5−[4−[[3−[4−(3−アミノプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フェニル]メトキシ]フェニル]イソチアゾール−3−オール 1−オキシド);
(18)SSTR3アンタゴニスト(例えば、WO 2009/001836に開示されているもの);
(19)ニューロメジンU受容体アゴニスト(例えば、WO 2009/042053に開示されているもの、例えば、限定的なものではないが、ニューロメジンS(NMS));
(20)ステアロイル−補酵素Aデルタ−9 デサチュラーゼ(SCD)のインヒビター;
(21)GPR−105アンタゴニスト(例えば、WO 2009/000087に開示されているもの);
(22)グルコース取り込みのインヒビター、例えば、ナトリウム−グルコース輸送体(SGLT)インヒビターおよびその種々のアイソフォーム、例えばSGLT−1、SGLT−2[ASP1941、TS071、BI10773、トホグリフロジン(tofogliflozin)、LX−4211、カナグリフロジン(canagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)およびレモグロフロジン(remogloflozin)およびSGLT−3];
(23)アシル補酵素A:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1および2(DGAT−1およびDGAT−2)のインヒビター;
(24)脂肪酸シンターゼのインヒビター;
(25)アシル補酵素A:モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1および2(MGAT−1およびMGAT−2)のインヒビター;
(26)TGR5受容体のアゴニスト(GPBAR1、BG37、GPCR19、GPR131およびM−BARとしても公知);
(28)メシル酸ブロモクリプチン(bromocriptine)およびその速放製剤;ならびに。
【0156】
(29)IL−1b抗体[例えば、XOMA052およびカナキヌマブ(canakinumab)];ならびに
(c)医薬上許容される担体。
【0157】
本発明のコアゴニストペプチドが1以上の他の薬物、ペプチドまたはタンパク質と同時に使用される場合、本発明のコアゴニストペプチドに加えてそのような他の薬物、ペプチドまたはタンパク質を含有する医薬組成物が提供されうる。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明のコアゴニストペプチドに加えて1以上の他の有効成分をも含有するものが含まれる。
【0158】
本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチドを含む医薬組成物を個体に投与する方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が含まれるが、これらに限定されるものではない。該組成物は、いずれかの簡便な経路により、例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚裏層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)、眼を介した吸収などにより投与可能であり、生物学的に活性な他の物質と共に投与されうる。投与は全身投与または局所投与でありうる。また、脳室内および髄腔内注射を含むいずれかの適当な経路により、該組成物を中枢神経系内に投与することが有利でありうる。脳室内注射は、レザバー(例えば、オマヤ(Ommaya)レザバー)に接続された脳室内カテーテルによって促進されうる。吸入器または噴霧器の使用およびエアロゾル化剤の配合により、肺投与も用いられうる。また、本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチドを、治療を要する領域に局所的に投与することが望ましいかもしれない。これは、例えば、手術中の局所注入、局所適用、注射、カテーテルの使用、坐剤の使用またはインプラントの使用(これらに限定されるものではない)により達成されうる。
【0159】
種々の運搬系(デリバリーシステム)が公知であり、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドを投与するために使用可能であり、それらには、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル内への封入、ミニ細胞、ポリマー、カプセル、錠剤などが含まれるが、これらに限定されるものではない。1つの実施形態においては、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドは、小胞、特にリポソーム内で運搬されうる。リポソームにおいては、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドは、他の医薬上許容される担体に加えて、水溶液中のラメラ層、不溶性単層、液晶、ミセルとして凝集形態で存在する脂質のような両親媒性物質と組合されうる。リポソーム製剤のための適当な脂質には、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなリポソーム製剤の製造は、例えば米国特許第4,837,028号および米国特許第4,737,323号に開示されているとおり、当技術分野の技術水準の範囲内である。更にもう1つの実施形態においては、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドは、運搬ポンプ(例えば、Saudekら,New Engl.J.Med.321:574(1989)を参照されたい)および半透過性ポリマー材(例えば、Howardら,J.Neurosurg.71:105(1989)を参照されたい)(これらに限定されるものではない)を含む制御放出(コントロールリリース)系において運搬されうる。また、制御放出系は、全身用量の一部のみによって要件が満たせるように、治療標的(例えば、脳)の近傍に配置されうる。例えば、Goodson,In:Medical Applications of Controlled Release,1984.(CRC Press,Bocca Raton,Fla.)を参照されたい。
【0160】
