(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建築物の区画体の外面から先端部が突出する状態で前記区画体に埋設された筒状のスリーブ部材と、前記スリーブ部材に挿通される長尺体の周囲を覆う状態に配置されて前記長尺体との間に防火措置材を保持する環状の保持部材との間に介在されるアダプタ部材であって、
前記スリーブ部材の外側面よりも外方に延出して前記保持部材の載置領域となる板状の延出板部と、
前記延出板部から当該延出板部の内側端部よりも内方に向かって突出し、前記スリーブ部材の突出先端部に係止される複数の突出片と、
を備えるアダプタ部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、貫通孔を形成するためのスリーブ部材が先端突出状態で区画体に埋設されている場合にも、貫通孔と長尺体との間の隙間に対応する区画体の外面側に容易に施工することができる防火措置構造の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る防火措置構造は、
建築物の区画体に形成された貫通孔と前記貫通孔に挿通される長尺体との間の隙間に対応する前記区画体の外面側に設けられる防火措置構造であって、
前記区画体の外面から先端部が突出する状態で前記区画体に埋設されて前記貫通孔を画定する筒状のスリーブ部材と、
前記スリーブ部材の突出先端部に載置されるアダプタ部材と、
前記アダプタ部材に載置され、前記長尺体の周囲を覆う状態で前記アダプタ部材に固定される環状の保持部材と、
前記長尺体と前記保持部材との間に設けられる防火措置材と、
を備える。
【0008】
この構成によれば、アダプタ部材を介して、スリーブ部材の突出先端部の近傍における長尺体の周囲に、保持部材と防火措置材とを設けることができる。保持部材と防火措置材とを備える防火措置構造自体は従来から利用されており、本構成においても十分に防火性能を確保することができる。施工時には先端突出状態で区画体に埋設されているスリーブ部材を一切切除することなく保持部材と防火措置材とを設けることができるので、貫通孔と長尺体との間の隙間に対応する区画体の外面側への防火措置構造の施工性を向上させることができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
1つの態様として、前記アダプタ部材は、環状に形成されるとともに、周方向に分割形成された一対のアダプタ分割体を含み、前記一対のアダプタ分割体により前記スリーブ部材を外側から挟み込んだ状態で、前記アダプタ部材が前記スリーブ部材に固定されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、貫通孔及びスリーブ部材に長尺体が挿通されている状態でも、一対のアダプタ分割体を長尺体及びスリーブ部材の外周から組み合わせることで、アダプタ部材をスリーブ部材の突出先端部に適切に載置することができる。また、一対のアダプタ分割体でスリーブ部材を外側から挟み込むことで、アダプタ部材をスリーブ部材に強固に固定することができる。よって、スリーブ部材、アダプタ部材、及び保持部材の全体を強固に固定することができる。
【0012】
1つの態様として、前記一対のアダプタ分割体が、それぞれにおける一端どうしで相対変位可能に連結されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、一対のアダプタ分割体を含むアダプタ部材を一括的に扱うことができる。また、一対のアダプタ分割体のそれぞれにおける連結端とは反対側の端部どうしを互いに近接移動させるだけで、容易に、一対のアダプタ分割体でスリーブ部材を外側から挟み込むことができる。よって、施工性をさらに向上させることができる。
【0014】
1つの態様として、前記アダプタ部材は、前記スリーブ部材の外側面よりも外方に延出する板状の延出板部と、前記延出板部から当該延出板部の内側端部よりも内方に向かって突出する複数の突出片と、を有すると好適である。
【0015】
この構成によれば、スリーブ部材の外側面よりも外方に延出する延出板部に、保持部材の載置領域を適切に設けることができる。また、延出板部の内側端部よりも内方に向かって突出する複数の突出片をスリーブ部材の突出先端部に係止させることで、スリーブ部材にアダプタ部材を適切に載置できる。
【0016】
1つの態様として、前記突出片が、前記延出板部に対して前記長尺体の長手方向にオフセットするように屈曲形成されていると好適である。
【0017】
この構成によれば、延出板部に対する突出片のオフセット量に応じて、スリーブ部材の突出先端部に対する延出板部の位置調整を行うことができる。
【0018】
1つの態様として、前記スリーブ部材は、前記突出先端部から外方に延出する鍔部を有し、前記延出板部と前記突出片との間のオフセット隙間に前記鍔部が収納され、前記延出板部と前記突出片とで前記鍔部を挟み込んだ状態で、前記アダプタ部材が前記スリーブ部材に固定されていると好適である。
【0019】
この構成によれば、コンクリート打設時の止水性をさらに高めるためにスリーブ部材に設けられる場合がある鍔部を利用して、アダプタ部材の抜け止めを図ることができる。よって、アダプタ部材をスリーブ部材に強固に固定することができ、スリーブ部材、アダプタ部材、及び保持部材の全体を強固に固定することができる。
【0020】
