(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患部に付着された感光物質に対して、前記感光物質と反応する光を体内にて前記患部に照射することにより、患部の治療を行う光免疫療法に用いられる発光型治療具であって、
磁性体及び該磁性体の外周に巻かれたコイルを有し、外部の送電手段から付与される磁束の変化によって発電する受電コイルと、
該受電コイルに接続された共振コンデンサーと、
前記受電コイルによって発電された電力によって、前記感光物質と反応する光を照射する発光体とを備え、
前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されて、全体がカバーによって覆われており、
前記カバーの、前記発光体の光が照射される部分は、光を透過する発光部をなしており、
前記カバーは、所定方向に長く伸びるカプセル状をなしており、
前記フレキシブル配線基板は長板状をなし、その長手方向の一端部がL字状に折曲されて折曲部が設けられており、
前記折曲部の外側に前記発光体が装着されて前記カバーの先端部に配置され、前記カバーの先端部に前記発光部が設けられていることを特徴とする発光型治療具。
患部に付着された感光物質に対して、前記感光物質と反応する光を体内にて前記患部に照射することにより、患部の治療を行う光免疫療法に用いられる発光型治療具であって、
磁性体及び該磁性体の外周に巻かれたコイルを有し、外部の送電手段から付与される磁束の変化によって発電する受電コイルと、
該受電コイルに接続された共振コンデンサーと、
前記受電コイルによって発電された電力によって、前記感光物質と反応する光を照射する発光体とを備え、
前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されて、全体がカバーによって覆われており、
前記カバーの、前記発光体の光が照射される部分は、光を透過する発光部をなしており、
更に、チューブ状をなしたチューブステントを有しており、
前記フレキシブル配線基板は、前記チューブステントの外周に筒状をなして巻かれるように配置され、このフレキシブル配線基板の外周に沿って、複数の前記発光体が所定間隔で実装されていることを特徴とする発光型治療具。
患部に付着された感光物質に対して、前記感光物質と反応する光を体内にて前記患部に照射することにより、患部の治療を行う光免疫療法に用いられる発光型治療具であって、
磁性体及び該磁性体の外周に巻かれたコイルを有し、外部の送電手段から付与される磁束の変化によって発電する受電コイルと、
該受電コイルに接続された共振コンデンサーと、
前記受電コイルによって発電された電力によって、前記感光物質と反応する光を照射する発光体とを備え、
前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されて、全体がカバーによって覆われており、
前記カバーの、前記発光体の光が照射される部分は、光を透過する発光部をなしており、
前記フレキシブル配線基板は、箱型に折曲されており、箱型をなす前記フレキシブル配線基板の外周面側に前記発光体が実装されていることを特徴とする発光型治療具。
前記磁性体は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、前記受電コイルの発電時に前記受電コイルが所定温度以上になると、前記透磁率の変化によって受電効率が低下して温度が低下するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光型治療具。
前記カバーは、前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが実装されたフレキシブル配線基板を埋設するように一体成形された、透明性を有する樹脂部材で形成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光型治療具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1における光免疫療法では、レーザー発振器を体外から人体に照射するものであるので、比較的規模の大きな医療施設でなければ、治療を施すことができず、患者にとって負担であった。
【0006】
また、近赤外光線免疫療法においても、これまでは体外から近赤外光線を照射していたが、治療効果が十分に得られないことがあり、体内に配置できる構造の治療具が求められていた。ただし、体内に配置できる治療具としては、人体への侵襲性を考慮して、なるべくコンパクトであることが必要である。
【0007】
本発明は、体内に配置して光免疫療法を施すことができ、コンパクトな形状やサイズとしやすい、発光型治療具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光型治療具は、患部に付着された感光物質に対して、前記感光物質と反応する光を体内にて前記患部に照射することにより、患部の治療を行う光免疫療法に用いられるものであって、磁性体及び該磁性体の外周に巻かれたコイルを有し、外部の送電手段から付与される磁束の変化によって発電する受電コイルと、該受電コイルに接続された共振コンデンサーと、前記受電コイルによって発電された電力によって、前記感光物質と反応する光を照射する発光体とを備え、前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されて、全体がカバーによって覆われており、前記カバーの、前記発光体の光が照射される部分は、光を透過する発光部をなしていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、発光型治療具を体内に挿入し、抗原抗体反応などの方法によって感光物質を付着された患部に、前記発光型治療具の発光部を接触又は近接させて配置し、外部の送電手段から磁束の変化を与えて前記受電コイルを発電させ、前記発光体を発光させることにより、患部に付着された感光物質を反応させて、患部に対する治療効果を付与することができる。また、受電コイルと、共振コンデンサーと、発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されているので、フレキシブル配線基板を屈曲又は折曲させることにより、レイアウト上コンパクトとなるように、かつ、発光面が所望の方向を向くように発光体を設置することができ、コンパクトな形状やサイズの発光型治療具を得ることができる。
