(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の衣類処理装置の一実施形態である衣類脱臭装置について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、衣類脱臭装置1の構成を示す図である。
図1(a)は、衣類脱臭装置1の斜視図であり、
図1(b)は、衣類脱臭装置1を構成する台座50、支柱60および袋体保持部70の斜視図である。
【0023】
図1を参照して、衣類脱臭装置1は、袋体10と、オゾン供給装置20と、導入ダクト30と、排気兼ハンガー保持ユニット40と、台座50と、支柱60と、袋体保持部70と、香り供給ユニット80とを含む。
【0024】
袋体10は、スーツ、コート等の各種の衣類を収容する。袋体10は、密閉性に富むように、通気性を有しない生地材料を複数枚重ねるようにして形成される。袋体10は、前後に扁平なほぼ縦長の直方体形状を有し、前面を構成する前生地10aと、後面を構成する後生地10bと、上下左右の側面を構成する側面生地10cとで構成される。
【0025】
袋体10は、上下の寸法が、ロングブラウス、ロングコート等の丈の長い衣類が収容できる寸法に設定される。また、袋体10は、前後の寸法が、一着の衣類が収容できる寸法に設定される。なお、袋体10は、上下の寸法が、丈の長い衣類が収容できない寸法に設定されても良く、前後の寸法が、二着から三着程度の衣類が前後に並ぶように収容できる寸法に設定されても良い。
【0026】
袋体10の前面には、左右方向におけるほぼ中央に、上端から下端に亘って、衣類の投入口11となる切れ目が形成される。投入口11には、ファスナー12が取り付けられる。ファスナー12は、閉鎖する際の始端部12aおよび終端部12bが、それぞれ、袋体10の上端および下端に位置する。ファスナー12のスライダー12cは、始端部12aから終端部12bの間を移動する。スライダー12cが始端部12aから降ろされるとファスナー12が閉じて投入口11が閉鎖され、スライダー12cが終端部12bから上げられると、ファスナー12が開いて投入口11が開放される。このように、スライダー12cを下ろす方向が投入口11の閉鎖方向とされているので、投入口11が閉鎖された状態において、スライダー12cの自重が閉鎖方向に働く。よって、スライダー12cを上げる方向が投入口11の閉鎖方向となる場合と異なり、スライダー12cの自重によって終端部12b、即ち、ファスナー12の閉じ口部分が開いてくる虞がない。
【0027】
オゾン供給装置20は、衣類の脱臭を行う脱臭運転と衣類に香り付けを行う香り付け運転とを行う。オゾン供給装置20は、脱臭運転時には、排出する空気にオゾンを含ませる動作を行うことにより、オゾンを含む空気を袋体10に供給する。また、オゾン供給装置20は、香り付け運転時には、排出する空気にオゾンを含ませない動作を行うことにより、オゾンを含まない空気を袋体10に供給する。
【0028】
導入ダクト30は、袋体10とオゾン供給装置20とに連結され、オゾン供給装置20から排出された空気を袋体10内に導く。脱臭運転時には、オゾンを含む空気が導入ダクト30を通過し、香り付け運転時には、オゾンを含まない空気が導入ダクト30を通過する。
【0029】
排気兼ハンガー保持ユニット40は、袋体10の後面上部に設けられる。排気兼ハンガー保持ユニット40は、オゾン除去機能を有する排気部41と、衣類が掛けられた衣類用ハンガーを保持するハンガー保持部42とが、樹脂材料を用いて一体に形成されたものである。袋体10内で衣類の脱臭に寄与したオゾンを含む空気は、排気部41を通じて袋体10の外に排出される。排気部41を通過する際、空気に含まれるオゾンが除去される。
【0030】
台座50は、所定の形状、たとえば、四角形状を有する平板である。台座50の上にオゾン供給装置20が載置される。台座50の後部には、支柱60を支えるための支え部51が形成される。さらに、台座50には、オゾン供給装置20の前面が台座50の正面方向を向くようにオゾン供給装置20を固定するための第1固定部52と第2固定部53が形成される。第1固定部52は、複数の鉤状の爪部52aにより構成される。第2固定部53は、一端部が台座50に支持されたL字状の弾性レバー53aと、弾性レバー53aの一端部よりやや後方に形成された突起53bと、弾性レバー53aの他端部に形成された押圧部53cとを含む。押圧部53cが下方に押されると、弾性レバー53aが弾性変形し、突起53bが下方に引っ込む。
【0031】
支柱60は、2本のポール61により構成される。支柱60は、下端部が支え部51に取り付けられ、台座50に対して直立する。支柱60は、2本のポール61でなく、1本あるいは3本以上のポールより構成されても良い。また、支柱60の高さが調整できるよう、支柱60に伸縮機構が設けられてもよい。
【0032】
支柱60の上端に、袋体保持部70が取り付けられる。袋体保持部70は、袋体10を、前後、上下および左右の何れの方向にも動かないように吊り下げ保持する。
【0033】
香り供給ユニット80は、オゾン供給装置20によって香り付け運転が行われる際に用いられる。香り供給ユニット80は、導入ダクト30に着脱可能に装着され、袋体10に供給される空気に芳香成分を含ませる。
【0034】
次に、袋体10、並びに、袋体10に取り付けられる導入ダクト30および排気兼ハンガー保持ユニット40の構造について詳細に説明する。
【0035】
図2および
図3は、袋体10の下部中央部を示す図である。
図2(a)は前面斜視図であり、
図2(b)は背面断面図である。
図3(a)は正面下方から見た斜視図であり、
図3(b)は背面下方から見た斜視図である。
図3(d)は、終端カバー13の上部の側面断面である。
【0036】
袋体10における前生地10aの裏面には、袋体10の内側からファスナー12の終端部12b、即ち閉じ口部分を覆うようにして終端カバー13が装着される。終端カバー13は、通気性を有しない生地により長方形状に形成され、下縁部13a、右縁部13bおよび左縁部13cが前生地10aの裏面に、縫い合わせ、接着等の固定方法で密着固定される。
【0037】
