(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記薬液の濃度の測定回数が前記第1閾値と同じときに、前記記憶部に記憶された前記薬液の濃度の前記第2閾値に対する高低を判断し、前記薬液の濃度が少なくとも1回、前記正常な濃度又は前記第2閾値に対して高濃度である場合には、前記通常運転を行うことを特徴とする請求項2に記載の濾過装置。
前記制御部は、前記濃度検出装置で検出された前記薬液の濃度及び前記第2閾値を比較し、前記薬液の濃度が前記第2閾値と異なる場合に、前記薬液の濃度が正常となるように前記薬液注入装置を制御するとともに、前記濃度検出装置で前記薬液の濃度を検出し、前記薬液が前記正常な濃度となるまで前記薬液注入装置を制御し、前記薬液の注入量を制御することを特徴とする請求項2に記載の濾過装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る濾過装置1を、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る濾過装置1の構成を模式的に示す説明図、
図2は濾過装置1を用いた濾過方法の一例を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、濾過装置1は、原水の供給源100に設けられたポンプ装置11と、ポンプ装置11の二次側に設けられた薬液注入装置12と、薬液注入装置12の二次側に設けられ、供給先110に接続された濾過ユニット13と、濾過ユニット13に接続された濃度検出装置14と、制御盤15と、を備えている。
【0014】
濾過装置1は、原水に薬液注入装置12で薬液を注入し、濾過ユニット13により原水中に含まれる鉄及びマンガンを除去するとともに、原水中に存在する砂等の固形物を除去可能に形成されている。
【0015】
ここで、供給源100は、例えば井戸である。供給先110は、濾過ユニット13の二次側に接続される。供給先110は、例えば、複数の蛇口111から構成される。
【0016】
ポンプ装置11は、例えば井戸用の水中ポンプである。ポンプ装置11は、ポンプと、ポンプを駆動するモータと、を備えている。ポンプ装置11は、モータが信号線99を介して制御盤15に接続される。ポンプ装置11は、配管20を介して濾過ユニット13に接続されている。
【0017】
薬液注入装置12は、薬液槽21と、注入ポンプ22と、流量検出装置23と、第1制御部(制御部)24と、を備えている。
【0018】
薬液槽21は、内部に酸化剤、具体的には次亜塩素酸ナトリウムを含有する薬液が貯留されている。注入ポンプ22は、例えばソレノイドによって駆動するダイヤフラムポンプである。注入ポンプ22は、薬液槽21に接続される。注入ポンプ22は、ポンプ装置11に接続された配管20に、所定量の薬液を注入可能に構成されている。
【0019】
第1制御部24は、例えば、原水に対する薬液の濃度が予め設定された濃度となるように、各流量に対する注入する薬液の濃度群が複数記憶された第1記憶部(記憶部)24aを有している。第1制御部24は、注入ポンプ22及び流量検出装置23に信号線99を介して接続される。第1制御部24は、制御盤15に信号線99を介して接続される。
【0020】
第1制御部24は、第1記憶部24aに記憶された複数の薬液の濃度群から選択された薬液の濃度群及び流量検出装置23により検出した配管20内の流量に基づいて、注入ポンプ22の薬液の吐出量(注入量)を制御可能に構成されている。ここで、薬液の濃度群とは、処理水中の薬液の濃度が正常な濃度となる予め設定された複数の設定値である。
【0021】
濾過ユニット13は、濾過槽31と、吸込管32と、吐出管33と、第1分岐管34と、第1三方弁35と、第1排水管(排水管)36と、開閉弁37と、第2三方弁38と、第2分岐管39と、第3三方弁40と、給水管41と、第2排水管(排水管)42と、圧力検出装置43と、を備えている。
【0022】
濾過槽31は、内部に複数の濾過材が積層されている。複数の濾過材の一は、薬液が注入された原水から鉄を除去可能に構成されている。複数の濾過材の一は、薬液が注入された原水からマンガンを除去可能に構成されている。複数の濾過材の一は、原水に含まれる固形物を除去可能に形成されている。
【0023】
吸込管32は、濾過槽31に接続される。吸込管32の端部は、複数の濾過材の最上層の上方に配置される。吸込管32には、圧力検出装置43が設けられる。
【0024】
吐出管33は、濾過槽31に接続される。吐出管33の端部は、複数の濾過材の最下層の下方に配置される。
【0025】
