特許第6581664号(P6581664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581664
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20190912BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190912BHJP
   C07C 15/27 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   C09K11/06 610
   C07C15/27
【請求項の数】9
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2017-547521(P2017-547521)
(86)(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公表番号】特表2018-514080(P2018-514080A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】CN2015088710
(87)【国際公開番号】WO2016141692
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】201510102483.0
(32)【優先日】2015年3月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515177893
【氏名又は名称】北京阿格蕾雅科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魯 錦鴻
(72)【発明者】
【氏名】李 哲
(72)【発明者】
【氏名】陳 金▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0081698(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0041999(KR,A)
【文献】 特開2003−229273(JP,A)
【文献】 特開2015−216245(JP,A)
【文献】 特開2004−067528(JP,A)
【文献】 特開2007−084828(JP,A)
【文献】 特表2012−522042(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0079356(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0065201(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C07C 15/27
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陰極及び有機層を包含し、前記有機層が、正孔注入層、正孔伝送層、電子注入層、電子伝送層及び発光層のうち少なくとも発光層を含む一層或は多層とし、前記発光層が以下の式(I)に示す構成の単一化合物のみにより構成されることを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】
式中、-Rが、水素、C1-C8アルキル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のフェニル基、或は結合して成るC1-C4アルキル基置換又は非置換のフルオレニル基をそれぞれ独立して表し、R-R17が、水素をそれぞれ独立して表し、Ar-Arが、C1-C4アルキル基置換のフェニル基、フェニル基をそれぞれ独立して表す。
【請求項2】
-Rが、水素、C1-C4のアルキル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のフェニル基、或は結合して成るC1-C4アルキル基置換又は非置換のフルオレニル基をそれぞれ独立して表し、式中、R-R17が水素をそれぞれ独立して表し、Ar-Arがフェニル基、トルエン基、tert-ブチル基フェニル基をそれぞれ独立して表すことを特徴する請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
-R17が水素を表し、R、Rが水素、メチル基、プロピル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、或は結合して成るフルオレニル基をそれぞれ独立して表し、Ar-Arがフェニル基、トルエン基をそれぞれ独立して表すことを特徴する請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
-R17が水素を表し、R、Rが水素、メチル基、或は結合して成るフルオレニル基をそれぞれ独立して表し、Ar、Ar、Arがフェニル基をそれぞれ独立して表すことを特徴する請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
式(I)に示す化合物は以下の化合物とすることを特徴する請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化2】


【請求項6】
以下の構成の化合物とすることを特徴する請求項に記載の有機電界発光素子。
【化3】
【請求項7】
