特許第6581736号(P6581736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581736
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】ツインクランクシャフトエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 75/32 20060101AFI20190912BHJP
   F16C 3/06 20060101ALI20190912BHJP
   F02B 75/18 20060101ALI20190912BHJP
   F02F 3/00 20060101ALI20190912BHJP
   F02F 3/12 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   F02B75/32 A
   F16C3/06
   F02B75/18 J
   F02F3/00 L
   F02F3/12
   F02F3/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-565790(P2018-565790)
(86)(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公表番号】特表2019-520513(P2019-520513A)
(43)【公表日】2019年7月18日
(86)【国際出願番号】CN2017088810
(87)【国際公開番号】WO2017215665
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】201610431728.9
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518440305
【氏名又は名称】徐州弦波引▲チェン▼机械科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】王 蓬波
(72)【発明者】
【氏名】王 平
(72)【発明者】
【氏名】劉 銀平
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104481689(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104533614(CN,A)
【文献】 特開2014−111921(JP,A)
【文献】 実開昭59−154831(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0255879(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102536455(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/172692(WO,A1)
【文献】 中国実用新案第2504392(CN,Y)
【文献】 特表2007−518919(JP,A)
【文献】 特開平10−220547(JP,A)
【文献】 特開昭62−035030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 75/18、75/32
F01B 9/02
F02F 3/00
F16C 3/00− 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒と、前記気筒内で直線往復運動できるピストンとを含むツインクランクシャフトエンジンであって、
前記気筒の両側に平行に設けられた2本のクランクシャフトに配置され、前記2本のクランクシャフトの対応するクランクピン間に連接棒がヒンジ結合されることで、ダブルクランク機構を構成し;
前記気筒を形成する気筒本体と、前記ダブルクランク機構を格納及び支持するクランクシャフト支持部とを含むシリンダーブロックを更に包括し;
前記ピストンの最上部は、ピストンヘッドであり、前記ピストンヘッドの下端がネック部であり、前記ネック部の下端が柱状のピストンロッドガイドであり、前記ピストンロッドガイド上にスロットを有し、前記連接棒が前記スロット内に摺動可能に挿入され、前記シリンダーブロック内に前記ピストンロッドガイドとマッチするピストンロッドガイド溝を有し、前記スロットの下端の開口部にピストンエンドキャップが取り付けられ、前記ピストンエンドキャップと前記ピストンロッドガイドの間が取り外し可能に固結し;
前記ピストンは、ピストンガイド側とピストン密封側を分離するスカートレスピストンであり、前記ピストン密封側が前記ピストンヘッドであり、前記ピストンガイド側が前記ピストンロッドガイド及び前記ピストンロッドガイド溝であり;