第1分岐管34は、ポンプ装置11に接続された配管20に接続され、その中途部で二方向に流路を分岐する。
【0026】
第1三方弁35は、電磁弁であり、信号線99を介して制御盤15に接続される。第1三方弁35は、3つのポートを有しており、内部の流路を切り替えることで、これらのいずれか2つのポートを接続する。第1三方弁35は、第1ポートが第1分岐管34の一方の流路に接続される。第1三方弁35は、第2ポートが吸込管32に接続される。第1三方弁35は、第3ポートが第1排水管36に接続される。
【0027】
第1排水管36は、第1ドレン120に接続される。
【0028】
開閉弁37は、第1排水管36の中途部に設けられ、第1排水管36の流路を開閉可能に構成される。開閉弁37は、手動により開閉を切り替え可能に構成される。
【0029】
第2三方弁38は、電磁弁であり、信号線99を介して制御盤15に接続される。第2三方弁38は、3つのポートを有しており、内部の流路を切り替えることで、これらのいずれか2つのポートを接続する。第2三方弁38は、第1ポートが吐出管33に接続される。第2三方弁38は、第2ポートが第2分岐管39に接続される。第2三方弁38は、第3ポートが第1分岐管34の他方の流路に接続される。
【0030】
第2分岐管39は、その中途部で二方向に流路を分岐する。第2分岐管39の一方の流路は、濃度検出装置14に接続される。
【0031】
第3三方弁40は、電磁弁であり、信号線99を介して制御盤15に接続される。第3三方弁40は、3つのポートを有しており、内部の流路を切り替えることで、これらのいずれか2つのポートを接続する。第3三方弁40は、第1ポートが第2分岐管39の他方の流路に接続される。第3三方弁40は、第2ポートが給水管41に接続される。第3三方弁40は、第3ポートが第2排水管42に接続される。
【0032】
給水管41は、第3三方弁40の第2ポート及び供給先110を接続する。
【0033】
第2排水管42は、第2ドレン130に接続される。
【0034】
圧力検出装置43は、信号線99を介して制御盤15に接続されている。圧力検出装置43は、吸込管32内の圧力を検出し、当該検出した圧力の信号を制御盤15に出力可能に構成されている。
【0035】
濃度検出装置14は、濃度検出センサ51と、濃度検出センサ51に接続された第3排水管52と、濃度検出センサ51に信号線99を介して接続された第2制御部(制御部)53と、を備えている。
【0036】
濃度検出センサ51は、第2分岐管39から流れた水の薬液の濃度を検出可能に構成されている。濃度検出センサ51は、信号線99を介して第2制御部53に接続され、検出した薬液の濃度の情報を、第2制御部53に出力可能に構成される。
【0037】
第3排水管52は、第3ドレン140に接続される。ここで、第1ドレン120、第2ドレン130及び第3ドレン140は、各排水管36、42、52からの水を排水可能に構成されている。これら第1ドレン120及び第2ドレン130は、例えば排水溝であり、別体であっても一体であってもよい。
【0038】
第2制御部53は、濃度検出センサ51で検出した情報を受信し、第1制御部24及び制御盤15に出力可能に構成されている。第2制御部53は、濃度検出センサ51を制御することで、所定の時間毎に、濃度検出センサ51で薬液の濃度を検出可能に構成される。
【0039】
制御盤15は、記憶部61と、報知装置62と、主制御部(制御部)63と、を備えている。
【0040】
記憶部61は、流量検出装置23、圧力検出装置43及び濃度検出センサ51で検出した情報を記憶可能に形成されている。記憶部61は、濃度検出センサ51で検出した回数を記憶する。また、記憶部61は、任意に設定される第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値、及び、任意に設定される所定時間t1、t2、t3が記憶される。また、記憶部61には、濃度検出センサ51で濃度を定期的に検出する予め定められた任意の時間が記憶されている。
【0041】
第1閾値は、濃度検出センサ51で薬液の濃度を検出した回数に応じて、薬液の注入量を補正するか、又は、濾過装置1の運転の停止の判断を行うかを選択する値である。第1閾値は、任意に設定された薬液の濃度を検出した回数nである。
【0042】
第2閾値は、処理水中の薬液の正常な濃度である。なお、この薬液の正常な濃度とは、原水から除鉄及び除マンガンが可能であって、且つ、処理水の使用要求に適う薬液の濃度である。第2閾値は、当該正常な範囲で上限及び下限が設定された濃度帯である。具体的には、第2閾値は、第1記憶部24aに記憶された複数の薬液の濃度群のうち、任意に一つ選択された薬液の濃度群の、流量検出装置23で検出した流量に対応する一の濃度であって、且つ、許容可能な範囲(上限値及び下限値)が設定された濃度帯ある。第2閾値は、選択された薬液の濃度群及び検出された流量に応じて、適宜変更される。
