特許第6581812号(P6581812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581812
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】天井枠吊り下げ構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   E04B9/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-120940(P2015-120940)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-2684(P2017-2684A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】594062260
【氏名又は名称】株式会社佐藤型鋼製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公章
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−224574(JP,A)
【文献】 米国特許第04570885(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00−9/36
F16B 2/12
F16B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構造体に対して天井枠を吊り下げる吊りボルトの外周を金属製の筒体で補強するとともに、該金属製の筒体の上端部分に、該金属製の筒体の上端部分から所定の長さ上方に延びる上記吊りボルトの上端を利用して吊りボルト取り付け金具を同軸構造に連結一体化し、該金属製の筒体と同軸構造に連結一体化された上記吊りボルト取り付け金具を介して上記建物の構造体に天井枠を吊り下げるようにしてなる天井枠吊り下げ構造であって、上記建物の構造体が水平方向の吊りボルト取り付け縁部を有するとともに、上記吊りボルト取り付け金具は、上記金属製の筒体の上端部から上方に延びる上記吊りボルトにより連結一体化される方形箱形の取り付け金具本体と、該取り付け金具本体の左右両側壁部分に上記建物構造体の取り付け縁部側に向けて開口された断面コ字形の嵌合口と、該嵌合口の下部側左右両側壁部の上端間を相互に連結一体化し、該嵌合口の下部側支持部を閉断面構造に構成する補強板と、上記嵌合口の上部側に設けられ、上記建物構造体の取り付け縁部への嵌合後において上方側から下方側に螺合され、上記取り付け金具本体を上記建物構造体の取り付け縁部に対して固定する締結ボルトと、該締結ボルトのボルト軸下端に設けられ、上記補強板との間で上記建物構造体の取り付け縁部を押圧する平板構造の押さえ板とから構成されていることを特徴とする天井枠吊り下げ構造。
【請求項2】
押さえ板は、所定の厚さを有し、締結ボルトのボルト軸下端が軸直交方向への傾動を生じない所定の螺合寸法を有して螺合される深さのボルト軸螺合溝を有して上記締結ボルトのボルト軸下端に螺合固定されていることを特徴とする請求項1記載の天井枠吊り下げ構造。
【請求項3】
吊りボルト取り付け金具は、鋳鋼材により一体に成型されていることを特徴とする請求項1又は2記載の天井枠吊り下げ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吊りボルトを介して建物の構造体に対して天井枠を吊り下げる天井枠吊り下げ構造に関し、さらに詳しくは同天井枠吊り下げ部における吊りボルト取り付け金具の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に天井の下地構造の一部を形成する天井枠は、例えば複数本の野縁と該野縁が取り付けられる複数本の野縁受けとからなり、それら野縁および野縁受けを格子状に組み合わせ、同野縁および野縁受けの上下に交叉する部分を所定の接合金具で相互に接合固定することによって一体に構成されている。
【0003】
そして、天井の高さに応じた所定の長さの吊りボルトを用い、例えば野縁受けの所定部分に当該吊りボルトの下端を、また上階床スラブ等の建物の構造体の所定の取り付け部分に当該吊りボルトの上端をそれぞれ所定の取り付け金具(吊り金具)を介して取り付けることにより、建物の構造体の天井設置部に吊り下げるようにしていた。
【0004】
また、上記天井枠を構成する野縁及び野縁受けには、断面コの字型の溝形鋼(チャンネル材)や角型筒が用いられ、また上記吊りボルトには軸状のロッド部材が用いられ、さらに上記吊りボルト取り付け金具には、断面コ字形の係止金具(下部側)や箱型の結合金具(上部側)が用いられていた(例えば、特許文献1、特許文献2の天井下地構造の構成を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−50784号公報
【特許文献2】特開2013−68066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1、2に示されているような、単にロッド構造単体の吊りボルトの下端部を断面コ字形の係止金具を用いて天井枠に係止する一方、同ロッド構造単体の吊りボルト上端を単に箱型の結合金具を介してH形鋼の縁部などの建物構造体に吊り下げるようにした天井枠吊り下げ構造の場合、吊りボルト自体の強度、建物の構造体と吊りボルトとの連結強度、吊りボルトと野縁受け(または野縁)との連結強度が低く、天井枠吊り下げ時の耐震性に欠ける欠点がある。
【0007】
例えば地震発生時の加振力には、縦揺れによる上下垂直方向の振動、横揺れによる水平方向の振動があり、実際には、それらの振動がさらに複雑に組み合わされたものとなる。したがって、上記吊りボルトや吊りボルト取り付け金具には、垂直方向の荷重に加えて、水平方向の荷重も加わることになり、それら両方向の荷重に対して十分な耐震力があることが要求される。
【0008】
しかるに、上記ロッド構造単体の吊りボルトや単なる断面コ字形の係止金具、単なる箱型の結合金具だけでは、そのような要求に応えることはできない。
【0009】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたもので、金属製の筒体と組み合わせることによって吊りボルト部分の断面積を有効に拡大するとともに、吊りボルトを金属製の筒体の心材として機能させることによって、上記垂直方向の荷重に対する強度と水平方向の剛性をそれぞれ向上させ、また該金属製の筒体によって補強された吊りボルトを建物構造体に取り付けて吊り下げる吊りボルト取り付け金具を、当該吊りボルトを補強する金属製の筒体の上部に心材である吊りボルトの上端側延設部を利用して同軸構造に連結一体化することによって強固に取り付け、同吊りボルトおよび金属製の補強筒と同軸一体構造になった吊りボルト取り付け金具を介して建物構造体に強固に取り付けることによって、上記吊りボルト単独でも水平方向の揺れを生じさせない形で建物構造体に吊り下げることによって、上記吊りボルトによる天井枠の基本的な吊り下げ強度、耐震性を向上させる一方、さらに吊りボルト取り付け金具部分の建物構造体に対する取り付け強度を向上させることにより、より一層天井枠の吊り下げ強度、耐震性を向上させた天井枠吊り下げ構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の天井枠吊り下げ構造は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1)第1の課題解決手段
まず本願発明の第1の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、 建物の構造体に対して天井枠を吊り下げる吊りボルトの外周を金属製の筒体で補強するとともに、該金属製の筒体の上端部分に、該金属製の筒体の上端部分から所定の長さ上方に延びる上記吊りボルトの上端を利用して吊りボルト取り付け金具を同軸構造に連結一体化し、該金属製の筒体と同軸構造に連結一体化された上記吊りボルト取り付け金具を介して上記建物の構造体に天井枠を吊り下げるようにしてなる天井枠吊り下げ構造であって、上記建物の構造体が水平方向の吊りボルト取り付け縁部を有するとともに、上記吊りボルト取り付け金具は、上記金属製の筒体の上端部から上方に延びる吊りボルトにより連結一体化される方形箱形の取り付け金具本体と、該取り付け金具本体の左右両側壁部分に上記建物構造体の取り付け縁部側に向けて開口された断面コ字形の嵌合口と、該嵌合口の下部側左右両側壁部の上端間を相互に連結一体化し、該嵌合口の下部側支持部を閉断面構造に構成する補強板と、上記嵌合口の上部側に設けられ、上記建物構造体の取り付け縁部への嵌合後において上方側から下方側に螺合され、上記取り付け金具本体を上記建物構造体の取り付け縁部に対して固定する締結ボルトと、該締結ボルトのボルト軸下端に設けられ、上記補強板との間で上記建物構造体の取り付け縁部を押圧する平板構造の押さえ板とから構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成の場合、まず天井枠を吊り下げる吊りボルト部分が、天井枠部分から建物構造体部分まで延びる所定の径の吊りボルト(心材)と、該吊りボルトの外周にあって所定の断面形状、所定の外径で該吊りボルトの下端側付近からから上端側付近まで一体に連続して延びる大径の金属製の筒体(外殻材)とからなる二重部材構造の垂直部材を構成することになる。
