(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る給水装置10を、
図1〜6を用いて説明する。
図1は、給水装置10を示す正面図である。
図1は、後述されるケース61のカバー63が取り外された状態を示している。
図2は、給水装置10を示す一部断面図である。
図2では、後述されるケース61が切断された状態を示している。
【0016】
給水装置10は、マンション等の建築物に設置されている。
図1,2に示すように、給水装置10は、上記建築物の設置面5上に固定されるベース20と、ベース20上に固定される架台30と、架台30上に固定される受水槽40と、架台30の側部に配置されるポンプユニット60と、受水槽40とポンプユニット60とに連結される第1の連結管50と、上記建造物に設けられて建造物の蛇口等の供給先に水を送る配管とポンプユニット60とに連結される第2の連結管130と、制御盤110と、を有している。
【0017】
ベース20は、矩形の枠状に形成されている。架台30は、設置面5に対する受水槽40の底面41の高さを所定の高さにすることが可能に構成されている。この所定の高さは、建築基準法により定められる高さ以上の高さである。
【0018】
具体的には、架台30は、ベース本体21の四隅に固定される4本の脚部材31と、脚部材31の上端が連結される矩形の枠部材32と、脚部材31と枠部材32とに連結される補強部材34と、を有している。各脚部材31の長さは、枠部材32の上面が所定の高さとなる長さを有している。
【0019】
受水槽40は、内部に、受水槽40内の水量を検出する電極と、水道本管に直結される給水口部と、この給水口部を開閉するボールタップと、を有している。また、受水槽40の側壁部には、オーバーフロー管43が取り付けられている。
【0020】
図3は、ポンプユニット60を、カバー63が取り外された状態で示す正面図である。
図3に示すように、ポンプユニット60は、ベース20の周面に固定される張り出し部60aと、張り出し部60a上に固定されるケース61と、ケース61内に収容される一対のポンプ装置80と、ケース61内に収容される合流管90と、合流管90に連結されるアキュムレータ92と、を有している。
【0021】
張り出し部60aは、ボルト等の締結部材によってベース20に固定されている。張り出し部60aは、板状に形成されている。
【0022】
ケース61は、薄型の直方体形状に形成されている。具体的には、ケース61は、奥行き方向の長さが、幅方向、及び、高さ方向に対して小さい直方体形状に形成されている。
【0023】
ケース61は、ケース61の少なくとも前面を開放可能な構造を有している。本実施形態では、一例として、ケース61は、ケース本体62と、ケース本体62に対して着脱可能なカバー63と、を有する2分割構造を有している。カバー63を取り外すことによって、ケース61の前面が開放される。
【0024】
ケース本体62は、底壁部64と、後壁部65と、を有している。後壁部65は、底壁部64の後端に連結されており、上下方向に延びている。
図4は、ケース61を示す背面図である。
【0025】
図4に示すように、後壁部65には、貫通孔66が3つ形成されている。これら3つの貫通孔66のうち2つは、幅方向両端部に配置されており、残りの1つは、幅方向中央に配置されている。幅方向両端部に形成される一対の貫通孔66は、第1の連結管50が挿入可能に形成されている。幅方向中央に形成される貫通孔66は、第2の連結管130を挿入可能に形成されている。なお、
図4中、連結管50,130を2点鎖線で示している。
【0026】
カバー63は、上壁部63aと、前壁部63bと、側壁部63cと、を有している。カバー63は、ボルト等の締結部材によってケース本体62に着脱可能に固定される。カバー63が、ケース61の上壁部63a、前壁部63b、側壁部63cを有する為、ケース本体62からカバー63が取り外されると、ケース61の前面、上面、及び、側面が開放される。
【0027】
このように構成されるケース61は、ベース本体21の外周面に固定された張り出し部60a上に底壁部64を配置し、かつ、後壁部65が架台30内を向く姿勢で、張り出し部60a及び架台30にボルト等の締結部材によって、固定されている。この為、ケース61の全体は、架台30の外側に位置している。
【0028】
ポンプ装置80は、多段式の縦型のポンプ装置である。両ポンプ装置80は、ケース61の幅方向両端部に1つずつ配置されており、ケース61に固定されている。
