特許第6581924号(P6581924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581924
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】タッチパッド入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20190912BHJP
【FI】
   G06F3/0354 453
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-43076(P2016-43076)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161967(P2017-161967A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】細野 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】村上 孝博
(72)【発明者】
【氏名】四戸 昭浩
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−102703(JP,A)
【文献】 特表2012−504275(JP,A)
【文献】 特開2006−099631(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/186569(WO,A1)
【文献】 特開2014−199526(JP,A)
【文献】 特開2013−164699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知電極を有する基板に表面板が重ねられたセンサユニットと、前記センサユニットで押されるプッシュスイッチとを備え、カバー部材に形成された開口部に前記表面板が現れているタッチパッド入力装置において、
前記基板の下側に支持台が設けられ、前記支持台は、その一辺に沿って前記基板に向けて隆起成形された突部を有し、前記基板の一部が、前記表面板と重ならない固定部とされて、前記固定部が前記カバー部材の下面と前記突部との間に挟まれて固定され、
前記支持台の前記一辺と対向する他辺に沿って、前記カバー部材の下面から前記支持台に向けて突出する台座部が設けられ、前記支持台が前記台座部の下面に固定されており、
前記プッシュスイッチが、前記突部よりも前記台座部に近い位置で前記基板と前記支持台との間に設けられ、前記基板は、前記固定部側を支点として前記プッシュスイッチを押す方向へ弾性的に曲げ変形可能とされていることを特徴とするタッチパッド入力装置。
【請求項2】
前記固定部に形成された孔と前記突部に形成された孔とに挿入された締結部材によって、前記基板および前記支持台が前記カバー部材の下面に固定され、
前記支持台の前記他辺の近傍に形成された他の孔に挿入された他の締結部材によって、前記支持台が前記台座部の下面に固定されている請求項1記載のタッチパッド入力装置。
【請求項3】
矩形状の前記基板の1辺に沿って前記固定部が設けられている請求項1または2記載のタッチパッド入力装置。
【請求項4】
前記表面板は、前記固定部を避けた位置に設けられて、前記表面板の全面が前記開口部に現れている請求項3記載のタッチパッド入力装置。
【請求項5】
前記支持台が矩形状である請求項1ないし4のいずれかに記載のタッチパッド入力装置。
【請求項6】
前記支持台は導電性材料で形成されており、前記基板の裏面に設けられた接地パターンが前記支持台に接触している請求項1ないし5のいずれかに記載のタッチパッド入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばノートパソコンなどに搭載されるタッチパッド入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたタッチセンサモジュールは、タッチセンサ(回路基板)に表面板が重ねられており、筐体に形成された開口に前記表面板が現れた構造となっている。特許文献1に記載されたタッチセンサモジュールでは、タッチセンサの下側と筐体の底板部との間に弾性部材が設けられており、表面板が押されると、弾性部材を支点として表面板とタッチセンサが上下動可能となっている。
【0003】
特許文献2には、ノートパソコンなどの電子機器の本体ケースに、タッチパッドの操作面が露出するように取り付けられたタッチパッド入力装置が開示されている。このタッチパッド入力装置では、タッチパッドが操作板と検出基板とを有している。また、操作板と検出基板とを有するタッチパッドは、本体ケースの天井面に固定された支持板に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−198067号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたタッチセンサモジュールでは、筐体の底板部に取り付けられた弾性部材の上にタッチセンサが設けられ、タッチセンサの上に重ねて表面板が設けられている。そのため、弾性部材、タッチセンサおよび表面板のそれぞれの部材の公差が積み上げられることになり、表面板の表面(操作面)の上下方向のばらつきが大きくなる。また、弾性部材、タッチセンサおよび表面板のそれぞれの部材を貼り合わせる粘着材料などの厚さのばらつきによっても、表面板の表面の上下方向の位置にばらつきが生ずる。したがって、表面板の表面の上下方向の位置と、筐体の表面の上下方向の位置と、の間の距離に大きなばらつきが生じることになり、外観の品位が低下することがある。
