(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる保護システム120を備える太陽光発電システム1の構成例を示す構成図である。この
図1に示す太陽光発電システム1は、パワーコンディショナ10と、n個(nは整数)の接続箱100−1、100−2、・・・、100−nと、各接続箱にそれぞれ接続されるストリング200−1、ストリング200−2と、を備えて構成されている。
【0018】
なお、以下の説明において、接続箱100−1、100−2、・・・、100−nの何れか1つ或いは全てを示す際に「接続箱100」と記載することがある。また、ストリング200−1とストリング200−2との何れか一方或いは両方を示す際に「ストリング200」と記載することがある。
また、
図1に示す例では、各接続箱100に、ストリング200−1とストリング200−2との2つのストリングが接続される例を示しているが、各接続箱100には、1つのストリングだけが接続される場合があり、又は、3つ以上のストリングが接続される場合がある。
【0019】
パワーコンディショナ(以下、「PCS」と記載)10は、正極側の給電路L31+と負極側の給電路L31−を介して、接続箱100−1と接続されている。また、PCS10は、正極側の給電路L32+と負極側の給電路L32−とを介して、接続箱100−2と接続されている。また、PCS10は、正極側の給電路L3n+と負極側の給電路L3n−とを介して、接続箱100−nと接続されている。各接続箱100−1、100−2、・・・、100−nは、それぞれに接続されるストリング200において発電された発電電力を集約して、PCS10に供給する。PCS10は、各接続箱100を介してストリング200から供給される発電電力(直流電力)を、DC/AC変換回路により交流電力に変換し、この変換した交流電力を商用系統2などの電源系統へ出力する。
【0020】
PCS10は、インバータ11と、制御装置12と、ダイオードD11、D12、・・・、D1nと、を含んで構成されている。インバータ11は、ストリング200から供給される直流電力を交流電力に変換し、この変換した交流電力を商用系統2などの電源系統へ出力する。制御装置12は、例えば、インバータ11の出力電圧の位相を制御することにより、商用系統2に対して連系させて、インバータ11から商用系統2に交流電力を給電できるようにする。
【0021】
このPCS10において、インバータ11の交流電力の出力側(Out側)には、給電線L1A、L1Bが接続されている。この給電線L1A、L1Bは、例えば、単相交流の給電線である。また、インバータ11の直流電力の入力側(In側)には、正極側の給電線L2+と、負極側の給電線L2−とが接続されている。
【0022】
なお、以下の説明において、給電線L2+と給電線L2−との何れか一方或いは両方を示す際に「給電線L2」と記載することがある。また、給電路L31+と給電路L31−との何れか一方或いは両方を示す際に「給電路L31」と記載することがある。給電路L32からL3nについても同様である。
また、電線路L101+と、電線路L101−との何れか一方或いは両方を示す際に「電線路L101」と記載することがある。電線路L102についても同様である。また、接続箱100内の接続線L100+と、接続線L100−との何れか一方或いは両方を示す際に「接続線L100」と記載することがある。
【0023】
PCS10において、ダイオードD11、D12、・・・、D1nは、逆流防止ダイオードである。この逆流防止ダイオードは、給電路L31からL3nの間における電圧差によりPCS10から接続箱100側へ電流が逆流することを防止する。このダイオードD11、D12、・・・、D1nのそれぞれのカソード端子は、正極側の給電線L2+に共通に接続されている。また、ダイオードD11、D12、・・・、D1nのそれぞれのアノード端子には、各接続箱100に繋がる正極側の給電路L31+、L32+、・・・、L3n+がそれぞれ接続されている。
【0024】
例えば、ダイオードD11のアノード端子には、接続箱100−1に繋がる給電路L31+が接続されている。ダイオードD12のアノード端子には、接続箱100−2に繋がる給電路L32+が接続されている。ダイオードD1nのアノード端子には、接続箱100−nに繋がる給電路L3n+が接接されている。
また、PCS10において、負極側の給電線L2−には、各接続箱100に繋がる負極側の給電路L31−、L32−、・・・、L3n−が共通に接続されている。また、負極側の給電線L2−は、大地アースGに接地されている。
【0025】
