特許第6581930号(P6581930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6581930基地局同期装置、基地局装置、基地局同期方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581930
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】基地局同期装置、基地局装置、基地局同期方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20190912BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H04W56/00 110
   H04L7/00 990
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-54570(P2016-54570)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-169150(P2017-169150A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 葉子
(72)【発明者】
【氏名】太田 龍治
(72)【発明者】
【氏名】村上 隆秀
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−79445(JP,A)
【文献】 特開2000−357988(JP,A)
【文献】 特開2013−118684(JP,A)
【文献】 特開2015−211370(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/194518(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04L 7/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期装置において、
基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信部と、
前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出部と、
前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信部と、
前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正部と、
前記同期信号抽出部が抽出した同期信号を第2の前記基地局装置へ送信する同期信号送信部と、
前記補正部が補正した結果の時刻信号を前記第2の基地局装置へ送信する時刻信号送信部と、を備え、
前記時刻信号受信部は、
地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナと、
前記TVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信する地上デジタルテレビ放送信号受信部と、
前記地上デジタルテレビ放送信号受信部が受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する時刻信号抽出部と、を備える、
基地局同期装置。
【請求項2】
端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの前記基地局装置において、
自基地局装置とは異なる他の前記基地局装置であって基準の時刻信号を使用する他の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信部と、
前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出部と、
前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信部と、
前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正部と、を備え、
前記時刻信号受信部は、
地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナと、
前記TVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信する地上デジタルテレビ放送信号受信部と、
前記地上デジタルテレビ放送信号受信部が受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する時刻信号抽出部と、を備える、
基地局装置。
【請求項3】
端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期方法において、
無線信号受信部が、基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信ステップと、
同期信号抽出部が、前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出ステップと、
時刻信号受信部が、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信ステップと、
補正部が、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正ステップと、
第2の前記基地局装置が、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号を取得する同期信号取得ステップと、
前記第2の基地局装置が、前記補正部が補正した結果の時刻信号を取得する時刻信号取得ステップと、を含む基地局同期方法であって、
前記時刻信号受信部は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、
基地局同期方法。
【請求項4】
端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期装置のコンピュータに、
基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信機能と、
前記無線信号受信機能が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出機能と、
前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信機能と、
前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号と前記時刻信号受信機能が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正機能と、
前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号を第2の前記基地局装置へ送信する同期信号送信機能と、