個々の障害または状態の治療において有効な本明細書に開示されているコアゴニストペプチドの1以上を含む組成物の量は障害または状態の性質に左右され、当技術分野における平均的な技量の当業者によって標準的な臨床技術により決定されうる。また、所望により、最適な投与量範囲を特定することを助けるために、インビトロアッセイが使用されうる。製剤中で使用される厳密な用量は投与経路、および疾患または障害の全体的重症度にも左右され、実施者の判断および各患者の状況に応じて決定されるべきである。最終的には、担当医師が、各患者に投与する組成物の量を決定する。最初は、担当医師は低い用量の組成物を投与し、患者の応答を観察するであろう。患者に最適な治療効果が得られるまで、該組成物の、より大きな用量を投与することが可能であり、その時点で、投与量をそれ以上は増加させない。一般に、哺乳動物の場合の1日量の範囲は、単一用量または分割用量において、約0.001mg〜約100mg/kg体重、好ましくは0.01mg〜約50mg/kg、最も好ましくは0.1〜10mg/kgの範囲内である。一方、幾つかの場合には、これらの範囲を超えた投与量を使用することが必要かもしれない。しかし、本明細書に開示されている1以上のコアゴニストペプチドを含む組成物の静脈内投与のための適切な投与量範囲は、一般に、活性化合物約5〜500マイクログラム(μg)/キログラム(Kg)体重である。鼻腔内投与のための適切な投与量範囲は、一般に、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から外挿されうる。坐剤は、一般に、0.5重量%〜10重量%の範囲の有効成分を含有し、経口製剤は、好ましくは、10%〜95%の有効成分を含有する。最終的には、担当医師が、本発明の本明細書に記載の1以上のコアゴニストペプチドを含む組成物を使用する治療の適切な継続期間を決定する。投与量は個々の患者の年齢、体重および応答によっても変動するであろう。
【0161】
更に、本明細書に開示されているコアゴニストペプチドおよび医薬組成物の成分の1以上が充填された1以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。所望により、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により定められた形態の通知書が、そのような容器に付随していてもよく、その通知書は、ヒトへの投与に関する、製造、使用または販売の機関による承認を表す。
【0162】
したがって、本発明は更に、(i)2位のL−セリンがD−セリンで置換されており、10位のチロシンが、(i)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したL−リジン、または(ii)ガンマ−グルタミン酸(γE)スペーサーもしくはガンマ−グルタミン酸−ガンマ−グルタミン酸ジペプチド(γEγE)スペーサーによりパルミトイル基に結合したパラ−アミノメチルフェニルアラニンで置換されている、配列番号1に示されているアミノ酸配列、および6個までの追加的なアミノ酸置換を有する天然ヒトグルカゴンのアミノ酸配列からなるペプチドと、(ii)医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供し、ここで、該ペプチドはグルカゴン受容体およびGLP−1受容体のコアゴニストであり、約0.88〜約1.25、約0.90〜約1.25、約0.90〜約1.10、約0.90〜約1.00、または約1.0±0.12の、GLP−1受容体におけるEC50に対するグルカゴン受容体におけるEC50の比を有し、該ペプチドは、所望により、保護基を含んでいてもよく、該保護基は、存在する場合には、該ペプチドのC末端カルボキシ基に結合しており、ただし、該ペプチドは配列番号21のアミノ酸配列を有さない。
【0163】
特定の態様においては、16位のセリンはL−アラニンで置換されており、18位のアルギニンはL−アラニンで置換されており、27位のメチオニンはL−ロイシンで置換されており、28位のアスパラギンはL−アスパラギン酸で置換されており、あるいはそれらの組合せの置換が施されている。
【0164】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記ペプチドのいずれか1つのペプチドの有効量を患者に投与することを含む、肥満代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0165】
本発明は更に、患者における代謝疾患を治療するために前記組成物の有効量を患者に投与することを含む、肥満代謝疾患に対する患者の治療方法を提供する。
【0166】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0167】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0168】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0169】
本発明は更に、肥満代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記ペプチドのいずれか1つの使用を提供する。
【0170】
本発明は更に、肥満代謝疾患の治療用の医薬の製造のための、前記組成物のいずれか1つの使用を提供する。
【0171】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0172】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0173】
特定の態様においては、該医薬は、2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満の治療のためのものである。
【0174】
本明細書に開示されている化合物の特定の態様においては、C末端保護基はアミドまたはエステルでありうる。例えば、C末端アミノ酸のカルボン酸は電荷中性基、例えばアミドまたはエステルで置換される。
【0175】
更に、コアゴニストペプチドを含む前記組成物のいずれか1つの有効量を患者または個体に投与し、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物の有効量を患者または個体に投与して、患者または個体における代謝疾患を治療することを含む、患者または個体における代謝疾患の治療方法を提供する。
【0176】
特定の態様においては、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与する時点より前の時点で、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する。もう1つの態様においては、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する時点より前の時点でインスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与する。更にもう1つの態様においては、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物を投与するのと同時に、コアゴニストペプチドを含む組成物を投与する。
【0177】
特定の態様においては、インスリン類似体はインスリン・デテミル(detemir)、インスリン・グラルギン(glargine)、インスリン・レベミル(levemir)、インスリン・グルリシン(glulisine)、またはインスリン・リスプロ(lispro)である。