ファスナー12が最後までしっかりと閉じられないと、ファスナー12の閉じ口部分が僅かに開いた状態となりやすい。上記の通り、閉じ口部分の周辺は終端カバー13で覆われており、脱臭運転時には、袋体10に導入された空気により袋体10内の圧力が高まり、その圧力の高まりによって終端カバー13が袋体10の前面側に押され、前生地10aの裏面に密着した状態になりやすい。このため、ファスナー12の閉じ口部分が僅かに開いていても、オゾンを含む空気が閉じ口部分から漏れ出しにくい。
【0038】
なお、終端カバー13の上端部には、厚みが大きくなるよう、その内部にウレタン等からなる充填材13dが収容される。これにより、ファスナー12を閉じる際に、ファスナー12が終端カバー13の上端部に噛み込むことが防止される。
【0039】
ファスナー12による投入口11の閉鎖を検出するため、検出キー90が、スライダー12c、より具体的にはスライダー12cの引き手に、連結紐95を介して連結される。検出キー90は、円筒状を有し、その周面の下端部に突出部91が形成され、その上端部に連結紐95を固定するためのストラップ部92が形成される。検出キー90が、本発明の被検出体に相当する。連結紐95は、一端部がスライダー12cの引き手に連結され、他端部がストラップ部92に連結される。連結紐95は、予め定める長さを有するものであればよく、たとえば組紐、チェーン、ワイヤなどで実現される。
【0040】
袋体10には、下面中央部に空気の入口14が設けられ、この入口14から円筒状部15が垂下する。円筒状部15は、入口14に挿入された導入ダクト30の先端部を包囲する。導入ダクト30の先端部は、円筒状部15に固定される。
【0041】
円筒状部15の外周面には、周方向に沿って、ほぼ円環状のバンド通し部16が上下に並ぶように設けられる。各バンド通し部16は、袋体10の後面側となる円筒状部15の後面部15aにおいて両端部が開放する。各バンド通し部16には、後述する結束バンドが通される。
【0042】
円筒状部15の外周面には、さらに、後面部15aを覆い隠すため、帯状の覆い部17が設けられる。覆い部17の一端側は、上下のバンド通し部16における一方の開放端16aの近傍に取り付けられる。覆い部17の他端側には、面ファスナー18の一方の面、たとえばフック面18aが形成され、上下のバンド通し部16における他方の開放端16bの近傍に面ファスナー18の他方の面、たとえばループ面18bが形成される。
【0043】
図4は、導入ダクト30の構成を示す図である。
図4(a)は、下端側から見た斜視図であり、
図4(b)は、上端側から見た斜視図である。
【0044】
導入ダクト30は、相対的に外径が小さい円筒形の本体部31aと、本体部31aの下方に形成される、相対的に外径が大きい円筒形の接続部31bとを含む。本体部31aと接続部31bとの境界部分は、徐々に外形が絞られるような形状を有する。
【0045】
本体部31aの上端には、香り供給ユニット80の固定に用いられる複数の係合片32が形成される。本体部31aの係合片32よりも少し下の位置であって、導入ダクト30が袋体10に取り付けられた状態で袋体10の前方および後方を向く各位置に、前鍔部33および後鍔部34が形成される。本体部31aの各鍔部33、34よりも少し下の位置には、上下に所定の間隔を置いて、環状の上フランジ部35および下フランジ部36が形成される。上フランジ部35と下フランジ部36の間であって、袋体10へ取り付けられた状態において袋体10の後方を向く位置には、上下に延びる突条部37が形成される。突条部37は、上下に並ぶ三角リブ37aと、これら三角リブ37aを繋ぐ縦リブ37bとによって、三角柱に近い形状に形成される。
【0046】
接続部31bの下端であって、袋体10へ取り付けられた状態において袋体10の右方を向く位置と左方を向く位置には、それぞれ、右爪部38および左爪部39が形成される。
【0047】
図5は、導入ダクト30を袋体10に取り付ける手順について説明するための模式図である。
【0048】
図5(a)および(b)に示すように、導入ダクト30が、突条部37を後面部15aに位置させるような向きで、下フランジ部36の手前位置まで円筒状部15内に挿入される。
図5(b)に示すように、バンド通し部16に結束バンド19が挿入され、結束バンド19が円筒状部15に巻かれる。結束バンド19は、ヘッド部19aとバンド部19bとで構成される。後面部15aにおいてバンド部19bがヘッド部19aへ通され、結束バンド19で円筒状部15が内側に締め付けられる。バンド部19bの余剰部分がカットされ、その後、
図5(c)に示すように、覆い部17の他端側が、面ファスナー18によってバンド通し部16に止められ、覆い部17でヘッド部19aが覆い隠される。このようにして、袋体10への導入ダクト30の取り付けが完了する。
【0049】
図6は、導入ダクト30が取り付けられた状態の袋体10の下部中央部を示す図である。
図6(a)は、袋体10の下部中央部の背面断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のA−A´断面図であり、
図6(c)は、袋体10の下部中央部を下方から見た図である。
【0050】
図6(a)に示すように、導入ダクト30が袋体10の円筒状部15に取り付けられた状態では、上下のフランジ部35、36と結束バンド19とが上下方向において係合することにより、上下方向に関して、導入ダクト30が円筒状部15に固定される。即ち、導入ダクト30は、下フランジ部36により、上方に移動せず袋体10内に入り込まないとともに、上フランジ部35により、下方に移動せず袋体10から抜けない。さらに、
図6(b)に示すように、結束バンド19のヘッド部19aとバンド部19bとの結合部19cと導入ダクト30の突条部37とが周方向において係合し、これにより、周方向に関して、導入ダクト30が円筒状部15に固定される。このように、導入ダクト30は、袋体10に対して、抜けないだけでなく回らないように取り付けられる。また、導入ダクト30の右爪部38および左爪部39は、袋体10に対して、予め決められた位置関係となる。即ち、
図6(c)に示すように、袋体10の前後方向における中心線Pよりも、右爪部38は少し前に位置し、左爪部39は少し後ろに位置する。
【0051】
図6(a)に示すように、導入ダクト30の先端部は、袋体10の下面よりも上方に突き出す。前鍔部33および後鍔部34は、袋体10の下面よりも少し上方に位置する。
【0052】
図7ないし
