(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンタクト(C)は、前記接続対象物の両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第1接触部(NSC1−1)と、前記第1接触部(NSC1−1)に対して前記挿入口の反対側に位置し、前記基板に実装される第1接続部(NSC1−4)と、前記第1接触部(NSC1−1)と前記第1接続部(NSC1−4)との間に位置する第1連結部(NSC1−5)と、前記第1接触部(NSC1−1)から前記挿入口の反対側に延設され、前記押圧部材により押圧される第1押受部(NSC1−3)と、を有する第1コンタクト(NSC1)を含み、
前記第1接触部(NSC1−1)を有する第1接触脚部と、前記第1連結部(NSC1−5)を有する第1連結脚部と、前記第1接続部(NSC1−4)を有する第1接続脚部とは、略クランク形状に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクタ。
前記コンタクト(C)は、前記接続対象物の両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第2接触部(NSC2−1)と、前記第2接触部(NSC2−1)に対して前記挿入口側に位置し、前記基板に実装される第2接続部(NSC2−4)と、前記第2接触部(NSC2−1)と前記第2接続部(NSC2−4)との間に位置する第2連結部(NSC2−5)と、前記第2接触部(NSC2−1)から前記挿入口の反対側に延設され、前記押圧部材により押圧される第2押受部(NSC2−3)と、を有する第2コンタクト(NSC2)を含み、
前記第2接触部(NSC2−1)を有する第2接触脚部と、第2連結部(NSC2−5)を有する第2連結脚部と、前記第2接続部(NSC2−4)を有する第2接続脚部とは、略コ字形状に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクタ。
前記コンタクト(C)は、前記接続対象物の両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第3接触部(NSC3−1)と、前記第3接触部(NSC3−1)に対して前記挿入口の反対側に位置し、前記基板に実装される第3接続部(NSC3−4)と、前記第3接触部(NSC3−1)と前記第3接続部(NSC3−4)との間に位置する第3連結部(NSC3−5)と、を有する第3コンタクト(NSC3)を含み、
前記第3接触部(NSC3−1)を有する第3接触脚部と、前記第3連結部(NSC3−5)を有する第3連結脚部と、前記第3接続部(NSC3−4)を有する第3接続脚部とは、略クランク形状に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクタ。
前記コンタクト(C)は、前記接続対象物の両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第4接触部(NSC4−1)と、前記第4接触部(NSC4−1)に対して前記挿入口側に位置し、前記基板に実装される第4接続部(NSC4−4)と、前記第4接触部(NSC4−1)と前記第4接続部(NSC4−4)との間に位置する第4連結部(NSC4−5)と、を有する第4コンタクト(NSC4)を含み、
前記第4接触部(NSC4−1)を有する第4接触脚部と、前記第4連結部(NSC4−5)を有する第4連結脚部と、前記第4接続部(NSC4−4)を有する第4接続脚部とは、略コ字形状に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明のコネクタの実施形態について、図面を参照しながら以下で説明する。なお、以下に示す実施形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の形態を採りうる。
【0017】
図1A及び
図1Bは、本発明の実施形態のコネクタ100をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。
図2A及び
図2Bは、コネクタ100に接続対象物Fが挿入された状態を、ハウジング等を仮想的に省略して示す図であり、
図2Aは斜視図、
図2Bは、X−Z平面で固定機能付きコンタクト4を切断した断面図である。
図3A及び
図3Bは、コネクタ100に接続対象物Fが挿入され、押圧部材6が第1押圧部材姿勢にある場合の斜視図を、それぞれ異なる方向から視たものである。
図4A及び
図4Bは、ハウジング1内に保持された固定機能付きコンタクト4をX−Z平面で切断した断面図であり、
図4Aは、押圧部材6が第2押圧部材姿勢にある場合の図であり、
図4Bは、押圧部材6が第1押圧部材姿勢にある場合の図である。
図5は、第1実施形態の固定機能付きコンタクト4の斜視図である。
【0018】
図6は、第2実施形態の固定機能付きコンタクト4Aの斜視図である。
図7Aは、押圧部材6が第2押圧部材姿勢にある場合においてハウジング1内に保持された第1信号コンタクト2をX−Z平面で切断した断面図であり、
図7Bは、第1信号コンタクト2の斜視図である。
図8は、第2信号コンタクト2Aを示す斜視図である。
図9は、第3信号コンタクト3Aを示す斜視図である。
図10Aは、押圧部材6が第2押圧部材姿勢にある場合においてハウジング1内に保持された第4信号コンタクト3をX−Z平面で切断した断面図であり、
図10Bは、第4信号コンタクト3の斜視図である。
図11Aは、ハウジング1内に保持された固定金具7をX−Z平面で切断した断面図であり、
図11Bは、固定金具7の斜視図である。
図12A及び
図12Bは、ハウジング1をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。
図13A及び
図13Bは、押圧部材6をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。
【0019】
〔コネクタの構成〕
コネクタ100は、基板(不図示)に実装され、接続対象物Fを着脱自在に挿入して接続するコネクタである。コネクタ100は、
図1A〜