【0010】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記フレキシブル配線基板上に、複数の前記発光体が実装されているものである。この態様によれば、発光体を複数有することにより、発光強度を高めたり、複数の方向に発光させたりすることができる。
【0011】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記カバーは、所定方向に長く伸びるカプセル状をなしており、前記フレキシブル配線基板は長板状をなし、その長手方向の一端部がL字状に折曲されて折曲部が設けられており、前記折曲部の外側に前記発光体が装着されて前記カバーの先端部に配置され、前記カバーの先端部に前記発光部が設けられている。 この態様によれば、フレキシブル配線基板のL字状の折曲部の外側に発光体が配置され、発光体がカバーの先端部に位置しているので、発光型治療具の更なるコンパクト化を図ることができる。また、カバー先端部に発光部が設けられているので、発光部を患部に向けて配置しやすくすることができる。
【0012】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記折曲部の内側に、前記共振コンデンサーが配置されており、前記フレキシブル配線基板の、前記共振コンデンサーに対して前記折曲部と反対側に隣接した位置に、前記受電コイルが配置されている。
【0013】
この態様によれば、折曲部の内側に、共振コンデンサーが配置されており、フレキシブル配線基板の、共振コンデンサーに対して折曲部と反対側に隣接した位置に、受電コイルが配置されているので、カプセル状をなしたカバー内において、発光体と、共振コンデンサーと、受電コイルとを、カバー内のスペースを有効に活用した、効率的なレイアウトで配置することでき、治療具の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0014】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記カバーは、前記受電コイルと、前記共振コンデンサーと、前記発光体とが実装されたフレキシブル配線基板を埋設するように一体成形された、透明性を有する樹脂部材で形成されている。
【0015】
この態様によれば、それぞれの部品をしっかりと固定し、絶縁性を高めて覆うことができると共に、樹脂部材で全体が一定化されるので、優れた強度が得られる。また、製造作業性がよい。
【0016】
本発明の発光型治療具の一態様としては、更に、チューブ状をなしたチューブステントを有しており、前記フレキシブル配線基板は、前記チューブステントの外周に筒状をなして巻かれるように配置され、このフレキシブル配線基板の外周に沿って、複数の前記発光体が所定間隔で実装されている。
【0017】
この態様によれば、フレキシブル配線基板は、チューブステントの外周に巻かれるようにして配置される筒状をなしているので、チューブステントの外周に発光体が装着された発光型治療具を容易に製造することができる。そして、発光型治療具を、例えば内壁にガン組織等の患部を有する管状器官に挿入することにより、管状器官の患部に発光部を密接させた状態で発光型治療具を配置させて、光免疫療法を効果的に施すことができる。
【0018】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記フレキシブル配線基板は、箱型に折曲されており、箱型をなす前記フレキシブル配線基板の外周面側に前記発光体が実装されている。この態様によれば、箱型をなすフレキシブル配線基板の外周面側に発光体が実装されているので、例えば、発光型治療具を飲み込んで患部に到達させたり、又は、発光型治療具を患部に埋め込むように配置することにより、患部に対して効果的に光を照射することができる。
【0019】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記発光体は、発光強度の放射束が100mW以上で、且つ、照射時間100時間での、累積の照射エネルギーが200J/cm
2以上となるようにされている。
【0020】
この態様によれば、発光体は、発光強度の放射束が100mW以上で、且つ、照射時間が100時間での、累積の照射エネルギーが200J/cm
2以上となるようにされているので、患部に対して光免疫療法に有効とされる、十分な発光強度及びエネルギーで、所定波長の光を照射することができ、光免疫療法の治療効果を高めることができる。
【0021】
本発明の発光型治療具の一態様としては、ガン組織からなる患部に密着して配置されて、前記患部に選択的に付着された前記感光物質に、前記発光体によって、感光性の光を照射するために用いられる。この態様によれば、ガン組織からなる患部に選択的に付着された感光物質に、発光体によって、感光性の光を近接して長時間にわたって効果的に照射することができるので、照射エネルギーを多くすることができ、感光物質の光反応によってガン組織を効果的に破壊することができる。
【0022】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記発光体の発光面は、前記カバーの前記発光部の内面に対して、2mm以下の距離となるように配置されている。
【0023】
この態様によれば、発光体の発光面が、カバーの発光部の内面に対して、2mm以下の距離となるように、フレキシブル配線基板に実装されているので、発光体の発光面が、患部に近接した位置となるように発光型治療具を配置することができ、光免疫療法の治療効果をより高めることができる。
【0024】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記カバーの前記発光部の外面は、前記患部に対して接着性を有する生体用接着剤に、接着可能な材料で形成されている。
【0025】
この態様によれば、カバーの発光部の外面は、患部に対して接着性を有する生体用接着剤に、接着可能な材料で形成されているので、例えば、人体を切開した後、患部に治療具を配置して、生体用接着剤によって、カバーの発光部外面と患部とを接着することで、患部に発光部を密着させて配置することができ、光免疫療法の治療効果をより高めることができる。
【0026】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記カバーの外周に、前記患部に係合する係合手段が設けられている。
【0027】
この態様によれば、カバーの外周に、前記患部に係合する係合手段が設けられているので、カバーをそのまま治療具の配置作業に活用することができるため、例えば、人体を切開した後、患部に発光型治療具を挿入するだけの作業で、係合手段によって患部に係合させることができ、発光型治療具の配置作業の迅速化を図ることができる。
