(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6581711
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】消防用ホース巻取具
(51)【国際特許分類】
B65H 75/40 20060101AFI20190912BHJP
A62C 33/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
B65H75/40 C
A62C33/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-224732(P2018-224732)
(22)【出願日】2018年11月30日
【審査請求日】2018年11月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名1…第32回全体屋内消火栓操法競技大会 開催場所…東日本旅客鉄道株式会社 東京総合車両センター内(東京都品川区広町2丁目1番19号) 主催者名…セントラル警備保障株式会社 開催日…平成30年10月13日 集会名2…平成30年度消防防災科学技術賞 表彰式 開催場所…ニッショーホール(東京都港区虎ノ門2−9−16) 主催者名…消防庁 開催日…平成30年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108177
【氏名又は名称】セントラル警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】荻野 聡
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3125700(JP,U)
【文献】
特開2005−126152(JP,A)
【文献】
米国特許第04056241(US,A)
【文献】
特開2002−338096(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/030545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00−75/50
A62C 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作桿の下端部に該操作桿の軸方向と直交する方向に延びる回転軸を設けると共に、該回転軸と一緒に回転する巻取部を設け、該巻取部の回転によりホースを巻き取ることができる消防用ホース巻取具であって、上記回転軸を上記巻取部の前転方向にのみ回転可能とする第一回転制御手段と、上記操作桿に回転可能に設けられ上記回転軸と並行するレバー用軸と、該レバー用軸に設けられ回動により同レバー用軸を回転させるレバーと、該レバーの回動力の内、上記回転軸の回転可能方向と一致する回動力のみを上記回転軸に伝達する第二回転制御手段と、上記レバー用軸に設けられ該レバー用軸と一緒に回転する第一ギヤと、上記回転軸に設けられ上記第一ギヤと咬合し且つ該回転軸と一緒に回転する第二ギヤとを備え、上記レバーの回動によって上記回転軸を介した上記巻取部の前転方向への回転を補完することを特徴とする消防用ホース巻取具。
【請求項2】
上記第二ギヤよりも上記第一ギヤを大径とすることを特徴とする請求項1記載の消防用ホース巻取具。
【請求項3】
上記回転軸に該回転軸の回転とは無関係に独自回転する車輪を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消防用ホース巻取具。
【請求項4】
上記巻取部は上記回転軸と一緒に回転する円盤部と、該円盤部から側方に突出する一対の巻取ピンを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消防用ホース巻取具。
【請求項5】
上記巻取ピンの一方を上記円盤部の回転中心から突出して設けると共に、他方を上記円盤部の回転中心から偏心した位置から突出して設けることを特徴とする請求項4記載の消防用ホース巻取具。
【請求項6】
上記一方の巻取ピンの突出長さが上記他方の巻取ピンの突出長さよりも長いことを特徴とする請求項5記載の消防用ホース巻取具。
【請求項7】
上記巻取部は、周壁にスリットを有する巻取ドラムから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消防用ホース巻取具。
【請求項8】
