(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルタは、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透のうち少なくとも1つを提供し、材料から流体を分離するようさらに構成される請求項5に記載のプリンタ洗浄デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の既知のシステムにおいて、ウェブ洗浄器が、材料を画像表面から除去するために使用される。しかしながら、ウェブ洗浄器は、ウェブ材料の高額な消耗品コストおよびウェブの廃棄コストがかかる。ウェブ上のファイバ端部がブレードに対して良好な重複洗浄を提供し得る一方で、ウェブは細いため、洗浄ニップの外側へ搬送される際に、分離されたインクを保存するための容量がほとんどない。したがって、ウェブ洗浄器は、ニップを介して同じ速度で移動され、洗浄されたインクをニップの外側へ、インクがニップに入る速度よりも速く、搬送しなければならない。加えて、ウェブ洗浄器は、洗浄能力に限界がある。ウェブのインク容量に限界があるため、インク濃度が高い場合は非実用的である。
【0004】
ブレードおよびウェブ洗浄器に関連する問題に対処するために、一部の既知の水性インク印刷システムは、画像受け入れ表面の動きと反対に回転する発泡体ローラを使用して、材料を擦り、表面から取り除く。水性インク印刷システムにおいて、発泡体ローラにより洗浄される画像受け入れ表面は、回転ドラムまたはベルトなど、エンドレス支持表面の周囲を覆う材料のブランケットである。ブランケットの表面特性を向上させて、インクが画像形成中に付着した後、インク画像を媒体への転写中に剥がすため、ブランケットは、ブランケット表面上に
表皮を形成する表面調整材料で扱われる。この表面調整材料は、インク画像が媒体に転写され、ブランケット表面が以前の画像化サイクルからの
表皮および残留インクを洗浄した後、ブランケットの表面に塗布される。理想的には、発泡体ローラの圧力は、イン
クを分割および除去し、一方で
表皮は潤して補充するのみであるのがよい。しかしながら、ブランケットへ発泡体ローラにより印加される圧力が高すぎる場合、イン
クの下の薄い
表皮が分割される。
表皮の分割により、緩んだインクの一部が、インクに対して親和性を有するブランケット表面と接触する。さらに、インクはブランケットの表面に付着して、
表皮上のインクよりも、除去し難くなる。したがって、ブランケットの洗浄は悪影響を与え、画像品質は後続の画像化サイクルに影響を及ぼし得る。
【0005】
特定の既知の水性インク印刷システムにおいて、インクは半湿状まで乾燥され、インク画像が媒体へ、画像表面が洗浄デバイスにより洗浄される前に、転写可能となる。ほとんどの事例において、インクの濃度が小さいため、半湿状のインクは洗浄が容易である。しかしながら、特定の事例において、インクは乾燥し過ぎている。インクが乾燥し過ぎる事例は、機器不良に起因して、機器動作において、定期的に起こり得る。例えば、媒体の取り扱い不良、制御不良、および、他の状況などの不良は、印刷動作中に、機器停止を生じさせ得る。これらの不良の処理により、インク画像は、乾燥器の下に所望より長く放置され得る。余分に乾燥することで、乾燥されたインクは、洗浄し難くなり得る。さらに、過度の乾燥により、媒体へのインク画像転写の効率が下がり、より大量の洗浄し難いインクを
印刷システムにおける洗浄デバイスへ導入させる原因となり得る。これらの状況の発生を補うために、ブレード洗浄器が採用されてよい。これは、ブレード洗浄器が、前述された付随のリスクを伴う乾燥インクを除去するのに必要な高い圧力を印加し得るからである。
【0006】
図4は、画像形成表面上の水性インクを様々な度合いで乾燥することが、洗浄性能に与える効果を図示するグラフである。具体的には、ブランケット表面上のインクを乾燥させることの効果は、ブレード洗浄器の負荷においてテストされた。
図4の線404は乾燥し過ぎたインクを表し、線408は半湿状のインクを表し、線412は乾燥していないインクを表し、線416は水を表す。