【0028】
本発明の発光型治療具の一態様としては、前記磁性体は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、前記受電コイルの発電時に前記受電コイルが所定温度以上になると、前記透磁率の変化によって受電効率が低下して温度が低下するように構成されている。
【0029】
この態様によれば、磁性体は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、受電コイルの発電時に受電コイルが所定温度以上になると、透磁率の変化によって受電効率が低下して温度が低下するように構成されているので、受電コイルが所定温度以上になることを防ぐ、すなわち、過温度保護機能を付与することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、発光型治療具を体内に挿入し、抗原抗体反応などの方法によって感光物質を付着された患部に、前記発光型治療具の発光部を接触又は近接させて配置し、外部の送電手段から磁束の変化を与えて前記受電コイルを発電させ、前記発光体を発光させることで、患部に付着された感光物質を反応させて、患部に対する治療効果を付与することができる。また、受電コイルと、共振コンデンサーと、発光体とが、フレキシブル配線基板に実装されているので、フレキシブル配線基板を屈曲又は折曲させることにより、レイアウト上コンパクトとなるように、かつ、発光面が所望の方向を向くように発光体を設置することができ、コンパクトな形状やサイズの発光型治療具を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の発光型治療具の、第1実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0033】
なお、
図1には、第1実施形態の発光型治療具10の斜視図、
図2には、同発光型治療具10の断面説明図、
図3(a)には、第1実施形態の発光型治療具10における製造工程の、第1工程の説明図、
図3(b)には、同製造工程の第2工程の説明図、
図3(c)には、同製造工程の第3工程の説明図、
図4(a)には、同製造工程の第4工程の説明図、
図4(b)には、同製造工程の第5工程の説明図、
図4(c)には、同製造工程の第6工程の説明図、
図5(a)には、同製造工程の第7工程の説明図、
図5(b)には、同製造工程の第8工程の説明図、
図5(c)には、同製造工程の第9工程の説明図、
図6には、第1実施形態の発光型治療具の使用状態を示す説明図、
図7には、第1実施形態の発光型治療具のカバーの他形状であって、(a)は第1他形状の説明図、(b)は第2他形状の説明図、(c)は第3他形状の説明図、
図8には、第1実施形態の発光型治療具における回路構造を示す斜視図が、それぞれ示されている。
【0034】
この発光型治療具は、患部に付着された感光物質に対して、感光物質と反応する光を体内にて患部に照射することにより、患部の治療を行う光免疫療法(近赤外光線免疫療法)に用いられるものである。この実施形態における発光型治療具10は、
図6に示すように、ガン組織からなる患部200に密着して配置されて、ガン組織からなる患部200に抗原抗体反応によって予め選択的に付着された感光物質に、発光型治療具10の発光体50から感光性の光を照射し、感光物質を光によって反応させ、ガン細胞を死滅させるために用いられる。
【0035】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の発光型治療具10は、磁性体31及びこの磁性体31の外周に巻かれたコイル33を有し、外部の送電手段20(
図8参照)から付与される磁束の変化によって発電する受電コイル30と、この受電コイル30に接続された共振コンデンサー40と、受電コイル30によって発電された電力によって、感光物質と反応する光を照射する発光体50とを備えており、受電コイル30と、共振コンデンサー40と、発光体50とが、フレキシブル配線基板60に実装されて、全体がカバー70によって覆われた構造となっている。
【0036】
図1や
図2に示すように、この実施形態におけるカバー70は、所定方向に長く伸びると共に、その長手方向の先端部71及び基端部73の外周面が曲面状に形成された、カプセル状をなしている。また、カバー70の、発光体50の光が照射される部分は、光を透過する発光部75をなしている。なお、この実施形態のカバー70においては、その先端部71に発光部75が設けられている。
【0037】
上記カバー70の内部には、受電コイル30と共振コンデンサー40と発光体50とが実装されたフレキシブル配線基板60が収容されており、その結果、受電コイル30、共振コンデンサー40、発光体50、及びフレキシブル配線基板60の全体が、カバー70によって覆われるようになっている。また、フレキシブル配線基板60は、発光体50がカバー70の先端部71に位置するように収容されており、発光部75の内面に対して、発光体50の発光面51が対向するように配置されている。なお、この実施形態では、
図1、2に示すように、カバー70が、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60を埋設する透明性を有する一体の樹脂で形成されている。
【0038】
ただし、カバー70を、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60を収容するカプセルとし、カバー70と、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60との隙間に、透明性を有する樹脂材を充填した構造としてもよい。また、カバー70と、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60との隙間が空洞となっていてもよい。いずれの場合も、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60がカバー70内で所定位置に固定されるようにすることが好ましい。
【0039】
上記カバー70は、例えば、エポキシ樹脂やポリカーボネート等の合成樹脂によって形成することができる。この実施形態では、
図5(a)〜(c)に示すように、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60を、金型150、160内に配置して(同図(a))、金型150、160を閉じ、その内部に透明性を有する樹脂を射出し(同図(b))、金型150、160を開いて成形品を取出す(同図(c))ことによって、カバー70が形成されている。そして、カバー70の両端部71,73の外周が曲面状をなし、カバー全体が透光性を有している。