図1に示す太陽光発電システム1において、接続箱100−1、接続箱100−2、・・・、接続箱100−nは、接続されるストリングの数などが異なる場合があるが、基本的な構成が同じ接続箱である。このため、以下の説明では、接続箱100−1を例にとり説明する。
接続箱100−1は、遮断器110と、逆流防止用のダイオードD101、D102と、保護システム120と、を含んで構成されている。また、保護システム120は、温度検出部121、122と、遮断器制御部123と、を含んで構成されている。また、接続箱100−1は、電線路L101、L102が接続される端子台(不図示)と、給電路L31が接続される端子台(不図示)を備えている。
【0026】
なお、
図1に示す接続箱100−1は、2つのストリング200−1、200−2の電線路L101、L102を並列に接続する例を示しているが、これに限定されない。接続箱100−1は、1つのストリングの電線路だけを接続する接続箱であってもよく、或いは、3つ以上のストリングの電線路を接続する接続箱であってもよい。そして、接続箱100−1に接続されるストリングの数に応じて、接続箱が備える逆流防止ダイオードの数や、端子台の極数等が変化する。
【0027】
この接続箱100−1において、遮断器110は、例えば、直流用の配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker; MCCB)である。この遮断器110は、予め設定した整定電流値以上の電流が流れる場合に、所定の限時特性を持ってトリップ(導通を遮断)する。また、遮断器110は、短絡電流のように非常に大きな電流が流れる場合、瞬時(例えば、数10msec以内)にトリップする。
また、遮断器110は、外部から操作されてトリップするように構成されている。例えば、遮断器110は、後述するように、外部から操作されてトリップするトリップボタンを備えている。遮断器制御部123は、遮断器110のトリップボタンを操作することにより、遮断器110を強制的にトリップさせる。
【0028】
接続箱100−1において、ダイオードD101、D102は、逆流防止ダイオードであり、ストリング200−1の出力電圧とストリング200−2の出力電圧との差による、ストリング200−1とストリング200−2との間の電流の逆流を防止する。ダイオードD101のアノード端子は、電線路L101+に接続され、この電線路L101+を介して、ストリング200−1の正極端子(+)に接続されている。ダイオードD102のアノード端子は、電線路L102+に接続され、この電線路L102+を介して、ストリング200−2の正極端子(+)に接続されている。
【0029】
また、ダイオードD101のカソード端子と、ダイオードD102のカソード端子とは、接続線L100+に共通に接続されている。この接続線L100+は、遮断器110の一方の端子a1に接続され、遮断器110の他方の端子b1は、給電路L31+を介して、PCS10に接続されている。
【0030】
また、ストリング200−1の負極側の電線路L101−と、ストリング200−2の負極側の電線路L102−とは、接続箱100−1内の負極側の接続線L100−に共通に接続されている。そして、接続線L100−は、遮断器110の一方の端子a2に接続され、遮断器110の他方の端子b2は、給電路L31−を介して、PCS10に接続されている。
【0031】
また、接続箱100−1において、電線路L101+の絶縁被覆の外周部には、温度検出部121が取り付けられ、電線路L102+の絶縁被覆の外周部には、温度検出部122取り付けられている。この温度検出部121、122は、例えば、サーミスタやサーモスタット等であり、電線路L101+、L102+のそれぞれの表面温度を検出する。例えば、温度検出部121は、電線路L101+の温度が所定の閾値温度に達したか否か示す温度検出信号Ts1を、遮断器制御部123に出力する。温度検出部122についても同様であり、温度検出部122は、電線路L102+の温度が所定の閾値温度に達したか否かを示す温度検出信号Ts2を、遮断器制御部123に出力する。
【0032】
遮断器制御部123は、遮断器110の導通を強制的にトリップ(遮断)させる制御部である。遮断器制御部123は、温度検出部121、122から温度検出信号Ts1、Ts2を入力し、電線路L101、L102の温度が予め定めた閾値温度に達したことを検出した場合、遮断器110を強制的にトリップさせる。
【0033】
また、
図2は、保護システム120における保護動作を説明する第1の説明図である。この
図2で示す例は、接続箱100−1とPCS10とを接続する給電路L31の位置Sgにおいて、正極側の給電路L31+と、負極側の給電路L31−との間で短絡故障が発生した例を示している。また、この
