特許第6581965号(P6581965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581965
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】携帯用血液計数モニタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/483 20060101AFI20190912BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20190912BHJP
   G01N 33/493 20060101ALI20190912BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   G01N33/483 C
   G01N33/49 K
   G01N33/493 B
   G01N37/00 101
【請求項の数】32
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-501638(P2016-501638)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公表番号】特表2016-511424(P2016-511424A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014024777
(87)【国際公開番号】WO2014159692
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】61/890,071
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/878,431
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/780,732
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515245572
【氏名又は名称】タホ インスティチュート フォー ルーラル ヘルス リサーチ, エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, ティンジャン
(72)【発明者】
【氏名】レーン, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ワッシュマン−ホジウ, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥワイア, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ハイフェッツ, ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】フード, ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ, デニス
(72)【発明者】
【氏名】タツカワ, キース
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−164296(JP,A)
【文献】 特開2002−071684(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0257993(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/005000(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0224053(US,A1)
【文献】 特表2012−523571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)体液を受容するように構成されたスライドであって、前記スライドは、
i)第1のチャンバであって、前記第1のチャンバは、前記体液中の赤血球を検出する第1の試薬を含有する、第1のチャンバと、
ii)第2のチャンバであって、前記第2のチャンバは、前記体液中の白血球を検出する第2の試薬を含有する、第2のチャンバと
iii)前記スライドの表面を横断するチャネルであって、前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを接続している、チャネルと、
iv)前記チャネルに接続されたポートであって、前記ポートは、前記体液を受容し、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバまで前記チャネルを介して前記体液を通過させるように構成されている、ポートと
を備える、スライドと、
b)前記スライドの前記第1のチャンバから前記赤血球の視覚データを取得し、前記スライドの前記第2のチャンバから前記白血球の視覚データを取得する撮像システムと
を備え、
前記視覚データは、前記赤血球と前記白血球とを区別し、
前記スライドおよび前記撮像システムは、共通の筐体に収容されている、デバイス。
【請求項2】
a)体液を受容するように構成されたスライドであって、前記スライドは、
i)第1のチャンバであって、前記第1のチャンバは、前記赤血球を球状化することによって前記体液中の赤血球を検出する第1の試薬を含有する、第1のチャンバと、
ii)第2のチャンバであって、前記第2のチャンバは、前記体液中の白血球を検出する第2の試薬を含有する、第2のチャンバと
iii)前記スライドの表面を横断するチャネルであって、前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを接続している、チャネルと、
iv)前記チャネルに接続されたポートであって、前記ポートは、前記体液を受容し、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバまで前記チャネルを介して前記体液を通過させるように構成されている、ポートと
を備える、スライドと、
b)前記スライドの前記第1のチャンバから前記赤血球の視覚データを取得し、前記スライドの前記第2のチャンバから前記白血球の視覚データを取得する撮像システムと
を備え、
前記視覚データは、前記赤血球と前記白血球とを区別する、デバイス。
【請求項3】
前記第1の試薬および前記赤血球は、前記第1のチャンバ内で混合され、前記第2の試薬および前記白血球は、前記第2のチャンバ内で混合される、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
サンプリングチャンバの分析のために前記スライドを移動させるように構成された第1のモータをさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記モータは、前記サンプリングチャンバの分析のために前記スライドを平行移動させるように構成されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記モータは、前記サンプリングチャンバの分析のために前記スライドを回転させるように構成されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
光フィルタアセンブリを移動させるように構成された第2のモータをさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
伝送機をさらに備え、前記伝送機は、前記取得された視覚データを受信機に伝送するように構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記スライドは、遠心分離によって前記体液の成分を分離するように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記スライドは、試薬貯蔵チャンバと混合チャンバとをさらに備え、前記スライドは、遠心分離によって、前記試薬貯蔵チャンバから前記混合チャンバに前記第1の試薬を抽出するように構成されており、前記混合チャンバは、前記第1の試薬と前記体液とを混合するように構成されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記スライドは、付加的な試薬貯蔵チャンバをさらに備え、前記スライドは、遠心分離によって、前記付加的な試薬貯蔵チャンバから前記混合チャンバに前記第2の試薬を抽出するように構成されており、前記混合チャンバは、前記第2の試薬と前記体液とを混合するように構成されている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、2000g未満の質量を有し、かつ、100gの最小全質量を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記スライドは、マイクロリットルからマイクロリットルの前記体液を受容するように構成されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記体液は、血液である、請求項1〜13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記体液は、尿である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記体液は、唾液である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2の試薬は、前記白血球を染色することによって前記体液中の前記白血球を検出する、請求項1〜1のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記スライドは、第3のチャンバをさらに備え、前記第3のチャンバは、前記体液中の血小板を検出することが可能な第3の試薬を含有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第3の試薬は、前記血小板を染色することによって前記体液中の前記血小板を検出する、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記スライドは、少なくとも1つの対照チャンバをさらに備え、前記対照チャンバは、対照被分析物を含有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
体液を分析するための方法であって、前記方法は、
a)前記体液をスライドに提供することであって、前記スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバと、前記スライドの表面を横断するチャネルと、前記チャネルに接続されたポートとを備え、前記チャネルは、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを接続しており、前記ポートは、前記体液を受容し、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバまで前記チャネルを介して前記体液を通過させるように構成されている、ことと、
b)前記第1のチャンバ中で、第1の試薬を用いて、前記赤血球を球状化することによって前記体液中の赤血球を検出することと、
c)前記第2のチャンバ中で、第2の試薬を用いて、前記体液中の白血球を検出することと、
d)撮像システムが、前記スライドの前記第1のチャンバから前記赤血球の視覚データを取得し、前記スライドの前記第2のチャンバから前記白血球の視覚データを取得することであって、前記視覚データは、前記赤血球と前記白血球とを区別する、ことと、
e)伝送機が、前記取得された視覚データを受信機に伝送することと
を含む、方法。
【請求項22】
前記第1の試薬および前記赤血球は、前記第1のチャンバ内で混合され、前記第2の試薬および前記白血球は、前記第2のチャンバ内で混合される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記スライドは、遠心分離によって前記体液の成分を分離するように構成されている、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スライドは、試薬貯蔵チャンバと混合チャンバとをさらに備え、前記スライドは、遠心分離によって、前記試薬貯蔵チャンバから前記混合チャンバに前記第1の試薬を抽出するように構成されており、前記混合チャンバは、前記第1の試薬と前記体液とを混合するように構成されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スライドは、付加的な試薬貯蔵チャンバをさらに備え、前記スライドは、遠心分離によって、前記付加的な試薬貯蔵チャンバから前記混合チャンバに前記第2の試薬を抽出するように構成されており、前記混合チャンバは、前記第2の試薬と前記体液とを混合するように構成されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記体液は、血液である、請求項2125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記体液は、尿である、請求項2125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記体液は、唾液である、請求項2125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記白血球を染色することによって前記体液中の前記白血球を検出することをさらに含む、請求項2128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記スライドは、第3のチャンバをさらに備え、前記方法は、前記第3のチャンバ中で、第3の試薬を用いて、前記体液中の血小板を検出することをさらに含む、請求項2129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
