特許第6581837号(P6581837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581837
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】二重管の液漏れ対応構造とその施工方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/16 20060101AFI20190912BHJP
   F16L 39/04 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   F16L55/16
   F16L39/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-154121(P2015-154121)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-32098(P2017-32098A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(72)【発明者】
【氏名】坂本 悠史
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−129996(JP,A)
【文献】 特開2002−295771(JP,A)
【文献】 特開2014−070664(JP,A)
【文献】 実開昭63−201285(JP,U)
【文献】 実開平04−032388(JP,U)
【文献】 特開平08−136387(JP,A)
【文献】 実開平02−069197(JP,U)
【文献】 特開平11−125390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/16
F16L 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管の外側に外管を配置した二重管の途中に設けられる液漏れ対応構造であって、

容器本体と、

前記容器本体に設けられ、前記容器本体の内部の液体を目視可能な液溜め部と、

前記容器本体の両端部にそれぞれ接続された外フレキシブル管と、

前記容器本体内に収容された内フレキシブル管と、

前記内フレキシブル管を前記容器本体内に収容するための容器本体の蓋と、

を備え、
前記容器本体の両側面の前記外フレキシブル管に、前記容器本体の両端で、前記二重管の外管が接続され、前記外フレキシブル管の内部を通じて、前記容器本体内に前記二重管の内管が挿入されており、

前記容器本体の内側の前記内フレキシブル管の両端に、前記容器本体の内側において、前記二重管の内管が前記内フレキシブル管を介して接続されており、

前記容器本体の蓋が前記容器本体に取り付けられており、
前記容器本体の内部の液体を目視可能に構成され、かつ前記二重管の熱収縮を吸収可能に構成されていることを特徴とする、二重管の液漏れ対応構造。
【請求項2】
内管の外側に外管を配置した二重管の途中に液漏れ対応構造を施工する方法であって、
二重管の外管に外フレキシブル管を接続し、

この外フレキシブル管を、内部の液体を目視可能な液溜め部が取り付けられる容器本体の一方の側面に接続して、この外フレキシブル管の内部を通じて前記容器本体内に二重管の内管を挿入し、
前記容器本体の他方の側面に外フレキシブル管を接続し、
前記容器本体の他方の側面に接続したこの外フレキシブル管に二重管の外管を接続して、この外フレキシブル管の内部を通じて前記容器本体内に二重管の内管を挿入し、