図2に示す例は、短絡故障により、給電路L31+と給電路L31−との間に電流Igが流れるが、この電流Igの電流値が、接続箱100−1内の遮断器110をトリップさせる電流値まで達していない例を示している。
【0034】
この短絡故障の場合、電流Igは、ストリング200−1から流れる電流Ig1と、ストリング200−2から流れる電流Ig2と、を合計した電流になる。この電流Ig、Ig1、Ig2の電流値は、ストリング200−1、200−2のそれぞれの出力電圧と、ストリング200−1、200−2のそれぞれの内部インピーダンスと、電線路L101の線路インピーダンスと、給電路L31の線路インピーダンス等に応じて決まる。
【0035】
そして、例えば、ストリング200−1から流れる電流Ig1が、電線路L101+を最高許容温度(例えば、80℃)を超えて発熱させる電流値以上である場合、短絡故障が発生した時点から、電線路L101+は発熱を開始し、電線路L101の温度が次第に上昇する。
そして、電線路L101+の温度が所定の閾値温度(例えば、80℃)に達したことが温度検出部121により検出された場合、温度検出部121は、電線路L101+の温度が閾値温度に達したことを示す温度検出信号Ts1を、遮断器制御部123に出力する。遮断器制御部123は、電線路L101+の温度が閾値温度に達したことを示す温度検出信号Ts1を温度検出部121から入力すると、遮断器110を強制的にトリップさせる。
【0036】
このように、保護システム120では、電線路L101に最高許容温度を超えて発熱させる電流Ig1が流れるが遮断器110がトリップしない場合に、電線路L101の温度を検出して、遮断器110を強制的にトリップさせることができる。
なお、電線路L102+に流れる電流Ig2が、電線路L102+の温度を最高許容温度を超えて発熱させる電流値以上である場合も同様である。
【0037】
また、
図3は、保護システム120における保護動作を説明する第2の説明図である。
なお、
図3に示す例では、図面の見易さのために、PCS10内の交流給電線L1A及びL1Bを単線の給電線L1で示している。また、給電線L2と、給電路L31からL3nと、電線路L101、L102と、接続箱100内の接続線L100とは、正極側の電線や電路を示しており、負極側の電線や電路は省略されている。
【0038】
この
図3に示す例は、PCS10内において、ダイオードD11が故障して短絡状態になるとともに、接続箱100−1内において、ダイオードD101が故障して短絡状態になる例である。また、PCS10内の給電線L2の電圧が、接続箱100−1に接続されるストリング200−1の出力電圧よりも高く、PCS10側からストリング200−1側に電流Icが流れる例である。また、この電流Icの電流値が、遮断器110をトリップさせる電流値まで達していない例である。
この故障の場合、電流Icの電流値は、PCS10内の給電線L2の電圧と、ストリング200−1の出力電圧と、ストリング200−1の内部インピーダンスと、電線路L101の線路インピーダンスと、給電路L31の線路インピーダンス等に応じて決まる。
【0039】
そして、例えば、ストリング200−1に流れる電流Icが、電線路L101の温度を最高許容温度を超えて発熱させる電流値以上である場合、故障が発生した時点から、電線路L101は発熱を開始し、電線路L101の温度が次第に上昇する。
そして、電線路L101の温度が所定の閾値温度に達したことが温度検出部121により検出された場合、温度検出部121は、電線路L101の温度が閾値温度に達したことを示す温度検出信号Ts1を、遮断器制御部123に出力する。遮断器制御部123は、電線路L101の温度が閾値温度に達したことを示す温度検出信号Ts1を温度検出部121から入力すると、遮断器110を強制的にトリップさせる。
【0040】
このように、保護システム120では、電線路L101に最高許容温度を超えて発熱させる電流Icが流れるが遮断器110がトリップしない場合に、電線路L101の温度を検出して、遮断器110を強制的にトリップさせることができる。
なお、ダイオードD11とダイオードD102とが故障した場合についても同様である。
【0041】
以上、説明したように、本発明の保護システム120は、並列に接続された複数のストリング200を有する太陽光発電システム1の保護システム120であって、複数のストリング200から当該複数のストリング200を並列に接続する接続線L100(接続点)までの電線路L101、L102の温度を検出する温度検出部121、122と、検出された温度に応じて、接続線L100と給電路L31(接続点より負荷側にある回路)との間に設けた遮断器110の導通状態を制御する遮断器制御部123と、を備える。