図10は、排気兼ハンガー保持ユニット40の構成を示す図である。
図7は袋体10に取り付けられる前の、分解された排気兼ハンガー保持ユニット40を示す斜視図である。
図8(a)および(b)は、それぞれ、排気兼ハンガー保持ユニット40を構成する前ユニット200および後ユニット100の背面斜視図である。
図9(a)は、袋体10に取り付けられた排気兼ハンガー保持ユニット40の斜視図であり、
図9(b)は、排気部41を水平方向に切断した、
図9(a)のB−B´断面図である。
図10(a)および(b)は、それぞれ、袋体10の上部の背面図および正面図である。なお、
図7および
図10(b)では、便宜上、袋体10の前面の図示が省略されており、
図9(a)では、袋体10が透明に描かれている。
【0053】
排気兼ハンガー保持ユニット40には、左側半分に排気部41が形成され、右側半分の前側にハンガー保持部42が形成される。さらに、排気兼ハンガー保持ユニット40には、右側半分の後ろ側に、袋体保持部70が装着される装着部43が形成される。
【0054】
排気兼ハンガー保持ユニット40は、後ユニット100と前ユニット200とを組み合わせことにより形成される。後ユニット100および前ユニット200は、樹脂材料など、袋体10よりも硬い材料により形成される。後ユニット100および前ユニット200では、それぞれ、横長の長方形状を有する後プレート101および前プレート201に、排気部41、ハンガー保持部42および装着部43の構成要素が形成される。
【0055】
排気部41は、後プレート101に形成される排気ダクト110と、前プレート201に形成されるダクトカバー210とを含む。排気部41内に、オゾン除去フィルタ44が装着される。排気ダクト110は、後方に張り出すように形成され、長方形状を有する。排気ダクト110は、前面がオゾン除去フィルタ44の出入口111として開口し、後面が排気口112として開口する。出入口111の周縁は、前方に張り出すガイド枠113により囲まれる。排気口112には、格子114が形成される。ダクトカバー210は、前方に僅かに張り出すように形成され、長方形状の外枠211と、外枠211内に形成された格子212とを含む。外枠211の厚みは格子212の厚みよりも大きく、外枠211の裏側には溝213が形成される。
【0056】
オゾン除去フィルタ44は、前後に扁平な直方体形状を有する。オゾン除去フィルタ44には、たとえば、アルミ等の基材に活性炭と触媒とを転着させた活性炭・触媒フィルタが用いられる。オゾン除去フィルタ44が手で触れられないよう、オゾン除去フィルタ44の周囲が網状のカバー44aで覆われる。なお、オゾン除去フィルタ44として、オゾン除去効果を有する他のフィルタ、たとえば、光触媒セラミックフィルタが用いられても良い。
【0057】
ハンガー保持部42は、後プレート101の前面から前方に延びる第1保持部120と、第1保持部120の前方に形成された第2保持部121を含む。第1保持部120には、上方に突出するが円筒形状の差込口部122が形成される。第2保持部121は、上方に向くフックの形状を有する。
【0058】
後プレート101の前面には、ハンガー保持部42の左右にガイド体130が形成される。また、前プレート201には、ハンガー保持部42と左右のガイド体130が通される開口部220が形成される。開口部220の周囲に枠体221が形成される。
【0059】
装着部43は、本体部140と装着穴141とを含む。本体部140は、四角い箱状に形成され、後プレート101の後面から後方に張り出す。装着穴141は、本体部140の後面に形成され、後プレート101を越えてハンガー保持部42の内部まで延びる。装着穴141の下面には、装着穴141の開口端から奥に向って切欠部142が形成される。
【0060】
前プレート201には、四隅の位置と、左右方向の中央の上端部および下端部の位置に、ネジ300が通されるネジ孔230が形成される。さらに、前プレート201の前面の外周縁には、全周に亘って補強用のリブ231が形成される。
【0061】
後プレート101には、四隅の位置と、左右方向の中央の上端部および下端部の位置に、ネジ300が止められる取付ボス150が形成される。また、後プレート101の後面には、装着部43の右側に、本体部140の右上端から後プレート101の外縁部を巡って本体部140右下端へ繋がる補強用の第1リブ151が形成され、装着部43の左側に、本体部140の左上端から後プレート101の外縁部を巡って本体部140左下端へ繋がる第2リブ152が形成される。さらに、後プレート101の後面には、装着穴141の両側から下方へと延びる、2つの補強用の第3リブ153が形成される。
【0062】
袋体10の後面上部には、排気部41に対応する位置に第1開口部10dが形成され、ハンガー保持部42および左右のガイド体130に対応する位置に第2開口部10eが形成される。また、袋体10の後面上部には、前プレート201のネジ孔230と後プレート101の取付ボス150に対応する位置に挿通孔10fが形成される。
【0063】
排気兼ハンガー保持ユニット40が組み立てられる際には、まず、オゾン除去フィルタ44が、後ユニット100の排気ダクト110内に収容される。次に、ガイド枠113を第1開口部10dに挿入させるとともに左右のガイド体130を第2開口部10eに挿入させるようにして、袋体10の外側から後ユニット100を袋体10の後面上部に取り付ける。次に、袋体10の内側から、前ユニット200を後ユニット100に取り付ける。この後、袋体10の後面上部を前後から挟み込むようにして組み合わされた前ユニット200と後ユニット100とをネジ300で固定する。このようにして、
図9(a)に示すように、排気兼ハンガー保持ユニット40が組み立てられつつ袋体10の後面上部に取り付けられる。
【0064】
ここで、後ユニット100を袋体10の後面に取り付ける際に、ガイド枠113およびガイド体130が、ガイドとして第1開口部10dおよび第2開口部10eにそれぞれ挿入される。これにより、後ユニット100が袋体10に取り付けやすくなり、排気兼ハンガー保持ユニット40の組み立てが容易となる。
【0065】
また、
図9(b)に示すように、排気部41において、排気ダクト110のガイド枠113の先端部は、ダクトカバー210の外枠211の溝213内に嵌り込む。これにより、排気ダクト110とダクトカバー210の間のシール効果が高まるため、排気部41を通るオゾンを含む空気が排気部41から漏れ出しにくくなる。