図4におけるグラフの縦軸は、ブレード負荷をg/cmで表し、グラフの横軸は、ブレードの作動角度を度で表す。既知の水性インク印刷システムにおいて、機器オペレータは、乾燥し過ぎたインクを除去するために、水を単体で使用するよりも、イソプロピルアルコールが浸み込んだラグを利用する。しかしながら、
図4におけるグラフに見られるように、インクを除去するのに必要な労力は、乾燥し過ぎたインク
の線404がブランケットから手動で洗浄される場合、非常に大きくなる。したがって、画像表面の洗浄を可能とするインクジェットプリンタの向上が、望まれる。
【0007】
プリンタ洗浄デバイスは、材料を
印刷システムの画像受け入れ表面から除去できるよう構成されている。プリンタ洗浄デバイスは、画像受け入れ表面を表面調整材料で扱う印刷システムに含まれる。プリンタ洗浄デバイスは、流体を保持するよう構成される内部
空間の周囲の円筒壁を有する、ローラを含む。円筒壁は複数の開口部を有し、内部
空間内の流体は円筒壁を通過することが出来る。ローラは隙間を有し、内部
空間は流体のソースと流動的に結合することが出来る。ローラは、円筒壁の縦軸の周囲を回転するよう構成される。発泡
体は、円筒壁の周囲に固定され、円筒壁を通過する流体を受けるよう構成される。アクチュエータはローラと動作可能に接続されて、ローラを、画像受け入れ表面
と係合および
脱係合させ、コントローラはアクチュエータと動作可能に接続される。ここで、コントローラは、アクチュエータを動作させて、ローラを画像受け入れ表面
と係合および
脱係合させ、材料を表面から選択的に除去するよう構成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
材料を
印刷システムの画像受け入れ表面から除去可能な表面調整材料で扱われる、画像受け入れ表面を洗浄する、新しい方法が提供される。本方法は、ポンプに流体を、壁に開口部を有するローラの円筒壁内の内部
空間に提供して、流体が円筒壁を通過できるようにすること、流体を、円筒壁の周囲に置かれる発泡
体を伴う画像受け入れ表面に塗布すること、および、アクチュエータをコントローラで動作させて、ローラを、画像受け入れ表面へ向かう方向および画像受け入れ表面から離れる方向へ移動させ、発泡
体が画像受け入れ表面を係合および
脱係合でき、選択的に材料を表面から除去できるようにすること、を含む。
【0009】
材料の除去が可能となるプリンタ洗浄デバイスの上述の態様および他の特性が、添付の図を伴って以下の記載において説明される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態を一般的に理解するために、図が参照される。図において、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を規定するために使用される。
【0012】
図1Aは、画像受け入れ表面を表面調整材料で扱うプリンタにおいて使用される、例示的な
プリンタ洗浄デバイス100を図示する。プリンタ洗浄デバイス100は、内部
空間108を形成する有孔円筒壁116を有する、ローラ104を含む。ローラ104の内部
空間108は、導管156から受けられる流体148を受けて保持する。発泡体112は、実質的に、ローラ104の
有孔円筒壁116を取り囲む。1つの例において、発泡体112は、有孔円筒壁116と接着して結合され得る。内部
空間108内の流体148は、ポンプ144により加圧され、それにより、流体は
有孔円筒壁116の孔を介して発泡体112内部およびローラ104の表面上へ移動する。
【0013】
ローラ104の発泡体112の表面は、ブランケット124の画像受け入れ表面と接触して、流体148の一部分を、ブランケット124およびブランケット124上の水和材料160上へ塗布する。さらに、発泡体112は、特定の材料160をブランケット124の表面から、選択的に解放する。発泡体112の表面は、微小な洗浄ブレードとして機能するオープンセルを包含して、材料160をブランケット124の表面から解放および一掃する。さらに、これらのブレードは、ブランケット124の表面上に重複した擦る動作を提供する。発泡体112による重複した擦る動作は、良好な信頼性およびブランケット124の表面の、ブレード洗浄器などの他の洗浄システムよる低い圧力での洗浄を、提供し得る。さらに、ブランケット124の表面と接触するセルに隣接する発泡体112のオープンセルは、ブランケット124の表面から解放された材料160を保存する能力を提供する。発泡体112は、ウェブ洗浄器などの他の洗浄システムより、多量の材料160を保存する能力を有する。保持された材料160は、発泡体112のセルから流体148を使用して洗い流される。ローラから洗い流された材料160と流体148との混合物128は、ローラ104を取り囲む筐体152内へ、流出または滴下される。
