特許第6581817号(P6581817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアールジータカミヤ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000002
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000003
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000004
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000005
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000006
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000007
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000008
  • 特許6581817-仮設足場用幅木の取付具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581817
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】仮設足場用幅木の取付具
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   E04G5/00 301A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-127459(P2015-127459)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-8657(P2017-8657A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 章好
(72)【発明者】
【氏名】星野 克之
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−135440(JP,U)
【文献】 米国特許第05269394(US,A)
【文献】 特開2011−099259(JP,A)
【文献】 特開2010−242404(JP,A)
【文献】 特開昭54−075125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築される仮設足場に、前記作業布板に沿って配設される幅木を取り付けるための取付具であって、
前記幅木の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されている第1及び第2挟み部材を有し、これらの第1及び第2挟み部材の間に前記幅木が配置されて挟まれることにより、この幅木が前記仮設足場に取り付けられ
前記第1及び第2挟み部材のうち、第2挟み部材は、前記第1挟み部材に対して、この第1挟み部材とで前記幅木を挟む位置から移動可能となっており、前記第2挟み部材が、前記第1挟み部材とで前記幅木を挟む位置からずれた位置に移動することにより、前記幅木は前記第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置可能となっており、
前記第1挟み部材には、前記幅木を貫通するピン部材が設けられ、前記第2挟み部材には、この第2挟み部材が前記第1挟み部材とで前記幅木を挟む位置に達したときに前記ピン部材が挿入される凹部が設けられており、前記第2挟み部材には、この凹部が前記ピン部材から外れて前記第2挟み部材が前記第1挟み部材とで前記幅木を挟む位置からずれることを防止するためのロック手段が設けられていることを特徴とする仮設足場用幅木の取付具。
【請求項2】
請求項1に記載の仮設足場用幅木の取付具において、前記ロック手段は、前記ピン部材が挿入されている前記凹部の開口部を塞ぐための塞ぎ部材を有していることを特徴とする仮設足場用幅木の取付具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮設足場用幅木の取付具において、前記第1挟み部材に対して前記第2挟み部材は、前記第1挟み部材に水平に設けられた支点軸を中心に回動可能となっており、この回動により、前記第2挟み部材は、前記第1挟み部材とで前記幅木を挟む位置からずれた位置に移動し、前記支点軸を中心に前記第2挟み部材が上側へ回動することにより、前記幅木は前記第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置可能となることを特徴とする仮設足場用幅木の取付具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の仮設足場用幅木の取付具において、前記第1挟み部材は、平面視で90度の屈曲角度の形状を有しており、この第1挟み部材に対して前記第2挟み部材が、平面視で90度の角度をなして2個配設されていることを特徴とする仮設足場用幅木の取付具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の仮設足場用幅木の取付具において、前記仮設足場は、支柱を含んで構成されており、この支柱に結合されることを特徴とする仮設足場用幅木の取付具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築や土木等の作業現場で作業布板が用いられて構築される仮設足場に、作業布板に沿って配置される幅木を取り付けるための取付具に係り、例えば、支柱が用いられて構築される仮設足場に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築される仮設足場において、作業布板に沿って配設される幅木を仮設足場に取り付けるための技術が示されている。