【0066】
さらに、後プレート101における排気ダクト110の周囲の平坦な部位は、第1開口部10dの周囲を外側から覆う後フランジ部F1として機能し、前プレート201におけるダクトカバー210の周囲の平坦な部位は、第1開口部10dの周囲を内側から覆う前フランジ部F2として機能する。
図9(b)に示すように、排気部41が第1開口部10dに取り付けられると、第1開口部10dは、その周囲を後フランジ部F1と前フランジ部F2とでシールされる状態となる。これにより、袋体10内のオゾンを含む空気が、第1開口部10dから漏れ出しにくくなる。
【0067】
同様に、後プレート101におけるハンガー保持部42および左右のガイド体130の周囲の平坦な部位は、第2開口部10eの周囲を外側から覆う後フランジ部F3として機能し、前プレート201における開口部220の周囲の平坦な部位は、第2開口部10eの周囲を内側から覆う前フランジ部F4として機能する。ハンガー保持部42が第2開口部10eに取り付けられると、第2開口部10eは、その周囲を後フランジ部F3と前フランジ部F4とでシールされる状態となる。これにより、袋体10内のオゾンを含む空気が、第2開口部10eから漏れ出しにくくなる。
【0068】
排気兼ハンガー保持ユニット40が袋体10の後面上部に取り付けられた状態において、
図10(a)に示すように、装着部43の装着穴141は、袋体10の左右方向における中央に位置する。また、
図10(b)に示すように、ハンガー保持部42は、袋体10内において、袋体10の左右方向における中央部に位置する。ハンガー保持部42の第2保持部121に、衣類が掛けられる衣類用ハンガーHのフックが引っ掛けられ、第1保持部120の差込口部122に上面カバー440が取り付けられる。上面カバー440は、弓なりにやや湾曲した横長の板状に形成される。この上面カバー440によって、袋体10の上面が内側から補強される。
【0069】
袋体10の後面上部を構成する後生地10bの上部10b1は、後生地10bの他の部分10b2よりも厚みを大きくされたり、他の部分10b2とは生地材料を変えられたりすることにより、他の部分10b2よりも硬くされる。これにより、袋体10の後面上部によって、排気兼ハンガー保持ユニット40をしっかりと保持することができる。
【0070】
次に、袋体保持部70の構造、および、袋体保持部70への袋体10の取付構造について詳細に説明する。
【0071】
図11は、袋体保持部70の構成を示す図であり、
図11(a)は前面斜視図、
図11(b)は背面斜視図である。
図12は、袋体保持部70に袋体10が取り付けられた状態の要部の縦断面図である。
【0072】
袋体保持部70は、箱状の本体部71と、本体部71から前方に延びる保持部72を含む。本体部71には、左右両側に、円筒形状を有する差込穴73が形成される。差込穴73にポール61の上端部が差し込まれる。
【0073】
保持部72の根元部には、上部に係合爪部74が形成される。係合爪部74の周りには開口部75が形成される。保持部72の内部は中空とされており、係合爪部74から垂下する操作片76が、開口部75と保持部72の内部を通って保持部72の下方に突出する。操作片76が下方に引かれると、係合爪部74が下方に引っ込む。
【0074】
保持部72の先端部は、上方に向くフックの形状を有する。袋体保持部70に袋体10が取り付けられていないときには、先端部に衣類用ハンガーを引っ掛けることができる。本体部71の前面下端には、保持部72の左右両側に支持片77が形成される。
【0075】
図12に示すように、袋体10を袋体保持部70に取り付ける場合、ユーザは、排気兼ハンガー保持ユニット40の装着穴141に袋体保持部70の保持部72を挿入する。挿入の際、保持部72の操作片76は、装着穴141の切欠部142を通る。装着穴141の入口部分には、上部に係合孔143が形成されており、保持部72が装着穴141に最後まで挿入されると、係合爪部74が係合孔143に係合する。これにより、保持部72が装着穴131から抜けなくなり、袋体10が袋体保持部70に対して、上下左右方向に動かないのみならず、前方向に抜けないように固定される。また、
図12には図示されていないが、装着部43の下面が、左右の支持片77によって支持される。
図1(a)に示すように、袋体保持部70に固定された状態において、袋体10の前面が台座50の正面方向を向く。
【0076】
ユーザは、操作片76を下方に引いて係合爪部74を引っ込め、袋体10を前方に移動することにより、袋体10を袋体保持部70から取り外すことができる。
【0077】
次に、オゾン供給装置20の詳細な構成について説明する。
【0078】
図13ないし
図16は、オゾン供給装置20の構成を示す図である。
図13(a)は、上面カバー440が装着されていない状態のオゾン供給装置20の斜視図である。
図13(b)は、上面カバー440が装着された状態のオゾン供給装置20の斜視図である。
図14(a)は、オゾン供給装置20の平面図であり、
図14(b)は、オゾン供給装置20の筐体400の上面を裏側から見た横断面図である。
図15(a)ないし(c)は、それぞれ、オゾン供給装置20の左側面図、背面図および底面図であり、
図15(d)および(e)は、台座50に固定された状態のオゾン供給装置20を示す要部の側面断面図である。
図16(a)は、背面側から見たオゾン供給装置20の縦断面図であり、
図16(b)は、上面側から見たオゾン供給装置20の要部の横断面図である。なお、
図16(a)では、右挿入凹部415、左挿入凹部416、キー挿入凹部417、ダクト検出部460およびキー検出部470の図示が省略されている。
【0079】
オゾン供給装置20は、筐体400と、通気ダクト500と、オゾン発生器600と、送風ファン700と、吸気ユニット800と、制御ユニット900とを含む。
【0080】
筐体400は、箱本体410と、前面カバー420と、吸気カバー430と、上面カバー440と、操作部450とを含む。
図13(a)に示すように、箱本体410は、上面が緩やかに凸湾曲した横長の直方体形状を有する。箱本体410の前面には前面開口部411が形成され、この前面開口部411が前面カバー420によって着脱可能に閉鎖される。