【0014】
ブランケット124がローラ104を過ぎて進み続ける際、流体148の一部分はブランケット124に留まる。ローラ104とインタフェースした後、ブランケット124は、ブレードに十分な圧力を印加して余分な流体148をブランケット124の表面から一掃する、ワイパー120に到達する。ワイパー120が流体148をブランケット124の表面から一掃する際、別の画像化サイクルに先立って、別の
表皮がブランケット124に塗布される前に、ブランケット124上に比較的に乾燥した表面が残る。除去された余分な流体は、ローラ104上または筐体152内へ、流出する。
【0015】
筐体152は、流体の混合物128または除去された余分な流体148を、筐体152の底面
の排水管
162内へ導く。混合物128および余分な流体148は、排水管
162を介して流れ、フィルタ136を介して搬送されて、材料160を流体148から分離する。ポンプ144は、ろ過された流体148をローラ104の内部
空間108内へ戻して汲み上げる。別のソース(図示せず)からの追加的な流体148は、ローラ104の内部
空間108へ提供され得る。フィルタ136から分離された材料160は、例えば、フィルタ136、フィルタ124内部のフィルタ媒体、分離容器140などの中へ、廃棄のために収集され得る。
【0016】
図示された実施形態において、アクチュエータ110はローラ104と動作可能に接続され、コントローラ114はアクチュエータ110と動作可能に接続されて、アクチュエータ110を動作させ、ローラ104をブランケット124の動きと反対の方向へ回転させる。代替的に、ローラ104は、ブランケットと共に自由に回転することができ、それにより、ローラ104はブランケットの移動の方向に回転する。別のアクチュエータ111は、ワイパー120と動作可能に接続され、コントローラ114はアクチュエータ111と動作可能に接続されて、アクチュエータ111を動作させ、ワイパー120をブランケット124
と係合および
脱係合させる。
【0017】
材料は、画像を媒体へ転写するニップをブランケット
124が通過した後、ブランケット
124の表面により運ばれる、任意の物質であり得る。ブランケット124の表面上の材料160の例は、水性インク、半乾水性インク、表面調整材料層または
表皮、残骸、それらの組み合わせなどを含むが、それらに限定されない。インクは、画像受け入れ表面へ塗布され、媒体へ転写される画像を生成する、任意の物質であり得る。流体
148は、インクまたは表面調整材料などの材料を水和させる、任意の物質であり得る。流体148の例は、水、溶媒、水で希釈された溶媒溶液、界面活性剤などの化学品で希釈された溶媒溶液などを含むが、それらに限定されない。
【0018】
1つの実施形態において、ブランケット124の表面へ塗布される流体148は、ブランケット124の表面上のインクの付着力を弱める。加えて、発泡体112のオープンセル壁端部は、発泡体112がブランケット124の表面全体を滑って動く際に、擦る動作を提供することにより、ブランケット124の表面上に接線力を印加する。この力により、ブランケット124の表面からインクが解放され、解放されたインクが、発泡体112および発泡体112のオープンセル構造の
空間内へ、搬送される。その後、流体148は、インクを発泡体112から洗い流す。
【0019】
