(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第3の導体層が前記超音波トランスデューサ上に配置され、前記第3の導体層と前記第2の導体層との間にアンダーフィル材料が配置される、請求項1に記載の撮像装置。
前記可撓性の細長い部材の前記遠位部分に配置された追加の超音波トランスデューサをさらに含み、前記超音波トランスデューサと前記追加の超音波トランスデューサとは、超音波スキャナアセンブリを形成するように円周方向に配置された複数の超音波トランスデューサであり、
前記音響インピーダンス整合構造は、前記複数の超音波トランスデューサの半径方向外側に配置される、
請求項1に記載の撮像装置。
【背景技術】
【0002】
人体内の状態を評価し、測定し、診断するために、最小侵襲センシングシステムが医療従事者によって日常的に利用されている。一例として、血管内超音波(IVUS)イメージングは、治療の必要性を判定するために、介入をガイドするために、及び/又はその有効性を評価するために人体内の罹患血管(動脈など)を評価するための診断ツールとして、インターベンショナル心臓病学の分野において幅広く利用されている。IVUS装置は、細長い部材の遠位端に配置された1つ以上の超音波トランスデューサを含む。細長い部材は血管内に通され、トランスデューサが撮像領域に誘導される。トランスデューサは、対象血管の画像を生成するために、超音波エネルギーを出射する。超音波は、組織構造(血管壁の様々な層など)、赤血球、及び他の対象物に起因する不連続性によって部分的に反射される。トランスデューサによって反射波からのエコーが受信され、IVUS撮像システムに送られる。撮像システムは、受信された超音波エコーを処理して、装置が位置する血管の断面画像を生成する。
【0003】
今日使用されているIVUS装置には、回転タイプ及びソリッドステートタイプ(合成開口フェーズドアレイとも呼ばれる)の2つの一般的なタイプが存在する。典型的な回転式IVUS装置では、関心のある血管に挿入されるプラスチックシースの内側で回転する可撓性の駆動軸の先端に、単一の超音波トランスデューサ要素が配置される。側方撮像回転式装置では、トランスデューサ要素は、超音波ビームが装置の長軸に対して略垂直に伝播するように方向づけられる。前方撮像回転式装置では、トランスデューサ要素は、超音波ビームがより先端向きに伝播するよう(一部の装置では、長軸中心線に平行に出射される)、遠位先端に向かって方向づけられる。流体で満たされるシースは、超音波信号がトランスデューサから組織内に伝播し、戻って来ることを可能にしつつ、血管組織を回転するトランスデューサ及び駆動軸から保護する。駆動軸が回転している間、トランスデューサは周期的に高電圧パルスによって励起され、短い超音波バーストを放射する。その後、同じトランスデューサが、様々な組織構造から反射される反射エコーを待ち受ける。IVUS医療用センシングシステムは、トランスデューサの1回転の間に生じる一連のパルス/取得サイクルから、組織、血管、心臓構造などの2次元表示を組み立てる。ある長さの血管を撮像するために、トランスデューサ要素は、回転しながら血管中を引き戻される。
【0004】
対照的に、ソリッドステートIVUS装置は、複数のトランスデューサコントローラのセットに接続された超音波トランスデューサアレイを含むスキャナアセンブリを利用する。側方撮像型、及び一部の前方撮像型のIVUS装置では、複数のトランスデューサが装置の円周沿いに分配される。他の前方撮像IVUS装置では、トランスデューサは遠位先端に直線状に配列され、超音波ビームがより長軸中心線に平行に伝播するよう設置される。トランスデューサコントローラは、超音波パルスを送信し、エコー信号を受信するためのトランスデューサセットを選択する。一連の送受信セットを実行することにより、ソリッドステートIVUSシステムは、移動部分はないが、機械的に走査された複数のトランスデューサ素子の効果を合成することができる。回転する機械的要素がないので、トランスデューサアレイは、血液及び血管組織と直接接触し、血管外傷のリスクは最小限に抑えられる。さらに、回転要素がないため、インターフェイスが単純化される。ソリッドステートスキャナは、単純な電気ケーブル及び標準的な着脱可能電気コネクタを使用して、医療用センシングシステムに直接配線され得る。スキャナアセンブリのトランスデューサは回転しないが、血管のある長さを撮像するために、スキャナアセンブリが、一連の送受信セットを実行しながら血管中を引き動かされて一連の放射状スキャンを生成するという点では、動作は回転式システムの動作と同様である。
【0005】
