【実施例】
【0014】
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本実施例による構造物の状態検査方法を実現するための装置を示すブロック図、
図2は2台の追尾装置での追尾を示す概念図、
図3は同構造物の状態検査方法の処理流れを示すフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、本実施例の構造物の状態検査方法には、構造物1の外形の三次元形状データおよび必要に応じて構造物1の周辺環境2の三次元形状データを取得する形状計測装置11を用いる。
形状計測装置11には、例えばレーザスキャナが適しており、この種のレーザスキャナとしては例えば株式会社トプコン社製のGLS−2000を用いることができる。
飛行経路決定装置12は、形状計測装置11で取得した三次元形状データおよび必要に応じて構造物1の周辺環境2の三次元形状データから構造物1の撮影位置と飛行経路とを決定する。
コントロール装置13は無人航空機14の飛行をコントロールする。無人航空機14には撮影装置15が取り付けられている。
無人航空機14は、ドローンとも呼ばれる航空機であり、無人航空機14には、複数の回転翼を備えたマルチコプタータイプのヘリコプターが適している。
撮影装置15は、静止画像を撮影するものでも、動画像を撮影するものでもよい。
追尾装置16は、無人航空機14を追尾し、検出した無人航空機14の位置をコントロール装置13に出力する。
追尾装置16には、無人航空機14に取り付けたマーカを追尾する方法によって、例えばライカジオシステムズ株式会社製のライカTS50のモニタリングセンサーを用いることができる。
検査装置17は、撮影装置15で撮影した撮影データを分析して構造物1の異常状態を検査する。
【0016】
図2は、追尾装置16として、少なくとも第1追尾装置16aと第2追尾装置16bとを用いた場合の無人航空機14の位置の検出方法を示している。
飛行経路決定装置12で決定する飛行経路は、第1追尾装置16aで追尾できる第1飛行経路12aと、第2追尾装置16bで追尾できる第2飛行経路12bと、第1追尾装置16aと第2追尾装置16bとで追尾できる第3飛行経路12cとに区分している。
無人航空機14が第1飛行経路12aを移動している間は、無人航空機14の位置は第1追尾装置16aで検出する。
また、無人航空機14が第2飛行経路12bを移動している間は、無人航空機14の位置は第2追尾装置16bで検出する。
無人航空機14が第3飛行経路12cを移動している間に、無人航空機14の位置の検出を、第1追尾装置16aから第2追尾装置16bに、または第2追尾装置16bから第1追尾装置16aに切り替える。
このように、複数台の追尾装置16a、16bを用いることで、死角を無くし、複数台の追尾装置16a、16bがともに追尾できる第3飛行経路12cを設けることで、追尾装置16a、16bの切り替えをスムーズに行わせることができる。
【0017】
図3に示すように、本実施例の構造物の状態検査方法は、構造物形状取得ステップ20と、飛行経路決定ステップ30と、位置検出ステップ40と、移動指示ステップ50と、撮影ステップ60と、検査ステップ70とを有する。
構造物形状取得ステップ20では、形状計測装置11によって、構造物1の外形の三次元形状データおよび必要に応じて構造物1の周辺環境2の三次元形状データを取得する。
飛行経路決定ステップ30では、飛行経路決定装置12によって、構造物形状取得ステップ20で取得した三次元形状データおよび必要に応じて構造物1の周辺環境2の三次元形状データから撮影位置と飛行経路とを決定する。
位置検出ステップ40では、追尾装置16によって、無人航空機14を追尾して無人航空機14の位置を検出する。
移動指示ステップ50では、コントロール装置13によって、位置検出ステップ40で検出した無人航空機14の位置と、飛行経路決定ステップ30で決定した飛行経路とから無人航空機14に対して移動方向を指示する。