この技術では、幅木にスライドロック金具を上下方向にスライド可能に設け、このスライドロック金具の下端のロック片を作業布板の下面に係止することにより、幅木が作業布板に結合されて仮設足場に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−227402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、幅木に上下方向にスライド可能に設けられたスライドロック金具の下端のロック片を作業布板の下面に係止することにより、幅木を仮設足場に取り付ける構造では、幅木にスライドロック金具を上下方向にスライド可能に設けなければならないため、幅木の構造が複雑になるとともに、仮設足場への幅木の取り付けのために手間がかかることになる。
【0005】
本発明の目的は、幅木の構造が複雑にならず、また、この幅木を仮設足場に簡単に取り付けることができるようになる仮設足場用幅木の取付具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る仮設足場用幅木の取付具は、作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築される仮設足場に、前記作業布板に沿って配設される幅木を取り付けるための取付具であって、前記幅木の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されている第1及び第2挟み部材を有し、これらの第1及び第2挟み部材の間に前記幅木が配置されて挟まれることにより、この幅木が前記仮設足場に取り付けられることを特徴とするものである。
【0007】
この仮設足場用幅木の取付具は、幅木の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されている第1及び第2挟み部材を有しており、これらの第1及び第2挟み部材の間に幅木が配置されて挟まれることにより、この幅木が仮設足場に取り付けられるため、幅木の構造は複雑にならず、また、この幅木を仮設足場に簡単に取り付けることができるようになる。
【0008】
以上の本発明において、幅木の厚さ幅方向の間隔をあけて並設配置される第1及び第2挟み部材は、固定的に並設配置されているものとしてもよいが、第1及び第2挟み部材のうち、第2挟み部材を、第1挟み部材に対して、この第1挟み部材とで幅木を挟む位置から移動可能とし、第2挟み部材を第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれた位置に移動させることにより、幅木を第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置可能とすることが好ましい。
【0009】
これによると、幅木を第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置する作業を、第2挟み部材を第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれた位置に移動させた後に行うことができるため、この作業を、第2挟み部材が邪魔にならずに容易に行えるようになる。
【0010】
なお、このように第2挟み部材を、第1挟み部材に対して、この第1挟み部材とで幅木を挟む位置から移動可能とするためには、例えば、第1挟み部材に対して第2挟み部材を、第1挟み部材に水平に設けられた支点軸を中心に回動可能とし、この回動により、第2挟み部材を、第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれた位置に移動可能とし、支点軸を中心に第2挟み部材を上側へ回動させることにより、幅木を第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置できるようにしてもよく、あるいは、第1挟み部材に対して第2挟み部材を上下動可能とし、第1挟み部材に対して第2挟み部材を上動させることにより、第2挟み部材を、第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれた位置に移動させ、これにより、幅木を第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置できるようにしてもよい。
【0011】
また、以上のように第2挟み部材を、第1挟み部材に対して、この第1挟み部材とで幅木を挟む位置から移動可能とし、第2挟み部材を第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれた位置に配置することにより、幅木を第1及び第2挟み部材により挟まれる箇所に配置できるようにする場合には、第1挟み部材に、幅木を貫通するピン部材を設けるとともに、第2挟み部材には、この第2挟み部材が第1挟み部材とで幅木を挟む位置に達したときにピン部材が挿入される凹部を設け、また、第2挟み部材には、この凹部がピン部材から外れて第2挟み部材が第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれることを防止するためのロック手段を設けてもよい。
【0012】