上記操作桿の上端部と上記レバーの上端部を同レベルにし、上記操作桿の上端部に側方に突出する第一グリップを設けると共に、該第一グリップと逆向きに突出する第二グリップを上記レバーの上端部に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の消防用ホース巻取具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後の消防用ホースを巻き取る器具に関する。
【背景技術】
【0002】
消防用ホースの巻取具として下記特許文献1に示すものが既知である。該巻取具は、操作桿の下端部に該操作桿の軸方向と直交する方向に延びる軸部を設け、該軸部に円筒状の巻取ドラムを一方向のみ回転可能に軸支した構成を備え、該巻取ドラムを回転させることにより、作業者は中腰にならずに立ったままでホースを巻き取ることができ、巻取作業の負担を大幅に軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−162159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の消防用ホース巻取具(以下、単に「巻取具」という。)を使用すれば、巻取ドラムを地上に敷いたホース上で回転することにより、一重巻きの場合(ホースの一端部から他端部まで全長に亘り巻き取る場合)のみならず、二重巻きの場合(ホースを長さ方向の略中心で折り返し二重にして巻き取る場合)も容易且つ適切にホースを巻き取ることができる。
【0005】
但し、上記特許文献1の巻取具にあっては、ホースを敷いた地面がぬかるみ等の滑りやすい地面である場合に、稀に、敷かれたホースが滑ってしまって上手く巻取りドラムを回転できずに、巻取作業が滞ってしまうときがある。このようなときでも、巻取具ごと後方にずらす等、別の場所に強制的に移動させれば、すぐに巻取作業が再開できるが、滑りやすい地面上でも滞りなく巻取作業を継続できる巻取具が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、滑りやすい地面上でも滞りなく巻取作業を継続でき、さらには固締めされた美麗なロールホース(巻き取られてロール状となったホース)を形成することができる巻取具を提供する。
【0007】
要述すると、本発明に係る巻取具は、操作桿の下端部に該操作桿の軸方向と直交する方向に延びる回転軸を設けると共に、該回転軸と一緒に回転する巻取部を設け、該巻取部の回転によりホースを巻き取ることができる消防用ホース巻取具を前提構成とし、次の具体的構成を備える。
【0008】
すなわち、上記回転軸を上記巻取部の前転方向にのみ回転可能とする第一回転制御手段と、上記操作桿に回転可能に設けられ上記回転軸と並行するレバー用軸と、該レバー用軸に設けられ回動により同レバー用軸を回転させるレバーと、該レバーの回動力の内、上記回転軸の回転可能方向と一致する回動力のみを上記回転軸に伝達する第二回転制御手段と、上記レバー用軸に設けられ該レバー用軸と一緒に回転する第一ギヤと、上記回転軸に設けられ上記第一ギヤと咬合し且つ該回転軸と一緒に回転する第二ギヤとを備え、上記レバーの回動によって上記回転軸を介した上記巻取部の前転方向への回転を補完することができる。よって、確実且つ適切にホースを巻き始められると共に、滑りやすい地面上でも滞りなく巻取作業を行うことができる。
【0009】
好ましくは、上記第二ギヤよりも上記第一ギヤを大径とする構成とすることにより、上記巻取部の回転(前転)補完のための上記レバーの回動を可及的に少ない回動量で行うことができる。
【0010】
また、上記回転軸に該回転軸の回転とは無関係に独自回転する車輪を設けることにより、巻き始めにおける巻取具の前進をスムーズにすると共に、巻取作業を行っていないときの巻取具の移動を容易にする。
【0011】
好ましくは、上記巻取部は上記回転軸と一緒に回転する円盤部と、該円盤部から側方に突出する一対の巻取ピンを備える構成とすることにより、簡易構造ながらも確実且つ適切にホースを二重巻きすることができる。
【0012】
さらに好ましくは、上記巻取ピンの一方を上記円盤部の回転中心から突出して設けると共に、他方を上記円盤部の回転中心から偏心した位置から突出して設けることにより、上記一方の巻取ピンを中心として上記他方の巻取ピンがホースを巻き取ることができ、中心部まで固締めされた美麗なロールホースを形成することができる。
【0013】