前記式(I)に示す構造の化合物が、正孔注入層、正孔伝送層、電子伝送層及び/或は電子注入層に含まれることを特徴する請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記式(I)に示す構造の化合物が、正孔伝送層、電子伝送層及び電子注入層に含まれることを特徴する請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機層が蒸発コーティング或はスピンコーティングにより薄膜を形成する請求項1に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新型の有機電子材料で制備される有機電場発光素子に関し、有機電界発光素子表示の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、新型の表示技術で、自己発光し、視角が広く、エネルギー消費量が低く、効率が高く、薄く、色彩が豊富で、反響速度が速く、適用温度範囲が広く、駆動電圧が低く、可撓性の湾曲可能な透明の表示パネルを制作でき、環境に適応する等の独特な長所を備えるため、有機電界発光素子技術はフラットパネルディスプレイ及び新次世代の照明に応用でき、LCDの背光とすることができる。
【0003】
有機電子発光素子(デバイス;Device)は、二つの金属電極間に一層の有機材料を塗布或は沈積して調製されたものであり、従来の三層の有機電界発光素子の正孔伝送層、発光層及び電子伝送層を包含する。陽極で生じた正孔が正孔伝送層により、陰極で生じる電子が電子伝送層によりそれぞれ発光層に伝送して相互に結合して励起子を形成し、発光する。有機電界発光素子が発光層材料の変更により赤色光や、緑色光や、青色光を発射できる。そのため、安定な高効率の色彩が純な有機電界発光材料が、有機電界発光素子に応用及び普及されることが重要な作用を備え、且つOLEDs大面積パネル表示の応用普及のクライイングニードになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三原色(赤、青、緑)のうち、赤色光及び緑色光材料が最近に益々発展し、パネルの市場需要にも合致する。青色光発光材料として、一連の商品化材料もあり、その中で早期に出光興産社(Idemitsu Kosan Co., Ltd)製のジスチリルビフェニル(DPVBi)系化合物を常用し、このような化合物を備えた素子が高い効率を備えるが、これらの材料の安定性が低いことがあり、ひいてはこのような化合物の発光色が紺碧光とし、CIE値がy>0.15とすることがある。そのため、その悪い温度性及び不純な色が大きいためこの種の化合物をフルカラー・ディスプレイに応用することが制限される。なお一連の青色光材料にイーストマン・コダック社のADN及びテトラ-t-ブチルペリレンを用いると、これらの化合物の発光効率が比較的低く、且つ安定性も良くないため、大量に使用できない。
【化1】
【0005】
本発明は、このような素子の欠陷に対して、電場発光効率が良好で色純度が優れ、寿命が長い有機電場非青色光発光素子混入材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
有機電界発光素子は、陽極、陰極及び有機層を包含し、前記有機層が、正孔注入層、正孔伝送層、電子注入層、電子伝送層及び発光層のうち少なくとも発光層を含む一層或は多層とし、前記発光層が以下の式(I)に示す構造を備える単一化合物で構成される。
【化2】
【0007】
式中、R-R17が、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-C8アルキル基、C1-C8アルコキシ基、C6-C30置換又は非置換のアリール基、C3-C30の置換又は非置換の一つ或は複数のヘテロ原子付きのヘテロ原子芳香族基、C2-C8置換又は非置換のアルキニル基、C2-C8置換又は非置換のアルキンアルキル基をそれぞれ独立して表し、式中、Ar1-Ar3が、C6-C60置換又は非置換の芳香族基、C3-C60の置換又は非置換の一つ或は複数のヘテロ原子付きのヘテロ芳香族基、トリアリール(C6-C30)アミン基をそれぞれ独立して表す。
【0008】
式中、好ましくは、R1-R17が、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-C8アルキル基、C1-C8アルコキシ基、C2-C8置換又は非置換のアルキニル基、C2-C8置換又は非置換のアルキンアルキル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のフェニル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のナフチル基、或は結合して成るC1-C4アルキル基置換又は非置換のフルオレニル基をそれぞれ独立して表す。Ar-Arが、C1-C4アルキル基或はC6-C30芳香族基置換のフェニル基、C1-C4アルキル基或はC6-C30芳香族基置換のナフチル基、フェニル基、ピリジル基、N-C6-C30の芳香族基或はC1-C4のアルキル基置換のカルバゾリル基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェンフラン基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル其、フルオランテン基、(9、9-ジアルキル基)フルオレニル基、(9、9-ジアルキル基置換又は非置換の芳香族基)フルオレニル基、9、9-スピロフルオレン基をそれぞれ独立して表す。