これによると、凹部がピン部材から外れて第2挟み部材が第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれることをロック手段により防止でき、このため、幅木が、第1及び第2挟み部材の間に配置されてこれらの挟み部材に挟まれることにより仮設足場に取り付けられることを一層確実に実現できることになる。
【0013】
なお、ロック手段は、凹部がピン部材から外れて第2挟み部材が第1挟み部材とで幅木を挟む位置からずれることを防止できるものであれば、任意の構成、形態のものでよく、その一例のロック手段は、ピン部材が挿入されている凹部の開口部を塞ぐための塞ぎ部材を有するものである。
【0014】
また、本発明に係る仮設足場用幅木の取付具は、1個の幅木を仮設足場に取り付けるためのものでもよく、あるいは、平面視で直角をなして2個配設される幅木を仮設足場に取り付けるためのものでもよい。
【0015】
本発明に係る仮設足場用幅木の取付具を後者のものとする場合には、第1挟み部材を、平面視で90度の屈曲角度の形状を有するものとし、この第1挟み部材に対して第2挟み部材を、平面視で90度の角度をなして2個配設する。これにより、平面視で直角をなして2個配設される幅木のそれぞれを、第1及び第2挟み部材の間に配置してこれらの挟み部材により挟むことができる。
【0016】
なお、2個の幅木が平面視で直角をなすところは、前述の作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部のところであり、本発明に係る仮設足場用幅木の取付具が適用されるコーナー部は、内コーナー部でもよく、外コーナー部でもよい。
【0017】
以上説明した本発明に係る仮設足場用幅木の取付具は、任意の部材を用いて構築される仮設足場に適用することができ、この部材は支柱でもよく、建枠でもよい。
【0018】
本発明に係る仮設足場用幅木の取付具が適用される仮設足場が支柱を含んで構成されるものになっている場合には、支柱にこの取付具を結合することにより、本発明に係る仮設足場用幅木の取付具を仮設足場に取り付けることができる。
【0019】
また、本発明に係る仮設足場用幅木の取付具は、作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築され、作業布板に沿って幅木が配設される仮設足場であれば、任意の作業現場で構築される仮設足場に適用することができ、この作業現場は、例えば、建築の作業現場でもよく、土木の作業現場でもよく、解体の作業現場でもよく、塗装の作業現場でもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、幅木の構造が複雑にならず、また、この幅木を仮設足場に簡単に取り付けることができるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る取付具が適用されている仮設足場の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1の一部の拡大図であって、作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所の内コーナー部の箇所に配設されている取付具を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示されている取付具を示す平面図である。
図4図4は、図3のS4矢視図である。
図5図5は、図3のS5矢視図である。
図6図6は、幅木を第1及び第2挟み部材の間に配置するために、図4で示されている第2挟み部材を第1挟み部材に対して支点軸を中心に上側へ回動させたときを示す図4と同様の図である。
図7図7は、第2挟み部材を第1挟み部材に対して支点軸を中心に下側へ回動させたときを示す図4と同様の図である。
図8図8は、図1に示されている作業者歩行通路の曲がり箇所の外コーナー部の箇所に配設されている取付具を作業者歩行通路側から見た示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、建築等の作業現場で構築されている仮設足場の一部が示されており、作業対象物の外周に構築されたこの仮設足場は、複数本の支柱1と、これらの支柱1ごとに支柱1の下端に配置され、それぞれの支柱1の高さを調整するためのジャッキベース2と、作業者が乗って作業するための作業布板3とを含んでいる。それぞれ支柱1の外周面には、継手部材となっている複数個のフランジ4が上下方向に等間隔で結合されており、また、それぞれの支柱1の上端には、図示しない継ぎ足し用支柱の下端が図示しない連結パイプを介して連結され、これらの継ぎ足し用支柱により仮設足場の大きな高さ寸法が確保される。
【0023】
作業布板3は、複数個の作業布板3が長さ方向や幅方向に並設されることにより作業者歩行通路5を形成するものであり、図1で示されている作業者歩行通路5は、平面視で直角に屈曲した曲がり箇所5Aを有するものになっており、前述の複数本の支柱1のうちには、曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aと、曲がり箇所5Aの外コーナー部に立設された支柱1Bとがある。
【0024】
図1に示されている作業布板3には、幅寸法が大きい作業布板3Aと、幅寸法が小さい作業布板3Bとがあり、これらの作業布板3A,3Bの長さ方向の両端部には、作業布板3A,3Bごとに2個のフック部材6が設けられている。これらのフック部材6は、複数本の支柱1のうち、作業布板3A,3Bの幅方向両側に立設されている2本の支柱1のフランジ4に架け渡されている横架材7に係止され、これにより、それぞれの作業布板3A,3Bは、仮設足場に水平に配置されている。