染色することによって前記体液中の前記血小板を検出することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記取得された視覚データを画像に変換することをさらに含む、請求項2131のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2013年10月11日に出願された米国仮出願第61/890,071号、2013年9月16日に出願された米国仮出願第61/878,431号、および2013年3月13日に出願された米国仮出願第61/780,732号の利益を主張するものであり、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(政府支援研究に関する陳述)
本発明は、全米科学財団によって付与されたAcceleration of Innovation Research grant(NSF Accelerating Innovation Research Grant 第1127888号、タイトル”Creation of an Ecosystem for Biophotonic Innovation”、日付2011年8月1日〜2013年7月31日)のもとでの、および、協力協定第PHY0120999号のもとでUniversity of California, Davisによって管理された指定されたNSF Science and Technology CenterであるCenter for Biophotonics Science and Technologyからの部分的政府支援のもとで行われた。政府は、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
家庭用または個人用検査は、診療所または検査室で行われる検査を監視する必要性を最小限化し、医療費を削減し、対象の生活の質を向上させることができる。検査は、適切な監視サービスを得て健康を持続するために移動することができない、またはそうすることに気が進まない場合がある、多くの人々、特に、高齢者および弱者にとって、生活の質の重要な側面のままである。家庭用検査は、医療器具の複雑性、使用の困難、費用、および一般大衆への非可用性に悩まされる。いくつかの課題が、検査室外で検査室品質の検査を提供することができる、システム、デバイス、および方法を作成して提供することに存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、本発明は、a)体液を受容するように構成されるスライドであって、スライドは、i)第1のチャンバであって、第1のチャンバは、体液中の第1の被分析物を検出することが可能な第1の試薬を含有する、第1のチャンバと、ii)第2のチャンバであって、第2のチャンバは、体液中の第2の被分析物を検出することが可能な第2の試薬を含有する、第2のチャンバとを備える、スライドと、b)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムとを備える、デバイスを提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、本発明は、a)体液を受容するように構成される、スライドと、b)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、c)伝送機であって、少なくとも1マイルの距離にわたって取得された視覚データを無線で伝送するように構成される、伝送機とを備える、デバイスを提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、体液を分析するための方法であって、a)体液をスライドに提供するステップであって、スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、ステップと、b)第1のチャンバ中で、第1の試薬を用いて、体液中の第1の被分析物を検出するステップと、c)第2のチャンバ中で、第2の試薬を用いて、体液中の第2の被分析物を検出するステップと、d)撮像システムによって、スライドから視覚データを取得するステップと、e)視覚データを少なくとも1つの画像に変換するステップであって、変換は、プロセッサを備えるコンピュータシステムによって行われる、ステップと、f)プロセッサによって、画像内の少なくとも1つの被分析物を列挙するステップとを含む、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、a)デバイスであって、i)体液を受容するように構成されるスライドと、ii)スライドから視覚データを取得するように構成される撮像システムと、iii)伝送機であって、伝送機は、取得された視覚データを無線で伝送する、伝送機とを備える、デバイスと、b)伝送機から無線で伝送された視覚データを受信する、受信機であって、伝送機および受信機は、少なくとも1マイルの距離にわたって通信するように構成される、受信機とを備える、システムを提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、a)デバイスであって、i)体液を受容するように構成されるスライドであって、スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、スライドと、ii)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムとを備える、デバイスと、b)体液中の第1の細胞型を検出することが可能な第1の試薬と、c)体液中の第2の細胞型を検出することが可能な第2の試薬とを備える、キットを提供する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
a)体液を受容するように構成されるスライドであって、前記スライドは、
i)第1のチャンバであって、前記第1のチャンバは、前記体液中の第1の被分析物を検出することが可能な第1の試薬を含有する、第1のチャンバと、
ii)第2のチャンバであって、前記第2のチャンバは、前記体液中の第2の被分析物を検出することが可能な第2の試薬を含有する、第2のチャンバと、
を備える、スライドと、
b)前記スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、
を備える、デバイス。
(項目2)
伝送機をさらに備え、前記伝送機は、前記取得された視覚データを受信機に伝送するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記伝送は、無線である、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記体液は、尿である、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記体液は、血液である、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記第1の被分析物は、赤血球である、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記第2の被分析物は、白血球である、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
前記スライドおよび前記撮像システムは、共通の筐体に含有される、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記スライドは、可撤性である、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記スライドはさらに、前記スライドの表面を横断してチャネルを備え、前記チャネルは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続している、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
前記スライドはさらに、ポートを備え、前記ポートは、前記体液を受容し、前記体液を少なくとも1つのチャンバまで前記チャネルに通過させるように構成される、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
前記スライドはさらに、第3のチャンバを備え、前記第3のチャンバは、前記体液中の第3の被分析物を検出することが可能な第3の試薬を含有する、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
前記第3の被分析物は、血小板である、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
前記スライドはさらに、少なくとも1つの対照チャンバを備え、前記対照チャンバは、対照被分析物を含有する、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
前記スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
a)体液を受容するように構成される、スライドと、
b)前記スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、
c)少なくとも1マイルの距離にわたって前記取得された視覚データを無線で伝送するように構成される、伝送機と、
を備える、デバイス。
(項目17)
前記デバイスは、わずか2,000gの質量を有する、項目16に記載のデバイス。
(項目18)
前記撮像システムは、前記スライドの少なくとも2つの異なる部分から視覚データを取得する、項目16に記載のデバイス。
(項目19)
前記スライドおよび前記撮像システムは、共通の筐体に含有される、項目16に記載のデバイス。
(項目20)
前記スライドは、可撤性である、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
前記体液は、唾液である、項目16に記載のデバイス。
(項目22)
前記体液は、血液である、項目16に記載のデバイス。
(項目23)
前記撮像システムは、前記体液中の被分析物を検出するように構成される、項目16に記載のデバイス。
(項目24)
前記被分析物は、赤血球である、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
前記被分析物は、白血球である、項目23に記載のデバイス。
(項目26)
前記被分析物は、血小板である、項目23に記載のデバイス。
(項目27)
前記スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、項目16に記載のデバイス。
(項目28)
体液を分析するための方法であって、
a)前記体液をスライドに提供するステップであって、前記スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、ステップと、
b)前記第1のチャンバ中で、第1の試薬を用いて、前記体液中の第1の被分析物を検出するステップと、
c)前記第2のチャンバ中で、第2の試薬を用いて、前記体液中の第2の被分析物を検出するステップと、
d)撮像システムによって、前記スライドから視覚データを取得するステップと、
e)伝送機によって、前記取得された視覚データを受信機に伝送するステップと、
を含む、方法。
(項目29)
約1マイクロリットル〜約5マイクロリットルの体液が、前記スライドに提供される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記伝送は、無線である、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記伝送機および前記受信機は、少なくとも1マイル離れている、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記体液は、唾液である、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記体液は、血液である、項目28に記載の方法。
(項目34)
前記第1の被分析物は、赤血球である、項目28に記載の方法。
(項目35)
前記第2の被分析物は、白血球である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記スライドはさらに、第3のチャンバを備え、前記方法はさらに、前記第3のチャンバ中で、第3の試薬を用いて、前記体液中の第3の被分析物を検出するステップを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第3の被分析物は、血小板である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記スライドはさらに、前記スライドの表面を横断してチャネルを備え、前記チャネルは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続している、項目28に記載の方法。
(項目39)