インクをブランケット124の表面から分離する力は、ブランケット124の表面とのローラ104の干渉が増大すること、発泡体112における孔の密度が増大すること、発泡体112の剛性が増大すること、ローラ104の回転速度が向上することなどを含むが、それらに限定されない、特定の技術により増大され得る。ブランケット124の表面から分離されたインクを吸収する発泡体112の能力は、発泡体112における孔の密度を変化させること、発泡体112とブランケット124の表面との間の干渉を変化させること、発泡体112のオープンセル壁の厚み、および、ローラ104の回転速度を含むが、それらに限定されない、特定の技術により修正され得る。さらに、ローラ104の回転速度は、ブランケット124の表面に対する効率的な洗浄ニップを判定し得る。さらに、流体148に追加される界面活性剤などの特定の化学物質は、インクまたは他の材料160の、ブランケット124の表面への付着力を弱め得る。さらに、インクの付着力を弱めるこれらの化学物質は、インクを発泡体112から洗い流す能力を向上させる可能性がある。インクを発泡体112から洗い流す能力に影響を与える他の要因は、使用される流体148の化学的性質、流体148の発泡体112を通過する流速、インクの発泡体112に対する付着力を含むが、それらに限定されない。インクの発泡体112に対する付着力は、インクおよび発泡体112の化学的性質などの要因に依存する。1つの例において、発泡体112は疎水性の発泡体である。これは、水性インクが、疎水性の発泡体に対するより、親水性の発泡体に対して、より強い付着力を有するためである。したがって、水性インクは、親水性の発泡体からより、疎水性の発泡体からの方が、容易に除去される。以下の例1および
図4は、この結果を支持するデータを描写する。加えて、発泡体112の表面領域は、発泡体112に保持される流体148の量に影響し得る。例えば、発泡体112の材料は、流体148および材料160に対して化学的に不活性であってよく、それにより、インクおよび
表皮などの材料160は、発泡体112の外へ容易に洗い流される。材料160が発泡体112の外へ容易に洗い落とされる場合、材料160の造形が経時的に低速になるため、この属性は、ローラ104の寿命を延ばすことになり得る。
【0020】
加えて、1つの実施形態において、発泡体112の材料は、流体148を十分に保持することが出来るのがよい。例えば、流体148が発泡体112の外へ容易に流出し過ぎる場合、流体148はローラ104の底面の外へ流れ出て、ブランケット124の表面に対して十分な水和性を提供しない可能性がある。流体148が発泡体112に十分に保持されない場合、流体148の余分な噴射が、ローラ104の高い回転速度で起こる可能性がある。特定の発泡
体が、流体148を適切に保持するローラに使用され得る。例えば、孔の密度が高い発泡体は、孔の密度が低い発泡体よりも、良好に流体148を保持する可能性がある。
【0021】
発泡体112の強度は、ローラ104が裂けるのを避けること、ローラ104の寿命を延ばすことを、助ける可能性がある。使用され得る発泡
体の例は、良好な強度および摩擦抵抗を有し得るポリウレタンなどを含むが、それらに限定されない。さらに、発泡体112と材料160またはブランケット124の表面との間の摩擦係数は、ローラ104の寿命に影響を及ぼす可能性がある。例えば、摩擦係数が低い発泡体は、応力が小さいので、ローラ104の寿命が長くなる。さらに、ローラ104を駆動するのに必要なトルクの量、および、ブランケット124の表面上の操舵力は、摩擦係数が低い発泡体に対して低くなる。トルクが低いと、発泡体112を有孔円筒壁116と結び付けるために使用される粘着剤の強度要件は、弱くなる。シリコーン発泡体などの材料は、ウレタン発泡体などの材料よりも、低い摩擦係数を提供し得るが、しかしながら、シリコーン発泡体は一般的にクローズドセルで作製される。
【0022】
さらに、発泡体112の圧縮剛性は、ローラ104の効率性に影響を与え得る。洗浄負荷は、ローラ104上の発泡体112を、ブランケット124の表面に対して圧縮することにより生成され、洗浄ニップを形成する。より硬い発泡体は、より柔らかい発泡体よりもニップ幅が狭いブランケットを洗浄するのに必要な負荷を生成する。発泡体112の圧縮剛性に影響を及ぼす要因は
、発泡体における孔の密度、発泡体のセル壁の厚みなどを含むが、それらに限定されない。発泡体112が流体148で飽和されると、発泡体112の任意の圧縮により、流体148は発泡体112から追い出される。1つの例において、ローラ104が洗浄ニップに入る際、流体148は、発泡体112が圧縮されることにより追い出される。ローラ104が洗浄ニップから離れる際、発泡体112は拡張し、流体を吸い込んで発泡体112のセルで空間を満たそうとする。流体148は、内部