【0043】
第3閾値は、濾過槽31で処理した処理水中の薬液が低濃度であるときに、要求される除鉄及び除マンガンができない薬液の濃度であって、且つ、当該薬液の濃度により、供給先110へ供給された処理水の使用ができないと判断される薬液の濃度である。
【0044】
所定時間t1は、濾過装置1の所定の運転時に、濃度検出装置14により処理水中の薬液の濃度の検出を開始する時間である。
【0045】
所定時間t2は、濃度検出装置14により薬液の濃度の検出を行う時間であり、任意に設定される。
【0046】
所定時間t3は、第1記憶部24aに記憶された複数の薬液の濃度群のいずれか一を設定した後に、チャタリングを防止するための待機時間であり、任意に設定される。
【0047】
報知装置62は、外部に音、光又は文字等により情報を報知可能に構成されている。報知装置62は、処理水中の薬液の濃度に異常が発生した時に当該異常を外部に警報(報知)する。
【0048】
主制御部63は、第1三方弁35、第2三方弁38、及び、第3三方弁40を切り替え可能に構成されている。主制御部63は、ポンプ装置11のモータを制御することで、ポンプの回転数を可変可能に構成されている。主制御部63は、圧力検出装置43で検出された圧力に基づいて、ポンプ装置11を制御可能に構成されている。
【0049】
主制御部63は、第2制御部53を介して濃度検出センサ51を制御し、所定の期間毎に濾過槽31で処理された処理水中の薬液の濃度を検出可能に構成されている。ここで、所定の期間とは、例えば、定期的に濾過槽31を洗浄する逆洗運転及び洗浄運転を行ったとき、又は、記憶部61に記憶された予め定められた任意の時間に到達したとき、のいずれかである。
【0050】
主制御部63は、濃度検出センサ51で濃度を検出した回数をカウント可能、且つ、カウントした回数をリセット可能に構成されている。
【0051】
また、主制御部63は、以下の機能(1)乃至(6)を有している。
【0052】
機能(1) 原水を濾過する通常運転を行う機能。
【0053】
機能(2) 濾過槽31内で水を逆流させて濾過槽内を洗浄する逆洗運転を行う機能。
【0054】
機能(3) 逆洗運転後に流路内を洗浄する洗浄運転を行う機能。
【0055】
機能(4) 強制的に濾過槽31により水を処理する捨水運転を行う機能。
【0056】
機能(5) 注入する薬液の量を補正する機能。
【0057】
機能(6) 濾過装置1の運転の継続を判断する機能。
【0058】
次に、主制御部63が有する機能(1)乃至機能(6)について説明する。
機能(1)は、濾過装置1を駆動して原水に薬液を注入し、濾過槽31で濾過処理することで原水から鉄、マンガン及び固形物からなる不純物を除去する通常運転を行う機能である。具体的には、一次側から二次側への流路が配管20、第1分岐管34、吸込管32、濾過槽31、吐出管33、第2分岐管39及び給水管41の順に流れるように、第1三方弁35、第2三方弁38及び第3三方弁40を切り替える。
【0059】
この状態で、ポンプ装置11及び注入ポンプ22を駆動することで、流量に応じて原水に薬液を注入し、当該薬液が注入された原水が濾過槽31を通過させる。これにより、当該原水が濾過槽31内の濾過材により、原水に含有される鉄及びマンガンが除去されるとともに、原水中の固形物が濾過される。このように、機能(1)は、原水から除鉄、除マンガン及び濾過を行う機能である。
【0060】
機能(2)は、濾過槽31内で吐出管33から吸込管32に向かって原水を流すことで、濾過槽内に水を逆流させて濾過槽31内を洗浄する逆洗運転を行う機能である。具体的には、一次側から二次側への流路が配管20、第1分岐管34、吐出管33、濾過槽31、吸込管32、第1排水管36の順に流れるように、第1三方弁35及び第2三方弁38を切り替える。
【0061】
この状態で、所定の時間の間、ポンプ装置11を駆動することで、原水が濾過槽31を逆流して通過し、第1排水管36を介して逆洗に用いた汚染水を第1ドレン120に排水する。これにより、濾過槽31内の不純物や、濾過材に付着した鉄及びマンガンを除去し、濾過槽31内を洗浄する。このように、機能(2)は、原水を逆流させて濾過槽31内を通過させることで、濾過槽31内を洗浄する機能である。なお、逆洗運転は、例えば、通常運転の累積時間が所定の時間を経過したときに行われる。
【0062】