両方のタイプの撮像装置が、周囲環境内の構造によって生成された超音波反射を利用して画像を生成する。しかしながら、組織及び流体の境界においてエコーを発生させるものと同じ物理的特性が、細長い部材内で望ましくないエコーを発生させる。これらのエコーは、部分的に、細長い部材を作成するために使用される様々な材料の異なる音響インピーダンスに起因する。これらのエコーの一部は有益である。例えば、一部の後方反射は前進ビームと建設的に干渉し、パワーを増加させる。しかしながら、細長い部材によって生成されるほとんどのエコーは単にノイズに寄与する。このノイズは、環境反射の識別をより困難にし、解像度、感度、及び忠実度を低下させる。したがって、IVUS画像品質を向上させる改善された音響特性を有する血管内装置及びシステムに対するニーズが依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の原理の理解を容易にするため、図示されている実施形態が参照され、また、それらを説明するために具体的な用語が使用される。しかし、本開示の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。記載される本開示の原理の装置、器具、方法、及びさらなる用途へのあらゆる変更及び改変は、本開示が関連する分野の当業者が通常考えつくであろうように、完全に考慮される。特に、1つ又は複数の実施形態に関して説明した特徴、構成要素及び/又は工程は、本開示の他の実施形態に関して説明した特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせられ得ることは完全に考慮される。簡略化のために、場合によっては、同一の又は類似する部分を指すために、異なる図面を通して同じ参照番号が使用される。
【0013】
本開示の一部の実施形態は、一般的に、1つ又は複数の音響インピーダンス整合構造を含む血管内撮像装置及び医療用センシングシステムに関する。
図1Aは、本開示の一実施形態に係る医療用センシングシステム100の模式的な概略図を示す。医療用センシングシステム100は、医療用センシングシステム100の細長い部材102(カテーテル、ガイドワイヤ、又はガイドカテーテルなど)を含む。本明細書で使用する「細長い部材」又は「可撓性の細長い部材」は、患者の脈管構造内に挿入可能な任意の細長い可撓性の構造を少なくとも含む。可撓性の細長い部材102は、例えば、ガイドワイヤ、カテーテル、及びガイドカテーテルを含む。カテーテルは、その長さに沿って延びる、他の器具を受け入れ及び/又はガイドするための管腔を含んでも含まなくてもよい。カテーテルが管腔を含む場合、管腔は、装置の断面プロファイルに対して中心にあってもオフセットされていてもよい。本開示の「細長い部材」の図示の実施形態は、可撓性の細長い部材の外径を定める円形断面プロファイルを有する円筒形状を有するが、他の例では、可撓性の細長い部材の全部又は一部が、他の幾何学的断面プロファイル(例えば、楕円形、長方形、正方形など)又は不規則的な断面プロファイルを有してもよい。
【0014】
医療用センシングシステム100は、様々な用途において利用され、生体内の血管及び構造を評価するために使用されてもよい。そのために、細長い部材102は血管104内へ挿入される。血管104は、撮像可能な生体内の天然の又は人工の流体で満たされた又は包囲された構造を代表し、限定するものではないが、例えば、心血管系血管、血液又は他の身体系内の弁、並びに肝臓、心臓、及び腎臓を含む器官などの構造を含み得る。天然の構造の撮像に加えて、細長い部材102は、限定はされないが、人工心臓弁、ステント、シャント、フィルタ、及び身体内に配置された他の装置などの人工構造を撮像するために使用されてもよい。細長い部材102は、血管104に関する診断データを収集するために部材102の長さに沿って配置された複数のセンサ106を含む。様々な実施形態において、センサ106は、フロー、オプティカルフロー、IVUS、光音響IVUS、FL−IVUS、圧力、光圧力、冠血流予備量比(FFR)測定、冠血流予備能(CFR)測定、OCT、経食道心エコー(transesophageal echocardiography)、画像誘導治療、他の適切なモダリティ、及び/又はこれらの組み合わせ等のセンシングモダリティに対応する。
【0015】