空間108の内部から発泡体112を介して吸い上げられ、材料160がローラ104内へ引き込まれるのを防ぐ。大きな洗浄ニップは大量の発泡体112を圧縮し、流体148のローラ104を介する大きな流れを必要とする。したがって、ろ過され
た流体148の量を最小化するために、洗浄ニップの幅は最小化されてよく、その一方で良好な洗浄を維持する。より硬い発泡体112は、システムのろ過の必要性を最小化するのに役立つ。
【0023】
さらに、有孔円筒壁116を介する、および、発泡体112内への、流体148の流れの抵抗は、ローラ104の効率性に影響し得る。ローラ104を介する流体148の流れ抵抗に影響し得る要因は、発泡体112の厚み、
有孔円筒壁116における穿孔の大きさ、
有孔円筒壁116における穿孔の間隔、発泡体112における孔の密度、発泡体112における孔の内部構造(例えば、孔の厚みおよび表面面積)などを含むが、それらに限定されない。1つの例において、
有孔円筒壁116における穿孔から流れる流体148の均一な分布は、効率的なローラ104を提供し得る。例えば、
有孔円筒壁116における穿孔の間隔が小さ過ぎる場合、
有孔円筒壁116は、発泡体112を確実に
有孔円筒壁116に結合するには不十分な面積を有する可能性がある。
有孔円筒壁116の穿孔が多すぎると、
有孔円筒壁116はより弱くなる可能性があり、
有孔円筒壁116は、ローラ104がブランケット124の表面に対して負荷をかける際に曲がると、砕ける可能性がある。しかしながら、発泡体112の流れ抵抗が低すぎると、流体148は、さほど分かれずに穿孔の外へ容易に流出し得るため、
有孔円筒壁116における穿孔を介する流体148の均一な流れが達成され難い可能性がある。発泡体112の流れ抵抗が高すぎると、ローラ104を介する流体148の流れの所望の速度を達成するのに、余分な圧力が必要となる可能性がある。さらに、発泡体112の流れ抵抗が高すぎると、
有孔円筒壁116と結合する発泡体112の不良または発泡体の分裂を導き得る、発泡体112の厚み全体に追加的な応力がかかり得る。別の例において、ローラ104における流体148の流れは、非常に低い圧力において比較的に高い。他の技術が、所望の流体148およびローラ104への流れを提供するために、
プリンタ洗浄デバイス100を設計するのに使用され得ることを、理解されたい。
【0024】
さらに、ローラ104における発泡体112の寸法安定性は、ローラ104の効率性に影響を与え得る。例えば、特定の発泡体112は、異なる流体148で異なる範囲に膨張する。Capu−Cell
(商標)などの発泡体は、水に浸されると大幅に膨張し得る。そのような発泡体が乾燥すると、元の大きさに戻る。したがって、1つの例において、ローラ104は、膨張の量を考慮することにより設計される。膨張の量は、経時的に変化する可能性があることを、理解されたい。例えば、ローラ104における発泡体112が、インクおよび
表皮などの材料160を蓄積する際、発泡体112の膨張特性は変化する可能性がある。材料160が十分に蓄積されると、ローラ104における発泡体112は、発泡体112が乾燥しても元の形状に戻らない可能性がある。さらに、発泡体における材料160の蓄積は、発泡体112の剛性を向上させる可能性がある。
【0025】
ワイパー120の例は、エラストマースキージーブレード
(商標)、Synztec238707 70 Shore Aデュロメータ
(商標)などのポリウレタンブレード、ゼログラフィックブレード
(商標)、ウレタンブレード、高性能デュロメータポリウレタンブレード
(商標)、ウレタンブレード、ブランケット124に対する摩擦がより低い他のエラストマーまたはポリマーなどを含むが、それらに限定されない。1つの例において、ワイパー120は、干渉負荷でワイパー120を動作させる筐体に装着されてよく、または、ワイパー120は、ブランケット124に対する応力負荷で旋回ホルダに装着されてよい。ワイパー120は余分な流体148をブランケット124から拭き取るので、ワイパー120のブランケット124に対する負荷は、インクなどの材料160を洗浄するのに必要な負荷よりも低くなり得る。
【0026】