【0040】
なお、カバー70の発光部75以外の箇所を、所定の色で着色してもよい。ただし、カバー70の、発光体50の光が照射される部分は、光透過性にして前記発光部75を設ける必要がある。更に
図6に示すように、カバー70は、ガン組織等の患部200に対して密着性を有する生体用接着剤300に対して、接着可能な材料で形成されていることが好ましい。この場合、カバー70の、少なくとも発光部75の外面が、生体用接着剤300に接着可能な材料で形成されていればよい。
【0041】
なお、
図2に示すように、カバー70の外径X1(言い換えると発光型治療具10の外径)は、好ましくは4mm以下とされ、より好ましくは3mm以下とされる。更に、カバー70の軸方向に沿った長さX2(言い換えると発光型治療具10の長さ)は、好ましくは8mm以下とされ、より好ましくは6mm以下とされる。
【0042】
また、カバーは、
図7(a)〜(c)に示すように、その外周に、患部200に係合する係合手段を設けた形状としてもよい。
【0043】
図7(a)のカバー80は、先端部81に近接した部分の外周に、基端部83側に向けて斜めに突出した突起85が設けられている。なお、突起85の、カバー80の基端部83側の端面は、カバー80の長手方向に対して直角となっている。前記突起85は、カバー80の周方向に均等な間隔で複数設けたり、或いは、カバー80の全周に亘って環状に設けたりしてもよい。そして、このカバー80を備える発光型治療具11は、カバー80の先端部81が患部200内に挿入されたとき、突起85が患部200内で係合することで、患部200に配置される。すなわち、カバー80と一体に設けられた突起85が、患部200に係合する係合手段をなしている。
【0044】
図7(b)のカバー90は、先端部91の断面が、矢印のような形状をなしており、その最先端が鋭利な突起95をなしている。そして、先端部91の基端側が、カバー90の胴部に対して突出する突起97をなしている。なお、突起97の、カバー90の基端部93側の端面は、カバー90の長手方向に対して直角となっている。上記突起97は、カバー90の周方向に均等に設けた複数のもので構成されていてもよく、或いは、カバー90の全周に亘って環状をなすものでもよい。そして、このカバー90を備える発光型治療具12は、カバー90の先端部91が患部200内に挿入されたとき、突起97が患部200内で係合することで、患部200に配置される。すなわち、突起97が患部200に係合する係合手段をなしている。
【0045】
図7(c)のカバー100は、先端部101と、基端部103との間の、外周の途中に、軸方向に所定間隔をあけて、基端部103側に向けて斜めに突出した、複数の突起105が設けられている。なお、各突起105の、カバー100の基端部103側の端面は、カバー100の長手方向に対して直角となっている。前記突起105は、カバー100の周方向に均等に設けたり、或いは、カバー100の全周に亘って環状に設けたりしてもよい。そして、このカバー100を備える発光型治療具13は、カバー100の先端部101が患部200内に挿入されたとき、軸方向に設けた複数の突起105が患部200内で係合することで、患部200に配置される。すなわち、カバー80と一体に設けられた突起105が患部200に係合する係合手段である。
【0046】
また、
図1及び
図2に示すように、この実施形態における受電コイル30は、略円柱状をなした磁性体31と、この磁性体31の長手方向両端部外周に取付けられた、円環状をなした一対の電極35,35と、磁性体31の外周で、かつ、電極35,35の間に、所定線径の導線を互いに密接するようにして巻き付けられて形成されたコイル33とから構成されている。前記コイル33の両端は、電極35,35にそれぞれ接続されている。なお、磁性体31は、内部に貫通孔を設けた円筒状としてもよい。
【0047】
また、
図3(a)に示すように、磁性体31の外径X3は、好ましくは3mm以下とされ、より好ましくは2mm以下とされる。更に、磁性体31の軸方向に沿った長さX4は、好ましくは5mm以下とされ、より好ましくは3mm以下とされる。
【0048】
上記のような磁性体31は、例えば、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライトから形成することができるが、この第1実施形態における磁性体31は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、受電コイル30の発電時に、受電コイル30が所定温度以上になると、その透磁率の変化によって受電効率が低下して、温度が低下するように構成されたものとなっている。例えば、周知の感温磁性フェライト等によって、磁性体31を形成することもできる。
【0049】
また、上記コイル33は、上述したように、導線を互いに密接して巻き付けてなるものであるが、導線間に隙間を設けて磁性体外周に巻き付けて、コイルを形成してもよい。なお、導線の線径としては、好ましくは0.15mm以下とされ、より好ましくは0.10mm以下とされる。
【0050】
上記構造をなした受電コイル30は、フレキシブル配線基板60に実装されている。このフレキシブル配線基板60は、柔軟性(可撓性)があり、折り曲げ可能とされている。フレキシブル配線基板60は、プリント基板であってもよい。この実施形態におけるフレキシブル配線基板60は長板状をなしており、その長手方向の一端部がL字状に折曲されて折曲部63が設けられている。すなわち、このフレキシブル配線基板60は、所定長さで長板状に伸びた基部61と、該基部61の長手方向一端から、同基部61に対して直角に折曲して伸びる折曲部63とからなる。
【0051】
そして、
図1及び
図2に示すように、前記受電コイル30は、その軸方向が、フレキシブル配線基板60の長さ方向に沿って配置されて、前記一対の電極35,35を介して、同フレキシブル配線基板60の基部61の内面(折曲部63の内側に近い面)側に実装されている。なお、このフレキシブル配線基板60には、特に図示しないが、受電コイル30の一対の電極35,35や、共振コンデンサー40、複数の発光体50を、接続するための配線パターンが印刷されている。この配線パターンに、各部品30,40,50が、導電性のはんだや、導電性の接着剤等によって、接続されている。
【0052】
また、