【0178】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。
【0179】
特定の態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0180】
特定の態様においては、患者は2以上の代謝疾患、例えば糖尿病およびNASH、NAFLDまたは肥満;肥満およびNASHまたはNAFLD;糖尿病、NASHおよび肥満;糖尿病、NAFLDおよび肥満;または糖尿病および肥満を有する。
【0181】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物を提供する。
【0182】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物の、代謝疾患の治療のための使用を提供する。
【0183】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0184】
本発明は更に、前記ペプチドのいずれか1つ、インスリンまたはインスリン類似体、および医薬上許容される担体を含む組成物の、代謝疾患の治療用の医薬の製造ための使用を提供する。
【0185】
特定の態様においては、代謝疾患は糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または肥満である。更に詳細な態様においては、糖尿病はI型糖尿病、II型糖尿病または妊娠糖尿病である。
【0186】
以下の実施例は、本発明の更なる理解を促すことを意図したものである。
【0187】
実施例1
コアゴニストペプチド1:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ala−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号6)の合成手順は以下のとおりであった。
【0188】
該ペプチドは、Symphony Protein Technologies Incの装置で、Rink−アミドPEG−PS樹脂,Champion(Biosearch Technologies)(150μmol,ローディング0.28mmol/g)上で合成した。
【0189】
全てのアミノ酸をDMF中の0.3M HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)の溶液に0.3Mの濃度で溶解した。樹脂遊離アミノ基に対して5倍過剰の活性化アミノ酸を使用してアシル化反応を1時間行った。等モル量のHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)および2倍モル過剰のDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)溶液(NMP中、2M)で該アミノ酸を活性化した。
【0190】
HisからTrp25まで、45分間の二重アシル化反応を行った。分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、60% Bから60% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率21%、純度95%。
【0191】
最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけし、そしてまた、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3695.60Da;予想分子量:3696.12Da)。
【0192】
実施例2
コアゴニストペプチド2:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Val−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号7)の合成手順は以下のとおりであった。
【0193】
該ペプチドは、配列番号6/実施例1に関して前記に記載されているとおり合成した。分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、50% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率16%、純度95%。
【0194】
最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけし、そしてまた、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3723.70Da;予想分子量:3724.18Da)。
【0195】
実施例3
コアゴニストペプチド2:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Val−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号8)の合成手順は以下のとおりであった。
【0196】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド1に関して前記に記載されているとおり合成した。分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、30% Bから60% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率20%、純度>90%。
【0197】
H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:35%から65% B(4分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、最終的なペプチドを特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3852.80Da;予想分子量:3853.29Da)。
【0198】
実施例4
コアゴニストペプチド4:His−Aib−Val−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Aib16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Nle−Asp−Thr−CONH(配列番号9)の合成手順は以下のとおりであった。
【0199】
該ペプチドは、Fmoc/t−Bu化学法を用いる標準的な固相ペプチド合成(SPPS)により合成した。Symphony(Protein Technologies)ペプチド合成装置で、Rink−アミドPEG−PS樹脂,Champion(Biosearch Technologies、0.28mmol/g)上で、その合体を行った。
【0200】