【0025】
また、仮設足場には、作業布板3よりも上側において、作業布板3に沿って配設された幅木50が取り付けられており、作業布板3の幅方向の端部や長さ方向の端部に、言い換えると、作業者歩行通路5の幅方向の端部に配設された幅木50により、作業者歩行通路5の上に落ちた工具等が、作業者歩行通路5から落下することが防止されるようになっている。
【0026】
図2は、図1で示されている作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aの箇所を拡大して示しており、この図2には、横架材7の端部をフランジ4に連結するためのクサビ部材8が示されている。また、図2には、曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aに取り付けられた本実施形態の取付具10も示されており、この取付具10は、支柱1Aに結合されたクランプ11と、このクランプ11に板状の連結部材12によって連結されている取付具本体13とからなる。
【0027】
図3は、本実施形態の取付具10の平面図であり、図4及び図5は、図3のS4矢視図及びS5矢視図である。図3に示されているように、クランプ11は、仮設足場に用いられる通常のクランプと同じであり、このため、クランプ11は、ピン20により互いの一方の端部同士が回動自在に連結された第1及び第2挟着部材21,22と、第1挟着部材21の他方の端部にピン23により基端部が回動自在に連結され、ナット24が螺合されているねじ棒25とからなる。支柱1Aの外周に第1及び第2挟着部材21,22を嵌合配置した後に、ねじ棒25を第2挟着部材22の他方の端部に形成されている図5の凹部22Aに嵌合し、第2挟着部材22のこの端部に当接させたナット24を締め付けることにより、第1及び第2挟着部材21,22は支柱1Aの外周を挟着し、これにより、クランプ11は支柱1Aに結合されて、本実施形態に係る取付具10は、支柱1Aを含んで構築されている仮設足場に取り付けられることになる。
【0028】
クランプ11と取付具本体13とを連結する連結部材12は、板材の折り曲げ品であり、本実施形態では、図3図5で分かるように、クランプ11の第1挟着部材21に溶接等で結合した短寸のねじ棒26を連結部材12に形成した孔に挿入し、ねじ棒26に螺合したナット27を締め付けることにより、連結部材12の上部が第1挟着部材21に結合されており、また、連結部材12の下部は取付具本体13に溶接等で結合されており、これにより、クランプ11の下側に配置された取付具本体13は、連結部材12を介してクランプ11に連結されている。
【0029】
取付具本体13は、図3図5に示されているように、1個の第1挟み部材31と2個の第2挟み部材32とを有するものになっている。第1挟み部材31は、図3から分かるように、一枚の板材を、中間部31Aを設けて平面視で90度の屈曲角度の形状を有するものに折り曲げ成形したものであり、中間部31Aの両側は、平面視で90度をなす第1面部31Bと第2面部31Cになっている。この取付具本体13は、図1で示した作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に配設されるものであるため、90度の屈曲角度は、作業者歩行通路5の外側に向いた角度になっている。第1面部31Bと第2面部31Cのそれぞれには、作業者歩行通路5の内側において、第2挟み部材32がこれらの面部31B,31Cとの間隔をあけて対面配設されており、これにより、取付具本体13の第1挟み部材31と第2挟み部材31は、図4及び図5に示されているように、前述の作業布板3に沿って配設される幅木50の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されているとともに、2個の第2挟み部材32が、平面視で90度の角度をなして第1挟み部材31に配設されている。
【0030】
図4及び図5のうち、図4には、2個の第2挟み部材32のうち、第1挟み部材31の第1面部31Bと対面配設されている一方の第2挟み部材32が示されており、図5には、第1挟み部材31の第2面部31Cと対面配設されている他方の第2挟み部材32が示されている。これらの第2挟み部材32の第1及び第2面部31B,31Cへの取付構造は同じであり、また、これらの第2挟み部材32の形状や構造等も同じであるため、以下では、図4に示されている第1挟み部材31の第1面部31Bと対面配設されている第2挟み部材32について説明する。
【0031】
略縦長形状を有している第2挟み部材32は、第1挟み部材31に水平に設けられた軸となっていて、第2挟み部材32の上部を貫通した軸となっている支点軸33を中心に、第1挟み部材31に対して上下に回動自在となっている。本実施形態では、この支点軸33は、図4及び図5から分かるように、ボルト頭部34Aから作業者歩行通路5の内側へ延びているボルト軸部34Bであり、このボルト軸部34Bは、第1及び第2挟み部材31,32に形成されている孔に挿通され、第2挟み部材32から突出したボルト軸部34Bの先端にナット35が螺合されている。そして、第1挟み部材31と第2挟み部材32との間に適切な間隔をあけるために、言い換えると、第1挟み部材31と第2挟み部材32との間に、図1図4及び図5で示されている幅木50を配置できる大きさの間隔をあけるために、これらの挟み部材31,32の間において、ボルト軸部34Bの外周に筒状のスペース部材36が嵌合されている。
【0032】