1つの実施形態において、フィルタ136は、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、逆浸透、それらの組み合わせなどを提供して、材料を流体148および材料160の混合物128から分離し得る。フィルタ136は、非常に小さい大きさの孔を有する多孔フィルタ媒体を含んで、材料を混合物128から分離し得る。1つの例において、様々な大きさの孔の異なるフィルタ媒体が、異なる材料を混合物128からろ過するために使用され得る。例えば、フィルタ136は、0.01μmより小さい孔など、非常に小さい孔の大きさを含む。さらに、フィルタ136は、10μmより小さい孔の大きさを有する、
表皮フィルタを含む。例えば、1μmのフィルタは、一部の小さい
表皮を通過させ、ろ過されるより大きい
表皮で、比較的に早く詰まる。
表皮はより大きく、インクをろ過するのに必要な孔に詰まり得るため、
表皮をろ過するにはより大き目の孔の大きさが必要となる可能性がある。別の例において、次第に小さくなる孔のサイズの一連のフィルタがフィルタ136の内部に配置され、異なる材料を混合物128から効率的に分離する。これらのパラメータは例示的であり、他の孔の大きさまたはフィルタ材料が、材料を混合物128から分離するために使用され得ることを、理解されたい。1つの例において、ポンプ144が逆に動作して、ろ過された流体をローラ104の内部
空間108からフィルタ136を介して引き込み、フィルタを逆流して、ろ過された材料をフィルタ媒体から除去し、フィルタ媒体の再利用を可能とし得る。代替的に、フィルタは、機器の使用、外部の再生プロセス、または、フィルタ媒体の除去および洗浄などを含むが、それらに限定されない、他の技術で戻って洗い流され得る。
【0027】
ローラ104が本明細書に記載される一方で、他のコンポーネントが使用され得ることを、理解されたい。これらのコンポーネントの例は、流体148をブランケット124の表面上へ、落滴、噴霧、または浸潤させるために、発泡体パッド、噴霧器などを含むが、それらに限定されない。発泡体112が本明細書に記載される一方で、他の材
料が、ブランケット124の表面を擦り、ブランケット124の表面から除去された材料160を保存するために使用され得ることを、理解されたい。ワイパー120が記載される一方で、他のコンポーネントが、余分な流体148をブランケット124の表面から拭き取るか、または、乾燥するために、使用され得ることを、理解されたい。
【0028】
図1Bは、画像を水性インクで形成するプリンタにおいて使用される、洗浄デバイスの代替的な実施形態100’を図示する。プリンタ洗浄デバイス100’は、ブランケット124から落滴してよい流体
148を受けるための
筐体152内に置かれる、噴霧器122を含む。流体
148は、ろ過のためにフィルタ136に戻って提供され得る。噴霧器122は、流体148をブランケット124上へ噴霧し、ブランケット
124の表面上に材料160を水和させる。噴霧される流体の圧力は、ブランケット124の表面上に材料を水和させ、特定の材料160をブランケット124から除去するのに、十分である。材料160と流体148との混合物128は、筐体152から滑り落ちるか、または、筐体152の中へ落滴する。図示される実施形態において、アクチュエータ110は噴霧器122と動作可能に接続され、コントローラ114はアクチュエータ110と動作可能に接続されて、噴霧器を動作させる。ワイパー120は、上述したように、ブランケット124の表面と接触して、筐体152内に落滴するブランケット124からの流体148を除去する。ブランケット124がワイパー120を通過した後、エアナイフ、加熱乾燥器などのコンポーネント164が、ブランケット124の表面を追加的に乾燥させるために使用され得る。筐体152の底面の排水管162は、除去された混合物128をフィルタ136に迂回させ、インクおよび表面調整材料を流体148から分離する。ポンプ
144は、ろ過された流体148を噴霧器122に戻って向かわせる。
【0029】
図2は、
プリンタ洗浄デバイス100が使用される、例示的な
印刷システム200を図示する。塗工装置212は、