図1Aに示される例示的な実施形態では、細長い部材102は、ソリッドステートIVUS装置を含み、複数のセンサ106は、IVUS超音波トランスデューサのアレイを含む。センサ106、及びセンサ106に関連する制御回路は、スキャナアセンブリ108に組み込まれ得る。スキャナアセンブリ108が撮像領域の近くに配置されると、制御回路は、血管104及び周囲の構造によって反射される超音波パルスを送信するいくつかのIVUSトランシーバを選択する。センサ106は、血管104及び周囲の解剖学的構造の断面図を得るために、細長い部材102の円周沿いに配置され、超音波エネルギーを半径方向110に放射するように配置されてもよい。制御回路はまた、エコー信号を受信するいくつかのトランシーバを選択する。一連の送受信セットを繰り返し実行することにより、医療用センシングシステム100は、移動部分はないが、機械的に走査されたトランスデューサ素子の効果を合成することができる。
【0016】
図1Bは、本開示の一部の実施形態に係る別の細長い部材102を含むシステムの概略図である。
図1Bの細長い部材102は、典型的な回転式装置、例えば回転式IVUS超音波システムであり、センサ106は、半径方向110に超音波エネルギーを出射するように構成された1つ又は複数のIVUSトランスデューサを含む。このような実施形態では、血管104の断面図を得るために、1つ又は複数のセンサ106は、細長い部材102の長軸を中心として機械的に回転させられ得る。
【0017】
センサ106からのデータは、ケーブル112を介して患者インターフェイスモジュール(PIM)114及び/又はコンソール116に送信される。様々な外科的状況において、患者安全要件は、患者の物理的及び電気的隔離を強いるため、PIM114は隔離装置である。したがって、完全な電気絶縁が必要な場合、PIM114及びコンソール116は、光学的、RF、又は他の非導電性リンクによって通信可能に結合され得る。それほど要求が厳しくない環境では、導電性通信リンク及び/又は電力結合が両者をつないでもよい。さらに、一部の実施形態では、PIM114及びコンソール116は同じ場所に配置され、かつ/又は同一のシステム、ユニット、シャーシ、又はモジュールの一部である。PIM114及びコンソール116は合わせて、モニタ118上に画像として表示するために、センサデータを組み立て、処理し、レンダリングする。例えば、様々な実施形態において、PIM114及び/又はコンソール116は、センサ106を構成するための制御信号を生成し、センサ106を作動させるための信号を生成し、センサデータの増幅、フィルタリング、及び/又は集積を実行し、センサデータを表示用画像としてフォーマットする。PIM114とコンソール116の間のこれらのタスク及び他のタスクの割り当ては、単に任意である。
【0018】
細長い部材102を前進及び後退させるために、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルが使用され得る。したがって、一部の実施形態では、細長い部材102は、
図1Aに示すようなガイドワイヤ出口ポート120を含む。ガイドワイヤ出口ポート120は、部材102を血管構造(例えば、血管104)に導くために、ガイドワイヤ122を遠位端に向かって挿入することを可能にする。一部のこのような実施形態では、細長い部材102はラピッドエクスチェンジカテーテルである。追加で又は代替的に、細長い部材102は、
図1Bに示すように、ガイドカテーテル124の内側を通って血管104を通過する。
【0019】
一部の実施形態では、細長い部材102は、遠位先端付近に膨張可能なバルーン部分126を含む。バルーン部分126は、IVUS装置の長さに沿って延び、膨張ポート(図示せず)で終わる管腔と連絡する。バルーン126は、膨張ポートを介して選択的に膨張及び収縮させることができる。
【0020】
図2は、本開示の実施形態に係る医療用センシングシステム100を使用する診断手順を実行する方法200の流れ図である。方法200の各ステップの前、途中、及び後に追加のステップが設けられてもよく、また、方法の他の実施形態では、説明されるステップの一部が置換又は削除され得る。
【0021】
図2のブロック202を参照し、かつ
図1A及び
図1Bを引き続き参照して、システムの典型的な環境及び用途の例において、執刀医は、血管104内にガイドワイヤ122を配置する。ガイドワイヤ122の配置の前、最中、又は後に、ガイドワイヤ122は、細長い部材102の遠位端の少なくとも一部に通される。
図2のブロック204を参照して、ガイドワイヤ122を適所に配置した後、細長い部材102がガイドワイヤ上を前進させられる。加えて又は代わりに、ブロック202においてガイドカテーテル124が血管104内を前進させられ、ブロック204において細長い部材102がガイドカテーテル内で前進させられる。
【0022】