全てのアミノ酸をDMF中の0.3M HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)の溶液に0.3Mの濃度で溶解した。樹脂遊離アミノ基に対して5倍過剰の活性化アミノ酸を使用してアシル化反応を45分間行った。等モル量のHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)および2倍モル過剰のDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)溶液(NMP中、2M)で該アミノ酸を活性化した。HisからTrp25まで、二重アシル化反応を行った。固相上でのペプチド合体中の側鎖保護基は以下のとおりであった:Asp、γGlu、Ser、ThrおよびTyrにはtert−ブチル;GluおよびHisにはトリチル;Lys、Trpにはtert−ブトキシ−カルボニル;ならびにArgには2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル。10位にLysをDde−Lys(Fmoc)−OHとして導入して、ε−アミノ基のFmoc脱保護の後でLys10の合体の直後に側鎖の誘導体化を行った。2つのFmoc−Glu−OtBu残基およびパルミチン酸(DIPCおよびHOAtで活性化されたもの)の手動カップリングにより、リンカーおよび脂肪酸でDde−Lys10側鎖を誘導体化した。DMF中の2% ヒドラジンの溶液の処理によりDde保護基を除去し、配列の合体を継続して残基1〜9を取り込んだ。乾燥ペプチド−樹脂を88% TFA、5% フェノール、2% トリイソプロピルシランおよび5% 水で室温で2時間処理して、保護基の脱保護および樹脂からの切断を行った。溶液を濾過して樹脂から除去し、粗製ペプチド溶液を冷メチルtert−ブチルエーテル(50mLのメチルtert−ブチルエーテルの場合、約4mLのペプチド溶液)中で沈殿させた。ペプチドペレットを冷メチルtertブチルエーテル中で2回、再懸濁/洗浄/遠心分離した。ペプチドペレットを真空中で乾燥させ、ついで水/アセトニトリルに溶解し、ついで凍結乾燥させた。
【0201】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、30% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率20%、純度>90%。
【0202】
H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:35%から35%(1分間)、35から65% B(4分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、最終的なペプチドを特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3807.9Da;予想分子量:3808.29Da)。
【0203】
実施例5
コアゴニストペプチド5:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ala−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号10)の合成手順は以下のとおりであった。
【0204】
該ペプチドは、Fmoc/t−Bu化学法を用いる標準的な固相ペプチド合成(SPPS)により合成した。APEX 396ペプチド合成装置で、Rink−アミド−PS樹脂(150μmol、ローディング0.47mmol/g)上で、その合体を行った。
【0205】
全てのアミノ酸をDMF中の0.5M HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)の溶液に0.5Mの濃度で溶解した。樹脂遊離アミノ基に対して5倍過剰の活性化アミノ酸を使用してアシル化反応を45分間行った。等モル量のHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)および2倍モル過剰のDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)溶液(NMP中、2M)で該アミノ酸を活性化した。
【0206】
His、D−Ser、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。固相上でのペプチド合体中の側鎖保護基は以下のとおりであった:Asp、Ser、D−Ser、ThrおよびTyrにはtert−ブチル;GluおよびHisにはトリチル;Lys、Trpにはtert−ブトキシ−カルボニル;ならびにArgには2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル。10位のLysをオルトゴナルAlloc(アリルオキシカルボニル)保護基により保護した。
【0207】
N末端残基をBoc−His(Trt)−OHとしてアシル化した。固相上のペプチド合体の終了時に、Alloc保護基をLys10から除去し、Fmoc−Glu−OtBu残基およびパルミチン酸(DIPCおよびHOAtで活性化されたもの)の手動カップリングにより側鎖誘導体化を行った。乾燥ペプチド−樹脂を88% TFA、5% フェノール、2% トリイソプロピルシランおよび5% 水で室温で2時間処理して、保護基の脱保護および樹脂からの切断を行った。溶液を濾過して樹脂から除去し、粗製ペプチド溶液を冷メチルtert−ブチルエーテル(50mLのメチルtert−ブチルエーテルの場合、約4mLのペプチド溶液)中で沈殿させた。ペプチドペレットを冷メチルtertブチルエーテル中で2回、再懸濁/洗浄/遠心分離した。ペプチドペレットを真空中で乾燥させ、ついで水/アセトニトリルに溶解し、ついで凍結乾燥させた。
【0208】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:35% Bから35% B(5分間)、35% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率30%、純度95%。
【0209】
最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけし、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3824.4Da;予想分子量:3825.24Da)。
【0210】
実施例6
比較体であるコアゴニストペプチド6:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号11)は、米国公開特許出願第20120288511号における配列番号66または米国公開特許出願第20140221283号における配列番号19と比較すると、配列番号66および配列番号19においてはLys10がγGlu−C16に結合していること以外は、同じアミノ酸配列を有する。米国公開特許出願第20120288511号および第20140221283号の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。それらに記載されているのと実質的に同じ方法で、コアゴニストペプチド6を合成した。