前記デバイスはさらに、ポートを備え、前記ポートは、前記体液を受容し、前記体液を少なくとも1つのチャンバまで前記チャネルを通過させるように構成される、項目28に記載の方法。
(項目40)
前記取得された視覚データを画像に変換するステップをさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目41)
a)デバイスであって、
i)体液を受容するように構成されるスライドと、
ii)前記スライドから視覚データを取得するように構成される撮像システムと、
iii)伝送機であって、前記伝送機は、前記取得された視覚データを無線で伝送する、伝送機と、
を備える、デバイスと、
b)前記伝送機から前記無線で伝送された視覚データを受信する、受信機であって、前記伝送機および前記受信機は、少なくとも1マイルの距離にわたって通信するように構成される、受信機と、
を備える、システム。
(項目42)
前記デバイスは、わずか2,000gの質量を有する、項目41に記載のシステム。
(項目43)
前記撮像システムは、前記スライドの少なくとも2つの異なる部分から視覚データを取得するように構成される、項目41に記載のシステム。
(項目44)
前記スライド、前記撮像システム、および前記伝送機は、共通の筐体に含有される、項目41に記載のシステム。
(項目45)
前記体液は、唾液である、項目41に記載のシステム。
(項目46)
前記体液は、血液である、項目41に記載のシステム。
(項目47)
前記スライドは、少なくとも2つのチャンバを備える、項目41に記載のシステム。
(項目48)
前記スライドはさらに、前記スライドの表面を横断してチャネルを備え、前記チャネルは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続している、項目41に記載のシステム。
(項目49)
前記撮像システムは、前記体液中の被分析物を検出するように構成される、項目41に記載のシステム。
(項目50)
前記被分析物は、赤血球である、項目49に記載のシステム。
(項目51)
前記被分析物は、白血球である、項目49に記載のシステム。
(項目52)
前記被分析物は、血小板である、項目49に記載のシステム。
(項目53)
前記スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、項目41に記載のシステム。
(項目54)
前記受信機は、前記取得された視覚データに基づいて画像を生成するように構成される、コンピュータシステムと通信している、項目41に記載のシステム。
(項目55)
a)デバイスであって、
i)体液を受容するように構成されるスライドであって、前記スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、スライドと、
ii)前記スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、
を備える、デバイスと、
b)前記体液中の第1の細胞型を検出することが可能な第1の試薬と、
c)前記体液中の第2の細胞型を検出することが可能な第2の試薬と、
を備える、キット。
(項目56)
前記スライドはさらに、前記スライドの表面を横断してチャネルを備え、前記チャネルは、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと接続している、項目55に記載のキット。
(項目57)
前記スライドはさらに、ポートを備え、前記ポートは、前記体液を受容し、前記体液を少なくとも1つのチャンバまで前記チャネルを通過させるように構成される、項目55に記載のキット。
(項目58)
前記第1の細胞型は、赤血球である、項目55に記載のキット。
(項目59)
前記第2の細胞型は、白血球である、項目58に記載のキット。
(項目60)
前記スライドはさらに、第3のチャンバを備え、前記キットは、前記体液中の第3の細胞型を検出することが可能な第3の試薬を備える、項目59に記載のキット。
(項目61)
前記第3の細胞型は、血小板である、項目60に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、体液を分析するためのシステムを図示する。
図2図2は、体液を分析するためのスライドを図示する。パネルAは、スライド内のチャンバと接続しているチャネルを図示する。パネルBは、対照チャンバを備えるスライドを図示する。パネルCは、体液の分析のための複数のチャンバを備えるスライドを図示する。
図3図3は、体液を分析するためのシステムの略図である。
図4図4は、可動スライドおよび可動フィルタアセンブリとともに、体液を分析するためのシステムを図示する。パネルAは、撮像システムに関してスライドをどのようにして位置付けることができるかを図示する。パネルBおよびCは、可動フィルタアセンブリを移動させることができる方法を図示する。
図5図5のパネルAは、血液サンプル中の白血球の種類を数えて判定するプロセスのフローチャートである。パネルBは、蛍光に基づいて血液サンプル中の異なる種類の白血球を図示するグラフである。
図6図6は、血液サンプル中の赤血球の数を数えるプロセスのフローチャートである。
図7図7は、体液を分析するためのシステムおよびデバイスのブロック図を示す。
図8図8のパネルAは、使用される体液収集および分析スライドの上面図を図示する。パネルBは、指台および身体コレクタを図示する。パネルCは、本発明の撮像システムと、スライド/チャンバとを備える、筐体を図示する。
図9図9は、血液サンプルの分析に適用される体液の分析のための自動システムの概略図である。パネルAは、サンプル調製を図示する。パネルBは、撮像システムを図示する。パネルCは、自動血液計数分析を図示する。
図10図10は、撮像システムを用いて取得された視覚データを図示する。パネルAは、白血球の合併蛍光像を図示する。パネルBは、パネルAからの目的とする閾値化領域によって形成されたカウントマスクを図示する。パネルCは、白血球の視覚画像中の各物体に対する蛍光強度の散布図である。パネルDは、パネルC内のデータのヒストグラムである。パネルEは、表面が3つの2次元ガウス分布と適合されている、パネルDのパネルのトップダウン図である。パネルFは、血小板分析に使用される全変動雑音除去蛍光像を図示する視覚画像である。パネルGは、パネルF内の画像から判定されるような全血小板数を図示するグラフである。パネルHは、赤血球の暗視野視覚画像である。パネルIは、パネルHの差し込み図とのテンプレート合致結果のオーバーレイである。
図11図11は、自動血液分析器からの臨床結果とのCBCパラメータの画像ベースの判定の比較を図示する。パネルAは、赤血球の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルBは、赤血球について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。パネルCは、血小板の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルDは、血小板について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。パネルEは、白血球の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルFは、白血球について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。パネルGは、顆粒球の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルHは、顆粒球について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。パネルIは、リンパ球の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルJは、リンパ球について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。パネルKは、単球の臨床値と対比した視覚画像分析を図示するグラフである。パネルLは、単球について方法の平均値に対して描画された2つの方法の間の差異を図示するグラフである。
図12図12は、本発明の例示的実施形態に関連して使用することができる、コンピュータシステムの第1の例示的アーキテクチャを図示する、ブロック図である。
図13図13は、本発明の例示的実施形態に関連して使用することができる、コンピュータネットワークを図示する略図である。
図14図14は、本発明の例示的実施形態に関連して使用することができる、コンピュータシステムの第2の例示的アーキテクチャを図示する、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
全血球計算値(CBC)は、最も一般的な検査室検査のうちの1つであり、血球数は、多くの疾病に対する重要な第1の疾患の指標であり得る。CBCは、血液の細胞部分、すなわち、赤血球(red blood cell(RBC))、白血球(white blood cell(WBC))、および血小板についての情報を提供する。ある細胞型の異常に高いまたは低い計数は、多くの形態の疾患の存在を示すことができる。したがって、血球数は、対象の健康状態ならびに治療への応答の概観を提供することができるため、医学の分野で最も一般的に行われている検査の1つである。
【0011】
全血球計算値を得ることは、通常、血液が採取されて分析される、診療所への通院を必要とする。この実践は、特に、患者が高齢である、行動不能である、または臨床サービスが容易に利用可能ではない遠隔地域に居住している場合に、患者に不便を掛ける。例えば、農村地域に住んでいる患者は、定期的に日常的検定を得るために、過剰な距離を移動する必要があり得る。この不便は、患者に不満を抱かせるだけでなく、患者コンプライアンスを妨げるリスクも生じる。器具が大型かつ煩雑で、高価であり、臨床経験がない個人にとって非直観的である傾向があるため、血球数計装を家庭内に移動させることは、問題を解決する困難な方法である。
【0012】
CBCデータは、3つの細胞型の数についての情報だけでなく、赤血球および白血球の集団および部分母集団のサイズおよび形状についての情報も含むことができる。CBCは、臨床医が患者についての重要な情報を有することを可能にする。単独で、または臨床および他の検査室データが補充される、CBCデータは、患者のための鑑別診断を構築することにおいて重要であり得る。診断は、血球数情報を得て、結果を基準、標準、または健康な組織で得られる結果と比較することによって可能である。具体的には、CBCは、低RBC(貧血)、高RBC(赤血球増加症)、低WBC(白血球減少症)、高WBC(白血球増加症)、低血小板(血小板減少症)、高血小板(血小板増加症)についての情報、ならびに異なる白血球型の低いおよび高い計数についてのデータを臨床医に与えることができる。したがって、CBCは、臨床診断を形成し、患者の健康の変化を検査することにおいて、および疾患の進行の監視または治療のために、重要な始点であり得る。現在、CBCは、ほとんどの場合、診療所への通院を通して行われる。瀉血専門医が、典型的には、収集された血液が凝固することを防止するように抗凝固剤を含有する、試験管の中へ採血することによって、血液サンプルを収集する。次いで、血液サンプルは、分析のために検査室に輸送される。代替として、血液サンプルは、糖尿病検査で一般的に使用される指先採血等の「指先採血」を使用して採取することができる。血液サンプルの分析は、手動で、または自動分析器で行うことができる。
【0013】
現在、ほとんどの血液サンプルは、自動血液分析器によって自動的に分析される。そのような自動分析については、血液サンプルが、最初に、通常は抗凝固剤とよく混合させられ、分析器の中のラックの上に配置される。これらの分析器は、数百マイクロリットルの調製された血液を取り込み、流体システム中でそれらをいくつかの試薬と組み合わせる。次いで、調製された細胞は、1つまたはそれを上回るレーザビームを通過させられ、かつ多くの場合、小さい帯電開口を通過させられる。蛍光信号、光散乱信号、およびインピーダンスの変化(コールター効果)の組み合わせを使用して、分析器は、血小板、赤血球、および白血球を検出して列挙する。それらは、赤血球のサイズを分析し、細胞ヘモグロビン濃度を判定する。そのような分析器はさらに、白血球の部分母集団(5部分画については好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球)を鑑別する。これらの分析器は、血液パラメータの高速かつ正確な尺度を提供するが、これらの器具は、特別な(多くの場合、専用の)試薬を必要とし、繊細な光電子増倍管および流動チャネルを含有する。自動血液分析器は、かさばり、高価で、技術的に複雑であり、これらの要因の全てが、自動血液分析器を使用することのアクセス可能性および利便性を制限する。加えて、血液中のある異常な細胞は、通常、自動分析器によって正しく識別されない。これらの場合において、器具が分類することができなかった任意の異常な細胞の識別のために、サンプルの視野の手動精査が必要とされる。
【0014】