【0081】
箱本体410の上面には、上面カバー440の形状と同じ形状に窪む凹面部412が形成される。凹面部412の中央には、円形に窪んだ差込口部413が設けられる。差込口部413には、格子状の整流リブ414aを有する排出口414が形成される。 凹面部412には、差込口部413の左右両側に、導入ダクト30の右爪部38および左爪部39に対応する形状を有する右挿入凹部415および左挿入凹部416が形成される。
図14(a)および(b)に示すように、右挿入凹部415の前側には、右挿入凹部415に挿入された右爪部38が、ほぼ右爪部38一つ分だけ右回り方向に移動となるように右開口部415aが形成される。同様に、左挿入凹部416の後側には、左挿入凹部416に挿入された左爪部39が、ほぼ左爪部39一つ分だけ右回り方向に移動となるように左開口部416aが形成される。
【0082】
凹面部412には、右端部に、検出キー90に対応する形状を有するキー挿入凹部417が形成される。
図14(a)および(b)に示すように、キー挿入凹部417の後ろ側の側面には、開口部417aが形成される。キー挿入凹部417は、本発明の受け部に相当する。
【0083】
図13(b)に示すように、凹面部412には、衣類脱臭装置1が使用されないときに、袋体10から外された上面カバー440を装着することができる。これにより、袋体10から外された上面カバー440の保管場所が確保されるため、非使用時の上面カバー440の紛失を防止できる。また、非使用時に排出口414やキー挿入凹部417から筐体400の内部へ埃等が侵入するのを防止できる。
【0084】
図14(b)に示すように、箱本体410の上面の裏側に、ダクト検出部460およびキー検出部470が配置される。ダクト検出部460は、検出スイッチ461と、中継レバー462とを含む。検出スイッチ461は、スイッチ部461aとスイッチ部461aを押すためのレバー部461bとを有する。中継レバー462は、箱本体410の上面の裏側に形成された回転軸463に回転自在に取り付けられ、一端が右挿入凹部415の近傍に位置し、他端が検出スイッチ461に接触する。キー検出部470は、検出スイッチ471と、中継レバー472とを含む。検出スイッチ471は、スイッチ部471aとスイッチ部471aを押すためのレバー部471bとを有する。中継レバー472は、箱本体410の上面の裏側に形成された回転軸473に回転自在に取り付けられ、一端がキー挿入凹部417の近傍に位置し、他端が検出スイッチ471に接触する。キー検出部470は、本発明の検出部に相当する。
【0085】
図15(a)に示すように、箱本体410の左側面には、操作部450が設けられる。操作部450は、電源ボタン451と、脱臭ボタン452と、香り付けボタン453とを含む。電源ボタン451は、衣類脱臭装置1の電源を投入および遮断するためのボタンである。脱臭ボタン452は、脱臭運転を開始するためのボタンである。香り付けボタン453は、香り付け運転を開始するためのボタンである。また、操作部450は、第1報知部454および第2報知部455を含む。第1報知部454は、たとえばLEDで構成され、導入ダクト30がオゾン供給装置20に接続されていないことを点灯により報知する。第2報知部455はたとえばLEDで構成され、袋体10の投入口11が閉鎖されていないことを点灯により報知する。
【0086】
図15(b)に示すように、箱本体410の後面には吸気口418が形成され、この吸気口418が吸気カバー430により着脱可能に閉鎖される。吸気カバー430には、多数の吸気孔431が形成される。
【0087】
図15(c)に示すように、箱本体410の底面には、台座50の第1固定部52各爪部52aに対応する位置に第1取付孔419aが形成され、第2固定部53の突起53bに対応する位置に第2取付孔419bが形成される。ユーザが、第2固定部53の押圧部53cを下方に押して突起53bを引っ込めた後に第1取付孔419aに爪部52aを通すようにしてオゾン供給装置20を台座50に載せ、さらに、オゾン供給装置20を横方向にスライドさせると、
図15(d)に示すように、爪部52aと箱本体410の底面とが係合する。その後、ユーザが、押圧部53cの押圧を止めると、
図15(e)に示すように、突起53bが第2取付孔419bに嵌り込む。これにより、オゾン供給装置20が上下、前後および左右方向に動かないように台座50に固定される。よって、オゾン供給装置20からの空気の供給によって袋体10が膨らむときにオゾン供給装置20に掛かる力によってオゾン供給装置20が転倒することを防止できる。
【0088】
筐体400の内部に、通気ダクト500、オゾン発生器600、送風ファン700、吸気ユニット800および制御ユニット900が配置される。
【0089】
図16(a)および(b)に示すように、通気ダクト500は、ダクト本体510と、ダクト蓋520とを含む。ダクト本体510は、導入口511が送風ファン700の吐出口720に接続され、導出口512が排出口414に接続される。ダクト本体510内の導入口511の近傍にオゾン発生器600が配置される。ダクト本体510は、導入口511から左方に延び、オゾン発生器600の配置位置を過ぎた部分から右方に折り返されるように屈曲した後、上方に延びて導出口512へと至るような形状を有する。即ち、ダクト本体510は、オゾン発生器600の下流側となる部分がS字に近い形に蛇行する。
【0090】
オゾン発生器600は、放電方式のオゾン発生器であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。ダクト本体510の前面には、オゾン発生器600に対応する位置に開口部513が形成される。開口部513は、ダクト蓋520によって閉鎖される。ユーザは、前面カバー420およびダクト蓋520を外すことにより、開口部513を通じて、電極の清掃等、オゾン発生器600のメンテナンスを行うことができる。
【0091】
送風ファン700は、遠心ファンであり、側面に吸込口710が設けられ、周面に吐出口720が設けられる。吸込口710は、筐体400後面の吸気口418に対向する。送風ファン700は、吸込口710から空気を取り込み、取り込んだ空気を通気ダクト500内のオゾン発生器600へ送る。送風ファン700として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0092】