【0211】
実施例7
コアゴニストペプチド7:Ac−His−Ala−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Glu16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号12)の合成手順は以下のとおりであった。
【0212】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド1に関して前記に記載されているとおりに、Rink−アミドPEG−AM樹脂(Chemimpex、0.47mmol/g)上で合成した。固相上のペプチド合体の終了時に、N末端残基を無水酢酸でアシル化した。
【0213】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:25% Bから25% B(5分間)、25% Bから55% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率27%、純度>90%。
【0214】
H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:30%から30%(1分間)、30から70% B(4分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、最終的なペプチドを特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3909.31Da;予想分子量:3907.8Da)。
【0215】
実施例8
コアゴニストペプチド8:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Glu15−Ala16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号13)の合成手順は以下のとおりであった。
【0216】
該ペプチドは、Fmoc/t−Bu化学法を用いる標準的な固相ペプチド合成(SPPS)により合成した。Overtureペプチド合成装置で、Rink−アミドPEG−AM樹脂(Chemimpex、0.47mmol/g)またはRink−アミドPEG−PS樹脂,Champion(Biosearch Technologies、0.28mmol/g)上で、その合体を行った。活性化物質としてHATU/DIPEAを使用して、45分間の反応時間でアシル化を行った。配列全体に対して二重アシル化反応を行った。10位のLysをオルトゴナルAlloc(アリルオキシカルボニル)保護基により保護した。N末端残基をBocとして保護した。固相上のペプチド合体の終了時に、Alloc保護基をLys10から除去し、Fmoc−Glu−OtBu残基およびパルミチン酸(DIPCおよびHOAtで活性化されたもの)の手動カップリングにより側鎖誘導体化を行った。乾燥ペプチド−樹脂を88% TFA、5% フェノール、2% トリイソプロピルシランおよび5% 水で室温で2時間処理して、保護基の脱保護および樹脂からの切断を行った。溶液を濾過して樹脂から除去し、粗製ペプチド溶液を冷メチルtert−ブチルエーテル(50mLのメチルtert−ブチルエーテルの場合、約4mLのペプチド溶液)中で沈殿させた。ペプチドペレットを冷メチルtertブチルエーテル中で2回、再懸濁/洗浄/遠心分離した。ペプチドペレットを真空中で乾燥させ、ついで水/アセトニトリルに溶解し、ついで凍結乾燥させた。
【0217】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:35% Bから35% B(5分間)、35% Bから55% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率20%、純度>90%。最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3839.10Da;予想分子量:3839.26Da)。
【0218】
実施例9
コアゴニストペプチド9:His−D−Ser−Val−Gly−Thr−pFF−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Glu16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号14)の合成手順は以下のとおりであった。
【0219】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド4に関して前記に記載されているとおりに合成した。His、D−Ser、Val、Gly、Thr、Thr、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。DIPCおよびHOAtで活性化された手動カップリングにより、Fmoc−p−フルオロ−フェニルアラニン−COOH(Fmoc−pFF−OH)を合体させた。
【0220】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、30% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率は10%であり、純度は90%を超えた。最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3900.80Da;予想分子量:3901.26Da)。
【0221】
実施例10
コアゴニストペプチド10:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Glu16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Met(O)−Asp−Thr−CONH(配列番号15)の合成手順は以下のとおりであった。
【0222】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド4に関して前記に記載されているとおりに合成した。His、D−Ser、Gln、Gly、Thr、Phe、Thr、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。DIPCおよびHOAtで活性化された手動カップリングにより、Fmoc−メチオニン−スルホン−COOHを合体させた。分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、30% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率は15%であり、純度は90%を超えた。最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3932.70Da;予想分子量:3933.31Da)。
【0223】
実施例11