このため、第2挟み部材32は、支点軸33を中心に第1挟み部材31に対して、スペース部材36による所定間隔を維持しながら上下回動自在となっている。
【0033】
図4及び図5に示されているように、第1挟み部材31には、支点軸33よりも下側において、ピン部材37の基部が結合されており、このピン部材37は、第1挟み部材31から水平に作業者歩行通路5の内側に延出している。第2挟み部材32には、ピン部材37と対応する位置において、凹部38が形成されており、第2挟み部材32の左右両側面のうち、一方の側面から他方の側面に向かって延びる深さを有しているこの凹部38は、支点軸33を中心とする円弧状となっている。このため、第2挟み部材32が、支点軸33を中心に第2挟み部材32自身の重量により最下位の回動位置に達しているときには、ピン部材37は凹部38の内部に挿入されている。そして、本実施形態では、ピン部材37の先端部は、ピン部材本体よりも直径が大きい頭部37Aとなっている。
【0034】
第2挟み部材32には、略縦長形状となっている塞ぎ部材39が配置されており、この塞ぎ部材39には、塞ぎ部材39の長さ方向に長くなっている長孔39Aが形成されており、この長孔39Aに、第2挟み部材32に結合されている2個のガイドピン40,41が挿入されている。この塞ぎ部材39は、ガイドピン40,41の案内作用により、第2挟み部材32に対して上下方向又は略上下方向に移動自在となっており、第2挟み部材32が支点軸33を中心に第2挟み部材32自身の重量により最下位の回動位置に達している通常時においては、塞ぎ部材39は、塞ぎ部材39自身の重量により、ガイドピン40,41で規定される最下位置まで下降している。
【0035】
このように塞ぎ部材39が塞ぎ部材39自身の重量により最下位置まで下降しているときには、図4に示されているように、第2挟み部材32に形成されていて、ピン部材37が挿入されている凹部38の開口部が塞ぎ部材39により塞がれることになる。このため、第2挟み部材32が支点軸33を中心に上側へ回動して凹部38がピン部材37から外れることは、塞ぎ部材39により阻止されることになる。
【0036】
図1で示されているように、前述の作業布板3の長さ方向や幅方向の長さを有している幅木50は、図4及び図5の二点鎖線で示されているように、作業者歩行通路5の幅方向、言い換えると、作業布板3の長さ方向や幅方向に凹凸となっている凹部と凸部が上下方向に連設されたものになっており、このような幅木50は、例えば、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形又は引き抜き成形により形成されている。また、幅木50には、本実施形態の取付具10の配置箇所と対応する長さ方向の端部には、図4及び図5に示されている孔50Aが形成されている。
【0037】
次に、本実施形態の取付具10により幅木50を仮設足場に取り付けるための作業について説明する。
【0038】
本実施形態の取付具10を、支柱1Aにクランプ11により取り付けた後に、凹部38の開口部を塞いでいる塞ぎ部材39をガイドピン40,41に案内させて上側へ移動させ、これにより、凹部38の開口部を開放し、次いで、図6に示されているように、第2挟み部材32を支点軸33を中心に上側へ回動させて、凹部38をピン部材37から外す。この後に、幅木50の長さ方向の端部に形成されている孔50Aに、取付具本体13の第1挟み部材31に結合されているピン部材37を挿入、貫通させることにより、幅木50をこの第1挟み部材31よりも作業者歩行通路5の内側に配置し、次いで、第2挟み部材32を支点軸33を中心に下側へ回動させ、これにより、図7に示されているように、幅木50の長さ方向の端部を第1挟み部材31と第2挟み部材32により挟む。
【0039】
これにより、幅木50の長さ方向の端部は、本実施形態の取付具10に幅木50の厚さ方向の間隔をあけて配設されている第1挟み部材31と第2挟み部材32との間に配置されることになり、これらの挟み部材31,32により幅木50の長さ方向の端部が挟まれることにより、この幅木50は、本実施形態の取付具10により仮設足場に取り付けられる。
【0040】
そして、このように幅木50の長さ方向の端部が、第1挟み部材31と第2挟み部材32との間に配置されてこれらの挟み部材31,32により挟まれたときには、図7に示されているように、第2挟み部材32は支点軸33を中心とする回動方向の最下位置に達しているため、第2挟み部材32の凹部38には、第1挟み部材31に結合されているピン部材37が挿入されているとともに、第2挟み部材32にガイドピン40,41で案内されて移動自在に配置されている塞ぎ部材39は、塞ぎ部材39自身の重量により下降し、これにより、凹部38の開口部が塞ぎ部材39により塞がれている。
【0041】
このため、第2挟み部材32が支点軸33を中心に上側へ回動することで凹部38がピン部材37から外れて、第2挟み部材32が第1挟み部材31とで幅木50の長さ方向の端部を挟む位置からずれることを防止することができる。そして、このような防止は、塞ぎ部材39や、この塞ぎ部材39の移動を案内するガイドピン40,41により達成されているため、これらの塞ぎ部材39やガイドピン40,41により、凹部38がピン部材37から外れて第2挟み部材32が第1挟み部材31とで幅木50の長さ方向の端部を挟む位置からずれることを防止するためのロック手段42が構成されていることになる。
【0042】