図1に示すように、この実施形態における発光体50は、フレキシブル配線基板60の折曲部63の外側(カバー70の先端部71に向く側)に、複数実装されている。ここでは一対の発光体50,50が、折曲部63の幅方向(長手方向に直交する方向)に並列して配置されており、各発光体50の、光を照射する面である発光面51が、前記カバー70の先端部71に設けた発光部75の外面に対して、所定距離X5をあけて配置されるようになっている。なお、発光体50の発光面51と、カバー70の発光部75の外面との距離X5(
図2参照)は、好ましくは2mm以下の距離とされ、より好ましくは1mm以下の距離とされる。また、発光体50は3つ以上並べて配置してもよい。
【0053】
上記の発光体50は、いわゆる発光ダイオード(LED)とされている。また、この発光型治療具10は、
図6に示すように、ガン組織である患部200に密着配置され、患部200に選択的に付着された感光物質に、発光体50により感光性の光を照射することで、患部200の治療を行う光免疫療法を施すものであるが、この際の感光物質としては、例えばIR700を用いることができる。この場合、発光体50により照射される光としては、例えば、波長680〜700nmの近赤外光とされている。また、発光体50は、その発光強度の放射束が、好ましくは100mW以上、且つ、照射時間が100時間での、累積された(蓄積された)照射エネルギーが、好ましくは200J/cm
2以上なるようにされている。なお、発光型治療具10を用いて、患部200に光免疫療法を施す場合、発光体50は、上記発光強度の放射束で、100時間以上、患部200への照射を継続できるものであることが好ましい。
【0054】
更に
図1及び
図2に示すように、フレキシブル配線基板60の、折曲部63の内側(カバー70の基端部73に向く側)に、共振コンデンサー40が配置されている。それに加えて
図2に示すように、フレキシブル配線基板60の、共振コンデンサー40に対して、折曲部63と反対側に隣接した位置、すなわち、フレキシブル配線基板60を構成する基部61の内面(受電コイル30が実装された面)であって、共振コンデンサー40に所定隙間を空けて隣接した位置に、一対の電極35,35を介して、前記受電コイル30が配置されている。
【0055】
以上説明した第1実施形態の発光型治療具10においては、
図1に示すように、L字状に折曲したフレキシブル配線基板60の所定位置に、上述したように各部材がそれぞれ実装されることで、受電コイル30と、共振コンデンサー40と、一対の発光体50,50とが、フレキシブル配線基板60の長さ方向に沿って、同一線上に実装されたような構造とされ、また、この状態では、受電コイル30の一端部に対して、共振コンデンサー40が所定間隔を空けて対向して配置されるようになっている。
【0056】
また、
図8には、この実施形態の発光型治療具10の回路図が示されている。この
図8に示すように、受電コイル30の両端部に、共振コンデンサー40と、一対の発光体50,50とがそれぞれ並列して接続されている。また、一対の発光体50,50が共振コンデンサーに対して互いに逆向きに接続されており、これらが共振コンデンサー40及び受電コイル30に並列に接続されている。また、
図8に示す送電手段20は、導線が渦巻きをなすように巻いて形成されたものであり、共振コンデンサー21と、インバーター回路23とが接続された構造となっている。そして、体外に配置された送電手段20に交流電力が供給されると、その磁束の変化によって、発光型治療具10の受電コイル30が発電する。すなわち、送電手段20に交流電力が供給されて磁界が発生すると、その磁束が発光型治療具10の受電コイル30に向けて電磁誘導され無線給電されるので、受電コイル30が発電し、その電力によって複数の発光体50が所定波長の近赤外光を照射するようになっている。
【0057】
上記構造をなした発光型治療具10は、例えば、
図3〜5のような工程で製造することができる。
【0058】
すなわち、
図3(a)に示す磁性体31に、
図3(b)に示すように、その長手方向両端部の外周に、電極35,35をそれぞれ取付ける。その後、磁性体31の外周であって、一対の電極35,35の間に、導線を巻き付けてコイル33を形成し、同コイル33の両端部を電極35,35にそれぞれ接続することで、受電コイル30を製造する。なお、磁性体31の外周に導線を巻き付けてコイル33を形成した後、同コイル33の両端部に接触するように電極35,35を取付けることで、受電コイル30を製造してもよい。
【0059】
一方、
図4(a)に示すように、長板状をなし所定の配線パターンが予め印刷された、フレキシブル配線基板60の先端部(折曲部63となる部分)の一方の面に、一対の発光体50,50を配置して、周知のリフローはんだ付けによって、フレキシブル配線基板60に実装する。
【0060】
その後、
図4(b)に示すように、フレキシブル配線基板60の先端部の他方の面(発光体50,50の配置面とは反対側の面)に、共振コンデンサー40を配置すると共に、一対の電極35,35を介して受電コイル30を配置して、リフローはんだ付けによって、共振コンデンサー40及び受電コイル30を、フレキシブル配線基板60にそれぞれ実装する。
【0061】
なお、フレキシブル配線基板60に対する各部品30,40,50の接続は、上述したような、リフローはんだではなく、例えば、導電性の接着剤等によって行ってもよい。また、この実施形態では、フレキシブル配線基板60に発光体50を実装した後、共振コンデンサー40及び受電コイル30を実装しているが、この場合、使用するはんだを、融点が異なるものとすることが好ましい。例えば、
図4(a)に示すように、フレキシブル配線基板60に発光体50を実装する際には、高融点のはんだを用い、
図4(b)に示すように、フレキシブル配線基板60に受電コイル30や共振コンデンサー40や実装する場合には、発光体50をフレキシブル配線基板60に実装する際のはんだよりも、低融点の、共晶はんだを用いることができる。
【0062】
そして、上記の
図4(b)に示す状態から、基部61に対して折曲部63を、L字状をなすように折曲させることで、
図4(c)に示すように、折曲部63の外側に一対の発光体50,50が配置され、同折曲部63の内側に共振コンデンサー40が配置されると共に、基部61の内面側に配置された受電コイル30の一端部に対して、共振コンデンサー40が所定間隔を空けて対向して配置された状態となる。
【0063】
上記のように、受電コイル30、共振コンデンサー及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60を、複数個用意する。そして、