全血球計算値を提供するための代替的な方法は、サンプルの手動計数に、例えば、血球計に依存することができる。手動CBCは、典型的には、顕微鏡下で対象の血液のサンプルを用いて調製されたスライド(血液塗抹標本または末梢血塗抹標本)を視認することによって行われる。1リットルまたは1マイクロリットルの血液あたりの赤血球および白血球の数を計算するために、(希釈されなければあまりに多すぎる細胞があるため)特定量の希釈血液を保持する、計数チャンバを使用することができる。異なる白血球の数を識別するために、血液塗抹標本を作製することができ、多数の白血球、例えば、少なくとも100個を数えることができる。この計数は、特定の種類である白血球、例えば、顆粒球および単球の割合を求める。割合を白血球の総数で乗算することによって、各種類の白血球の絶対数を得ることができる。手動計数方法が、多くの場合、手動で難儀して行われ、技術者が顕微鏡下で染色した細胞を手動で検査する。サンプル中の血球の手動計数は、誤差率および分析費用を増加させる。
【0015】
適時に血球数検査を得ることは、治療を受けるか、または健康を監視する多くの対象のために重要である。例えば、ほとんどの化学療法薬は、典型的には、21日毎に投与され、骨髄抑制、すなわち、赤血球、白血球、および血小板の抑制を引き起こし得る。骨髄抑制は、通常、対象の循環血球中の21日間の周期的降下および回復に続く。白血球および血小板が、循環中で約10日間生存する一方で、赤血球は、約120間生存する。循環の約10日後に、白血球および血小板の数は、通常、それらの最低点または「最低状態」にある。最低状態が低すぎ、患者がその時に熱を有する場合、患者は、「発熱性好中球減少症」を有すると見なされ、典型的には、通常、入院設定中に投与される、抗生物質の積極的な静脈内投与(IV)を必要とするであろう。そのような骨髄抑制薬を受容する対象における赤血球、白血球、および血小板数の監視が重要であるが、対象が血液サンプルを提供するように定期的に診療所に通院することは困難であり得る。本明細書の本発明は、利便的に達成される、対象の体液から正確で費用効果的かつ効率的な血球数を提供することができる、システム、デバイス、および方法の開発の多大な必要性を満たす。
【0016】
本明細書では、体液の正確な分析を可能にする、サンプル調製、測定、および分析のための方法の開発を開示する、システム、デバイス、および方法が説明される。いくつかの実施形態では、本発明は、(i)マイクロリットル以下の量の血液、(ii)単一段階試薬、および(iii)広視野低倍率撮像を使用することによって、赤血球、血小板、および白血球部分母集団を数えるための新規かつ単純な方法を提供する。本発明は、サンプル調製および取扱に必要とされるステップの数を最小限化し、全血球計算値が少量のサンプルから判定されることを可能にする、容易かつ実用的な方法を提供する。サンプルは、唾液サンプル、または指先採血で得られる少量血液サンプル(図1)であり得る。血球数のための非常に少量の血液の使用は、対象にとって本方法の不快感を低減させるだけでなく、全体的な手技を、より単純で利便的、かつより効率的にする。
【0017】
本発明のデバイスおよびシステムは、小型かつ携帯用であり、それによって、種々の場所でサンプルの分析を可能にする。いくつかの実施形態では、本発明は、診療所または検査室に通院するように対象に要求することなく、対象の監視を可能にする。例えば、本発明のデバイスの携帯用品質は、家庭またはオフィスから出ることなく、対象がサンプルを提供すること、および全血球計算値を得ることを可能にする。いくつかの実施形態では、本発明は、対象の医師による、家庭での対象の健康監視を可能にする。
【0018】
本発明は、流動ベースのデバイスにおける分析によって必要とされるサンプル調製および取扱の複雑性を低減させる。本発明のキット、システム、およびデバイスは、体液の分析のために構成されるスライドおよびチャンバを含む。そのようなスライドおよびチャンバは、体液中の被分析物または細胞型を検出および識別することが可能な一連の試薬とともに、事前包装することができるか、またはできない。いくつかの実施形態では、被分析物または細胞型を検出することが可能な試薬は、本発明のスライドまたはチャンバ内に事前包装される。スライド内の試薬の事前包装は、サンプル調製の複雑性を低減させる、単一段階処理ステップを提供することができる。いくつかの実施形態では、被分析物または細胞型を検出することが可能な試薬は、本発明のスライドまたはチャンバ内に事前包装されない。試薬は、体液と容易に組み合わせ、本発明のチャンバに追加することができる、「原料」として提供することができる。本発明のスライドまたはチャンバは、撮像システムによる血液サンプルの即時分析に利用することができ、または例えば、病理学者による以降の精査のために、貯蔵して提出することができる。
【0019】
撮像システムは、チャンバ内またはスライドの中の複数のチャンバ内の体液の視覚画像を取得するために構成することができる。撮像システムは、流動システムより有意に小さく、携帯用であり、かつ堅調であり得る。本発明は、スライドまたはチャンバから高品質視覚データを取得するために、高品質で安価なカメラセンサを利用することができる。本発明のシステムは、取得された視覚画像の分析を提供するように構成することができる。安価な計装を使用して、広視野画像を記録することができる。いくつかの実施形態では、従来の顕微鏡対物レンズのものに接近する解像度を用いた、明視野および蛍光法の両方で広い領域を撮像するために、レンズを含まないホログラフィック再構成または疎再構成技法と併用された、携帯電話画像センサを使用することができる。例えば、安価な機器で行われる測定の質を強調表示する、17mm撮像体積にわたるサブミクロン精度で、細胞を追跡することができる。消費者グレードのカメラセンサを使用して、24mm視野および600nm解像度で画像を記録することができる。いくつかの実施形態では、センサは、使い捨てであり得る。
【0020】
本発明のシステムは、従来の画像ベースの細胞学の努力により、自動血液学分析の効率を提供する。本発明のシステムは、培養チャンバの内側の細胞の撮像を可能にし、チャンバ内の細胞型の分析を提供する。いくつかの実施形態では、本発明のシステム、デバイス、および方法は、低解像度画像の取得および分析を、赤血球、白血球、および血小板の正確な計数を提供するとともに、白血球の正確な3部分画を生じる、特異的に設計されたデータ分析方法と結び付ける。いくつかの実施形態では、本発明は、臨床計装で達成される信頼区間内の全血球計算値を提供する、キット、システム、デバイス、および方法を備える。
(デバイスおよびシステム)
【0021】
全血球計算値分析での異常な結果は、感染症、臓器移植拒絶反応、心臓疾患、自己免疫疾患、白血病、貧血、炎症、および癌を含む、複数の健康状態を示すことができる。本発明は、単純で正確かつ安価な方法で、対象の体液を分析するために使用することができる、デバイスおよびシステムを提供する。体液の非限定的実施例は、血液、全血、血清、血漿、唾液、尿、乳、粘液、および痰を含む。
【0022】
図1は、血液または唾液サンプル等の体液の分析を行うためのデバイスおよびシステム10を図示する。システム10は、体液収集および保持スライド100、ならびに自動携帯用スライド分析器150を図示する。スライド100は、例えば、対象の指F上の指先採血Pから収集される血液飛沫Dから、体液を受容するように構成される。いくつかの実施形態では、約1μL〜約5μLの体液が、スライド100に提供される。スライド100は、種々の量の体液を受容するように構成することができ、スライド100は、例えば、約1μL〜約5μL、約5μL〜約10μL、約10μL〜約15μL、約15μL〜約20μL、約20μL〜約25μL、約25μL〜約30μL、約30μL〜約35μL、約35μL〜約40μL、約40μL〜約45μL、約45μL〜約50μL、約50μL〜約55μL、約55μL〜約60μL、約60μL〜約65μL、約65μL〜約70μL、約70μL〜約75μL、約75μL〜約80μL、約80μL〜約85μL、約85μL〜約90μL、約90μL〜約95μL、または約95μL〜約100μLの体液を受容するように構成することができる。いくつかの実施形態では、約2μLの体液が、スライド100に提供される。いくつかの実施形態では、体液は、血液である。いくつかの実施形態では、体液は、唾液である。スライド100は、複数のチャンバおよび形状を有することができる。スライド100は、長方形、円形、楕円形、円形であり得るか、または他の形状を有することができる。スライド100は、1個のチャンバ、2個のチャンバ、3個のチャンバ、4個のチャンバ、5個のチャンバ、6個のチャンバ、7個のチャンバ、8個のチャンバ、9個のチャンバ、または10個のチャンバを有することができる。いくつかの実施形態では、スライド100は、単一のチャンバから成ることができる。スライド上の明確に異なるチャンバは、体液の挿入のためのポートを伴って、ある距離、例えば、約4ミクロン〜約100ミクロンの距離で分離することができる。いくつかの実施形態では、スライドは、チャネルを有するように構成され、チャネルは、少なくとも1つのチャンバと連通している。
【0023】
スライド100は、染色溶液、溶解溶液、および他の化合物とともに事前包装することができる。検査チャンバの中への血液サンプルの流動を制御するために、マイクロ流体工学および毛管作用を使用することができる。スライド100の中のチャンバは、1つまたはそれを上回る被分析物と相互作用する、試薬とともに事前包装することができる。いくつかの実施形態では、スライド100の各チャンバは、明確に異なる試薬とともに事前包装される。
【0024】
スライド100は、例えば、光学的に透明なガラス、プラスチック、またはポリカーボネート基材を伴って加工することができる。スライド100は、スライドの親水性を増加させる、1つまたは複数のコートでコーティングすることができる。スライド100の種々のサンプリングチャンバの表面は、種々の方法で前処理することができる。いくつかの実施形態では、表面は、親水性環境を提供するように前処理することができる。親水性表面は、スライドの表面を横断するチャネルを通した1つまたは複数のチャンバの中への体液サンプルの流動を促進することができる。親水性表面は、血液または唾液等の少量の体液が、比較的広い領域、例えば、比較的広い表面積および比較的小さい高さを有するチャンバにわたって、拡散することを可能にすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムを備える。撮像システムは、スライド100から視覚データを取得することができる。伝送機は、無線ネットワーク、携帯電話ネットワーク、またはインターネットを使用して、取得された視覚データを、複数の地理的場所における1つまたは複数の受信機に伝送することができる。伝送機は、少なくとも1マイル、少なくとも2マイル、少なくとも3マイル、少なくとも4マイル、少なくとも5マイル、少なくとも7マイル、少なくとも10マイル、少なくとも25マイル、少なくとも50マイル、少なくとも100マイル、少なくとも250マイル、少なくとも500マイル、または少なくとも1000マイルの距離にわたって、取得された視覚データを伝送することができる。いくつかの実施形態では、伝送機は、少なくとも1マイルの距離にわたって取得された視覚データを無線で伝送する。いくつかの実施形態では、伝送機は、少なくとも10マイルの距離にわたって取得された視覚データを無線で伝送する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、スライドからの視覚データを分析するように構成される、自動携帯用スライド分析器を備える。自動携帯用スライド分析器150は、ディスプレイ160と、制御パネル170とを備えることができる。いったん血液サンプルがスライド100によって収集されると、スライド100は、例えば、携帯用スライド分析器150の中に配置することができ、かつスライド100は、スライド受容器155の上に配置することができる。いくつかの実施形態では、携帯用スライド分析器は、視覚データから形成することができる画像等の視覚データを分析することができる。分析の結果は、スライド分析器150のディスプレイ160上に示すことができる。スライド分析器は、制御パネル170によって操作することができるが、システム10の動作はまた、制御パネル170を使用してシステム10を操作することが必要ではないように、自動であり得る。
【0027】
図2は、体液を分析するためのスライドを図示する。パネルAは、スライド内のチャンバと接続しているチャネルを図示する。パネルBは、対照チャンバを図示する。パネルCは、体液の分析のための複数のチャンバと、対照チャンバを備える、スライドを図示する。パネルAは、ポート105と、流体チャネル110と、随意的な吸引ポート130と、少なくとも2つのサンプリングチャンバとを備える、スライド100の実施例を図示する。パネルAは、第1のサンプリングチャンバ115、第2のサンプリングチャンバ120、および第3のサンプリングチャンバ125を図示する。いくつかの実施形態では、血液流体が、ポート105においてスライド100に提供され、体液は、毛管作用を通してサンプリングチャンバ115、120、および125に流入する。スライド100は、ポート105に対する第1のチャンバの配向を示すように、マーキング102を備えることができる。いくつかの実施形態では、マーキング102はさらに、スライド100をスライド分析器150の中へ配置するための適正な方向を示す。各サンプリングチャンバは、異なる被分析物、例えば、異なる種類の血球について分析することができる。第1のサンプリングチャンバ115は、例えば、赤血球の分析のために構成することができ、第2のサンプリングチャンバ120は、白血球の分析のために構成することができ、第3のサンプリングチャンバ125は、血小板の分析のために構成することができる。
【0028】
