(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が流入する流入端面から流体が流出する流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁、及び最外周に配設されたセグメント外周壁を有する、複数個の角柱状のハニカムセグメントと、
複数個の前記ハニカムセグメントの側面同士を互いに接合する接合層と、
それぞれの前記ハニカムセグメントの前記流入端面における所定のセルの開口部、及び前記流出端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、を備え、
前記ハニカムセグメントには、前記セルの延びる方向に直交する断面において、少なくとも2種類以上の異なる形状の前記セルが、所定の繰り返し配列パターンを有するように形成されており、
それぞれの前記ハニカムセグメントの前記セルにおいて、前記セルを囲繞するように前記隔壁が配設されたセルを全周縁隔壁セルとし、且つ、
前記セルの延びる方向に直交する前記断面の形状が、前記全周縁隔壁セルの少なくとも一部の形状を含み、前記セルを囲繞するように前記隔壁及び前記セグメント外周壁が配設され、当該セルの形状が含まれる前記全周縁隔壁セルよりも開口面積が小さいセルを、一部周縁外周壁セルとし、
前記一部周縁外周壁セルのうち、前記断面の形状の一辺が前記セグメント外周壁によって構成された一辺外周壁セルの開口面積が、前記繰り返し配列パターンを構成する少なくとも2種類以上の異なる形状の前記全周縁隔壁セルのうちの、その形状の一部に当該一辺外周壁セルの形状が含まれる前記全周縁隔壁セルの開口面積の45〜55%、であり、且つ、
前記一部周縁外周壁セルのうち、前記断面の形状の二辺が前記セグメント外周壁によって構成された二辺外周壁セルがそれぞれの前記ハニカムセグメントに存在しない、又は、前記二辺外周壁セルの開口面積が、前記繰り返し配列パターンを構成する少なくとも2種類以上の異なる形状の前記全周縁隔壁セルのうちの、その形状の一部に当該二辺外周壁セルの形状が含まれる前記全周縁隔壁セルの開口面積の20〜30%、であり、
前記接合層によって接合された2つの前記ハニカムセグメントの前記流入端面及び前記流出端面の境界部分において、前記セルの前記繰り返し配列パターンが保たれている、目封止ハニカム構造体であって、
前記目封止部は、外周領域を除き、前記流入端面における前記セルの開口部に前記目封止部が配設された流出セルの周りを、前記流出端面における前記セルの開口部に前記目封止部が配設された流入セルが取り囲むように、前記ハニカムセグメントの前記セルの開口部に配置され、
前記ハニカムセグメントは、前記ハニカムセグメントの前記断面において、断面形状が正方形の前記流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の前記流入セルが取り囲むように配列された第一繰り返し配列パターンを有し、
前記第一繰り返し配列パターンを有する前記ハニカムセグメントは、
前記流入セルのみによって前記一部周縁外周壁セルが構成されたものであるか、又は、
前記流出セルの前記一部周縁外周壁セルが、断面形状が長方形の前記一辺外周壁セルと、断面形状が正方形の前記二辺外周壁セルとを含み、且つ、前記流入セルの前記一部周縁外周壁セルが、前記全周縁隔壁セルと同じ断面形状の完全一部周縁外周壁セルからなるものであるか、又は、
前記流出セルの前記一部周縁外周壁セルが、断面形状が三角形の前記一辺外周壁セルからなり、且つ、前記流入セルの前記一部周縁外周壁セルが、前記全周縁隔壁セルと同じ断面形状の完全一部周縁外周壁セルからなるものである、目封止ハニカム構造体。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0024】
(1)目封止ハニカム構造体:
図1〜
図5に示すように、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態は、複数個のハニカムセグメント4と、接合層6と、目封止部5と、を備えた、目封止ハニカム構造体100である。すなわち、本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、所謂、セグメント構造の目封止ハニカム構造体である。目封止ハニカム構造体100の外周には、複数個のハニカムセグメント4を囲繞するように配設された外壁8を更に備えている。
【0025】
ここで、
図1は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。
図2は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
図3は、
図2に示す目封止ハニカム構造体の流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図4は、
図2に示す目封止ハニカム構造体の流出端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図5は、
図3のA−A’を模式的に示す断面図である。また、
図6は、
図1に示す目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。
図7は、
図1に示す目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0026】
図6及び
図7に示すように、ハニカムセグメント4は、流体が流入する流入端面11から、流体が流出する流出端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1、及び最外周に配設されたセグメント外周壁3を有するものである。
図1〜
図5に示すように、本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、複数個のハニカムセグメント4を備え、複数個のハニカムセグメント4の側面同士が接合層6を介して接合されている。本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、複数個のハニカムセグメント4のうち、外壁8とは接していない中央部分に配置されたハニカムセグメント4は、流入端面11から流出端面12に向かう方向を軸方向とする、角柱状に形成されている。また、複数個のハニカムセグメント4のうち、外壁8と接している外周部分に配置されたハニカムセグメント4は、角柱状に形成されたハニカムセグメント4の一部が、外壁8の形状に沿って研削された柱状に形成されている。
【0027】
接合層6は、複数個のハニカムセグメント4の側面同士を互いに接合する接合材からなるものである。複数個のハニカムセグメント4が接合層6を介して接合された接合体を、ハニカムセグメント接合体7ということがある。
【0028】
目封止部5は、それぞれのハニカムセグメント4に形成されたセル2の開口部に配設され、セル2の流入端面11側又は流出端面12側のいずれか一方の開口部を封止するものである。すなわち、目封止部5は、それぞれのハニカムセグメント4の流入端面11における所定のセル2xの開口部、及び流出端面12における所定のセル2x以外の残余のセル2yの開口部に配設されている。以下、ハニカムセグメント4の流入端面11におけるセル2の開口部に目封止部5が配設されたセル2(すなわち、上述した所定のセル2x)を、「流出セル2x」ということがある。また、ハニカムセグメント4の流出端面12におけるセル2の開口部に目封止部5が配設されたセル2(すなわち、上述した残余のセル2y)を、「流入セル2y」ということがある。また、ハニカムセグメント4のセル2の開口部に目封止部5が配設されたものを、目封止ハニカムセグメント4Aということがある。
【0029】
ハニカムセグメント4には、セル2の延びる方向に直交する断面において、少なくとも2種類以上の異なる形状のセルが、所定の繰り返し配列パターンを有するように形成されている。例えば、
図6及び
図7に示すハニカムセグメント4には、セル2の形状が四角形のセル(例えば、流出セル2x)と、セル2の形状が五角形のセル(例えば、流入セル2y)との、2種類の異なる形状のセル2が形成されている。上述した「繰り返し配列パターン」とは、少なくとも1つの流出セル2xと、少なくとも1つの流入セル2yとによって構成された配列パターンであって、1つのハニカムセグメント4において、当該配列パターンが、2以上存在するものをいう。以下、セル2の延びる方向に直交する断面における、セル2の形状のことを、「セル形状」、「断面形状」、及び「断面の形状」ということがある。
【0030】
目封止部5の配置、別言すれば、流出セル2xと流入セル2yとの配置については、特に制限はない。ただし、目封止部5は、ハニカムセグメント4の外周領域を除き、流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲むように、ハニカムセグメント4のセル2の開口部に配置されていることが好ましい。例えば、
図6及び
図7に示すハニカムセグメント4においては、セル2の形状が四角形の流出セル2xの周りを、セル2の形状が五角形の流入セル2yが取り囲むように、目封止部5が配置されていることが好ましい。ここで、「流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲む」とは、セル2の延びる方向に直交する断面において、以下のように構成されていることを意味する。ここでは、
図6及び
図7に示すように、流出セル2xのセル形状が四角形の場合の例について説明する。まず、一の流出セル2xの4辺のそれぞれに対して、流入セル2yの一辺が隣接するように配置される。この際、一の流出セル2xの一辺に対して、2つ以上の流入セル2yの一辺が隣接するように配置されていてもよい。すなわち、一の流出セル2xの一辺の半分の位置までに、一の流入セル2yの一辺が隣接するように配置され、更に、一の流出セル2xの一辺の半分以降の位置に、他の流入セル2yの一辺が隣接するように配置されていてもよい。そして、一の流出セル2xに隣接する流入セル2yの全てが、相互の流入セル2y同士で、互いの一辺が隣接するように配置される。このような状態で流入セル2yが配置されることを、「流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲む」という。なお、「ハニカムセグメント4の外周領域」とは、後述する「一部周縁外周壁セル2b」が形成された領域のことを意味する。すなわち、「ハニカムセグメント4の外周領域」とは、隔壁1及びセグメント外周壁3によって区画形成されたセル2(一部周縁外周壁セル2b)が形成された領域のことを意味する。