前記補正機能が補正した結果の時刻信号を前記第2の基地局装置へ送信する時刻信号送信機能と、を実現させるためのコンピュータプログラムであって、
前記時刻信号受信機能は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、
コンピュータプログラム。
【請求項5】
端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの前記基地局装置のコンピュータに、
自基地局装置とは異なる他の前記基地局装置であって基準の時刻信号を使用する他の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信機能と、
前記無線信号受信機能が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出機能と、
前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信機能と、
前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号と前記時刻信号受信機能が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正機能と、を実現させるためのコンピュータプログラムであって、
前記時刻信号受信機能は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局同期装置、基地局装置、基地局同期方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に無線通信システムでは、端末装置と無線通信する複数の基地局装置が同期することによって、通信サービスを提供している。また、複数の基地局装置から同時刻にデータを端末装置へ送信することによってユーザへ提供するサービスとして、例えば、位置情報サービス(LCS:Location Service)、eMBMS(enhanced Multimedia Broadcast/Multicast Service)、「CS Fallback(Circuit Switch Fallback to 1x Radio Transmission Technology)」などが知られている。
【0003】
特許文献1には、無線通信システムに備わる複数の基地局装置が同じ時刻を共有するための従来技術が開示されている。特許文献1の従来技術では、GPS(Global Positioning System)信号を受信可能な状態にある基地局装置をマスター基地局に決定し、マスター基地局がGPS信号からToD(Time of Day)情報を生成し、マスター基地局からマスター基地局以外の基地局装置へToD情報を送信している。GPS信号は、ToD情報と1pps(Pulse Per Second)信号とを含む。ToD情報で示される時刻の正確なタイミングは1pps信号により示される。これにより、特許文献1の従来技術によれば、GPS信号からToD情報を生成する際に、該GPS信号に含まれる1pps信号を使用することによって、ToD情報で示される時刻のタイミングを正確に合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5316957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術では、マスター基地局がGPS信号からToD情報を生成してマスター基地局以外の基地局装置へ送信するので、マスター基地局のToD情報の配信の負担が重くなる可能性があった。一方、GPS信号を受信できない状態にある基地局装置は、GPS信号からToD情報を生成することができない。
【0006】
この対処として、GPS信号を受信できない状態にある基地局装置は、GPS信号以外の他の時刻信号を使用することが考えられる。しかしながら、GPS信号以外の他の時刻信号はGPS信号から生成されたToD情報とは同期しないことが想定される。すると、GPS信号以外の他の時刻信号を使用する基地局装置と、GPS信号から生成されたToD情報を使用する基地局装置とでは時刻の同期の精度が悪いために、複数の基地局装置から同時刻にデータを端末装置へ送信することによってユーザへ提供するサービスを実施できない可能性があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、GPS信号等の基準の時刻信号を使用する基地局装置と、基準の時刻信号以外の他の時刻信号を使用する基地局装置とで時刻の同期の精度を向上させることができる基地局同期装置、基地局装置、基地局同期方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期装置において、基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信部と、前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出部と、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信部と、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正部と、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号を第2の前記基地局装置へ送信する同期信号送信部と、前記補正部が補正した結果の時刻信号を前記第2の基地局装置へ送信する時刻信号送信部と、を備え、前記時刻信号受信部は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナと、前記TVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信する地上デジタルテレビ放送信号受信部と、前記地上デジタルテレビ放送信号受信部が受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する時刻信号抽出部と、を備える、基地局同期装置である。
【0009】
(2)本発明の一態様は、端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの前記基地局装置において、自基地局装置とは異なる他の前記基地局装置であって基準の時刻信号を使用する他の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信部と、前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出部と、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信部と、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正部と、を備え、前記時刻信号受信部は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナと、前記TVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信する地上デジタルテレビ放送信号受信部と、前記地上デジタルテレビ放送信号受信部が受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する時刻信号抽出部と、を備える、基地局装置である。