図5(a)に示すように、カバー70の外周形状を形成するための内周形状を有し、互いに近接離反可能とされた上下一対の射出成型用の金型150,160内に、各フレキシブル配線基板60をそれぞれセットする。この状態では、
図5(a)に示すように、金型160の支持部165に、フレキシブル配線基板60の基端65が支持されている。
【0064】
次いで、
図5(b)に示すように、一対の金型150,160を近接させ、金型160の支持部165に支持されたフレキシブル配線基板60の基端65を挟持させて、一対の金型150,160を閉じる。その状態で、金型150,160のキャビティ170内に透明な樹脂材料を充填する。その結果、受電コイル30、共振コンデンサー40、及び発光体50を実装したフレキシブル配線基板60の全体が、透明な樹脂材料で埋設され、透明な樹脂材料からなるカバー70で覆われた発光型治療具10を製造することができる(
図5(b)参照)。その後、一対の金型150,160を開くことで、型内から発光型治療具10を取り出し、それぞれの発光型治療具10を連結するフレキシブル配線基板60のはみ出た部分をカットして分離することにより、発光型治療具10を製造できる(
図5(c)参照)。なお、
図1,2,6では、便宜上、カバー70の先端側に埋設される、フレキシブル配線基板60の基端65については省略する。
【0065】
上記のように、この実施形態では、カバー70を射出成形で一体形成するようにしたが、例えば、カバーを、半割状の2つのカプセル体からなるカプセル状として、一方のカプセル体に、各部材を実装したフレキシブル配線基板を挿入した後、他方のカプセル体を被せて、カバー内にフレキシブル配線基板を収容するようにしてもよい。この場合、半割状の2つのカプセル体は、軸方向に沿って縦方向に分割されたものであってもよく、軸方向の途中を横断するように分割されたものであってもよい。
【0066】
また、この実施形態では、受電コイル30を構成する磁性体31は、温度によって透磁率が変化する性質を有し、受電コイル30の発電時に、受電コイル30が所定温度以上になると、その透磁率の変化によって受電効率が低下して、温度が低下するように構成されている。それによって、受電コイル30が所定温度以上になることを防ぐ、過温度保護機能を付与されている。このような磁性体31としては、例えば、感温磁性フェライト等を用いることができる。ただし、多くの磁性体は、一般的に、多かれ少なかれ、温度によって透磁率が変化する特性を有しているので、通常の磁性体を用いた場合でも、例えば、次のような構成とすることで、過温度保護機能を付与することができる。
【0067】
すなわち、この発光型治療具で採用した、受電コイル30及び共振コンデンサー40により構成される共振回路の、共振周波数特性のピークの鋭さを表す値として、Q値があるが、このQ値は下記の数式1で示される。ここで、ωは角周波数(rad/s)、Lは受電コイル30のインダクタンス(H)、Rは受電コイル30の抵抗(Ω)、fは共振周波数(Hz)である。
【数1】
【0068】
上記のQ値が高い場合には、
図12(a)に示すように、周波数がある範囲(ここでは受電効率95%)を少しでもずれると、受電量が急激に低下するという性質(ピーキーな性質)を有する。なお、
図12(a)の横軸は、送電手段20における周波数(Hz)であり、縦軸は発光型治療具の受電コイル30による受電量又は受電効率を示している。すなわち、送電手段20における周波数と、発光型治療具の受電コイル30における周波数とを、ほぼ一致させることができる場合には、高い受電量を得ることができ、発光体50を十分に発光させることができるが、そうでない場合には、受電量が急激に低くなるため、発光体50を発光させることができず、また、発光できても十分な発光強度が得られない。
【0069】
また、
図12(b)には、受電コイル30磁性体31の温度特性が、正特性(温度が上がると透磁率が増える性質)を有する場合の、透磁率と温度との関係が示されており、
図12(c)には、受電コイル30磁性体31の温度特性が、負特性(温度が上がると透磁率が減る性質)を有する場合の、透磁率と温度との関係が示されている。また、
図12(a)における受電効率95%での周波数を「a」,「b」とし、これを
図12(b),(c)に対応させて適用した場合に、「a」,「b」における透磁率を「μa」,「μb」とする。更に磁性体31は、その温度が25〜35℃となる場合に、透磁率が「μa」となり、温度が42℃となる場合に、透磁率が「μb」となるものとする。したがって、送電手段20からの送電電力が上昇して、受電コイル30の温度が42℃を超えようとした場合には、受電量が急激に低下するので、受電コイル30の温度が42℃以上に上昇することを防止して、過温度保護機能を発揮させることができる。
【0070】
次に、本発明の発光型治療具10の作用や効果について説明する。
【0071】
まず、すなわち、抗体と感光物質(例えば、IR700)との結合体を、静脈注射等により体内に投与して、この結合体を患部200(ここではガン細胞)に付着させる。その後、発光型治療具10を、人体を切開したり、或いは、複数のシースやカテーテル等を用いた周知の方法によって、体内の患部200(ここではガン組織)に対して、発光型治療具10の、カバー70の発光部75を接触させ又は近接させて配置する。また、この発光型治療具10はカプセル状をなしているので、口から飲み込んで患部に到達させてもよい。ここでは
図6に示すように、発光体50を患部200に向けて、発光型治療具10の先端部(カバー70の先端部71)を患部200内に挿入すると共に、患部200から突出したカバー70の外周部分と患部200とを、生体用接着剤300で接着することで、発光型治療具10を配置する。この際、
図6に示すように、複数の発光型治療具10を配置してもよい。例えば、一対の発光型治療具10,10を、その発光部75を設けたカバー70の先端部71,71どうしが互いに向き合うようにして配置してもよい。
【0072】
そして、人体の外部に配置された、送電手段20に交流電力が供給され、それによって変化する磁界が発生して、その磁束が発光型治療具10の受電コイル30に電磁誘導され、無線給電によって受電コイル30が発電し、その電力によって複数の発光体50が所定波長の光、例えば近赤外光を照射する。その結果、患部200に付着されたIR700等の感光物質を反応させて、患部200に対して光免疫療法を施して、患部200に治療効果を付与することができる。
【0073】
そして、この発光型治療具10においては、
図1や