ブロック206を参照して、配置後、センサ106が起動される。PIM114からケーブル112を介してセンサ106に送られる信号は、センサに診断情報を取得させる。IVUS用途の例では、センサ106内のトランスデューサが、特定の超音波波形を放射する。超音波波形は、血管104及び周囲の解剖学的構造によって反射される。反射は、トランスデューサによって受信され、ケーブル112を介する送信のために増幅される。エコーデータはケーブル112上に配置され、PIM114に送られる。
【0023】
これらの及び他の例において、PIM114は、ブロック208においてセンサデータをコンソール116に再送する前に、任意の適切な信号処理又は増強を実行し得る。ブロック210を参照して、コンソール116は、受信したセンサデータを集約して組み立てて、モニタ118上に表示するための血管104の画像を生成する。一部の例示的な適用例では、細長い部材102は、撮像される血管104の領域の先まで前進させられ、スキャナアセンブリ108が動作している間に引き戻され、これにより、血管104の長手方向部分を露出及び撮像する。一定速度を保証するために、場合によっては引き戻し機構が使用される。典型的な引き戻し速度は0.5cm/sである。一部の実施形態では、部材102は膨張可能なバルーン部分126を含む。治療処置の一部として、バルーン126は、血管104内の狭窄(狭い部分)又は閉塞プラークに隣接して配置され、血管104の制限された領域を広げるために膨張させられ得る。
【0024】
次に、ソリッドステートシステム及び回転式システムの両方に関する様々な細長い部材102及びセンサ106について説明する。まず、
図3を参照して、
図1Aに示されるもののような細長い部材102における使用に適したソリッドステート超音波スキャナアセンブリ302が示されている。
図3は、製造途中の、平坦な状態にある超音波スキャナアセンブリ302を示す。アセンブリ302は、トランスデューサ領域304内に形成されたトランスデューサアレイ302と、制御領域308内に形成された複数のトランスデューサ制御ロジックダイ306(ダイ306A及び306Bを含む)とを含み、その間には移行領域310が配置される。トランスデューサアレイ302に関して、アレイ302は、任意の数及びタイプの超音波トランスデューサ312を含むことができるが、明確さのために、
図3には限られた数の超音波トランスデューサのみが示されている。一実施形態では、トランスデューサアレイ302は、64個の個別の超音波トランスデューサ312を含む。他の実施形態では、トランスデューサアレイ302は、32個の超音波トランスデューサ312を含む。トランスデューサの他の数も考えられ、提供される。トランスデューサのタイプに関して、一実施形態では、超音波トランスデューサ312は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,641,540号に開示されているように、ポリマー圧電材料を使用してMEMS(microelectromechanical system)基板上に作成されたPMUT(piezoelectric micromachined ultrasound transducers)である。別の実施形態では、トランスデューサアレイは、バルクPZTセラミック又は単結晶圧電材料から作成された圧電トランスデューサ、CMUT(capacitive micromachined ultrasound transducers)、他の適切な超音波送信機及び受信機、並びに/又はこれらの組み合わせを含む。
【0025】
スキャナアセンブリ302は、様々なトランスデューサ制御ロジックを含むことができ、図示の実施形態では、複数の別個の制御ロジックダイ306に分割されている。様々な例において、スキャナアセンブリ302の制御ロジックは、PIM108によってケーブル114を介して送信された制御信号をデコードすること、1つ又は複数のトランスデューサ312を駆動して超音波信号を放射すること、1つ又は複数のトランスデューサ312を選択して超音波信号の反射エコーを受信すること、受信されたエコーを表す信号を増幅すること、及び/又は信号をケーブル114を介してPIMに送信することを実行する。図示の実施形態では、64個の超音波トランスデューサ312を有するスキャナアセンブリ302が、制御ロジックを9個の制御ロジックダイ306に分割し、そのうちの5つが示されている。他の実施形態では、8、9、16、17、及びそれ以上等の他の数の制御ロジックダイ306を組み込んだ設計が利用され、また、制御ロジックダイ306は必ずしも均質である必要はない。一般に、制御ロジックダイ306は、駆動可能なトランスデューサの数によって特徴付けられ、例示的な制御ロジックダイ306は、4、8、及び16個のトランスデューサを駆動する。
【0026】