【0010】
(3)本発明の一態様は、端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期方法において、無線信号受信部が、基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信ステップと、同期信号抽出部が、前記無線信号受信部が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出ステップと、時刻信号受信部が、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信ステップと、補正部が、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号と前記時刻信号受信部が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正ステップと、第2の前記基地局装置が、前記同期信号抽出部が抽出した同期信号を取得する同期信号取得ステップと、前記第2の基地局装置が、前記補正部が補正した結果の時刻信号を取得する時刻信号取得ステップと、を含む基地局同期方法であって、前記時刻信号受信部は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、基地局同期方法である。
【0011】
(4)本発明の一態様は、端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの基地局同期装置のコンピュータに、基準の時刻信号を使用する第1の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信機能と、前記無線信号受信機能が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出機能と、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信機能と、前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号と前記時刻信号受信機能が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正機能と、前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号を第2の前記基地局装置へ送信する同期信号送信機能と、前記補正機能が補正した結果の時刻信号を前記第2の基地局装置へ送信する時刻信号送信機能と、を実現させるためのコンピュータプログラムであって、前記時刻信号受信機能は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、コンピュータプログラムである。
【0012】
(5)本発明の一態様は、端末装置と無線通信する複数の基地局装置を備える無線通信システムの前記基地局装置のコンピュータに、自基地局装置とは異なる他の前記基地局装置であって基準の時刻信号を使用する他の前記基地局装置から無線信号を受信する無線信号受信機能と、前記無線信号受信機能が受信した無線信号から、前記基地局装置の同期に使用される同期信号を抽出する同期信号抽出機能と、前記基準の時刻信号以外の他の時刻信号を受信する時刻信号受信機能と、前記同期信号抽出機能が抽出した同期信号と前記時刻信号受信機能が受信した時刻信号とのタイミングのずれを補正する補正機能と、を実現させるためのコンピュータプログラムであって、前記時刻信号受信機能は、地上デジタルテレビ放送信号を含むTV信号を受信するTVアンテナを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信し、受信した地上デジタルテレビ放送信号から時刻信号を抽出する、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、GPS信号等の基準の時刻信号を使用する基地局装置と、基準の時刻信号以外の他の時刻信号を使用する基地局装置とで時刻の同期の精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る無線通信システム1を示す構成図である。
図2】一実施形態に係る補正部15の動作の説明図である。
図3】一実施形態に係る基地局同期方法のフローチャートである。
図4】一実施形態に係る時刻信号受信部14の構成例を示す図である。
図5】一実施形態に係る時刻信号受信部14の構成例を示す図である。
図6】一実施形態に係る無線通信システム1aを示す構成図である。
図7】一実施形態に係る基地局同期方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1を示す構成図である。図1において、無線通信システム1は、複数の基地局装置BS1,BS2と、端末装置MSと、基地局同期装置10とを備える。基地局装置BS1,BS2は、端末装置MSと無線通信する。
【0017】
基地局装置BS1は、人工衛星100が送信するGPS信号を受信することができる。GPS信号を受信することができる複数の基地局装置BS1は、GPS信号に含まれるToD情報と1pps信号とを使用して、1pps信号に同期した同じ時刻を共有することができる。一方、基地局装置BS2は、人工衛星100が送信するGPS信号を受信することができない。基地局装置BS2は、例えば、地下や建物内部など、人工衛星100が送信した電波が届かない場所に設置されている。このため、基地局装置BS2は、GPS信号を使用して、1pps信号に同期した同じ時刻を基地局装置BS1と共有することができない。
【0018】
基地局同期装置10は、無線信号受信部11と、同期信号抽出部12と、同期信号送信部13と、時刻信号受信部14と、補正部15と、時刻信号送信部16と、を備える。基地局同期装置10と基地局装置BS2とは、同軸ケーブル等の通信ケーブルで接続されている。
【0019】
無線信号受信部11は、アンテナANTを備える。無線信号受信部11は、アンテナANTを介して、基地局装置BS1から無線信号を受信する。同期信号抽出部12は、無線信号受信部11が受信した無線信号から、同期信号Aを抽出する。同期信号送信部13は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aを基地局装置BS2へ送信する。また、同期信号送信部13は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aを補正部15へ出力する。
【0020】