【0031】
ここで、それぞれのハニカムセグメント4のセル2において、セル2を囲繞するように隔壁1が配設されたセル2を、全周縁隔壁セル2aとする。また、それぞれのハニカムセグメント4のセル2において、以下のように構成されたセル2を、一部周縁外周壁セル2bとする。一部周縁外周壁セル2bは、セル2の延びる方向に直交する断面の形状が、全周縁隔壁セル2aの少なくとも一部の形状を含むものである。そして、この一部周縁外周壁セル2bは、セル2を囲繞するように隔壁1及びセグメント外周壁3が配設され、当該セル2の形状が含まれる全周縁隔壁セル2aよりも開口面積が小さいセル2である。
図6及び
図7に示すハニカムセグメント4を例として説明すると、セル形状が四角形の流出セル2xは、全て全周縁隔壁セル2aとなっている。また、流出セル2xを取り囲むように配置された流入セル2yのうち、隔壁1のみにより区画形成された(別言すれば、隔壁1によって囲繞された)流入セル2yが、全周縁隔壁セル2aとなっている。そして、流入セル2yのうち、隔壁1とセグメント外周壁3により区画形成された(別言すれば、隔壁1及びセグメント外周壁3によって囲繞された)流入セル2yが、一部周縁外周壁セル2bとなっている。なお、後述する他の実施形態のように、ハニカムセグメント4に形成されるセル2の形状によっては、流出セル2xであっても、一部周縁外周壁セル2bとなるものが含まれる場合がある。また、流入セル2yの全てが、全周縁隔壁セル2aとなる場合もある。また、本発明において、一部周縁外周壁セル2bとは、その一部周縁外周壁セル2bの形状が含まれる全周縁隔壁セル2aよりも開口面積が小さいものと規定している。このため、隔壁1とセグメント外周壁3により区画形成されたセル2であっても、当該セル2の形状が含まれる全周縁隔壁セル2aと同一形状で且つ開口面積が同じセル2については、一部周縁外周壁セル2bとはせず、後述する一部周縁外周壁セル2bの各条件の適用範囲外とする。なお、「全周縁隔壁セル2aと同一形状で且つ開口面積が同じセル2」とは、全周縁隔壁セル2aと同じ角数の多角形であって、開口面積が95〜105%のものをいう。以下、一部周縁外周壁セル2bであって、「全周縁隔壁セル2aと同一形状で且つ開口面積が同じセル2
」のことを、「完全一部周縁外周壁セル」という。
【0032】
一部周縁外周壁セル2bは、更に、一辺外周壁セル2baと、二辺外周壁セル32bb(
図9参照)とに分けられる。ここで、セル2の延びる方向に直交する断面の形状の一辺がセグメント外周壁3によって構成されたセル2を、一辺外周壁セル2baとする。また、
図9に示すように、セル32の延びる方向に直交する断面の形状の二辺がセグメント外周壁33によって構成されたセル32を、二辺外周壁セル32bbとする。そして、一辺外周壁セルは、以下の条件(1)を満たし、二辺外周壁セルは、以下の条件(2A)又は条件(2B)を満たす。
条件(1):一辺外周壁セルの開口面積が、当該一辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積の45〜55%である。
条件(2A):二辺外周壁セルがそれぞれのハニカムセグメント4に存在しない。
条件(2B):二辺外周壁セルの開口面積が、当該二辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積の20〜30%である。
【0033】
そして、
図1〜
図5に示すように、本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、接合層6によって接合された2つのハニカムセグメント4,4の流入端面11及び流出端面12の境界部分において、セル2の繰り返し配列パターンが保たれている。このように構成された目封止ハニカム構造体100は、排ガス中に含まれる粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして好適に利用することができ、更に、この目封止ハニカム構造体100は、圧力損失が低く、且つ、耐熱衝撃性にも優れている。なお、
図1〜
図5に示す目封止ハニカム構造体100において、二辺外周壁セルは、上記条件(2A)に該当し、ハニカムセグメント4に存在していない。
【0034】
ここで、「2つのハニカムセグメント4,4の流入端面11及び流出端面12の境界部分において、セル2の繰り返し配列パターンが保たれている」とは、以下のように構成されていることを意味する。接合層6によって接合された2つのハニカムセグメント4,4は、それぞれ、同一の「セル2の繰り返し配列パターン」を有している。そして、一方のハニカムセグメント4の最外周に形成されたセル2と、他方のハニカムセグメント4の最外周に形成されたセル2とが、接合層6を挟んで、上記「セル2の繰り返し配列パターン」の一部を再現するように配置されている。具体的には、以下の(a)〜(c)の状態で、一方のハニカムセグメント4と他方のハニカムセグメント4とが接合層6を挟んで接合されている。
【0035】
(a)
図4に示すように、一方のハニカムセグメント4の最外周に「一辺外周壁セル2ba」が存在する場合に、接合層6を挟んで、他方のハニカムセグメント4の最外周にも「一辺外周壁セル2ba」が存在する。この(a)において、接合層6を挟んで存在する2つの「一辺外周壁セル2ba」のそれぞれは、同じ形状の全周縁隔壁セル2aの一部の形状からなり、この全周縁隔壁セル2aの開口面積の45〜55%の開口面積である。したがって、一方のハニカムセグメント4の「一辺外周壁セル2ba」のセル形状と、他方のハニカムセグメント4の「一辺外周壁セル2ba」のセル形状とを仮想的に組み合わせた場合には、全周縁隔壁セル2aの開口面積の90〜110%のセル形状が実現される。
【0036】
(b)
図9に示すように、1つのハニカムセグメント34の最外周に「二辺外周壁セル32bb」が存在する場合に、接合層を挟んで、その他のハニカムセグメント34(図示せず)の最外周にも「二辺外周壁セル32bb(図示せず)」が存在する。そして、4つのハニカムセグメント34のそれぞれの角部が、互いに向き合うようにして、複数個のハニカムセグメント34が配置される。この(b)において、接合層を挟んで存在する4つの「二辺外周壁セル32bb」のそれぞれは、同じ形状の全周縁隔壁セル32aの一部の形状からなり、この全周縁隔壁セル32aの開口面積の20〜30%の開口面積である。したがって、1つのハニカムセグメント34の「二辺外周壁セル32bb」のセル形状と、その他の3つのハニカムセグメント34(図示せず)の「二辺外周壁セル32bb(図示せず)」のセル形状とにより、全周縁隔壁セル32aに近似したセル形状が実現される。すなわち、4つの「二辺外周壁セル32bb」を仮想的に組み合わせた場合には、全周縁隔壁セル32aの開口面積の80〜120%のセル形状が実現される。ここで、
図9は、本発明の目封止ハニカム構造体の第二実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0037】
(c)
図9に示すように、1つのハニカムセグメント34の最外周に「完全一部周縁外周壁セル32c」が存在する場合には、接合層6を挟んで、その他のハニカムセグメント34(図示せず)の最外周にも「完全一部周縁外周壁セル32c(図示せず)」が存在する。そして、1つのハニカムセグメント34の「完全一部周縁外周壁セル32c(図示せず)」と、その他のハニカムセグメント34(図示せず)の「完全一部周縁外周壁セル32c(図示せず)」とが、1つの繰り返し配列パターンに含まれるように構成される。
【0038】
上述した(a)〜(c)の状態において、それぞれのハニカムセグメントは、互いに接合された状態において、境界部分の延びる方向に、以下のようなズレを有していてもよい。それぞれのハニカムセグメントは、境界部分の延びる方向におけるハニカムセグメントの大きさを100%とした場合に、互いに接合された状態において、境界部分の延びる方向に、縦横それぞれ8%以下に相当するズレを有していてもよい。それぞれのセルの境界部分の延びる方向のズレは、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。なお、それぞれのセルは、境界部分の延びる方向のズレが実質的にない状態(即ち、ズレが0%)であってもよい。
【0039】
目封止ハニカム構造体100の全体形状については、特に制限はない。例えば、
図1に示す目封止ハニカム構造体100の全体形状は、流入端面11及び流出端面12が円形の円柱形状である。その他、図示は省略するが、目封止ハニカム構造体の全体形状としては、流入端面及び流出端面が、楕円形やレーストラック形や長円形等の略円形の柱形状であってもよい。また、目封止ハニカム構造体の全体形状としては、流入端面及び流出端面が、四角形や六角形等の多角形の角柱形状であってもよい。
【0040】
ハニカムセグメントを構成する材料に特に制限はないが、強度、耐熱性、耐久性等の観点から、主成分は、酸化物又は非酸化物の各種セラミックスや金属等であることが好ましい。具体的には、例えば、セラミックスとしては、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素、窒化珪素、及びチタン酸アルミニウム等が考えられる。金属としては、Fe−Cr−Al系金属、及び金属珪素等が考えられる。これらの材料の中から選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが好ましい。高強度、高耐熱性等の観点から、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、コージェライト、炭化珪素、及び窒化珪素からなる群から選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが特に好ましい。また、高熱伝導率や高耐熱性等の観点からは、炭化珪素、又は珪素−炭化珪素複合材料が特に適している。ここで、「主成分」とは、ハニカムセグメントの50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上を構成する成分のことを意味する。