【0006】
特許文献2に記載されたタッチパッド入力装置では、本体ケースの天井面に固定された支持板の上に検出基板が設けられ、検出基板の上に重ねて操作板が設けられている。そのため、検出基板および操作板のそれぞれの部材の公差が積み上げられることにより、操作板の表面の上下方向の位置にばらつきが生ずる。そのため、操作板の表面の上下方向の位置と、筐体の表面の上下方向の位置と、の間の距離に大きなばらつきが生じることになり、外観の品位が低下することがある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、操作面の上下方向の位置のばらつきを抑え、操作面の上下方向の位置と、カバー部材の表面の上下方向の位置と、の間の距離のばらつきを抑えることができるタッチパッド入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、検知電極を有する基板に表面板が重ねられたセンサユニットと、前記センサユニットで押されるプッシュスイッチとを備え、カバー部材に形成された開口部に前記表面板が現れているタッチパッド入力装置において、
前記基板の下側に支持台が設けられ、前記支持台は、その一辺に沿って前記基板に向けて隆起成形された突部を有し、前記基板の一部が、前記表面板と重ならない固定部とされて、前記固定部が前記カバー部材の下面と前記突部との間に挟まれて固定され、
前記支持台の前記一辺と対向する他辺に沿って、前記カバー部材の下面から前記支持台に向けて突出する台座部が設けられ、前記支持台が前記台座部の下面に固定されており、
前記プッシュスイッチが、前記突部よりも前記台座部に近い位置で前記基板と前記支持台との間に設けられ、前記基板は、前記固定部側を支点として前記プッシュスイッチを押す方向へ弾性的に曲げ変形可能とされていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のタッチパッド入力装置は、矩形状の前記基板の1辺に沿って前記固定部が設けられているものとして構成できる。
【0011】
この場合に、前記表面板は、前記固定部を避けた位置に設けられて、前記表面板の全面が前記開口部に現れているものとなる。
【0017】
また本発明のタッチパッド入力装置は、前記支持台は導電性材料で形成されており、前記基板の裏面に設けられた接地パターンが前記支持台に接触しているものが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、基板の一部に表面板と重ならない固定部を形成し、この固定部をカバー部材の下面に固定し、前記表面板の全面をカバー部材の開口部に露出させている。基板の一部である前記固定部は、カバー部材の下面に直接に突き当てられて固定され、あるいは、前記固定部は厚さ寸法が管理されたスペーサなどを介して前記カバー部材の下面に固定される。したがって、表面板の高さ位置は、カバー部材の下面を基準とて高精度な位置に、すなわち公差の累積を最少にして設定できる。そのため、表面板の表面とカバー部材の上面との段差のばらつきを最小にできるようになる。
【0019】
また、センサユニットが押されたときには、基板の弾性変形で、センサユニットが下降するようになる。センサユニットの動作を基板の弾性変形で実現できるようにしたため、他の弾性部材を設ける必要がなくなり、特許文献1に記載のようにセンサユニットを弾性部材で支持しているものに比べて、表面板の表面の高さ位置をすくないばらつきで高精度に設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチパッド入力装置がノートパソコンに搭載された場合を例示する全体斜視図である。
図2】本実施形態に係るタッチパッド入力装置がカバー部材に取り付けられた状態を表す外観斜視図である。
図3】本実施形態に係るタッチパッド入力装置を分解して表した分解図である。
図4図2に表した切断面C4−C4における断面図である。
図5図4に表した領域A11を拡大して表した拡大図である。
図6図4に表した領域A12を拡大して表した模式的拡大図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るタッチパッド入力装置を分解して表した分解図である。
図8図7に示す実施形態の変形例を示すものであり、図7におけるE−E切断面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、各図では、X1が左方向、X2が右方向、Y1方向が支持端側、Y2方向が自由端側、Z1が上方向、Z2が下方向である。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパッド入力装置がノートパソコンに搭載された場合を例示する模式的斜視図である。
【0023】
本実施形態に係るタッチパッド入力装置10は、例えばノートパソコンなどの電子機器のカバー部材70の所定位置(例えばパームレストなど)に取り付けられる。このとき、タッチパッド入力装置10の表面板120は、その全面が、カバー部材70の開口部71(図3参照)から露出する。例えば、タッチパッド入力装置10は、ノートパソコンなどの電子機器において画面のカーソル移動などに利用される。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパッド入力装置がカバー部材に取り付けられた状態を表す外観斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係るタッチパッド入力装置を分解して表した分解図である。