機能(3)は、機能(2)による逆洗運転後に、吸込管32、濾過槽31及び吐出管33内を洗浄する洗浄運転を行う機能である。具体的には、一次側から二次側への流路が、配管20、第1分岐管34、吸込管32、濾過槽31、吐出管33、第2分岐管39及び第2排水管42の順に流れるように、第1三方弁35、第2三方弁38及び第3三方弁40を切り替える。
【0063】
この状態で、所定の時間の間、ポンプ装置11及び注入ポンプ22を駆動することで、薬液が注入された原水が濾過槽31を通過する。これにより、薬液が注入された原水が吸込管32、濾過槽31、吐出管33を通って第2排水管42から第2ドレン130に排水される。これにより、逆洗運転時に発生する汚染水を第2ドレン130に排水し、流路内を洗浄する。このように、機能(3)は、逆洗運転後に流路内に残存する汚染水を洗浄する機能である。
【0064】
機能(4)は、濃度検出装置14により濾過槽31で処理された処理水中の薬液の濃度を検出する場合等において、濃度を検出する処理水を生成するために強制的に濾過槽31により水を処理し、その後、当該処理水を排水する捨水運転を行う機能である。
【0065】
具体的には、機能(4)は、洗浄運転と同様に、一次側から二次側への流路が、配管20、第1分岐管34、吸込管32、濾過槽31、吐出管33、第2分岐管39及び第2排水管42の順に流れるように、第1三方弁35、第2三方弁38及び第3三方弁40を切り替える。この状態で、所定の時間の間、ポンプ装置11及び注入ポンプ22を駆動することで、薬液が注入された原水が濾過槽31を通過する。これにより、薬液が注入された原水が吸込管32、濾過槽31、吐出管33を通って第2排水管42から第2ドレン130に排水される。これにより、強制的に処理水を生成し、第2分岐管39を通過させ、その後、第2ドレン130に排水するこことで、濃度検出センサ51へ処理水を供給し、処理水の濃度を検出することが可能となる機能である。
【0066】
例えば、捨水運転は、前回の処理水中の濃度を検出したときから所定の時間が経過したときに、次回の処理水中の濃度を検出するときに行われる。当該所定の時間は、記憶部61に記憶された任意の設定時間であり、使用条件等において適宜設定される。
【0067】
機能(5)は、流量に応じて原水中に注入する薬液の量を補正する機能である。具体的には、機能(5)は、機能(3)による洗浄運転を所定の時間行った後、又は、予め主制御部63に設定された処理水中の濃度を検出する所定の時間が経過した時に、処理水中の薬液の濃度を検出した回数(測定回数)と第1閾値と比較する。測定回数が第1閾値以下である場合には、洗浄運転終了後又は捨水運転開始であって、所定時間t1経過時に濾過槽31で処理された処理水を濃度検出センサ51で濃度を検出する。
【0068】
次に、検出した濃度が、予め記憶部61に記憶された第2閾値の範囲に含まれるか否かを判断する。検出した濃度が第2閾値の範囲内である場合には、正常な濃度として、原水中に注入する薬液の量を補正しない。検出した濃度が第2閾値の範囲内である場合には、処理水中の薬液が異常な濃度として判断する。併せて、正常又は異常な濃度である旨を記憶部61に記憶する。
【0069】
次に、検出した濃度が第2閾値よりも低いか、又は、第2閾値よりも高いかを判断する。当該判断結果に応じて第1記憶部24aに記憶された複数の薬液の濃度群の中から、当該判断時よりも処理水の濃度が高く、又は、低くなる薬液の濃度群を第1記憶部24aから選択する。なお、次回の通常運転時に、当該選択した薬液の濃度群に基づいて、原水中に薬液を注入する。併せて、第2閾値に対する検出した濃度の高低を記憶する機能である。
【0070】
このように、機能(5)は、濃度検出センサ51で検出した処理水中の薬液の濃度に基づいて、注入する薬液の量を補正する機能である。
【0071】
機能(6)は、濃度検出センサ51で所定の回数濃度を検出する毎に、濾過装置1の運転の継続を判断する機能である。具体的には、機能(6)は、機能(3)による洗浄運転を所定の時間行った後、又は、予め主制御部63に設定された処理水中の濃度を検出する所定の時間が経過した時に、処理水中の薬液の濃度を検出した回数(測定回数)と第1閾値と比較する。処理水中の薬液の濃度を検出した回数と第1閾値とが同数である場合には、記憶部61に記憶された、第1閾値の回数だけ濃度検出センサ51により濃度を検出した濃度の正常及び異常、並びに、異常時の濃度の高低を判断する。
【0072】