【0013】
その結果、同吊りボルト部分は、垂直部材としての軸方向の引張り、圧縮強度が大きく向上するとともに、断面積が有効に拡大される結果、軸直交方向の曲げ強度、剛性が大きくアップする。
【0014】
したがって、吊りボルト部分自体の地震発生時の縦揺れ、横揺れに対する耐震力が有効に向上する。
【0015】
しかも、同構成の場合、上記吊りボルトを補強する金属製の筒体の上端部分には当該金属製の筒体の上端から上記吊りボルトの上端部分が所定の長さ上方に延出するようになっており、上記吊りボルトを補強する上記金属製の筒体の上端部分に取り付けられる吊りボルト取り付け金具は、その本体部分が当該上方に延びる吊りボルトの上端部分に挿通されて上記金属製の筒体と同軸構造に連結一体化される。
【0016】
したがって、上記最終的に金属製の筒体の上端部に取り付けられた上記吊りボルト取り付け金具は、上記垂直部材の心材である吊りボルトによって確実に同軸状態に連結されるとともに断面積の大きい金属製の筒体の上端に広い接触面積で接面して強固に固定一体化されることになり、相互の連結部における軸方向の連結強度、軸直交方向への曲げ剛性がより大きく向上する。その結果、垂直部材および吊りボルト取り付け金具が一体となった垂直部材(吊りボルト部材)全体としての軸方向および軸直交方向の強度も大きく向上する。
【0017】
そして、そのように吊りボルト取り付け金具を一体化した状態で十分に強度の向上した垂直部材(吊りボルト部材)が、その上端側の吊りボルト取り付け金具により建物の構造体に対して強固に取り付けられる。
【0018】
しかも、その場合、当該建物の構造体が水平方向の吊りボルト取り付け縁部を有して構成されており、また上記吊りボルト取り付け金具は、上記金属製の筒体の上端部から上方に延びる吊りボルトにより連結一体化される方形箱形の取り付け金具本体と、該取り付け金具本体の左右両側壁部分に上記建物構造体の取り付け縁部側に向けて開口された断面コ字形の嵌合口と、該嵌合口の下部側左右両側壁部の上端間を相互に連結一体化し、該嵌合口の下部側支持部を閉断面構造に構成する補強板と、上記嵌合口の上部側に設けられ、上記建物構造体の取り付け縁部への嵌合後において上方側から下方側に螺合され、上記取り付け金具本体を上記建物構造体の取り付け縁部に対して固定する締結ボルトと、該締結ボルトのボルト軸下端に設けられ、上記補強板との間で上記建物構造体の取り付け縁部を押圧する平板構造の押さえ板とから構成されている。
【0019】
このように、例えば建物構造体がH形鋼などの水平方向の取り付け縁部を有するものよりなり、上記吊りボルト取り付け金具が、同建物構造体の水平方向の取り付け縁部に対して嵌合状態で取り付けられるようになっており、上記吊りボルト取り付け金具が、上記金属製の筒体の上端部から上方に延びる吊りボルトにより連結一体化される方形箱形の取り付け金具本体と、該方形箱形の取り付け金具本体の左右両側壁部分に上記建物構造体の水平方向の取り付け縁部側に向けて開口された断面コ字形の嵌合口と、該嵌合口の上部側に設けられ、上記建物構造体の水平方向の取り付け縁部への嵌合後において上方側から下方側に螺合され、該取り付け金具本体を上記建物構造体の取り付け縁部に対して固定する締結ボルトにより構成されていると、上記吊りボルト取り付け金具を、その断面コ字形の嵌合口を利用して当該H形鋼などの建物構造体の水平方向の取り付け縁部に対して水平方向に嵌合し、さらに上方側から締結ボルトで螺合締結すると、断面コ字形の嵌合口の下面側と締結ボルト下端との間で建物構造体の水平方向の取り付け縁部を挟み込むことにより、吊りボルト取り付け金具を確実に固定することができるようになる。
【0020】
しかし、上記断面コ字形の嵌合口の下面側が、単に当該取り付け金具本体の左右両側壁の切り欠き端面だけで形成されていた場合、断面コ字形の嵌合口の下面側と建物構造体の水平方向の取り付け縁部との当接面積(接合部受け面の面積)は極めて小さく、接合力、支持力も極めて小さい。また、地震時の振動により大きな力が加わると、当該取り付け金具本体の左右両側壁の切り欠き部上端が内側又は外側に倒れ込む(折れ込む)ことになり、建物構造体の水平方向の取り付け縁部を挟み込む挟着力が低下してしまう。そうなると、吊りボルト自体の取り付け強度も低下し、耐震性も低下してしまう。
【0021】
そこで、以上の構成では、上記断面コ字形の嵌合口を形成している左右両側壁の嵌合口下面部間(左右両側壁の切り欠き部上端間)を相互に連結一体化する補強板を設けて、上記建物構造体の水平方向の取り付け縁部の下面に対する当接面積(接合部受け面の面積)を大きく拡大し、接合力、支持力を向上させるとともに、嵌合口下部側支持部を閉断面構造に形成し、強度、剛性をアップさせることにより、上記取り付け金具本体の断面コの字形の嵌合口下面側における左右両側壁の切り欠き部上端が内側又は外側に倒れ込む(折れ込む)ことを確実に防止するようにしている。
【0022】
また、それに対応して、上記締結ボルトのボルト軸下端に、上記補強板との間で上記建物構造体の取り付け縁部を押圧する平板構造の押さえ板を設け、該押さえ板を介して上記締結ボルトのボルト軸側でも広い押圧面積で押圧するようにしている。
【0023】
この結果、吊りボルト取り付け金具の締結ボルト下端との間で建物構造体の水平方向の取り付け縁部を挟み込む挟着力、挟着強度大きく向上する
【0024】
したがって、当該嵌合部を介した嵌合固定状態では、上記吊りボルト取り付け金具はもちろん、上記吊りボルト取り付け金具を介して吊り下げられた垂直部材の垂直方向の荷重強度、軸直行方向への曲げ剛性が共に向上する。
【0025】
(2)第2の課題解決手段
次に本願発明の第2の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第1の課題解決手段の構成において、押さえ板は、所定の厚さを有し、締結ボルトのボルト軸下端が軸直交方向への傾動を生じない所定の螺合寸法を有して螺合される深さのボルト軸螺合溝を有して上記締結ボルトのボルト軸下端に螺合固定されていることを特徴としている。
【0026】
このような構成によると、嵌合口の下部側支持部を支持面積が大きく、支持強度の高い閉断面構造に構成する補強板との間で建物構造体の取り付け縁部を挟着固定する平板構造の押さえ板と締結ボルトのボルト軸との螺合固定強度が高くなり、締結ボルトのボルト軸が軸直交方向に傾くことなく押さえ板の全面を有効に押圧し、嵌合口の下部側支持部を閉断面構造に構成する高強度、広面積の補強板との間で建物構造体の取り付け縁部を高強度に挟着固定するようになる。
【0027】
その結果、同構成によれば、方形箱形の取り付け金具本体の建物構造体の取り付け縁部への取り付け強度が大きく向上し、天井枠吊り下げ構造の耐震強度が向上する。
【0028】
(3)第3の課題解決手段
次に本願発明の第3の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第1又は第2の課題解決手段の構成において、吊りボルト取り付け金具は、鋳鋼材により一体に成型されていることを特徴としている。
【0029】
このような構成によると、吊りボルト取り付け金具自体の製作が容易で、低コストに実現できるようになる。また、鋳鋼材は、それ自体強度が高いので、鋳鋼材を用いて、上記第1の課題解決手段のような構成の吊りボルト取り付け金具を一体成型すると、当該吊りボルト取り付け金具が、上記第1の課題解決手段の構成のように、方形箱形の取り付け金具本体により構成され、内部が空洞で、建物構造体の水平方向の取り付け縁部への嵌合用の開口部や同開口部における締結ボルト挿通孔、取り付け金具本体の上下両壁面における吊りボルト挿通孔などがあっても、鋼板を板金加工し、溶接することによって形成した場合のような、補強部材による補強も不要となる。
【発明の効果】
【0030】
以上の結果、本願発明によると、吊りボルト部分全体の天井枠吊り下げ強度および吊りボルトと吊りボルト取り付け金具との連結強度、吊りボルト取り付け金具の建物構造体への取り付け強度の何れもが大きく向上する。