前記容器本体の内部で、前記内フレキシブル管の両端に、一方の側面から挿入された内管と他方の側面から挿入された内管とをそれぞれ接続し、
前記容器本体の蓋を前記容器本体に取り付けることを特徴とする、二重管の液漏れ対応構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内管の外側に外管を配置した二重管に設けられる液漏れ対応構造とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば化学工場や薬品工場において、環境保全、安全対策などを考慮して、有害液体や原料液、廃液、放射能汚染水など人や生物の体に有害な液体を安全に搬送するための配管に二重管が使用されている。かかる二重管は、内管(実管)の外側にスペーサ―で所定の隙間を設けて外管(保護管)を配置した二重構造であり、内管から液漏れが発生しても、外管により外部への流出を防ぐことができる。また、外管により外部からの衝撃に対して内管を保護することができる。かかる二重管の外管には例えば鋼管などが用いられており、内管には塩ビなどの樹脂管が用いられている。
【0003】
ところで、季節による外気温の変動等の熱の影響で二重管の内管と外管はそれぞれ伸縮する。このため、内管と外管の熱膨張率の違いにより、何も対策を講じないと伸縮によって外管と内管に互いに熱応力が発生し、管内衝突などにより配管が破損する恐れがある。二重管の内管と外管に用いられる材料の熱膨張率が大きく異なる場合にはその伸縮の差も大きくなり、破損によって液漏れを生ずることも考えられる。
【0004】
ここで特許文献1には、二重管の内管で亀裂が発生したときの対策として、内管と外管の間に溝を形成し、溝から液溜めに漏水を導いて水位を検知する手段が示されている。また特許文献2には、継手部分の水漏れ対策として、継手を止水材で覆い、その外側に透明ケースを設け、止水材の吸収能力を超えたときに透明ケースで水を受け入れる手段が示されている。さらに特許文献3には、温度差由来で二重管に発生する伸縮を、外管の摺動で吸収する手段が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−217788号公報
【特許文献2】特開平8−296789号公報
【特許文献2】特公平2−14591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明は漏水は検知するものの、内管と外管の熱伸縮差については考慮されていない。また特許文献2の発明は、膨張材で囲われた継手部の漏水にしか対応できない。さらに特許文献3の発明では、液漏れが考慮されていない。これら特許文献2の発明と特許文献3の発明は、液漏れの確認をすることが不可能である。このように、従来二重管の熱収縮による破損防止機能と液漏れ防止機能を兼ね備えた機構は存在していなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱収縮による破損防止機能と液漏れ確認機能を兼ね備えた二重管の液漏れ対応構造とその施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明によれば、
内管の外側に外管を配置した二重管の途中に設けられる液漏れ対応構造であって、容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記容器本体の内部の液体を目視可能な液溜め部と、前記容器本体の両端部にそれぞれ接続された外フレキシブル管と、前記容器本体内に収容された内フレキシブル管と、前記内フレキシブル管を前記容器本体内に収容するための容器本体の蓋と、を備え、前記容器本体の両側面の前記外フレキシブル管に、前記容器本体の両端で、前記二重管の外管が接続され、前記外フレキシブル管の内部を通じて、前記容器本体内に前記二重管の内管が挿入されており、前記容器本体の内側の前記内フレキシブル管の両端に、前記容器本体の内側において、前記二重管の内管が前記内フレキシブル管を介して接続されており、前記容器本体の蓋が前記容器本体に取り付けられており、前記容器本体の内部の液体を目視可能に構成され、かつ前記二重管の熱収縮を吸収可能に構成されていることを特徴とする、二重管の液漏れ対応構造が提供される。
【0009】