【0009】
式中、好ましくは、R-Rが、水素、ハロゲン、C1-C4のアルキル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のフェニル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のナフチル基、或は結合して成るC1-C4アルキル基置換又は非置換のフルオレニル基をそれぞれ独立して表す。式中、R-R17が水素、ハロゲン、C1-C4のアルキル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のフェニル基、C1-C4アルキル基置換又は非置換のナフチル基をそれぞれ独立して表すことが好ましい。Ar-Arが、フェニル基、トルエン基、二トルエン基、tert-ブチル基フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、メチルナフタレン、ビフェニル基、ジフェニルフェニル基、ナフチルフェニル、ジフェニルビフェニル基、ジアリールアミン基フェニル基、N-フェニル基カルバゾリル基、(9、9-ジアルキル基)フルオレニル基、(9、9-ジアルキル基置換又は非置換のフェニル基)フルオレニル基、9、9-スピロフルオレン基をそれぞれ独立して表す。
【0010】
式中、好ましくは、R-R17が水素とし、R、Rが水素、メチル基、プロピル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、或は結合して成るフルオレニル基をそれぞれ独立して表すことが好ましい。Ar1-Ar3が、フェニル基、ピリジル基、トルエン基、二トルエン基、ナフチル基、メチルナフタレン、ビフェニル基、ジフェニルフェニル基、ナフチルフェニル、ジフェニルビフェニル基、(9、9-ジアルキル基)フルオレニル基、(9、9-二メチル基置換又は非置換のフェニル基)フルオレニル基、9、9-スピロフルオレン基をそれぞれ独立して表す。
【0011】
好ましくは、R-R17を水素とすることが好ましく、R、Rが水素、メチル基、或は結合して成るフルオレニル基をそれぞれ独立して表し、Ar1、Ar2、Ar3が、フェニル基、ナフチル基をそれぞれ独立して表す。
【0012】
好ましくは、式(I)に示す化合物が以下の構成の化合物とする。
【0013】
【化3】
【0014】
前記有機層は、正孔注入層、正孔伝送層、発光層、電子注入層、電子伝送層のうちの一層或は多層とする。前記有機層は、必要に応じて各層毎にこれらの有機層が存在する必要がない。
【0015】
本発明の有機電場発光素子は、一層の発光層を包含し、その発光層の発光区域が440-490nmの程度にある。前記発光層は非混合材料とする。
本発明による電子素子有機層の総厚さは1-1000nmであり、1-500nmとすることが好ましく、50-300nmとすることがより好ましい。
【0016】
前記有機層が蒸発コーティング或はスピンコーティングにより薄膜を形成できる。
前記の本発明による式(I)に示された化合物が以下に列挙される構造を含むが、これに限定されるものではない。
【0017】
【化4】
【0018】
本発明による正孔伝送層及び正孔注入層は、所要材料が良い正孔伝送性能を有し、正孔を陽極から有機発光層に有効に伝送することができる。本発明による化合物の他に、また小分子及び高分子有機材料も含み、トリアリールアミン化合物、ビフェニルジアミン化合物、チアゾール化合物、オキサゾール化合物、イミダゾール化合物、フルオレン化合物、フタロシアニン化合物、ヘキサシアノトリアジン(hexanitrilehexaazatriphenylene)、2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7',8,8'-テトラシアノジフェニルキノン(F4-TCNQ)、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン、ポリエチレン、ポリベンゼンスルホン酸を包含してよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有機電場発光層は、本発明の構造式(I)の化合物を採用し、他の材料を混入しない。
本発明の有機電子素子に使用される有機電子伝送材料が、大変に良い電子伝送性能を備え、電子を陰極から発光層に有効に伝送できることを要求し、本発明の化合物の他に、更にオキソオキサゾール、チアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、トリアゼピン系化合物、キノキサリン系化合物、ジベンゾピラジン系化合物、ケイ素含有複素環系化合物、キノリン化合物、フェナントロリン系化合物、金属キレート、フッ素置換ベンゼン化合物を選択してよい。
【0020】
必要に応じて、本発明の有機電子素子に、有効に電子を陰極から有機層に注入するための電子注入層を追加することができる。本発明による化合物の他に、本発明による有機電子素子は、必要に応じて主にアルカリ金属或はアルカリ金属の化合物や、アルカリ土類金属或はアルカリ土類金属の化合物から選択され、リチウムナイトライド、8-ヒドロキシキノリンリチウム、セシウム、炭酸セシウム、8-ヒドロキシキノリンセシウム、カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、マグネシウム、フッ化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムを選択する。