【0031】
その結果、天井下地全体の耐震性が大きく向上し、より耐震性の高い天井枠吊り下げ構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願発明の実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造を用いて構成した天井下地構造の一例を示す要部の斜視図である。
図2】同天井下地構造の一例を示す要部の正面図である。
図3】本願発明の実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造における吊りボルトおよび吊りボルト補強用の金属製の筒体よりなる垂直部材の構造、同垂直部材に対する垂直部材取り付け金具の取り付け状態を、一部を切り欠いて示す分解斜視図である。
図4】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材下端の天井枠との連結構造を示す斜視図である。
図5】同天井枠吊り下げ構造における金属製の筒体の構成を垂直部材で代表させて示す斜視図である。
図6】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材上下両端部の補強金具の構成を示す斜視図である。
図7】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)の構成を示す斜視図である。
図8】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)の構成を示す図7のA―A断面図である。
図9】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)の構成を示す図7のB―B断面図である。
図10】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)の押さえ板部分の構成を示す拡大正面図である。
図11】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具を用いた垂直部材のH形鋼への取り付け状態示す垂直部材取り付け金具側から見た斜視図である。
図12】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具と補助金具との対向および連結関係を示す側面図である。
図13】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具を補助金具と組み合わせて建物構造体であるH型鋼の取り付け縁部に取り付けた状態において、垂直部材に作用する力に対する補助金具および連結ロッドの補強作用を示す説明図である。
図14】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具を補助金具と組み合わせて建物構造体であるH型鋼の取り付け縁部に取り付けた時の相互の連結状態を補助金具の下方側から見た斜視図である。
図15】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材に対する水平部材の連結部の構成を示す斜視図である。
図16】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材に対する水平部材の連結金具の構成を示す斜視図である。
図17】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具に対する上段側ブレース材上端の取り付け状態を示す斜視図である。
図18】同天井枠吊り下げ構造において、上段側ブレース材の上端に取り付けられるブレース材連結用補強金具部分の構成を示す斜視図である。
図19】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材取り付け金具に対するブレース材の連結金具(第1のブレース材連結金具)の構成を示す斜視図である。
図20】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材に対する上段側ブレース材下端の連結金具(第2のブレース材連結金具)の構成と対応する垂直部材側取り付け金具部分の構成を示す斜視図である。
図21】同天井枠吊り下げ構造における垂直部材側ブレース材下端の取り付け金具(上段側ブレース材下端の取り付け金具)の構成を示す斜視図である。
図22】同天井枠吊り下げ構造における上段側ブレース材の下端に取り付けられるブレース材連結用補強金具部分の構成を示す斜視図である。
図23】同天井枠吊り下げ構造において、上段側ブレース材の下端が連結される垂直部材側ブレース材取り付け金具本体に対する補強金具部分の構成を示す斜視図である。
図24】同天井枠吊り下げ構造における下段側ブレース材上端の垂直部材に対する連結状態示す斜視図である。
図25】同天井枠吊り下げ構造における下段側ブレース材下端の天井枠の野縁に対する連結状態および連結金具(第3のブレース材連結金具)の構成を示す斜視図である。
図26】同天井枠吊り下げ構造における上記図17とは反対側(右側)の垂直部材取り付け金具に対する上端側ブレース材の連結状態を示す斜視図である。
図27】同天井枠吊り下げ構造における上記図26の構成のものを実際にH形鋼に取り付けた状態で示した下方側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本願発明に係る天井枠吊り下げ構造を実施するための具体的な形態について詳細に説明する。この本願発明の実施の形態に係る構成では、天井枠が吊り下げられる建物の構造体として、例えば水平な取り付け縁部を備えたH型鋼が採用されており、同H形鋼の水平な取り付け縁部に取り付けるのに適したものとして構成されている。
【0034】
添付の図1図27は、本願発明の実施の形態に係る天井枠吊り下げ構造を用いて構成された天井下地の構成、同天井下地における天井枠の構成、同天井枠を吊り下げる複数本の垂直部材(吊りボルト)の構成、同複数本の垂直部材(吊りボルト)の下端に天井枠を取り付ける天井枠取り付け金具の構成、上記天井枠を取り付けた複数本の垂直部材(吊りボルト)の上端を建物構造体の取り付け部に取り付けて吊り下げる垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)の構成、上記複数本の垂直部材(吊りボルト)を水平方向に連結する複数本の水平部材の構成、上記複数本の垂直部材(吊りボルト)の間を斜めに連結する複数本のブレース材の構成、上記複数本の垂直部材(吊りボルト)に対して上記複数本の水平部材を連結する水平部材連結金具の構成、上記複数本の垂直部材(吊りボルト)および上記垂直部材(吊りボルト)取り付け金具に対して上記複数本のブレース材を連結するブレース材連結金具の構成などがそれぞれ示されている。
【0035】
以下、これら各部分の構成と作用について、対応する図面を参照して詳細に説明してゆく。
【0036】
(1)天井下地部分の全体的な構成について(図1図2を参照)
先ず図1および図2には、この発明の天井枠吊り下げ構造を用いて構成された、例えば「ぶどう棚」構造の天井下地の全体的な構成の一例が示されている。
【0037】
すなわち、この発明の実施の形態における天井下地は、大きく分けて、複数本の野縁11,11・・および野縁受け12,12・・よりなる天井枠1と、この天井枠1を例えば建物の上階床下面に設けられたH形鋼(建物構造体)10,10・・の下縁10a,10a・・部分に吊り下げる複数本の垂直部材2,2・・と、これら複数本の垂直部材2,2・・間を水平方向に連結する複数本の水平部材3,3・・と、上記複数本の垂直部材2,2・・間を斜め方向に連結する複数本のブレース材4,4・・とから構成されている。
【0038】
この発明の実施の形態の場合、上記水平部材3,3・・は、それぞれ上記垂直部材2,2・・の上下方向の略中間部分において連結されており、それによって上記垂直部材2,2・・の上端と下端との間を上下2段の2つの空間部分に区画しており、上記ブレース部材4,4・・は、それら上下2段の2つの空間部分の各々の内側において略同一の対角線方向に配設されている。
【0039】
すなわち、この発明の実施の形態の天井下地構造では、上記複数本の垂直部材(吊りボルト)2,2・・間の同一補強平面内において、水平部材3,3・・を介してブレース材4を上下2段に分割して入れた、いわゆる2段ブレース構造が採用されている。
【0040】
(2)天井枠1部分の構成について(図1図2を参照)
上記天井枠1は、例えば図1に示されているように、複数本の野縁11,11・・と該野縁11,11・・が取り付けられる複数本の野縁受け12,12・・とからなり、これら野縁11,11・・と野縁受け12,12・・を格子状に枠組みして構成されている。
