特許第6581661号(P6581661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581661
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】多孔質誘電体を含むプラズマ発生源
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20190912BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H05H1/24
   A61L9/22
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-540887(P2017-540887)
(86)(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公表番号】特表2018-504757(P2018-504757A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】KR2016001311
(87)【国際公開番号】WO2016126140
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0017875
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514036645
【氏名又は名称】コリア ベーシック サイエンス インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソク ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ノ テヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】イ カンイル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョンヨン
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−000695(JP,A)
【文献】 特表2004−534654(JP,A)
【文献】 特開2012−011301(JP,A)
【文献】 特開2013−211204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
A61L 9/22
C02F 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄用のプラズマ発生源であって、
プレート型第1電極;
前記第1電極と離隔して向き合って位置するプレート型第2電極;
前記二つの電極の間に多孔質誘電体;および
前記二つの電極に交流電圧を印加する電圧印加手段を含む、プラズマ発生源であって、
前記多孔質誘電体は液体が担持されており、
前記電圧印加手段によって二つの電極に電圧が印加されて二つの電極の間にプラズマが発生し、
前記多孔質誘電体は前記プラズマの発生領域に位置する、多孔質誘電体を含み、
空気が前記プラズマの発生領域に流入する、空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項2】
前記第1電極および前記第2電極のうち一つ以上の一面に位置する誘電層を含む、請求項1に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項3】
液体が入っている液体供給部を含み、
前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給する、請求項1に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項4】
前記多孔質誘電体はこれの長軸が向き合う両電極の長軸と垂直に配置され、
前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層面に接する、請求項2に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項5】
前記多孔質誘電体はこれの長軸が向き合う二つの電極と垂直に配置され、
前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層面から離隔している、請求項2に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項6】
空気清浄用のプラズマ発生源であって、
誘電層、
前記誘電層の一面に置かれたプレート型第1電極;および
前記誘電層の他面に置かれた第2電極を含み、
前記第2電極はバーの形状で互いに離隔して並列で配列されているか、点の形状で互いに離隔してマトリックスで配列されており、
液体を担持する多孔質誘電体が前記第2電極の間に位置し、
圧印加手段によって二つの電極に電圧が印加されて二つの電極の間にプラズマが発生し、
前記多孔質誘電体は前記プラズマの発生領域に位置する、多孔質誘電体を含む、
空気が前記プラズマの発生領域に流入する、空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項7】
液体が入っている液体供給部を含み、
前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給する、請求項6に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項8】
空気清浄用のプラズマ発生源であって、
プレート型第1電極層;
前記第1電極層の一面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第2電極層;
前記第1電極層の他面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第3電極層
前記第1電極層と前記第2電極層の間の空間および前記第1電極層と前記第3電極層の間の空間に位置して、液体を担持する多孔質誘電体;および
液体が入っている液体供給部を含み、
前記第1電極層、前記第2電極層、及び前記第3電極層が並ぶ方向に前記プラズマ発生源を視ると、前記多孔質誘電体の一末端は、前記第1電極層、前記第2電極層、及び前記第3電極層よりも外側に突出しており、