図16(b)に示すように、筐体400の吸気口418と送風ファン700の吸込口710との間に吸気ユニット800が設けられる。吸気ユニット800は、吸気ダクト810と、ダストフィルタ820と、オゾン除去フィルタ830とを含む。
【0093】
吸気ダクト810内は、格子状の仕切板811により、吸気口418側の第1フィルタ収容部812と、送風ファン700側の第2フィルタ収容部813に区画される。第1フィルタ収容部812にダストフィルタ820が収容され、第2フィルタ収容部813にオゾン除去フィルタ830が収容される。ダストフィルタ820は、吸気口418から取り込まれる空気に含まれる埃などを除去する。オゾン除去フィルタ830は、ダストフィルタ820を通過した空気に含まれるオゾンを除去する。オゾン除去フィルタ830には、排気兼ハンガー保持ユニット40のオゾン除去フィルタ44と同様、活性炭・触媒フィルタが用いられ得る。
【0094】
吸気ダクト810には、送風ファン700の吸込口710に接続される接続部814が設けられ、接続部814と第2フィルタ収容部813とが連通孔815により繋がる。
【0095】
制御ユニット900は、CPU、メモリ等を含み、オゾン発生器600および送風ファン700を制御する。制御ユニット900は、本発明の制御部に相当する。
【0096】
次に、
図17を参照し、オゾン供給装置20への導入ダクト30の接続と、ダクト検出部460による接続の検出について説明する。
【0097】
導入ダクト30がオゾン供給装置20に接続される際、
図17(a)に示すように、右爪部38および左爪部39が、それぞれ、右挿入凹部415および左挿入凹部416に挿入されるように、導入ダクト30の接続部31bが差込口部413に差し込まれる。その後、導入ダクト30が、上方から見て右回りに回転されると、右爪部38および左爪部39が、それぞれ、右開口部415aおよび左開口部416aを通って箱本体410の上面の裏側に移動し、箱本体410の上面と係合する。これにより、導入ダクト30が上方に外れなくなる。
【0098】
図6(c)により説明した通り、袋体10の前後方向における中心線Pよりも、右爪部38は少し前に位置し、左爪部39は少し後ろに位置するので、
図1(a)に示すように、導入ダクト30は、袋体10の前面がオゾン供給装置20の正面方向、即ち、台座50の正面方向を向くようにオゾン供給装置20に接続される。また、上述の通り、排気兼ハンガー保持ユニット40は、袋体10の前面が台座50の正面方向を向くように袋体保持部70に固定される。よって、袋体10は、その上部と下部との間でほぼ捻じれることなく、オゾン供給装置20の上方に吊り下げられることとなる。これにより、衣類を袋体10内に良好に収容できるとともに、袋体10内にオゾンを含む空気を円滑に流通させることができる。
【0099】
このように導入ダクト30がオゾン供給装置20に接続され、
図17(b)に示すように、右爪部38が箱本体410の上面の裏側に移動すると、中継レバー462の一端側が右爪部38に押される。中継レバー462が回転し、中継レバー462の他端側によってレバー部461bが押され、押されたレバー部461bによりスイッチ部461aが押される。これにより、検出スイッチ461が、導入ダクト30が差込口部413に装着されたことを検出する。
【0100】
なお、導入ダクト30が差込口部413から外されると、レバー部461bは自身の弾性力によって、中継レバー462を回転させながら初期の位置に戻る。これにより、検出スイッチ461が、導入ダクト30が差込口部413から外されたことを検出する。
【0101】
次に、
図18および
図19を参照し、ファスナー12によって袋体10の投入口11が閉鎖されたことをキー検出部470が検出する動作について説明する。なお、検出キー90、連結紐95、キー挿入凹部417およびキー検出部470が、本発明の閉鎖検出手段を構成する。
【0102】
検出キー90をスライダー12cに連結する連結紐95は、ファスナー12が終端部12bの近傍まで閉鎖されたときに、検出キー90がキー挿入凹部417に届く長さを有する。このため、
図18(a)に示すように、スライダー12cが終端部12bの近傍にないときには、検出キー90はキー挿入凹部417に届かず、ユーザは、検出キー90をキー挿入凹部417に差し込むことができない。即ち、少なくとも、ファスナー12が完全に開いた状態では、検出キー90は、キー挿入凹部417に届かない。一方、
図18(b)に示すように、ファスナー12が完全に閉じた状態では、検出キー90がキー挿入凹部417に届き、検出キー90のキー挿入凹部417への差込が可能となる。
【0103】
ユーザは、ファスナー12により投入口11を最後まで閉鎖すると、
図19(a)に示すように、検出キー90をキー挿入凹部417に差し込み、差し込んだ検出キー90を、上方から見て右回りに回転させる。
図19(b)に示すように、検出キー90の突出部91が開口部417aを通じて、箱本体410の上面の裏側に移動し、移動した突出部91によって中継レバー472の一端側が押される。中継レバー472が回転し、中継レバー472の他端側によってレバー部471bが押され、押されたレバー部471bによりスイッチ部471aが押される。これにより、検出スイッチ471が、検出キー90がキー挿入凹部417に差し込まれたこと、即ち、ファスナー12により袋体10の投入口11が閉鎖されたことを検出する。
【0104】
なお、検出キー90がキー挿入凹部417から外されると、レバー部471bは自身の弾性力によって、中継レバー472を回転させながら初期の位置に戻る。これにより、検出スイッチ471が、検出キー90がキー挿入凹部417から外されたことを検出する。
【0105】
次に、香り供給ユニット80の詳細な構成について説明する。
【0106】
図20および
図21は、香り供給ユニット80の構成を示す図である。
図20(a)および(b)は、それぞれ、香り供給ユニット80の平面図および底面図であり、
図20(c)は、上ケース84が外された状態の香り供給ユニット80の平面図である。
図21(a)は、導入ダクト30に香り供給ユニット80が装着された状態の袋体10の下部中央部の縦断面図である。
図21(b)は、導入ダクト30に香り供給ユニット80が装着された状態の袋体10の下部中央部の横断面図である。