【0041】
この実施の形態の場合、野縁11,11・・および野縁受け12,12・・は、それぞれ上下に長い断面長方形上の金属製の角筒部材よりなり、これら断面長方形上の金属製の角筒部材よりなる野縁11,11・・と野縁受け12,12・・とは、後述する垂直部材2,2・・下端との連結部を除く相互の交差部(重ね合わせ部)において、例えば断面コの字型の座金11a(上部側)、12a(下部側)を設け、それらの間を連結ボルト13で上下方向に連結引張することにより強固に固定されている。
【0042】
そして、上記断面長方形上の金属製の角筒部材よりなる野縁11,11・および野縁受け12,12・・の上下各筒体壁には、上記連結ボルト13を通すためのボルト挿通孔が設けられているが、このボルト挿通孔はそれぞれ当該筒体の長手方向に少し長い長孔となっていて、ボルト挿通時のボルト挿通位置の調整が可能なように構成されている。
【0043】
他方、上記野縁11,11・・と野縁受け12,12・・との各交差部の内の所定の位置の交差部部分には、当該天井枠1を吊り下げるための上記垂直部材2,2・・の下端側が天井枠取り付け金具24を介して取り付けられるようになっている。
【0044】
また、この垂直部材2,2・・の下端側が天井枠取り付け金具24を介して取り付けられる野縁11,11・・と野縁受け12,12・・との交差部における野縁11部分には、上記2段ブレースの下部側ブレース材4,4・・の下端側がブレース材連結金具63,63・・を介して連結されるようになっている。
【0045】
そして、それにより当該天井枠1は、上記複数本の垂直部材2,2・・および複数本のブレース部材4,4・・によって、上記建物の構造体であるH型鋼の水平方向の取り付け縁部10a,10a・・に吊り下げられるようになる。
【0046】
そして、当該天井枠1の上記H型鋼10の水平方向の取り付け縁部10a,10a・・に対する吊り下げ施工が完了した後においては、例えば上記野縁11,11・・の下面側に対して必要な天井仕上げ用のボード等が取り付けられる(天井仕上げ用のボード等の取り付け構造については、例えば特開2013−68066号公報を参照)。
【0047】
(3)垂直部材2部分の構成について(図3図4図5を参照)
次に、まず上記垂直部材2,2・・は、例えば図3および図4に示されるように、上下方向に延びる天井枠吊り下げ用のロッド部材である所定の軸径の吊りボルト21と、該吊りボルト21の外周に在って当該吊りボルト21を補強する断面方形の金属製の筒体22とからなっている。
【0048】
この場合、上記吊りボルト21は、その上端側を上記金属製の筒体22の上端側に取り付けられる吊りボルト取り付け金具61の上端よりも少し上方に延ばして突出させ、また、その下端側を上記天井枠1の相互に連結される野縁受け12と野縁11の交差部よりも少し下方に延ばして突出させるため、上記H形鋼10,10・・の水平方向の下縁部10a,10a・・部分と上記野縁受け12との間に位置する上記金属製の筒体22の長さよりも全体に所定の長さだけ長く形成されている。そして、その上下両端部分(上下突出部分)には、ナット螺合用の必要なネジ溝が形成されている。
【0049】
上記吊りボルト21の補強部材である金属製の筒体22は、例えば図5に示すような断面方形(略正方形)の角形の筒体よりなり、全体として必要にして十分な強度および肉厚のものに形成されているが、その下端側野縁受け12および野縁11との連結部や上端側垂直部材取り付け金具61との連結部は、単なる方形の開口部(図5のような開口状態)となっているために、剛性が低く、変形しやすい問題がある。
【0050】
そこで、この実施の形態では、同下端側野縁受け12および野縁11との連結部、および上端側垂直部材取り付け金具61との連結部には、それぞれ図6に示すような方形カップ構造の補強金具51、51を外側に嵌合し、同補強金具51、51の各側面部で一体にビス止めすることによって、上記開放された方形の開口部端面(図5の開口端部)を閉じ、閉断面構造にするとともに、その周囲の側面強度を向上させている。
【0051】
この補強金具51、51の上記金属製の筒体22の開口面に対応する底壁面(上壁面)51b、51b部分には、上記吊りボルト21の突出部を貫通させるための円形(正円形)の吊りボルト貫通孔51c、51cが設けられている(なお、この吊りボルト貫通孔51c、51cは、必要な場合には少し水平方向に長い長穴にして、吊りボルト21貫通時の軸心位置の調節を行えるようにすることもできる。また、円形孔の場合、その内周面にネジ溝を設けたネジ穴に構成することもできる。)。
【0052】
そして、同補強金具51、51を介して、例えば図4に示すように、上記金属製の筒体22の下端側を上記天井枠1の野縁受け12と野縁11の交差部に連結する一方、他方、図3に示すように、同金属製の筒体22の上端側に吊りボルト21の上端側を利用して(貫通させることによって)上記垂直部材取り付け金具61を同金属製の筒体22と同軸構造に連結一体化(ナット21aを用いて締結)し、該垂直部材取り付け金具61を介して、例えば後述の図8図10図11に示すように、上記H形鋼10,10・・の水平方向の取り付け
縁部10a,10a・・の一端側に吊り下げるようになっている。
【0053】
なお、以上の構成における断面方形の金属製の筒体22としては、種々の構造のものが考えられるが、この実施の形態の場合には、上記図5に示すように、金属板を断面方形に曲げ加工し、両側縁2a,2b部分を角部の一側A部分で相互にS字形に抱き合わす形で連結し、一方側の側縁の隣接部内側に折り曲げリブ2cを設けることにより抱き合わせ部を固定して、角筒状に一体化したものとなっている。
【0054】
また、上記補強金具51、51についても、種々の構造のものが考えられるが、この実施の形態の場合には、上記図6に示すように、十字形に打ち抜いた金属板の中央部に位置する方形片を底壁面51bとし、その前後左右の4枚の方形片51a,51a,51a,51aをそれぞれ相互に中央部側に直角に折り曲げて、上方側又は下方側に開口した方形カップ構造のものに形成されている。そして、前後左右の4枚の方形片51a,51a,51a,51aには、それぞれ2組のビス穴が形成されている。
【0055】
(4)垂直部材2に対する天井枠1の取り付け構造について(図1図3図4を参照)
上記垂直部材2の下端に対する天井枠1の取り付け、より具体的には、上記補強金具51を設けた上記垂直部材2の金属製の筒体22下端への上記天井枠1の交差部の連結は、例えば図3および図4に示されるように、上記天井枠1側の野縁11の下面側に断面コの字型の受け金24を設けるとともに、その両側片24a,24aをビスで固定し、上記補強金具51底壁面51bの吊りボルト貫通孔51c、野縁受け12および野縁11各々の上下各壁面に形成した吊りボルト貫通孔(長穴)12a,12b、11a,11b、受け金24の底壁24bに形成した吊りボルト貫通孔(丸穴)24cを通して吊りボルト21の下端側を下方に貫通させ、ワッシャー24dおよびナット24eを用いて当該受け金24の底壁24b下面側で締結することにより連結固定されている。
【0056】
これにより、上記天井枠1の野縁受け12および野縁11の交差部部分が、図4に示すように、上記補強金具51により補強された金属製の筒体22の下端部分と上記野縁11下面の受け金24との間に位置して、上記垂直部材2の心材である上記吊りボルト21により相互に締結固定され、かつ上記垂直部材2に対しても確実に固定される。
【0057】
そして、この垂直部材2に対する野縁受け12および野縁11の結固定状態では、図4から明らかなように、金属製の筒体22により補強された吊りボルト21が相当の長さで野縁受け12および野縁11の交差部を上下に貫通し、しかも野縁受け12の上面および野縁11の下面に対して広い面積で当接する補強金具51および受け金具24を介して強固に連結固定されている。
【0058】
したがって、上述のように、心材である吊りボルト21および補強部材である金属製の筒体22よりなる垂直部材2は、それ自体の強度、剛性が高いことに加えて、野縁受け12および野縁11の交差部との連結部における強度、剛性も大きく向上し、野縁受け12の長手方向、野縁11の長手方向、それらの間の周方向全体への曲げ剛性も大きく向上する。
【0059】
他方、上記金属製の筒体22の上端側には、同じく補強金具51を介して、かつ上記吊りボルト21を利用して、次のような構造の垂直部材取り付け金具(請求項で言う吊りボルト取付金具)61が取り付けられる。
【0060】
(5)垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61部分の構成について(図3図7図14