前記気筒は、複数あり、複数の前記気筒が直線状に1列又は2列配列し、前記ピストン、前記連接棒、前記ピストンロッドガイド及び各前記クランクシャフト上の前記クランクピンが前記気筒の数量及び位置に対応し、
前記連接棒は、前記スロット内に位置する連接棒本体を含み、前記連接棒本体の両端に連接棒キャップが取り付けられ、前記連接棒キャップ及び前記連接棒本体と前記クランクピンとのヒンジ結合部が取り外し可能な固結となり;前記連接棒本体の前記スロットと接触する上下エッジに耐摩耗層が設けられる、
ツインクランクシャフトエンジン。
【請求項2】
前記ピストン、前記気筒の高温燃焼ガスと直接接触する部分は、セラミック材料が用いられる
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項3】
前記耐摩耗層は、前記連接棒本体の表面にめっきした耐摩耗層或いは個々に製造された瓦状の耐摩耗層或いは個々に製造された円弧形ブロック状の耐摩耗層である
請求項に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項4】
前記ピストンロッドガイドは、円柱状である
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項5】
前記各クランクシャフトの端部には、駆動歯車が取り付けられ、2個の前記駆動歯車間に出力歯車が噛合するよう取り付けられ、前記出力歯車が前記シリンダーブロックの主軸上に取り付けられ、前記シリンダーブロック上に前記駆動歯車を格納するための筐体を有する
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項6】
前記シリンダーブロック内には、前記クランクシャフトの主軸が挿通するための軸孔を有し、各軸孔の下端にキャップが取り付けられる
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項7】
前記ネック部は、4個のリブから成る十字柱状であり、4個のリブの外側はほぼ応力均一化の円弧形を呈し;或いは前記ネック部の外輪郭は、ほぼ応力均一化の曲面を備えた回転体形状である
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項8】
前記ピストンは、可変圧縮比ピストンであり、前記ネック部と前記ピストンロッドガイドとの間にガイドスライダが連結され、前記ガイドスライダが前記ネック部と摺動可能に連結すると共に制限手段が設けられ、前記ガイドスライダと前記ピストンロッドガイドが取り外し可能に固結され、前記ネック部内に弾性部材用溝を有し、前記弾性部材用溝内に弾性部材が取り付けられ、前記ネック部と前記ピストンロッドガイドとの間に圧縮隙間を残している
請求項1に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【請求項9】
前記弾性部材は、複数の皿ばねを組み立ててから成る
請求項に記載のツインクランクシャフトエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン技術分野に関し、特に、ツインクランクシャフトエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンを問わず、いずれも実際の熱効率が理論熱効率よりもかなり低く、この現象の主な原因の一つは高温燃焼ガスと直接接触するシリンダライナ、ピストン等の部品が断熱効果の低い金属材料で製造され、金属材料の動作信頼性の継続は冷却システムを通じて密閉燃焼室から吸収した熱エネルギーを継続して冷却する必要がある。セラミック材料が断熱効果に優れた材料であり、シリンダライナ、ピストン等部品の高温燃焼ガスと直接接触する部分は、セラミック材料を用いて製造された場合、実際の熱効率をアップできる。ただし、セラミック材料の脆性による低信頼性は、エンジン上に活用される技術的障害となっている。
【0003】
本発明者がすでに出願している特許文献1では、一定程度において上記問題を解決したが、その加工製造工程が比較的複雑で、相対運動の摩擦表面の摩損が比較的著しいため、幾つかの細かい問題が解決及び改良する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願番号第CN 201410653964.6号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の不足を克服するため、本発明は、ダブルクランク機構エンジンを改良し、ピストンと気筒ライナの摩耗及び衝撃を効果的に低減し、セラミック材料をエンジンに活用する信頼性を向上し、実際の熱効率を上げるツインクランクシャフトエンジンを提供することである。同時に、本発明は、可変圧縮比の設計を用い、ピストンの可変長の調整を通じて、ピストンの上死点のタイミングにそのエンジンの圧縮比を変更させる。エンジンが中小負荷状態にあった時、高圧縮比で熱効率を上げ;エンジンが全負荷状態にあった時、低圧縮比でノッキングを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の技術的手段を通じて実現する。