表皮をブランケット124の表面上に形成する、表面調整材料の層を塗布する。ブランケット124および塗布された材料は、特定の度合いまで乾燥器208を使用して乾燥される。乾燥器208は、エアナイフ、空気または熱をブランケット124上へ向かわせる加熱乾燥器、それらの組み合わせなどを含むが、それらに限定されない手法で、実現され得る。ブランケット124は、インクをブランケット124の表面上へ沈着させる撮像装置204を通過して、インク画像を形成する。別の乾燥器220が、インク画像を特定の度合いまで乾燥させるために使用される。その後、部分的に乾燥されたインク画像216は、ブランケット124および転写ローラ232により形成されるニップへ入り、インクを同期化された媒体へ転写して、インク画像がニップを通過する際にニップを通過する。その後、ブランケット124は、上述した
プリンタ洗浄デバイス100の発泡体、筐体、ワイパーと類似している、
プリンタ洗浄デバイス100の
洗浄部分106を通過する。発泡体は流体を画像受け入れ表面上へ沈着させ、流体およびインクの一部分を画像受信デバイスから除去し、上述したように、ワイパーは流体をブランケットから除去する。迂回された流体および材料
160は、筐体152の底面の排
水管162に回収され、ポンプ144は、除去された流体および材料を排
水管162から引き込んで、フィルタ136を介して、
分離容器140へ送られるインクおよび
表皮を除去するよう促す。ろ過された流体は、洗浄部分106の受容器へ戻される。さらに、フィルタ136は、洗浄された流体148を流体ソース228から受け、分離された材料をフィルタから戻って洗い流し、
分離容器140内へ向かわせる。転写ローラ保守システム102は、洗浄流体を塗布して
転写ローラ232を移動させ、排水管162に回収されて洗浄部分106から回収される流体および材料とろ過される、ローラからの残留材料を除去する。
【0030】
図3は、
プリンタ洗浄デバイス100を使用する例示的なプロセスを図示する。流体148は、ローラ104の内部
空間108内へ吸い上げられる(ステップ304)。コントローラ114はアクチュエータ110を動作させて、ブランケット124の表面をローラ104と係合させて、流体148の一部分をブランケット124上へ沈殿させる(ステップ308)。ローラ104は、ブランケット124の表面と反対に回転し続け、沈殿した流体148が、材料をブランケット124の表面に水和させ、特定の材料160をブランケット124の表面から除去できるようにする(ステップ312)。追加的に、ワイパー
120は、潜在的に、任意の余分な流体
148をブランケット124の表面から除去するために使用され得る。除去された流体
148と材料160との混合物128は、筐体152の底面の排
水管162内に回収および迂回される。除去された混合物128は、フィルタ136を介して搬送される。フィルタ136は、流体148を材料160と分離する。その後、ろ過された流体148は、ローラ104へ再使用のために、ポンプ144を使用して戻って提供される。その後、分離された材料は、廃棄のために
分離容器140内へ除去される。
【実施例】
【0031】
以下のプリンタ洗浄デバイス100の例は、本質的に例示的であると見なされ、如何なる点においても限定されない。
【0032】
実施例1
【0033】
図5は、ブランケットをUltra−Fine(FFULRG)
(商標)発泡体およびCapu−Cell親水性発泡体を使用して洗浄するのに必要な、負荷の例示的なプロットを図示する。この例において、本明細書において描写される例示的な
プリンタ洗浄デバイス100は、Ultra−Fine(FFULRG)発泡体およびCapu−Cell親水性発泡体と共に使用された。ブランケットの表面上のインクは、セ氏70度で2分間、半湿状態まで乾燥された。プロットのx軸は発泡体の種類を表し、プロットのy軸は、ブランケットの表面を洗浄するのに必要な負荷をg/mm
2で表す。
図5に図示されるように、ブランケットを洗浄するのに必要な負荷は、Ultra−Fine(FFULRG)発泡体およびCapu−Cell親水性発泡体の負荷より高い。2つの発泡体の孔の密度は類似しているため、洗浄負荷の差異は、Ultra−Fine(FFULRG)発泡体よりも、親水性のCapu−Cell発泡体を使用するインクの付着度が高いことに起因し得る。
【0034】
実施例2
【0035】
図6は、ブランケットを異なる発泡体を使用して洗浄するための負荷の別の例示的なプロットを図示する。この例において、本明細書に記載される例示的な