上記のように、この実施の形態では、天井枠1を取り付ける建物側の構造体がH形鋼10、10・・よりなり、同H形鋼10、10・・の水平方向の取り付け縁部10a,10a・・に天井枠1を吊り下げる吊りボルト21が所定の外径の断面方形の金属製の筒体22により補強され、心材(中心軸)となる吊りボルト21とともに一体になって、断面積が大きく、垂直荷重強度(引っ張り、圧縮)および曲げ剛性が高い、垂直部材(吊りボルト部材)2を構成している(図3の構成を参照)。
【0061】
そして、これに対応して、同垂直部材2(具体的には、吊りボルト21および金属製の筒体22が一体となった吊りボルト部材)の上端側を上記建物側のH形鋼10の水平方向の取り付け縁部10aの一端側に取り付ける垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61は、たとえば、次のように構成されている。
【0062】
すなわち、該垂直部材取り付け金具61は、図3および図7図10に示すように、上記所定の外径を有する断面方形の金属製の筒体22上端の当該断面積および断面形状に対応して安定した着座状態で圧接され、上下方向(軸方向)に連結一体化される底壁面(締結座部)610を有した方形箱形(前面側の全体が開口した直方体形状)の取り付け金具本体61aと、該方形箱形の取り付け金具本体61aの前面側(上記H形鋼10の取り付け縁部10a側)に開口された前後方向に所定の深さの断面コ字形の嵌合口61b,61bと、該断面コ字形の嵌合口61b,61bの前後方向中央部の上壁面611側に位置して上方側から下方に貫通して設けられた締結ボルト螺合孔61iと、上記H型鋼10への取り付け時において、上記締結ボルト螺合孔61iに上方側から下方側に向けて挿入螺合され、上記方形箱形の取り付け金具本体61aを上記H形鋼10の取り付け縁部10aに対して固定する締結ボルト61cと、該締結ボルト61cのボルト軸61kの先端に螺合固定され、上記H形鋼10の取り付け縁部10aを押さえつける押さえ板61dとから構成されている。
【0063】
そして、上記締結ボルト61cは、スプリングワッシャー61jおよび緩み止めナット61hを介して上記締結ボルト螺合孔61iに螺合されるようになっており、締結後の緩み等が生じないように考慮されている。
【0064】
また、上記断面コ字型の嵌合口61b,61bは、上記取り付け金具本体61aの前面側開口部左右の両側壁612,612を後方側に所定の深さ切り欠くことによって形成されている(一応、図中では、断面コ字形に切り欠いた左右両側壁612,612に対応するものとして、左右2組の符号61b、61bを入れて示している)。
【0065】
この実施の形態の場合、上記H形鋼取り付け縁部10aへの嵌合口61b,61bは、当該取り付け金具本体61aの側面から見た時の少なくとも前後方向約前半分部分に設けられている一方、略後半部分が上記金属製の筒体22上端の補強金具51の上面に対応して当接しており、同金属製の筒体22上端の補強金具51から上方に延びる上記吊りボルト21が当該取り付け金具本体61aの底壁面610および上壁面611の吊りボルト挿通孔61e、61eを介して下方から上方に挿通され、上壁面611よりも所定の長さ長く上方に突出する状態で嵌挿されている。そして、同突出した吊りボルト21の上端部分に締め付けナット21aを螺合して軸方向に締め付けることにより、当該取り付け金具本体61aが上記補強金具51を介して上記金属製の筒体22の上端側に吊りボルト21を心材として強固に連結一体化されている(図3図11図13を参照)。
【0066】
そして、この実施の形態の構成では、例えば図7図9に詳細に示すように、上記嵌合口61b、61bを形成している取り付け金具本体61aの左右両側壁612,612の開口部の下部側上端(H形鋼10の取り付け縁部10aの下面に当接する部分)に補強板61gを設けて左右の両側壁を連結一体化するとともに、H形鋼10の取り付け縁部10a下面への当接面積(接合部受け面の面積)を大きく拡大している。そして、それによって、上記H形鋼10の取り付け縁部10aに対する接合力、支持力を向上させるとともに、嵌合口61b、61bの下部側支持部を閉断面構造に形成し、その支持強度、剛性を大きくアップさせることにより、上記垂直部材取り付け金具本体61aの断面コの字形の嵌合口61b,61b下面側における左右両側壁の切り欠き部上端が内側又は外側に倒れ込む(折れ込む)ことを確実に防止するようにしている。
【0067】
また、それに対応して、上記締結ボルト61cのボルと軸61k下端の押さえ板61dは、例えば円板状に形成されているとともに(もちろん、方形板でも構わないが)、その直径を上記左右両側壁612,612間の幅いっぱいに亘る寸法のものに形成することによって、上記補強板61gに対応した十分に広い押圧面積のものに形成している。また、それに加えて、当該押さえ板61dの厚さaを十分に大きな板厚(例えば12mm)のものとし、それに対して十分な深さb(例えば11mm)のボルト螺合溝61mを形成し、同ボルト螺合溝61mに対して、上記締結ボルト61cのボルト軸61kの先端を十分な長さbだけ螺合して、軸直行方向への傾動が生じないように相互に確実に係合している。
【0068】
しかも、上記ボルト螺合溝61mの先端(下端)から下方への所定の長さc部分61n(例えば1mm)の孔径は、上記ボルト螺合溝61m部分の孔径よりも所定寸法小さい孔径のものとして、上記螺合された締結ボルト61cのボルト軸61kが適切な螺合深さ位置で当該押さえ板61dに対して確実かつ強固に係止固定されるようになっている。
【0069】
そして、これらの構成の組み合わせにより、上記締結ボルト61c下端側の押さえ板61dとの間で、上記H形鋼10の水平方向の取り付け縁部10aを挟み込む強固な挟着力が確実に確保、実現されるようにしている。また、その場合において、必要に応じ、上記補強板61gの上面および上記押さえ板61dの下面には、さらに所定のローレット加工が施され、それによって締結時におけるH形鋼取り付け縁部10a面への食い付き力、摩擦係合力を高めて、より確実かつ強固な締結状態を実現する構造も採用されるようになっている。
【0070】
すなわち、このような構成の場合、先ず上記吊りボルト21補強用の金属製の筒体22が断面方形の筒体よりなっているとともに、上記吊りボルト取り付け金具である垂直部材取り付け金具本体61aも方形箱形の形状に構成されており、上記断面方形の金属製の筒体22の上端部に同様の形状の補強金具51を介して同方形箱形の取り付け金具本体61aの底壁面610が当接され、取り付け金具本体61aは、上記補強金具51上面の吊りボルト貫通孔51c部分から所定の長さ上方に突出する吊りボルト21を介して確実かつ強固に垂直部材2に連結一体化される。
【0071】
しかも、嵌合口61b、61bを形成している取り付け金具本体61aの左右両側壁612,612の開口部の下部側上端(H形鋼10の取り付け縁部10aに当接する部分)に補強板61gを設けて左右の両側壁を連結一体化するとともに、H形鋼10の取り付け縁部10aへの当接面積(接合部受け面の面積)を大きく拡大している。しかも、それに対応して、上方側締結ボルト61cの押さえ板61dの押圧面の面積も十分に広く、かつボルト軸61kとの結合関係も強固なものとしている。
【0072】
その結果、上記嵌合口61b、61b部分の嵌合強度(受け強度=変形強度)が大きくアップすると同時に、嵌合時における上下接合部の締め付け面積が大きくなって、締結強度、固定強度が大きく向上する。
【0073】
したがって、垂直部材2は、垂直部材取り付け金具61を取り付けた状態でも、その全体の強度が大きく向上し、断面積も大きく、中心部に吊りボルト21よりなる心材を有する1本の剛体となる。
【0074】
そして、そのような構成の垂直部材2は、その上端の垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61を介して対応するH形鋼10の取り付け縁部10aに対して取り付けられるが、同垂直部材(吊りボルト21+金属製の筒体22)2を吊り下げるに際しては、上記方形箱形の垂直部材取り付け金具本体61aの上記断面コ字形の嵌合口61b,61bを、例えば図11に示すように、当該H形鋼10の手前側の取り付け縁部10aに対して嵌合し、上記締結ボルト61cを直交方向下方に挿入螺合し、同締結ボルト61cの先端でH形鋼10の取り付け縁部10aの上面側を押さえつけ、同締結ボルト61cの先端を介し、上記嵌合口61b,61bの下部側上面とH形鋼10の取り付け縁部10aの下面とを広い面積で接合して相互に締結一体化することにより、容易に固定することができるようになっている。
【0075】