気筒と、気筒内で直線往復運動できるピストンとを含むツインクランクシャフトエンジンであって、
前記気筒の両側に平行に設けられた2本のクランクシャフトに配置され、2本のクランクシャフトの対応するクランクピン間に連接棒がヒンジ結合されることで、ダブルクランク機構を構成し;
前記気筒を形成する気筒本体と、前記ダブルクランク機構を格納及び支持するクランクシャフト支持部とを含むシリンダーブロックを更に包括し;
前記ピストンの最上部はピストンヘッドであり、ピストンヘッドの下端がネック部であり、ネック部の下端が柱状のピストンロッドガイドであり、ピストンロッドガイド上にスロットを有し、前記連接棒が前記スロット内に摺動可能に挿入され、前記シリンダーブロック内に前記ピストンロッドガイドとマッチするピストンロッドガイド溝を有し、前記スロットの下端の開口部にピストンエンドキャップが取り付けられ、ピストンエンドキャップとピストンロッドガイドの間が取り外し可能に固結し;
前記ピストンは、ピストンガイド側とピストン密封側を分離するスカートレスピストンであり、前記ピストン密封側が前記ピストンヘッドであり、前記ピストンガイド側が前記ピストンロッドガイド及びピストンロッドガイド溝であり;
前記気筒は、複数あり、複数の気筒が直線状に1列又は2列配列し、前記ピストン、連接棒、ピストンロッドガイド及び各クランクシャフト上のクランクピンが気筒の数量及び位置に対応する。
【0007】
前記ピストン、気筒の高温燃焼ガスと直接接触する部分は、セラミック材料が用いられる。
【0008】
前記連接棒は、前記スロット内に位置する連接棒本体を含み、連接棒本体の両端に連接棒キャップが取り付けられ、連接棒キャップ及び連接棒本体とクランクピンとのヒンジ結合部が取り外し可能な固結となり;前記連接棒本体の前記スロットと接触する上下エッジに耐摩耗層が設けられる。
【0009】
前記耐摩耗層は、前記連接棒本体の表面にめっきした耐摩耗層或いは個々に製造された瓦状の耐摩耗層或いは個々に製造された円弧形ブロック状の耐摩耗層である。
【0010】
前記ピストンロッドガイドは、円柱状である。
【0011】
前記各クランクシャフトの端部には、駆動歯車が取り付けられ、2個の駆動歯車間に出力歯車が噛合するよう取り付けられ、出力歯車がシリンダーブロックの主軸上に取り付けられ、前記シリンダーブロック上に前記駆動歯車を格納するための筐体を有する。
【0012】
前記シリンダーブロック内には、前記クランクシャフトの主軸が挿通するための軸孔を有し、各軸孔の下端にキャップが取り付けられる。
【0013】
前記ネック部は、4個のリブから成る十字柱状であり、4個のリブの外側はほぼ応力均一化の円弧形を呈し;或いは前記ネック部の外輪郭は、ほぼ応力均一化の曲面を備えた回転体形状である。
【0014】
前記ピストンは、可変圧縮比ピストンであり、前記ネック部と前記ピストンロッドガイドとの間にガイドスライダが連結され、ガイドスライダが前記ネック部と摺動可能に連結すると共に制限手段が設けられ、前記ガイドスライダと前記ピストンロッドガイドが取り外し可能に固結され、前記ネック部内に弾性部材用溝を有し、弾性部材用溝内に弾性部材が取り付けられ、前記ネック部と前記ピストンロッドガイドとの間に圧縮隙間を残している。
【0015】
前記弾性部材は、複数の皿ばねである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、力を受ける作用点を高温、高圧及び高速のピストンと気筒ライナの往復作用エリアから他の低温で潤滑し易いエリアに移し、ピストンと気筒の間がピストンリングの背圧を除きその他の作用力の存在を無くし、セラミック材料で製造された気筒ライナ、ピストン等の部品は高温燃焼ガスの圧力荷重のみに耐えることを実現し、またセラミック材料の靭性及び製造コストを増やさないという前提において、その信頼性の向上及び寿命の延長を実現する。同時に、本発明のピストンと連接棒の連結、連接棒とクランクシャフトの連結はいずれも取り外し可能な構造であるため、加工性に優れ、ピストンが応力均一化の設計が用いられているため、強度を増し、連接棒とピストンの連結部が耐摩耗設計となり、耐摩耗性とマシンの信頼性も向上する。更に次のような利点も持っている。
【0017】
1、往復慣性力と遠心慣性力が完全にバランスをとれることができ、マシンが対外的に転倒モーメントだけあり、振動が小さい。
【0018】
2、横力がなく、ピストンのスラップ騒音がないため、騒音が小さい。