各サンプリングチャンバは、1つまたはそれを上回る試薬とともに事前包装することができる。試薬は、溶液として、または乾燥粉末として、サンプリングチャンバの中へ事前包装することができる。試薬は、サンプル中の体液の分析を促進するように、界面活性剤を含むことができる。試薬は、例えば、サンプリングチャンバ115、120、または125の中へ供給されている被分析物と混合することができる。いくつかの実施形態では、第1のサンプリングチャンバ115は、例えば、第1の乾燥型試薬135を含有することができ、第2のサンプリングチャンバ120は、第2の乾燥型試薬140を含有することができ、第3のサンプリングチャンバ125は、第3の乾燥型試薬145を含有することができる。いくつかの実施形態では、第1のサンプリングチャンバ115は、例えば、第1の液状試薬135を含有することができ、第2のサンプリングチャンバ120は、第2の液状試薬140を含有することができ、第3のサンプリングチャンバ125は、第3の液状試薬145を含有することができる。いくつかの実施形態では、スライド100は、乾燥および液体試薬の組み合わせを備える。
【0029】
チャンバは、希釈剤、染料、および他の化学化合物を備えることができる。希釈は、試薬を用いた被分析物の分析のために、最適な濃度を提供することができる。チャンバは、共通チャネルを通して1つまたは複数のチャンバと流体連通することができ、またはチャンバは、他のチャンバから物理的に隔離することができる。体液は、チャンバ中に存在する試薬によって希釈することができ、かつ体液は、チャンバに提供される前に希釈することができる。希釈は、対数様式で濃度の等比数列をもたらし得る、連続希釈であり得る。例えば、10倍連続希釈は、1M、0.1M、0.01M、0.001M、およびそれらの等比数列であり得る。希釈は、例えば、1倍希釈、2倍希釈、3倍希釈、4倍希釈、5倍希釈、6倍希釈、7倍希釈、8倍希釈、9倍希釈、10倍希釈、16倍希釈、25倍希釈、32倍希釈、64倍希釈、および/または125倍希釈であり得る。いくつかの実施形態では、体液の希釈は、試薬を用いた被分析物または細胞型の分析のために必要とされず、一定の体液が、本発明のスライド内の部品に直接提供される。
【0030】
スライドまたはチャンバの表面積を横断して拡散される体液を分析するために、本発明のデバイスおよびシステムを使用することができる。チャンバの表面積は、約0.1mm〜約0.5mm、約0.1mm〜約1mm、約1mm〜約5mm、約5mm〜約10mm、約10mm〜約15mm、約15mm〜約20mm、約20mm〜約25mm、約25mm〜約30mm、約30mm〜約35mm、約35mm〜約40mm、約40mm〜約45mm、約45mm〜約50mm、約50mm〜約55mm、約55mm〜約60mm、約60mm〜約65mm、約65mm〜約70mm、約70mm〜約75mm、約75mm〜約80mm、約80mm〜約85mm、約85mm〜約90mm、約90mm〜約95mm、または約95mm〜約100mmであり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、50ポンド未満、49ポンド未満、48ポンド未満、47ポンド未満、46ポンド未満、45ポンド未満、44ポンド未満、43ポンド未満、42ポンド未満、41ポンド未満、40ポンド未満、39ポンド未満、38ポンド未満、37ポンド未満、36ポンド未満、35ポンド未満、34ポンド未満、33ポンド未満、32ポンド未満、31ポンド未満、30ポンド未満、29ポンド未満、28ポンド未満、27ポンド未満、26ポンド未満、25ポンド未満、24ポンド未満、23ポンド未満、22ポンド未満、21ポンド未満、20ポンド未満、19ポンド未満、18ポンド未満、17ポンド未満、16ポンド未満、15ポンド未満、14ポンド未満、13ポンド未満、12ポンド未満、11ポンド未満、10ポンド未満、9ポンド未満、8ポンド未満、7ポンド未満、6ポンド未満、5ポンド未満、4ポンド未満、3ポンド未満、2ポンド未満、または1ポンド未満の重さがある。本発明のデバイスは、約4オンス、約8オンス、約12オンス、約1ポンド、約1.5ポンド、または約2ポンドの最小重量を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、デバイスは、5,000g未満、4,000g未満、3,000g未満、2,000g未満、1,500g未満、1,400g未満、1,300g未満、1,200g未満、1,100g未満、1,000g未満、900g未満、800g未満、700g未満、600g未満、または500g未満の全質量を有する。本発明のデバイスは、約100g、約200g、約300g、約400g、または約500gの最小全質量を有することができる。
【0033】
本発明のデバイスは、種々の形状および寸法を有することができる。本発明のデバイスは、例えば、立方体、円筒、円錐、球形、錐体であり得るか、または他の形状を有することができる。本発明のデバイスは、それぞれ、独立して、約1インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチ、約5インチ、約6インチ、約7インチ、約8インチ、約9インチ、または約10インチの高さ(H)、幅(W)、または奥行き(D)を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、立方体である。寸法は、例えば、6インチH×6インチW×6インチD、または6インチH×6インチW×6インチD未満であり得る。
【0034】
チャンバは、被分析物または細胞型を検出することが可能である、試薬を含有することができる。いくつかの実施形態では、チャンバは、溶解試薬を含むことができる。溶解試薬は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、サポニン、ヘビの毒、第4級アンモニウム塩、トリトンX、または他の溶解剤であり得る。いくつかの実施形態では、チャンバは、フルオロフォアである試薬、例えば、アクリジンオレンジ、7−AAD、ヒドロキシスチルバミジン、またはLDS 751等の核酸染色を含むことができる。いくつかの実施形態では、チャンバは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液中に0.1mM〜0.3mMのSDSを含むことができる。いくつかの実施形態では、試薬は、固定剤であり得る。チャンバ中の試薬を用いた細胞型または被分析物の検出は、体液の分析を促進することができる。固定剤の非限定的実施例は、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒド等のアルデヒド、ならびにエタノールおよびメタノール等のアルコールを含む。
【0035】
本発明のデバイスおよびシステムは、較正スライドを備えることができる。図2のパネルBは、較正スライド101を図示する。較正スライド101は、1つまたはそれを上回る較正チャンバ、例えば、第1の較正チャンバ116、第2の較正チャンバ121、および第3の較正チャンバ126を備えることができる。較正チャンバ116、121、または126は、所定数の細胞型、被分析物、または体液の性質に類似する性質を伴う他の可能な標準を含むことができる。較正スライドは、例えば、血液サンプルとして、類似サイズおよび蛍光性質を伴う標準を含むことができる。較正スライドは、較正チャンバ116、121、または126の底部上に塗布または印刷することができる、ポリエチレンビーズまたは細胞複製を含むことができる。いくつかの実施形態では、較正チャンバ116は、赤血球の所定数の複製を含むことができ、較正チャンバ121は、白血球の所定数の複製を含むことができ、較正チャンバ126は、血小板の所定数の複製を含むことができる。いくつかの実施形態では、較正画像が、スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムによって取得される。
【0036】
いくつかの実施形態では、スライド分析器150を較正するために、較正スライド101が使用される。スライド分析器150を較正するために、スライド分析器150は、較正チャンバの画像を撮影することができ、画像は、細胞複製の数を数えるように分析することができ、数えた数は、標準または基準等の所定の数と比較することができる。スライド分析器150は、較正目的で必要に応じて調整することができる。スライド100と同様に、較正スライド101はまた、スライド分析器150の中へ配置されると、スライド100の適正な配向および方向を示すように、マーキング102を備えることもできる(図2のパネルB)。
【0037】
いくつかの実施形態では、同一のスライドを用いて較正および体液分析を行うことができる。図2のパネルCは、そのような使用のために構成される、血液収集および分析スライド100aを示す。スライド100aは、配向および方向指標マーキング102と、ポート105と、チャネル110と、その中に試薬135を有する第1のチャンバ115と、その中に第2の試薬140を有する第2のチャンバ120と、その中に第3の試薬145を有する第3のチャンバ125と、随意的な吸引ポート130と、第1の較正チャンバ116と、第2の較正チャンバ121と、第3の較正チャンバ126とを備える。
【0038】
図3は、体液を分析するためのシステムの略図であり、体液の分析を行うためのシステム10を図示する。図3は、スライド100をスライド分析器150のスライド受容器155に挿入することができる、実施形態を図示する。スライド受容器155は、異なるチャンバを異なる時間に分析することができるように、自動的に移動可能であり得る。スライド分析器150のプロセッサ350からの命令の下で、スライド受容器155は、第1のサンプリングチャンバ115、第2のサンプリングチャンバ120、および/または第3のサンプリングチャンバ125を分析することができるように、スライド100を移動させることができる。スライド分析器150に挿入されたスライドが任意の較正チャンバを有する場合、スライド受容器155は、任意の所望の較正チャンバも分析することができるように、スライドを移動させることができる。いくつかの実施形態では、撮像システムが、スライドから視覚データを取得し、取得された視覚データを受信機に伝送することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ350はさらに、視覚データの分析を提供するように構成される。
【0039】
スライド100をスライド受容器155の内側で移動させることができる。例えば、スライドをスライド受容器内で回転させることができる。いくつかの実施形態では、スライド受容器155は、小さい精密な段階でスライド受容器155を移動させることが可能なマイクロマニュピレータを備えることができる。いくつかの実施形態では、スライド100は、スライド分析器150の繰り返しの使用で生じ得る二次汚染のリスクを最小限化するように、スライド分析器150から密閉するか、または別様に流体的に隔離することができる。スライド分析器150はまた、スライド分析器150の機能に悪影響を及ぼすことなく、例えば、紫外線または他の放射線、あるいは種々の清浄および滅菌化学物質への暴露による、滅菌および清浄に耐えるように構成することもできる。
【0040】
本発明のシステムは、視覚データを取得するように構成される撮像システムを備える、複数の構成要素を備えることができる。本発明のシステムは、一次光源300と、光学アセンブリ304と、スライド100から視覚データを取得するように構成することができる画像捕捉要素345とを備えることができる。
【0041】
図3は、一次光源300がスライド100から視覚データを取得するように構成される、実施形態を図示する。図3は、例えば、スライド100のサンプリングチャンバのうちのいずれかの側方散乱測定を含む、視覚画像の取得を支援するために利用することができる、第2の光源305を図示する。一次光源300は、サンプリングチャンバ(例えば、図3に示されるようなサンプリングチャンバ120)を図示する。一次光源300、および行われている測定の種類に基づいて一次光源に対して変動し得る角度で配置される二次光源305はさらに、平行照射ビームの形成を促進することによって等、スライドおよびその構成要素の照射を促進するように、それぞれ、コンデンサ光学部300aおよび305aを備えることができる。
【0042】
システム10は、可動フィルタアセンブリ310を備えることができる。可動フィルタアセンブリ310は、色フィルタおよび空間フィルタ等の1つまたはそれを上回るフィルタを備えることができる。照射されたサンプリングチャンバからの光は、可動フィルタアセンブリ310のフィルタのうちの1つを通過することができる。図3に示されるように、可動フィルタアセンブリ310は、第1のフィルタ315と、第2のフィルタ320と、第3のフィルタ325とを備える。第1のフィルタ315は、例えば、赤色フィルタであり得、第2のフィルタ320は、緑色フィルタであり得、第3のフィルタ325は、視覚データの光散乱測定を取得するように構成される空間フィルタであり得る。可動フィルタアセンブリ310は、画像捕捉および分析を促進するよう所望のフィルタを選択することができるように、プロセッサ350からの命令を通して移動させることができる。可動フィルタアセンブリ310は、小さい精密な段階で可動フィルタアセンブリ310を移動させることが可能なマイクロマニュピレータを備えることができる。可動フィルタアセンブリ310は、光学アセンブリ304の構成要素であり得る。
【0043】