このような構成の保護システム120では、複数のストリング200までの電線路L101、L102の温度を検出する。そして、保護システム120は、電線路L101、L102が閾値温度を超えて発熱する場合に、遮断器110をトリップさせて、接続箱100−1と、PCS10との間の接続を遮断する。
【0042】
これにより、本実施形態の保護システム120は、太陽光発電システム1において短絡故障等が発生した場合に、電線路L101、L102や接続箱100−1が受ける影響を低減することができる。
なお、
図1に示す例において、接続箱100−1、100−2、・・・、100−nの全てが、温度検出部121、122と、遮断器制御部123を備える必要はなく、例えば、所定の接続箱100のみが、保護システム120を備えるようにしてもよい。
また、温度検出部121、122は、接続箱100の内部に設備することができる他、接続箱100の外部に設けることもできる。
【0043】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係わる保護システム120Aの構成例を示す構成図である。
なお、
図4に示す例では、
図3に示す例と同様に、図面の見易さのために、交流給電線L1を単線で示している。また、給電線L2と、給電路L31からL3nと、電線路L101、L102と、接続線L100とは、正極側の電線や電路を示しており、負極側の電線や電路は省略されている。
【0044】
この
図4に示す接続箱100−1Aでは、遮断器110として、ブレーカ(配線用遮断器)111を用いている。このブレーカ111は、トリップボタン112を備えている。このトリップボタン112は、ブレーカ111を強制的にトリップさせるボタンである。
また、ブレーカ111は、補助接点113を備えている。この補助接点113は、ブレーカ111のON、OFF(導通、遮断)動作に連動する。例えば、補助接点113は、ブレーカ111のON状態の場合にONになり、ブレーカ111のOFF状態の場合にOFFになる。
また、保護システム120Aでは、電線路L101、L102のそれぞれの温度を検出する温度検出部として、サーモスタット121A、122Bを用いている。また、保護システム120Aでは、遮断器制御部123として、ソレノイド124と、ソレノイド電源部127と、補助接点113と、を用いている。
【0045】
この
図4に示す接続箱100−1A内の保護システム120Aは、電線路L101、L102のそれぞれの温度をサーモスタット121A、122Aで検出する。サーモスタット121Aは、電線路L101の絶縁被覆の外周部に取り付けられ、サーモスタット121Aは、電線路L102の絶縁被覆の外周部に取り付けられている。
【0046】
サーモスタット121Aは、例えば、電線路L101の温度が所定の閾値温度(例えば、80℃)よりも低い場合に、OFF(開放)になり、閾値温度に達した場合に、ON(接続)になるスイッチ動作を行う。また、同様に、サーモスタット122Aは、例えば、電線路L102の温度が所定の閾値温度よりも低い場合に、OFFになり、閾値温度に達した場合に、ONになるスイッチ動作を行う。
【0047】
遮断器制御部123は、ソレノイド124と、ソレノイド電源部127と、補助接点113と、を含んで構成されている。ソレノイド124は、ソレノイド電源部127によりコイル125に通電が行われる場合、プランジャ126を矢印Aの方向に移動させる。そして、プランジャ126は、矢印Aの方向に移動することにより、先端部126Aをトリップボタン112の先端部112Aに押し当て、トリップボタン112を矢印A方向に押し込む。上記のトリップボタン112の移動方向である「矢印Aの方向」は、ブレーカ111をトリップさせるように作用する方向である。これにより、ブレーカ111がトリップする。
【0048】
また、ソレノイド124は、コイルへの通電が停止された場合、不図示のバネ機構により矢印Bの方向に移動し、所定の規制位置まで引き戻される。なお、ソレノイド124の正極側の+端子と、ソレノイド124の負極側の−端子との間には、フライホイールダイオードFDが図に示す向きに接続されている。
ソレノイド電源部127は、例えば、接続線L100から電力の供給を受けて、ソレノイド124のコイル125を駆動する直流電源である。また、例えば、このソレノイド電源部127は、接続線L100から供給される電力により充電される蓄電池(不図示)を供え、この蓄電池によりソレノイド124のコイル125に通電を行うようにしてもよい。
【0049】