図3Bに示すように、主に、接続対象物Fが挿入された状態で基板実装面(不図示)に対し略平行となるように、接続対象物Fが挿入される挿入口11を有するハウジング1と、ハウジング1に並列配置状態で保持される所定数の信号コンタクト(第1信号コンタクト2、第4信号コンタクト3、固定機能付きコンタクト4)と、ハウジング1における挿入口11の反対側に位置し、信号コンタクト2、4に対して押圧可能な形状部位を有する押圧部材6と、を備えている。「略平行」とは、基板実装面(不図示)に対して完全に平行な場合に制限されず、近似的にみて平行であればよく、少なくとも、挿入口11への接続対象物の挿入方向が基板実装面に対して略垂直な形態と区別する趣旨である。「挿入口11の反対側」とは、「押圧部材6を操作する側」や「押圧部材6の位置(有する)する側」と同一の側である。
【0020】
説明の便宜上、XYZ座標系を次のように定義する。X方向は、接続対象物の挿抜方向に延びる方向であり、基板実装面に略平行な方向である。ハウジング1を基準として、X1側は挿入口11の側であり、X2側は、X1側とは反対側である。Y方向は、所定数の信号コンタクトの並列方向(配列ピッチ方向)であり、横方向(長手方向)ともいう。Y+側は、ハウジング1を基準として、Y方向の外側である(左側/右側を区別しない)。Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であり、高さ方向ともいう。ハウジング1を基準として、Z1側は基板実装面側であり、Z2側は基板実装面から離れる側である。なお、このXYZ座標系は、実施形態の説明の便宜上のために用いられるものであり、本発明の趣旨に反しない限り、厳格には解釈されない。
【0021】
接続対象物Fは、コネクタ100に対して着脱可能に挿入して接続される物であり、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル(FFC)、フレキシブル性を有するカードである。接続対象物Fは、
図2A〜
図3Bに示すように、少なくとも信号コンタクト2、3、4のそれぞれの接触部と接触するランド部F2と、ランド部F2から回路へ繋がるパターンと、被係止部F1とを備えている。被係止部F1は、接続対象物Fの挿入が完了した状態(正規挿入位置)で、接続対象物Fの保持力をアップし、かつ、抜けないようにするため、例えば、信号コンタクト2、3、4のうち、その並列方向(Y方向)に信号コンタクト2、3を挟んで、最も外側(Y+側)にそれぞれ対をなして配置されている固定機能付きコンタクト(LC)4と係合する部位である。
【0022】
図2A〜
図3Bに示す接続対象物Fでは、被係止部F1は、コネクタ100への接続対象物Fの挿抜方向(X方向)において挿入方向側(X1側)で、挿抜方向に対して横方向(Y方向)の両外側(Y+側)に設けられている。被係止部F1の形状としては、固定機能付きコンタクト(LC)4の後述する係止脚部42の係止部(LC2)42aと係合できる形状であれば特に限定されず、例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、接続対象物Fをその側方から切り欠いた切欠部として形成されてもよく、その他、貫通孔や、仕様によっては止め孔として形成されることもできる。
【0023】
ハウジング1は、接続対象物Fが挿抜される挿入口11を有し、信号コンタクト2、3、4を保持する。ハウジング1は、電気絶縁性の材料(例えばプラスチック)から形成される。ハウジング1は、公知技術の射出成形によって一部材として製作されている。具体的に、ハウジング1の材質としては、寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択されるが、一般的には例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(66PA、46PA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)や、これらの合成材料等を挙げることができる。
【0024】
信号コンタクト2、3、4は、ハウジング1に並列配置状態で保持されている。そのうち、信号コンタクト2、4は、ハウジング1への接続対象物Fの挿入が完了して、押圧部材6が第2押圧部材姿勢OP(
図1A〜
図2B参照)から第1押圧部材姿勢CP(
図3A及び
図3B参照)へと状態変化した場合に、接続対象物Fのランド部F2に安定的に接触する。信号コンタクト2、4の場合に、接続対象物Fが挿入された状態でランド部F2に接触しても安定した接触にはならなく、押圧部材6の状態変化があって初めて安定した接触につながる。状態変化には、回転軸が移動しない単純な回転のみならず、回転軸の移動を伴う回転や、回転を含まない移動などが含まれる。信号コンタクト3は、ハウジング1への接続対象物Fの挿入が完了すると、接続対象物Fのランド部F2に接触し、安定した接触が得られる。
【0025】
信号コンタクト2、3、4は、それぞれ異なるタイプのコンタクトであり、具体的には、
図7A及び
図7Bに示される、挿入口11の反対側(X2側)に接続部が位置するタイプ(第1信号コンタクト2)、
図10A及び
図10Bに示される、挿入口11側(X1側)に接続部が位置するタイプ(第4信号コンタクト3)、及び、
図4A〜
図5に示される、ロック部材を兼用する固定機能付きコンタクト(LC)4である。
【0026】
第1信号コンタクト2と第4信号コンタクト3とは、ハウジング1への挿入方向を異ならせて、X−Y平面において交互に千鳥に配置されている。つまり、接続部が交互に千鳥に配置されている。信号コンタクト2、3、4の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0027】
固定機能付きコンタクト4、4は、
図1A及び
図1Bに示すコネクタ100では、実施形態においてはハウジング1内でかつ信号コンタクト2、3をY方向に挟んで、Y+側の位置にそれぞれ対をなして保持されている。固定機能付コンタクト4、4の配置位置は、接続対象物Fの保持力やバランス等を考慮して、適宜設計される。本実施形態においては、固定機能付コンタクト4は、ハウジング1の両端に対をなすように配置されているが、保持力等を満足できれば、配置位置は、どちらか一方でもよく、また、中央部分に1か所であってもよい。
【0028】