また本発明によれば、内管の外側に外管を配置した二重管の途中に液漏れ対応構造を施工する方法であって、二重管の外管に外フレキシブル管を接続し、この外フレキシブル管を、内部の液体を目視可能な液溜め部が取り付けられる容器本体の一方の側面に接続して、この外フレキシブル管の内部を通じて前記容器本体内に二重管の内管を挿入し、前記容器本体の他方の側面に外フレキシブル管を接続し、前記容器本体の他方の側面に接続したこの外フレキシブル管に二重管の外管を接続して、この外フレキシブル管の内部を通じて前記容器本体内に二重管の内管を挿入し、前記容器本体の内部で、前記内フレキシブル管の両端に、一方の側面から挿入された内管と他方の側面から挿入された内管とをそれぞれ接続し、前記容器本体の蓋を前記容器本体に取り付けることを特徴とする、二重管の液漏れ対応構造の施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱の影響で二重管の内管と外管が伸縮した場合、二重管の外管と容器本体の側面を接続している外フレキシブル管と二重管の内管同志を接続している内フレキシブル管が適宜撓むことにより、熱応力を吸収し、熱収縮による破損を防止することができる。また、内管から液漏れが発生した場合、液漏れした液体は容器本体で受け止められ、容器本体の底面または底面に接する側面下端に設けられた液溜め部に流れ込む。こうして液溜め部に液体が流れ込んだことが目視で確認され、液漏れの発生を確認することができる。
【0011】
本発明にあっては、外フレキシブル管と内フレキシブル管で伸縮を吸収するため、熱応力がかかる部位を液漏れ対応構造廻りに特定され、保守の注意範囲を限定できる。なお、二重管の内管と内フレキシブル管との接続には、形状の特異性から従来の二重管では利用できなかったフランジ等の継手やバルブ等を用いて施工することができる。外管の内部空間は限られており、外管の内部において内管同志をフレキシブル管で接続することは不可能である。本発明によれば、容器本体内において内管同志を内フレキシブル管で接続しているので、かかる不具合も解消される。また、接続に外フレキシブル管と内フレキシブル管を用いたことにより二重管の取合いが容易となり既設の配管の盛替え作業においても、本来片追いで敷設する必要のある二重管を部分的に盛替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態にかかる二重管の液漏れ対応構造の平面図である。
図2図1におけるX−X断面図である。
図3】本実施の形態にかかる液漏れ対応構造の施工方法の説明図であり、二重管の外管から内管を突出させた状態を示す。
図4】本実施の形態にかかる液漏れ対応構造の施工方法の説明図であり、二重管の外管に外フレキシブル管を接続し、外フレキシブル管の内部に二重管の内管を通した状態を示す。
図5図2と同じ断面位置における、本実施の形態にかかる液漏れ対応構造の施工方法の説明図であり、蓋付きの容器の一方の側面を外フレキシブル管に接続し、蓋付きの容器内に二重管の内管を挿入した状態を示す。
図6図2と同じ断面位置における、本実施の形態にかかる液漏れ対応構造の施工方法の説明図であり、蓋付きの容器の他方の側面に外フレキシブル管を接続した状態を示す。
図7図2と同じ断面位置における、本実施の形態にかかる液漏れ対応構造の施工方法の説明図であり、外フレキシブル管に二重管の外管を接続し、外フレキシブル管に二重管の内管を挿入して、蓋付きの容器の他方の側面に続けて二重管を延長して設けた状態を示す。
図8】複数本並んで設けられた二重管の途中に液漏れ対応構造をそれぞれ別に設けた形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
図1、2に示すように、例えば化学工場や薬品工場において、有害液体や原料液、廃液、有害な液体などを安全に搬送するための配管として、二重管1が図1、2中の左右に延びる方向に配置されており、その途中に、本発明の実施の形態にかかる液漏れ対応構造2が設けられている。
【0015】
二重管1は、内管10の外側に外管11を配置した二重構造であり、例えば化学工場や薬品工場において、環境保全、安全対策などを考慮して適宜用いられる。外管11には例えばSGP(配管用炭素鋼管)などが用いられ、内管10には例えば塩ビなどの樹脂管が用いられる。
【0016】
液漏れ対応構造2は、矩形状の容器本体20を備えている。容器本体20の上面は、蓋21によって塞がれ、容器本体20の内部は密閉された状態になっている。容器本体20と蓋21は、例えばステンレスなどからなる。蓋21は、蝶ネジなどの係止部材22によって、容器本体20の上面に形成されたブラケット23に脱着自在に取り付けられている。このため、係止部材22を緩めることによって、容器本体20の上面から蓋21から取り外して、容器本体20の内部を容易に開放することができる。なお図1では、容器本体20の内部の構造を上から見た状態で示すため、容器本体20の上面から蓋21から取り外した状態を示している。また図2では、容器本体20の内部の構造を、X−X断面において横から見た状態を示している。
【0017】