本発明の実験により表明するように、本発明による有機電界発光素子は、電界発光効率が良好で色純度が優れ、寿命が長い長所を備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明における素子の構成を示す図である。
図2】化合物89のHNMRの図である。
図3】化合物89の13CNMRの図である。
図4】化合物89のHPLCの図である。
図5】化合物89のTGAの図である。
図6】実施例4、実施例5及び比較例1の電圧−電流密度曲線グラフである。
図7】実施例4、実施例5及び比較例1の輝度−CIEy座標図である。
図8】実施例4、実施例5及び比較例1の電場発光スペクトラムを示す。
図9】実施例4、実施例5及び比較例1の電流密度−電流効率曲線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(その中で下記の化合物1a、1b、1e、1h、3a、89aは市販の常用材料である)
【実施例】
【0023】
[実施例1]
【化5】
【0024】
[中間体1cの合成]
反応フラスコ内にそれぞれ化合物1a(240.00g、0.88mol)、化合物1b(496.32g、1.76mol)、Pd(PPh(20.35g、17.60mmol)、炭酸カリウム(302.52g、2.20mol)、トルエン(2400mL)、純水(1200mL)を投入する。窒素ガスを三回で抽出した後、加熱し始め、反応液温度が95-105℃に達し、この温度での反応を8-12h保持し、TLC及びHPLCをサンプリングして原料反応を完了する。加熱を停止し、温度が20-30℃に下降したところで抽出してろ過し、ろ過液が有機層と水層とに分けられた後、酢酸エチルで抽出し、有機層を合併し、水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、抽出してろ過し、ろ過液を濃縮して暗い黄色の固体粗生成物を取得する。石油エーテルを再結晶化させ、灰白色の固体産物を取得した。収量が90%、純度が95%であった。
【0025】
[中間体1dの合成]
反応フラスコに相応比例の化合物1c(302g、0.78mol)、B(OEt)(142g、0.97mol)、n-BuLi/THF(1.6M、600mL)、無水THF(3000mL)を投入し、窒素ガスを三回で抽出した後、反応液を冷却して-75〜-65oCに下降させ、緩やかにn-BuLi/THF溶液を滴下して入れ、反応液温度を-75〜-65℃に制御し、滴下が完了した後、引き続いてこの温度反応を0.5-1h保持した。その後、所定量のB(OEt)を滴下して入れ、反応液温度を-75〜-65℃に制御し、滴下が完了した後、引き続いてこの温度反応を0.5-1h保持した後、反応液を室温に移して自然加温で4-6h反応し、そうして2M稀塩酸を投入し、pH値を2-3に調節し、約1h攪拌した後、反応を停止する。酢酸エステルを投入して、水層を抽出してEAで抽出し、有機層を合併し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、抽出してろ過し、ろ過液を濃縮して灰白色の固体産物を取得した。純度が95%、収量が62.5%であった。
【0026】
[中間体1fの合成]
反応フラスコ内に化合物1d(150g、0.43mol)、化合物1e(500g、0.86mol)、Pd(PPh(5.0g、0.44mmol)、炭酸カリウム(130g、0.92mol)、トルエン(1000mL)、純水(500mL)を投入し、窒素ガスを三回で抽出した後、加熱し始め、反応液温度が95-105℃に達した時、この温度反応を8-12h保持し、TLC及びHPLCをサンプリングし、原料反応を完了する。加熱を停止し、温度が20-30℃に下降したところで抽出してろ過し、ろ過液が有機層と水層にわけられた後、酢酸エステルで抽出し、有機層を合併し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、抽出してろ過し、ろ過液を濃縮して暗い黄色の固体の粗生成物を取得する。純度が80%、収量が78.1%であった。
【0027】
[中間体1gの合成]
反応フラスコ内に化合物1f(210g、0.42mol)、NBS(135g、0.71mol)、DMF(5L)を投入する。窒素ガスを三回で抽出した後、加熱し始め、反応液温度が60-65℃に達した時、この温度反応を6-8h保持し、TLC及びHPLCをサンプリングし、原料反応を完了する。加熱を停止し、温度が20-30℃に下降したところで反応液を氷水に入れ、暗い黄色の固体を析出させて、抽出しろ過して黄色の固体が得られ、火干で1gの粗生成物を取得する。粗生成物にDCM/MeOHを投入し、溶液が略混濁した後、引き続いて約30min攪拌し、大量の固体を析出し抽出してろ過し、浅黄色の固体産物を取得した。収量が約54.05%、純度が98.5%であった。
【0028】
HNMR(300MHz,CDCl)δ8.64(d,J=8.8Hz,2H),7.99−7.90(m,4H),7.87(t,J=1.6Hz,1H),7.78(dd,J=9.3,2.3Hz,6H),7.61(ddd,J=8.8,6.5,1.1Hz,2H),7.56−7.48(m,6H),7.46−7.38(m,4H).