そして、この接続箱100−1Aにおいて、ソレノイド電源部127の正極側の+端子は、配線W1を介して、ブレーカ111の補助接点113の一方の端子c1に接続され、補助接点113の他方の端子c2は、配線W2を介してソレノイド124の正極側の+端子に接続されている。ソレノイド124の負極側の−端子は、配線W3を介して、サーモスタット121Aの一方の端子bと、サーモスタット122Aの一方の端子bと、に共通に接続されている。また、サーモスタット121Aの他方の端子aと、サーモスタット122Aの他方の端子aとは、配線W4に共通に接続され、この配線W4は、ソレノイド電源部127の負極側の−端子に接続されている。
【0050】
上記構成の接続箱100−1Aにおいて、例えば、電線路L101の温度が上昇し、サーモスタット121Aの装着された位置における温度が所定の閾値温度に達すると、サーモスタット121AがOFF状態からON状態に切り替わる。また、同様に、電線路L102の温度が上昇し、サーモスタット122Aの装着された位置における温度が所定の閾値温度に達すると、サーモスタット122AがOFF状態からON状態に切り替わる。
【0051】
そして、例えば、ブレーカ111がON状態(補助接点113がON状態)の場合において、電線路L101が発熱し、サーモスタット121AがON状態になるとする。この場合、「ソレノイド電源部127の+端」→「補助接点113」→「ソレノイド124のコイル125」→「サーモスタット121A」→「ソレノイド電源部127の−端子」の経路で電流Idが流れる。そして、ソレノイド124のコイル125に電流Idが流れることにより、ソレノイド124は、プランジャ126を矢印Aの方向に押し出す。そして、プランジャ126の先端部126Aがトリップボタン112の先端部112Aを、矢印Aの方向に押し込むことにより、ブレーカ111がトリップする。そして、ブレーカ111がトリップすると、補助接点113がOFF状態になり、ソレノイド電源部127からソレノイド124のコイル125への通電が停止される。これにより、プランジャ126は、元の位置に復帰する。
【0052】
以上、説明したように、保護システム120Aにおいて、遮断器制御部123は、電線路L101、L102の温度が予め定めた温度に達した場合にコイル125に電流Idが流れるように構成されたソレノイド124を備え、ソレノイド124がコイル125の通電に応じてブレーカ111(遮断器)をトリップ(遮断)させる。
【0053】
このような構成の保護システム120Aでは、複数のストリング200に繋がる電線路L101、L102の温度を検出し、電線路L101、L102が発熱し閾値温度に達する場合に、ソレノイド124を用いて、ブレーカ111(遮断器)をトリップさせる。
これにより、保護システム120Aは、太陽光発電システム1において短絡故障等が発生した場合に、電線路L101、L102や接続箱100−1Aが受ける影響を低減することができる。
また、本実施形態の保護システム120Aは、運用中の太陽光発電設備を停止させることなく、本保護システム120Aを接続箱100−1Aに実装することができる。
【0054】
[第3実施形態]
また、
図5は、本発明の第3実施形態に係わる保護システム120Bの構成例を示す構成図である。なお、この
図5に示す例は、
図3に示す例と同様に、交流給電線L1を単線で示している。また、給電線L2と、給電路L31からL3nと、電線路L101、L102と、接続箱100内の接続線L100とは、正極側の電線や電路を示しており、負極側の電線や電路は省略されている。
【0055】
この
図5に示す太陽光発電システム1Bは、
図1に示す太陽光発電システム1と比較すると、
図5に示す接続箱100−1B内に、電線路用遮断器110Aと、電線路用遮断器110Bと、を新たに追加した点が異なる。他の構成は、
図1に示す太陽光発電システム1と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
図5に示す接続箱100−1Bにおいて、電線路用遮断器110Aは、ストリング200−1と電線路L101とを保護する直流用の過電流遮断器である。また、電線路用遮断器110Bは、ストリング200−2と電線路L102とを保護する直流用の過電流遮断器である。
この電線路用遮断器110A、110Bは、予め設定した整定電流値以上の電流が流れる場合に、所定の限時特性を持ってトリップする。また、電線路用遮断器110A、110Bは、短絡電流のように非常に大きな電流が流れる場合、瞬時(例えば、数10msec以内)にトリップする。また、電線路用遮断器110A、110Bは、外部から操作されてトリップするように構成されている。例えば、電線路用遮断器110A、110Bは、