加えて、上記一方の巻取ピンの突出長さが上記他方の巻取ピンの突出長さよりも長い構成とすることにより、ロールホース形成後に双方の上記巻取ピンを容易に当該ロールホースから抜き取ることができる。
【0014】
また、上記巻取部は、周壁にスリットを有する巻取ドラムから成る構成とすることもできる。この場合、一重巻きするときに容易且つ確実にホースを巻き始めることができると共に、滞りなく巻取作業を継続することができる。
【0015】
また、上記操作桿の上端部と上記レバーの上端部を同レベルにし、上記操作桿の上端部に側方に突出する第一グリップを設けると共に、該第一グリップと逆向きに突出する第二グリップを上記レバーの上端部に設けることにより、上記第一グリップと上記第二グリップをそれぞれ片手で把持し前進できるため、安定した巻取作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る巻取具によれば、滑りやすい地面上でも、滞りなくホースを一重巻き又は二重巻きすることができる。
【0017】
また、容易且つ確実に巻き始めることができ、巻取終了時には固締めされた美麗なロールホースを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】巻取部の前転補完機構を表側から示す拡大説明図である。
【
図3】巻取部の前転補完機構を裏側から示す拡大説明図である。
【
図4】巻取部の前転補完機構におけるギヤの咬合状態を示す説明図である。
【
図5】実施例1に係る巻取具の使用状態を示す説明図である。
【
図6】実施例1に係る巻取具の巻取部を示す図であり、(A)は
図1に示す巻取部の拡大斜視図、(B)は巻取部の他例を示す拡大斜視図である。
【
図8】実施例2に係る巻取具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る巻取具の最適な実施例について、
図1乃至
図8に基づき詳述する。
【0020】
<各実施例の巻取具の共通構成>
図1は実施例1に係る巻取具を、
図7は実施例2に係る巻取具をそれぞれ示している。これら本発明に係る巻取具は、真っ直ぐに延びる棒状の操作桿1と、該操作桿1の下端部1bに軸固定用金具13を介して同操作桿1の軸方向と直交する方向に延びるように設けられた回転軸2と、該回転軸2と一緒に回転する巻取部3を設ける基本構成を有しており、地上に敷いたホースを巻取部3の回転(前転)により巻き取ることができる。なお、本発明においては、操作桿1の下端部1bに回転軸2を設ければよく、軸固定用金具13を用いずに、直接、操作桿1に回転軸2を固定してもよいことは勿論である。
【0021】
また、本発明に係る巻取具は、
図2乃至
図4に示すように、巻取部前転補完機構を備える。なお、
図2乃至
図4は実施例1の巻取具に基づき描いているが、実施例2の巻取具は巻取部3が実施例1とは異なるが、巻取部前転補完機構においては同様である。当該機構においては、まず、回転軸2と並行するレバー用軸4を操作桿1に軸固定用金具13を介して回転可能に設け、該レバー用軸4にレバー5を設ける構成を有している。
【0022】
加えて、回転軸2に該回転軸2を巻取部3の前転方向にのみ回転可能とする第一回転制御手段6を設けると共に、レバー5の回動を制御する第二回転制御手段7をレバー用軸4とレバー5間に設ける構成を有している。さらに、レバー用軸4に該レバー用軸4と一緒に回転する第一ギヤ8を設ける一方、回転軸2に該回転軸2と一緒に回転する第二ギヤ9を設け、該第一ギヤ8と該第二ギヤ9とを咬合する構成を有している。なお、第一回転制御手段6及び第二回転制御手段7は、いずれも円筒状のケースに内包した既知のラチェット機構やワンウェイクラッチ機構等である。
【0023】
第一回転制御手段6は、回転軸2の回転を巻取部3が前転方向にのみ許容し、巻取部3の後転方向の回転軸2の回転を規制するため、巻取部3の前転によって巻き取られたホースが巻取部3の後転によって緩むことはない。
【0024】
また、第二回転制御手段7は、
図4における左方(巻取具の前方)へのみレバー5の回動を許容し、逆に
図4における右方(巻取具の後方)へのレバー5の回動を規制する。よって、レバー5は第二回転制御手段7の規制に抗して強制的に右方に回動することにより、レバー用軸4を介して第一ギヤ8を右方に回転(後転)させることができ、該第一ギヤ8の回転に伴い、該第一ギヤ8と咬合する第二ギヤ9が左方に回転(前転)して回転軸2を回転させ、最終的に巻取部3を左方に回転、つまり前転させる。したがって、第二回転制御手段7は、レバー5の回動力の内、回転軸2の回転可能方向と一致する回動力のみ、つまり巻取部3の前転方向と一致する回動力のみを回転軸2に伝達する。その上、第二回転制御手段7は、巻取部3が前転しながら自走するときは、該巻取部3の前転による第二ギヤ9の前転に伴う第一ギヤ8の後転を許容し、巻取部3の自走を妨げない。