この場合、上記H形鋼10の取り付け縁部10aの上面に当接する上記締結ボルト61cの先端には、上記補強板61gの面積に対応した十分な大きさの押さえ板61dが設けられており、これによって上面側においても可能な限り広い当接面積(接合部押圧面積)を有して均等に押さえつけるようになっている。
【0076】
このように、取り付け金具本体61aが、前後および左右に所定の幅を有する箱形の構成となっていて、その両側に所定の奥行きを有するコの字形の嵌合口61b,61bを有してH形鋼10の取り付け縁部10aに嵌合固定(接合固定)されるようになっていると、取り付け部の接合面が広くなり、垂直部材2の軸直交方向への変形剛性が高くなり、また垂直荷重に対する支持力も十分に大きくなる。
【0077】
しかも、この実施の形態の場合、以上の構成に加えて、さらに上記対応するH形鋼10の取り付け縁部10aの他端側の縁部10aには、略同様の構造の補助金具64を備えて構成されている。
【0078】
すなわち、この補助金具64も、例えば図12図14に示すように、方形箱形(前面側の全体が開口した直方体形状)の補助金具本体64aと、該方形箱形の補助金具本体64aの前面側(上記H形鋼10の取り付け縁部10a側)に開口された前後方向に所定の深さの断面コ字形の嵌合口64b,64bと、該断面コ字形の嵌合口64b,64bの前後方向中央部の上壁面に位置して上方側から下方に設けられ、取り付け時において上方側から下方側に向けて挿入螺合され、上記方形箱形の補助金具本体64aを上記H形鋼10の他方側の取り付け縁部10aに対して固定する締結ボルト64cとから構成されており、上記断面コ字型の嵌合口64b,64bは、上記補助金具本体64aの前面側開口部左右の両側壁を後方側に所定の深さ切り欠くことによって形成されている。
【0079】
そして、上記垂直部材取り付け金具61と上記補助金具64とは、例えば図12図14に示されるように、それぞれの嵌合口61b,61bと64b,64bを同一水平面方向に対向させた状態において、相互に左右2本の連結ロッド70、70で連結されるようになっている。
【0080】
すなわち、この補助金具64も、実際の取り付け状態においては、例えば図13および図14に示されるように、上記垂直部材取り付け金具61と同様にしてH型鋼10の他端側の取り付け縁部10aに嵌合固定され、その後両者を相互に2本の連結ロッド70、70で連結固定(引張固定)する。上記垂直部材取り付け金具61の取り付け金具本体61aの背面下部には、連結ロッド70、70先端の挿通孔61p、61pが設けられている。補助金具64の方も同様である。
【0081】
このような構成によれば、同図13および図14の連結固定状態では、天井枠1を吊り下げる垂直部材2の上記取り付け金具61が上記補助金具64によって確実に嵌合方向に引張固定されるようになり、上記垂直部材2の取り付け金具61に非嵌合方向への外力が作用したとしても、外れるようなことが無くなり、さらにH形鋼取り付け縁部10a、10a両端側の2か所で逆方向に嵌合固定されるようになることから、嵌合状態自体も一層強固になる。
【0082】
例えば同構成の場合、図13に示す構成から明らかなように、上記垂直部材2に対して水平な矢印A1方向の力が作用したとすると、上記垂直部材取り付け金具61の嵌合部を介して、上記H形鋼10の取り付け縁部10aには矢印A2方向の押圧力、連結ロッド70、70部分には矢印A3方向の引張力が作用する。
【0083】
しかし、H形鋼10の取り付け縁部10aは支持剛性が高いため動かず、連結ロッド70、70部分に大きな引張力A3が作用することになる。したがって、もし補助金具64がなく、連結ロッド70、70もないとしたら、上記垂直部材取り付け金具61の嵌合部の嵌合状態が悪化し、ケースによっては嵌合状態が外れるということも考えられる。
【0084】
ところが、以上のように垂直部材取り付け金具61と補助金具64の2組の金具を用いて2か所で嵌合固定し、しかも、左右に所定の幅を置いてそれらを2本の連結ロッド70、70で連結していると、上記大きな引張力A3による嵌合部の変形を補助金具64および連結ロッド70,70が確実に阻止し、より確実な嵌合状態を維持することができるようになる。その結果、垂直部材2の上記A1方向への移動も抑制される。
【0085】
他方、これとは逆に上記垂直部材2に対して水平な矢印B1方向の力が作用したとすると、上記垂直部材取り付け金具61の嵌合部を介して、上記H形鋼10の取り付け縁部10aには矢印B2方向への引張力、連結ロッド70、70部分には矢印B3方向の押圧力が作用する。
【0086】
しかし、H形鋼10の取り付け縁部10aは支持剛性が高いため動かず、連結ロッド70、70部分には大きな押圧力B3が作用することになる。したがって、もし上記補助金具64および連結ロッド70、70がないとしたら、やはり上記垂直部材取り付け金具61の嵌合部の嵌合状態が悪化し、ケースによっては嵌合状態が外れるということも考えられる。
【0087】
ところが、以上のように垂直部材取り付け金具61と補助金具64の2組の金具を用いて2か所で嵌合固定し、しかも、左右に所定の幅を置いてそれらを2本の連結ロッド70、70で連結していると、上記大きな押圧力B3が上記連結ロッド70、70および補助金具64により阻止されるので、同押圧力B3による嵌合部の変形を阻止し、確実な嵌合状態を維持することができるようになる。その結果、垂直部材2の上記B1方向への移動も抑制される。
【0088】
これらの結果、上記複数本の垂直部材2、2・・の横揺れが生じにくくなり、耐震性が向上する。
【0089】
また、上記のように構成された垂直部材取り付け金具61本体61aの左右両側壁612,612部分には、その前端側下部に位置して、左右両方向に貫通するブレース材連結孔61f,61fが設けられており、例えば図26に示すように、後述する第1のブレース材連結金具63を介して上段側ブレース材4の上端側が連結されるようになっている。
【0090】
また、この実施の形態の場合、上記構成の垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61は、例えば鋳鋼材により一体に成型して構成されるようになっている。
【0091】
このように、上記垂直部材取り付け金具61について、鋳鋼材による一体成型構造を採用すると、当該垂直部材取り付け金具61の製作が容易で、低コストに実現できるようになる。また、鋳鋼材は、それ自体強度が高いので、同鋳鋼材を用いて垂直部材取り付け金具61を一体成型すると、当該垂直部材取り付け金具61が、上記のように、方形箱形の取り付け金具本体61aにより構成され、内部が空洞で、上記H形鋼10の取り付け縁部10aへ嵌合するための嵌合口61b,61bや締結ボルト61cの挿通孔、本体の上下両壁面における吊りボルト挿通孔61e,61e、本体の左右両側壁612,612におけるブレース材連結孔61f,61fなどがあっても、鋼板を板金加工し、溶接することによって形成した場合のような、強度不足、それを解決するための補強部材による補強が不要となる(補強部材を用いたものとして、本件出願人の出願である特願2014−71636の図9の構成を参照)。また、鉄板溶接の場合のような溶接強度のばらつき、製造コストのアップも生じない。
【0092】
この場合、上記対応する補助金具64についても同様の構成であるため、同様にして鋳鋼材により一体成型されたものが使用される。
【0093】
これら各構成における鋳鋼材としては、例えばJIS G5101の炭素鋼鋳鋼品SC360、SC410、SC450、SC480の内、SC450が採用される。この鋳鋼材SC450の場合、引張り強さが450N/mm2、伸び率が19%で、強度および靭性を兼備している。したがって、鋳鉄のような脆さがなく、地震荷重のような衝撃負荷が加わった場合にも十分に耐えることができ、上述のような嵌合口61b、61bを設けた場合にも十分に有効な強度を保持させることができる。
【0094】
(6)水平部材3,3・・とその連結金具62部分の構成について(図1図2図16図20を参照)
上記(1)の天井下地部分についての説明で述べたように、この実施の形態の場合、上記のようにして天井枠1を吊り下げる複数本の垂直部材2,2・・の内の隣り合う垂直部材2,2間には、複数本の水平部材3,3・・が相互に直交するように設けられ、該複数本の水平部材3,3・・によって、その上下方向の略中間部分同士が相互にH形に連結されるようになっている。この場合、同水平部材3,3・・も、上記垂直部材2,2・・を構成する断面方形の金属製の筒体22(図5参照)と同様の金属製の角型の筒体により構成されている。
【0095】
このような構成の場合、上記天井枠1を吊り下げる複数本の垂直部材2,2・・が相互にH形に水平方向に連結されるので、その分だけ水平方向への変形剛性が高められ、さらに図1図2に示すような2段ブレース構造を採用することできるようになるので、水平方向及び垂直方向各々の荷重強度を向上させることができるようになる。