容器本体20の図1、2における左右側面には、外フレキシブル管25、25を介して、二重管1の外管11がそれぞれ接続されている。外フレキシブル管25は、例えばステンレスからなる。この実施の形態では、容器本体20の左右側面に容器本体20内に連通する中空筒状のスリーブ26、26が設けられており、それらスリーブ26、26に外フレキシブル管25、25がそれぞれ接続されている。スリーブ26と外フレキシブル管25との接続は、いずれもフランジ接合部27によって行われている。また、二重管1の外管11と外フレキシブル管25との接続も同様に、いずれもフランジ接合部28によって行われている。このように二重管1の外管11はスリーブ26を介して容器本体20の側面に接続されることにより、二重管1の外管11の内部空間は、容器本体20の内部に連通している。
【0018】
二重管1の内管10は、外フレキシブル管25およびスリーブ26の内部を通って容器本体20内に挿入されている。すなわち、二重管1の内管10と外管11は、液漏れ対応構造2が配置された部分においていずれも中断された状態となっているが、内管10は、外フレキシブル管25およびスリーブ26の合計の長さよりも長く外管11から突出させられている。このため、外フレキシブル管25、25を介して容器本体20の左右側面に外管11をそれぞれ接続すると、内管10が容器本体20の内部にそれぞれ挿入された状態となる。このように容器本体20の内部に挿入された内管10は、容器本体20の底面上に配置されたプレート30によって支持されており、容器本体20の内部のほぼ中央に内管10が配置されている。
【0019】
こうして容器本体20の左右側面から内部にそれぞれ挿入された二重管1の内管10同士は、容器本体20内において内フレキシブル管31を介して接続されている。内フレキシブル管31は、例えば樹脂性チューブ(ホース)からなる。したがって、二重管1の内管10は液漏れ対応構造2が配置された部分において中断されてはいるが、内フレキシブル管31を介して直列に接続されて連通した状態を保っている。二重管1の内管10と内フレキシブル管31との接続も同様に、いずれもフランジ接合部32によって行われている。
【0020】
容器本体20の底面には、内部を目視可能に構成された液溜め部35が設けられている。この液溜め部35は、例えば透明塩ビ管などの内部が目視できるチューブ36に開閉コック37を取り付けた構成である。このため、容器本体20内に液体が入った場合は、容器本体20の底面からチューブ36内に液体が流れ込み、外部から液体を目視することができる。また、チューブ36内に溜まった液体は、開閉コック37を開くことにより、チューブ36内から落下排出させることができる。
【0021】
次に、二重管1の途中に液漏れ対応構造2を施工する方法の一例を図3〜7に基づいて説明する。なお以下の実施の形態では、図中の左側から構築されてきた二重管1の途中に液漏れ対応構造2を施工し、さらに図中の右側に二重管1を延長して構築していく場合について説明する。
【0022】
先ず図3に示すように、図中の左側から構築されてきた二重管1の先端において、二重管1の外管11から内管10を突出させた状態にする。この場合、内管10の突出長さを、後に施工される外フレキシブル管25およびスリーブ26の合計の長さよりも長く設定しておく。なお、図中の左側から構築されてきた二重管1の先端において、二重管1の外管11に内管10を差し込むこともできる。
【0023】
次に図4に示すように、二重管1の外管11に外フレキシブル管25を接続する。外管11と外フレキシブル管25との接続は、フランジ接合部28によって容易に行うことができる。また、このように外管11に外フレキシブル管25を接続する場合、二重管1の外管11から突出している内管10を外フレキシブル管25の内部に通すことにより、外管11に接続した外フレキシブル管25から内管10を突出させることができる。
【0024】
次に図5に示すように、二重管1の外管11に接続した外フレキシブル管25に、スリーブ26を介して容器本体20の一方の側面(この実施の形態では、容器本体20の左側面)を接続する。これにより、図中の左側から構築されてきた二重管1の外管11の内部空間が、容器本体20の内部に連通した状態となる。また、二重管1の外管11から突出している内管10を、外フレキシブル管25の内部からさらにスリーブ26の内部に通すことにより、容器本体20内に二重管1の内管10を挿入し、容器本体20内に挿入した内管10を、容器本体20の底面上に配置されたプレート30によって支持させる。なお、スリーブ26と外フレキシブル管25との接続は、フランジ接合部27によって容易に行うことができる。
【0025】
次に図6に示すように、容器本体20の他方の側面(この実施の形態では、容器本体20の右側面)に設けられたスリーブ26に、外フレキシブル管25を接続する。この場合も、スリーブ26と外フレキシブル管25との接続は、フランジ接合部27によって容易に行うことができる。
【0026】
次に図7に示すように、図中の右側にこれから構築していく二重管1の外管11を、容器本体20の他方の側面に取り付けた外フレキシブル管25に接続する。これにより、図中の右側にこれから構築していく二重管1の外管11の内部空間も、容器本体20の内部に連通した状態となる。この場合も、外管11と外フレキシブル管25との接続は、フランジ接合部28によって容易に行うことができる。