【0029】
13CNMR(76MHz,CDCl)δ142.67(s),142.03(s),141.26(s),140.69(s),137.83(s),137.52(s),131.87(s),131.24(s),130.44(s),129.09(s),128.80(s),128.38−127.40(m),127.18(s),126.05−125.21(m),123.08(s),77.74(s),77.31(s),76.89(s),30.10(s).
【0030】
[化合物1の合成]
500ml三口フラスコ内に、化合物1g(9.5g、16.92mmol)、化合物1h(6.41g、30.51mmol)、Pd(PPh(1.5g、1.3mmol)、炭酸カリウム(5.84g、42.3mmol)、トルエン(150mL)、純水(75mL)を順次投入する。窒素ガスを三回で抽出した後、105℃で反応する。液相を検出して、反応時間を約12h程度とする。反応の開始時、反応液が触媒剤のカーキとなった後、次第に黄色の溶液に変わり、反応を停止した後、上層が澄明な浅黄色で下層が水となる。反応の停止後、濾過して、酢酸エステルで生成物がなくなるまでろ滓を洗浄し、ろ過液を収集し、回転乾燥し、大量の灰白色の固体を析出させ、ろ滓を収集して乾燥し、目的産物を取得する。純度が98%であった。真空で昇華させることにより純度が99.5%の灰白色の固体粉末を取得した。
【0031】
H-NMR(300MHz,CDCl)δ8.10−8.21(d,2H),7.96−7.98(dd,3H),7.87−7.89(m,2H),7.81−7.86(m,4H),7.78−7.81(d,4H),7.62−7.65(m,2H),7.59(s,1H),7.51−7.57(m,5H),7.45−7.48(m,2H),7.36−7.43(m,7H),3.88(s,2H).
【0032】
[実施例2]
[化合物3の合成]
【化6】
【0033】
500ml三口フラスコ内に、化合物1g(9.5g、16.92mmol)、化合物3a(7.25g、30.46mmol)、Pd(PPh(1.5g、1.3mmol)、炭酸カリウム(5.84g、42.3mmol)及びトルエン(150mL)、純水(75mL)を順次投入する。窒素ガスを三回で抽出した後、105℃で反応する。液相の検出により、反応時間を約12h程度とする。反応の開始時、反応液が触媒剤のカーキとした後、次第に黄色の溶液に変わり、反応を停止した後、上層が澄明な浅黄色で下層が水となる。反応の停止後、ろ過して、酢酸エステルで生成物がなくなるまでろ滓を洗浄し、ろ過液を収集して回転乾燥し、大量の灰白色の固体を析出させた後、ろ滓を収集して乾燥し、目的産物を取得する。純度が98%であった。真空で昇華させることにより純度99.7%の灰白色の固体粉末を取得した。
【0034】
H-NMR(300MHz,CDCl)δ8.1−8.2(d,2H),7.96−7.99(dd,3H),7.88−7.89(m,2H),7.81−7.86(m,4H),7.78−7.81(d,4H),7.61−7.65(m,2H),7.59(s,1H),7.51−7.56(m,5H),7.46−7.48(m,2H),7.35−7.43(m,7H),1.61(s,6H).