【0107】
香り供給ユニット80は、平面視において楕円形状を有する箱状の収容ケース81と、収容ケース81内に収容される芳香体82とを含む。収容ケース81は、上面が開放された下ケース83と底面が開放された上ケース84とを含む。
【0108】
下ケース83の底面には、長手方向における一端側に吸気口83aが形成されるとともに、吸気口83aに隣接して長手方向に延びる複数のリブ83bが形成される。複数のリブ83bの上に芳香体82が載置される。また、下ケース83の底面は、他端部側に、他端部に向って高くなる傾斜面83cを有する。さらに、下ケース83の底面には、吸気口83aを囲むようにして円筒状の接続口83dが形成される。接続口83dには、導入ダクト30の係合片32に対応する位置に爪部83eが形成される。
【0109】
上ケース84は下ケース83の上面に装着される。上ケース84の上面は、吸気口83aに対向する位置に、他端部に向って高くなる傾斜面84aを有する。また、上ケース84の上面には、複数のリブ83bに対向する位置に開口部84bが形成され、この開口部84bが蓋部84cによって開閉可能に覆われる。蓋部84cは、ヒンジ部84dを中心に回動する。蓋部84cには、複数のスリット状の通気孔84eが形成される。
【0110】
芳香体82は、多孔質材料など、液体状の芳香剤を含浸できる材料で形成される。ユーザは、蓋部84cを開けて開口部84bから収容ケース81内に芳香体82をセットする。
【0111】
香り供給ユニット80を導入ダクト30に装着する際には、爪部83eと係合片32との位置がずれた状態で接続口83dを導入ダクト30の先端部に差し込む。その後、香り供給ユニット80を、爪部83eと係合片32とが重なる位置まで回転させる。
図21(a)に示すように、係合片32と爪部83eとが係合し、香り供給ユニット80が上方に外れなくなる。なお、前鍔部33および後鍔部34の存在により、袋体10の下面の側面生地10cが接続口83dと導入ダクト30との間に咬み込むことが防止される。
【0112】
図21(b)に示すように、香り供給ユニット80が導入ダクト30に装着された状態において、香り供給ユニット80は、その長手方向が袋体10の左右方向となるように袋体10内に配置される。上述のように、導入ダクト30は、袋体10に対して回らないように円筒状部15に固定されているので、導入ダクト30に正しく装着された香り供給ユニット80が、袋体10の前面や後面に接触してしまうというようなことがない。
【0113】
次に、衣類脱臭装置1による脱臭運転と香り付け運転について説明する。
【0114】
脱臭運転を行う場合、ユーザは、袋体保持部70に吊り下げられた袋体10内に、衣類用ハンガーHに掛けられた衣類を収容する。この際、ユーザは、
図10(b)に示すように、袋体10内において、衣類用ハンガーHをハンガー保持部42の第2保持部121に引っ掛けるようにする。こうして、袋体10内において、ハンガー保持部42により衣類が吊り下げられる。ユーザは、操作部450の脱臭ボタン452を押す。制御ユニット900は、ダクト検出部460により導入ダクト30がオゾン供給装置20に装着されていることを検出し、且つ、キー検出部470により検出キー90がキー挿入凹部417に差し込まれている、即ち、ファスナー12により袋体10の投入口11が閉鎖されていることを検出すると、脱臭運転を開始し、送風ファン700とオゾン発生器600とを動作させる。制御ユニット900は、導入ダクト30がオゾン供給装置20に装着されていなければ、脱臭運転を開始せずに、第1報知部454を点灯させる。また、制御ユニット900は、投入口11が閉鎖されていなければ、脱臭運転を開始せずに、第2報知部455を点灯させる。
【0115】
脱臭運転が開始されると、吸気口418から外部の空気が吸気ダクト810に取り込まれ、吸気ダクト810内のダストフィルタ820とオゾン除去フィルタ830により空気に含まれた埃とオゾンとが除去される。埃とオゾンが除去された空気は、送風ファン700によって通気ダクト500内に送り込まれる(
図16(b)の矢印参照)。通気ダクト500内を流れる空気には、オゾン発生器600を通過する際に、オゾン発生器600で発生したオゾンが混入される。こうして、オゾンを含む空気が通気ダクト500内を通って排出口414に至り、排出口414から排出される(
図16(a)の矢印参照)。
【0116】
オゾン供給装置20から排出された、オゾンを含む空気は、導入ダクト30を通って袋体10内に導入される。
図1(a)の矢印に示すように、袋体10内に導入された、オゾンを含む空気は、袋体10内を下から上へ衣類に触れながら流れる。空気に含まれたオゾンの脱臭作用により衣類が脱臭される。ここで、衣類は下方が大きく開口しているが、オゾンを含む空気は、袋体10内を下から上へ流れるため、衣類の内部に行き渡りやすい。これにより、衣類の外側と内側とを満遍なく脱臭することができる。
【0117】
また、袋体10は袋体保持部70に掛けられ、衣類は衣類用ハンガーHに掛けられることにより、袋体10の上部と衣類の肩部分との間に隙間が確保されている。これにより、衣類の肩部分にもオゾンが行き渡りやすいので、脱臭効果を高めることができる。
【0118】
衣類の脱臭によりオゾン濃度が低下した空気は、
図1(a)の破線矢印に示すように、袋体10の上部の排気部41を通って袋体10の外へ排出される。脱臭後の空気は、排気部41を通過する際、オゾン除去フィルタ44によりオゾンが除去される。これにより、袋体10から排気される空気中のオゾン濃度が一層低下する。
【0119】
次に、香り付け運転を行う場合、ユーザは、袋体保持部70に吊り下げられた袋体10内に衣類を収容するとともに、
図21に示すように、袋体10内において、導入ダクト30に、芳香体82がセットされた香り供給ユニット80を取り付ける。ユーザは、操作部450の香り付けボタン453を押す。制御ユニット900は、ダクト検出部460により導入ダクト30がオゾン供給装置20に装着されていることを検出し、且つ、キー検出部470によりファスナー12で袋体10の投入口11が閉鎖されていることを検出すると、香り付け運転を開始し、送風ファン700を動作させる。制御ユニット900は、導入ダクト30がオゾン供給装置20に装着されていなければ、香り付け運転を開始せずに、第1報知部454を点灯させる。また、制御ユニット900は、投入口11が閉鎖されていなければ、香り付け運転を開始せずに、第2報知部455を点灯させる。