所望のフィルタを通過する前に、サンプリングチャンバからの光は、最初に、光学アセンブリ304の他の要素を通過することができる。光学アセンブリ304は、任意の得られた視覚データを拡大するため、および光学アセンブリ304の焦点面を調整するために利用することができる、少なくとも2つのレンズ、すなわち、第1のレンズ335および第2のレンズ340を備えることができる。視覚データは、例えば、約3倍〜約20倍に拡大することができる。システム10は、第1のレンズ335と第2のレンズ340との間に配置される、可動フィルタアセンブリ310を備えることができ、光が、フィルタアセンブリ310を通過する前に、最初に第1のレンズ335を通過する。
【0044】
サンプリングチャンバ120からの画像は、画像の光が光学アセンブリ304を通過した後に、画像捕捉要素345によって撮影することができる。画像捕捉要素345は、CCDまたはCMOS検出器アレイ、例えば、低費用の高解像度CCDを備えることができる。システム10はさらに、画像捕捉要素345を冷却するための冷却要素345cを備えることができる。また、画像捕捉要素345および光学アセンブリ304は、多くの場合、サンプリングチャンバの焦点面内の種々の視野を横断して走査することができるように、ユニットとして移動可能であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、スライド分析器150を備え、スライド分析器はさらに、プロセッサ350と、メモリモジュール335と、通信モジュール360と、伝送機375と、ディスプレイ160と、制御パネル170とを備える。順に命令をプロセッサ350に送信する、制御パネル170を通して、ユーザ入力をスライド分析器150に入力することができる。プロセッサ350は、例えば、どのサンプリングチャンバを分析するかを判定するように、スライド受容器155の位置を調整するため、どの光フィルタを使用するかを判定するように、フィルタアセンブリ310の位置を調整するため、光学アセンブリ304の倍率および焦点面を調整するため、または1つまたはそれを上回る画像を捕捉するように画像捕捉要素345に命令するための種々の命令を送信および受信することができる。プロセッサ350は、捕捉された画像の記憶のためにメモリモジュール355に連結することができる。メモリモジュール355は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または揮発性あるいは不揮発性メモリを備えることができる。プロセッサ350は、取得された視覚データを種々の受信機に送信することができる365、伝送機360に連結することができる。伝送機375は、認定された安全な伝送、例えば、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act;医療保険の携行性と責任に関する法律)によって認定される伝送365で、取得された視覚データを伝送することができる。取得および/または伝送された視覚データは、体液中に存在する細胞型または被分析物を判定するように、画像分析ソフトウェアを使用して分析することができる。視覚データの分析は、対象の健康記録に永久的かつ自動的に記録することができる。
【0046】
取得された視覚データを伝送するために、複数の伝送技法を伝送機375によって使用することができる。伝送は、無線伝送または有線伝送であり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ350は、視覚データの分析を提供することができる、コンピュータプログラムコードを伴って構成される。いくつかの実施形態では、伝送された視覚データは、第2のシステム370によって分析される。第2のシステムは、例えば、第2のコンピュータシステム370であり得る。第2のシステムは、伝送された視覚画像を分析することができ、第2のシステムは、分析データの結果をシステム10に返信することができる。次いで、プロセッサ350は、ディスプレイ160上に表示されるデータ分析の結果を有することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ350は、取得された画像自体に分析の少なくとも一部またはさらに全体を行い、次いで、ディスプレイ160上に分析結果を表示するようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、システム10内のプロセッサ350を用いたスライド100の分析は、伝送機へのアクセスを必要としない。
【0047】
スライドから視覚データを取得するように構成される撮像システムによって直接的に、またはスライド分析器150によってのいずれかで、スライド100が分析された後、スライド100を非毒性廃棄物として処分することができ、またはさらなる分析のためにスライド100を保存することができる。容器を随意に提供し、本発明のキットとともにスライドを処分するために使用することができる。
【0048】
上記で議論されるように、フィルタアセンブリ310、およびスライド100を伴うスライド受容器155は、使用される特定の光フィルタ、および分析される特定のサンプリングチャンバを選択するように選択的に移動させることができる。図4は、可動スライドおよび可動フィルタアセンブリとともに、体液を分析するためのシステムを図示する。パネルAは、撮像システムに関してスライドをどのようにして位置付けることができるかを図示する。パネルBおよびCは、可動フィルタアセンブリを移動させることができる方法を図示する。
【0049】
図4のパネルAに示されるように、スライド受容器155は、第3のサンプリングチャンバ125を分析することができるように位置付けることができ、フィルタアセンブリ310は、視覚画像を取得するプロセスで第2のフィルタ320を使用することができるように位置付けることができる。パネルBに示されるように、フィルタアセンブリ310は、第3のフィルタ325を代わりに使用することができるように、方向401へ移動させることができ、スライド受容器155は、第2のサンプリングチャンバ120を分析することができるように、方向404へ移動させることができる。パネルCに示されるように、フィルタアセンブリ310は、第1のフィルタ315を使用することができるように、方向407へ移動させることができる。加えて、フィルタアセンブリ310上の特定のフィルタおよびスライド100の特定のサンプリングチャンバの任意の数の組み合わせを、光学的整合の中へ移動させることができる。
(本発明の方法)
【0050】
体液の分析のための方法およびプロセスは、対象の全般的健康状態の概観を提供することができる。例えば、全血球計算値は、対象の血液中の細胞についての情報を提供することができる。異常に高いまたは低い計数は、多くの形態の疾患の存在を示し得、したがって、血球数は、医学の分野で最も一般的に行われている血液検査の1つである。体液の分析のための方法およびプロセスは、通常、多段階プロトコルを必要とする。例えば、全血球計算値を取得するための代表的な方法は、多くの場合、正確な計数を取得するために、過剰な赤血球の溶解を必要とする。さらに、多くの場合、特定の様式で取り扱われる必要がある染料の組み合わせを使用して、白血球分化が達成され、例えば、使用するまで特定の温度以内に保たれる必要がある濃縮原料として、白血球分化で使用するための抗体共役染料を提供することができる。
【0051】
本発明のシステムは、対照的に、血液または唾液等の体液の分析のための実用的かつアクセス可能な方法を提供する。本発明の方法は、スライド(またはチャンバ)内の希釈液の中へマイクロリットル未満の量の全血を希釈するステップと、分析のためにスライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムの取得範囲内にスライドを配置するステップとを含むことができる。希釈剤は、アクリジンオレンジ(AO)等の核酸染料、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等のアニオン性界面活性剤を含む、リン酸緩衝生理食塩水緩衝液であり得る。いくつかの実施形態では、本発明は、スライドまたはチャンバの底部に細胞の一様な単層を形成するように希釈を使用するため、および白血球および血小板を染色してそれらを赤血球と区別するように蛍光染料を使用するための方法を効果的に提供する。
【0052】
赤血球が、細胞チャンバ内でランダム配向を有し得る円盤様形状を有するため、未調製赤血球を数えることは計算上困難なタスクである。したがって、赤血球を球状にするために、第2の試薬、すなわち、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が使用される。SDSは、赤血球膜の表面張力を低減させる、アニオン性界面活性剤である。適切な濃度で血液に添加されたとき、これは、細胞を等容性に球形にするように作用し、それらの両凹円盤形状を失わせ、一様な球形にさせる。球状赤血球は、一様に単層内で密集し、それらの一貫した形状は、単純な視覚データ処理技法を使用して、それらが容易かつ正確に数えられることを可能にする。本発明の撮像システムを用いて、好適な視覚データを取得することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、サンプル中の赤血球の分析のための方法を効果的に提供し、赤血球の球状化は、血球配向による視覚データ内の赤血球画像の変動性を最小限化する。
【0053】
白血球、血小板、および球状赤血球の正確な計数を提供するために、希釈剤を使用することができる。スライド内またはチャンバ内の血球の密度を制御するために、希釈剤を使用することができ、かつチャンバの内側に細胞の単層を形成するために、希釈剤を使用することができる。本発明の方法は、細胞が沈殿すること、およびチャンバ中で単層を形成することができるときに、単一の画像内の全ての赤血球の正確な計数を提供することができる。希釈係数は、例えば、体液中の赤血球および白血球の分析を同時に提供するように、最適化することができる。白血球が赤血球と比較して全血中で数が約1000倍少ないため、十分な数の白血球が数えられるように、希釈係数を最適化することができる。いくつかの実施形態では、全血の5〜10倍希釈は、赤血球および白血球の同時分析に好適である、細胞の単層を提供する。
【0054】
核酸に対する天然親和性を有する単一の安定した染料を含む、試薬を用いて、スライドまたはチャンバ内の体液を分析することができる。安定した染料は、例えば、アクリジンオレンジであり得る。DNAに結合するとき、アクリジンオレンジは、単量体としてDNAと介在し、青色励起下で強い緑色蛍光を生じる。RNAおよびタンパク質に結合するとき、これは、青色励起下で赤色蛍光を生じる、多量体型で静電錯体を形成する。結合したアクリジンオレンジが非結合染料より強く蛍光を発するため、本発明の方法を用いた体液の染色は、洗浄ステップを必要としない。異なる白血球の種類が異なる量のDNAおよびRNAを有するため、白血球集団は、異なる相対量の赤色および緑色蛍光を生じることができる。これは、それらの色に基づいて細胞型の分離を可能にする。血小板が、多くの場合、少量のRNAによって特徴付けられるため、血小板をアクリジンオレンジでかすかに染色することができる。血小板内の少量のRNAは、本発明の方法を用いた血小板の検出を可能にする。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、少量の体液中の全血球計算値の判定を可能にする。
【0055】
いくつかの実施形態では、サンプルの分析は、約0.5nL〜約50nLの体液、約1nL〜約100nLの体液、約100nL〜約150nLの体液、約150nL〜約200nLの体液、約200nL〜約250nLの体液、約250nL〜約300nLの体液、約300nL〜約350nLの体液、約350nL〜約400nLの体液、約400nL〜約450nLの体液、約450nL〜約500nLの体液、約500nL〜約550nLの体液、約550nL〜約600nLの体液、約600nL〜約650nLの体液、約650nL〜約700nLの体液、約700nL〜約750nLの体液、約750nL〜約800nLの体液、約800nL〜約850nLの体液、約850nL〜約900nLの体液、約900nL〜約950nLの体液、約950nL〜約1μLの体液、約0.5μL〜約1μLの体液、約1μL〜約5μLの体液、約5μL〜約10μLの体液、約10μL〜約20μLの体液、約20μL〜約30μLの体液、約30μL〜約40μLの体液、または約40μL〜約50μLの体液を利用する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば、単層として表面積を横断して拡散される、少量の体液を分析することができる。少量の体液は、約100nL未満の体液、約200nL未満の体液、約300nL未満の体液、約400nL未満の体液、約500nL未満の体液、約600nL未満の体液、約700nL未満の体液、約800nL未満の体液、約900nL未満の体液、約1μL未満の体液、約2μL未満の体液、約3μL未満の体液、約4μL未満の体液、約5μL未満の体液、約6μL未満の体液、約7μL未満の体液、約8μL未満の体液、約9μL未満の体液、または約10μL未満の体液であり得る。
(視覚画像を取得する)
【0057】
いったん体液がチャンバ内で、あるいは2つまたはそれを上回るチャンバを備えるスライド内で適切に希釈されると、体液の視覚画像を取得して分析することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、リン酸緩衝生理食塩水、ドデシル硫酸ナトリウム、およびアクリジンオレンジを含む、単一の希釈剤中で血液サンプルを希釈するステップを含み、その後に、例えば、低倍率対物レンズを使用する蛍光および暗視野撮像を用いた、体液からの視覚データの取得が続く。いくつかの実施形態では、取得された視覚画像の分析は、サンプルの全血球計算値を提供する。