同期信号Aは、無線通信システム1の基地局装置の同期に使用される信号である。同期信号Aは、基地局装置BS1によって、GPS信号に含まれる1pps信号から生成される。したがって、同期信号Aは、GPS信号に含まれる1pps信号に同期している。基地局装置BS1は、同期信号Aを含む無線信号を送信する。同期信号Aを含む無線信号は、アンテナANTを介して無線信号受信部11で受信される。同期信号抽出部12によって無線信号から抽出された同期信号Aは、同期信号送信部13によって基地局装置BS2へ送信される。基地局装置BS2は、基地局同期装置10から同期信号Aを受信する。基地局装置BS2は、基地局同期装置10から受信した同期信号Aによって、基地局装置BS1と同期を取ることができる。
【0021】
時刻信号受信部14は、外部装置110から時刻信号を受信する。外部装置110は、無線通信システム1の外部に設けられている。外部装置110は無線通信システム1の外部に設けられているので、外部装置110が送信する時刻信号は同期信号Aと同期していない。時刻信号受信部14は、外部装置110から受信した時刻信号B1を補正部15へ出力する。補正部15は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aと時刻信号受信部14が受信した時刻信号B1とのタイミングのずれを補正する。補正部15は、該補正後の時刻信号B2を時刻信号送信部16へ出力する。時刻信号送信部16は、補正部15が補正した結果の時刻信号B2を基地局装置BS2へ送信する。
【0022】
時刻信号B2は、補正部15によって、同期信号Aとのタイミングのずれが補正されている。したがって、時刻信号B2は、同期信号Aに同期している。これにより、基地局装置BS2は、基地局同期装置10から受信した時刻信号B2によって、基地局装置BS1と同じ時刻を共有することができる。
【0023】
図2は、本実施形態に係る補正部15の動作の説明図である。図2において、時刻信号B1は、1秒間隔で時刻を通知する信号である。図2の例では、時刻信号B1は、16時19分00秒、次いで16時19分01秒、次いで16時19分02秒を通知している。その時刻信号B1は、同期信号Aとはタイミングがずれている。補正部15は、時刻信号B1のタイミングを同期信号Aに合わせる補正を行う。この補正後の時刻信号B2は、同期信号Aとタイミングが合っている。補正部15は、該補正後の時刻信号B2を時刻信号送信部16へ出力する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る基地局同期方法のフローチャートである。図3を参照して本実施形態に係る基地局同期装置10の動作を説明する。
【0025】
(ステップS1)無線信号受信部11は、アンテナANTを介して、基地局装置BS1から無線信号を受信する。
(ステップS2)同期信号抽出部12は、無線信号受信部11が受信した無線信号から、同期信号Aを抽出する。
【0026】
(ステップS3)時刻信号受信部14は、外部装置110から時刻信号を受信する。時刻信号受信部14は、外部装置110から受信した時刻信号B1を補正部15へ出力する。
(ステップS4)補正部15は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aと時刻信号受信部14が受信した時刻信号B1とのタイミングのずれを補正する。
(ステップS5)時刻信号送信部16は、補正部15が補正した結果の時刻信号B2を基地局装置BS2へ送信する。
【0027】
(ステップS6)基地局同期装置10は図3の処理の終了を判断する。この判断の結果、終了である場合には本処理を終了し、そうではない場合にはステップS1に戻る。
【0028】
図4及び図5は、本実施形態に係る時刻信号受信部14の構成例を示す図である。まず図4を参照して時刻信号受信部14の第1実施例を説明する。第1実施例では、外部装置110はテレビジョン(TV)信号送信所110aである。TV信号送信所110aは、TV信号を送信する。TV信号は、地上デジタルテレビ放送信号を含む。
【0029】
図4において、時刻信号受信部14は、TVアンテナANTtvと、地上デジタルテレビ放送信号受信部21と、時刻信号抽出部22とを備える。TV信号を受信するTVアンテナANTtvと基地局設備に含まれる地上デジタルテレビ放送信号受信部21との間の伝送区間には伝送遅延が生じる。よって、基地局同期装置10がTV信号送信所110aから受信した時刻信号は、該伝送区間における伝送遅延を有する信号となる。地上デジタルテレビ放送信号受信部21は、TVアンテナANTtvを介して、TV信号に含まれる地上デジタルテレビ放送信号を受信する。時刻信号抽出部22は、地上デジタルテレビ放送信号受信部21が受信した地上デジタルテレビ放送信号から、時刻信号B1を抽出する。時刻信号抽出部22は、該抽出した時刻信号B1を補正部15へ出力する。
【0030】
次に図5を参照して時刻信号受信部14の第2実施例を説明する。第2実施例では、外部装置110は時刻配信サーバ110bである。時刻配信サーバ110bは、例えばインターネット等の通信ネットワーク120を介して時刻信号を配信する。時刻配信サーバ110bから送信された時刻信号は、通信ネットワーク120における伝送遅延が付加されて基地局同期装置10に到達する。一般に通信ネットワーク120における伝送遅延は揺らぐので、基地局同期装置10が時刻配信サーバ110bから受信した時刻信号は、通信ネットワーク120における伝送遅延及び伝送遅延の揺らぎを有する信号となる。時刻配信サーバ110bとして、例えば「IEEE1588」技術や、「NTP」技術などを適用できる。
【0031】
図5において、時刻信号受信部14は、ネットワークインタフェース31と、時刻信号抽出部32とを備える。ネットワークインタフェース31は、通信ネットワーク120を介して、時刻配信サーバ110bとデータを送受する。時刻信号抽出部32は、ネットワークインタフェース31が通信ネットワーク120を介して時刻配信サーバ110bから受信したデータから、時刻信号B1を抽出する。時刻信号抽出部32は、該抽出した時刻信号B1を補正部15へ出力する。
【0032】
なお、上述した図4及び図5の時刻信号受信部14の構成例以外に、例えば、電波時計の構成を時刻信号受信部14に適用してもよい。電波時計とは、例えば長波帯で送信される「JJY(登録商標)」等の標準電波を受信して時刻の補正を行う時計のことを言う。
【0033】
上述した実施形態よれば、基地局同期装置10は、GPS信号を受信できる状態にある基地局装置BS1から受信した無線信号から同期信号Aを抽出し、外部装置110から受信した時刻信号B1のタイミングを同期信号Aに合わせる補正を行う。そして、基地局同期装置10は、同期信号Aと、同期信号Aのタイミングに合っている時刻信号B2とを、GPS信号を受信できない状態にある基地局装置BS2へ送信する。基地局装置BS2は、基地局同期装置10から受信した同期信号Aによって、基地局装置BS1と同期を取ることができる。また、基地局装置BS2は、基地局同期装置10から受信した時刻信号B2によって、基地局装置BS1と同じ時刻を共有することができる。これにより、GPS信号(基準の時刻信号)を使用する基地局装置BS1と、GPS信号以外の他の時刻信号を使用する基地局装置BS2とで時刻の同期の精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0034】