前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体が供給され、
圧印加手段によって第1電極層と第2電極層にそして第1電極層と第3電極層に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、
前記多孔質誘電体は前記プラズマの発生領域に位置する、多孔質誘電体を含み、
空気が前記プラズマの発生領域に流入する、空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項9】
空気清浄用のプラズマ発生源であって、
円筒形の第1電極層;
前記第1電極層の内面と離隔し、第1電極層の内部の中心に位置するバーの形状の第2電極;
前記第1電極層と前記第2電極の離隔空間に位置して、液体を担持する円筒形の多孔質誘電体;および
液体が入っている液体供給部を含み、
前記第1電極層の径方向に前記プラズマ発生源を視ると、前記多孔質誘電体の一末端は、前記第1電極層よりも外側に突出しており、
前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給し、
圧印加手段によって第1電極層と第2電極に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマの発生領域に位置する、多孔質 誘電体を含み、
空気が前記プラズマの発生領域に流入する、空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項10】
前記液体は過酸化水素を含む、請求項1、請求項6、請求項8または請求項9に記載の多孔質誘電体を含む空気清浄用のプラズマ発生源。
【請求項11】
請求項1、請求項6、請求項8または請求項9に記載された空気清浄用のプラズマ発生源を含む、陰イオン発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電体障壁プラズマ(DBD:Dielectric Barrier Discharge)の二つの電極の間のプラズマ発生領域内に液体が担持された多孔質誘電体を含有することによって、オゾンおよび窒素酸化物の発生が抑制され、ヒドロキシラジカル生成が促進されるプラズマ発生源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存のプラズマ発生源を利用した陰イオン発生器は、非対称電極を利用したコロナ放電方式がある。非対称電極を利用したコロナ放電方式は、プレート型電極と離隔されている針またはワイヤー電極に電圧を印加してコロナ放電を発生させる方式である。これはインピーダンスが非常に高い高電圧電源装置を利用して非対称電極に高電圧を印加すると非常に弱い強度のコロナプラズマが発生する方式であって、電場のある空間に非常に薄いワイヤーまたは針状の金属電極が存在する場合、電場が鋭い部分に集中されて少ない電圧でも気体の絶縁破壊(プラズマ発生)を起こしやすい。尖った先端から発生したプラズマが相手電極に拡張して行くにつれて電場の強度が急激に弱まるため、電極表面での過度な電流チャネルから始まる熱電子放出に起因するスパークまたはアーク放電への転移が制限され、電極周辺のすべての方向に電場が弱まるため電極周辺に放射形の放電の様子を見せる。
【0003】
しかし、液体ミストまたはホコリなどが電極の間に存在する場合、スパーク、アーク放電が発生する可能性があり、電極の表面が腐食したりホコリなどが蓄積されて長期間使用時に性能が低下する。また、プラズマの発生体積が小さく弱いため、陰イオン発生効率が比較的低い。そして、オゾンおよび窒素酸化物(NO)が多量発生する可能性があるため不快な匂いがし、人体に有害な短所がある。また、長期間使用時に電極の腐食問題があり、殺菌に必要な陰イオンおよび活性化学種の死滅時間が短いため広い空間への適用が難しい短所がある。
【0004】
このような非対称電極を利用したコロナ放電方式の短所を克服するために、誘電体障壁プラズマ(DBD:Dielectric Barrier Discharge)方式を利用する。二つの金属電極の間に一個以上の誘電体を挿入して均一体積のプラズマを発生させて滅菌剤として使うのである。
【0005】
二つの金属電極の間に誘電体を一個以上挿入した形態で平板状、円筒形などの構造に製作が可能であり、二つの電極の間に電場が印加されて電極の間の空間の気体が絶縁破壊(プラズマ発生)を起こす。
【0006】
一般に、高周波(RF、Micro Wave)ではない場合、金属間の空間で気体の絶縁破壊が発生する場合、まずストリーマーのような弱い電流密度のプラズマチャネルが形成され、その後にも電場が一定期間以上継続して維持される場合、プラズマチャネルと接触する金属電極の表面に熱が発生して金属表面で莫大な量の熱電子が放出され、その結果、スパーク、アーク放電に転移(プラズマの体積小さい、電極損壊)される。DBD放電は、金属電極の間に不導体である誘電体を挿入して前記のような過度な電流密度を有するプラズマチャネルの形成を制御してスパークおよびアーク放電の転移を制限することに特徴がある。しかし、この方式の場合もオゾンおよび窒素酸化物(NO)が多量発生する可能性があるため、不快な匂いがし、人体に有害である短所がある。同様に、殺菌に必要な陰イオンおよび活性化学種の死滅時間が短いため広い空間への適用が難しく、大気中の相対湿度によって殺菌効果の影響を大きく受けるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は誘電体障壁プラズマ(DBD:Dielectric Barrier Discharge)の二つの電極の間のプラズマ発生領域内に液体が担持された多孔質誘電体を含有することによってオゾンおよび窒素酸化物の発生が抑制され、ヒドロキシラジカル生成が促進されるプラズマ発生源に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は液体が担持された多孔質誘電体を含有する誘電体障壁プラズマに関するものであって、一側面として、本発明は空気清浄用陰イオン発生器としてのプレート型第1電極;前記第1電極と離隔して向き合って位置するプレート型第2電極;前記二つの電極の間に多孔質誘電体;および前記二つの電極に交流電圧を印加する電圧印加手段を含む、プラズマ発生源として、前記多孔質誘電体は液体が担持されており、前記電圧印加手段によって二つの電極に電圧が印加されて二つの電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する。