【0058】
視覚画像は、例えば、ハロゲン電球、暗視野コンデンサ、および大判カメラを用いて撮影することができる。視覚画像取得は、例えば、1つのチャンバ内で、白血球、血小板、および赤血球を数えて区別するように、暗視野および蛍光視覚画像の組み合わせを取得することを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つの視覚画像が取得される。いくつかの実施形態では、複数の視覚画像が取得される。本発明の撮像システムは、例えば、少なくとも1つの暗視野視覚画像、少なくとも2個の暗視野視覚画像、少なくとも3個の暗視野視覚画像、少なくとも4個の暗視野視覚画像、少なくとも5個の暗視野視覚画像、少なくとも6個の暗視野視覚画像、少なくとも7個の暗視野視覚画像、少なくとも8個の暗視野視覚画像、少なくとも9個の暗視野視覚画像、または少なくとも10個の暗視野視覚画像を取得することができる。本発明の撮像システムは、例えば、少なくとも1つの明視野視覚画像、少なくとも2個の明視野視覚画像、少なくとも3個の明視野視覚画像、少なくとも4個の明視野視覚画像、少なくとも5個の明視野視覚画像、少なくとも6個の明視野視覚画像、少なくとも7個の明視野視覚画像、少なくとも8個の明視野視覚画像、少なくとも9個の明視野視覚画像、または少なくとも10個の明視野視覚画像を取得することができる。本発明の撮像システムは、例えば、少なくとも1つの蛍光視覚画像、少なくとも2個の蛍光視覚画像、少なくとも3個の蛍光視覚画像、少なくとも4個の蛍光視覚画像、少なくとも5個の蛍光視覚画像、少なくとも6個の蛍光視覚画像、少なくとも7個の蛍光視覚画像、少なくとも8個の蛍光視覚画像、少なくとも9個の蛍光視覚画像、または少なくとも10個の蛍光視覚画像を取得することができる。本発明の撮像システムは、暗視野、明視野、または蛍光視覚画像の任意の組み合わせを取得することができる。いくつかの実施形態では、明視野視覚画像または暗視野視覚画像は、赤血球を撮像するために使用される。いくつかの実施形態では、1チャネル蛍光視覚画像または2チャネル蛍光視覚画像が、白血球または血小板を撮像するために使用される。いくつかの実施形態では、最終画像生成物は、少なくとも3つの画像からのデータを含む。
【0059】
本発明の撮像システムは、細胞型の2チャネル蛍光視覚画像を取得するように構成することができる。例えば、4倍対物レンズおよび470nm励起光を使用して、白血球を含む視覚画像を取得することができ、赤色および緑色チャネルは、自動的にカメラの前に配置される発光フィルタを変更することによって、連続的に取得される。例えば、チャンバを移動させ、画像視野をともに傾転させることによって、細胞チャンバの全体を撮像することができる。
【0060】
本発明の撮像システムは、細胞型の1チャネル蛍光視覚画像を取得するように構成することができる。例えば、10倍対物レンズを用いて、血小板細胞を含む視覚画像を取得することができる。いくつかの実施形態では、白血球の視覚画像を取得するために利用されるものと同一の励起源および赤色発光フィルタを用いて、血小板の視覚画像を取得することができる。いくつかの実施形態では、同一の対物レンズを使用して、異なる細胞型の暗視野画像を撮影することができる。例えば、4倍対物レンズを使用して、例えば、同一の励起で赤血球および白血球の暗視野画像を撮影することができる。
【0061】
視覚画像は、チャンバの表面積の区画から取得することができ、または視覚画像は、チャンバの表面積の全体から取得することができる。いくつかの実施形態では、細胞集団の密度は、分析のために必要とされる視覚画像の数と関連付けられる。例えば、係数チャンバの中心から撮影された単一の画像は、赤血球集団の正確な分析のための一貫した視覚情報を提供するために十分であった。対照的に、チャンバの異なる表面からの少なくとも2つの視覚画像が、血小板集団の分析のために必要とされ得る。本発明のデバイス、システム、および方法を使用して撮影される代表的な画像が、図10でさらに詳細に示され、説明されている。視覚データは、受信機に伝送することができる。いくつかの実施形態では、受信機は、プロセッサを備えるコンピュータシステムと通信しており、コンピュータシステムは、視覚データの分析を行うようにプログラムされる。
(データ分析)
【0062】
取得された視覚画像から全血球計算値(赤血球、白血球、および血小板のうちのいずれかまたは全てを含む)を提供するために、本発明のシステムは、視覚データから個々の細胞型を識別して定量化するアルゴリズムを利用することができる。視覚データ内の特定の物体が、例えば、白血球であるかどうかを判定するために、本システムは、例えば、特定のフィルタを用いて、および/または特定の発光波長内で、一式の視覚画像を識別することができる。システムは、蛍光に基づいて、一式の取得された視覚データをグループ化することができる。特定の画像からの平均または中央蛍光強度は、背景蛍光信号を含む基準画像から差し引くことができる。次いで、閾値化または流域区分化を使用して、細胞領域を識別することができ、各細胞に対する平均チャネル強度を計算することができる。
【0063】
いったん識別されると、細胞を数えることができる。例えば、基準データベース中に存在する種々の基準画像との比較によって、1つの画像または一式の画像内の赤血球または白血球あるいは血小板の数を識別することができる。いったん赤血球または白血球あるいは血小板の数が数えられると、部分母集団および関連割合を判定することができる。2つまたはそれを上回る周波数にわたる蛍光応答の範囲に従って、異なる部分母集団をグループ化することができる。加えて、緑色および赤色蛍光強度の2次元ヒストグラムの混合ガウスモデリングを生成して分析することができる。高次元ヒストグラム、例えば、異なる波長または波長範囲における蛍光強度、および散乱光測定を含む、ヒストグラムもまた、作成して分析することができる。データを分析するために、この多次元データ上の主成分分解を行うことができ、少なくとも1つの次元を、例えば、ガウスモデル、スキューTモデル、または対数正規モデルに適合させることができる。監視または非監視クラスタリング技法等のデータマイニング技法およびアルゴリズムを、細胞部分母集団の識別および列挙に適用することができる。
【0064】
データ分析で使用することができるスライド中の体液の回折パターンを得るように、フーリエ変換または他の数学的変換を取得された視覚画像に行うことができる。回折パターンは、例えば、細胞半径の分布を判定するように分析することができる。細胞分析に基づいて、赤血球の体積分布、平均細胞体積(MCV)、および赤血球分布幅(RDW)を、視覚画像から判定することができる。いくつかの実施形態では、チャンバに提供されるサンプルサイズの体積が把握され、ヘマトクリット(HCT)数を判定するために、MCVおよびRBCを使用することができる。
【0065】
取得された視覚画像のデータ分析は、視覚画像のテンプレート合致を含むことができる。例えば、撮像システムを用いて、非染色血液の明視野または暗視野画像を取得することができ、取得された視覚データを基準データベース内の視覚データと比較することができる。視覚データは、低倍率および高倍率で取得して分析することができる。例えば、高倍率では、血小板は、サイズに基づいて他の細胞から区別可能である、小さな塵のような物体として、画像内で可視的であり得る。
【0066】
本発明の方法およびシステムを用いたデータ分析は、血球の複数の集団および部分母集団を識別することができる。例えば、分析は、サンプルの平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)を識別することができる。光の複数の波長または波長範囲を使用して、血液サンプルを撮像することができ、細胞型による光の平均吸収を計算することができる。コンピュータシステムは、例えば、ランベルト・ベールの法則モデルを血球の球状形状に適用し、MCHCを判定することができる。
(全血球計算値を用いて検出することができる症状)
【0067】
全血球計算値は、血液中の細胞の種類および数、特に、赤血球、白血球、および血小板に関する重要な情報を提供する。CBCは、医師が、衰弱、疲労、あざの形成、または癌等の症状の生理学的原因を識別することに役立つことができる。CBCは、貧血、感染症、または癌等の症状を診断するために使用することができる。CBCは、臨床医が、治療への対象の生理学的応答を監視することを可能にすることができ、かつCBCは、対象が治療への対象自身の応答を監視することを可能にすることができる。CBCは、対象の白血球、赤血球、および血小板集団の分析を提供することができる。
【0068】
全血球計算値を用いて臨床実践で診断することができる一般的な異常は、貧血、多血症、白血球減少症、白血球増加症、および血小板減少症を含む。CBCを用いて診断することができる一般的な種類の貧血の非限定的実施例は、鉄欠乏性貧血、サラセミア、(鎌状赤血球貧血のような)異常ヘモグロビン症、薬物関連貧血、および慢性疾患関連貧血を含む。
【0069】
白血球は、感染症から対象を保護することにおいて重要な生理学的役割を果たす。対象が、感染症、例えば、細菌性感染症を有する場合、白血球の数が非常に迅速に上昇する。したがって、悪性腫瘍または治療への生理学的応答を判定するために、白血球の数を使用することができる。循環内の白血球の総数、および白血球分画の判定は、白血病等のいくつかの血液悪性腫瘍の診断を提供することができる。
【0070】
赤血球は、肺から身体の他の部分に酸素を運搬し、呼気のために二酸化炭素を肺に戻す。RBC計数が低い場合、例えば、貧血の場合、対象の身体は酸素を奪われ得る。計数が高すぎる、すなわち、多血症と呼ばれる症状である場合、赤血球は、ともに凝集し、毛細血管および血管を遮断し得る。したがって、CBCを用いて対象の血液中のヘモグロビンの量を判定することにより、身体の全体を通して酸素を運搬する血液の能力の分析を提供することができる。
【0071】
血小板は、血液中の最小形成要素である。それらは、例えば、血液凝固、アテローム性動脈硬化症、および血小板減少症において重要である。出血が起こるときに、血小板は、膨張し、ともに凝集し、出血を防止することに役立つ粘着性の栓を形成する。血小板が少なすぎる対象は、無制御出血に悩まされ得る。多すぎる血小板から形成される血栓は、血管を詰まらせる。
【0072】
本発明の助けにより、臨床医は、本発明のシステムによって臨床医に伝送される、全血球計算値を遠隔で受信することができる。その結果として、臨床医は、診療所または病院に通院するように対象に要求することなく、治療への対象の応答を監視することができる。臨床医は、例えば、医師、看護師、診療看護師、または対象の健康を監視する責任がある個人であり得る。対象は、例えば、高齢者、成人、青少年、思春期前の子供、小児、幼児、乳児であり得る。本発明は、治療への対象の応答を監視するため、または対象の健康を監視するために、対象によって利用することができる、システム、デバイス、および方法を提供する。本発明は、治療への対象の応答を監視するため、または対象の健康を監視するために、臨床医によって利用することができる、システム、デバイス、および方法を提供する。
【実施例】
【0073】
(実施例1)本発明の方法
フローチャート500(図5)は、体液をチャンバに提供するステップと、試薬を用いて体液中の被分析物を分析するステップと、スライドから視覚データを取得するステップと、視覚データを分析するステップとを含む、体液を分析するための方法を図示する。実施例は、体液が血液サンプルである、代表的な実施形態を図示する。
【0074】
505では、対象が少量の血液サンプルをチャンバに提供する。対象は、皮膚を貫通するため、および一滴の血液を回収するために、指先採血針を使用することができる。比較的少量の血液が必要とされ、一滴の血液は、例えば、マイクロリットル未満の量の血液、または約1μL〜約5μLの量の血液であり得る。対象は、一滴の血液を本明細書で説明されるチャンバ等のチャンバに追加することができる510。
【0075】
チャンバは、血液サンプルを染色する試薬とともに事前包装することができる515。試薬は、例えば、アクリジンオレンジ等の蛍光染料、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤を含むことができる。染色サンプルは、例えば、以前に説明されたような光源300を用いて、照射することができる520。サンプルは、第1の波長で照射することができ、撮像システムは、照射されたサンプルから視覚データを取得することができる525。第1の波長または波長範囲での染色サンプルの蛍光応答を、撮像システムによって測定することができる。例えば、第1の波長は、アクリジンオレンジ等のチャンバ内の細胞型と関連付けられるフルオロフォアを励起させることができる。フルオロフォアの励起および視覚画像の取得は、特定の細胞型または被分析物中のDNAの濃度と関連付けられる視覚画像を提供することができる。サンプルを照射するために、第2の波長を使用することができ、撮像システムは、第2の波長で照射されたサンプルから視覚データを取得することができる530。異なる波長で放射する、1つまたはそれを上回る付加的な光源を使用した、付加的な波長での染色サンプルの蛍光放射も測定することができる。血液サンプルの明視野および暗視野画像もまた、撮像システムによって取得することができる。チャンバから視覚データを取得するように構成される、撮像システム525および530は、画像を取得する前にレンズを用いて視野を拡大するように構成することができる。525および530は、視覚データの分析中に追加してともに合併することができる視野または複数の視野から、視覚データを取得することができる。