【0025】
本発明に係る巻取具は、既述の巻取部回転補完機構により、レバー5の回動によって回転軸2を介した巻取部3の前転方向への回転を補完することができ、確実且つ適切にホースを巻き始められると共に、滑りやすい地面上でも滞りなく巻取作業を行うことができる。
【0026】
望ましくは、第一ギヤ8は第二ギヤ9よりも大径とすることにより、第一ギヤ8を介して伝達されるレバー5の回動力を効率良く伝達することができる。すなわち、回転軸2を介した巻取部3の前転方向への回転を補完するためのレバー5の回動を可及的に少ない回動量で行うことができる。また、レバー5の長さを長くすることにより、テコの原理によって、レバー5の回動を小さい力で行うことができる。なお、第一ギヤ8と第二ギヤ9の直径の比は特に限定されるものではなく、適宜調整することができる。
【0027】
また、本発明の巻取具は、回転軸2に既知のコマーシャルベアリング等を介して該回転軸2の回転とは無関係に独自回転する車輪10を設けることにより、巻き始め、特に二重巻きにおいて形成途中のロールホースの外周部が地面に接していない時における前進をスムーズにすると共に、巻取作業を行っていないときの巻取具の移動を容易にすることができる。
【0028】
また、本発明の巻取具にあっては、操作桿1の上端部1aとレバー5の上端部5aを同レベルにし、操作桿1の上端部1aに側方に突出する第一グリップ11を設けると共に、該第一グリップ11と逆向きに突出する第二グリップ12をレバー5の上端部5aに設けることにより、
図8に示すように、第一グリップ11と第二グリップ12をそれぞれ片手で把持し前進できるため、安定した巻取作業を行うことができる。
【0029】
≪実施例1に係る巻取具≫
図1・
図5に示すように、本実施例に係る巻取具は、ホースを二重巻きする場合に対応することができ、既述した共通構成を備えると共に、二重巻きに適した巻取部3を備えている。
【0030】
本実施例における巻取部3は、
図6(A)に示すように、回転軸2に固定され該回転軸2と一緒に回転する円盤部3aと、該円盤部3から側方に回転軸2の軸方向と同向きに突出する一対の巻取ピン3b・3cを備える構成とし、簡易構造ながらも確実且つ適切にホースを二重巻きすることができるようにする。
【0031】
好ましくは、一方の巻取ピン3b(以下、「第一巻取ピン3b」という。)を円盤部3aの回転中心から突出して設けると共に、他方の巻取ピン3c(以下、「第二巻取ピン3c」という。)を円盤部3aの回転中心から偏心した位置から突出して設ける。当該構成により、第一巻取ピン3bを中心として第二巻取ピン3cがホースを巻き取ることができ、中心部まで固締めされた美麗なロールホースを形成することができる。すなわち、二重巻きにおいて、第一巻取ピン3bをホースの折り返し部分に配し、その周りを第二巻取ピン3cが遊星運動しながらホースを巻き取ることによって、中心部をしっかりと巻き締められたロールホースを形成することができる。
【0032】
加えて、本実施例の巻取部3においては、第一巻取ピン3bの突出長さが第二巻取ピン3cの突出長さよりも長い構成とするのが望ましい。第一巻取ピン3bの突出長さを長くすることにより、巻取時には確実に第一巻取ピン3bを確実に形成途中のロールホースの中心部に差し込むことができる。また、第二巻取ピン3cの突出長さを短くすることにより、ロールホース形成後に第二巻取ピン3cをロールホースから容易に抜き取ることができる。なお、第一巻取ピン3bは、もともとロールホースの中心部の空洞に存するため、突出長さが長くても容易に抜き取ることができる。
【0033】
また、本実施例における巻取部3の他例として、
図6(B)に示すように、第一巻取ピン3bと第二巻取ピン3cの双方を円盤部3aの回転中心から偏心して突出するようにしても良い。この場合、第一巻取ピン3bと第二巻取ピン3cの双方の突出長さを同等とすることや異なるようにすることも実施に応じ任意であり、円盤部3aの回転中心から偏心する長さを第一巻取ピン3bと第二巻取ピン3cとで異なる長さとしても良い。
【0034】
また、本実施例においては、