【0029】
ポンプ装置80は、吸込管70と、ポンプケーシング81と、複数のインペラ82と、インペラ82が取り付けられた回転軸83と、回転軸83を回転するモータ84と、吐出管91と、を有している。
【0030】
吸込管70は、90度屈曲するベント管から形成されている。吸込管70は、ケース本体62の貫通孔66の近傍に配置されており、一端を貫通孔66に対向させ、他端が上方を向く姿勢で、底壁部64に固定されている。
【0031】
ポンプケーシング81は、
図3中では、一部切欠されて示されている。ポンプケーシング81は、その下端部に設けられる吸込口85と、上端部に設けられる吐出口86と、複数のポンプ室87と、を有している。ポンプケーシング81は、吸込管70上に固定されており、吸込口85が吸込管70に連結されている。
【0032】
吐出口86は、ポンプケーシング81の周方向外側に向かって開口している。複数のポンプ室87は、上下方向に並んで配置されている。隣接するポンプ室87同士は、互いに連通している。最下段に配置されるポンプ室87は、吸込口85に連通している。最上段に配置されるポンプ室87は、吐出口86に連通している。
【0033】
インペラ82は、各ポンプ室87内に収容されている。回転軸83は、ポンプケーシング81内に挿入されており、インペラ82が固定されている。回転軸83は、上下方向、つまり垂直方向に沿う姿勢で配置されている。
【0034】
モータ84は、ポンプケーシング81上に固定されている。モータ84は、モータハウジング84aと、モータハウジング84a内に収容される環状の固定子と、固定子内に配置される回転子と、を有している。回転子は、回転軸83の一端部が固定されている。この為、モータ84が駆動されると、回転軸83とインペラ82が回転する。
【0035】
吐出管91は、吐出口86に連結されている。吐出管91は、90度屈曲するベント管から形成されており、上下方向に延びている。吐出管91内には、流量検出装置100が設けられている。流量検出装置100は、ポンプ装置80からの吐出流量を検出可能に構成されている。
【0036】
このように構成された一対のポンプ装置80は、吐出口86を互いにケース61の幅方向に対向する姿勢で、ケース61内に配置されている。この為、吐出管91は、ケース61の幅方向に、両ポンプケーシング81間に配置される。
【0037】
合流管90は、円筒部93と、円筒部93の両端に設けられ同方向に90度屈曲する屈曲部94と、を有している。合流管90は、両ポンプ装置80間に、円筒部93がケース61の幅方向に沿うとともに屈曲部94の開口が上方をむく姿勢で配置されている。一方の屈曲部94の開口は、一方の吐出管91の他端開口に連結されている。他方の屈曲部94は、他方の吐出管91の他端開口に連結されている。
【0038】
円筒部93は、ケース61の底壁部64に固定されている。円筒部93の長手方向中央部分においてケース61の後壁部65に対向する部分には、開口95が形成されている。開口95は、幅方向中央に形成された貫通孔66に対向している。
【0039】
円筒部93内には、圧力検出装置101が設けられている。圧力検出装置101は、円筒部93内の圧力を検出可能に構成されている。
【0040】
アキュムレータ92は、合流管90の円筒部93上に固定されている。アキュムレータ92は、円筒部93内に連通している。アキュムレータ92は、蓄水可能に形成されている。アキュムレータ92は、ケース61内に収容可能に形成されている。具体的には、アキュムレータ92は、カバー63がケース本体62に取り付けられた状態において、ケース61内に収容可能な大きさを有している。
【0041】
第1の連結管50は、一対用いられている。第1の連結管50は、受水槽40内の水を、吸込管70に送水可能に形成されている。具体的には、第1の連結管50は、可撓性を有する管部材から形成されている。第1の連結管50は、一端が受水槽40の底面41に連結されている。一方の第1の連結管50の他端部は、幅方向一端部に形成された貫通孔66を通ってケース61内に配置されており、一方の吸込管70の他端開口に連結されている
。他方の第
1の連結管50の他端部は、幅方向他端部に形成された貫通孔66を通ってケース61内配置されており、他方の吸込管70の他端開口に連結されている。
【0042】
また、第1の連結管50は、ケース61までの部分が、架台30内に収まるように配置されている。