プリンタ洗浄デバイス100は、FCOS60
(商標)発泡体、FFULTRG発泡体、FCOS80
(商標)発泡体、Capu−Cell発泡体、およびGold発泡体
(商標)と共に使用された。これらの発泡体は、セ氏70度で60分間、乾燥し過ぎた状態まで乾燥させたインクで(線604)、および、セ氏70度で2分間、半湿状態まで乾燥させたインクで(線608)、テストされた。プロットのx軸は発泡体の種類を表し、プロットのy軸はブランケット表面を洗浄するのに必要な負荷をg/cmで表す。
図6に図示されるように、異なる発泡体は、インクをブランケットの表面から洗浄するのに必要な負荷が異なる。さらに、
図6に図示されるように、乾燥し過ぎたインクは、インクをブランケットの表面から洗浄するのに必要な負荷が増大するため、インクの洗浄が困難になる。
【0036】
実施例3
【0037】
図7は、ブランケットを、異なる発泡体およびワイパ
ーを使用して洗浄するための負荷の別の例示的なプロットを図示する。この例において、本明細書に記載される例示的な
プリンタ洗浄デバイス100は、ウレタン洗浄ブレード、FCOS70
(商標)発泡体、FFULTRG発泡体、FCOS80発泡体、Capu−Cell発泡体、およびGold発泡体と共に、使用された。これらの発泡体およびブレードは、セ氏70度で60分間、乾燥し過ぎた状態まで乾燥されたインクで(線704)、および、セ氏70度で2分間、半湿状態まで乾燥されたインクで(線708)、テストされた。プロットのx軸は発泡体の種類を表し、プロットのy軸は、ブランケットの表面を洗浄するのに必要な負荷をg/cmで表す。
図5に図示されるように、半湿状態まで(すなわち、セ氏70度で2分間)乾燥されたインクに対して、ブレードは約75g/cmの負荷が必要である。約100ppi(1インチ当たりの孔)より多い孔の密度を有する、GoldおよびCapu−Cell発泡体は、洗浄するために必要な負荷が非常に小さい。FCOS70発泡体は、約70ppiであり得る低い孔の密度に起因して、洗浄するために必要な負荷が非常に高い。FCOS80発泡体は、約80ppiであり得る高い孔の密度に起因して、洗浄するための負荷が、ブレードよりも少し低く、FCOS70発泡体よりも非常に低い。約100ppiよりも高い孔の密度を有する、FFULTRG発泡体は、ブレードよりも高い洗浄負荷を有する。
【0038】
実施例4
【0039】
図8は、例示的な
プリンタ洗浄デバイス100におけるニップの幅を図示する例示的なプロットを図示する。この例において、本明細書に記載される例示的な
プリンタ洗浄デバイス100は、Gold発泡体と共に異なるニップの幅を使用して、使用された。この発泡体は、46mmのニップ幅(線804)、38mmのニップ幅(線808)、および22mmのニップ幅(線812)でテストされた。プロットのx軸は、ブランケットの表面を洗浄するのに必要な負荷をg/mm
2で表し、プロットのy軸は、ブランケットの表面を洗浄するのに必要な負荷をg/cmで表す。平坦な発泡体パッドは、ニップ幅として使用された。これらの平坦な発泡体パッドは、異なる回転速度で動作する定着ニップローラと同等であった。
図8に図示されるように、高い洗浄負荷が、22mmの最低のニップ幅で洗浄するために必要である(線812)。46mmおよび38mmの2つの高いニップ幅は、類似の洗浄負荷を有する。さらに
図8に図示されるように、ニップ幅が十分に大きい場合、さらなるニップ幅の増大に起因して洗浄負荷が低減されることから生じる利益はほとんどない。この相関は、発泡体のインク保持能力に起因し得る。短いニップはインクで満たされ、一部にニップを通過させる。短いニップで洗浄するために、負荷は、さらにインクを発泡体の孔内へ向かわせ、効率的な孔の密度をブランケットに対する発泡体の圧力を高めることにより向上させるために、増大され得る。長いニップ幅は、低い発泡体圧縮で、すなわち、負荷で、大きなインク保持能力を提供する。効率的な孔の密度およびニップ幅を増大させる別の手法は、ローラを高速でブランケットの移動の方向に反して回転させることにより得る。速度が速いと、ローラニップを介して移動する際にブランケット上の地点が関わる孔の数が増大し、インクがニップの外側へ出る割合を高める。