図1・
図5に示すように、折り返したホースの一方の部分H1を巻取部3に案内する第一ガイド部20を巻取部3の進行方向の前方に設けると共に、折り返したホースの他方の部分H2を巻取部3に案内する第二ガイド部30を巻取部3の進行方向の後方且つ該巻取部3よりも上位に設ける構成とすることができる。これら第一ガイド部20及び第二ガイド部30により、ホースの皺や捩じれを解消しつつ二重に巻き取ることができると共に、ホースを確実に巻取部3へ導くことができる。
【0035】
第一ガイド部20は、回転軸2に軸固定用金具13を介して回動可能に軸支され、巻取作業時には巻取部3の進行方向に沿って配される支持フレーム21と、巻取部3に対向するように設けられた第一ローラー部22及び第二ローラー部23と、支持フレーム21の先端部に設けられた車輪24とから成る。
【0036】
第一ローラー部22は、ホースの底部を案内する底部用ローラー22aと、ホースの側部をそれぞれ案内する一対の側部用ローラー22bとを有し、これらローラー22a・22bを巻取部3に対向するように支持する支持アーム22cを介して支持フレーム21に固定されている。また、第二ローラー部23は、第一ローラー部22の底部用ローラー22aと対峙しホースの天部を案内する天部用ローラー23aを有し、該ローラー23aを巻取部3に対向するように支持する支持アーム23bを介して支持フレーム21に固定されている。
【0037】
好ましくは第一ローラー部22の底部用ローラー22aを第二ローラー部23の天部用ローラー23aよりも下位且つ前方に設定する。なお、第二ローラー部23の天部用ローラー23aについては、省略することも実施に応じ任意である。
【0038】
また、第一ローラー部22の支持アーム22cと第二ローラー部23の支持アーム23bを安定して支えるため、支持アーム22cと支持アーム23bとを繋ぐ中間フレーム25を設け、該中間フレーム25の先端部に車輪24を設けても良い。なお、第一ガイド部20においては、第一ローラー部22と第二ローラー部23の各ローラーを巻取部3に対向するように支持することができれば、支持手段は既述した構成に限らない。
【0039】
第二ガイド部30は、操作桿1に固定された支持アーム31と、該支持アーム31により支持される第一ローラー部32及び第二ローラー部33とから成る。
【0040】
第一ローラー部32は、ホースの底部を案内する底部用ローラー32aと、ホースの側部をそれぞれ案内する一対の側部用ローラー32bとを有し、これらローラー32a・32bを巻取部3に対向するように支持アーム31にて支持されている。また、第二ローラー部33は、第一ローラー部32の底部用ローラー32aと対峙しホースの天部を案内する天部用ローラー33aを有し、該ローラー33aを巻取部3に対向するように支持アーム33b及び中間フレーム33cを介して支持アーム31に固定されている。
【0041】
好ましくは第一ローラー部32の底部用ローラー32aを第二ローラー部33の天部用ローラー33aよりも上位且つ後方に設定する。
【0042】
なお、第二ローラー部33の天部用ローラー33aについては、省略することも実施に応じ任意である。また、第二ガイド部30においては、第一ローラー部32と第二ローラー部33の各ローラーを巻取部3に対向するように支持することができれば、支持手段は既述した構成に限らない。
【0043】
最後に、上記説明した実施例1に係る巻取具によるホースの二重巻きについて説明する。ホースを二重巻きする場合には、まず、ホースの中途部を折り返して二重端部を形成し、該二重端部の内側に巻取部3の第一巻取ピン3bを差し込むと共に同二重端部の外側に第二巻取ピン3cを配し、両巻取ピン3b・3cでホースを挟むようにする。
【0044】
好ましくは、上記した二重端部をホースの長さ方向の中心よりもずらして形成して、当該ホースを折り返したホースの一方の部分H1(以下、単に「ホースの一方部分」という。)を折り返したホースの他方の部分H2(以下、単に「ホースの他方部分」という。)よりも短くし、
図5に示すように、ホースの一方部分H1を巻取部3の下側から巻き取ると共に、ホースの他方部分H2を巻取部3の上側から巻き取ることにより、ホースを巻取部3に確実に二重巻きすることができる。
【0045】
加えて、ホースの一方部分H1は、巻き取られる前に第一ガイド部20の第一ローラー部22により一旦持ち上げられつつ巻取部3に巻き取られるように位置合わせされ、同ガイド部20の第二ローラー部23により地上に戻されて巻取部3にて巻き取られるように待機する。よって、ホースの一方部分H1を確実に巻取部3へと導くことができる。