押圧部材6は、ハウジング1における、挿入口11の反対側(X2側)に位置し、第1信号コンタクト2及び固定機能付きコンタクト4に対して押圧可能な形状部位を有するものである。挿入口側(挿入口11の側)とは、接続対象物の挿抜方向Xにおいて、ハウジング1の中央部を基準にして挿入口11が配置される側である。挿入口11の反対側とは、接続対象物の挿抜方向Xにおいて、ハウジング1の中央部を基準にして、挿入口側(挿入口11の側)とは反対側である。つまり、ハウジング1の中央部を挟んで、挿入口側(挿入口11の側)と挿入口11の反対側とは、接続対象物の挿抜方向Xに並ぶ関係にある。なお、押圧部材6は、第4信号コンタクト3を押圧しない。
【0029】
押圧部材6は、電気絶縁性のプラスチック材料からなり、公知技術の射出成形によって製作されている。具体的に、押圧部材6の材質としては、寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択されるが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やポリフェニレンサルファイド(PPS)や、これらの合成材料を挙げることができる。
【0030】
本実施形態のコネクタ100は、基板実装強度を上げるため、更に固定金具7を備えている。固定金具7は、固定機能付きコンタクト4よりも更にY+側の位置に、設けられている。固定金具7は、コンタクトとは別に、ハウジング1内に保持されているものである。詳細は後述するが、
図11A及び
図11Bに示すように、固定金具7の移動規制部71に押圧部材6の軸部分62が移動範囲を規制されて配置されることにより、押圧部材6の移動範囲は規制される。
【0031】
以下に、コネクタ100の各構成について更に詳述する。
〔第1実施形態の固定機能付きコンタクト4〕
以下に、
図1A〜
図5に基づいて、第1実施形態の(第1)固定機能付きコンタクト(第1LC)4について更に詳細に説明する。
【0032】
第1固定機能付きコンタクト4は、接続対象物Fに対する電気的接続機能とロック機能とを兼ね備えており、導通可能に用いられるロック部材であると捉えることができる。第1固定機能付きコンタクト4は、ハウジング1において接続対象物Fの挿抜方向Xに沿って延びるように、保持されている。第1固定機能付きコンタクト4は、ハウジング1内での信号コンタクト2、3、4の並列方向(幅方向)Yにおいて最も外側(Y+側)に1対で配置されている。固定機能付きコンタクト4は、ハウジング1の高さ方向Zに対向する内面に形成される溝であって壁部によって仕切られている溝のうちY+側に位置する溝12(
図12A及び
図12B参照)に、圧入により保持されている。固定機能付きコンタクト4は、ハウジング1内に挿入口11の反対側(X2側)からX1側に向けて挿入されている。
【0033】
第1固定機能付きコンタクト4は、
図1A〜
図5に示すように、接続対象物Fの一方面と接触する接触部(LC1)41aと、コネクタ100に対する正規挿入位置に挿入された接続対象物Fに形成されている被係止部F1に係合可能な形状を有する係止部(LC2)42aと、係止部42aに対して挿入口11の反対側(X2側)に位置し、基板に実装される接続部(LC4)44aと、接触部41aと接続部44aとの間に位置する連結部(LC5)45aと、接触部(LC1)41aから挿入口11の反対側(X2側)に延設され、押圧部材6により押圧される押受部(LC3)43aと、を有する。
【0034】
詳述すると、係止部(LC2)42aは、挿入された接続対象物Fに形成される被係止部F1に対応する位置に、被係止部F1に向かってZ2側に突出する形状を有する。押受部(LC3)43aは、接続部(LC4)44aと対向する側(Z2側)に位置し、接触部41aとは反対側(X2側)に延在し、押圧部材6によって押圧される。接続部(LC4)44aは、係止部42aとは反対側(X2側)に延在し、基板に接続される。
【0035】
より具体的には、第1固定機能付きコンタクト4は、接触部41aを有する接触脚部41と、係止部42aを有する係止脚部42と、押受部43aを有する押受脚部43と、接続部44aを有する接続脚部44と、連結部45aを有する連結脚部45と、を全体としてH字形になるように一体的に備えている。特に、接触脚部41と連結脚部45と接続脚部44とは、略クランク形状に配置されている。
【0036】
接触部41aと係止部42aと接続部44aと連結部45aと押受部43aとは、同一の金属材料から一体的に形成されている。より具体的には、接触部41aを有する接触脚部41と、係止部42aを有する係止脚部42と、押受部43aを有する押受脚部43と、接続部44aを有する接続脚部44と、連結部45aを有する連結脚部45とは、同一の金属材料から一体的に形成されている。
【0037】
図2A及び
図2Bに示すように、接触脚部41と係止脚部42との間に接続対象物Fが挿入された状態において、押受部43aを有する押受脚部43を押圧できる構成に、押圧部材6の押圧部61が、回転可能に支持される。本発明において「回転」には、回転軸が移動しない単純な回転のみならず、回転軸の移動を伴う回転も含まれる。
【0038】
図4A〜
図5に示すように、接触脚部41は、接続対象物Fのランド部F2に接触して電気的接続を可能にするものである。接触脚部41は、ハウジング1の上壁部1a側(Z2側)の溝12に位置しており、連結脚部45に対して、ハウジング1の挿入口11側(X1側)に位置している。つまり、接触脚部41は、係止脚部42と対向する側(Z2側)に位置し、挿入口11に向かって(X1側に)延在している。接触脚部41の挿入口11側の先端部は、溝12のZ1側の底面から浮いた状態にあり、接続対象物Fの一方面(実施形態においては、Z2側の面)と接触する接触部41aを有している。接触部41aは、接続対象物Fと接触し易いように、Z1側に突出する形状を有している。接続対象物Fが挿入されない状態で、押圧部材6の第2押圧部材姿勢OPから第1押圧部材姿勢CPへの状態変化時に、接触脚部41は、接続対象物Fに向かって変位する。つまり、接続対象物Fが挿入されない状態で、押圧部材がこのような状態変化をすることにより、接続対象物Fが挿入されている場合には、接触部41aが接続対象物Fに押圧されることで、確実にかつ安定的に電気的に接触するようになる。ここでいう「変位」とは、接続対象物Fが挿入されていない場合は、少なくとも変位するということであり、接続対象物Fが挿入されている場合でも変位することも含んでいる。
【0039】
係止脚部42は、
図2A及び