図4は、図2に表した切断面C4−C4における断面図である。
図5は、図4に表した領域A11を拡大して表した拡大図である。
図6は、図4に表した領域A12を拡大して表した拡大図である。
【0025】
図2に表したように、第1の実施形態に係るタッチパッド入力装置10は、タッチパッド入力装置10の表面板120がカバー部材70の開口部71から露出した状態で、カバー部材70に取り付けられる。
【0026】
図3に表したように、本実施形態に係るタッチパッド入力装置10は、センサユニット130と、支持台140と、を備える。支持台140は、図1に示すノートパソコンに設けられたキーボード装置などを支持する支持基板の一部であり、金属製である。センサユニット130は、基板110と、表面板120と、を有し、静電容量の変化に基づいて表面板120に接触または近接する指などのような接地電位や所定の電位を有する操作体の位置を検出する。
【0027】
基板110は、合成樹脂を含む絶縁材料により形成された矩形状すなわち長方形または正方形の基板である。基板110の一部には、支持側(Y1側)でX方向に延びる1辺に沿って中央固定部111が設けられている。中央固定部111はY方向に所定の幅寸法を有しX方向に延びる長方形の領域である。中央固定部111に孔117が形成されている。図3に表したように、基板110の中央固定部111には、3つの孔117が形成されている。なお、孔117の数は、特には限定されない。
【0028】
基板110の表面(上面)113には、図示しない複数のX検知電極と複数のY検知電極が設けられている。X検知電極とY検知電極は、交差しており交差部分で絶縁されている。センサユニット130では、X検知電極とY検知電極の相互容量の変化によって、操作体による操作位置がX−Y座標上で検知される。図4に表したように、基板110の裏面(下面)114には、プッシュスイッチ151と、例えばICなどの電子部品153が設けられている。裏面114には導体パターンが設けられているが、導体パターンの一部で接地パターン155が形成されている。電子部品153は、表面板120に接触または近接する操作体の位置を検出する位置検出回路の一部として設けられている。接地パターン155は、例えば金属などの導電性材料により形成され、支持台140に接触している。図4に示す実施の形態では、プッシュスイッチ151が基板110の裏面114に固定されているが、プッシュスイッチ151は、支持台140側に固定されていてもよい。
【0029】
表面板120は、基板110の表面113に重ねて設けられている。具体的には、図3および図4に表したように、表面板120は、基板110の中央固定部111以外の部分に重ねて設けられている。表面板120は、例えばガラスあるいは合成樹脂を含む絶縁材料により形成された略直方体の板である。表面板120の表面(上面)121は、操作面に相当する。
【0030】
支持台140は、カバー部材70の下側、具体的には基板110の下側に設けられている。図3および図4に表したように、支持台140には、突部143が上向きに隆起成形されている。突部143は、基板110の中央固定部111の下側に配置され、基板110の中央固定部111を支持する。突部143には、3つの孔145が形成されている。支持台140において、突部143とは反対側の端部には、3つの孔146が形成されている。なお、孔145および孔146の数は、特には限定されない。
【0031】
図4図5に表したように、タッチパッド入力装置10がカバー部材70に取り付けられた状態で、基板110の孔117および支持台140の孔145に挿入された締結部材161によって、基板110および支持台140がカバー部材70の裏面(下面)73に固定される。図4図6に示すように、タッチパッド入力装置10がカバー部材70に取り付けられた状態で、支持台140の孔146を通された締結部材161により、支持台140がカバー部材70の裏面73に設けられた台座部74に固定される。
【0032】
プッシュスイッチ151は、押されることで入力操作あるいは選択操作を検出する。すなわち、センサユニット130が、図4に表した矢印A1の方向に押されると、基板110の弾性を利用して下方へ移動する。具体的には、センサユニット130は、基板110の中央固定部111が、支持台140の突部143に固定されている領域を支点として弾性的に曲げ変形する。この変形により、プッシュスイッチ151が、支持台140に設けられた受け部141に押し付けられ、入力操作あるいは選択操作を検出する。
【0033】
基板110および支持台140の取付け構造について、図5および図6を参照しつつさらにくわしく説明する。
【0034】
図5に表したように、基板110の中央固定部111では、基板110の表面113がカバー部材70の裏面73を基準として取り付けられている。すなわち、基板110の表面113がカバー部材70の裏面73に固定されている。ここでの「固定」とは、基板110の表面113がカバー部材70の裏面73に直接に突き当てられていることが好ましいが、基板110の表面113とカバー部材70の裏面73との間に、厚さが管理されて高精度に形成されたスペーサなどを介在させる固定も含まれる。また、図6に表したように、プッシュスイッチ151は、基板110の中央固定部111から離れた位置において基板110の下側に設けられている。