トランスデューサ制御ロジックダイ306及びトランスデューサ312は、構造的支持を提供し、電気的結合のために相互接続するフレックス回路314上に取り付けられる。フレックス回路314は、可撓性のポリイミド又は他のポリマー材料、例えばKAPTON(デュポン社)からなるフィルム層を含むように構成され得る。他の適切な材料には、ポリエステルフィルム、他のポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はポリエーテルイミドフィルム、他の可撓性の印刷半導体基材、並びにUpilex(宇部興産株式会社)及びTEFLON(登録商標)(E.I. du Pont)等の製品が含まれる。フィルム層は、場合によっては、フェルールの周りに巻かれて円筒状の環状体を形成する。したがって、フィルム層の厚さは、一般的には、最終的な組み立て後のスキャナアセンブリ302の曲率に関係する。一部の実施形態では、フィルム層は5μm〜100μmであり、一部の
具体的な実施形態では12.7μm〜25.1μmである。
【0027】
制御ロジックダイ306及びトランスデューサを電気的に相互接続するために、一実施形態では、フレックス回路314はさらに、フィルム層上に形成された複数の導電性トレースを含み、導電性トレースは、制御ロジックダイ306とトランスデューサ312との間で信号を搬送し、また、ケーブル114の導体を接続するための複数のパッドのセットを提供する。導電性トレースに適した材料には、銅、金、白金、アルミニウム、銀、ニッケル、及びスズが含まれ、スパッタリング、めっき、及びエッチングなどのプロセスによってフレックス回路314上に形成され得る。一実施形態では、フレックス回路314は、クロム接着層又はチタン−タングステン接着層を含む。導電性トレースの幅及び厚さは、フレックス回路314が巻かれた状態で適切な導電性及び弾性を提供するように選択される。この点で、導電性トレースの例示的な幅の範囲は10〜50μmである。例えば、一実施形態では、20μmの導電トレースが20μmの間隔で分離される。導電性トレースの幅は、さらに、装置のパッドのサイズ、又はトレースに結合されるワイヤの幅によって決定されてもよい。導電トレースの厚さは、約1μm〜約10μmの範囲を有し、典型的な厚さは5μmである。
【0028】
一部の例では、制御ロジックダイ306及びトランスデューサ312がフレックス回路314に取り付けられた後、スキャナアセンブリ302が平坦な構成からロール状の( すなわち 、より円筒状の)構成に移行される。例えば、一部の実施形態では、「ULTRASONIC TRANSDUCER ARRAY AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME」という名称の米国特許第6,776,763号及び「HIGH RESOLUTION INTRAVASCULAR ULTRASOUND TRANSDUCER ASSEMBLY HAVING A FLEXIBLE SUBSTRATE」という名称の米国特許第7,226,417号のうちの1つ又は複数に開示される技術が利用され、それぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0029】
超音波スキャナの巻かれた形態が
図4に示されている。
図4は、本開示の一実施形態に係る超音波スキャナアセンブリ302のトランスデューサ領域304の断面図である。その名前が示すように、スキャナのトランスデューサ領域304はトランスデューサ312を含み、トランスデューサ312は、エポキシ又は他の接着剤などのアンダーフィル材料402によってフレックス回路314に物理的に取り付けられる。一部の実施形態では、スキャナアセンブリ302は、トランスデューサ312及びフレックス回路314上に配置された1つ又は複数の導電層(例えば、導電層404〜408)を含む。例えば、導電層404は、トランスデューサ312とフレックス回路314との間であって、かつトランスデューサ312の真上に配置される。例示的な導電層406は、フレックス回路314とトランスデューサ312との間であって、かつフレックス回路314の真上に配置される。例示的な導電層408は、トランスデューサ312とは反対側において、フレックス回路314の真上に配置される。導電層404〜408は、トランスデューサ312を電気結合するための信号トレース、電源電圧を運ぶための電力トレース、又は接地、接地シールド、放射線不透過マーカー、若しくは他の構造を含み、また、インピーダンス整合構造の一部であってもよい。したがって、導電層404〜408は、金、白金、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、及びスズなどの任意の適切な導体を含み、導体及びその物理的寸法は、所望の音響インターフェイスを提供するよう構成され得る。