図2Bに示すように、接続対象物Fに形成されている被係止部F1と係合して、正規挿入位置にある接続対象物Fを仮固定して不都合な(意図しない)抜けを抑制するものである。係止脚部42は、ハウジング1の下壁部1b側(Z1側)の溝12において接触脚部41に対向する側に配置され、連結脚部45に対して、ハウジング1の挿入口11側(X1側)に位置している。つまり、係止脚部42は、挿入口11に向かって(X1側に)延在している。係止脚部42は、挿入口11側からその一部が視認できるように、溝12に保持されている。
【0040】
係止脚部42は、ハウジング1に挿入された接続対象物Fに形成される被係止部F1に対応する位置に、被係止部F1に向かって突出する形状をもつ係止部42aを有している。つまり、接続対象物Fの挿入が完了した際の被係止部F1に対応する位置に、係止部42aは設けられている。係止部42aは、係止脚部42の先端部側(X1側)に設けられており、係止脚部42の先端部からテーパ状に上方に傾斜して延び、その後、略垂直に係止脚部42に戻るように形成されている。つまり、係止脚部42の係止部42aは、保持されているハウジング1の下壁部1b側(Z1側)の溝12から上壁部1aに向かってZ2側に突出している。
【0041】
本発明の特徴の一つである係止部42aと接触部41aとの位置関係は、次の通りである。
図4A〜
図5に示すように、係止部42aは、接続対象物Fの被係止部F1に対応する位置で、基板実装面から近い側(Z1側)で、基板実装面から離れる方向(Z2側)に突出している。接触部41aは、係止部42aに対向する側で、基板実装面から遠い側(Z2側)で、かつ、係止部42aよりも接続対象物の挿入側(X1側)に近い位置に位置する。
【0042】
押受脚部43は、押圧部材6の押圧部61によって押圧されて、基板実装面から離れる方向(Z2側)に変位する部分である。押受脚部43は、ハウジング1の上壁部1a側(X2側)で接続脚部44に対向する側に配置され、また、連結脚部45に対して、ハウジング1の挿入口11の反対側(X2側)に配置している。つまり、押受脚部43は、挿入口11の反対側(X2側)で押圧部材が位置する側に延在している。押受脚部43は、押圧部材6によって押圧される押受部43aを有している。
【0043】
さらに、押受部43aの先端部には、押圧部材6の押圧による反発力に起因して、押圧部材6の並列方向の中央部分がハウジング1の挿入口11の反対側の方向(X2側)に膨れて移動すること(「膨れ移動」ともいう)を防止する膨れ防止手段を有することが好ましい。具体的には、押受脚部43のX2側の先端部分に、押圧部材6が膨れ移動することを防止するための、接続脚部44に向かってZ1側に突出する突出部43bが設けられている。押圧部材6の回転の際に押圧部材6における、ハウジング1の幅方向Yにおける中央部が、ハウジング1の挿入口11の反対側の方向(X2側)に膨れる(迫り出す)傾向がある。しかし、このような傾向を、押受脚部43の突出部43bを設けることによって抑制することができる。突出部43bの大きさは、上記の役割を果たすことができれば特に制限されず、押圧部材6の押圧部61が引っ掛かる程度に適宜設計すればよい。また、膨れ防止手段としては、上記の構成以外にも、図示しないが、押圧部61を受容する溝(凹部)や突出部の対向する側を突出させたもの(突起や凸部)も挙げられる。
【0044】
接続脚部44は、基板(不図示)に実装(接続)される脚状の部分である。接続脚部44は、ハウジング1の下壁部1b側(Z1側)の溝12において押受脚部43に対向する側に位置しており、また、連結脚部45に対して、ハウジング1の挿入口11の反対側(X2側)に位置している。つまり、接続脚部44は、挿入口11の反対側(X2側)に延在している。接続脚部44は、基板に実装(接続)される接続部44aを有している。接続部44aは、接続脚部44の先端側(X2側)で押受脚部43を臨む側とは反対側(Z1側)に形成されている。接続部44aは、図示の実施形態においては、表面実装タイプ(SMT)であるが、ディップタイプやプレスフィットでもよい。
【0045】
連結脚部45は、接触脚部41、係止脚部42、押受脚部43及び接続脚部44を互いに連結する連結部45aを有している。連結脚部45は、説明の便宜上、各脚部41〜44を互いに連結するものとして記載するが、固定機能付きコンタクト4は、その全体が一部材から形成されており、連結脚部45とその他の脚部との境の明確な区別はない。
【0046】
〔第2実施形態の固定機能付きコンタクト4A〕
次に、
図6に基づいて、第2実施形態の(第2)固定機能付きコンタクト(第2LC)4Aについて説明する。なお、第2固定機能付きコンタクト(第2LC)4Aは、
図1A及び
図1Bに示すコネクタ100には、設けられていないが、適合するハウジング1に、第1固定機能付きコンタクト(第1LC)4と共に、又は、第1固定機能付きコンタクト(第1LC)4が無い形態で、設けられることができる。以下、上記の第1実施形態の第1固定機能付きコンタクト4と同一の又は類似する機能を有する構成についてはその説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0047】
第2実施形態の第2固定機能付きコンタクト4Aは、
図6に示すように、ハウジング1内に挿入口11側から(X1側からX2側に向けて)挿入される。第2固定機能付きコンタクト4Aは、第1固定機能付きコンタクト4と比べて、主として、接続部44Aa(接続脚部44A)がX1側に配置されている点、延設脚部47を備える点が異なる。第2実施形態では、延設脚部47を備える構成にしたが、これに制限されず、延設脚部47を有しない構成であってもよいし、挿抜方向Xに沿って延設脚部47の長さを押受脚部43よりも短くした構成であってもよい。
【0048】
一方で、本発明の特徴の一つである係止部42Aaと接触部41Aaとの位置関係は、第1固定機能付きコンタクト4と同じである。具体的には、
図6に示すように、係止部42Aaは、接続対象物Fの被係止部F1に対応する位置で、基板実装面から近い側(Z1側)で、基板実装面から離れる方向(Z2側)に突出している。接触部41Aaは、係止部42Aaに対向する側で、基板実装面から遠い側(Z2側)で、かつ、係止部42Aaよりも接続対象物の挿入側(X1側)に近い位置に位置する。
【0049】
より具体的には、第2固定機能付きコンタクト4Aは、接続対象物Fの一方面と接触する接触部41Aaと、挿入された接続対象物Fに形成される被係止部F1に対応する位置に、被係止部F1に向かってZ2側に突出する形状を有する係止部42Aaと、接触部41Aa及び係止部42Aaを連結する連結部45Aaと、延設脚部47と対向する側(Z2側)に位置し、接触部41Aaとは反対側(X2側)に延在し、押圧部材6によって押圧される押受部43Aaと、係止部42Aaから挿入口11側(X1側)に向かって更に延在し、基板に接続する接続部44Aaと、を備える。