【0035】
例えば、支持台の上やカバー部材の底部の上に弾性部材や基板が設けられ、その基板の上に表面板が設けられている場合には、支持台、弾性部材、基板、表面板およびカバー部材のそれぞれの公差が積み上げられる。その結果、表面板の表面(操作面)の上下方向に位置にばらつきが生ずる。また、各部材を貼り合わせる粘着材料等の厚さのばらつきにより、表面板の表面(操作面)の上下方向に位置にばらつきが生ずる。その結果、表面板の表面の上下方向の位置と、カバー部材の表面の上下方向の位置と、の間にばらつきが生じ、外観の品位が低下することがある。
【0036】
これに対して、図5に表したように、本実施形態に係るタッチパッド入力装置10では、基板110の中央固定部111では、基板110の表面113がカバー部材70の裏面73を基準としてカバー部材70に取り付けられている。言い換えれば、カバー部材70は、基板110の表面113に重ねて設けられている。また、表面板120は、基板110の表面113に重ねて設けられている。つまり、表面板120は、カバー部材70の裏面73を基準としてカバー部材70に取り付けられた基板110の表面113に重ねて設けられている。このように、本実施形態に係るタッチパッド入力装置10では、表面板120およびカバー部材70は、基板110の表面113を基準にして基板110に取り付けられている。
【0037】
本実施形態に係るタッチパッド入力装置10によれば、基板110の表面113からみたときに、表面板120の表面121の上下方向の位置は、表面板120の厚さの公差のみに依存する。よって、基板110の表面113からみたときの表面板120の表面121の上下方向の位置のばらつきを抑えることができる。また、基板110の表面113からみたときに、カバー部材70の表面72の上下方向の位置は、カバー部材70の厚さの公差のみに依存する。よって、基板110の表面113からみたときのカバー部材70の表面72の上下方向の位置のばらつきを抑えることができる。これにより、表面板120の表面121の上下方向の位置と、カバー部材70の表面72の上下方向の位置と、の間の距離D1のばらつきを抑えることができる。また、これにより、外観の品位が低下することを抑えることができる。
【0038】
図5に表したように、基板110の中央固定部111は、支持台140の突部143と、カバー部材70と、の間に設けられている。これにより、基板110の中央固定部111は、支持台140とカバー部材70とに挟まれて固定されている。
【0039】
また、図5に表したように、表面板120は、基板110の中央固定部111に設けられていない。言い換えれば、表面板120は、基板110の中央固定部111を避けた部分に重ねて設けられている。これにより、基板110の中央固定部111は、表面板120とは重複せず、支持台140とカバー部材70との間に、より広い範囲で挟まれて支持される。そのため、基板110の中央固定部111をより確実に支持することができる。
【0040】
図1図4に関して前述したように、センサユニット130は、基板110の中央固定部111が、支持台140の突部143を支点として弾性的に曲げ変形することで傾くことができ、基板110の弾性を利用してプッシュスイッチ151を押す方向へ移動する。これにより、支持台140と基板110との間には、弾性を有するラバーなどを設ける必要がない。そのため、弾性を有するラバーなどの公差が積み上げられることがなく、基板110の表面113からみたときの表面板120の表面121の上下方向の位置のばらつきをより抑えることができる。また、タッチパッド入力装置10の小型化やコスト低減を図ることができる。さらに、支持台140の突部143は、ヒンジ部として機能する。そのため、操作感を維持しつつ、基板110の表面113からみたときの表面板120の表面121の上下方向の位置のばらつきをより抑えることができる。
【0041】
また、接地パターン155を基板110の中央固定部111のZ2方向に向く裏面まで延ばして形成しておくと、中央固定部111が、カバー部材70と支持台40との間で挟まれた状態で、接地パターン155を、金属製の支持台140に接触させて導通させることができる。これにより、接地パターン155を引き出す配線を設けることなく、接地パターン155を接地電位に設定することができる。
【0042】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパッド入力装置を分解して表した的分解図である。
【0043】
図7に表したように、第2の実施形態に係るタッチパッド入力装置10Aは、センサユニット130Aと、支持台140Aと、受け部材170と、を備え、例えばノートパソコンなどの電子機器のカバー部材70Aの所定位置(例えばパームレストなど)に取り付けられる。センサユニット130Aは、基板110Aと、表面板120Aと、を有し、静電容量の変化に基づいて表面板120Aに接触または近接する指などの操作体の位置を検出する。
【0044】