【0035】
[実施例3]
[化合物89の合成]
【化7】
【0036】
反応容器内に、化合物1g(10.0g、17.8mmol)、化合物89a(7.1g、19.6mmol)、Pd(PPh(432.2mg、0.35mmol)、KCO(6.14g、44.5mmol)、トルエン(300mL)及び水(150mL)を順次投入し、その機器の酸素を除去すると共に窒素ガスを入れて保護し、更に100℃に加熱して反応させたまま一晩保持する。DCM:PE=1:5の比率のドットプレートを使用し、産物のドットが波長365nmの紫外光で強烈な青色光を発し、Rf値が0.2程度であった。反応液をシリカゲルで抽出してろ過した後、ろ滓を酢酸エステルで(100mL)二回洗浄し、分液し、酢酸エステルで(100mL)で水層を一回で抽出し、有機層を合併した後、水(200mL)で有機相を一回洗浄した。回転乾燥により溶剤を除去した。粗生成物を120mlDCM/MeOHで再結晶化させ、抽出ろ過して黄色の固体粉末を13.1g取得した。その純度が98.7%で、収量が92.2%であった。真空で昇華させることで純度99.7%の浅黄色の固体粉末を取得した。m/z=797.
【0037】
図2及び図3から分かるように、化合物89の水素スペクトラム及び炭素スペクトラムがその構造と完全に合致する。図4の化合物89の高速液体クロマトグラムから分かるように、本発明による合成方法で調製された産物が高純度で得られた。図5の化合物89の熱重量(TGA)分析のグラフから分かるように、この化合物の分解温度が摂氏400度を超えており、その高い熱安定性を示している。
【0038】
[実施例4]
[有機電界発光素子1の調製]
[本発明の有機電子材料によるOLED調製]
先ず、透明導電ITOガラス基板10(上面に陽極20を有する)が洗浄溶液及び脱イオン水、アルコール、アセトン及び脱イオン水により順次洗浄した後、酸素等のイオンで30秒処理した。
また、ITOで厚さ10nmのHAT-CN6を正孔注入層30として蒸発コーティングした。
【0039】
そうして、NPBを蒸発コーティングして、厚さ30nmの正孔伝送層40を形成した。
更に、正孔伝送層の上には、30nmの厚さの化合物3を発光層50として蒸発コーティングした。
【0040】
その後、発光層に厚さ15nmのTPBiを電子伝送層60として蒸発コーティングした。
最後に、それぞれ15nmのBPhen:Liを電子注入層70として、150nmのAlを素子陰極80として蒸発コーティングした。
調製された素子は、20mA/cmの作動電流密度での電圧が3.58Vであり、電流効率が3.21cd/Aに達し、1000cd/mの輝度でCIEy座標が0.0853となり、青色光を発射した。
【0041】
[素子の構造式]
【化8】
【0042】
[実施例5]
[有機電界発光素子2の調製]
その調製方法は、実施例4と同様に、化合物3を化合物89に変換することで、有機電界発光素子を調製した。
調製した素子は、20mA/cmの作動電流密度での電圧が3.84Vであり、電流効率が2.83cd/Aに達し、1000cd/mの輝度でCIEy座標が0.0888となり、青色光を発射した。
【0043】
[比較例1]
その方法は、実施例4と同様に、化合物3を以下の化合物TATに変換することで、比較用有機電場発光素子を作製した。
【0044】
TAT構造式
【化9】
【0045】
作製された素子は、20mA/cmの作動電流密度で電圧が4.00Vであり、電流効率が2.46cd/Aに達し、1000cd/mの輝度でCIEy座標が0.0952となり、青色光を発射した。
【0046】
実施例4及び5は、本発明の材料の具体的な応用であり、本発明は作製された素子が青色光を発射し、その効率及び輝度が比較例よりも高くなった。そのため、本発明による材料が高い安定性を備え、本発明で調製された有機電界発光素子が高い効率及び光純度を備えた。
【符号の説明】
【0047】
10 ガラス基板、20 陽極、30 正孔注入層、40 正孔伝送層、50 発光層、60 電子伝送層、70 電子注入層、80 陰極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9