図4で示したブレーカ111と同じようにトリップボタン112を備える。そして、遮断器制御部123Bは、トリップボタン112を操作することにより電線路用遮断器110A、110Bを強制的にトリップさせることができる。
【0057】
ストリング200−1に繋がる電線路L101は、接続箱100−1B内の電線路用遮断器110Aの一方の端子aに接続され、電線路用遮断器110Aの他方の端子bは、ダイオードD101のアノード端子に接続される。また、ストリング200−2に繋がる電線路L102は、接続箱100−1B内の電線路用遮断器110Bの一方の端子aに接続され、電線路用遮断器110Bの他方の端子bは、ダイオードD102のアノード端子に接続される。
そして、電線路L101の温度が所定の閾値温度を超えたことが温度検出部121により検出された場合、遮断器制御部123Bは、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせる。また、電線路L102の温度が所定の閾値温度を超えたことが温度検出部122により検出された場合、遮断器制御部123Bは、電線路用遮断器110Bを強制的にトリップさせる。
なお、遮断器制御部123Bは、第1実施形態の遮断器制御部123と同様にして、PCS10側の給電路L31に繋がる遮断器110を強制的にトリップさせる機能も備えている。
【0058】
この保護システム120Bにおいて、例えば、電線路用遮断器110A、110Bを遮断する第1の閾値温度と、遮断器110を遮断する第2の閾値温度とを異なるように設定することができる。例えば、第1の閾値温度(例えば、70℃)よりも第2の閾値温度(例えば、80℃)を高くなるようにする。
なお、この場合、温度検出部121、122は、温度検出信号Ts1、Ts2として、電線路L101、L102の温度情報を遮断器制御部123Bに出力する。遮断器制御部123Bでは、電線路L101、L102の温度情報に基づいて、電線路L101、L102のそれぞれの温度が、第1の閾値温度と、第2の閾値温度とに達しているか否かを判定する。
そして、例えば、電線路L101が発熱して温度が上昇し第1の閾値温度に達した場合、遮断器制御部123Bは、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせる。そして、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせた後、電線路L101の温度がさらに上昇し第2の閾値温度に達した場合、遮断器制御部123Bは、遮断器110を遮断する。
【0059】
これにより、接続箱100−1Bでは、電線路L101の系統のみに故障が発生して電線路L101のみが発熱する場合、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせて、電線路L101の系統を切り離すことができる。このため、接続箱100−1Bでは、健全な電線路L102の系統からPCS10への発電電力の供給を継続させることができる。
また、電線路L102の系統のみに故障が発生して電線路L102のみが発熱する場合も同様であり、接続箱100−1Bでは、電線路用遮断器110Bを強制的にトリップさせて、電線路L102の系統を切り離すことができる。そして、接続箱100−1Bでは、健全な電線路L101の系統からPCS10への発電電力の供給を継続させることができる。
【0060】
また、
図6は、保護システム120Bにおける保護動作を説明する説明図である。この
図6に示す例は、接続箱100−1内において、ダイオードD101が故障してこのダイオードD101が短絡状態になる例である。そして、ストリング200−2の発電電圧が、ストリング200−1の発電電圧よりも高く、ストリング200−2側からストリング200−1に電流Isが流れる例である。また、この電流Isの電流値が、電線路用遮断器110Aをトリップさせる電流値まで達していない例である。
【0061】
そして、例えば、ストリング200−2からストリング200−1に流れる電流Isが、電線路L101を最高許容温度(例えば、80℃)を超えて発熱させる電流値以上である場合、ダイオードD101の故障が発生した時点から、電線路L101は発熱を開始し、電線路L101の温度が次第に上昇する。
そして、電流Isにより電線路L101が発熱し、電線路L101の温度が所定の第1の閾値温度(例えば、70℃)を超えたことが温度検出部121により検出された場合、遮断器制御部123Bは、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせる。