基板110Aは、矩形状すなわち長方形または正方形である。基板110Aには、Y1側の支持側端部において左右(X1−X2方向)の両側に小片が延長して延びている。基板の一部である延長部は、左側(X1側)に延びる第1の側方固定部115と、右側(X2側)に延びる第2の側方固定部116となっている。基板110Aでは、第1の側方固定部115および第2の側方固定部116のそれぞれに孔117が形成されている。
【0045】
表面板120Aは、基板110Aの表面113に重ねて設けられている。図7に表したように、表面板120Aは、基板110Aにおいて第1の側方固定部115および第2の側方固定部116を除くほぼ全領域に重ねられている。そのため、第1の側方固定部115および第2の側方固定部116は、表面板120Aから左右両側に露出している。
【0046】
支持台140Aは、カバー部材70Aの下側、具体的には基板110Aの下側に設けられ、センサユニット130Aを支持している。支持台140Aには、左側に位置する第1の側方支持部147と、右側に位置する第2の側方支持部148が設けられている。支持台140Aでは、第1の側方支持部147と第2の側方支持部148のそれぞれに孔145が形成されている。
【0047】
タッチパッド入力装置10Aはカバー部材70Aに対して下側から取り付けられる。基板110Aの孔117および支持台140Aの孔145に挿入された締結部材161(図4参照)によって、基板110Aおよび支持台140Aが、カバー部材70Aの裏面73(図4参照)に固定される。基板110Aの第1の側方固定部115および基板110Aの第2の側方固定部116は、カバー部材70Aに突き当てられ固定される。また、タッチパッド入力装置10Aがカバー部材70Aに取り付けられた状態では、支持台140Aの孔146を通された締結部材161によって、支持台140Aが、カバー部材70Aの裏面73に設けられた台座部74(図4参照)に固定される。
【0048】
図7に示すように、基板110Aの支持端部と支持台140Aとの間に受け部材170が挟まれている。受け部材170は、支持台140Aの第1の側方支持部147と基板110Aの第1の側方固定部115との間に挟まれ、第2の側方支持部148と第2の側方固定部116との間に挟まれて固定されている。したがって、基板110Aの支持側(Y1側)の端部と、支持台140Aとの間にも受け部材179が挟まれている。
タッチパッド入力装置10Aの他の構造、ならびに表面板120A、基板110Aおよび支持台140Aなどの各部材の他の構造は、図1図6に関して前述した通りである。
【0049】
図7に示す第2の実施形態のタッチパッド入力装置10Aでは、基板110Aのうちの第1の側方固定部115および右側に延びた第2の側方固定部116を除くほぼ全域に表面板120Aが重ねられており、表面板120Aの全面が、カバー部材70Aの開口部71内に位置している。したがって、カバー部材70の下側において、基板110Aが、開口部71のY1側の縁部からさらにY1方向へ大きく突出することがなくなり、カバー部材70Aの下側において開口部71のY1側の縁部よりもさらにY1側の領域を有効に利用することができる。例えば、キーボード装置の基板や、キーボード装置に設けられたポインティングデバイスの回路基板などを開口部71のY1側の縁部に接近させて配置することが可能になる。
【0050】
図7に示すタッチパッド入力装置10Aでは、センサユニット130Aが下向きに押されたときに、基板110Aの第1の側方固定部115と第2の側方固定部116が変形できるようになる。すなわち、基板110Aは表面板120Aが重ねられていない領域である第1の側方固定部115と第2の側方固定部116が弾性的に捩じり変形することで、センサユニット130Aが下方へ移動してプッシュスイッチ151が動作させられるようになる。
【0051】
図7に示すタッチパッド入力装置10Aにおいても、基板110Aの表面である第1の側方固定部115と第2の側方固定部116の表面が、カバー部材70Aの下面を基準として組み付けられているため、表面板120Aの表面(操作面)とカバー部材70Aの上面との段差のばらつきを小さくできる。
【0052】
図8図7に示すタッチパッド入力装置10Aの変形例を示しており、図7におけるE−E切断面で切断した断面図に相当している。
図8では、受け部材170に上向きの支持突起171が設けられており、基板110Aにおける第1の側方固定部115と第2の側方固定部116との中間部分の下面が支持突起171に突き当てられて支持されている。この構造では、センサユニット130Aが下向きに押されたときに、第1の側方固定部115と第2の側方固定部116との中間部分でセンサユニット130が下向きに撓むのを阻止できるようになる。
【符号の説明】
【0053】
10 タッチパッド入力装置
10A タッチパッド入力装置
70 カバー部材
70A カバー部材
71 開口部
72 表面
73 裏面
74 台座部
75 支持突起部
110 基板
110A 基板
111 中央固定部
113 表面
114 裏面
115 第1の側方固定部
116 第2の側方固定部
117 孔
120 表面板
120A 表面板
121 表面
130 センサユニット
130A センサユニット
140 支持台
140A 支持台
141 受け部
143 突部
145 孔
146 孔
147 第1の側方固定部
148 第2の側方固定部
151 プッシュスイッチ
153 電子部品
155 接地パターン
161 締結部材
170 受け部材
171 支持突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8