本実施形態によれば、GPS信号(基準の時刻信号)を使用する基地局装置BS1と、GPS信号以外の他の時刻信号を使用する基地局装置BS2とで時刻の同期の精度を向上するので、複数の基地局装置から同時刻にデータを端末装置へ送信することによってユーザへ提供するサービスの実施に寄与できる。例えば、位置情報サービス(LCS:Location Service)、eMBMS(enhanced Multimedia Broadcast/Multicast Service)、「CS Fallback(Circuit Switch Fallback to 1x Radio Transmission Technology)」などの実施に寄与できる。
【0035】
なお、本実施形態において、基地局装置BS1は第1の基地局装置に対応し、基地局装置BS2は第2の基地局装置に対応する。また、GPS信号は基準の時刻信号に対応し、外部装置110が送信する時刻信号は基準の時刻信号以外の他の時刻信号に対応する。
【0036】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る無線通信システム1aを示す構成図である。図6において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0037】
図6において、無線通信システム1aは、複数の基地局装置BS1,BS2aと、端末装置MSとを備える。第2実施形態では、基地局装置BS2aは、第1実施形態に係る基地局装置BS2の機能と、基地局同期装置10の機能とを有する。
【0038】
基地局装置BS2aにおいて、基地局部BS2は、第1実施形態に係る基地局装置BS2の機能を有する。基地局部BS2は、端末装置MSと無線通信する。同期信号送信部13は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aを基地局部BS2へ送信する。時刻信号送信部16は、補正部15が補正した結果の時刻信号B2を基地局部BS2へ送信する。基地局部BS2は、同期信号送信部13から受信した同期信号Aによって、基地局装置BS1と同期を取ることができる。基地局部BS2は、時刻信号送信部16から受信した時刻信号B2によって、基地局装置BS1と同じ時刻を共有することができる。
【0039】
図7を参照して本実施形態に係る基地局装置BS2aの動作を説明する。図7は、本実施形態に係る基地局同期方法のフローチャートである。図7において、図3の各ステップに対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0040】
(ステップS11)基地局部BS2は、GPS信号を受信できる否かを判断する。この判断の結果、GPS信号を受信できる場合にはステップS12へ進み、そうではない場合にはステップS13へ進む。
【0041】
(ステップS12)基地局部BS2は、自己が人工衛星100から受信したGPS信号から、同期信号及び時刻信号を生成する。これにより、基地局部BS2は、GPS信号から生成した同期信号によって、基地局装置BS1と同期を取ることができる。また、基地局部BS2は、GPS信号から生成した時刻信号によって、基地局装置BS1と同じ時刻を共有することができる。よって、基地局部BS2は、動作可能な状態となる。
【0042】
(ステップS13)基地局部BS2は、他の基地局装置BS1の無線信号を受信できる否かを判断する。この判断の結果、他の基地局装置BS1の無線信号を受信できる場合にはステップS1へ進む。一方、他の基地局装置BS1の無線信号を受信できない場合には、本処理を終了する。GPS信号も他の基地局装置BS1の無線信号も受信できない場合には、基地局部BS2は、他の基地局装置BS1と同期を取ることができないので、動作不可の状態となる。
【0043】
ステップS1からS4は、図3に示す第1実施形態と同様である。
(ステップS14)同期信号送信部13は、同期信号抽出部12が抽出した同期信号Aを基地局部BS2へ送信する。時刻信号送信部16は、補正部15が補正した結果の時刻信号B2を基地局部BS2へ送信する。これにより、基地局部BS2は、同期信号送信部13から受信した同期信号Aによって、基地局装置BS1と同期を取ることができる。また、基地局部BS2は、時刻信号送信部16から受信した時刻信号B2によって、基地局装置BS1と同じ時刻を共有することができる。よって、基地局部BS2は、動作可能な状態となる。
【0044】
本実施形態によれば、基地局同期装置10と基地局装置BS2との両方の機能を一つの基地局装置BS2aとして実現できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0046】
例えば、上述した実施形態の無線通信システムとして、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されるLTE(Long Term Evolution)と呼ばれる無線通信システム(以下、LTEシステムと称する)に適用できる。LTEシステムの一例として、例えばGPS信号によって基地局装置の時刻の同期を行うものが挙げられる。また、LTEシステムの基地局装置は、RIBS(Radio Interface Based Synchronization)技術によって、自己以外の他の基地局装置から受信した無線信号から自己の動作に必要な同期信号を抽出することができる。上述した実施形態を該LTEシステムの一例に適用する場合、同期信号抽出部12は、RIBS技術によって、基地局装置BS1の無線信号から同期信号Aを抽出する。上述した実施形態によれば、該LTEシステムの一例において、外部装置110が配信した時刻信号を、RIBS技術によって基地局装置BS1の無線信号から抽出した同期信号Aのタイミングに合わせてから、GPS信号を受信できない状態にある基地局装置BS2に供給することができる。
【0047】
また、上述した基地局同期装置10又は基地局装置BS2aの機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0048】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1,1a…無線通信システム、10…基地局同期装置、11…無線信号受信部、12…同期信号抽出部、13…同期信号送信部、14…時刻信号受信部、15…補正部、16…時刻信号送信部、21…地上デジタルテレビ放送信号受信部、22,32…時刻信号抽出部、31…ネットワークインタフェース、100…人工衛星、110…外部装置、110a…TV信号送信所、110b…時刻配信サーバ、ANT…アンテナ、ANTtv…TVアンテナ、BS1,BS2a…基地局装置、BS2…基地局装置(基地局部)、MS…端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7