これにより、電線路L101に電流Isが流れて発熱するが、この電流Isの電流値が電線路用遮断器110Aをトリップさせる電流に達していない場合でも、遮断器制御部123Bは、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせることができる。
ダイオードD102が故障して電線路L102が発熱する場合も同様である。
【0062】
以上、説明したように、保護システム120Bにおいて、遮断器制御部123Bは、温度検出部121、122により検出された温度に応じて、複数のストリング200の電線路L101、L102のそれぞれと接続線L100(接続点)との間に設けた電線路用遮断器110A、110Bの導通状態を制御する。
【0063】
このように、保護システム120Bでは、例えば、電線路L101に最高許容温度を超えて発熱させる電流Isが流れるが電線路用遮断器110Aがトリップしない場合、電線路L101の温度を検出して、電線路用遮断器110Aを強制的にトリップさせることができる。同様に、保護システム120Bでは、電線路L102に最高許容温度を超えて発熱させる電流が流れるが電線路用遮断器110Bがトリップしない場合、電線路L102の温度を検出して、電線路用遮断器110Bを強制的にトリップさせることができる。
これにより、太陽光発電システム1Bにおいて短絡故障等が発生した場合に、電線路L101、L102や接続箱100−1Bが受ける影響を低減することができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の保護システムは、上述の図示例にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記の実施形態に示した温度検出部(サーモスタット)は、1つのストリング200の電線路にそれぞれ設ける場合を例示したが、複数のストリング200の電線路に対して1つの温度検出部(サーモスタット)を設けるように構成してもよい。
【0065】
図7は、複数のストリング200の電線路に1つの温度検出部を設ける構成の説明図である。
図7(A)は、2つの電線路L101+、L102+に対して1つの温度検出部を設ける場合に使用する装着具300の概略構成を示している。
図7(B)は、
図7(A)において装着具300をX方向から見た図を示している。この
図7(B)では、2つの電線路L101+、L102+が装着具300に取り付けられた状態を示し、また、電線路L101+、L102+を断面図で示している。
図7(C)は、
図7(A)において、装着具300をY方向から見た図を示している。但し、
図7(C)では、図面の見易さのために支柱302を省略している。
【0066】
図7(A)に示すように、装着具300は、2枚の電線固定板301A、301Bを有している。この電線固定板301A、301Bは、温度検出部121Bに対する電線路L101+、L102+の位置を規制する際に利用される凹部m1、m2を有している。また、電線固定板301A、301Bは、4本平行に設けられる支柱302により対向する位置に固定されている。また、この装着具300の電線固定板301Aと電線固定板301Bとの間の中間の部分には、4本の平行な支柱302に囲まれるようにして、温度検出部121Bが配置されている。
そして、1つの電線路の側面が、電線固定板301Aの凹部m1と電線固定板301Bの凹部m1とに、2箇所で押し付けられることにより、この電線路の温度検出部121Bに対する位置が規制される。電線固定板301A、301Bの凹部m2についても同様である。
【0067】
そして、
図7(B)に示すように、各電線路L101+、L102+は、それぞれの側面が電線固定板301A、301Bの凹部m1、m2にそれぞれ押し付けられ、温度検出部121Bに対する位置が規制される。そして、この位置が規制された状態で、各電線路L101+、L102+は、結束バンド310により装着具300に固定される。
その後、
図7(C)に示すように、電線路L101+、L102+の側面(装着具300に対向する側面)と温度検出部121Bとの間には、熱伝導性の充填剤が充填される。これにより、装着具300では、各電線路L101+、L102+と温度検出部121Bとの間の熱伝導率を高めるようにしている。
なお、この
図7では、2つのストリング200の電線路L101+、L102+に対して1つの温度検出部121Bを設ける例を示しているが、3つ以上のストリング200の電線路に対して1つの温度検出部を設ける場合も同様である。
【0068】
図7のように構成することにより、保護システム120(120A、120B)は、温度検出部の必要数を低減することができる。