【0041】
目封止部の材料については特に制限はない。目封止部の材料は、上述のハニカムセグメントの好適な材料として挙げた各種セラミックス及び金属等の中から選択された1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0042】
本実施形態の目封止ハニカム構造体は、複数個のハニカムセグメント(より具体的には、目封止ハニカムセグメント)が接合層を介して相互に接合されたものである。このように構成することによって、目封止ハニカム構造体にかかる熱応力を分散させることができ、局所的な温度上昇によるクラックの発生を有効に防止することができる。
【0043】
ハニカムセグメントの大きさについては、特に制限はない。ただし、1個のハニカムセグメントの大きさが大きすぎると、クラックの発生を防止する効果が十分に発揮されないことがある。また、1個のハニカムセグメントの大きさが小さすぎると、ハニカムセグメントの接合層による接合作業が煩雑になることがある。
【0044】
ハニカムセグメントの形状については、特に制限はない。例えば、ハニカムセグメントの形状として、当該ハニカムセグメントの軸方向に直交する断面形状が四角形や六角形等の多角形の角柱形状を挙げることができる。なお、目封止ハニカム構造体の最外周に配設されるハニカムセグメントは、目封止ハニカム構造体の全体形状に応じて、角柱形状の一部が研削等により加工されたものであってもよい。
【0045】
図1〜
図5に示すように、本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、ハニカムセグメント4に形成された流入セル2yは、当該流入セル2yの中心軸方向に直交する断面形状が、見かけ上、略五角形である。また、ハニカムセグメント4に形成された流出セル2xは、当該流出セル2xの中心軸方向に直交する断面形状が、見かけ上、略正方形である。ここで、上記「断面形状」とは、各セル2を、その中心軸方向に直交する平面で切断したときの、その断面に現れる形状のことであり、セル2を形成する隔壁1に囲まれた部分の形状を指す。そして、本実施形態の目封止ハニカム構造体100の各ハニカムセグメント4は、断面形状が略正方形である流出セル2xの周囲を、8個の断面形状が略五角形である流入セル2yが取り囲むように配置された、セルの繰り返し配列パターンを有している。このように構成することによって、本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、従来の目封止ハニカム構造体と比較して、フィルタとして使用した場合に、各ハニカムセグメント4の濾過面積を大きくすることができる。このため、PM堆積時の圧力損失を低減させることができる。また、このように構成されたハニカムセグメント4においては、流出セル2x同士が隣接することはなく、流出セル2xは、その周囲の全てを流入セル2yによって取り囲まれることになる。このため、流出セル2xの開口率を大きくすることができるとともに、流出セル2xの数を流入セル2yの数と比べて少なくできるため、目封止ハニカム構造体100の使用初期の圧力損失を低減させることができる。
【0046】
また、
図1〜
図5に示す通り、断面形状が略五角形である流入セル2yは、正五角形ではなく、例えば、その内角が、一の頂点から時計回りに、90°、135°、90°、90°、135°の、所謂、ホームベース形状であることが好ましい。このように構成することによって、4個の流入セル2yが、それぞれのホームベース形状の先端側の角部が集合するように隣接して形成されることとなる。4個の流入セル2yにおいて、それぞれのホームベース形状の先端側の角部が集合する部分では、2つの隔壁1が互いに直交する構造となっており、この角部が集合する部分における隔壁1の熱容量を高く維持することができ、PM燃焼時の熱応力を緩和させることができる。
【0047】
図8に示すように、流出セル2xの第1の辺13を形成する隔壁1と、流出セル2xの第1の辺13と対向する第2の辺14を形成する隔壁1との距離である距離Pは、0.8mmを超え2.4mm未満の範囲であることが好ましい。ここで、距離Pとは、第1の辺13を形成する隔壁1の厚さ方向の中心から、対向する第2の辺14を形成する隔壁1の厚さ方向の中心とを結ぶ最短距離を指す。また、
図9に示すように、流出セル2xの一辺と略平行に隣接する流入セル2yの第3の辺15を形成する隔壁1と、流入セル2yの第3の辺15と対向する第4の辺16を形成する隔壁1との距離を、距離Qとする。距離Pに対する、距離Qの比率は、0.4を超え1.1未満の範囲であることが好ましい。ここで、距離Qとは、第3の辺15を形成する隔壁1の厚さ方向の中心から、対向する第4の辺16を形成する隔壁1の厚さ方向の中心とを結ぶ最短距離を指す。距離P及び距離Qの関係を上記の範囲とすることによって、初期の圧力損失及びPM堆積時における圧力損失がバランス良く低減されるため好ましい。ここで、
図8は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を流入端面側からみた模式的部分拡大図である。
【0048】
ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、0.3〜1.0mmであることが好ましく、0.3〜0.8mmであることが更に好ましく、0.4〜0.6mmであることが特に好ましい。ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、0.3mm未満であると、ハニカムセグメントの強度が低下することがある点で好ましくない。ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、1.0mm超であると、圧力損失が高くなり、耐熱衝撃性が低下することがある点で好ましくない。
【0049】
接合層の厚さが、0.5〜1.5mmであることが好ましく、0.7〜1.3mmであることが更に好ましく、0.8〜1.2mmであることが特に好ましい。接合層の厚さが、0.5mm未満であると、耐熱衝撃性が低下することがある点で好ましくない。接合層の厚さが、1.5mm超であると、圧力損失が高くなることがある点で好ましくない。
【0050】
また、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、全周縁隔壁セルが、断面形状が異なる2種以上のセルを含むものであることが好ましい。
図1〜
図5に示す目封止ハニカム構造体100においては、断面形状が略正方形である流出セル2xが、1つ目の断面形状の全周縁隔壁セル2aであり、断面形状が略五角形である流入セル2yが、2つ目の断面形状の全周縁隔壁セル2aである。このように構成することによって、少なくとも2種類以上の異なる断面形状のセルにより、所定の繰り返し配列パターンが良好に形成されることとなる。なお、セルの断面形状が多角形である場合、当該多角形の角部は、Rを有する湾曲形状であってもよい。例えば、略正方形とは、断面形状が、正方形、及び正方形の少なくとも1つの角部がRを有する湾曲形状に形成された形状を総称したものである。同様に、略五角形とは、断面形状が、五角形、及び五角形の少なくとも1つの角部がRを有する湾曲形状に形成された形状を総称したものである。
【0051】
隔壁1の厚さについては特に制限はない。例えば、1つのセル2の一辺と、当該1つのセル2と略平行に隣接する他のセル2の一辺と、の間に存在する隔壁1の厚さは、0.07〜0.51mmであることが好ましく、0.10〜0.46mmであることが更に好ましく、0.12〜0.38mmであることが特に好ましい。隔壁1の厚さが、0.07mmよりも小さいと、ハニカムセグメント4の成形が困難となることがあるため好ましくない。また、隔壁1の厚さが、0.51mmよりも大きいと、濾過面積確保や圧力損失低減の観点から好ましくない。
【0052】
また、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、それぞれのハニカムセグメントが以下のように構成されたものを好適例の1つとして挙げることができる。流入セル2yにおいて、幾何学的表面積GSAが、10〜30cm
2/cm
3であることが好ましく、12〜18cm
2/cm
3であることが更に好ましい。ここで、上述した「幾何学的表面積GSA」とは、流入セル2yの全内表面積(S)を、ハニカムセグメントの全容積(V)で除した値(S/V)のことをいう。一般に、フィルタの濾過面積が大きいほど、隔壁へのPM堆積厚さを低減できるため、上述した幾何学的表面積GSAの数値範囲とすることにより、目封止ハニカム構造体の圧力損失を低く抑えることができる。よって、流入セル2yの幾何学的表面積GSAが10cm
2/cm
3より小さいと、PM堆積時の圧力損失の増加につながることがあるため好ましくない。また、30cm
2/cm
3より大きいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。
【0053】
本実施形態の目封止ハニカム構造体では、流入セル2yのセル断面開口率が20〜70%であることが好ましく、25〜65%であることが更に好ましい。流入セル2yのセル断面開口率が20%より小さいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。また、70%より大きいと、濾過流速が速くなるためPMの捕集効率が低下し、更に隔壁1の強度が不足することがあるため好ましくない。ここで、「流入セル2yのセル断面開口率」とは、目封止ハニカム構造体の中心軸方向に垂直な断面における、「目封止ハニカム構造体に形成された隔壁1全体の断面積」と「全てのセル2の断面積の総和」との合計に対する、「流入セル2yの断面積の総和」の比率を意味する。