【0120】
香り付け運転が開始されると、
図21(a)に示すように、導入ダクト30から排出された空気が、吸気口83aから収容ケース81内に導入される。導入された空気は、複数のリブ83bに沿って他端部側へと流れた後に上方に向って流れる。芳香体82を通過する空気によって、芳香体82に含まれる芳香成分が揮発し、空気に混入される。芳香成分を含む空気が開口部84bおよび通気孔84eを通じて袋体10内に排出される。なお、収容ケース81に設けられた2つの傾斜面83c、84aにより、空気が収容ケース81内を円滑に流れる。
【0121】
脱臭運転の場合と同様、芳香成分を含む空気は袋体10内を下から上へ流れ、また、袋体10内では空気の圧力が高まっているので、衣類の香り付け効果が高められる。
【0122】
<本実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の作用効果が奏される。
【0123】
(1)衣類脱臭装置1は、衣類を収容した袋体10にオゾン供給装置20からオゾンを含む空気や芳香成分を含む空気を供給し、衣類の脱臭や香り付けを行う構成とされているので、大きな設置スペースが不要であり、家庭内に簡単に設置することができる。
【0124】
(2)検出キー90、連結紐95、キー挿入凹部417およびキー検出部470で構成される閉鎖検出手段によって、袋体10の投入口11がファスナー12により閉鎖されたことを検出できる。
【0125】
(3)ファスナー12による投入口11の閉鎖が検出されなければ、脱臭運転および香り付け運転を行わないので、投入口11が開放されたまま脱臭運転および香り付け運転が行われることを防止できる。
【0126】
(4)ファスナー12が完全に開いた状態ではキー挿入凹部417に届かず、ファスナー12が完全に閉じた状態ではキー挿入凹部417に届くように検出キー90が連結紐95でファスナー12のスライダー12cに連結され、この検出キー90がキー挿入凹部417に挿入されたことをキー検出部470によって検出することで、ファスナー12による投入口11の閉鎖が検出される構成としているので、袋体10と離れたオゾン供給装置20側で投入口11の閉鎖の検出が可能となる開閉検出手段を実現できる。
【0127】
(5)キー検出部470を検出スイッチ471と中継レバー472とで構成し、検出キー90のキー挿入凹部417への挿入を、中継レバー472を介して検出スイッチ471で検出するようにしているので、検出スイッチ471がキー挿入凹部417を通じてユーザに直接触れられることを防止でき、静電気等による検出スイッチ471の破損を防止できる。
【0128】
(6)スライダー12cを下ろす方向が投入口11の閉鎖方向とされているので、投入口11が閉鎖された状態において、スライダー12cの自重が閉鎖方向に働く。よって、スライダー12cの自重によってファスナー12の閉じ口部分が開いてくる虞がなく、オゾンを含む空気が、閉じ口部分から漏れ出しにくい。
【0129】
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0130】
たとえば、上記実施の形態では、袋体10の前面中央に上下方向に真っ直ぐに延びる切れ目が投入口11として形成され、当該投入口11がファスナー12で開閉される。しかしながら、これに限られず、たとえば、
図22(a)のように、袋体10の前面において、袋体10の上面と側面とに沿うように延びる切れ目が投入口11Aとして形成され、当該投入口11Aに対応する形状のファスナー12Aによって、当該投入口11Aが開閉されてもよい。あるいは、上記実施の形態と同様、上下方向に真っ直ぐに延びる投入口11Bとファスナー12Bとが袋体10の左右何れかの側面に設けられてもよい。
【0131】
また、上記実施の形態では、ファスナー12が閉じられる方向が、袋体10の上から下への方向とされる。しかしながら、ファスナー12が閉じられる方向が、袋体10の下から上への方向とされてもよい。
図22(a)および(b)の例においても、開閉方向は何れの方向でもよい。
【0132】
さらに、上記実施の形態では、閉鎖検出手段が、円筒状の本体の周面から突出部91が突出する検出キー90を備え、当該検出キー90をキー挿入凹部417に挿入した後に回転させることにより、突出部91で中継レバー472を回転させ、中継レバー472により検出スイッチ471を押すような構成とされる。しかしながら、閉鎖検出手段の構成として、たとえば、
図23(a)および(b)に示すような構成が採られてもよい。
【0133】
図23(a)の構成では、円筒状の本体の底面に突出部93が形成された被検出体90Aを備える。オゾン供給装置20の筐体400の上面には、被検出体91Aに対応する形状を有する挿入凹部417Aが形成され、挿入凹部417Aの底面に突出部93が通る挿入孔417bが形成される。挿入凹部417Aの下方に、スイッチ部474aおよびレバー部474bを有する検出スイッチ474が配置される。上記実施の形態と同様、被検出体90Aは、連結紐95を介してファスナー12のスライダー12cに連結される。ファスナー12により投入口11が閉鎖された後に被検出体90Aが挿入凹部417Aに挿入されると、突出部93によりレバー部474bを介してスイッチ部474aが押される。これにより、検出スイッチ474が投入口11の閉鎖を検出する。
【0134】
図23(b)の構成では、円筒状の本体の底面に磁石94が取り付けられた被検出体90Bを備える。オゾン供給装置20の筐体400の上面には、被検出体90Bに対応する形状を有する挿入凹部417Bが形成される。挿入凹部417Bの下方に、磁力によって作動する検出スイッチ、たとえば、リードスイッチ475が配置される。上記実施の形態と同様、被検出体90Bは、連結紐95を介してファスナー12のスライダー12cに連結される。ファスナー12により投入口11が閉鎖された後に被検出体90Bが挿入凹部417Bに挿入されると、磁石94がリードスイッチ475に近接する。これにより、リードスイッチ475が投入口11の閉鎖を検出する。
【0135】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。