【0043】
第2の連結管130の一端部は、幅方向中央に配置される貫通孔66を通ってケース61内に配置されている。第2の連結管130の一端は、合流管90の円筒部93の開口95に連結されている。第2の連結管130においてケース61の外側に出る部分の一部は、架台30内に配置されている。
【0044】
制御盤110は、後壁部65においてモータ84間に対向する部分に、制御盤110の一部が位置するように、後壁部65に固定されている。制御盤110は、ケース61内に収容可能に形成されている。具体的には、制御盤110は、カバー63がケース本体62に取り付けられた状態において、ケース61内に収容可能な厚みを有している。ここで言う厚みは、ケース61の奥行き方向に沿う厚みである。
【0045】
制御盤110は、流量検出装置100及び圧力検出装置101の検出結果を受けて、モータ84の動作を制御可能に構成されている。また、制御盤110は、受水槽40内の電極の検出結果が送信される。制御盤110は、電極の検出結果に基づいて、受水槽40内が渇水時には空転防止のためポンプ装置80の自動停止及び渇水警報を出力し、受水槽40内の水位が所定の水位に復帰したときポンプ装置80の自動運転再開および渇水警報を停止、満水時には満水警報を出力し、水位が満水位未満に低下したとき満水警報を停止させる。
【0046】
このように構成されたポンプユニット60では、一対の縦型のポンプ装置80は、吐出口86が互いに対向する姿勢でケース61内に配置される。そして、吐出管91及び合流管90が両ポンプケーシング81間に配置される。
【0047】
言い換えると、吐出管91及び合流管90は、ポンプケーシング81に対して、両ポンプ装置80が並ぶ方向及び回転軸83の延設方向に対して直交する方向に並ばない。この為、ポンプユニット60は、両ポンプ装置80が並ぶ方向及び回転軸83の延設方向に対して直交する方向の厚みが大きくなることを防止できる。つまり、ポンプユニット60を薄くすることができる。
【0048】
この為、ポンプユニット60を架台30の側部に固定しても、給水装置10の設置面積が過度に大きくなることを防止しできるので、ポンプユニット60を架台30の側部に配置することができる。ポンプユニット60を架台30の側部に配置することによって、ポンプユニット60のメンテナンス作業を架台30の外側から行うことができるので、ポンプユニット60のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。さらに、ポンプユニット60を架台30外に配置することによって、架台30内の作業スペースを確保することができるので、受水槽40の下面の確認作業を行いやすくなる。
【0049】
さらに、ケース61は、ケース本体62とカバー63との分割可能な構造を有することによって、少なくともその前面を開放可能である。この為、カバー63を取り外すことによって、ポンプユニット60のメンテナンス作業のスペースを広く確保できるので、メンテナンス作業を行いやすい。
【0050】
さらに、カバー63を取り外すことによって、ケース61の上面及び両側面が開放されるので、ポンプユニット60のメンテナンス作業を行いやすい。
【0051】
また、アキュムレータ92を両ポンプ装置80間に配置することによって、アキュムレータ92をケース61内に収容する構造であっても、ポンプユニット60の厚みが大きくなることを防止できる。
【0052】
また、第1の連結管50を架台30内に収まるように配置することによって、給水装置10が大型化することを防止できる。
【0053】
また、第2の連結管130の一部を架台30内に配置することによって、給水装置10が大型化することを防止できる。
【0054】
また、ポンプユニット60を架台30の側部に配置することができるので、天井の低い組み立てスペースにおいても給水装置10の組み立てることができる。この点について、具体的に説明する。例えば、ポンプユニット60が受水槽40の下方に配置される構造の場合、まず、ベース20内にポンプユニット60を固定する。次に、ベース20上に架台30と受水槽40の一体物を固定する。この際に、架台30と受水槽40との一体物を、ポンプユニット60に接触しない位置まで例えばクレーンで持ち上げてベース20上に移動する必要がある。
【0055】
この為、給水装置10を組み立てる組み立てスペースの天井は、クレーンを用いて架台30と受水槽40との一体物をポンプユニット60に接触しない位置まで持ち上げることが可能な高さを有する必要がある。