1つの態様として、前記アダプタ部材は、環状に形成されるとともに、周方向に分割形成された一対のアダプタ分割体を含み、前記保持部材は、周方向に分割形成された一対の保持分割体を含み、前記アダプタ部材と前記保持部材とが、前記一対のアダプタ分割体の分割面と前記一対の保持分割体の分割面とが交差する状態で固定されていると好適である。
【0021】
この構成によれば、一対のアダプタ分割体の開環方向と一対の保持分割体の開環方向とが交差するので、アダプタ部材と保持部材との固定力を高めることができる。すなわち、一対のアダプタ分割体に対してはその固定力を保持部材が補強し、一対の保持分割体に対してはその固定力をアダプタ部材が補強し、両者は互いに固定力を補強し合うように作用する。よって、それらの相乗効果によって、アダプタ部材と保持部材との固定力を高めることができる。
【0022】
本発明は、上述した防火措置構造に必須の専用部品となるアダプタ部材をも、保護対象とすることができる。この場合におけるアダプタ部材は、例えば、
建築物の区画体の外面から先端部が突出する状態で前記区画体に埋設された筒状のスリーブ部材と、前記スリーブ部材に挿通される長尺体の周囲を覆う状態に配置されて前記長尺体との間に防火措置材を保持する環状の保持部材との間に介在されるアダプタ部材であって、
前記スリーブ部材の外側面よりも外方に延出して前記保持部材の載置領域を提供する板状の延出板部と、
前記延出板部から当該延出板部の内側端部よりも内方に向かって突出し、前記スリーブ部材の突出先端部に係止される複数の突出片と、
を備える。
【0023】
この構成によれば、スリーブ部材の外側面よりも外方に延出する延出板部に、保持部材の載置領域を適切に設けることができる。また、延出板部の内側端部よりも内方に向かって突出する複数の突出片をスリーブ部材の突出先端部に係止させることで、スリーブ部材にアダプタ部材を適切に載置できる。これにより、アダプタ部材を介して、スリーブ部材の突出先端部の近傍における長尺体の周囲に、保持部材と防火措置材とを設けることができる。保持部材と防火措置材とを備える防火措置構造自体は従来から利用されており、本構成においても十分に防火性能を確保することができる。施工時には先端突出状態で区画体に埋設されているスリーブ部材を一切切除することなく保持部材と防火措置材とを設けることができるので、貫通孔と長尺体との間の隙間に対応する区画体の外面側への防火措置構造の施工性を向上させることができる。つまり、防火措置構造の施工性向上に寄与し得るアダプタ部材を実現することができる。
【0024】
このアダプタ部材に関しても、上述した防火措置構造の好適な態様例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことが可能である。その場合、それぞれの付加的技術に対応する作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る防火措置構造の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る防火措置構造は、建築物の区画体5に形成された貫通孔5Hとその貫通孔5Hに挿通される長尺体6との間の隙間Gに対応する区画体5の外面5a側に設けられる貫通孔防火措置構造である。本実施形態に係る防火措置構造は、以下の点によって特徴付けられる。すなわち、区画体5の外面5aから先端部が突出する状態で区画体5に埋設される筒状のスリーブ部材10と、スリーブ部材10の突出先端部12に載置されるアダプタ部材20と、アダプタ部材20に載置・固定される環状の保持部材30と、長尺体6と保持部材30との間に設けられる防火措置材40とを備える。これにより、貫通孔5Hと長尺体6との間の隙間Gに対応する区画体5の外面5a側に容易に施工することができる防火措置構造を実現することができる。以下、本実施形態に係る防火措置構造について、詳細に説明する。
【0027】
なお、以下の説明では、同軸状に配置される長尺体6、スリーブ部材10、アダプタ部材20、及び保持部材30の各方向に関して、長尺体6の長手方向を「軸方向」と定義し、長尺体6の長手方向に直交する方向を「径方向」と定義し、長尺体6の周囲を周回する方向を「周方向」と定義する。アダプタ部材20及び保持部材30の各部の説明における方向についての言及は、それらが区画体5と一体化されたスリーブ部材10に固定された状態での方向を意図しているものとする。また、以下の説明で参照する図面においては、図示の容易化や理解の容易化等の観点から、縮尺や上下左右の寸法比率等が実際の製品とは異なる場合がある。
【0028】
防火措置構造が適用される区画体5は、建築物内の空間を複数の室空間に区画する防火性の構造体である。区画体5は、例えば複数の室空間を鉛直方向に区画する床(又は天井)であっても良いし(
図2を参照)、複数の室空間を水平方向に区画する壁部であっても良い(図示せず)。区画体5としては、例えば鉄筋コンクリート造(RC)や軽量気泡コンクリート造(ALC)等のコンクリート造を例示することができる。もちろん、これら以外の構造を有するものを区画体5として用いても良い。
【0029】
図1及び
図2に示すように、区画体5には筒状のスリーブ部材10が設けられている。スリーブ部材10は、区画体5をその厚み方向(図示の例では鉛直方向)に貫通する状態に設けられている。スリーブ部材10は、区画体5の外面5aから先端部が突出する状態で区画体5に埋設されており、その外側面によって貫通孔5Hを画定している。これにより、区画体5には、当該区画体5をその厚み方向に貫通する貫通孔5Hが形成されている。