コアゴニストペプチド11:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Leu−Tyr−Leu−Asp−Glu16−Arg−Ala18−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−NH(配列番号16)の合成手順は以下のとおりであった。
【0224】
該合成は、固体支持体上の直鎖状ペプチド配列の合体から開始し、ついでγグルタミン酸−γグルタミン酸−パルミチン酸の3残基配列での10位のリジンの分枝化を行った。ついで、完了したペプチジル樹脂をTFA溶液中で切断した。RP−HPLC精製後、15mgの標記化合物を0.15mmolの樹脂から得た。
【0225】
標準的な固相Fmoc/t−Bu化学法をCEM Libertyペプチド合成装置(CEM Corp.Matthews,NC)を用いた。第1アミノ酸であるトレオニンをMBHAポリスチレン樹脂(ローディングにおいて0.21mmol/g;Midwest Biotech.IN,lot#S16130)上にFmoc−Thr(tBu)としてローディングした。シュードプロリンジペプチドFmoc−PheThr(φMe、φMe)を6位および7位に適用した。10位リジン側鎖をivDde基[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)イソバレリル]により保護した。他の標準的な側鎖保護基は以下のとおりであった:グルタミンにはトリチル基;トリプトファンおよびヒスチジンにはtert−ブトキシ−カルボニル基;グルタミン酸、γ−グルタミン酸、アスパラギン酸、セリンおよびD−セリン、トレオニンおよびチロシンにはtert−ブチル基;アルギニンにはpbf基(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル)。樹脂遊離アミノ基に対して5〜6当量のアミノ酸でアシル化を行った。ダブルカップルを適用したArg17、Ala19およびThr29の位置を除き、全ての位置にシングルカップルを適用した。2モル量のDIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、等モル量のHATU[2−(1H−9−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル−アミヌムヘキサフルオロホスファート]でFmocアミノ酸を活性化した。DMF中の20% ピペリジン中でFmocの脱保護を行った。リジン10上のivDdeの除去を5%のヒドラジンDMF溶液中、各1分間で2回、手動で行った。パルミチン酸を、10モル量のDIPC(N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド)およびHOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)の存在下、該配列に手動で45分間結合させた。
【0226】
完了した樹脂をTFA溶液(88% TFA/5% フェノール/2% トリイソプロピルシラン/5% 水)により3時間切断した。切断中、樹脂を濾過し、1時間ごとにTFA溶液を補充した。ついでTFA溶液を一緒にし、それらをロータリーエバポレーターで濃縮した。ペプチドを沈殿させるために、50mlの氷冷ジエチルエーテルをTFA残渣に加えた。沈殿したペプチドを遠心分離によりペレット化し、ついでペレットを氷冷ジエチルエーテルで2回洗浄して有機スカベンジャーを除去した。最終ペレットを乾燥させ、水中の30% 酢酸に再懸濁させ、凍結乾燥させた。乾燥ペプチド粗製物を水/アセトニトリルに再溶解した。ついでペプチド粗製物を再び凍結乾燥させて、トリプトファン残基の不完全な脱カルボキシル化に起因する不純物を除去した。
【0227】
0.1% トリフルオロ酢酸の存在下の水/アセトニトリル勾配と共にPhenomenex Jupiter C4カラム(250×21.2mm、10μ、300A、カタログ#00G−4168−P0AX)を使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチドを精製した。精製されたペプチドをLCMSにより特徴づけした。精製されたペプチドに関して決定されたモノアイソトピック質量は3868.98Da(配列予想質量は3868.3Da)であった。
【0228】
UPLC−MS系(Waters ACQUITY)でLC−MSを得た;カラム:Waters BEH 130 C18 Acquity 1.0×50mm,1.7μm;勾配:10〜99% B 直線勾配(1.6分間)、0.4分で1% Bに戻す。A/Bバッファー系(A=水中の0.1% TFA;B=アセトニトリル中の0.1% TFA);流速:0.3ml/分;温度:50℃;UV波長:215nm;注入体積:0.5μl;質量スキャン:500〜1500m/z,0.2秒;電圧:キャピラリー(Kv)−3.25;Con(V)−27;エキストラクト(V)−3;RFレンズ(V)−0.3;ガスフロー(L/時間):脱溶媒和−597;コーン−30;温度(C):源温度−100;脱溶媒和温度−350。
【0229】
実施例12
コアゴニストペプチド12:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−pAF10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Ala16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号17)(ここで、pAFはパラ−アミノメチルフェニルアラニンである)の合成手順は以下のとおりであった。
【0230】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド4に関して前記に記載されているとおりに合成した。His、D−Ser、Val、Gly、Thr、Phe、Thr、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。10位において、Ddeでオルトゴナル保護されたFmoc−パラ−アミノメチルフェニルアラニン−COOH(実施例15を参照されたい)を、DIPCおよびHOAtで活性化された手動カップリングにより合体させた。合体の終了時に、DMF中の2% ヒドラジンの溶液での処理によりDde保護基を除去し、2つのFmoc−Glu−OtBu残基およびパルミチン酸(DIPCおよびHOAtで活性化されたもの)の手動カップリングにより、リンカーおよび脂肪酸を使用して側鎖誘導体化を行った。
【0231】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:30% Bから30% B(5分間)、30% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。収率10%、純度>90%。
【0232】