【0050】
また、第2固定機能付きコンタクト4Aは、接触部41Aaを有する接触脚部41Aと、係止部42Aaを有する係止脚部42Aと、押受部43Aaを有する押受脚部43Aと、接続部44Aaを有する接続脚部44Aと、連結部45Aaを有する連結脚部45Aと、X2側に延在する延設脚部47とを、全体としてH字形になるように一体的に備えている。なお、延設脚部47を備えない場合、全体としてh字形になるように各脚部を一体的に備えることになる。特に、接触脚部41Aと連結脚部45Aと接続脚部44Aとは、略コ字形状に配置されている。
【0051】
延設脚部47は、ハウジング1の高さ方向Zにおいて係止脚部42Aと同じ側で、挿入口の反対側(X2側)の押圧部材6が位置する側に延在する脚状の部位である。この延設脚部47は、押圧部材6の押圧部61の回転を押受脚部43Aと共に支持するものである。なお、延設脚部47は無くてもよい。
【0052】
[単純信号コンタクト(NSC)]
〔第1信号コンタクト(NSC1)〕
次に、
図7A及び
図7Bに基づいて、第1信号コンタクト2について説明する。なお、第1信号コンタクト2における、固定機能付きコンタクト4が有する部分と同じ名称(「第n」の有無、相違を考慮しない。以下同じ)の部分は、その構成及び機能において固定機能付きコンタクト4と同じであるので、説明を省略することがある。
【0053】
所定数の第1信号コンタクト2は、
図1A〜
図3Bに示すように、ハウジング1に横方向Yに並列配置された状態で保持されて、一対の第1固定機能付きコンタクト4,4の間に配置されている。第1信号コンタクト2は、ハウジング1の高さ方向Zに対向する内面に形成される溝であって壁部によって仕切られている溝のうちの溝14(
図12A及び
図12Bも参照)に圧入により保持されている。第1信号コンタクト2は、ハウジング1内に挿入口11の反対側から(X2側からX1側に向けて)挿入される。
【0054】
第1信号コンタクト(NSC1)2は、ロック部材ではない信号コンタクトである単純信号コンタクト(NSC)ある(後述の第2信号コンタクト2A、第3信号コンタクト3A、第4信号コンタクト3も同様)。
【0055】
詳細には、第1信号コンタクト2は、接続対象物Fの両面のうちの少なくとも一方の面(実施形態においては、Z2側の面)と接触する第1接触部(NSC1−1)21aと、第1接触部21aに対して挿入口11の反対側(X2側)に位置し、基板に実装される第1接続部(NSC1−4)23aと、第1接触部21aと第1接続部23aとの間に位置する第1連結部(NSC1−5)25aと、第1接触部21aから挿入口11の反対側(X2側)に延設され、押圧部材6により押圧される第1押受部(NSC1−3)22aと、X1側に延在する第1延設脚部24と、を有する。
【0056】
より具体的には、第1信号コンタクト2は、第1接触部21aを有する第1接触脚部21と、第1押受部22aを有する第1押受脚部22と、第1接続部23aを有する第1接続脚部23と、第1連結部25aを有する第1連結脚部25と、第1延設脚部24とを全体としてH字形になるように一体的に備えている。なお、第1延設脚部24を備えない場合、全体としてh字形になるように各脚部を一体的に備えることになる。特に、第1接触部21aを有する第1接触脚部21と、第1連結部25aを有する第1連結脚部25と、第1接続部23aを有する第1接続脚部23とは、略クランク形状に配置される。
【0057】
第1信号コンタクト2は、固定機能付きコンタクト4とは異なり、係止部(係止脚部)を有しておらず、代わりに、挿入口11側(X1側)に向かって延在する第1延設脚部24を備えており、全体としてH字形状を有している。第1信号コンタクト2において、接続対象物Fが挿入され、第1押受部(NSC1−3)22aを有する第1押受脚部22を押圧できる構成に、押圧部材6の押圧部61が回転可能に支持される。
【0058】
〔第2信号コンタクト2A〕
次に、
図8に基づいて、第2信号コンタクト2Aについて説明する。なお、第2信号コンタクト(NSC2)2Aは、
図1A及び
図1Bに示すコネクタ100には、設けられていないが、適合するハウジング1に設けられることができる。第2信号コンタクト2Aにおける、第1信号コンタクト2が有する部分と同じ名称の部分は、その構成及び機能において第1信号コンタクト2と同じであるので、説明を省略することがある。
【0059】
所定数の第2信号コンタクト2Aは、ハウジング1に横方向Yに並列配置された状態で保持される。第2信号コンタクト2Aは、ハウジング1の高さ方向Zに対向する内面に形成される溝であって壁部によって仕切られている溝(不図示)に圧入により保持されている。第2信号コンタクト2Aは、ハウジング1内に挿入口11側から(X1側からX2側に向けて)挿入される。
【0060】
第2信号コンタクト2Aは、接続対象物Fの両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第2接触部(NSC2−1)21Aaと、第2接触部21Aaに対して挿入口11の側(X1側)に位置し、基板に実装される第2接続部(NSC2−4)23Aaと、第2接触部21Aaと第2接続部23Aaとの間に位置する第2連結部(NSC2−5)25Aaと、後述の第2延設脚部27Aと対向する側(Z2側)に位置し、第2接触部21Aaから挿入口11の反対側(X2側)に延設され、押圧部材6により押圧される第2押受部(NSC2−3)22Aaと、X2側に延在する第2延設脚部27Aと、を有する。
【0061】
より具体的には、第2信号コンタクト2Aは、第2接触部21Aaを有する第2接触脚部21Aと、第2押受部22Aaを有する第2押受脚部22Aと、第2接続部23Aaを有する第2接続脚部23Aと、第2連結部25Aaを有する第2連結部と、第2延設脚部27Aとを全体としてH字形になるように一体的に備えている。なお、第2延設脚部27Aを備えない場合、全体としてh字形になるように各脚部を一体的に備えることになる。特に、第2接触部21Aaを有する第2接触脚部21Aと、第2連結部25Aaを有する第2連結脚部25Aと、第2接続部23Aaを有する第2接続脚部23Aとは、略コ字形状に配置される。
【0062】