【0056】
これに対して、本実施形態では、ポンプユニット60は、架台30の側部に固定される。この為、架台30と受水槽40との一体物をベース20上に持ち上げるだけでよく、ポンプユニット60を超える位置まで持ち上げる必要がないので、組立作業のスペースの天井は、高くなくてもよい。
【0057】
また、制御盤110の少なくとも一部を、ポンプ装置80間のデッドスペース内に配置することによって、ポンプユニット60の厚みが大きくなることを防止できる。なお、ここで言う厚みは、ケース61の奥行き方向に沿う厚みである。
【0058】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、ポンプユニット60は、架台30の外側に出ている。他の例としては、ポンプユニット60は、ベース20の縁部に固定されて少なくとも一部が架台30内に入っていてもよい。この場合、張り出し部60aを用いず、ケース61をベース20上に固定する。
【0059】
図5は、ポンプユニット60が、カバー63の前壁部63bの前面が架台30の外周面と面一となるように、ベース20の縁部上に配置されており、ボルト等の締結部材でベース20に固定された状態を示している。ここで言う外周面とは、架台30の脚部材31の最外端を結ぶ平面である。
図5に示すポンプユニット60は、その全体が架台30内に配置されている。
【0060】
しかしながら、ポンプユニット60の前面が架台30の外側に向いているため、カバー63を取り外すことによって、ポンプユニット60に対するメンテナンス作業を行いやすく。さらに、ポンプユニット60の厚みを薄くすることができるので、架台30内での作業スペースを確保できる。なお、
図5中では、第2の連結管130は、省略している。
【0061】
または、
図6に示すように、アキュムレータ92を、ケース61内ではなく架台30内に配置してもよい。アキュムレータ92をケース61の外側に配置する場合、アキュムレータ92を、第2の連結管130に設ける。アキュムレータ92の全体を架台30内に配置することによってアキュムレータ92が架台30から突出することがないので、給水装置10が大型化することを防止できる。
【0062】
さらに、給水装置10の停止時間を長くする省エネ運転を可能とするべく、ケース61内に収容可能な大きさ以上の大きさを有するアキュムレータ92を用いることができる。具体的に説明すると、アキュムレータ92をケース61内に収容する場合、アキュムレータ92の大きさは、ケース61内に収容可能な大きさに制限される。
【0063】
しかしながら、アキュムレータ92をケース61から出して架台内に収容する場合、アキュムレータ92の大きさは、架台30内から出ない大きさであればよい。それゆえ、ケース61内に収容可能な大きさよりも大きなアキュムレータ92を用いることができる。なお、
図6では、第1の連結管50は、省略している。
【0064】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ケースと、
ポンプ室、前記ポンプ室に収容されるインペラ、吐出口、及び前記インペラが取り付けられた回転軸を具備し、前記吐出口が互いに対向する姿勢で前記ケース内に配置される一対のポンプ装置と、
前記一対のポンプ装置間に配置され、前記ポンプ装置から吐出された水が合流する合流管と、
を具備することを特徴とするポンプユニット。
[2]
前記合流管に設けられるアキュムレータを具備することを特徴とする[1]に記載のポンプユニット。
[3]
設置面上に配置されるベースと、
前記ベース上に固定される架台と、
前記架台上に固定される受水槽と、
前記架台の側部に配置され、または、前記ベースの縁部に配置されて少なくとも一部を架台内に配置するケース、並びに、ポンプ室、前記ポンプ室に収容されるインペラ、吐出口、及び前記インペラが取り付けられた回転軸を具備し、前記吐出口が互いに対向する姿勢で前記ケース内に配置される一対のポンプ装置を具備するポンプユニットと、
前記一対のポンプ装置間に配置され、前記ポンプ装置から吐出された水が合流する合流管と、
を具備することを特徴とする給水装置。
[4]
前記合流管に連結されるとともに前記架台内に少なくとも一部が配置される連結管と、
前記連結管に設けられるとともに前記架台内に配置されるアキュムレータと、
を具備することを特徴とする[3]に記載の給水装置。