【0054】
本実施形態の目封止ハニカム構造体では、複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.5〜2.5mmであることが好ましく、0.8〜2.2mmであることが更に好ましい。複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.5mmより小さいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。また、複数のセル2のそれぞれの水力直径が2.5mmより大きいと、排ガスと隔壁1との接触面積が減少し、浄化効率が低下することがあるため好ましくない。ここで、複数のセル2のそれぞれの水力直径とは、各セル2の断面積及び周長に基づき、4×(断面積)/(周長)によって計算される値である。セル2の断面積とは、目封止ハニカム構造体の中心軸方向に垂直な断面に現れるセルの形状(断面形状)の面積を指し、セルの周長とは、そのセルの断面形状の周囲の長さ(当該断面を囲む閉じた線の長さ)を指す。
【0055】
初期の圧力損失、PM堆積時の圧力損失、及び捕集効率のトレードオフを鑑み、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、流入セル2yの幾何学的表面積GSAが10〜30cm
2/cm
3であること、流入セル2yのセル断面開口率が20〜70%であること、及び複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.5〜2.5mmであることを同時に満たすことが好ましい。また、流入セル2yの幾何学的表面積GSAが12〜18cm
2/cm
3であること、流入セル2yのセル断面開口率が25〜65%であること、及び複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.8〜2.2mmであること、を同時に満たすことが更に好ましい。
【0056】
本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、複数のセル2を形成する隔壁1に触媒が担持されていてもよい。隔壁1に触媒を担持するとは、隔壁1の表面及び隔壁1に形成された細孔の内壁に、触媒がコーティングされることをいう。触媒の種類としては、SCR触媒(ゼオライト、チタニア、バナジウム)や、Pt、Rh、Pdのうち少なくとも2種の貴金属と、アルミナ、セリア、ジルコニアの少なくとも1種を含む三元触媒等が挙げられる。このような触媒を担持することにより、直接噴射式ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等から排出される排ガスに含まれるNOx、CO、HC等を無毒化するとともに、隔壁1の表面に堆積したPMを触媒作用により燃焼除去させ易くすることが可能となる。
【0057】
本実施形態の目封止ハニカム構造体において、上記のような触媒を担持させる方法は、特に制限はなく、当業者が通常行う方法を採用することができる。具体的には、触媒スラリーをウォッシュコートして乾燥、焼成する方法等が挙げられる。
【0058】
以下
、目封止ハニカム構造体の他の実施形態(第二実施形態〜第九実施形態)について説明する。第二実施形態〜第九実施形態の目封止ハニカム構造体においては、目封止ハニカムセグメントの構成が、第一実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントと異なること以外は、第一実施形態と同様に構成されていることが好ましい。ここで、
図9〜
図14、
図16、
図17は
、目封止ハニカム構造体の第二実施形態〜第九実施形態に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
図15は、
図14に示す目封止ハニカムセグメントからなるハニカムセグメント接合体を模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0059】
第二実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図9に示すような目封止ハニカムセグメント34Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント34は、複数のセル32を区画形成する多孔質の隔壁31、及び最外周に配設されたセグメント外周壁33を有するものである。目封止部35は、ハニカムセグメント34の流出セル32xの開口部、及び流入セル32yの開口部に配設されている。そして、目封止部35は、ハニカムセグメント34の外周領域を除き、流出セル32xの周りを、流入セル32yが取り囲むように、セル32の開口部に配置されている。
【0060】
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aは、断面形状が四角形の流出セル32xと、断面形状が五角形の流入セル32yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0061】
四角形の流出セル32xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル32aと、この全周縁隔壁セル32aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル32bと、を含んでいる。そして、流出セル32xの一部周縁外周壁セル32bは、更に、断面形状が長方形の一辺外周壁セル32baと、断面形状が正方形の二辺外周壁セル32bbとを含んでいる。一辺外周壁セル32baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル32bbは、上述した条件(2B)を満たす。五角形の流入セル32yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル32aと、この全周縁隔壁セル32aと同じ断面形状の完全一部周縁外周壁セル32cと、を含んでいる。
【0062】
第三実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図10に示すような目封止ハニカムセグメント44Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント44は、複数のセル42を区画形成する多孔質の隔壁41、及び最外周に配設されたセグメント外周壁43を有するものである。目封止部45は、ハニカムセグメント44の流出セル42xの開口部、及び流入セル42yの開口部に配設されている。そして、目封止部45は、ハニカムセグメント44の外周領域を除き、流出セル42xの周りを、流入セル42yが取り囲むように、セル42の開口部に配置されている。
【0063】
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aは、断面形状が四角形の流出セル42xと、断面形状が六角形の流入セル42yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0064】
流出セル42xは、全て、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル42aとなっている。流入セル42yは、断面形状が六角形の全周縁隔壁セル42aと、この全周縁隔壁セル42aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル42bと、を含んでいる。そして、流入セル42yの一部周縁外周壁セル42bは、全て、一辺外周壁セル42baとなっている。
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aにおける一辺外周壁セル42baは、
図4に示す一辺外周壁セル2baのうち、2つの一辺外周壁セル2baが連結した形状であるということもできる。
【0065】
第四実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図11に示すような目封止ハニカムセグメント54Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント54は、複数のセル52を区画形成する多孔質の隔壁51、及び最外周に配設されたセグメント外周壁53を有するものである。目封止部55は、ハニカムセグメント54の流出セル52xの開口部、及び流入セル52yの開口部に配設されている。そして、目封止部55は、ハニカムセグメント54の外周領域を除き、流出セル52xの周りを、流入セル52yが取り囲むように、セル52の開口部に配置されている。
【0066】
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aは、断面形状が四角形の流出セル52xと、断面形状が五角形の流入セル52yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0067】
流出セル52xは、全て、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル52aとなっている。流入セル52yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル52aと、この全周縁隔壁セル52aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル52bと、を含んでいる。そして、流入セル52yの一部周縁外周壁セル52bは、全て、一辺外周壁セル52baとなっている。
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aは、流出セル52xと流入セル52yとの相対的な大きさ(開口面積)が、