第2信号コンタクト2Aは、第1信号コンタクト2と比べて、接続部(接続脚部)と延設脚部との挿抜方向Xの位置関係が逆であるが、全体としてH字形状を有している。第2信号コンタクト2Aにおいて、接続対象物Fが挿入され、第2押受部(NSC2−3)22Aaを有する第2押受脚部22Aを押圧できる構成に、押圧部材6の押圧部61が回転可能に支持される。
【0063】
〔第3信号コンタクト(NSC3)〕
次に、
図9に基づいて、第3信号コンタクト3Aについて説明する。なお、第3信号コンタクト(NSC3)3Aは、
図1A及び
図1Bに示すコネクタ100には、設けられていないが、適合するハウジング1に設けられることができる。第3信号コンタクト3Aにおける、第1信号コンタクト2及び第2信号コンタクト2Aが有する部分と同じ名称の部分は、その構成及び機能において第1信号コンタクト2及び第2信号コンタクト2Aと同じであるので、説明を省略することがある。
【0064】
所定数の第3信号コンタクト3Aは、ハウジング1に横方向Yに並列配置された状態で保持される。第3信号コンタクト3Aは、ハウジング1の高さ方向Zに対向する内面に形成される溝であって壁部によって仕切られている溝(不図示)に圧入により保持されている。第3信号コンタクト3Aは、ハウジング1内に挿入口11の反対側から(X2側からX1側に向けて)挿入される。
【0065】
第3信号コンタクト3Aは、接続対象物Fの両面のうちの少なくとも一方の面と接触する第3接触部(NSC3−1)31Aaと、第3接触部31Aaに対して挿入口11の反対側(X2側)に位置し、基板に実装される第3接続部(NSC3−4)33Aaと、第3接触部31Aaと第3接続部33Aaとの間に位置する第3連結部(NSC3−5)35Aaと、X1側に延在する第3延設脚部34Aと、第3対向接触部34Aaと、を有する。
【0066】
第3対向接触部34Aaは、ハウジング1の高さ方向Zにおいて、第3接触部31Aaに対向する位置で、第3接触部31Aaが接続対象物Fに接触する一方の面とは反対側の他方の面で接続対象物Fに接触する。第3対向接触部34Aaは、第3接触部31Aaに向かってZ2側に突出する形状を有する。
【0067】
第3対向接触部34Aaは、押圧部材6による押圧によって、第3接触部31Aaが接続対象物Fと安定的に接続できるように接続対象物Fに接触できればよく、第3接触部31Aaと、ハウジング1の高さ方向Zに対面する位置から挿抜方向X方向にずれた位置に設けてもよい。
【0068】
より具体的には、第3信号コンタクト3Aは、第3接触部31Aaを有する第3接触脚部31Aと、第3接続部33Aaを有する第3接続脚部33Aと、第3連結部35Aaを有する第3連結脚部35Aと、第3延設脚部34Aとを全体としてh字形になるように一体的に備えている。特に、第3接触部31Aaを有する第3接触脚部31Aと、第3連結部35Aaを有する第3連結脚部35Aと、第3接続部33Aaを有する第3接続脚部33Aとは、略クランク形状に配置される。
【0069】
第3信号コンタクト3Aは、第1信号コンタクト2とは異なり、押受部を有していないため、全体としてh字形状を有している。第3信号コンタクト3Aにおいて、第3接触脚部31Aと第3延設脚部34Aとの間に接続対象物Fが挿入される。
【0070】
〔第4信号コンタクト3〕
次に、
図10A及び
図10Bに基づいて、第4信号コンタクト3について説明する。なお第4信号コンタクト3における、第1信号コンタクト2、第2信号コンタクト2A及び第3信号コンタクト3Aが有する部分と同じ名称の部分は、その構成及び機能において第1信号コンタクト2、第2信号コンタクト2A及び第3信号コンタクト3Aと同じであるので、説明を省略することがある。
【0071】
所定数の第4信号コンタクト3は、
図1A〜
図3Bに示すように、ハウジング1に横方向Yに並列配置された状態で保持されて、一対の第1固定機能付きコンタクト4,4の間に配置されている。第4信号コンタクト3は、ハウジング1の高さ方向Zに対向する内面に形成される溝であって壁部によって仕切られている溝のうちの溝15に圧入により保持されている。第4信号コンタクト3は、ハウジング1内に挿入口11側から(X1側からX2側に向けて)挿入される。
【0072】
第4信号コンタクト3は、接続対象物Fの両面のうちの少なくとも一方の面(実施形態においては、Z2側の面)と接触する第4接触部(NSC4−1)31aと、第4接触部31aに対して挿入口11の側(X1側)に位置し、基板に実装される第4接続部(NSC4−4)33aと、第4接触部31aと第4接続部33aとの間に位置する第4連結部(NSC4−5)35aと、第4対向接触部34aと、X2側に延在する第4延設脚部37と、を有する。
【0073】
より具体的には、第4信号コンタクト3は、第4接触部31aを有する第4接触脚部31と、第4接続部33aを有する第4接続脚部33と、第4連結部35aを有する第4連結脚部35と、第4延設脚部37とを全体としてh字形になるように一体的に備えている。特に、第4接触部31aを有する第4接触脚部31と、第4連結部35aを有する第4連結部と、第4接続部33aを有する第4接続脚部33とは、略コ字形状に配置される。第4対向接触部34aは、挿抜方向Xにおいて、第4接続部33aと第4連結部35aとの間に位置する。
【0074】
第4信号コンタクト3は、第3信号コンタクト3Aと比べて、接続部(接続脚部)と延設脚部との挿抜方向Xの位置関係が逆であるが、全体としてh字形状を有している。第4信号コンタクト3において、第4接触脚部31と第4接続脚部33との間に接続対象物Fが挿入される。
【0075】
〔固定金具7〕
図11A及び
図11Bに基づいて、固定金具7について説明する。固定金具7は、
図1A〜
図3Bに示すように、固定機能付きコンタクト4よりも更にY+側の位置に、設けられている。固定金具7は、コンタクトとは別に、ハウジング1内に保持されているものである。詳細には、固定金具7は、
図11A及び
図11Bに示すように、X方向に延在する基部72と、基部72のX1側からZ1側に突出する第1突出片部73と、第1突出片部73よりもX2側で基部72からZ1側に突出する第2突出片部74と、第2突出片部74よりもX2側で基部72からZ1側に突出する第3突出片部75と、基部72と第2突出片部74と第3突出片部75とからZ2方向に凹んで形成される移動規制部71と、を有する。第3突出片部75の先端側は、略X2側に延在している。
【0076】