図2に示すように、受電コイル30と、共振コンデンサー40と、発光体50とが、フレキシブル配線基板60に実装されているので、フレキシブル配線基板60を屈曲又は折曲させることにより、レイアウト上コンパクトとなるように、かつ、発光面51が所望の方向を向くように発光体50を設置することができ、コンパクトな形状やサイズとした発光型治療具10を得ることができる。また、この発光型治療具10においては、受電コイル30と、共振コンデンサー40と、発光体50とが、フレキシブル配線基板60に実装され、これらがフレキシブル配線基板60上に印刷された配線を介して接続されているので、受電コイル30や、共振コンデンサー40、発光体50を、導線を介して接続するといった煩雑で面倒な作業が必要なく、発光型治療具10の生産性を高めて、製造コストの低減を図ることができる。
【0074】
また、
図1に示すように、この発光型治療具10においては、フレキシブル配線基板60上に、複数の発光体50(ここでは左右一対の発光体50,50)が実装されている。このように、発光体50を複数有することにより、その発光強度を高めたり、複数の方向に発光させたりすることができる。
【0075】
更に
図1や
図2に示すように、この発光型治療具10としては、カバー70は、所定方向に長く伸びるカプセル状をなしており、フレキシブル配線基板60は長板状をなし、その長手方向の一端部がL字状に折曲されて折曲部63が設けられており、折曲部63の外側に発光体50が装着されてカバー70の先端部71に配置され、カバー70の先端部71に発光部75が設けられている。このように、フレキシブル配線基板60の、L字状の折曲部63の外側に発光体50が配置され、発光体50がカバー70の先端部71に位置しているので、発光型治療具10の更なるコンパクト化を図ることができる。また、カバー70の先端部71に発光部75が設けられているので、発光部75を患部200に向けて配置しやすくすることができる。
【0076】
更に
図1及び
図2に示すように、折曲部63の内側に、共振コンデンサー40が配置されており、フレキシブル配線基板60の、共振コンデンサー40に対して折曲部63と反対側に隣接した位置に、受電コイル30が配置されている。そのため、カプセル状をなしたカバー70内において、発光体50と、共振コンデンサー40と、受電コイル30とを、カバー70内のスペースを有効に活用した、効率的なレイアウトで配置することでき、発光型治療具10の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0077】
また、発光体50は、その発光強度の放射束が100mW以上で、且つ、照射時間100時間での、累積の照射エネルギーが200J/cm
2以上となるようにされているので、患部200に対して、光免疫療法に有効とされる、十分な発光強度及びエネルギーで、所定波長の光を照射することができ、光免疫療法の治療効果を高めることができる。また、照射時間を100時間としたときの、累積された照射エネルギーが200J/cm
2以上となるようにされているため、発光体50を連続して発光させる必要がなく、断続的に所定時間だけ発光させて、照射時間100時間での累積で200J/cm
2以上とすればよいので、治療が簡単となり、患者の負担を減らすことができる。例えば、送電手段20を自宅に設置して、患者の所望のタイミング(睡眠中等)で発光させることで、自宅で治療を施すことができ、また、病院に入院しなくとも、病院に通院して所定時間だけ治療を受けることもできる。このように、患者の希望のタイミングで、いつでもどこでも簡単に治療を行うことが可能となるため、患者の負担を減らすことができる。
【0078】
更に、この発光型治療具10は、ガン組織からなる患部200に密着して配置されて、患部200に選択的に付着された感光物質に、発光体50によって、感光性の光を照射するために用いられるものである。したがって、ガン組織からなる患部200に選択的に付着された感光物質に、発光体50によって、感光性の光を近接して長時間にわたって効果的に照射することができるので、照射エネルギーを多くすることができ、感光物質の光反応によってガン組織を効果的に破壊することができる。
【0079】
また、
図2に示すように、この発光型治療具10は、発光体50の発光面51は、カバー70の発光部75の外面に対して、2mm以下の距離(
図2のX5参照)となるように配置されている。そのため、発光体50の発光面51が、患部200に近接した位置となるように発光型治療具10を配置することができ、光免疫療法の治療効果をより高めることができる。
【0080】
また、
図6に示すように、この発光型治療具10は、カバー70の発光部75の外面は、患部200に対して接着性を有する生体用接着剤300に、接着可能な材料で形成されている。そのため、例えば、人体を切開した後、患部200に発光型治療具10を配置して、生体用接着剤300によって、カバー70の発光部75の外面と、患部200とを接着することで、患部200に発光部75を密着させて配置することができ、光免疫療法の治療効果をより高めることができる。
【0081】
なお、
図7(a)〜(c)に示すように、カバー80,90,100の外周に、患部200に係合する係合手段を設けた形状とした、発光型体治療具11,12,13については、以下のような作用効果を奏する。すなわち、これらの発光型治療具11,12,13を患部200に配置すべく、その先端部側(発光体50の設置側)を患部200に対して挿入して、突起85,95,97,105が患部200内に位置するまで押し込むことで、突起85,95,105が患部200の内部に係合するので、各発光型治療具11,12,13を患部200に密着させて配置することができる。このように、カバー80,90,100の外周に、患部200に係合する係合手段が設けられているので、カバー80,90,100をそのまま発光型治療具11,12,13の配置作業に活用することができるため、例えば、人体を切開した後、患部200に発光型治療具11,12,13を挿入し押し込むだけの簡単な作業で、係合手段である上記突起85,95,97,105を介して、患部200に係合させることができ、発光型治療具11,12,13の配置作業の迅速化を図ることができる。また、各カバー80,90,100に設けた、突起85,97,105は、基端部83,93,103側に向けて斜めに伸びる、釣り針のような返し形状となっているので、患部200から発光型治療具11,12,13が抜け出ようとしても、患部200内部に引っ掛かるので、各発光型治療具11,12,13を患部200から抜けにくくして、所定位置に維持しやすくなるという効果が得られる。
【0082】
更に、