【0046】
また、ホースの他方部分H2は、巻き取られる前に第二ガイド部30の第一ローラー部32により一旦持ち上げられつつ巻取部3に巻き取られるように位置合わせされ、自重により巻取部3側に落ちていく過程で同ガイド部30の第二ローラー部33によって巻き取られやすいように方向転換された後、巻取部3に巻き取られる。
【0047】
また、上記のようにホースの一方部分H1よりも長い、ホースの他方部分H2が巻取部3の後方且つ上方の第二ガイド部30を経由することから、その経由距離を調整してホースの他方部分H2とホースの一方部分H1の長さの差分を吸収でき、両部分H1,H2の終端となる口金をほぼ同時に巻取部3に到達させることができる。
【0048】
≪実施例2に係る巻取具≫
図7・
図8に示すように、本実施例に係る巻取具は、ホースを一重巻きする場合に対応でき、既述した共通構成を備えると共に、一重巻きに適した巻取部3を備えている。
【0049】
本実施例における巻取部3は、
図7に示すように、周壁にスリット3eを有する巻取ドラム3dから成り、
図8に示すように、全長に亘り地上に敷いたホースHの一端部の口金(雄雌どちらでも可)を、スリット3eを通じて巻取ドラム3dの内部に配して、ホースH上で巻取ドラム3dを回転していけば、スリット3eの縁部が巻取始点となって容易且つ適切にホースHを全長に亘り巻き取ることができる。
【0050】
したがって、本実施例に係る巻取具によれば、一重巻きするときに容易且つ確実にホースを巻き始めることができる。また、既述の巻取部前転補完機構により、滑りやすい地面上であっても、滞りなく巻取作業を継続することができる。また、巻取終了時には固締めされた美麗なロールホースを形成することができる。
【0051】
また、本実施例においても、実施例1と同様に、第一ガイド部20を設けることができ、巻き取られる前のホースが第一ローラー部22により一旦持ち上げられつつ巻取部3(巻取ドラム3d)に巻き取られるように位置合わせされ、第二ローラー部23により地上に戻されて巻取部3にて巻き取られるように待機する。よって、ホースを確実に巻取部3へと導くことができる。なお、ホースの口金は第一ガイド部20を通過できないため、ホースの他端部の口金(巻き取り終点側の口金)がガイド部20の手前に達した時点でガイド部20からホースを外すことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1…操作桿、1a…上端部、1b…下端部、2…回転軸、3…巻取部、3a…円盤部、3b…第一巻取ピン、3c…第二巻取ピン、3d…巻取ドラム、3e…スリット、4…レバー用軸、5…レバー、5a…上端部、6…第一回転制御手段、7…第二回転制御手段、8…第一ギヤ、9…第二ギヤ、10…車輪、11…第一グリップ、12…第二グリップ、13…軸固定用金具、20…第一ガイド部、21…支持フレーム、22…第一ローラー部、22a…底部用ローラー、22b…側部用ローラー、22c…支持アーム、23…第二ローラー部、23a…天部用ローラー、23b…支持アーム、24…車輪、25…中間フレーム、30…第二ガイド部、31…支持アーム、32…第一ローラー部、32a…底部用ローラー、32b…側部用ローラー、33…第二ローラー部、33a…天部用ローラー、33b…支持アーム、33c…中間フレーム、H…ホース、H1…折り返したホースの一方の部分(ホースの一方部分)、H2…折り返したホースの他方の部分(ホースの他方部分)。
【要約】
【課題】 滑りやすい地面上でも滞りなく巻取作業を継続でき、さらには固締めされた美麗なロールホースを形成可能な巻取具を提供する。
【解決手段】
本発明に係る巻取具は、操作桿1の下端部1bに該操作桿1の軸方向と直交する方向に延びる回転軸2を設けると共に、該回転軸2と一緒に回転する巻取部3を設け、回転軸2を巻取部3の前転方向にのみ回転可能とする第一回転制御手段6と、操作桿1に回転可能に設けられ回転軸2と並行するレバー用軸4と、該レバー用軸4に設けられ回動により同レバー用軸を回転させるレバー5と、該レバー5の回動力の内、回転軸2の回転可能方向と一致する回動力のみを回転軸2に伝達する第二回転制御手段7と、レバー用軸4に設けられ該レバー用軸4と一緒に回転する第一ギヤ8と、回転軸2に設けられ第一ギヤ8と咬合し且つ該回転軸2と一緒に回転する第二ギヤ9とを備える。
【選択図】
図1