【0030】
本実施形態では、スリーブ部材10は、区画体5を貫通する筒状のスリーブ本体部11と、そのスリーブ本体部11の突出先端部12から外方に延出する鍔部13とを有する。本例では、スリーブ本体部11は円筒状に形成され、鍔部13は一定の延出長さで径方向外側に延出する円環板状に形成されている(
図3を参照)。また、貫通孔5Hは円形状に形成されている。但し、そのような構成に限定されることなく、スリーブ本体部11の具体的形状は例えば楕円筒状や多角形筒状等の各種形状であって良く、それに応じて貫通孔5Hの形状も例えば楕円状や多角形状等であって良い。
【0031】
なお、スリーブ部材10は、コンクリート造で構成される区画体5を形成するにあたって、当該区画体5に貫通孔5Hを形成するために、コンクリート打設時に貫通孔5Hの形成位置に配置されるものである。コンクリート打設時の止水性を確保するために、打設されるコンクリートの上面からスリーブ本体部11の突出先端部12(鍔部13)が突出する状態に設けられる。また、鍔部13を有するスリーブ部材10を用いることで、止水性をさらに向上させることができる。
【0032】
貫通孔5H(スリーブ部材10)には、長尺体6が挿通されている。長尺体6は、例えば線状体、管状体、及び帯状体等の、一方向に延びる長尺状の構造を有するものである。このような長尺体6としては、例えば空調装置用の冷媒配管を例示することができる。本実施形態では、長尺体6は、冷媒循環用の配管部材6Aと、その配管部材6Aの周囲を被覆する被覆材6Bとを含む。配管部材6Aは例えば金属製の管状部材であり、被覆材6Bは配管部材6Aに外装された例えば合成樹脂製の断熱材である。このように、「長尺体6」は、配管用の本体部として機能する管状部材そのものだけなく、そのような管状部材と所定の機能層とが組み合わされた複合体をも含む概念である。なお、長尺体6は、空調装置用の冷媒配管に限定されず、例えば給排水用の配管や電気ケーブル等であっても良い。
【0033】
ところで、貫通孔5H(スリーブ部材10)と長尺体6との間に防火措置を施す場合、スリーブ部材10における区画体5の外面5aから突出する部分を切除して、区画体5の外面5aに従来型の防火措置構造を施すことも可能ではある。しかし本実施形態では、施工の容易化を図るべく、スリーブ部材10を切除することなくそのまま利用し、当該スリーブ部材10の突出先端部12に防火措置構造を施すという新規な構造を採用している。
【0034】
本実施形態に係る防火措置構造を実現するため、
図2及び
図3に示すように、スリーブ部材10の突出先端部12に載置されるアダプタ部材20が用いられる。アダプタ部材20は、スリーブ部材10の突出先端部12の近傍における長尺体6の周囲に、保持部材30と防火措置材40とを設けるための設置補助部材である。アダプタ部材20は、スリーブ部材10と保持部材30との間に介在されて、両者を間接的に固定する。
【0035】
図3に示すように、アダプタ部材20は、周方向に略均等に分割形成された複数(本例では2つ)の略同形状のアダプタ分割体21を含む。これら複数のアダプタ分割体21を組み合わせることで、アダプタ部材20が形成される。本実施形態では、アダプタ部材20を構成する一対のアダプタ分割体21は、それぞれにおける一端どうしで相対変位可能に連結されている。本例では、一対のアダプタ分割体21はヒンジ部25にてヒンジ連結されている。アダプタ部材20は、ヒンジ部25を基点として、各アダプタ分割体21の他端部(対向板部26)どうしが所定間隔で対向する閉じ姿勢と、各アダプタ分割体21の他端部どうしが大きく離間する開き姿勢(
図6を参照)とに、姿勢変更自在に構成されている。
【0036】
図3に示すように、アダプタ部材20は、その閉じ姿勢において全体として環状となるように形成されている。アダプタ部材20は、周方向の一部の領域(一対の対向板部26どうしの間の、第一締結部材29(
図1を参照)が配置される領域)を除き、周方向に連続するように形成されている。一対の対向板部26どうしの間に第一締結部材29が設けられた状態で、アダプタ部材20と第一締結部材29とが合わさって、全体として周方向に連続する。
【0037】
図3及び
図4に示すように、アダプタ部材20(一対のアダプタ分割体21のそれぞれ)は、延出板部22と、筒状部24と、突出片27とを有する。延出板部22、筒状部24、及び突出片27は一体的に形成されている。もちろん、これらのうちの1つ以上が他の部品に対して別部品として構成され、互いに接合されてアダプタ部材20が形成されても良い。
【0038】
延出板部22は、スリーブ部材10を構成するスリーブ本体部11の外側面(本例では外周面)よりも外方(本例では径方向外側)に延出する板状に形成されている。延出板部22は、一定の延出長さで径方向外側に延出する略半円環板状に形成されている。延出板部22は、保持部材30の載置領域を提供する。延出板部22における周方向の中央部付近には、保持部材30を固定するためのスリット状の取付孔23が形成されている。本実施形態では、取付孔23は、径方向に沿うように形成されている。但し、そのような構成に限定されることなく、取付孔23は周方向に沿うように形成されても良いし、径方向及び周方向の両方に交差する方向に沿うように形成されても良い。また、取付孔23は丸穴として形成されても良い。