【0027】
また、図中の右側にこれから構築していく二重管1の内管10を、容器本体20の他方の側面に取り付けた外フレキシブル管25およびスリーブ26の内部を通じて容器本体20内に挿入し、容器本体20内に挿入した内管10を、容器本体20の底面上に配置されたプレート30によって支持させる。こうして、図中の左側から構築されてきた二重管1の内管10と、図中の右側にこれから構築していく二重管1の内管10とを、容器本体20内において、所定の隙間を空けて対向させた状態にする。この場合、これから構築していく二重管1の内管10は、先に施工した外管11に、容器本体20内から差し込むこともできる。
【0028】
そして、容器本体20内において、互いに所定の隙間を空けて対向している内管10同士を内フレキシブル管31を介して接続する。その後、容器本体20の上面を蓋21によって塞ぎ、容器本体20の内部を密閉することにより、先に図1、2で説明した本発明の実施の形態に係る液漏れ対応構造2が二重管1の途中に施工される。
【0029】
こうして施工された液漏れ対応構造2において、熱の影響で二重管1の内管10と外管11が伸縮した場合、二重管1の外管11と容器本体20の側面を接続している外フレキシブル管25と二重管1の内管10同志を接続している内フレキシブル管31が適宜撓むことにより、熱応力を吸収し、熱収縮による破損を防止することができる。また、内管10から液漏れが発生した場合、液漏れした液体は、外管11で受け止められた後、容器本体20内に流れ込み、さらに容器本体20の底面に設けられた液溜め部35に流れ込むことになる。液溜め部35のチューブ36は透明塩ビ管などからなり、内部が目視できるので、こうして液溜め部35に液体が流れ込んだことが目視で確認され、液漏れの発生を確認することができる。
【0030】
なお、液漏れ対応構造2を二重管1のどこに配置するかは、基本的には熱伸縮量により決定する。配管レベルの下がった箇所に液漏れ対応構造2を設け、漏液時には重力で容器本体20に液が溜まるようにすると良い。例えば液漏れ対応構造2を、床からの高さ1,200mmの位置に配置し、容器本体20の底面に設けた開口に、ソケットを介して直下に向けて液溜め部35(チューブ36)をねじ接合する。開閉コック37を開いて液溜め部35から液抜する際には、チューブ36内から落下排出させた液をバケツ等で受ける。なお、液漏れ対応構造2の設置位置が低いときは、容器本体20の底面に接する側面下端には、エルボを介して液溜め部35を設けても良い。また液溜め部35から、別に設けた液槽まで配管を延ばしてもよい。また必要に応じて外管11にも開口や液抜管と弁などを設けることができる。
【0031】
本発明にあっては、外フレキシブル管25と内フレキシブル管31で伸縮を吸収するため、熱応力がかかる部位を液漏れ対応構造2の位置に特定でき、保守の注意範囲を限定できる。なお、二重管1の内管10と内フレキシブル管31との接続は、容器本体20内において、従来は利用できなかったフランジ等の継手やバルブ等を用いて容易に行うことができる。また、接続に外フレキシブル管25と内フレキシブル管31を用いたことにより二重管1の取合いが容易となる。
【0032】
なお図8に示すように、二重管1が複数本並んで設けられている場合、各二重管1の途中に液漏れ対応構造2をそれぞれ別に設けるようにする。このように各二重管1に個別に対応構造2を設けることにより、各二重管1で搬送される液体の混合が防止される。
【0033】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0034】
例えば、容器本体20は矩形状の他、円筒形状など種々の形状をとすることができる。また、容器本体20の蓋21を脱着する係止部材22は、蝶ねじの他、パッチン錠等でも良い。また、容器本体20の左右側面にスリーブ26、26を設けた形態を示したが、容器本体20の左右側面に外フレキシブル管25、25を直接接続しても良い。また、液漏れ対応構造2の設置予定部位に向けて両方向から二重管1を敷設し、最後に液漏れ対応構造2の両側に二重管1を接続してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 二重管
2 液漏れ対応構造
10 内管
11 外管
20 容器本体
21 蓋
22 係止部材
23 ブラケット
25 外フレキシブル管
26 スリーブ
27、28、32 フランジ接合部
32 フランジ接合部
30 プレート
31 内フレキシブル管
35 液溜め部
36 チューブ
37 開閉コック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8