図4に示す目封止ハニカムセグメント4Aと異なること以外は、
図4に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様に構成されている。
【0068】
第五実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図12に示すような目封止ハニカムセグメント64Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント64は、複数のセル62を区画形成する多孔質の隔壁61、及び最外周に配設されたセグメント外周壁63を有するものである。目封止部65は、ハニカムセグメント64の流出セル62xの開口部、及び流入セル62yの開口部に配設されている。そして、目封止部65は、ハニカムセグメント64の外周領域を除き、流出セル62xの周りを、流入セル62yが取り囲むように、セル62の開口部に配置されている。
【0069】
図12に示す目封止ハニカムセグメント64Aは、断面形状が四角形の流出セル62xと、断面形状が六角形の流入セル62yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0070】
流出セル62xは、全て、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル62aとなっている。流入セル62yは、断面形状が六角形の全周縁隔壁セル62aと、この全周縁隔壁セル62aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル62bと、を含んでいる。そして、流入セル62yの一部周縁外周壁セル62bは、全て、一辺外周壁セル62baとなっている。
図12に示す目封止ハニカムセグメント64Aは、流出セル62xと流入セル62yとの相対的な大きさ(開口面積)が、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと異なること以外は、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様に構成されている。
【0071】
第六実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図13に示すような目封止ハニカムセグメント74Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント74は、複数のセル72を区画形成する多孔質の隔壁71、及び最外周に配設されたセグメント外周壁73を有するものである。目封止部75は、ハニカムセグメント74の流出セル72xの開口部、及び流入セル72yの開口部に配設されている。そして、目封止部75は、ハニカムセグメント74の外周領域を除き、流出セル72xの周りを、流入セル72yが取り囲むように、セル72の開口部に配置されている。
【0072】
図13に示す目封止ハニカムセグメント74Aは、断面形状が四角形の流出セル72xと、断面形状が五角形の流入セル72yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0073】
流出セル72xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル72aと、この全周縁隔壁セル72aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル72bと、を含んでいる。そして、流出セル72xの一部周縁外周壁セル72bは、更に、断面形状が長方形の一辺外周壁セル72baと、断面形状が正方形の二辺外周壁セル72bbと、を含んでいる。一辺外周壁セル72baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル72bbは、上述した条件(2B)を満たす。流入セル72yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル72aと、この全周縁隔壁セル72aと同じ形状の完全一部周縁外周壁セル72cと、を含んでいる。
図13に示す目封止ハニカムセグメント74Aは、流出セル72xと流入セル72yとの相対的な大きさ(開口面積)が、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと異なること以外は、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様に構成されている。
【0074】
第七実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図14に示すような目封止ハニカムセグメント84Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント84は、複数のセル82を区画形成する多孔質の隔壁81、及び最外周に配設されたセグメント外周壁83を有するものである。目封止部85は、ハニカムセグメント84の流出セル82xの開口部、及び流入セル82yの開口部に配設されている。そして、目封止部85は、ハニカムセグメント84の外周領域を除き、流出セル82xの周りを、流入セル82yが取り囲むように、セル82の開口部に配置されている。
【0075】
図14に示す目封止ハニカムセグメント84Aは、断面形状が四角形の流出セル82xと、断面形状が五角形の流入セル82yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0076】
流出セル82xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル82aと、この全周縁隔壁セル82aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル82bと、を含んでいる。そして、流出セル82xの一部周縁外周壁セル82bは、更に、断面形状が長方形の一辺外周壁セル82baと、断面形状が正方形の二辺外周壁セル82bbと、を含んでいる。流出セル82xの一辺外周壁セル82baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル82bbは、上述した条件(2B)を満たす。流入セル82yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル82aと、この全周縁隔壁セル82aの一部の形状を含む一辺外周壁セル82baと、全周縁隔壁セル82aと同じ形状の完全一部周縁外周壁セル82cと、を含んでいる。流入セル82yの一辺外周壁セル82baは、上述した条件(1)を満たす。
【0077】
ここで、第一実施形態〜第六実施形態における目封止ハニカムセグメントは、隔壁によって形成されるセルの全体配置が、目封止ハニカムセグメントの軸方向に直交する断面において、線対称となるように構成されたものであった。
図14に示す目封止ハニカムセグメント84Aは、隔壁81によって形成されるセル82の全体配置が、目封止ハニカムセグメント84Aの軸方向に直交する断面において、線対称とはなっていない。ただし、
図14に示す目封止ハニカムセグメント84Aは、一辺外周壁セル82baが、条件(1)を満たし、二辺外周壁セル82bbが、条件(2B)を満たすことにより、第一実施形態〜第六実施形態における目封止ハニカムセグメントと同様の効果を得ることができる。
図14に示す目封止ハニカムセグメント84Aは、
図15に示すように、4つの目封止ハニカムセグメント84Aのそれぞれの二辺外周壁セル82bbが、当該4つの目封止ハニカムセグメント84Aの交点に集合するように配置・接合されることにより、4つの目封止ハニカムセグメント84Aの境界部分において、セル82の繰り返し配列パターンを保つことができる。
【0078】
第八実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図16に示すような目封止ハニカムセグメント94Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント94は、複数のセル92を区画形成する多孔質の隔壁91、及び最外周に配設されたセグメント外周壁93を有するものである。目封止部95は、ハニカムセグメント94の流出セル92xの開口部、及び流入セル92yの開口部に配設されている。そして、目封止部95は、ハニカムセグメント94の外周領域を除き、流出セル92xの周りを、流入セル92yが取り囲むように、セル92の開口部に配置されている。
【0079】
図16に示す目封止ハニカムセグメント94Aは、断面形状が四角形の流出セル92xと、断面形状が五角形の流入セル92yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0080】
流出セル92xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル92aと、この全周縁隔壁セル92aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル92bと、を含んでいる。そして、流出セル92xの一部周縁外周壁セル92bは、断面形状が三角形の一辺外周壁セル92baとなっている。流出セル92xの一辺外周壁セル92baは、上述した条件(1)を満たす。流入セル92yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル92aと、この全周縁隔壁セル92aと同じ形状の完全一部周縁外周壁セル92cと、を含んでいる。
図16に示す目封止ハニカムセグメント94Aは、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aの「繰り返し配列パターン」が、時計回りに45°回転してものであること以外は、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様に構成されている。
【0081】