【0039】
図4に示すように、筒状部24は、延出板部22の内側端部(本例では径方向内側端部)から軸方向に沿って延びる半筒状(本例では半円筒状)に形成されている。筒状部24は、アダプタ部材20全体として周方向全体に亘って連続するように形成されても良いし(図示せず)、本例のように複数の切欠部24aによって周方向に断続的に形成されても良い。いずれにしても、筒状部24は、全体として筒状に形成されている。筒状部24は、スリーブ部材10(スリーブ本体部11)の外面形状に対応する内面形状を有しており、その内周面がスリーブ本体部11の外周面に対面する(当接する)状態で配置される(
図2を参照)。
【0040】
図3に示すように、突出片27は、延出板部22から当該延出板部22の内側端部(本例では径方向内側端部)よりも内方(本例では径方向内側)に向かって突出する、所定周方向幅を有する板片状に形成されている。本実施形態では、突出片27は、延出板部22に対して軸方向にオフセットするように屈曲形成されている。突出片27は、延出板部22における径方向の所定位置から略垂直に立ち上がるオフセット屈曲部28を基端部とし、先端部が鍔部13の外側端部(径方向外側端部)よりも内方(径方向内側)に位置する状態で、延出板部22に対して略平行に配置されている。延出板部22と突出片27との間には、軸方向に沿うオフセット隙間gが存在している。本実施形態では、延出板部22と突出片27との間のオフセット隙間gの大きさは、鍔部13の厚みと同等又はそれよりも僅かに大きく設定されている。
【0041】
突出片27は、環状のアダプタ部材20において、周方向に所定間隔を隔てて複数(本例では計4つ)設けられている。複数の突出片27は、周方向に略均等に位置する(本例では、中心角が約90°となる)ように設けられている。また、それぞれの突出片27は、周方向におけるヒンジ部25又は対向板部26と取付孔23との間の所定位置(およそ中央位置)に設けられている。さらに、筒状部24に形成された切欠部24aとの関係では、それぞれの突出片27は切欠部24aに対応する周方向の位置に設けられている(
図4を参照)。
【0042】
図3に示すように、アダプタ部材20は、スリーブ部材10の突出先端部12に載置された状態でスリーブ部材10に固定されている。本実施形態では、アダプタ部材20は、一対のアダプタ分割体21によりスリーブ部材10を外側(本例では径方向外側)から挟み込んだ状態で、スリーブ部材10に固定されている。上述したように、アダプタ部材20の閉じ姿勢では、各アダプタ分割体21の対向板部26どうしは、所定間隔で周方向に対向する。これらの対向板部26にはそれぞれ固定穴26aが形成されている。固定穴26aの内径は、例えばビス等で構成される第一締結部材29(
図1を参照)のネジ山の最大径よりも小さく設定されている。なお、
図3等では一対の固定穴26aがいずれも丸穴である例を示しているが、そのような構成に限定されることなく、例えば角穴等であっても良いし、いずれか一方が長孔であっても良い。
【0043】
両対向板部26の固定穴26aに第一締結部材29を共にねじ込んで締め付けることで、両対向板部26間の間隔を狭めることができる。それに伴い、筒状部24にてスリーブ本体部11を挟み込んでアダプタ部材20をスリーブ部材10に固定することができる。特に径方向に、アダプタ部材20を強固に固定することができる。本実施形態では、一対の対向板部26に亘って螺合されて両者を締め付ける第一締結部材29により、「締付手段C」が構成されている。
【0044】
また、本実施形態では、アダプタ部材20は、延出板部22と突出片27との間のオフセット隙間gにスリーブ部材10の鍔部13が収納された状態で、スリーブ部材10に固定されている。すなわち、アダプタ部材20は、延出板部22と突出片27とでスリーブ部材10の鍔部13を軸方向に挟み込んだ状態でスリーブ部材10に固定されている。これにより、第一締結部材29を締め付けた際に、アダプタ部材20を、径方向だけでなく軸方向にも強固に固定することが可能となっている。
【0045】
図2に示すように、保持部材30は、アダプタ部材20に載置され、長尺体6の周囲を覆う状態でアダプタ部材20に固定されている。
図5に示すように、保持部材30は、周方向に略均等に分割形成された複数(本例では2つ)の略同形状の保持分割体31を含む。これら複数の保持分割体31を組み合わせることで、環状の保持部材30が形成される。本実施形態では、保持部材30を構成する一対の保持分割体31は、それぞれにおける一端どうしで相対変位可能に連結(本例ではヒンジ連結)されている。保持部材30は、ヒンジ部を基点として、各保持分割体31の他端部どうしが重なって環状となる閉じ姿勢と、各保持分割体31の他端部どうしが互いに離間した開き姿勢とに、姿勢変更自在に構成されている。
【0046】
保持部材30(保持分割体31のそれぞれ)は、周壁部32と、固定部33と、端壁部34とを有する。これらは、一体的に形成されている。周壁部32は、防火措置材40(本例では特に、熱硬化材42)の周囲を覆う壁部であり、略半円筒状に形成されている。また、周壁部32は、
図2に示すように、縦断面形状において、アダプタ部材20から離れるに従って次第に縮径する湾曲形状の外周面を有するように形成されている。端壁部34は、周壁部32におけるアダプタ部材20とは反対側の端部から径方向内向きに突出形成された壁部であり、略半円環状に形成されている。