【0030】
以下、様々な例を説明する。一実施形態では、第1の導電層404は、各トランスデューサ312のコネクタであり、電源電圧及び/又は接地信号を運ぶための電力トレース内に配置された金含有導体を含む。一部の実施形態では、第2の導電層406は金を含み、任意の適切な半径方向の厚さを有し、例えば約0.5μm〜約2.0μm(例えば約0.5μm、約1.0μm、約1.5μm、2.0μmなど)である。一部の実施形態では、第3の導電層408は金を含み、任意の適切な半径方向の厚さを有し、例えば約0.5μm〜約1.0μm(例えば約0.5μm、約1.0μmなど)である。超音波スキャナアセンブリ302の様々な実施形態は、これらの導電層404〜408の一部若しくは全てを含み、又はいずれも含まないことを理解されたい。
【0031】
図示の実施形態では、スキャナアセンブリ302はさらに、スキャナアセンブリ302を覆って絶縁し、かつスキャナアセンブリ302を環境から保護するために使用される外膜410も含む。外膜410のための絶縁材料は、材料の生体適合性、耐久性、親水性若しくは疎水性、低摩擦特性、超音波透過性、及び/又は他の適切な基準に基づき選択することができる。例えば、外膜410は、KAPTON、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、Upilex、Parylene、ポリエステル若しくはPVDFのような熱収縮チューブ、Pebax(Arkema社)若しくはポリエチレンのような溶融成形可能な層、及び/又は他の適切な膜材料を含み得る。
【0032】
スキャナアセンブリ302の回転を助けたり、構造及び剛性を与えるために、トランスデューサ312にバッキング材料412が適用されてもよい。バッキング材料412は、エポキシなどの任意の適切な材料を含み、その組成は、スキャナアセンブリの音響特性を制御するように選択されてもよい。例えば、セラミック材料及び/又は金属をエポキシに添加することによって音響インピーダンスが変更されてもよい。バッキング材料412の厚さの例は、トランスデューサ312の最も半径方向の点から測定して約135μm〜約50μm(例えば、約135μm、約100μm、約60μm、及び約50μm)である。
【0033】
スキャナアセンブリは内側導電層414及び416を含み、それぞれが、トランスデューサ312を電気結合するための信号トレース、電源電圧を運ぶための電力トレース、又は接地、接地シールド、放射線不透過マーカー、若しくは他の構造を含み、また、インピーダンス整合構造の一部であってもよい。内側導電層414及び416は、金、白金、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、及びスズなどの任意の適切な導体を含むことができる。例えば、導電層414は、フレックス回路314とは反対側でトランスデューサ312の真上に配置され、電源電圧及び/又は接地信号を運ぶための電力トレース内に配置された金含有導体を含み得る。例えば、導電層416は、トランスデューサ312とは反対側でバッキング材料412の真上に配置され、放射線不透過マーカーを定めるように配置された白金を含む。超音波スキャナアセンブリ302の様々な実施形態は、これらの導電層414及び416の一方若しくは両方を含み、又はいずれも含まないことを理解されたい。
【0034】
多くの実施形態において、フレックス回路314及び取り付けられた要素は、フェルール418の周りに巻かれる。フェルール418内の管腔領域420は開いており、スキャナアセンブリ302がガイドワイヤ(図示せず)上を前進することを可能にする。フェルール418は、処置中にスキャナアセンブリ302を可視化することを助ける放射線不透過性材料を含み得る。
【0035】
以下でより詳細に説明するように、導電層404、406、408、414、及び416、フレックス回路314、アンダーフィル材料402、外膜410、又はバッキング材料412のいずれも、トランスデューサ312から周辺環境へのエネルギー伝達を改善するように、及び超音波反射を制御するよう調整された超音波インターフェイスを提供するよう構成され得る。したがって、ターゲット超音波応答が、スキャナアセンブリ302のこれらの要素の構成、寸法、構造、及び配置を決定し得る。
【0036】
図5は、スキャナアセンブリ302の一部が拡大されている、本開示の一実施形態に係る超音波スキャナアセンブリ302のトランスデューサ領域304の断面図である。特に、