【0019】
3、往復重量が小さく、往復加速度も小さいことから往復慣性力が小さく;横力がないことでピストンと気筒ライナの摩損が小さいため、エンジン外の性能曲線を改善でき、排気量1リットルあたりの出力も高い。
【0020】
4、全ての運動表面が低温で潤滑しやすい環境になるため、機械効率をアップできる。
【0021】
5、2本のクランクシャフトの存在は、気筒内の耐圧性を大幅に向上するため、発展できる潜在能力が非常に大きい。
【0022】
6、機構の利点は、セラミック使用の信頼性を確保し、セラミックの使用により燃焼温度を大幅に上げ、その後熱回収のために条件を提供している。
【0023】
7、圧縮ストロークに常温の水を注入し、混合ガスの温度を下げ、圧縮比も15(可変圧縮比と合算すると、15〜26である)まで引き上げることができる。
【0024】
8、点火前に高圧飽和水を注入し、蒸気を膨張して仕事をさせ、同時に蒸気の存在は、可燃ガスの気筒壁面に対する伝熱損失を下げることができることで、熱効率を上げる。
【0025】
9、本発明の可変ピストン機構を用いると、圧縮比を11〜18.6の範囲で変えられ、高負荷下でノッキングしないことを保証する前提下で、中小負荷の熱効率を上げ、従って燃費を20%節減できる。
【0026】
10、排気段階において、ピストンが最伸長状態にあるため、残留排ガスを大幅に下げることができることで、更に圧縮比を上げて熱効率を向上する。
【0027】
以下に、添付図面及び実施例を基に本発明を更に説明する
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の構造を示す模式図
図2図1の左側面図
図3図1の右側面図
図4図1の上面図
図5図1の底面図
図6図1のA−A線断面図
図7図1のB−B線断面図
図8図1のC−C線断面図
図9】本発明の外部構造立体図
図10】本発明の内部構造立体図
図11】本発明のピストン立体図
図12】本発明の連接棒構造図
図13】本発明の可変圧縮比ピストンの構造を示す模式図(図14のD−D線断面図)
図14】本発明の可変圧縮比ピストンの構造を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、実施例を組み合わせて本発明を更に説明する。
【0030】
図1〜10に示すツインクランクシャフトエンジンは、気筒2と、気筒2内で直線往復運動できるピストン3とを含み;
前記気筒2の両側に平行に設けられた2本のクランクシャフト1に配置され、2本のクランクシャフト1の対応するクランクピン1−1間に連接棒4がヒンジ結合されることで、ダブルクランク機構を構成し;
前記気筒2を形成する気筒本体5−1と、前記ダブルクランク機構を格納及び支持するクランクシャフト支持部5−2とを含むシリンダーブロック5を更に包括し;
前記ピストン3の最上部はピストンヘッド3−1であり、ピストンヘッド3−1の下端がネック部3−2であり、ネック部3−2の下端が柱状のピストンロッドガイド3−5であり、ピストンロッドガイド3−5上にスロット3−4を有し、前記連接棒4が前記スロット3−4内に摺動可能に挿入され、前記シリンダーブロック5内に前記ピストンロッドガイド3−5とマッチするピストンロッドガイド溝5−3を有し、前記スロット3−4の下端の開口部にピストンエンドキャップ3−6が取り付けられ、ピストンエンドキャップ3−6とピストンロッドガイド3−5の間が取り外し可能に固結し;前記ピストンロッドガイド3−5は、円柱状であることが好ましく、力を受けることが均一で、加工性に優れ、構造が簡略化される。
【0031】
前記ピストン3は、ピストンガイド側とピストン密封側を分離するスカートレスピストンであり、前記ピストン密封側が前記ピストンヘッド3−1であり、前記ピストンガイド側が前記ピストンロッドガイド3−5及びピストンロッドガイド溝5−3であり;
前記気筒2は、複数あり、複数の気筒2が直線状に1列又は2列配列し、前記ピストン3、連接棒4、ピストンロッドガイド3−5及び各クランクシャフト1上のクランクピン1−1が気筒2の数量及び位置に対応する。
【0032】
前記ピストン3、気筒2の高温燃焼ガスと直接接触する部分は、セラミック材料が用いられる。
【0033】
前記連接棒4は、前記スロット3−4内に位置する連接棒本体4−1を含み、連接棒本体4−1の両端に連接棒キャップ4−2が取り付けられ、連接棒キャップ4−2及び連接棒本体4−1とクランクピン1−1とのヒンジ結合部が取り外し可能な固結となり;前記連接棒本体4−1の前記スロット3−4と接触する上下エッジに耐摩耗層4−3が設けられる。
【0034】
前記耐摩耗層4−3は、前記連接棒本体4−1の表面にめっきした耐摩耗層或いは個々に製造された瓦状の耐摩耗層或いは個々に製造された円弧形ブロック状の耐摩耗層である。
【0035】