【0047】
固定部33は、周壁部32におけるアダプタ部材20側の基端部に設けられた、アダプタ部材20に対して保持部材30を固定するための部位である。
図5に示すように、固定部33は、それぞれの保持分割体31の周壁部32の両端部において、周方向に突出形成されている。本実施形態では、周壁部32は、その両端部に当該周壁部32の他の部位に比べて径方向に凹むように形成された凹設部32aを有しており、この凹設部32aにおけるアダプタ部材20側の基端部に設けられた有孔板状部により固定部33が構成されている。互いに隣り合う保持分割体31のそれぞれの固定部33の挿通孔33aが重なる状態でそれに挿通されるビス等の第二締結部材37により、保持部材30がアダプタ部材20に固定されている(
図1を参照)。
【0048】
なお、保持部材30の全体について見ると、複数(本例では2つ)の固定部33は、所定間隔で周方向に略均等に設けられている。固定部33のうちの1つにおける挿通孔33aにはハトメ等の連結部材が一対の保持分割体31に亘って設けられ、当該部分は上述したヒンジ部として機能する(
図5を参照)。また、第二締結部材37を用いたアダプタ部材20と保持部材30との固定は、延出板部22に形成された取付孔23に対して第二締結部材37がねじ込まれることで実現される(
図7を参照)。なお、本実施形態のように周壁部32の両端部から固定部33が周方向に突出形成された構成は、例えば固定部33が径方向に突出形成される構成に比べて、アダプタ部材20をコンパクトに構成できるという利点をもたらす。
【0049】
本実施形態では、アダプタ部材20と保持部材30とは、一対のアダプタ分割体21の分割面(「第一分割面」と称する)と一対の保持分割体31の分割面(「第二分割面」と称する)とが交差する状態で固定されている(
図7を参照)。ここで、第一分割面は、アダプタ部材20におけるヒンジ部25と一対の対向板部26の間の領域とを結ぶ仮想面である。第二分割面は、保持部材30における2つの固定部33どうしを結ぶ仮想面である。なお、第二分割面は、アダプタ部材20における2つの取付孔23どうしを結ぶ仮想面でもある。本実施形態では、第一分割面と第二分割面とが略直交する状態で、アダプタ部材20と保持部材30とが固定されている。
【0050】
このような構成では、一対のアダプタ分割体21の開環方向と一対の保持分割体31の開環方向とが交差(本例では略直交)する。このため、一対のアダプタ分割体21の閉じ姿勢を維持させるための固定力を保持部材30が補強するのと同時に、一対の保持分割体31の閉じ姿勢を維持させるための固定力をアダプタ部材20が補強する。このようにして、アダプタ部材20と保持部材30とは、互いに閉じ姿勢を維持させるための固定力を補強し合うように作用する。よって、それらの相乗効果によって、両者間の固定力が効果的に高められている。
【0051】
図5に示すように、本実施形態では、保持部材30(保持分割体31のそれぞれ)は、保持片35をさらに有する。保持片35は、端壁部34からアダプタ部材20側(区画体5側)に向かって延びる板片である。保持片35は、保持部材30を構成する他の部位(周壁部32、固定部33、及び端壁部34)と一体的に形成されていても良いし、それらとは別部品として構成されて接合されていても良い。本実施形態では、複数(本例では3つ)の保持片35が、保持分割体31のそれぞれに設けられている。なお、保持片35の個数や形成位置は、要求される保持性能等に応じて適宜設定することができる。保持片35は、複数個所(本例では2箇所)で屈曲形成されている。保持片35の先端部は、開放端となっており、保持部材30の他の部位(特に、周壁部32)に対して非固定状態に保たれている。
【0052】
図2に示すように、長尺体6と保持部材30との間に、防火措置材40が設けられている。防火措置材40は、火災発生時に貫通孔5H(スリーブ部材10)と長尺体6との間の隙間Gを火炎が通って延焼するのを阻止ないし抑制するための部材である。本実施形態では、防火措置材40は、互いに異なる機能を有する複数(本例では2つ)の機能層が径方向に積層された複層構造(本例では2層構造)を有している。本実施形態では、防火措置材40は、熱膨張材41と、この熱膨張材41の径方向外側に配置された熱硬化材42とを含む。
【0053】
熱膨張材41は、長尺体6におけるスリーブ部材10の突出先端部12から露出する部分の周囲に配置されている。熱膨張材41は、長尺体6に接する状態で配置されている。熱膨張材41は、熱膨張性(加熱により体積が増加する性質)を有する部材であり、例えばパテ状部材(熱膨張性パテ材)を用いることができる。また、本実施形態では、熱膨張材41は、熱膨張性に加えて可撓性(撓むことが可能な性質)と耐火性(火熱に耐えやすい性質、溶融温度が高く燃えにくい性質)とをさらに有している。熱膨張材41は、可撓性及び耐火性を有する樹脂成分と、この樹脂成分中に混練された熱膨張性充填材とを含む。但し、そのような構成に限定されることなく、加熱されたときに体積が増加するものであれば、その他の組成を有するものを熱膨張材41として用いることができる。
【0054】
熱膨張材41を構成する上記組成物は、被覆部材(第一被覆部材)で被覆されていても良い。被覆部材は、例えば袋状や筒状に形成される。このような被覆部材は、例えば樹脂フィルム、金属薄膜、有機繊維、又は無機繊維等で構成される。なお、本実施形態では、被覆部材が設けられる場合には、上記組成物と被覆部材とを含んで「熱膨張材41」が構成されるものとする。