【0096】
そして、それにより天井の上方への深さが深く(H形鋼10の高さが高く)、上記複数本の垂直部材2,2・・の長さが長くなったような場合にも、より横揺れしにくくすることができる。
【0097】
この場合、上記垂直部材2,2・・に対する当該水平部材3,3・・の連結は、それぞれ例えば図16に示すような連結金具62,62・・を用いて図15のようになされる。
【0098】
すなわち、該連結金具62は、例えば図16に示すように、側板62a,62a、底板62bを有する断面U字型の金属部材の底板62b部分の一端側略1/2部分を切り欠いて下方に直角に折り曲げ、上下方向に延びる折り曲げ片(縦壁部)62cを形成した構造のものとなっている。そして、図15に示されるように、その側板62a,62aの前端部分を上記垂直部材2(金属製の筒体22)の両側面部分に、また上記折り曲げ片62c部分を上記垂直部材2(金属製の筒体22)の内側面部分に、それぞれネジ止めして固定するようになっている。
【0099】
そして、その上で上記側板62a,62aの後端部分と底板62bの後端部間に上記角型の金属製筒体である水平部材3の端部が直交状態で嵌装され、同嵌装端部の側面に対して上記側板62a,62aの後端部分がネジ止めされることにより垂直部材2に対して直角に連結固定される。この連結構造は、水平部材3,3・・の他端側でも全く同様であり(図20参照)、同様にして連結固定される。
【0100】
この結果、例えば図1図2図15図20に示されるように、上記複数本の垂直部材2,2・・間に複数本の水平部材3,3・・が確実、かつ強固に連結され、垂直部材2,2・・の水平方向の揺れに対する強度が向上する。
【0101】
(7)ブレース材4,4・・とブレース材4,4・・上下両端側の連結金具部分の構成について(図1図2図17図20図23図24を参照)
上述のように、この発明の実施の形態では、上記水平部材3,3・・で相互にH型に連結補強された複数本の垂直部材2,2・・間には、さらに同水平部材3,3・・により区画された上下2段の各空間部分において、それぞれ対角線方向の斜めに複数本のブレース材4,4・・が配設され、垂直部材2,2・・と水平部材3,3・・、野縁11,11・・との間で直角三角形を形成する2段ブレース構造の一層強固な補強構造体が実現されるようになっている(例えば図1図2の構成を参照)。
【0102】
これら各ブレース材4,4・・は、上段側のもの、下段側のものの何れも上記垂直部材2,2・・と同様の断面方形の金属製の角型の筒体(図5参照)により構成されており、それぞれその上下両端側連結部には平面視U状のブレース材連結金具が設けられ、軸着構造で連結されるようになっているが、上段側ブレース材4,4・・の上端側は何れも上述した垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61のブレース材連結孔61f,61f部分に連結されるようになっているのに対し(図17参照)、下段側のブレース材4,4・・の上端側は、上記垂直部材2の水平部材3連結部の下方に位置して別途取り付けられた専用の連結金具67および補強金具65により形成されたブレース材連結孔部分に連結されるようになっている(図24参照)。
【0103】
7−1)上段側ブレース材4,4・・上端側の取り付け構造について(図17図18図19を参照)
この実施の形態の場合、例えば図17に示されるように、上記上段側ブレース材4の上端には、例えば図18に示すようなブレース材連結用補強金具66が嵌合固定され、該ブレース材連結用補強金具66を用いて後述する第1のブレース材連結金具63Aを強固に連結固定し、同ブレース材連結用補強金具66によりブレース材4側に強固に固定された第1のブレース材連結金具63Aを介して上記垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61に対して上段側ブレース材4の上端側が強固に連結されるようになっている。
【0104】
すなわち、この実施の形態における上記ブレース材連結用補強金具66は、上記図18に示すように、断面逆U字形(コ字形)の金属板の上部側天板66b部分の前後両端側所定幅部分66c,66cの左右を切り欠いて下方に直角に折り曲げ、それによって左右両側の連結金具取り付け板66a,66aの中央板部分とともに、上記上段側ブレース材4の上端部を緊密に嵌合する所定の深さの断面方形の嵌合凹部(内側)66eを形成している。
【0105】
この場合、該嵌合凹部66eの周囲の側壁は、図示のように、連結金具取り付け板66a,66a部分よりも、上記折り曲げ板66c、66c部分の方が所定寸法だけ短く形成されている。
【0106】
そして、それにより上記折り曲げ板66c、66cの両側には、当該折り曲げ板66c、66cとその左右両端側の連結金具取り付け板66a、66aの両端部との間に平面視コの字形状の連結金具嵌装用凹部66f、66fが形成されている。
【0107】
また、同図18の状態において、上記左右両側の連結金具取り付け板66a、66aの中央板部分の下部および上記折り曲げ板66c、66cの下部部分には、それぞれ上記上段側ブレース材4の上端部にビス止めするためのビス孔66g、66g・・が設けられており、上記ブレース材4嵌合用凹部66e部分に上記ブレース材4の上端部が緊密に嵌合された状態において、それぞれ2本ずつのビス66i、66i(図17の一部に見えるものを参照)を用いて強固に締結固定されるようになっている。
【0108】
他方、上記第1のブレース材連結金具63Aは、例えば図19に示されるように、先端側では側壁部に、後端側では上下両縁に、それぞれボルト挿通穴63f,63f、63g,63g、63g,63gが設けられた断面コの字形の左右一対の連結片63a,63aよりなっており、その断面コ字形の後端側両片を上記上部側ブレース材4の上端部に強固に嵌合固定されたブレース材連結用補強金具66の上記連結金具嵌装用凹部66f、66f部分に嵌装し、当該ブレース材4上端部の筒体端部両側面に沿う状態で保持し、同保持状態において、上記ブレース材連結用補強金具66の上記連結金具取り付け板66a、66a両端側のボルト挿通穴66d、66dの位置と上記第1のブレース材連結金具63Aの左右一対の連結片63a,63a上下両縁の上記ボルト挿通穴63g、63gの位置を合わせて上下方向に締結用ボルト63h、63hで相互に重壁構造(連結片63a、63aと連結用補強金具66により)に重合連結することによって、上段側ブレース材4の両側面に平行に連結固定し、それによって、当該上段側ブレース材4の上端側筒体端部(筒体開口部)を閉断面、かつ二重壁構造(上記嵌合用凹部66eの四方壁により)に補強するとともに、第1のブレース材連結金具63Aを強固に連結固定するようにしている。
【0109】
そして、その上で、当該第1のブレース材連結金具63A先端側の側壁部に設けられている上記ボルト挿通穴(連結軸嵌装孔)63f,63fを、上記垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61のブレース材連結孔61f,61fに合わせ、それら相互の穴に例えば図17のように連結軸(連結ボルト)68を挿通したのち、両端側で係止することによって、上記垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)61のブレース材連結孔61f、61f部分に上段側ブレース材4の上端側が強固に連結されている。
【0110】
この場合、上記第1のブレース材連結金具63Aの上記左右一対の連結片63a,63aは、上述のように断面コの字形に形成されていて、その上下両縁および同上下両縁間の縦壁面により水平および垂直両方向の曲げ方向の剛性をアップする機能を有している。したがって、同連結片63a,63a部分自体の強度も十分に高いものとなっている。
【0111】
7−2)上段側ブレース材4,4・・下端側の取り付け構造について(図20図22を参照)
この実施の形態の場合、上記上段側ブレース材4の下端には、例えば図20に示すように、当該ブレース材4の筒体端部両側に嵌め合わされて同筒体端部を補強する平面U状の端部補強部材69(図22)と、該端部補強部材69両側の側板69a,69aを介してブレース材4の端部両側に平行にネジ止めされる断面コ字形の連結片63a,63aよりなる第2のブレース材連結金具63Bが設けられており、該第2のブレース材連結金具63Bを用いて上段側対向部下端の上記垂直部材2と水平部材3の連結部(コーナー部)に設けられているブレース材取り付け金具90のブレース材連結孔92,92部分にブレース材連結軸68を介して連結されるようになっている。