前記各クランクシャフト1の端部には、駆動歯車6が取り付けられ、2個の駆動歯車6間に出力歯車7が噛合するよう取り付けられ、出力歯車7がシリンダーブロック5の主軸上に取り付けられ、前記シリンダーブロック5上に前記駆動歯車6を格納するための筐体を有する。
【0036】
前記シリンダーブロック5内には、前記クランクシャフト1の主軸が挿通するための軸孔を有し、各軸孔の下端にキャップ5−2が取り付けられる。
【0037】
図6図7図11に示すように、前記ネック部3−2は、4個のリブ3−7から成る十字柱状であり、4個のリブ3−7の外側はほぼ応力均一化の円弧形を呈し;或いは前記ネック部3−2の外輪郭は、ほぼ応力均一化の曲面を備えた回転体形状である。当業者であれば、応力均一化の設計が理想的な状態であり、工程の応用にほぼ達成できるため、用語「ほぼ」の意味をはっきりと理解している。本発明にとって、ピストンが一定のモーメントを受け、ネック部3−2の上部が受けるモーメントは比較的大きいため、4個のリブ3−7の外側の円弧形が上から下に向かって漸縮する円弧線であり;回転体の形状は、上が太く下が細い回転体である。
【0038】
図13、14に示すように、前記ピストン3は、可変圧縮比ピストンであり、前記ネック部3−2と前記ピストンロッドガイド3−5との間にガイドスライダ3−9が連結され、ガイドスライダ3−9が前記ネック部3−2と摺動可能に連結すると共に制限手段3−10が設けられ、前記ガイドスライダ3−9と前記ピストンロッドガイド3−5が取り外し可能に固結され、前記ネック部3−2内に弾性部材用溝3−8を有し、弾性部材用溝3−8内に弾性部材8が取り付けられ、前記ネック部3−2と前記ピストンロッドガイド3−5との間に圧縮隙間3−11を残している。本発明の可変ピストン機構を用いると、圧縮比を11〜18.6の範囲で変えられ、高負荷下でノッキングしないことを保証する前提下で、中小負荷の熱効率を上げ、従って燃費を20%節減できる。
【0039】
前記弾性部材8は、複数の皿ばねを組み立ててから成り、大荷重に耐えられ、取り付けに便利で、安全性も高い。
【0040】
ダブルクランク機構内において、ピストンと連接棒の摩擦力によってピストンの横力が発生し、ピストンは、ガイドブロックに沿って往復摺動し、ピストンの横力が完全にピストンガイド溝で受けることで、ピストンと気筒ライナの衝撃摩擦が起きない。ピストンと連接棒の摩擦、又はピストンとピストンガイド溝の摩擦を問わず、いずれも低温で潤滑しやすい環境にある。実施例において、ここで摩擦係数は、0.02〜0.06であり、エンジンの回転数が4000r/minの時、従来のクランクスライド機構の最大横力が3500Nであり、ピストン速度が16m/sであり、ピストンと気筒ライナの間の摩損、密封、ガス漏れ、機械的騒音等の問題に伴って生じる。本発明のピストンは、ガイドと密封を分離させ、ガイド側は全負荷を受け、かつ低温で潤滑し易いエリアにあり、密封側が無負荷で、かつ高温エリアにあるという独自の設計を有するため、上記問題を良好に解決できる。往復直列4気筒1.8Lの最大出力トルク:225Nm@4000r/min、最高出力:118KW@5500r/minであり、最大トルクタイミング4000r/min上昇を制限する主な要因の一つがピストンと気筒の摩損であり、そのタイミング以降エンジンが自動的に燃料噴射量を減らして摩損を軽減する。本発明のツインクランクシャフトエンジンのピストンガイド機構は、低温で潤滑し易い環境にあるため、その対偶点の圧力潤滑方式がすでにかなり成熟しており、摩損量も非常に小さいことにより、この最大トルクに対応する回転数のタイミングを5500r/min程度まで延長できる。
【0041】
また、本発明は、エンジンの高さや寸法を減らすことができ;従来の対向横置エンジンの横向き寸法が自動車全体配置を制限する1つの重要寸法であり、クランクスライダ機構がピストンと気筒ライナの横力を減らすため、連接棒の穴中心間距が一般的にクランクシャフト回転半径の3.2〜4倍となり、本発明がダブルクランク機構を用いるため、その要因の制限を受けない。
【符号の説明】
【0042】
1 クランクシャフト
1−1 クランクピン
1−2 油路
2 気筒
3 ピストン
3−1 ピストンヘッド
3−2 ネック部
3−3 耐摩損キャップ
3−4 スロット
3−5 ピストンロッドガイド
3−6 ピストンエンドキャップ
3−7 リブ
3−8 弾性部材用溝
3−9 ガイドスライダ
3−10 制限手段
3−11 圧縮隙間
4 連接棒
4−1 連接棒本体
4−2 連接棒キャップ
4−3 耐摩耗層
4−4 ライトニングホール
5 シリンダーブロック
5−1 気筒本体
5−2 クランクシャフト支持部
5−3 ピストンロッドガイド溝
5−4 キャップ
6 駆動歯車
7 出力歯車
8 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14