第九実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図17に示すような目封止ハニカムセグメント104Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント104は、複数のセル102を区画形成する多孔質の隔壁101、及び最外周に配設されたセグメント外周壁103を有するものである。目封止部105は、ハニカムセグメント104の流出セル102xの開口部、及び流入セル102yの開口部に配設されている。そして、目封止部105は、ハニカムセグメント104の外周領域を除き、流出セル102xの周りを、流入セル102yが取り囲むように、セル102の開口部に配置されている。
【0082】
図17に示す目封止ハニカムセグメント104Aは、断面形状が四角形の流出セル102xと、断面形状が六角形の流入セル102yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0083】
流出セル102xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル102aと、この全周縁隔壁セル102aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル102bと、を含んでいる。そして、流出セル102xの一部周縁外周壁セル102bは、断面形状が三角形の一辺外周壁セル102baとなっている。流出セル102xの一辺外周壁セル102baは、上述した条件(1)を満たす。流入セル102yは、断面形状が六角形の全周縁隔壁セル102aと、この全周縁隔壁セル102aと同じ形状の完全一部周縁外周壁セル102cと、を含んでいる。
図17に示す目封止ハニカムセグメント104Aは、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aの「繰り返し配列パターン」が、時計回りに45°回転してものであること以外は、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様に構成されている。
【0084】
以下
、目封止ハニカム構造体の更に他の実施形態(第十実施形態〜第十三実施形態)について説明する。第十実施形態〜第十三実施形態の目封止ハニカム構造体においては、目封止ハニカムセグメントの構成が、第一実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントと異なること以外は、第一実施形態と同様に構成されていることが好ましい。ここで、
図18〜
図21は
、目封止ハニカム構造体の第十実施形態〜第十三実施形態に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0085】
第十実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図18に示すような目封止ハニカムセグメント114Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント114は、複数のセル112を区画形成する多孔質の隔壁111、及び最外周に配設されたセグメント外周壁113を有するものである。目封止部115は、ハニカムセグメント114の流出セル112xの開口部、及び流入セル112yの開口部に配設されている。そして、目封止部115は、ハニカムセグメント114の外周領域を除き、流出セル112xの周りを、流入セル112yが取り囲むように、セル112の開口部に配置されている。
【0086】
図18に示す目封止ハニカムセグメント114Aは、断面形状が八角形の流出セル112xと、断面形状が四角形及び八角形の流入セル112yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0087】
流出セル112xは、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル112aと、この全周縁隔壁セル112aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル112bと、を含んでいる。そして、流出セル112xの一部周縁外周壁セル112bは、更に、一辺外周壁セル112baと、二辺外周壁セル112bbとを含んでいる。一辺外周壁セル112baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル112bbは、上述した条件(2B)を満たす。流入セル112yは、断面形状が四角形及び八角形の2種類の全周縁隔壁セル112aと、断面形状が四角形の全周縁隔壁セル112aの一部を含む一部周縁外周壁セル112bと、を含んでいる。この流入セル112yの一部周縁外周壁セル112bは、一辺外周壁セル112baとなっており、上述した条件(1)を満たす。
【0088】
第十一実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図19に示すような目封止ハニカムセグメント124Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント124は、複数のセル122を区画形成する多孔質の隔壁121、及び最外周に配設されたセグメント外周壁123を有するものである。目封止部125は、ハニカムセグメント124の流出セル122xの開口部、及び流入セル122yの開口部に配設されている。そして、目封止部125は、ハニカムセグメント124の外周領域を除き、流出セル122xの周りを、流入セル122yが取り囲むように、セル122の開口部に配置されている。
【0089】
流出セル122xは、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル122aとなっている。流入セル122yは、断面形状が四角形及び八角形の2種類の全周縁隔壁セル122aと、2種類の一部周縁外周壁セル122bと、を含んでいる。一部周縁外周壁セル122bは、断面形状が四角形の全周縁隔壁セル122aの一部を含む一辺外周壁セル122baと、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル122aの一部を含む二辺外周壁セル122bbと、を含んでいる。そして、一辺外周壁セル122baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル122bbは、上述した条件(2B)を満たす。
図19に示す目封止ハニカムセグメント124Aは、
図18に示す目封止ハニカムセグメント114Aと、同じ繰り返し配列パターンを有し、一辺外周壁セル122ba及び二辺外周壁セル122bbの構成が異なっている。
【0090】
第十二実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図20に示すような目封止ハニカムセグメント134Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント134は、複数のセル132を区画形成する多孔質の隔壁131、及び最外周に配設されたセグメント外周壁133を有するものである。目封止部135は、ハニカムセグメント134の流出セル132xの開口部、及び流入セル132yの開口部に配設されている。そして、目封止部135は、ハニカムセグメント134の外周領域を除き、流出セル132xの周りを、流入セル132yが取り囲むように、セル132の開口部に配置されている。
【0091】
流出セル132xは、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル132aと、この全周縁隔壁セル132aの一部の形状を含む一部周縁外周壁セル132bと、を含んでいる。そして、流出セル132xの一部周縁外周壁セル132bは、一辺外周壁セル132baとなっている。一辺外周壁セル132baは、上述した条件(1)を満たす。流入セル132yは、断面形状が四角形及び八角形の2種類の全周縁隔壁セル132aと、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル132aの一部を含む一部周縁外周壁セル132bと、を含んでいる。この流入セル132yの一部周縁外周壁セル132bは、一辺外周壁セル132baと、二辺外周壁セル132bbと、を含んでいる。流入セル132yの一辺外周壁セル132baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル132bbは、上述した条件(2B)を満たす。
【0092】
第十三実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図21に示すような目封止ハニカムセグメント144Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント144は、複数のセル142を区画形成する多孔質の隔壁141、及び最外周に配設されたセグメント外周壁143を有するものである。目封止部145は、ハニカムセグメント144の流出セル142xの開口部、及び流入セル142yの開口部に配設されている。そして、目封止部145は、ハニカムセグメント144の外周領域を除き、流出セル142xの周りを、流入セル142yが取り囲むように、セル142の開口部に配置されている。
【0093】
流出セル142xは、断面形状が八角形の全周縁隔壁セル142aとなっている。流入セル142yは、断面形状が四角形及び八角形の2種類の全周縁隔壁セル142aと、2種類の一部周縁外周壁セル142bと、を含んでいる。一部周縁外周壁セル142bは、断面形状が四角形の全周縁隔壁セル142aの一部を含む一辺外周壁セル142baと、断面形状が四角形の全周縁隔壁セル142aの一部を含む二辺外周壁セル142bbと、を含んでいる。そして、一辺外周壁セル142baは、上述した条件(1)を満たし、二辺外周壁セル142bbは、上述した条件(2B)を満たす。
図21に示す目封止ハニカムセグメント144Aは、