H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:35から55%(4分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、最終的なペプチドを特徴づけした。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3873.10Da;予想分子量:3873.28Da)。
【0233】
実施例13
コアゴニストペプチド13:His−アミノ−1シクロブタン−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Glu16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号18)の合成手順は以下のとおりであった。
【0234】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド9/実施例4に関して前記に記載されているとおりに合成した。His、D−Ser、Gln、Gly、Thr、Phe、Thr、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。DIPCおよびHOAtで活性化された手動カップリングにより、Fmoc−アミノ−1−シクロブタンカルボン酸を合体させた。
【0235】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:35% Bから35% B(5分間)、35% Bから50% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。最終的なペプチドを、H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用するAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で特徴づけした。収率は18%であり、純度は90%を超えた。該ペプチドを、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:3893.40Da;予想分子量:3893.31Da)。
【0236】
実施例14
コアゴニストペプチド14:His−D−Ser−Gln−Gly−Thr−tβP−Thr−Ser−Asp−Lys10(γGlu−γGlu−C16)−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp15−Glu16−Arg−Ala−Ala−Gln−Asp−Phe22−Val23−Gln−Trp25−Leu−Leu−Asp−Thr−CONH(配列番号19)(ここで、tβP=トレオ−β−フェニルセリン)の合成手順は以下のとおりであった。
【化1】
【0237】
該ペプチドは、コアゴニストペプチド4に関して前記に記載されているとおりに合成した。His、D−Ser、Gln、Gly、Thr、Phe、Thr、Phe22、Val23に対して二重アシル化反応を行った。DIPCおよびHOAtで活性化された手動カップリングにより、tβPを合体させた。
【0238】
分取Waters Delta−PakTM C−4カートリッジ(40×200mm,15μm,300オングストローム)を使用し、溶離液として(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAを使用する逆相HPLCにより、粗製ペプチド(3mlのDMSO中、130mg)(これにおいては、合成において使用されたラセミtβPゆえに、2つの異性体が存在した)を精製した。溶離液Bの以下の勾配を用いた:35% Bから35% B(5分間)、35% Bから45% B(20分間)−80% B、流速80mL/分、波長214nm。それらの2つの異性体を、異なる溶出時間による分取移動により分離した。H2O、0.1% TFA(A)およびCH3CN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:20から60% B(20分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C4 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、より短い保持時間t=12.45を有する最も親水性である異性体が番号L−005472682として特定された。また、該生成物を、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(収率12%、純度>90%)(実測分子量:3899.3Da;予想分子量:3899.27Da)。
【0239】
実施例15
Fmoc−4−(Dde−アミノメチル)−フェニルアラニンを以下のとおりに合成した。
【化2】
【0240】
Fmoc−4−(Boc−アミノメチル)−フェニルアラニンをDCM/TFA 2/1中で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテルで処理して白色固体を得た。得られた粗物質をEtOH(19mM)に溶解し、DIPEA(5当量)およびジメドン(1.1当量)を該反応混合物に加えた。60℃で3時間の後、該溶液をTFAでpH4に酸性化した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をAcOEtで処理し、1N HClで洗浄した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、最終生成物を黄色固体として得た。
【0241】
H2O、0.1% TFA(A)およびCHCN、0.1% TFA(B)を溶媒として使用し、以下の勾配:10%から10% B(1分間)、10%から90%B(4分間)、流速0.4mL/分を用いるAcquity UPLC Waters ChromatographおよびBEH300 C18 Acquity Waters 2.1×100mm,1.7μm(45℃)で、最終的な化合物を特徴づけした。保護されたアミノ酸を、Acquity SQ Detectorでのエレクトロスプレー質量分析により特徴づけした(実測分子量:581.5Da;予想分子量:580.67Da)。
【0242】
実施例16
cAMPプロトコルは以下のとおりであった。
【0243】