第1突出片部73と第2突出片部74とで、ハウジング1の一部を挿抜方向Xに挟持して、固定金具7は、ハウジングに固定されている。第1突出片部73のZ1側の先端部及び第3突出片部75のZ1側の先端部は、基板に機械的に接続される。移動規制部71のZ1側の開放部には、ハウジング1の下壁部1bが配置しており、移動規制部71の内周縁と下壁部1bの上縁とによって形成される穴部に、押圧部材6の軸部分62が配置される。押圧部材6の軸部分62がこの穴部によって移動範囲を規制されて配置されることにより、押圧部材6は、移動範囲が規制されて、回転可能となる。
【0077】
〔ハウジング〕
次に、
図12A及び
図12Bに基づいて、ハウジング1の具体的な構成について説明する。ハウジング1は、ハウジング1の高さ方向Zに対向して位置する上壁部1a及び下壁部1bと、上壁部1aと下壁部1bとを連結する横方向Xに一対(2つ)の側壁部1cと、を有する。ハウジング1の挿入口11は、上壁部1aと、下壁部1bと2つの側壁部1cとによって区画形成されている。
【0078】
ハウジング1は、第1信号コンタクト2、第4信号コンタクト3、固定機能付きコンタクト4、固定金具7をそれぞれ保持する複数の溝を有する。これらの溝は、ハウジング1の高さ方向Zに対向する上壁部1a及び下壁部1bの内面のそれぞれ対向する位置に、固定機能付きコンタクト4を保持する溝12、第1信号コンタクト2を保持する溝14、第4信号コンタクト3を保持する溝15、固定金具7を保持する溝16として形成されている。
【0079】
図12A及び
図12Bに示すハウジング1では、各溝12、14、15は、それぞれ、コンタクト2、3、4の延在方向(X方向)において、ハウジング1を貫通して形成されている場合を示している。信号コンタクト2、3、4及び固定金具7は、それぞれ、対応する溝14、15、12、16内に、例えば圧入、引っ掛け(ランス)、溶着等によって固定されている。
【0080】
ハウジング1の上壁部1aには、切欠部17が形成されている。切欠部17により、押圧部材6が第2押圧部材姿勢OPから第1押圧部材姿勢CPへの状態変化時に、第1信号コンタクト2及び固定機能付きコンタクト4を押圧する際、各コンタクト2、4の押受脚部22、43の上方への変位は妨げられない。さらに、切欠部17を設けることで、コネクタ100の低背も可能になる。切欠部17の大きさは、上記役割やコネクタ100の低背化や加工性や強度等を考慮して適宜設計される。
【0081】
〔押圧部材〕
次に、
図13A及び
図13Bに基づいて、押圧部材6について説明する。押圧部材6は、本実施形態においては、固定機能付きコンタクト4の押受部43a及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aの押圧を行う第1押圧部材姿勢CPと、その押圧を解除する第2押圧部材姿勢OPとの間で回転可能に構成されている。第2押圧部材姿勢OPは、接続対象物Fのハウジング1への挿抜可能にする姿勢である。第1押圧部材姿勢CPは、接続対象物Fに対する第1信号コンタクト2及び固定機能付きコンタクト4の押圧接触状態を安定的に保持する姿勢である。本実施形態においては、押圧部材6は、第1押圧部材姿勢CPにて、固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aを押圧する、押圧が行われる信号コンタクト2,3,4の並列方向Yに延在する押圧部61と、押圧部61に対向し、並列方向Yに延在する対向壁64と、それぞれ延在する押圧部61及び対向壁64を並列方向Yに間隔をおいた状態で連結する連結壁65と、少なくとも第2押圧部材姿勢OPの状態では固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aが挿入される所定数のそれぞれ独立した貫通孔63と、移動規制部71に回転可能に装着される軸部分62と、を有する。貫通孔63は、押圧部61と対向壁64と連結壁65とによって区画形成される。
【0082】
押圧部材6は、固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aを押圧する第1押圧部材姿勢CPと、固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aの押圧を解除する第2押圧部材姿勢OPとの間で回転可能に構成される。第1押圧部材姿勢CPにおける押圧と、第2押圧部材姿勢OPにおける押圧の解除とは、単に、押圧部材6と各種の押受部との接触の有無で区別されるものではない。第1押圧部材姿勢CPにおける押圧は、押圧接触状態が安定的に保持されるように押圧することである。そのような状態になっていなければ、押圧部材6と各種の押受部との接触があっても、押圧は解除されていると捉えることができる。
【0083】
押圧部材6は、第1押圧部材姿勢CPにて、並列方向Yに延在する押圧部61により、固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受脚部22を基板実装面から離れる方向(Z2側)へ移動させ、かつ、固定機能付きコンタクト4の押受部43aに圧力が加わる位置に押圧部61が位置する。なお、本発明のコネクタは、実施形態のように、押圧部材6の押圧部61(押圧可能な形状部位)に押圧されないコンタクト、言い換えると、押受部を有しないコンタクトを備えていてもよい。
【0084】
第2押圧部材姿勢OPにて、貫通孔63には、固定機能付きコンタクト4の押受部43a又は/及び第1信号コンタクト2の第1押受部22aが挿入される。
【0085】
延在された押圧部61は、第1信号コンタクト2の第1押受脚部22又は/及び固定機能付きコンタクト4の押受脚部43を押圧して基板実装面から離れる方向に押し上げる部分である。押圧部61における、少なくとも第1信号コンタクト2、固定機能付きコンタクト4、又はハウジング1の下壁部1bと接触する部分の形状は、前述の押し上げができれば、特に制限されない。押圧部61がその一部に円弧部分を有していてもよく、その場合、円弧部分は、押圧部材6の第2押圧部材姿勢OPと第1押圧部材姿勢CPとの間の回転範囲に対応して形成されることが好ましい。また、押圧部61の形状は、例えば長手方向を有する細長形状や、長軸及び短軸を有する楕円形状であってもよい。つまり、延在された押圧部61の形状は、いずれかの部分に長短といった長さの変化を有し、前述の押し上げが出来ればよい。
【0086】