図20に示す目封止ハニカムセグメント134Aと、同じ繰り返し配列パターンを有し、一辺外周壁セル142ba及び二辺外周壁セル142bbの構成が異なっている。
【0094】
(2)目封止ハニカム構造体の製造方法:
図1〜
図5に示す本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法については、特に制限はなく、例えば、以下のような方法により製造することができる。まず、ハニカムセグメントを作製するための可塑性の坏土を調製する。ハニカムセグメントを作製するための坏土は、原料粉末として、前述のハニカムセグメントの好適な材料の中から選ばれた材料に、適宜、バインダ等の添加剤、及び水を添加することによって調製することができる。原料粉末としては、例えば、炭化珪素粉末を使用することができる。バインダとしては、例えば、メチルセルロースや、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース等を挙げることができる。また、添加剤としては、界面活性剤等を挙げることができる。
【0095】
次に、このようにして得られた坏土を押出成形することにより、複数のセルを区画形成する隔壁、及び最外周に配設されたセグメント外周壁を有する、角柱状のハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、複数個作製する。
【0096】
得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥し、ハニカム成形体の作製に用いた材料と同様の材料で、セルの開口部を目封止することで目封止部を作製する。目封止部を作製した後に、ハニカム成形体を更に乾燥してもよい。
【0097】
次に、目封止部を作製したハニカム成形体を焼成することにより、目封止ハニカムセグメントを得る。焼成温度及び焼成雰囲気は原料により異なり、当業者であれば、選択された材料に最適な焼成温度及び焼成雰囲気を選択することができる。次に、複数の目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて互いに接合し、乾燥硬化させた後、所望の形状となるよう外周を加工することによって、セグメント構造の目封止ハニカム構造体を得ることができる。接合材としては、セラミックス材料に、水等の溶媒を加えてペースト状にしたものを用いることができる。また、目封止ハニカムセグメントの接合体の外周を加工した後の加工面は、セルが露出した状態となっているため、
図1に示すように、その加工面に外周コート材を塗工して外壁8を形成してもよい。外周コート材の材料としては、例えば、接合材の材料と同じ材料を用いることができる。
【0098】
(3)目封止ハニカムセグメント:
次に
、目封止ハニカムセグメントの第一実施形態について説明する。本実施形態の目封止ハニカムセグメントは、これまでに説明した第一実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントである。
【0099】
本実施形態の目封止ハニカムセグメントは、
図6及び
図7に示すような、ハニカムセグメント4と、目封止部5と、を備えた目封止ハニカムセグメントである。ハニカムセグメント4は、流体が流入する流入端面11から、流体が流出する流出端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1、及び最外周に配設されたセグメント外周壁3を有するものである。目封止部5は、それぞれのハニカムセグメント4に形成されたセル2の開口部に配設され、セル2の流入端面11側又は流出端面12側のいずれか一方の開口部を封止するものである。目封止部5は、外周領域を除き、流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲むように配置される。
【0100】
ハニカムセグメント4に形成されるセル2は、全周縁隔壁セル2aと、一部周縁外周壁セル2bと、を含んでいる。そして、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、一部周縁外周壁セル2bのうち、一辺外周壁セル2baが、上記条件(1)を満たし、二辺外周壁セル2bbが、上記条件(2A)又は条件(2B)を満たす。このように構成された本実施形態の目封止ハニカムセグメントは、第一実施形態の目封止ハニカム構造体を作製するためのハニカムセグメントとして好適に用いることができる。
【0101】
本実施形態の目封止ハニカムセグメントとして、第一実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを好適例として挙げることができる。
【0102】
目封止ハニカムセグメントの他の実施形態としては、
図9〜
図21に示す、第二実施形態〜第十三実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを好適例として挙げることができる。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
セラミックス原料として、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合した混合原料を準備した。この混合原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加するとともに、水を添加して成形原料を作製した。得られた成形原料を、ニーダーを用いて混練し、坏土を得た。
【0104】
次に、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。なお、「
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様の繰り返し配列パターン」とは、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された繰り返し配列パターンのことである。
【0105】
次に、得られたハニカムセグメントを高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥した。なお、乾燥時には、ハニカムセグメントの流出端面が、鉛直下向きになるように配置して乾燥を行った。
【0106】
乾燥後のハニカムセグメントに、目封止部を形成した。まず、ハニカムセグメントの流入端面にマスクを施した。次に、マスクの施された端部(流入端面側の端部)を目封止スラリーに浸漬し、マスクが施されていないセル(流出セル)の開口部に目封止スラリーを充填した。このようにして、ハニカムセグメントの流入端面側に、目封止部を形成した。そして、乾燥後のハニカムセグメントの流出端面についても同様にして、流入セルにも目封止部を形成した。
【0107】
そして、目封止部の形成されたハニカムセグメントを脱脂し、焼成し、目封止ハニカムセグメントを得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とし、焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。なお、焼成時には、目封止部の形成されたハニカムセグメントの流出端面が、鉛直下向きになるように配置して焼成を行った。
【0108】
作製した目封止ハニカムセグメントの流出セルは、
図9に示す目封止ハニカムセグメントと同様に、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル(正方形)と、全周縁隔壁セルの少なくとも一部の形状を含む一部周縁外周壁セルと、を含むものであった。そして、流出セルの一部周縁外周壁セルは、更に、一辺外周壁セル(断面形状が長方形)と、二辺外周壁セル(断面形状が正方形)とを含むものであった。流入セルは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セルと、この全周縁隔壁セルと同じ断面形状の完全一部周縁外周壁セルとを含むものであった。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインA」とする。表1の「デザイン」の欄に、実施例1に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0109】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が36.2mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図9に示す距離Pが2.0mmであり、距離Qが1.2mmであり、隔壁の厚さが0.32mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。
【0110】
作製した目封止ハニカムセグメントにおいて、流出セルの一辺外周壁セルの開口面積は、当該一辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積の50%であった。以下、一辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積に対する、一辺外周壁セルの開口面積の割合を、「一辺外周壁セルの開口面積の割合」という。また、流出セルの二辺外周壁セルの開口面積は、当該二辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積の25%であった。以下、二辺外周壁セルの形状が含まれる全周縁隔壁セルの開口面積に対する、二辺外周壁セルの開口面積の割合を、「二辺外周壁セルの開口面積の割合」という。表1に、「一辺外周壁セルの開口面積の割合」、及び「二辺外周壁セルの開口面積の割合」を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。
【0111】