このとき、第1閾値の回数、即ちn回連続して、濃度が異常であって、且つ、異常時の濃度がn回連続で第2閾値よりも低い場合には、これらの濃度が第3閾値以下であるか否かを判断する。これら濃度が全て第3閾値以下である場合には、濾過装置1の運転の継続ができない濃度であり、異常と判断し、濾過装置1を強制的に停止し、報知装置62を制御し、外部へと当該異常を警報する。併せて、濃度検出センサ51で検出した回数をリセットする。
【0073】
少なくともいずれかの濃度が第3閾値以上である場合には、補正回数をリセットし、報知装置62により当該異常を外部へ警報するが、濾過装置1の運転は継続する。
【0074】
なお、n回連続して濃度が異常でない場合、又は、n回連続して濃度が異常であって、且つ、異常時の濃度がn回連続で第2閾値よりも低くない場合には、濃度検出センサ51で濃度を検出した回数をリセットし、濾過装置1の運転を継続する。
【0075】
このように、機能(6)は、n回連続して濃度が第2閾値よりも低く、且つ、第3閾値よりも低い場合に、強制的に濾過装置1の運転を停止する機能である。
【0076】
次に、このような濾過装置1の制御方法について、
図2乃至
図4に示す流れ図を用いて以下説明する。
【0077】
図2に示すように、先ず、濾過装置1に電源を供給し、濾過装置1を駆動する(ステップST1)。次に、主制御部63は、濾過装置1の通常運転を行う(ステップST2)。具体的には、主制御部63は、第1三方弁35、第2三方弁38及び第3三方弁40を切り替えるとともに、流量検出装置23及び圧力検出装置43で検出した流量及び圧力に基づいてポンプ装置11及び注入ポンプ22を駆動する。
【0078】
通常運転中において、例えば、圧力検出装置43で検出された圧力が所定の値以上の場合においては、供給先110で水の使用がないと判断し、ポンプ装置11及び注入ポンプ22を停止し、圧力検出装置43で検出された圧力が所定の値を下回った場合には、供給先110での水の使用があると判断し、ポンプ装置11を圧力に応じて可変制御するとともに、注入ポンプ22を駆動し、流量に応じて原水中に所定量の薬液を注入する。
【0079】
次に、逆洗運転を行うか否かの判断を行う(ステップST3)。通常運転の累積時間が所定の時間より短い場合等の逆洗運転を行わない場合(ステップST3のNO)には、記憶部61に記憶された任意の設定時間に到達したか否かの判断を行う(ステップST4)。
【0080】
任意の設定時間に到達していない場合(ステップST4のNO)には、ステップST3に戻り逆洗運転を行う(ステップST3のYES)か、又は、任意の設定時間に到達する(ステップST4のYES)まで、通常運転を維持する。
【0081】
通常運転の累積時間が所定の時間行われ、逆洗運転を行う場合(ステップST3のYES)には、主制御部63は、逆洗運転を行う(ステップST5)。逆洗運転を所定の時間行った後、続いて、洗浄運転を行う(ステップST6)。規定の洗浄運転の運転時間が終了すると(ステップST7)、主制御部63は、記憶部61に記憶された所定時間t1だけ、洗浄運転を維持する。洗浄運転を所定時間t1だけ維持すると(ステップST8)、主制御部63は、処理水中の薬液の濃度の測定回数が第1閾値以上であるか否かを判断する(ステップST9)。
【0082】
なお、逆洗運転を行わない場合(ステップST3のNO)であって、任意の設定時間に到達した場合(ステップST4のYES)には、主制御部63は、捨水運転を開始する(ステップST10)。捨水運転開始後、所定時間t1が経過すると(ステップST11)、洗浄運転終了後と同様に、主制御部63は、処理水中の薬液の濃度の測定回数が第1閾値以上であるか否かを判断する(ステップST9)。
【0083】
当該測定回数が第1閾値であるn回より少ない場合(ステップST9のNO)には、
図3の流れ図に示すように、濃度検出センサ51により、処理水中の濃度を測定する(ステップST21)。このとき、所定時間t2の間、処理水中の濃度を測定する(ステップST22)。
【0084】
所定時間t2経過後、濃度検出センサ51により、処理水中に残留する薬液の濃度(残留濃度)を測定後、主制御部63は、処理水中に残留する薬液の濃度を第2閾値と比較し、処理水中の薬液の濃度が異常であるか否かの判断を行う(ステップST23)。
【0085】
処理水中の薬液の濃度が、第2閾値の範囲内である場合には、主制御部63は、処理水中の薬液の濃度は正常であると判断し(ステップST23のNO)、ステップST2に戻り、再び通常運転を行い、ステップST3以降の工程を行う。また、測定回数をカウントするとともに、当該正常である旨の情報を記憶部61に記憶させる。
【0086】
処理水中の薬液の濃度が第2閾値の範囲外である場合には、主制御部63は、処理水中の薬液の濃度が異常であると判断し(ステップST23のYES)、処理水中の薬液の濃度が低濃度であるか、又は、高濃度であるかを判断する(ステップST24)。具体的には、処理水中に残留する薬液の濃度が第2閾値より高いか否かを判断する。