【0055】
熱硬化材42は、熱膨張材41の周囲において、当該熱膨張材41に接する状態で配置されている。また、熱硬化材42は、保持部材30の周壁部32にも接する状態で配置されている。熱硬化材42は、熱硬化性(加熱により硬化する性質)を有する部材であり、例えばパテ状部材(熱硬化性パテ材)を用いることができる。また、本実施形態では、熱硬化材42は、熱硬化性に加えて耐火性と未硬化時には可撓性を有している。例えば熱硬化材42は、可撓性及び熱硬化性かつ耐火性を有する樹脂成分と、この樹脂成分中に混練された無機充填材とを含む。熱硬化材42を構成する熱硬化性の樹脂成分としては、各種の熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化材42を構成する無機充填材としては、各種の無機フィラーを用いることができる。但し、そのような構成に限定されることなく、加熱されたときに硬化するものであれば、その他の組成を有するものを熱硬化材42として用いることができる。
【0056】
熱硬化材42を構成する上記組成物は、被覆部材(第二被覆部材)で被覆されていても良い。被覆部材は、例えば袋状や筒状に形成される。このような被覆部材は、例えば樹脂フィルム、金属薄膜、有機繊維、又は無機繊維等で構成される。なお、本実施形態では、被覆部材が設けられる場合には、上記組成物と被覆部材とを含んで「熱硬化材42」が構成されるものとする。
【0057】
熱硬化材42の熱硬化速度は、熱膨張材41の熱膨張速度よりも早いことが好ましい。言い換えれば、火災発生時において、熱硬化材42が十分に熱硬化するのに要する時間は、熱膨張材41が十分に熱膨張するのに要する時間よりも短いことが好ましい。このようにすれば、火災発生時に周囲温度が例えば100〜250℃まで上昇した際には、熱膨張材41が熱膨張するよりも前に熱硬化材42が熱硬化する。熱膨張材41及び熱硬化材42の、それぞれにおける具体的な組成比(配合比)は、熱硬化速度と熱膨張速度との関係が上記の関係を満足するように決定されると良い。
【0058】
本実施形態では、防火措置材40が熱膨張材41に加えてさらに熱硬化材42を含むので、火災発生時に熱膨張材41が膨張しようとする力によって硬化済の熱硬化材42が径方向に押し潰されることがほとんどない。このため、熱膨張材41の膨張方向が軸方向(長尺体6の長手方向)に制限され、熱膨張する熱膨張材41を効率良く貫通孔5H(スリーブ部材10)と長尺体6との間の隙間Gへと誘導することができる。よって、火災時に貫通孔5Hと長尺体6との間の隙間Gを十分に塞ぐために必要となる熱膨張材41の熱膨張倍率を小さく抑えることができる。
【0059】
また、熱膨張倍率の小さい熱膨張材41を用いることができるので、その熱膨張材41に関して、火災時の熱膨張に伴う低密度化を抑制することができる。さらに本実施形態では、熱膨張材41とともに用いられて熱膨張方向のガイドとしての機能を担う熱硬化材42は、硬化前後で実質的に体積が変化しないので、防火措置部位全体としての低密度化を抑制することもできる。これらの効果が相俟って、防火措置部位全体としての低密度化を効果的に抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、熱硬化材42は保持部材30によって予め保持された状態で配置されている。熱硬化材42は、周壁部32と保持片35とで少なくとも径方向に支持された状態で保持部材30によって保持されている。
図2に示すように、本実施形態では、熱硬化材42は、保持片35における軸方向に沿って延びる辺部(第一辺部)と周壁部32とで径方向に支持された状態で、保持部材30によって保持されている。また、
図5に示すように、熱硬化材42は、保持片35の先端側における径方向に沿って延びる辺部(第二辺部)と周壁部32とで軸方向にも支持された状態で、保持部材30によって保持されている。保持片35の第二辺部は、熱硬化材42の抜け止めとしても機能する。なお、保持部材30と、この保持部材30に保持された熱硬化材42とを含むユニットを、本実施形態では「防火措置ユニットU」と称する。
【0061】
以下、本実施形態に係る防火措置構造の施工方法について、順を追って説明する。まず、
図6に示すように、先端部が突出する状態で区画体5に埋設されたスリーブ部材10に長尺体6を挿通させる。本実施形態では、区画体5に貫通孔5Hを形成するために用いられた先端突出状態のスリーブ部材10を切除することなく、そのスリーブ部材10に長尺体6を挿通させる。
【0062】
次に、スリーブ部材10の突出先端部12に、アダプタ部材20を載置して固定する。このとき、アダプタ部材20のそれぞれの突出片27がスリーブ部材10の鍔部13上に載置された状態となるように、アダプタ部材20を開き姿勢から閉じ姿勢に姿勢変更操作する。また、アダプタ部材20の延出板部22と突出片27との間のオフセット隙間gにスリーブ部材10の鍔部13が収納された状態となるように、アダプタ部材20を開き姿勢から閉じ姿勢に姿勢変更操作する。その後、一対の対向板部26の固定穴26aに第一締結部材29を共にねじ込んで締め付けることにより、筒状部24にてスリーブ本体部11を挟み込んでアダプタ部材20をスリーブ部材10に固定する。
【0063】
次に、