【0112】
この第2のブレース材連結金具63B(図22)の上記連結片63a,63aも、上記連結片63a,63a部分は、それぞれ断面コの字形に形成されていて、上記第1のブレース材連結金具63Aの場合と同様に水平および垂直両方向の曲げ剛性をアップする機能を有しているとともに、それら連結片63a,63aの側壁部(縦壁面)先端側部分には、上記のように垂直部材2と水平部材3との連結部において、垂直部材2側に設けたブレース材取り付け金具90両側のブレース材取り付け片91a,91aのブレース材連結孔92,92(図21参照)に連結軸68を介して連結するための連結軸嵌装孔63f,63fが設けられている。
【0113】
垂直部材2側の上記ブレース材取り付け金具90は、例えば図21に示すように、断面U字状の金属板の底部側フラット面91bの手前側所定幅部分のみを残して他の部分を切除し、それによって前後両側のブレース材取り付け片91a,91a間に、上記上下方向に延びる垂直部材2への嵌合空間91cを形成している。そして、その中央部分を上記上下方向に延びる垂直部材2に側方側(嵌合空間91c側)から水平方向に嵌合し、その前後両側のブレース材取り付け片91a,91aの中央部分を同垂直部材2の前後両壁面に、また上記所定幅の底部91b部分を右側水平部材3の上部面に、それぞれビス95,95・・で締結することによって、図20に示すように強固に固定されている。そのために、上記ブレース材取り付け片91a,91aおよび底部91bには、それぞれ4組および1組のビス穴93,93・・が設けられている。
【0114】
そして、前後両側のブレース材取り付け片91a,91aの前後両端側には、上述したブレース材連結孔92,92が左右両方向に貫通して設けられている。
【0115】
ただ、そのままだと、連結後に荷重が集中する上記左右両側のブレース材取り付け片91a,91aの左右両端側の上記ブレース材連結孔92,92部分の支持強度が不足する。そこで、同部分の内側には、例えば図23に示すような、上記ブレース材連結孔92,92と同軸に対応する補強スリーブ65dを備えた補強金具65が介装されている。
【0116】
この補強金具65は、図23から明らかなように、平面視コの字型の金属部材の左右両片65a,65a部分に、上述した左右両側のブレース材取り付け片66a,66aのブレース材連結孔66d,66dに同軸に対応する上記連結軸嵌装孔65e,65eを設け、それらの内側をパイプ状の補強スリーブ65dで支持連結することによって圧縮方向の荷重強度を高めた構成のものとなっている。
【0117】
そして、ビス穴65f,65fを有する背面部分65cを、上記垂直部材2の対応する左右両側壁面に対してビスで締結することによって、図20のように確実かつ強固に締結固定されている。
【0118】
これによって、上記垂直部材2の前後両側のブレース材取り付け片91a,91aのブレース材連結孔92,92部分が有効に補強され、連結軸68を介して上記上段側ブレース材4の下端側が垂直部材2と水平部材3が直交する左右両コーナー部に対して、確実かつ強固に連結固定される。
【0119】
この結果、上記のように水平部材3,3・・によって上下方向の中間部分を相互に連結された複数本の垂直部材2,2・・の上段側部分が当該複数本のブレース材4,4・・によって斜めに連結補強され、垂直方向の強度に加えて水平方向に大きく補強されることになる。
【0120】
7−3)下段側ブレース材4,4・・上端の取り付け構造について(図24を参照)
この実施の形態の場合、例えば図24の構成から明らかなように、下段側ブレース材4,4・・の上端に取り付けられるブレース材連結金具には、上記上段側ブレース材4の下端側に取り付けられる第2のブレース材連結金具63Bが採用されており、ほぼ同様にして垂直部材2側のブレース材取り付け金具67に連結される。
【0121】
ただ、図24の垂直部材2部分では、反対側にはブレース材4が設けられていないために、垂直部材2に設けられるブレース材取り付け金具67は、図示のように、全体としてU状の構造に形成され、その左右両片67a,67a部分を垂直部材2の両側面にビスで締結し、内側に長く延設された左右両片67a,67a間に上記と同様の補強金具65を介装して構成されている。そして、上記同様の構造の連結軸68により同様にして連結されている。
【0122】
7−4)下段側ブレース材4,4・・下端の取り付け構造について(図25を参照)
この実施の形態の場合、例えば図25の構成から明らかなように、下段側ブレース材4,4・・の下端に取り付けられるブレース材連結金具には、上記上段側ブレース材4の上端側に取り付けられる第1のブレース材連結金具63Aや上段側ブレース材4の下端側および下段側ブレース材4の上端側に取り付けられる第2のブレース材連結金具63Bの何れとも異なり、次のような第3のブレース材連結金具63Cを用いて、野縁11の側壁面にビスで直接取り付ける連結構造を採用している。
【0123】
すなわち、この第3のブレース材連結金具63Cは、例えば図25に示すように、平行な左右一対の連結片63a,63aを有する点では同じであるが、この左右一対の連結片63a,63aは、その基端側断面コの字形部分を上記下段側ブレース材4の下端部にビス止めして固定し、その先端側の相互に連結されていない平行な左右一対の連結片63a,63a部分を下部側野縁11の左右両側壁面に対して直接ビス止めすることによって連結固定している。
【0124】
このような構成によれば、相互に直交する野縁受け12と野縁11の当該直交部分に垂直部材2の吊りボルト21の下端側が上下に貫通されて上下方向に強固に連結一体化され、それによって強度が大きく向上した野縁11部分に対して、下段側ブレース材4の下端側が確実かつ強固に連結される。
【0125】
この結果、上記のように水平部材3,3・・によって上下方向の中間部分を相互に連結された複数本の垂直部材2,2・・の下段側部分が当該複数本のブレース材4,4・・によって斜めに連結補強され、垂直方向の荷重強度(引張および圧縮)に加えて水平方向にも大きく補強されることになる。
【0126】
(8)隣り合うブレース材4、4相互の配設方向と垂直部材取り付け金具61および補助金具64等との関係について(図1図2図26図27
上述のようにして、上段側、下段側の各ブレース材配設空間内に斜め対角線方向に配設されるブレース材4、4は、例えば共に同じ方向に配設することもできるが、この実施の形態の場合には、図1および図2に示されるように、垂直部材2を中央にして相互にV字形の構造体を形成するように配設されている。
【0127】
このような構造によると、左右何れの方向から横揺れによる加振力が作用したとしても、当該各ブレース材4、4が圧縮方向に有効な対荷重強度を発揮し、効果的に垂直部材2、2間の変形を阻止するようになる。
【0128】
そして、この場合、例えば図1図2における右側の上段側ブレース材4の上端側第1のブレース材連結金具63Aは、例えば図26図27に示されるように、上述した図17に示す場合とは逆の方向の嵌合口61b側に連結されることになる。
【0129】
また、第2のブレース材連結金具63Bや第3のブレース材連結金具63Cの連結部も左右が逆になる。しかし、構造的には全く同様である。
【0130】
なお、図1図2の構成では、各垂直部材取り付け金具61,61・・を何れもH形鋼10の取り付け縁部10aの右側に揃えて取り付けるようにしているが、これは同垂直部材取り付け金具61,61・・と補助金具64の位置関係を逆にし、左右で相互に対向方向に嵌合させるようにしてもかまわない。
(変形例)
なお、上記実施の形態における垂直部材取り付け金具61,61・・は、上述したような鋳鋼部材による一体成型構造に限らず、例えば鋼板を同様の形状に板金加工し、溶接した構成のものでも構わない。
【0131】
そのような板金加工構造の場合にも、鋳鋼成型の場合と同様に、上記補強板61gの存在は有益な補強効果、締結力向上効果を発揮する。
【符号の説明】
【0132】
1は、天井枠
2は、垂直部材
3は、水平部材
4は、ブレース材
10は、H形鋼
10aは、水平方向の取り付け縁部
21は、吊りボルト
22は、金属製の筒体
51は、カップ状の補強金具
61は、垂直部材取り付け金具(吊りボルト取り付け金具)
61aは、取り付け金具本体
61bは、嵌合口
61cは、締結ボルト
61dは、押さえ板
61eは、吊りボルト挿通孔
61fは、ブレース材連結孔
61gは、補強板
63Aは、第1のブレース材連結金具
63Bは、第2のブレース材連結金具
63Cは、第3のブレース材連結金具
64は、補助金具
64eは、吊りボルト挿通孔
66は、連結用補強金具
図1
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