【0009】
前記第1電極および前記第2電極のうち一つ以上の一面に位置する誘電層を含む。
【0010】
本発明のプラズマ発生源は、液体が入っている液体供給部を含み、前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給する多孔質誘電体を含む。
【0011】
前記多孔質誘電体は、これの長軸が向き合う両電極の長軸と垂直に配置され、前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層面に畳まれるように位置するか、前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層面から離隔され得る。
【0012】
他の側面として、本発明は前記誘電層の一面に置かれたプレート型第1電極;および前記誘電層の他面に置かれた第2電極を含み、前記第2電極はバーの形状で互いに離隔して並列で配列されているか、点の形状で互いに離隔してマトリックスで配列されており、多孔質誘電体が前記第2電極の間に位置し、前記電圧印加手段によって二つの電極に交流電圧が印加されて二つの電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する、多孔質誘電体を含む、プラズマ発生源を提供する。
【0013】
本発明のプラズマ発生源は、液体が入っている液体供給部を含み、前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給する多孔質誘電体を含む。
【0014】
他の側面として、プレート型第1電極層;前記第1電極層の一面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第2電極層;前記第1電極層の他面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第3電極層;および前記第1電極層と前記第2電極層の間の空間および前記第1電極層と前記第3電極層の間の空間に位置する多孔質誘電体を含み、前記電圧印加手段によって第1電極層と第2電極層にそして第3電極層と第2電極層に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する、多孔質誘電体を含む、プラズマ発生源を提供する。
【0015】
他の側面として、円筒形の第1電極層;前記第1電極層の内面と離隔し、第1電極層の内部の中心に位置するバーの形状の第2電極;前記第1電極層と前記第2電極層の離隔空間に位置する円筒形の多孔質誘電体を含み、前記電圧印加手段によって第1電極層と第2電極に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する、多孔質誘電体を含む、プラズマ発生源を提供する。
【0016】
本発明のプラズマ発生源は、液体が入っている液体供給部を含み、前記多孔質誘電体の一末端は前記液体供給部に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体を供給する多孔質誘電体を含む。
【0017】
前記液体は過酸化水素を含む、多孔質誘電体を含む。
【0018】
他の側面として、本発明は前記したプラズマ発生源を含む陰イオン発生器を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプラズマ発生源は、多孔性または繊維状誘電体に液体を吸収させて水と誘電体の高い合成誘電定数を利用して電界のうち誘電体周辺に高い電場が形成されることを利用するプラズマ発生源であって、陰イオン発生において空気中の水分含量は大きな影響を与え、乾燥した天気の場合、陰イオン発生の効果が低下する問題点があったが、本発明は電極に水分が供給され、プラズマが液体または蒸気状態の水と直接反応するため、陰イオンの発生効率が最大化され得る。特に、放電中に発生するオゾンや窒素酸化物はそのまま排出される場合、室内空間に比較的長期間滞留しながら人体に有害な影響を及ぼし得るが、前記技術の場合、発生するオゾン、窒素酸化物は電極の水に吸収されるか電極で発生する蒸気と結合してOHラジカルに変わり得る。放電空間に金属電極の露出がないため、スパーク、アーク放電への転移がなく、金属腐食またはスパッタリングなどによる金属の異物が空気中に排出される恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】液体が担持された多孔質誘電体を含有する誘電体障壁プラズマ発生源の概略図。
図2】本発明のプラズマ発生源が多量のOHラジカルを発生させることを例示する概略図。
図3-8】本発明の追加の例であって、液体が担持された多孔質誘電体を含有する誘電体障壁プラズマ発生源の概略図。
図9】被蒸着装置に応用された本発明のプラズマ発生源を例示する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるところ、特定実施例についてのみ詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0022】
第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せず、第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0023】
本出願で用いた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、構成要素などが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や構成要素などの存在または付加可能性を排除することを意味するものではない。
【0024】
特に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めて、ここで用いられるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されている用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解釈されない。
【0025】