撮影ステップ60では、位置検出ステップ40で検出した無人航空機14の位置が飛行経路決定ステップ30で決定した撮影位置になった時に無人航空機14に搭載した撮影装置15で構造物1を撮影する。なお、撮影は、個別に位置を特定して静止画像データとしてもよいが、撮影の開始位置と終了位置を決定して動画像データとしてもよい。
検査ステップ70では、撮影ステップ60で撮影した撮影データを分析して構造物1の異常状態を検査する。
本実例によれば、構造物1の三次元形状データから無人航空機14の経路を決定することでヒトの手による操作に依ることなく検査に必要な撮影データを得ることができる。また、追尾装置16を用いて無人航空機14の位置を検出して移動方向を指示するため、例えばGPSが使えないかGPSの精度が落ちる場所で用いることができ、安定した飛行を行わせることができる。
【0018】
飛行経路決定ステップ30は、検査位置決定ステップ31と、撮影位置決定ステップ32と、離陸位置設定ステップ33と、着陸区域設定ステップ34と、待機区域設定ステップ35と、飛行禁止区域設定ステップ36と、経路決定ステップ37とを有する。
検査位置決定ステップ31は、構造物1の三次元形状データを元に、複数の撮影面を決定する。
撮影位置決定ステップ32は、検査位置決定ステップ31で決定されたそれぞれの撮影面に対して、撮影面から前記撮影装置までの撮影距離と、撮影面と前記撮影装置との角度、とから撮影位置を決定する。
離陸位置設定ステップ33は、無人航空機14の離陸位置を設定する。
着陸区域設定ステップ34は、無人航空機14の着陸区域または着陸位置をあらかじめ設定する。なお、無人航空機14の着陸区域または着陸位置は複数設定しておくことが好ましい。無人航空機14の着陸区域または着陸位置を複数設定しておくことで、例えば風の影響を受けて無人航空機14が流されるような場合には、速やかに最寄りの着陸区域に導くことで構造物1への衝突や墜落の心配がない。
待機区域設定ステップ35は、構造物1および必要に応じて構造物1の周辺環境2に対する安全離間距離外を待機区域としてあらかじめ設定する。
飛行禁止区域設定ステップ36は、構造物1および必要に応じて構造物1の周辺環境2に対する最低近接距離内を飛行禁止区域としてあらかじめ設定する。
経路決定ステップ37は、飛行経路が飛行禁止区域外となるように、撮影位置決定ステップ32で決定されたそれぞれの撮影位置を移動するための飛行経路を決定する。
【0019】
コントロール装置13は、位置検出ステップ40において無人航空機14の位置が飛行経路から所定距離以上離れたことを検出すると、移動指示ステップ50において、無人航空機14への飛行経路の指示に代えて、無人航空機14に待機区域へ移動するように指示する。本実施例によれば、例えば風の影響を受けて無人航空機14が流されるような場合には、待機区域に移動させることで構造物1への衝突の心配がない。
またコントロール装置13は、位置検出ステップ40において無人航空機14の位置が飛行経路から所定距離以上離れたことを検出すると、移動指示ステップ50において、検出された位置から複数の着陸区域の中から一つの着陸区域を決定し、無人航空機14への飛行経路の指示に代えて、無人航空機14に決定した着陸区域へ移動するように指示する。本実施例によれば、例えば風の影響を受けて無人航空機14が流されるような場合には、速やかに最寄りの着陸区域に導くことができる。
またコントロール装置13では、位置検出ステップ40において無人航空機14の位置が飛行経路から所定距離以上離れたことを検出すると、移動指示ステップ50において、無人航空機14への飛行経路の指示に代えて、無人航空機14への待機区域へ移動するように指示し、待機区域内で、無人航空機14が指示した位置から所定距離以上離れたことを検出すると、無人航空機14に着陸区域へ移動するように指示する。本実施例によれば、例えば風の影響を受けて無人航空機14が流されるような場合には、待機区域に移動させることで構造物1への衝突の心配がなく、更に風の影響が継続するような場合には着陸区域に導くことで構造物1への衝突や墜落の心配がない。