図7に示すように、長尺体6におけるスリーブ部材10から露出する部分の周囲に熱膨張材41を配置する。熱膨張材41は、長尺体6の外周を取り巻くように配置されるとともに、隣接する長尺体6どうしの間の隙間にも配置される。本実施形態では、熱膨張材41は、その外周部が軸方向に見て延出板部22と重複してアダプタ部材20の中央開口部を覆うように配置される。その後、保持部材30と熱硬化材42と含む防火措置ユニットUを、熱膨張材41の周囲に配置する。その際、アダプタ部材20上で熱膨張材41を囲うように、保持部材30を開き姿勢から閉じ姿勢に姿勢変更操作する。
【0064】
本実施形態では、保持部材30の姿勢変更操作は、アダプタ部材20における一対のアダプタ分割体21の第一分割面と保持部材30における一対の保持分割体31の第二分割面とが略直交するように行われる。なお、保持部材30の開き姿勢から閉じ姿勢への姿勢変更操作後に、第一分割面と第二分割面とが略直交するように、保持部材30の周方向の位置調整を行っても良い。いずれにしても、アダプタ部材20の取付孔23と保持部材30の固定部33の挿通孔33aとが、軸方向に見て重複することになる。そして、固定部33の挿通孔33aに第二締結部材37を挿通させ、この第二締結部材37をアダプタ部材20(延出板部22に形成された取付孔23)にねじ込む。このようにして、周方向の複数箇所(本例では2箇所)にて、保持部材30をアダプタ部材20に固定する。また、保持部材30を、アダプタ部材20を介してスリーブ部材10の突出先端部12に固定する。以上で、本実施形態に係る防火措置構造の施工が完了する。
【0065】
本実施形態では、アダプタ部材20を用いることで、先端突出状態で区画体5に埋設されているスリーブ部材10を一切切除することなく、スリーブ部材10の突出先端部12の近傍における長尺体6の周囲に保持部材30と防火措置材40とを設けることができる。スリーブ部材10の切除工程を要しないので、防火措置構造の施工性を向上させることができる。特に、貫通孔5H(スリーブ部材10)が壁部近傍等の狭所に形成されている場合には、スリーブ部材10の切除作業は困難を伴う場合も多いため、本実施形態に係る防火措置構造の効果が顕著に現れる。
【0066】
また、アダプタ部材20を構成する一対のアダプタ分割体21が相対変位可能に連結されているので、施工時にアダプタ部材20を一括的に扱うことができる。さらに、各アダプタ分割体21のヒンジ部25とは反対側の端部にそれぞれ設けられた対向板部26に亘って第一締結部材29を締め付けるだけで、容易に、一対のアダプタ分割体21でスリーブ部材10を外側から挟み込むことができる。そして、一対のアダプタ分割体21でスリーブ部材10を外側から挟み込んで、スリーブ部材10とアダプタ部材20とを強固に固定することができる。よって、防火措置構造の施工性をさらに向上させることができる。
【0067】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る防火措置構造の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0068】
(1)上記の実施形態では、突出片27が延出板部22に対して軸方向にオフセットするように屈曲形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、突出片27が軸方向にオフセットすることなく延出板部22と同一平面状に配置されるように形成されても良い。
【0069】
(2)上記の実施形態では、アダプタ部材20における計4箇所に突出片27が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。スリーブ部材10の突出先端部12にアダプタ部材20を安定的に載置できるのであれば、突出片27が例えば3箇所、5箇所、6箇所、・・・に設けられても良い。なお、突出片27の個数は、アダプタ部材20が一対のアダプタ分割体21を含んで構成される点を考慮すれば、対称性の観点からは偶数個であることが好ましい。
【0070】
(3)上記の実施形態では、一対の対向板部26に亘って螺合されて両者を締め付ける第一締結部材29によって締付手段Cが構成された例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。一対の対向板部26どうしを互いに近接移動させるように締め付けるための締付手段Cとして、第一締結部材29に代えて、ボルトとナットとの組み合わせや、クリップ、結束バンド等を用いることもできる。
【0071】
(4)上記の実施形態では、アダプタ部材20を構成する一対のアダプタ分割体21が、それぞれにおける一端どうしで相対変位可能に連結されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば
図8に示すように、一対のアダプタ分割体21が、必要時にのみ、それぞれの両端部にて第一締結部材29を用いて連結されても良い。このような構成では、アダプタ部材20を一括的に扱うことができないために施工時に若干手間取る可能性はあるものの、使用する2つのアダプタ分割体21を完全に同一形状とすることができるという利点がある。
【0072】
(5)上記の実施形態では、アダプタ部材20が、一対のアダプタ分割体21によりスリーブ部材10を外側から挟み込んだ状態でスリーブ部材10に固定されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば
図9に示すように、ネジ切り加工が施された孔部を有する支持片51をアダプタ部材20に設けるとともに、当該支持片51の孔部に螺合される第三締結部材52を用い、複数の第三締結部材52で外側から略均等に締め付けてアダプタ部材20をスリーブ部材10に取り付けても良い。第三締結部材52としては、ボルトやビス等を用いることができる。本例では、協働的にスリーブ部材10に係合作用して、当該スリーブ部材10にアダプタ部材20を取り付ける複数の第三締結部材52により、「取付手段M」が構成される。なお、このような構成では、アダプタ部材20の筒状部24をスリーブ部材10の内側面に沿って配置させ、筒状部24と第三締結部材52とでスリーブ部材10を径方向に挟持してアダプタ部材20を固定しても良い。さらにその場合において、複数のアダプタ分割体21が、相互に連結されることなく個別にスリーブ部材10に固定されても良い。また、一対の対向板部26を締め付ける手法とは異なる手法でスリーブ部材10にアダプタ部材20を取り付ける取付手段Mとしては、第三締結部材52以外にも、例えば溶接や蝋付け等による接合部や、接着部材等が例示される。
【0073】
(6)上記の実施形態では、アダプタ部材20における一対のアダプタ分割体21の第一分割面と保持部材30における一対の保持分割体31の第二分割面とが略直交する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。第一分割面と第二分割面とが、90°以外の他の角度で交差するように構成されても良い。この場合、第一分割面に対する第二分割面の位置関係に応じて、取付孔23の形成位置が決定されると良い。
【0074】
(7)上記の実施形態では、保持部材30を構成する一対の保持分割体31がそれぞれにおける一端どうしで相対変位可能に連結されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば一対の保持分割体31が、それぞれの周壁部32の両端部において係脱自在に構成されても良い。
【0075】
(8)上記の実施形態では、保持分割体31の周壁部32の両端部において固定部33が周方向に突出形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば固定部33が、周壁部32の所定位置において外方(径方向外側)に突出形成されても良い。この場合の固定部33は、保持部材30を構成する他の部位(周壁部32及び端壁部34)と一体的に形成されても良いし、それらとは別部品として構成されて接合されても良い。
【0076】
(9)上記の実施形態では、鍔部13を有するスリーブ部材10の突出先端部12にアダプタ部材20を利用した防火措置構造を設ける例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。鍔部13を有することなくスリーブ本体部11のみで構成されるスリーブ部材10の突出先端部12にも同様に、アダプタ部材20を利用した防火措置構造を適用することができる。このような構成では、スリーブ部材10上での載置代を確保するため、突出片27はスリーブ本体部11の内側面よりも内方に突出するように形成されることが好ましい。
【0077】
(10)上記の実施形態では、保持部材30に設けられた保持片35によって熱硬化材42が保持され、長尺体6の周囲に熱膨張材41を配置した後に、熱硬化材42を保持した状態の保持部材30(防火措置ユニットU)が配置される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば熱硬化材42を保持した状態の保持部材30(防火措置ユニットU)を長尺体6の周囲に所定間隔を隔てて同心状に配置してアダプタ部材20に固定し、その後、長尺体6と熱硬化材42との間に、長尺体6の外周を取り巻くように熱膨張材41を配置しても良い。また、保持片35を有さない保持部材30を用いても良く、この場合、長尺体6の周囲に熱膨張材41を配置した後、熱膨張材41の周囲に熱硬化材42を配置し、その後、熱硬化材42の周囲に保持部材30を配置してその保持部材30をアダプタ部材20に固定しても良い。
【0078】
(11)上記の実施形態では、防火措置材40が、径方向に積層された熱膨張材41と熱硬化材42とを含む構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。防火措置材40の具体的構成は、要求される防火性能及び/又は付加的性能に応じて適宜選択することができる。例えば標準的な防火性能さえ確保できれば良いのであれば、防火措置材40が熱膨張材41のみで構成されても良い。また、例えば単に防火措置部位全体としての低密度化を抑制する効果だけが期待できれば良いのであれば、熱硬化材42に代えて、可撓性と不燃性(燃えない性質)と非熱収縮性(加熱により体積が減少しない性質)とを有する不燃材を用いても良い。このような不燃材としては、例えばロックウール、グラスウール、及びセラミックウール等の無機繊維が例示される。防火措置材40が熱膨張材41とその他の機能性部材とを含む場合には、それらはまとめて1つの被覆部材で被覆されても良く、また、長尺体6の周囲に積層状態で複数回巻回されても良い。
【0079】
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。