図5は、トランスデューサ312の動作を示し、また、医療用センシングシステム100の撮像性能を向上させるために音響インピーダンス整合構造として利用され得るスキャナアセンブリ302のいくつかの例示的な層を示す。
【0037】
撮像中、スキャナアセンブリ302の一部のトランスデューサ312は超音波波形を放射し、一方、スキャナアセンブリの一部のトランスデューサ312は波形によって生成されるエコーを待ち受ける。トランスデューサ312は、同じ発射サイクルの間に送信機と受信機の両方として動作してもよい。超音波波形を生成するために、2つ以上のトランスデューサ312が同時に作動されてもよい。トランスデューサをグループとして作動させることにより、より強い超音波送信が達成され得る。特に、これに限定されるものではないが、比較的小さい放射トランスデューサを使用する実施形態及び/又は比較的遠距離を撮像する実施形態では、より強い放射は、S/N比を改善する。同様に、一部の実施形態では、複数の受信トランスデューサがグループとして受信するように設定される。トランスデューサのグループは、単独で動作する個々のトランスデューサよりも強い電位及び優れた撮像特性を提供し得る。
【0038】
送信トランスデューサ312は、矢印110によって表されるように、超音波エネルギーが概して半径方向外側に向けられるように構成され得る。前方撮像型の実施形態では、ビームは、断面の平面から外に、細長い部材102の遠位先端に向かうよう向けられ得る。この超音波エネルギーの一部は、スキャナアセンブリ302を取り囲む環境内に存在するターゲット502によって反射され、受信トランスデューサ312に戻り、測定される。しかしながら、外向きの超音波エネルギーの別の部分は、スキャナアセンブリ302内の構造によって反射され、受信トランスデューサ312によってノイズとして測定される。同様に、ターゲット502から戻る超音波エネルギーの一部は、スキャナアセンブリ302内の構造によって反射され、受信トランスデューサ312に到達することはない。さらに、多くの実施形態において、超音波波面は、所望の狭幅ビームに限定されない。超音波波面の一部は、方位方向及び半径方向内側に向けられ得る。この付随的な放射も、スキャナアセンブリ302内の構造によって反射され得る。外向きの信号とポジティブに干渉する反射は、送信パワーを増加させ、実際には撮像性能を改善する。一方、ネガティブに干渉する反射は、ノイズを生成し、有意なデータを不明瞭にする可能性がある。
【0039】
反射の発生を低減し、トランスデューサ312から環境への伝播を改善するために、スキャナアセンブリ302は、1つ又は複数のインピーダンス整合構造を含むことができる。構造は、スキャナアセンブリ302の様々な材料及び層、並びに専用音響材料を組み込み得る。図示の実施形態では、スキャナアセンブリ302は、導電層404〜408、フレックス回路314、アンダーフィル材料402、及び外膜410のうちの1つ又は複数を含む前側インピーダンス整合構造504を含む。これらの及び他の要素のそれぞれの材料、厚さ、音響インピーダンス(K)、組成、配置、及び/又は他の特性は、前側インピーダンス整合構造504が、トランスデューサ312から環境への音響遷移を提供するように選択され得る。
【0040】
トランスデューサ312の材料、例えばPZTの特性音響インピーダンスは、環境とは大きく異なる可能性がある。一例では、トランスデューサ312は約34MRaylのインピーダンスを有する一方、水、血液、及び超音波イメージングの対象となるほとんどの生体組織は約1.5MRayl〜約1.6MRaylの音響インピーダンスを有する。このような例では、前側インピーダンス整合構造504は、トランスデューサ312と環境の間の音響インピーダンスを有するように構成される。例えば、前側インピーダンス整合構造504は、トランスデューサ312のインピーダンス及び環境インピーダンスの幾何平均とほぼ等しい音響インピーダンスを有するように構成されてもよい。このようにすることで、前側インピーダンス整合構造504は、感度を向上させ、送信強度を上昇させ、反射を制御し、帯域幅を増大させ、イメージング周波数外の周波数を減衰させ、かつ/又は他の適切な効果を生じるように調整され得る。
【0041】
ある例では、前側インピーダンス整合構造504は、上記とほぼ同様に構成された導電層406を含む。この例では、導電層406は金を含むが、任意の他の適切な材料を使用することができ、任意の適切な厚さ、例えば約0.5μm、約1.0μm、約1.5μm、又は約2.0μm等を有し得る。他の例では、前側インピーダンス整合構造504は、上記とほぼ同様に構成された導電層408を含む。この例では、導電層408は金又は他の適切な材料を含み、任意の適切な厚さ、例えば約0.5μm又は約1.0μmを有し得る。さらに別の例では、前側インピーダンス整合構造は、約0.5μm〜約2.0μmの厚さを有する導電層406と、約0.5μm〜約1.0μmの間の厚さを有する導電層408の両方を含む。