16個の焼成済の目封止ハニカムセグメントを、接合材(セラミックスセメント)を用いて接合し一体化した。接合材は、無機粒子、無機接着剤を主成分とし、副成分として、有機バインダ、界面活性剤、発泡樹脂、水等を含むものとした。無機粒子としては、板状粒子、無機接着剤としては、コロイダルシリカ(シリカゾル)を使用した。板状粒子としては、マイカを使用した。16個のハニカムセグメントが一体化に接合されたハニカムセグメント接合体の外周を円柱形状に研削加工し、その外周面にコート材を塗布して、実施例1の目封止ハニカム構造体を得た。実施例1の目封止ハニカム構造体は、端面の直径が143.8mmであった。コート材は、セラミックス粉末、水、結合材を含むものとした。接合材によって形成された接合層の幅は、1mmであった。表1の「接合幅[mm]」の欄に、接合層の幅を示す。
【0112】
【表1】
【0113】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1のハニカムセグメントの作製に用いた坏土と同様に調製された坏土を用いて、端面の直径が143.8mmの円柱形状のハニカム成形体を作製した。そして、実施例1と同様の方法で、ハニカム成形体のセルの開口部に目封止部を形成し、目封止部を形成したハニカム成形体を、実施例1と同様の方法で焼成して、比較例1の目封止ハニカム構造体を作製した。
【0114】
比較例1の目封止ハニカム構造体は、セグメント構造を有しておらず、一体型のハニカム構造体と、目封止部とを備えたものであった。このように一体型のハニカム構造体を備えた目封止ハニカム構造体のデザインを、「モノリス」とする。比較例1の目封止ハニカム構造体を構成するハニカム構造体は、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された「繰り返し配列パターン」を有するものであった。表1に、比較例1の目封止ハニカム構造体のデザイン、隔壁の厚さ、距離P、及び距離Qを示す。
【0115】
(実施例2〜9、及び比較例2〜5)
ハニカムセグメントの形状、及び接合幅を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜9、及び比較例2〜5の目封止ハニカム構造体を作製した。ハニカムセグメントの形状は、セグメントサイズ、隔壁の厚さ、距離P、距離Q、一辺外周壁セルの開口面積の割合、二辺外周壁セルの開口面積の割合、及びセグメント外周壁厚さについて、表1のように変更した。
【0116】
(実施例10)
実施例10においては、目封止ハニカムセグメントのデザインを、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aのようなデザインに変更した以外は、実施例1と同様にして、目封止ハニカム構造体を作製した。実施例10の目封止ハニカム構造体において、流出セルは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル(正方形)のみであった。流入セルは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セルと、この全周縁隔壁セルの少なくとも一部の形状を含む一辺外周壁セルと、を含むものであった。実施例10に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインB」とする。実施例10の目封止ハニカム構造体について、表1に、セグメントサイズ、隔壁の厚さ、距離P、距離Q、一辺外周壁セルの開口面積の割合、二辺外周壁セルの開口面積の割合、接合幅、及びセグメント外周壁厚さを示す。
【0117】
(実施例11)
実施例11においては、目封止ハニカムセグメントのデザインを、
図16に示す目封止ハニカムセグメント94Aのようなデザインに変更した以外は、実施例1と同様にして、目封止ハニカム構造体を作製した。実施例11の目封止ハニカム構造体において、流出セルは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル(正方形)と、全周縁隔壁セルの一部の形状を含む一辺外周壁セル(三角形)と、を含むものであった。流入セルは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セルと、全周縁隔壁セルと同じ形状の完全一部周縁外周壁セルと、を含むものであった。実施例11に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインC」とする。実施例11の目封止ハニカム構造体について、表1に、セグメントサイズ、隔壁の厚さ、距離P、距離Q、一辺外周壁セルの開口面積の割合、二辺外周壁セルの開口面積の割合、接合幅、及びセグメント外周壁厚さを示す。
【0118】
(
参考例12)
参考例12においては、目封止ハニカムセグメントのデザインを、
図18に示す目封止ハニカムセグメント114Aのようなデザインに変更した以外は、実施例1と同様にして、目封止ハニカム構造体を作製した。
参考例12の目封止ハニカム構造体において、流出セルは、断面形状が八角形の全周縁隔壁セルと、この全周縁隔壁セルの一部の形状を含む一辺外周壁セル(八角形を二等分した形状)と、を含むものであった。流入セルは、断面形状が四角形及び八角形の2種類の全周縁隔壁セルと、四角形の全周縁隔壁セルの一部を含む一辺外周壁セル(四角形を二等分した長方形)と、を含むものであった。
参考例12に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインD」とする。
参考例12の目封止ハニカム構造体について、表1に、セグメントサイズ、隔壁の厚さ、距離P、距離Q、一辺外周壁セルの開口面積の割合、二辺外周壁セルの開口面積の割合、接合幅、及びセグメント外周壁厚さを示す。
【0119】
実施例1〜
11、参考例12及び比較例1〜5の目封止ハニカム構造体について、以下の方法で、圧力損失、アイソスタティック強度、及び耐熱衝撃性の評価を行った。評価結果を、表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
(圧力損失)
まず、比較例1の目封止ハニカム構造体を、排気量2.0Lの乗用車用ディーゼルエンジンを搭載した乗用車の排気系に装着した。この乗用車を使用し、シャシダイナモによる車両試験として、フルロードステップアップ時の圧力損失を測定した。具体的には、エンジン回転数を5000rpmまで、3分/ステップで1000rpmずつ上昇させ、各ステップでの圧力損失を測定した。比較例1の目封止ハニカム構造体の圧力損失を、圧力損失評価の基準値とした。次に、比較例1と同様の方法で、実施例1〜
11、参考例12及び比較例2〜5の目封止ハニカム構造体の圧力損失を測定した。各実施例
、参考例及び比較例の圧力損失の値と、基準値である比較例1の圧力損失の値を比較し、以下の評価基準により、圧力損失評価を行った。なお、評価にあたっては、エンジン回転数5000rpm時の圧力損失を用いた。
評価A:基準値からの圧力損失の増加量が、基準値の5%以下である。
評価B:基準値からの圧力損失の増加量が、基準値の5%を超え、10%以下である。
評価C:基準値からの圧力損失の増加量が、基準値の10%を超え、15%以下である。
評価D:基準値からの圧力損失の増加量が、基準値の15%を超える。
【0122】
(アイソスタティック強度)
アイソスタティック強度の測定は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格(JASO規格)のM505−87で規定されているアイソスタティック破壊強度試験に基づいて行った。アイソスタティック破壊強度試験は、ゴムの筒状容器に、目封止ハニカム構造体を入れてアルミ製板で蓋をし、水中で等方加圧圧縮を行う試験である。即ち、アイソスタティック破壊強度試験は、缶体に、目封止ハニカム構造体が外周面把持される場合の圧縮負荷加重を模擬した試験である。このアイソスタティック破壊強度試験によって測定されるアイソスタティック強度は、目封止ハニカム構造体が破壊したときの加圧圧力値(MPa)で示される。以下の評価基準により、アイソスタティック強度の評価を行った。
評価A:アイソスタティック強度が、3.0MPa以上である。
評価B:アイソスタティック強度が、2.0MPa以上、3.0MP未満である。
評価C:アイソスタティック強度が、1.0MPa以上、2.0MP未満である。
評価D:アイソスタティック強度が、1.0MP未満である。
【0123】
(耐熱衝撃性)
社団法人自動車技術会発行の自動車規格(JASO規格)のM505−87に規定されている方法に基づいて、電気炉スポーリング試験による耐熱衝撃性の評価を行った。具体的には、まず、室温より所定温度高い温度に保った電気炉に、室温の目封止ハニカム構造体を入れた。この状態で、20分間保持後、目封止ハニカム構造体を取り出し、耐火レンガ上に載置した。この状態で、15分間以上自然放置した後、室温になるまで目封止ハニカム構造体を冷却し、その目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じているかを調べた。この操作を、目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じるまで繰り返した。なお、電気炉内温度は、上記の操作を繰り返す度に、25℃ずつ上昇させていった。目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じていることが確認された操作の1回前の操作における電気炉内温度を、目封止ハニカム構造体の安全温度とした。以下の評価基準により、耐熱衝撃性の評価を行った。
評価A:安全温度が、500℃以上である。
評価B:安全温度が、400℃以上、500℃未満である。
評価C:安全温度が、300℃以上、400℃未満である。
評価D:安全温度が、300℃未満である。
【0124】
(結果)
実施例1〜
11、参考例12の目封止ハニカム構造体は、圧力損失、アイソスタティック強度、及び耐熱衝撃性の評価においてすべて評価C以上となり、良好な評価結果であった。一方、比較例1〜5の目封止ハニカム構造体は、圧力損失、アイソスタティック強度、及び耐熱衝撃性のうちいずれかの評価において評価Dであり、自動車等の内燃機関に搭載するDPF用途に適さない可能性があった。