上述したように第2挟み部材32を支点軸33を中心に上側へ回動させた後に、支点軸33を中心に下側へ回動させることにより、幅木50の長さ方向の端部を、第1挟み部材31と第2挟み部材32との間に配置してこれらの挟み部材31,32により挟むための作業は、第1挟み部材31の前述した第1面部31Bと第2面部31Cとに対面配設されている2個の第2挟み部材32のそれぞれについて行われ、これにより、図1で示されているように、本実施形態の取付具10の両側に平面視で直角をなして配置される2個の幅木50のそれぞれの長さ方向の一方の端部が、本実施形態に係る取付具10により仮設足場に取り付けられる。
【0043】
なお、本実施形態では、それぞれの幅木50の長さ方向の他方の端部や、幅木50の長さ方向の途中部は、図1に示されているように、支柱1と、この支柱1に結合されたクランプ11に設けられている下向きの延出部材43との間に配置され、これらの支柱1と延出部材43とに挟まれて仮設足場に取り付けられる。
【0044】
また、それぞれの幅木50を、作業者歩行通路5を形成している作業布板3の幅方向の端部や長さ方向の端部の上に載せることにより、あるいは、前述した横架材7の上に載せることにより、幅木50の重量を仮設足場で支持するようにしてもよい。
【0045】
以上説明した本実施形態によると、取付具10は、幅木50の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されている第1及び第2挟み部材31,32を有しており、これらの第1及び第2挟み部材31,32の間に幅木50が配置されて挟まれることにより、幅木50が仮設足場に取り付けられるため、幅木50の構造は複雑にならず、また、この幅木50を仮設足場に簡単に取り付けることができる。
【0046】
また、本実施形態では、幅木50の厚さ方向の間隔をあけて並設配置されている第1及び第2挟み部材31,32は、固定的に並設配置されておらず、第2挟み部材32を、第1挟み部材31に対して、この第1挟み部材31とで幅木を挟む位置から移動可能、具体的には、第1挟み部材31に対して第2挟み部材32を、第1挟み部材31に水平に設けられた支点軸33を中心に上側へ回動可能とし、この回動により、第2挟み部材32を、第1挟み部材31とで幅木50を挟む位置からずれた位置に移動可能とし、支点軸33を中心に第2挟み部材32を上側へ回動させることにより、幅木50を第1及び第2挟み部材31,32により挟まれる箇所に配置可能としているため、幅木50を第1及び第2挟み部材31,32により挟まれる箇所に配置するための作業を、第2挟み部材32が邪魔にならずに容易に行えるようになる。
【0047】
さらに、第1挟み部材31には、幅木50を貫通するピン部材37が設けられ、第2挟み部材32には、この第2挟み部材32を支点軸33を中心に下側へ回動させて、第2挟み部材32が第1挟み部材31とで幅木50を挟む位置に達したときにピン部材37が挿入される凹部38が設けられ、また、第2挟み部材32には、この凹部38がピン部材37から外れて第2挟み部材32が第1挟み部材31とで幅木50を挟む位置からずれることを防止するためのロック手段42が設けられているため、第2挟み部材32が支点軸33を中心に上側へ回動し、凹部38がピン部材37から外れて第2挟み部材32が第1挟み部材31とで幅木50を挟む位置からずれることを、塞ぎ部材39等により構成されているこのロック手段42により防止でき、これにより、幅木50が、第1及び第2挟み部材31,32の間に配置されてこれらの挟み部材31,32に挟まれることにより仮設足場に取り付けられることを一層確実に実現できる。
【0048】
また、本実施形態に係る取付具の構成要素となっている第1挟み部材31は、平面視で90度の屈曲角度の形状を有するものとなっており、この第1挟み部材31に対して第2挟み部材32が、平面視で90度の角度をなして2個配設されているため、平面視で直角をなして2個配設される幅木50のそれぞれを、第1及び第2挟み部材31,32の間に配置してこれらの挟み部材により挟むことができ、これにより、本実施形態に係る取付具10を、作業布板により形成される作業者歩行通路5の曲がり箇所のコーナー部に適用できる。
【0049】
以上説明した取付具10は、図1で示されている作業者歩行通路5の曲がり箇所の内コーナー部に配置されるものであったが、図8は、作業者歩行通路5の曲がり箇所の外コーナー部に配置される取付具10’を、作業者歩行通路5側から見た斜視図である。図1で示されている支柱1のうち、作業者歩行通路5の曲がり箇所の外コーナー部に立設されている支柱1Bに結合されるこの取付具10’の取付具本体13も、平面視で90度の屈曲角度の形状を有する第1挟み部材31と、この第1挟み部材31に対して平面視で90度の角度をなして2個配設されている第2挟み部材32とを含んで構成されているが、この取付具10’の取付具本体13における第1挟み部材31の平面視で90度の屈曲角度は、作業者歩行通路5の内側に向いた角度となっている。
【0050】
このように本発明は、作業者歩行通路5の曲がり箇所の外コーナー部に配置される取付具10’についても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、建築や土木等の作業現場で作業布板が用いられて構築される仮設足場に、作業布板に沿って配置される幅木を取り付けるために利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B 支柱
3,3A,3B 作業布板
10,10’ 取付具
13 取付具本体
31 第1挟み部材
31B 第1面部
31C 第2面部
32 第2挟み部材
33 支点軸
37 ピン部材
38 凹部
39 塞ぎ部材
42 ロック手段
50 幅木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8