軸部分62は、移動規制部71に装着されており、押圧部材6の第2押圧部材姿勢OPと第1押圧部材姿勢CPとの間の回転をスムーズに行わせるためのものである。押圧部61が、第1信号コンタクト2、固定機能付きコンタクト4において適切に支持されて、押圧部材6の回転が支障なく行うことができれば、軸部分62は設けなくてもよい。
【0087】
貫通孔63は、コネクタのX1−X2方向の寸法を大きくすることなく、第1信号コンタクト2の第1押受脚部22と固定機能付きコンタクト4の押受脚部43に十分な弾性(ばね)性を持たせる為の逃げである。貫通孔63は、互いに連結壁65によって互いに仕切られて、別個独立に設けられている。貫通孔63を別個独立に設けることで、押圧部材6の剛性を向上させて、押圧部材6の回転時の押圧部材6の変形を防止することができる。
【0088】
〔固定機能付きコンタクトの動作〕
次に、
図4A及び
図4Bに基づいて、上記の構成を有する固定機能付きコンタクト4について、押圧部材6による押圧時の動作について説明する。なお、図面を見やすくする観点から、接続対象物Fの図示は省略した。
【0089】
接続対象物Fは、押圧部材6が第2押圧部材姿勢OPにおいて、固定機能付きコンタクト4の接触脚部41と、係止脚部42との間に挿入可能である。接続対象物Fが挿入されるだけで、接触脚部41は、接触部41aにおいて、接続対象物Fのランド部F2と電気的に接触させることは可能である。
図4Aに示すように、押圧部材6が第2押圧部材姿勢OPにある状態では、接触脚部41の接触部41aは、接続対象物Fに電気的に接触させることができるが、その場合の接触は安定的ではない。
【0090】
そこで、押圧部材6を、
図4Bに示す第1押圧部材姿勢CPに回転させて、固定機能付きコンタクト4と接続対象物Fとの電気的な接続を安定的にし、かつ、接続対象物Fの抜去を確実に防止する状態にする。具体的には、押圧部材6が第2押圧部材姿勢OPから第1押圧部材姿勢CPに移動すると、固定機能付きコンタクト4の押受脚部43が、押圧部材6の押圧部61によって上方(Z2側)に押し上げられて傾斜変位する。この押受脚部43の上方への変位に伴い、接触脚部41が下方(Z1側)に傾斜変位する。この接触脚部41の下方への変位に伴い、接触脚部41の接触部41aと係止脚部42とで接続対象物Fを挟持固定して、接触部41aが、接続対象物Fの一方の面のランド部F2に押圧接触する結果として、電気的に安定した接触が形成される。
【0091】
また、この接触脚部41の下方への変位に伴い、接触脚部41の接触部41aが、接続対象物Fと押圧接触する。接触脚部41の接触部41aによる接続対象物Fの押圧により、接続対象物Fは、下方に押圧されているので、係止脚部42の係止部42aは、接続対象物Fをその被係止部F1において確実に係止することにもなり、接続対象物Fの抜去を確実に防止している。これにより、接触脚部41の接触部41aと接続対象物Fとの間で、より安定的な電気的接触が達成される。
【0092】
〔実施形態の効果〕
実施形態のコネクタ100においては、接触部41aと係止部42aと接続部44aと押受部43aとは同一の金属材料から一体的に形成されており、ロック部材は、導通可能に用いられる固定機能付きコンタクト4を少なくとも1本以上含み、係止部42aは、接続対象物Fの被係止部F1に対応する位置で、基板実装面から近い側(Z1側)で、基板実装面から離れる方向(Z2側)に突出しており、接触部41aは、係止部42aに対向する側で、基板実装面から遠い側(Z2側)で、かつ、係止部42aよりも接続対象物Fの挿入側(X1側)に近い位置に位置する。
【0093】
そのため、実施形態のコネクタ100によれば、係止部42aを被係止部F1に係止することで、接続対象物Fとの保持力をアップすることができる。ロック部材を信号コンタクトに用いることで、信号コンタクトの個数を削減できるため、コンタクト2,3,4の並列方向Yの寸法を小型化(狭ピッチ化)でき、より多くの信号コンタクト2,3,4を配列できる。接触部41aは、係止部42aよりも接続対象物Fの挿入側(X1側)に近い位置に位置するため、接続対象物Fのパターンを容易に形成することができる。
【0094】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されず、適宜変更が可能である。
固定機能付きコンタクト4(ロック部材)は、横方向Yの内側(中央寄り)にも、1個又は複数個設けることができる。これにより、ロック機能(保持力)を向上できる。
第1固定機能付きコンタクト4において、係止部42aよりもX1側に延設脚部が設けられていてもよい。
各種コンタクトの押受脚部に対してZ1側に位置する延設脚部は、無くてもよい。
【0095】
単純信号コンタクトとしては、第1信号コンタクト2、第2信号コンタクト2A、第3信号コンタクト3A及び第4信号コンタクト3のうちの1種又は複数種を設けることができる。そのうち、第1信号コンタクト2と、第2信号コンタクト2A又は第4信号コンタクト3とが、交互に千鳥に配列されることが好ましい。同様に、第3信号コンタクト3Aと、第2信号コンタクト2A又は第4信号コンタクト3とが、交互に千鳥に配列されることが好ましい。基板上に接続部を効率的に配置できるため、実装効率を向上できるからである。
1種類の信号コンタクトが単列に配列する形態の場合、接続強度の向上の点から、ロック部材の接続部と単純信号コンタクトの接続部とは、挿抜方向に互いに反対側に配置されていることが好ましい。
コンタクト(固定機能付きコンタクトを含む)は、信号コンタクトに制限されず、電源コンタクトであってもよい。
ロック部材の全数が、固定機能付きコンタクトである必要は無く、ロック部材の一部がコンタクトではない部材(ロック機能に特化した部材)であってもよい。
コンタクト等が挿入される構成は、コンタクト等を挿入できる形状を有するものであれば、溝(実施形態では、溝12、溝14、溝15、溝16)に制限されず、例えば孔でもよい。
ロック部材4は、接続対象物Fの一方面と接触する接触部41aと、接続対象物Fに形成されている被係止部F1に係合可能な形状を有する係止部42aと、接続部44aと、押圧部材6により押圧される押受部43aとを有し、ロック部材4は、導通可能に用いられる固定機能付きコンタクトを少なくとも1本以上含み、係止部42aは、接続対象物Fの被係止部F1に対応する位置で、基板実装面から近いZ1側で、基板実装面から離れる方向Z2に突出しており、接触部41aは、係止部42aに対向する側で、基板実装面から遠いZ2側で、かつ、係止部42aよりも接続対象物Fの挿入側X1に近い位置に位置する。