【0087】
処理水中に残留する薬液の濃度が第2閾値より高い場合(ステップST24のYES)には、処理水中に残留する薬液の濃度が高濃度であると判断し(ステップST25)、判断結果を記憶部61に記憶する。
【0088】
主制御部63は、薬液の濃度に基づいて、第1制御部24の第1記憶部24aに記憶されている複数の薬液の濃度群から、一つの薬液の濃度群を選択し、次回以降の通常運転時を行うときの薬液の注入量を設定する(ステップST26)。主制御部63は、選択した一つの薬液の濃度群の情報を第1制御部24に送信する。併せて、濃度検出センサ51で検出した測定回数をカウントする(ステップST27)。なお、ステップST26において、薬液の注入量を設定後、所定時間t3が経過したら(ステップST28)、再びステップST2に戻り、通常運転を行う。
【0089】
処理水中に残留する薬液の濃度が第2閾値より低い場合(ステップST24のNO)には、処理水中に残留する薬液の濃度が低濃度であると判断し(ステップST29)、判断結果を記憶部61に記憶する。
【0090】
主制御部63は、薬液の濃度に基づいて、第1制御部24の第1記憶部24aに記憶されている複数の複数の薬液の濃度群から、一つの薬液の濃度群を選択し、次回以降の通常運転時のするときの薬液の注入量を設定する(ステップST30)。併せて、濃度検出センサ51で検出した測定回数をカウントする(ステップST31)。なお、ステップST30において、薬液の注入量を設定後、所定時間t3が経過したら(ステップST32)、再びステップST2に戻り、通常運転を行う。
【0091】
ステップST9において、処理水中の薬液の濃度を連続して検出した測定回数が第1閾値以上である場合(ステップST9のYES)には、
図3に示すように、記憶部61に記憶された情報から、n回連続で、処理水中に残留する薬液の濃度が低濃度であるか否かを判断する(ステップST41)。濃度検出センサ51でn回検出したうち、処理水中に残留する薬液の濃度が正常な場合、又は、異常であっても残留濃度が高濃度な場合が1回でもある場合(ステップST42)には、濃度検出センサ51で検出した測定回数をリセット(n=0)する(ステップST42)。その後、ステップST2に戻り、再び、通常運転を行う。
【0092】
n回連続で、処理水中に残留する薬液の濃度が低濃度であった場合(ステップST41のYES)には、主制御部63は、濾過装置1の運転を継続するか否かを判断する(ステップST43)。
【0093】
具体的には、主制御部63は、記憶部61に記憶された処理水中に残留する薬液の濃度が、第3閾値よりも低いか否かを判断する。全てにおいて処理水中に残留する薬液の濃度が第3閾値よりも低い場合には、主制御部63は、濾過装置1の運転の継続ができないと判断する(ステップST43のNO)。その後、主制御部63は、測定回数をリセット(n=0)し(ステップST44)、報知装置62により異常を外部に警報し(ステップST45)、濾過装置1を強制的に停止する(ステップST46)。
【0094】
記憶部61に記憶された処理水中に残留する薬液の濃度が第3閾値よりも少なくとも1回でも高い場合には、主制御部63は、測定回数をリセット(n=0)する(ステップST47)。次に、主制御部63は、報知装置62により残留濃度が連続して低濃度であることを外部に警報し(ステップST48)、ステップST2に戻り、通常運転を行う。
【0095】
濾過装置1は、ステップST46において強制的に停止されるか、又は、外部から停止の指示が入るまで、上記工程を繰り返し行う。
【0096】
このように構成された濾過装置1によれば、主制御部63により、濃度検出センサ51で検出した処理水中に含まれる薬液の濃度から、当該濃度の正常及び異常を判断するとともに、異常時にあっては、濃度の高低に基づいて薬液の注入量を補正することが可能となる。これにより、濾過装置1は、自動で薬液の補正をすることが可能となることから、正常な除鉄及び除マンガンの処理を継続することが可能となるとともに、濾過槽31内の濾過材の寿命を向上することができる。
【0097】
また、人員による残留塩素濃度を常時監視する作業が不要となることから、濾過装置1のランニングコストを低減することが可能となる。また、処理水中の薬液の濃度を正常な状態に補正できることから、濾過装置1は、過剰な薬液を除去するための活性炭濾過槽等を濾過槽31の二次側に付加的に設置することが不要となり、設置スペース、製造コスト及び維持コストの低減が可能となる。
【0098】