ペプチドを100% DMSOに溶解し、11点の滴定が得られるように系列希釈した。ついで該ペプチド溶液を384ウェルアッセイプレート(150nL/ウェル)内に移した。ヒトGLP−1RまたはヒトGCGRを発現するアッセイ用凍結細胞を、DMEM/F12培地(GIBCO)、10% FBS(GIBCO)、1×P/S(GIBCO)、800μg/mL ジェネティシン(Geneticin)(GIBCO)および300μg/mL ヒグロマイシン(Hygromycin)(Invitrogen)からなる増殖培地に懸濁させた。ついで、PBS(GIBCO)、7.5% BSA(Perkin Elmer)、100μM RO 20−1724(Sigma)および20% ヒト血清(MP Biomedical)からなるアッセイバッファー中で細胞を希釈した。ついで該ペプチド溶液を含有するアッセイプレートに該細胞懸濁液(15μL)を加えた(ヒトGCGRでは30,000細胞/ウェル、GLP1Rでは20,000細胞/ウェル)。該細胞を暗所で室温で1時間インキュベートした。HitHunterTM cAMPXSキット(DiscoverX)を使用してcAMPの産生を測定した。ついでEDバッファー(20μL)を各ウェルに加え、プレートを暗所で室温で1時間インキュベートした。ついでEAバッファー(20μL)を各ウェルに加え、プレートを暗所で室温で1〜18時間インキュベートした。EnVision Multilabelプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して発光を測定した。ADAデータ解析ソフトウェアを使用して、EC50値を計算した。結果を表2に示す。
【表2】
【0244】
実施例17
食餌誘発性肥満(DIO)マウスは抗肥満化合物の効力の研究におけるヒトの代用物として古くから使用されている。肥満化合物の研究においてそのようなマウスから得られた結果はヒトの場合に置き換えて解釈可能である(例えば、Nilssonら,Acta Pharmacologia Sinica 33:173−181(2012)(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい)。したがって、DIOマウスは、肥満を治療することを意図した化合物の効力の試験のためのヒトの代用物として有用である。
【0245】
実施例18、19、20および21における研究では、食餌誘発性肥満(DIO)マウス(系統C57Bl6/NTac;20週間の高脂肪食、約47g)を1群8匹の群に分割し、各群の初期平均体重、食餌摂取および基礎グルコースをペプチド投与前に釣り合わせた。マウスの各群にビヒクル対照またはコアゴニストペプチドの用量を毎日、7〜10日間、皮下注射した。この研究において試験したペプチドは、3nmol/kgから25nmol/kgまでの様々な用量のコアゴニストペプチド1、2、3、4、5および6(それぞれ配列番号6、7、8、9、10および11)であった。処理(治療)中に定期的に体重、食餌摂取および基礎グルコースを測定した。全てのペプチドは、比較しうる薬物動態学的特性および類似した血漿タンパク質結合を有する。
【0246】
実施例18
本発明の或るペプチドのインビボ効果を、高脂肪食で20週間維持された約47グラムの初期体重を有する食餌誘発性肥満(DIO)マウス(系統C57Bl6/NTac)において試験した。ビヒクル対照またはペプチドの用量をマウスに毎日、9日間投与した。この研究におけるペプチドには、9nmol/kgの用量で投与された配列番号6、7、8、9、10および11のペプチドが含まれた。配列番号9のペプチドは9および25nmol/kgの用量で投与された。累積体重変化(グラム)を、第3日を除き、該研究において毎日測定した。結果は図1に示されており、平均±SEMとして表されている。この研究において試験されたペプチドのそれぞれは、該研究の経過全体にわたって、ビヒクル処理群のマウスと比較して有意(ビヒクルに対してp<0.05、二元分散分析)な体重減少を示した。該研究の第9日に、9nmol/kgの配列番号7および9のペプチドを投与したマウスは約3グラムの体重減少を示し、一方、25nmol/kgの用量の配列番号9のペプチドは10.5グラムの体重減少をもたらした。9nmol/kgの配列番号8および6のペプチドを投与したマウスは、それぞれ、8および10.5グラムの体重減少を示した。9nmol/kgの配列番号10および11のペプチドを投与したマウスは、それぞれ、約13グラムの体重減少を示した。
【0247】
実施例19
DIOマウス(系統C57Bl6/NTac)における第2の研究においては、各ペプチドの用量を変化させ、配列番号6〜11のペプチドのそれぞれを9nmol/kgの用量で投与した。また、配列番号8のペプチドを15nmol/kgで投与し、配列番号10および11のペプチドを3nmol/kgで投与した。体重を毎日、8日間測定し、体重変化をビヒクルに対する百分率で表した(図2)。9nmol/kgの用量の配列番号7または9のペプチドを投与したマウスは、9nmol/kgの用量の配列番号6または8のペプチドを投与したマウス(これらは、それぞれ、約20%または17%の体重減少を示した)と比較して、約5%の体重減少を示した。15nmol/kgの用量の配列番号8のペプチドを投与したマウスは約25%の体重減少を示した。3nmol/kgの用量の配列番号10のペプチドを投与したマウスは約17%の体重減少を示したが、3nmol/kgの用量の配列番号11のペプチドを投与したマウスは体重減少の効力を全く示さなかった。
【0248】
実施例20
図3に示されているとおり、9nmol/kgの配列番号6〜11のペプチドを投与したDIOマウス(系統C57Bl6/NTac)は、配列番号7の場合を除き、8日間の投与の後で累積食餌摂取の有意な減少を示した[p<0.05、**p<0.01、***p<0.001(ビヒクルに対して)、一元分散分析、ダン(Dunn)多重比較]。3nmol/kgの配列番号10のペプチドを投与したマウスも食餌摂取の有意な抑制を示したが、3nmol/kgの配列番号11のペプチドを投与したマウスは食餌摂取における変化を全く示さなかった。
【0249】
実施例21
累積体重変化に加えて、DIOマウス(系統C57Bl6/NTac)の全体的(ambient)グルコースレベルを該研究の全体にわたって定期的に測定した。図4に示されているとおり、25nmol/kgの配列番号9のペプチドを投与したマウスは、投与の第2日までに、ビヒクル処理対照マウスと比較して全体的グルコースの有意な減少を示した[−75mg/dL、***p<0.001(ビヒクルに対して)、二元分散分析、ダン(Dunn)多重比較]。9nmol/kgの配列番号10および11のペプチドを投与したマウスは全体的グルコースにおける類似した減少を示した。9nmol/kgの配列番号6のペプチドを投与したマウスは、投与の第7日までに、全体的グルコースの有意な減少を示した[−60mg/dL、p<0.05(ビヒクルに対して)]。9nmol/kgの配列番号8のペプチドを投与したマウスは、第9日までに、全体的グルコースの有意な減少を示した[−72mg/dL、**p<0.01(ビヒクルに対して)、二元分散分析]。9nmol/kgの配列番号7または9のペプチドを投与したマウスは、9日間の投与の後、全体的グルコースにおける有意な変化を示さなかった。
【表3】
【0250】
本発明は本明細書においては例示実施形態に関して記載されているが、本発明はそれらに限定されないと理解されるべきである。本明細書における教示を利用する当業者はその範囲内の追加的な修飾および実施形態を認識するであろう。したがって、本発明は、本明細書に添付されている特許請求の範囲のみによって限定される。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]