【0042】
加えて又は代替的に、スキャナアセンブリ302は、バッキング材料412及び/又は内側導電層4
14及び4
16の1つ又は複数の組み合わせからなる後側インピーダンス整合構造506を含むことができる。前側インピーダンス整合構造504と同様に、後側インピーダンス整合構造506は、感度を向上させ、送信強度を上昇させ、反射を制御し、帯域幅を増大させ、イメージング周波数外の周波数を減衰させ、かつ/又は他の適切な効果を生じるように調整され得る。一例では、後側インピーダンス整合構造506は、音響的に吸収性であって、トランスデューサ312と同様のインピーダンスを有するバッキング材料412を含む。後側インピーダンス整合構造506は、目標インピーダンスを達成するために、様々な材料が加えられたエポキシを含み得る。例えば、セラミック充填エポキシは、約3MRayl〜約11MRaylの音響インピーダンスを有し得る。タングステン充填エポキシは、約6MRayl〜約36MRaylの音響インピーダンスを有し得る。また、バッキング材料412の厚さは音響反射を制御するよう構成され、バッキング材料412の例示的な厚さは、約135μm〜約50μm(例えば、約135μm、約100μm、約60μm、約50μmなど)である。
【0043】
インピーダンス整合構造は、同様に回転式装置に適用可能であり、
図6には、
図1Bのもののような細長い部材102において使用するのに適した1つのかかる回転式超音波スキャナアセンブリ602が示されている。
図6は、本開示の一実施形態に係る回転式超音波スキャナアセンブリ602の長手方向断面図である。この例示的な実施形態では、スキャナアセンブリ602は、ステンレス鋼製の筐体604によってその遠位端で終端され、筐体604は、丸められた先端606と、筐体604から超音波ビームが出るための切欠き部608とを備える。一部の実施形態では、スキャナアセンブリ602に取り付けられる可撓性の駆動軸610は、筐体604に溶接又は他の方法で固定された2つ以上の逆巻き(counter wound)ステンレス鋼ワイヤ層からなり、これは、可撓性の駆動軸610の回転が、筐体604も回転させるようにするためである。
【0044】
スキャナアセンブリ602は、制御回路612(例えば、ASIC、μコントローラなど)及びトランスデューサ614(例えば、PMUT MEMSトランスデューサ)を含み得る。また、制御回路612は、増幅器、送信機、及びトランスデューサ614に関連付けられた保護回路を含み得る。図示の実施形態では、制御回路612及びトランスデューサ614はワイヤボンディングされ、互いに接着され、ASIC/MEMSハイブリッドアセンブリを形成し、これがトランスデューサ筐体616に取り付けられ、エポキシで適所に固定される。他の実施形態では、制御回路612及びトランスデューサ614は、異方性導電接着剤又は他の適切なチップ間接着方法を使用してトランスデューサ614の基板にフリップチップ実装される。さらに他の実施形態では、制御回路612及びトランスデューサ614の両方が、両者を電気的に接続する導電経路を含むフレキシブル回路基板に取り付けられる。これらの及び他の実施形態では、オプションでシールド618及びジャケット620を備え得る多芯ケーブル112のリードは、はんだ付けによって又は他の方法で制御回路612に直接電気結合される。電気ケーブル112は、可撓性の駆動軸610の内腔を通ってスキャナアセンブリ612の近位端まで延び、回転インターフェイスの電気コネクタ部分に終端される。
【0045】
前述の合成開口実施例と同様に、スキャナアセンブリ602は、トランスデューサ614上に配置される、上記と実質的に同様に構成された前側インピーダンス整合構造504及び/又は後側インピーダンス整合構造506を含み得る。
【0046】
当業者は、上述した装置、システム、及び方法は様々に変更され得ることを認識するであろう。したがって、当業者は、本開示が包含する実施形態は、上記の具体的な実施形態の例に限定されないことを理解するであろう。説明のための実施形態が図示及び記載されているが、上記の開示内容は様々な改変、変更、及び置換を考慮に入れるものである。このような変更は、本開示の範囲から逸脱することなく上記になされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示に従って広範に解釈されることが妥当である。