また、濾過装置1は、処理水中の薬液の濃度が第1閾値に設定された所定の回数だけ連続して低濃度である場合においては、その旨を外部に警報するとともに、第3閾値よりも低濃度である場合においは、さらに、強制的に停止させられる構成である。
【0099】
このため、処理水中の薬液の濃度が連続して低濃度であるときに、当該情報を外部に報知することが可能となる。また、処理水が濾過槽31で適切な除鉄及び除マンガンの処理が行われていない場合に、換言すると、使用要求の範囲外の処理水、即ち使用不可の処理水が供給される場合に濾過装置1を強制停止することで、当該使用不可の処理水が供給されることを防止できる。このように、濾過装置1は、使用要求の範囲内の除鉄及び除マンガンの処理が行われている処理水を供給することができることから、高い信頼性を有する。
【0100】
上述したように本発明の一実施形態に係る濾過装置1によれば、薬液の注入量を補正することが可能、且つ、処理水が使用要求の範囲外が連続するときに、強制的に停止することが可能となる。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、所定の回数だけ連続して処理水中の薬液の濃度が低濃度であって、且つ、第3の閾値よりも低濃度である場合に、濾過装置1を強制的に停止する構成を説明したがこれに限定されない。同様に、所定の回数だけ連続して処理水中の薬液の濃度が高濃度であって、且つ、予め設定された使用範囲外となる高い濃度である閾値よりも高濃度である場合においても、濾過装置1を強制的に停止する構成であってもよい。
【0102】
また、上述した例では、薬液注入装置12は、濾過槽31の一次側にのみ薬液を供給する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、薬液注入装置12は、濾過槽31の二次側であって、且つ、濃度検出センサ51で検出する位置の二次側に薬液をさらに供給する構成であってもよい。
【0103】
また、上述した例では濾過装置1は、ステップST26及びステップST30において、薬液の注入量を設定後、ステップST28及びステップST32にて所定時間t3が経過したら(ステップST28)、再びステップST2に戻り、通常運転を行う構成を説明したがこれに限定されない。
【0104】
ステップST28及びステップST32で所定時間t3経過後、再び、ステップST9に戻り、薬液の注入量の設定後に洗浄運転又は捨水運転により処理された処理水の薬液が正常な濃度となるか、又は、処理水中の薬液の濃度の測定回数が第1閾値となる(ステップST9のYES)まで、当該工程を繰り返す構成であってもよい。
【0105】
さらに、上述した例では、濾過装置1は、第1記憶部24a及び記憶部61を有する構成を説明するとともに、第1制御部24、第2制御部53及び主制御部63を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第1記憶部24a及び記憶部61として、一つの記憶部を備える構成であってもよく、第1制御部24,第2制御部53及び主制御部63も同様に、一の制御部であってもよい。
【0106】
また、上述した濾過装置1では、流路切換手段として、第1三方弁35、第2三方弁38及び第3三方弁40を有する構成を説明したがこれに限定されない。即ち、流路切換手段は、上述の通常運転、逆洗運転及び洗浄運転(捨水運転)が可能な流路を構成可能であれば、数及び構成は適宜変更可能であり、同様に、第1分岐管34及び第2分岐管39等の当該流路を形成する構成も適宜設計変更可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。[1] 供給源から水を供給するポンプ装置と、
前記ポンプ装置の二次側の流量を検出する流量検出装置と、
前記流量検出装置で検出された流量に基づいて、前記ポンプ装置から吐出された前記水に酸化剤である薬液を注入する薬液注入装置と、
前記ポンプ装置の二次側に設けられ、前記薬液が注入された水を処理する濾過槽と、
前記濾過槽から吐出された前記水の前記薬液の濃度を検出する濃度検出装置と、
前記濾過槽から吐出される前記水の前記薬液の所定の濃度が閾値として記憶された記憶部と、
前記濃度検出装置で検出された前記薬液の濃度及び前記閾値を比較し、前記薬液の濃度が前記閾値と異なる場合に、前記薬液の正常な濃度となる設定値に前記薬液注入装置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする濾過装置。
[2] 前記濾過槽の二次側に設けられた排水部に接続される排水管と、
前記濾過槽に接続され、供給先に接続される給水管と、