図7(a)〜(c)に示す発光型治療具11,12,13は、上記のような突起85,97,105を有しているので、例えば、各治療具11,12,13を注射器内に収容して、注射針を患部に刺し、各治療具11,12,13を先端部側から押し込むことで、各治療具11,12,13の突起85,97,105が患部内に係合するため、体外から各治療具11,12,13を、患部内に直接挿入して配置することができる。なお、発光型治療具12の場合は、先端部91の最先端が鋭利な突起95をなしているので、上記のように体外から直接患部内に挿入する際に、特に挿入しやすい。
【0083】
また、この発光型治療具10においては、受電コイル30を構成する磁性体31は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、受電コイル30の発電時に、受電コイル30が所定温度以上になると、透磁率の変化によって受電効率が低下して温度が低下するように構成されている。このように、磁性体31は、温度によって透磁率が変化する性質を有しており、受電コイル30の発電時に、受電コイル30が所定温度以上になると、透磁率の変化によって受電効率が低下して温度が低下するように構成されているので、受電コイル30が所定温度以上になることを防ぐ、すなわち、過温度保護機能を付与することができる。
【0084】
次に、
図9及び
図10を参照しながら、本発明の発光型治療具の、第2実施形態について詳しく説明する。
【0085】
なお、
図9(a)には、第2実施形態の発光型治療具の断面説明図、
図9(b)はフレキシブル配線基板及びそれに実装された発光体等の斜視図、
図10には、第2実施形態の発光型治療具の使用状態を示す説明図が、それぞれ示されている。
【0086】
図9(a)に示すように、この第2実施形態の発光型治療具14は、チューブ状をなしたチューブステント180を有している。このチューブステント180は、長さ方向の両端部に、複数の体液流通穴181が形成されており、体内の体液を、チューブステント180の内部空間を通して流通可能となっている。また、チューブステント180の体液流通穴181よりも長さ方向の端部側には、渦巻き状をなした係止部181,181がそれぞれ設けられており、体内の内壁に係止させて所定位置に配置させるものである(なお、
図10においては、説明の便宜上、体内の内壁220には係止しないようになっているが、内壁220に係止させてもよい)。
【0087】
また、
図9(b)に示すように、この実施形態のフレキシブル配線基板66は、所定幅で且つ所定長さで伸びる長方形の板状をなしており、チューブステント180の外周に円筒状をなすように巻かれて、略円筒状に形成されている。このフレキシブル配線基板66の表面(筒形状の外面側)の所定箇所には、その外周に沿って、複数の発光体50が所定間隔で実装されており、また、共振コンデンサー40や、受電コイル30も実装されている。なお、受電コイル30を構成する磁性体31は円筒状をなしており、その内周にフレキシブル配線基板66が丸めた状態で挿入されて、フレキシブル配線基板66の外周に磁性体31が配置されるようになっている。また、磁性体31の外周にコイル33が形成されており、このコイル33の長手方向両端から伸びる端線33a,33aが、電極35,35に接続されている。更に、
図9(a)に示すように、受電コイル30や共振コンデンサー40、複数の発光体50を実装した円筒状のフレキシブル配線基板66が、チューブステント180の外周に巻き付けられて接着剤等を介して固定されると共に、前記フレキシブル配線基板66の外周が、透明性を有する一体性の樹脂からなるカバー77によって被覆されている。また、カバー77の、複数の発光体50に対応する部分が、発光部75をなしている。
【0088】
上記のように、この実施形態の発光型治療具14によれば、フレキシブル配線基板66は、チューブステント180の外周に巻かれるようにして配置される筒状をなしているので、チューブステント180の外周に、複数の発光体50装着された発光型治療具14を、容易に製造することができる。
【0089】
また、上記発光型治療具14は、例えば、管状器官の内壁220に生成されたガン組織等の患部200に光免疫療法を施すべく、内視鏡やカテーテル等を介して管状器官内に挿入されて、患部200の内周に、複数の発光体50が位置するように配置される。このとき、この発光型治療具14においては、上記のような管状器官に挿入することにより、その患部200に発光部75を密接させた状態で配置することができるので、光免疫療法を効果的に施すことができる。
【0090】
次に、
図11を参照しながら、本発明の発光型治療具の、第3実施形態について詳しく説明する。
【0091】
なお、
図11(a)には、第3実施形態の発光型治療具の断面説明図、(b)はフレキシブル配線基板及びそれに実装された発光体等の斜視図、(c)は(b)の展開図が、それぞれ示されている。
【0092】
図11(c)に示すように、この実施形態の発光型治療具15におけるフレキシブル配線基板67は、矩形状をなした第1面67Aを有しており、この第1面67Aの上辺、右辺、下辺、左辺に、折り曲げ線68を介して、第1面67Aと同形状をなした、第2面67B、第3面67C、第4面67D、第5面67Dがそれぞれ形成されており、展開したときに略十字状をなしている。また、各面67A,67B,67C,67D,67Eには、発光体50がそれぞれ実装されており、更に第3面67Cには、発光体50に隣接した位置に共振コンデンサー40が実装されている。
【0093】
そして、
図11(b)に示すように、第1面67Aの各辺に対して、複数の折り曲げ線68を介して、各面67B,67C,67D,67Eをそれぞれ折曲させることで、
図11(b)に示すような箱型に折曲されたフレキシブル配線基板67が構成されるようになっている。また、箱型に折曲されたフレキシブル配線基板67の、第1面67Aとは反対側の箇所には、受電コイル30がその端部を接触させた状態で実装されるようになっている(
図11(a)参照)。
【0094】
そして、この第3実施形態の発光型治療具15においては、箱型をなすフレキシブル配線基板67の外周面側に、複数の発光体50が実装されているので、発光型治療具15を患部200に埋め込むように配置したり、或いは、口から発光型治療具15を飲み込んで、消化器系等の患部200に到達させることにより、患部200に対して効果的に光を照射することができる。
【0095】
以上説明した本発明の態様は、その実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨の範囲内において、各種の変形実施形態が可能であり、それらの変形実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。