図1は液体が担持された多孔質誘電体を含有する誘電体障壁プラズマ発生源を例示する概略図である。特に本発明のプラズマ発生源を含む陰イオン発生器としての一例である。
【0026】
本発明のプラズマ発生源は、プレート型第1電極110;前記第1電極と離隔して向き合って位置するプレート型第2電極120;前記二つの電極の間に多孔質誘電体130;前記二つの電極に交流電圧を印加する電圧印加手段140;前記第1電極および前記第2電極のうち一つ以上の一面に位置する誘電層150;および液体が入っている液体供給部160を含む。多孔質誘電体130の一末端は前記液体供給部160に含浸されており、前記多孔質誘電体に液体が供給される。
【0027】
前記電圧印加手段140によって二つの電極に交流電圧が印加されると、二つの電極の間にプラズマ200が発生し、前記多孔質誘電体130は前記プラズマ200発生領域に位置するようにする。プラズマは多湿な環境に置かれ、図2に示したように、多量のOHラジカルを生成し多くの陰イオンを発生するようにする。送風ファンを具備して発生した陰イオンを放出させることができる。
【0028】
水のような高い極性の液体は高い誘電率(約80)を有する。また、アルミナ素材またはガラス素材の場合、それぞれ10および5の誘電定数を有するが、水を含んだ多孔性セラミックの場合、40〜45の高い誘電率を有するので相手電極の周辺に近接する場合、多孔性セラミックの周辺に高い電場を印加することができ、プラズマを発生させやすい構造を作ることができる。
【0029】
図2は本発明のプラズマ発生源が多量のOHラジカルを発生させることを例示する概略図である。プラズマによって発生したオゾンは多孔質誘電体のHOと反応して多量のOHラジカルを作ることができる。また、プラズマによって発生するイオンなどの衝突または熱によって液体がミストまたはクラスターを形成して大気中に排出され得、この時、生存期間が短い活性種が液体クラスターに吸着して大気中に拡散され得る。クラスターは保護膜として作用して活性種の生存時間を長く維持できる長所を提供する。
【0030】
図3図8は本発明の追加の例であって、液体が担持された多孔質誘電体を含有する誘電体障壁プラズマ発生源の概略図である。
【0031】
特に、図3は平板型DBD装置に適用された例であって、多孔質誘電体130がこれの長軸が向き合う二つの電極110、120と垂直に配置され、前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層150面に離隔している例を例示する。
【0032】
図4は平板型DBD装置に適用された例であって、多孔質誘電体130がこれの長軸が向き合う二つの電極110、120と平行して配置され、前記多孔質誘電体の一端は前記誘電層150面に離隔している例を例示する。
【0033】
図5は沿面放電DBD(Surface DBD;sDBD)に適用された例であって、誘電層150、前記誘電層の一面に置かれたプレート型第1電極110;および前記誘電層の他面に置かれた第2電極120を含み、前記第2電極120はバーの形状で互いに離隔して並列で配列されているか、点の形状で互いに離隔してマトリックスで配列されており、多孔質誘電体130が前記第2電極の間に位置し、前記電圧印加手段によって二つの電極に電圧が印加されて二つの電極の間にプラズマ200が発生し、前記多孔質誘電体130は前記プラズマ発生領域に位置する。
【0034】
図6は他の形態のsDBDに適用された例であって、液体供給部が第1電極側に位置し、多孔質誘電体130が第1電極110と誘電層150を貫通して第2電極の間のプラズマが発生する領域に位置するように構成される。
【0035】
図7は積層型DBDタイプのプラズマ発生源の例示である。プレート型第1電極層210;前記第1電極層の一面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第2電極層220;前記第1電極層の他面側で前記第1電極層と離隔して平行して位置する第3電極層211;および前記第1電極層210と前記第2電極層220の間の空間および前記第2電極層220と前記第3電極層211の間の空間に位置する多孔質誘電体230を含み、前記電圧印加手段によって第1電極層210と第2電極層220にそして第1電極層210と第3電極層211に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記電圧印加手段によって二つの電極に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する、多孔質誘電体を含む、プラズマ発生源。
【0036】
図8は円筒形DBDタイプのプラズマ発生源の断面を例示する。プラズマ発生源は第1電極層210;前記第1電極層の内面と離隔し、第1電極層の内部の中心に位置するバーの形状の第2電極220;前記第1電極層と前記第2電極層の離隔空間に位置する円筒形の多孔質誘電体230を含み、前記電圧印加手段によって第1電極層210と第2電極220に電圧が印加されて電極の間にプラズマが発生し、前記多孔質誘電体は前記プラズマ発生領域に位置する。
【0037】
図9は被蒸着装置に応用された本発明のプラズマ発生源を例示する概略図である。溶融金属または液状の有機溶媒などが含浸された多孔性媒質がプラズマと反応して蒸発または原子化され、プラズマ内でエネルギーを得て基板の表面に蒸着され得る。既存の固体状の蒸着ターゲットに比べて材料の消耗量を節約することができるため大面積化に有利である。ソリッドターゲットに比べて低い結合エネルギー(binding energy)を有するので蒸着速度も増加させることができる。大気圧低温条件でも有機膜蒸着が可能である。
【0038】
提示された実施例に対する説明は、任意の本発明の技術分野で通常の知識を有した者が本発明を利用するかまたは実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は本発明の技術分野で通常の知識を有した者に自明であり、ここに定義された一般的な原理は本発明の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用され得る。そして、本発明はここに提示された実施例に限定されるものではなく、ここに提示された原理および新規の特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9