前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を通過して前記給水管に接続する流路、前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を逆流して前記排水管に接続する流路、及び、前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を通過して前記排水管に接続する流路を切り替える流路切換手段と、をさらに備え、
前記制御部は、前記流路切換手段を制御して、前記ポンプ装置で供給され、前記薬液注入装置で前記薬液が供給された水を、前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を通過して前記給水管を接続する流路を通過させる通常運転、前記通常運転を所定の時間行った後、前記流路切換手段を制御して、前記ポンプ装置で供給された水を前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を逆流して前記排水管に接続する流路を通過させる逆洗運転、並びに、前記逆洗運転後、前記流路切換手段を制御して、前記ポンプ装置で供給され、前記薬液注入装置で前記薬液が供給された水を前記ポンプ装置の二次側から前記濾過槽を通過して前記排水管に接続する流路を通過させる洗浄運転若しくは捨水運転することを特徴とする[1]に記載の濾過装置。
[3] 前記濃度検出装置は、前記洗浄運転又は前記捨水運転時に前記薬液の濃度を検出することを特徴とする[2]に記載の濾過装置。
[4] 前記記憶部には、前記薬液の濃度の任意の測定回数が第1閾値として記憶され、
前記閾値は第2閾値であり、
前記制御部は、前記薬液の濃度の測定回数が前記第1閾値より少ないときに、前記濃度検出装置で検出された前記薬液の濃度及び前記閾値を比較し、前記薬液の濃度が前記閾値と異なる場合に、前記薬液の正常な濃度となる設定値で前記薬液注入装置を制御するとともに、前記薬液の濃度の前記第2閾値に対する高低を判断し、且つ、前記記憶部に当該判断結果を記憶することを特徴とする[3]に記載の濾過装置。
[5] 前記制御部は、前記薬液の濃度の測定回数が前記第1閾値と同じときに、前記記憶部に記憶された前記薬液の濃度の前記第2閾値に対する高低を判断し、前記薬液の濃度が少なくとも1回、前記正常な濃度又は前記第2閾値に対して高濃度である場合には、前記通常運転を行うことを特徴とする[4]に記載の濾過装置。
[6] 前記記憶部には、前記第2閾値よりも低く、且つ、前記濾過槽で処理した水が使用要求を満たさない前記薬液の濃度が第3閾値として記憶され、
前記制御部は、前記薬液の濃度の測定回数が前記第1閾値と同じときに、前記記憶部に記憶された前記薬液の濃度の前記第2閾値に対する高低を判断し、前記第1閾値と同数の測定回数で連続して前記薬液の濃度が前記第2閾値に対して低濃度である場合には、前記記憶部に記憶された前記薬液の濃度と前記第3閾値とを比較し、前記薬液の濃度が前記第3閾値よりも高濃度である場合には、前記通常運転を行い、前記薬液の濃度が前記第3閾値よりも低濃度である場合には、前記ポンプ装置を停止させることを特徴とする[5]に記載の濾過装置。
[7] 外部に情報を報知する報知手段を備え、
前記薬液の濃度が前記第2閾値に対して低濃度である状態が前記第1閾値と同数の測定回数で連続したときに、前記報知手段により前記薬液の濃度が前記第2閾値に対して低濃度である旨を外部に報知することを特徴とする[6]に記載の濾過装置。
[8] 前記制御部は、前記濃度検出装置で検出された前記薬液の濃度及び前記第2閾値を比較し、前記薬液の濃度が前記第2閾値と異なる場合に、前記薬液の濃度が正常となるように前記薬液注入装置を制御するとともに、前記濃度検出装置で前記薬液の濃度を検出し、前記薬液が前記正常な濃度となるまで前記薬液注入装置を制御し、前記薬液の注入量を制御することを特徴とする[4]に記載の濾過装置。
[9] 供給源から水を供給するポンプ装置から吐出された前記水に、流量検出装置で検出された前記ポンプ装置の二次側の流量に基づいて薬液注入装置により酸化剤である薬液を注入し、
前記ポンプ装置の二次側に設けられた濾過槽により、前記薬液が注入された水を処理し、
濃度検出装置で検出された前記濾過槽から吐出された前記水の前記薬液の濃度、及び、記憶部に記憶された、前記濾過槽から吐出される前記水の前記薬液の所定の濃度である閾値を比較し、前記薬液の濃度が前記閾値と異なる場合に、前記薬液注入装置を制御し、前記薬液の注入量を制御することで、前記薬液の正常な濃度とする、
ことを特徴とする濾過装置の制御方法。