【0076】
取得された視覚データは、グループ化して分析することができる535。例えば、チャンバを照射するために使用される波長に基づいて、一式の視覚データをグループ化することができる。取得された視覚データのグループ化は、画像の合併を提供することができる。コンピュータプログラム製品による視覚データの分析は、全血球計算値を提供することができる540。
【0077】
図5のパネルBは、取得された視覚データ550上の白血球の蛍光に基づいて、本発明の方法を用いて識別することができる、血液サンプル中の異なる種類の白血球を図示するグラフである。緑色蛍光応答および赤色蛍光応答の量に基づいて、個々の細胞、またはそれらの代表を、グラフ550上に配置することができる。グラフ550では、x軸は、緑色蛍光応答のレベルを表し、y軸は、赤色蛍光応答のレベルを表す。グラフ550上に配置される細胞は、それらの蛍光に基づいて、複数の明確に異なる群に分割することができる。例えば、第1の群555は、好中球の数に対応することができ、第2の群560は、リンパ球の数に対応することができ、第3の群565は、単球の数に対応することができ、第4の群570は、血小板の数に対応することができる。
【0078】
図6は、血液サンプル中の赤血球の数を数える方法を図示する、プロセス600のフローチャートである。605では、対象が、少量の血液サンプルをチャンバに提供する。対象は、皮膚を貫通するため、および一滴の血液を回収するために、指先採血針を使用することができる。比較的少量の血液が必要とされ、一滴の血液は、例えば、マイクロリットル未満の量の血液、または約1μL〜約5μLの量の血液であり得る。対象は、一滴の血液を本明細書で説明されるチャンバ等のチャンバに追加することができる。
【0079】
610では、サンプルの少なくとも一部分を、赤血球サンプリングチャンバ、例えば、115で説明される第1のサンプリングチャンバの中へ供給することができる。615では、血液サンプル中の赤血球を球形にするために、界面活性剤等の試薬を使用することができる。界面活性剤と反応した後に、サンプリングチャンバ中の赤血球は、それらの正常な両凹円盤様形状を失い、丸い球状形状になる。620では、スライドから視覚データを取得するように構成される撮像システムが、サンプリングチャンバから取り出される。チャンバは、所望される測定の種類に応じて、1つまたはそれを上回る波長または波長範囲で撮像することができる。サンプリングチャンバの底面における丸みを帯びた赤血球は、例えば、テンプレート合致を介して、それらの形状によって容易に識別することができる。適切な希釈で、620で取得される視覚データは、適切な希釈で100,000個より多くの球形赤血球の視覚表現を含むことができる。625では、赤血球数(RBC)を判定するように、視覚データ内で識別される赤血球の数を数えることができる。
(実施例2)本発明のシステム
【0080】
本発明のシステムは、本発明のデバイスから視覚データを取得するように明確に異なる様式で構成される、複数の撮像システムを備えることができる。
【0081】
図7は、体液を分析するためのシステム104およびデバイスのブロック図を示す。システム104、具体的には、自動携帯用スライド分析器150Aは、図3を参照して説明されるシステム10および自動携帯用スライド分析器150に類似し得る。しかしながら、本実施例は、撮像システムが、チャンバ内または明確に異なるチャンバ内の異なる場所から視覚データを捕捉することを可能にするように、血液収集および分析スライド100Rが、平行移動の代わりに回転を介して移動する、システム104を図示する。
【0082】
システム104は、スライド100Rを連結し、スライド100Rの所望のサンプリングチャンバを可視化するためにスライド100Rを回転させるように構成される、モータ100Mを備える。図7に示されるように、モータ100Mは、スライド100Rのサンプリングチャンバ115Rを、光源300、305、ならびに光学アセンブリ330と整合させることができる。
【0083】
プロセッサ350からの命令の下で、サンプリングチャンバ120Rを代わりに分析することができるように、モータ100Mは、サンプリングチャンバ120Rを代わりにこれらの構成要素と整合させることができるように、スライド100Rを回転させることができる。モータ100Mはまた、スライド100Rの付加的なチャンバまたは較正チャンバ等の種々の他の特徴を分析のために可視化することができるように、スライド100Rを回転させることもできる。
【0084】
システム104の他の構成要素を、平行移動の代わりに回転によって移動させることができる。図7に示されるように、例えば、システム104はさらに、回転可能なフィルタアセンブリ310Rに連結されるモータ310Mを備えることができる。モータ310Mは、フィルタアセンブリ310Rのフィルタ315Rを、光学アセンブリ330、ならびに光源300および305によって照射されるサンプリングチャンバ115Rと整合させることができる。プロセッサ350の命令の下で、モータ310Mは、フィルタ320Rを代わりにこれらの構成要素と整合させることができるように、フィルタアセンブリ310Rを回転させることができる。モータ310Mはまた、フィルタアセンブリ310Rの他のフィルタ等の種々の他の特徴が、システム104の光学構成要素と整合させられ得るように、フィルタアセンブリ310Rを回転させることもできる。一次光源300および二次光源305の両方はさらに、平行照射ビームの形成を促進することによって等、スライドおよびその構成要素の照射を促進するように、それぞれ、コンデンサ光学部300aおよび305aを備えることができる。いくつかの実施形態では、自動携帯用スライド分析器150Aはさらに、統合血液コレクタ380を備えることができる。統合血液コレクタ380は、自分の血液を収集するように医学的に訓練されていない対象およびシステム104のユーザによる、血液サンプルの収集を促進することができる。
【0085】
システム104は、第1のレンズ335と、第2のレンズ340とを備えることができる。画像捕捉要素345は、CCDまたはCMOS検出器アレイ、例えば、低費用の高解像度CCDを備えることができる。システム104はさらに、画像捕捉要素345を冷却するための冷却要素345cを備えることができる。本発明のシステムは、プロセッサ350と、通信モジュール360と、伝送機375と、ディスプレイ160と、制御パネル170とを備えることができる。プロセッサ350は、取得された視覚データを種々の受信機に伝送することができる365、伝送機360に連結することができる。受信機は、視覚データを分析するようにプログラムされるコンピュータシステム370と連結することができる。
【0086】
図8のパネルAは、本明細書で説明される体液収集部および分析スライドの上面図を図示する。パネルBは、指台および身体コレクタを図示する。パネルCは、本発明の撮像システムと、スライド/チャンバとを備える、筐体を図示する。パネルBで図示されるように、統合血液コレクタ380は、対象の指Fを刺してそこから血液を収集するための針380Lを有する、指台を備えることができる。汚染を回避するために、統合血液コレクタ380は、図8のパネルCに示されるように、自動携帯用スライド分析器150Aの外部に搭載することができる(スライド分析器150A上の血液コレクタ380の場所を参照)。統合血液コレクタ380は、収集された血液をスライド100Rの中へ供給するように、図8のパネルAに示されるスライド100Rに連結することができる。いったん血液が一連の分析のために収集されると、統合血液コレクタ380を自動携帯用スライド分析器150Aから除去し、別の統合血液コレクタ380と交換することができる。
【0087】
図8は、血液収集および分析スライド100Rの上面図を示す。スライド100Rは、スライド100Rが中心ハブ800の周囲で回転することができるように、モータ100Mをスライド100Rに連結するための中心ハブ800を備える。スライド100Rは、使い捨てであり得、血液サンプルを収集して分析し、種々の試薬を貯蔵するために使用され、概して、上記で説明される平行移動可能なスライド100Rに類似する多くの機能を有することができる。加えて、モータ100Mは、混合を促進するように、および種々の血液成分の物理的分離を提供するように、スライド100Rを回転させることができる。モータ100Mはまた、サンプリングチャンバ115Rおよび120Rの焦点面内の種々の視野を連続的に撮像することができるように、かつ多くの場合、光学アセンブリ330、フィルタアセンブリ310または310R、および画像捕捉要素345等のシステム10Aの光学構成要素を走査する必要なく、小さい精密な増分でスライド100Rを回転させることもできる。上記で議論されるように、分析することができるサンプリングチャンバ全体の広視野画像を形成するように、種々の視野の画像をともにデジタルで繋ぎ合わせることができる。
【0088】
スライド100Rは、平行移動させられたスライド100の構成要素に類似するが、円形の回転させられたスライド100Rとともに使用するために適合される、種々の構成要素を備えることができる。例えば、スライド100Rは、入口130Rと、混合チャンバ815と、第1の試薬貯蔵チャンバ805と、第2の試薬貯蔵チャンバ810と、弁820と、第1のサンプリングチャンバ115Rと、第2のサンプリングチャンバ120Rと、第1の較正チャンバ116Rと、第2の較正チャンバ121Rとを備える。第1および第2の較正チャンバ116Rおよび121Rは、それぞれ、上記で説明される第1および第2の較正チャンバ116および121に類似し得、白血球および赤血球の複製等の細胞複製を含むことができる。第1および第2の試薬貯蔵チャンバ805および810は、種々の試薬、例えば、界面活性剤、乾燥剤、溶解剤、乾燥型試薬、液体試薬、または所定量の希釈剤のうちの1つまたはそれを上回るものを含有することができる。
【0089】
弁820は、第1および第2のサンプリングチャンバ115Rおよび120Rから、試薬貯蔵チャンバ805および810ならびに混合チャンバ815を分離することができる。血液が入口130Rを通して収集された後、スライド100Rの回転は、試薬貯蔵チャンバ805および810から、試薬、血液、および希釈剤が混合することができる混合チャンバ815の中へ、試薬、および場合によっては希釈剤を抽出する、遠心効果を生成することができる。遠心効果はまた、血液成分を分離するために使用することもできる。次いで、弁820は、この混合が第1および第2のサンプリングチャンバ115Rおよび120Rの中へ供給されるために開放することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、サンプリングチャンバのうちの1つまたはそれを上回るチャンバは、種々の付加的な試薬を含むことができる。例えば、第1のサンプリングチャンバ115Rは、白血球を分析するためのものであり得、白血球分析を促進するように、赤血球を溶解させる溶解剤を含むことができる。弁820は、溶解剤が第1のサンプリングチャンバ115Rから混合チャンバ815の中へ入ることを防止することができる。遠心効果を使用する液体の供給に加えて、回転可能なスライド100Rとともに、例えば、吸引の使用、マイクロ流体工学、圧力機構、毛管作用、電気泳動、およびその他を含む、サンプルを操作する多くの他の方法も使用することができる。血液サンプルは、スライドの平行移動または回転を伴うものだけでなく多くの他の方法で撮像することができる。
(実施例3)本発明のデバイス、システム、および方法の臨床用途
【0091】
本発明のデバイス、システム、および方法を用いて、サンプル調製、画像取得、および画像分析の質を評価するために、13人の健康および不健康なボランティアの研究を行い、本発明および市販の自動血液分析器を用いて得られた結果の間の比較分析を行った。各ボランティアについて、1)臨床自動血液分析器上で、および2)本明細書で説明される本発明の実施形態を使用して、血液を1回採取して測定した。
【0092】
図9は、血液サンプルの分析に適用される体液の分析のためのシステムの概略図である。パネルAは、マイクロリットル未満の量の全血からのサンプル調製を図示する。マイクロリットル未満の量の全血を第1の試薬中で20倍に希釈し、次いで、本発明の厚さ100μmのチャンバに血液サンプルを注入することによって、サンプルが調製された。第1の試薬は、少量の核酸染料であるアクリジンオレンジ(AO、6.25μM)およびアニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS、0.3mM)を伴うリン酸緩衝生理食塩水(pH7〜7.2)から成った。第1の試薬の組成は、サンプル調製プロトコルにおけるステップの数を最小限化しながら、取得された視覚画像から抽出することができる、パラメータの数を最大限化した。本明細書で説明されるような第1の試薬の使用は、赤血球が球形として成形されることを可能にしながら、アクリジンオレンジが白血球および血小板を蛍光染色することを可能にした。本明細書で説明されるような第1の試薬の使用はまた、細胞の一様な単層が、厚さ100μmのチャンバであって、100mmの表面積を有するチャンバの底部で形成することを可能にした。プロトコルは、各対象の血液の3つの別個のアリコートで繰り返された。各対象の単一の測定について、視覚画像を同一のチャンバから取得した。
【0093】
図9のパネルBは、小型で低倍率の広視野撮像システムを図示する。静脈血を、静脈穿刺を介して13人のボランティアから採取し、EDTAで処理した収集管の中に貯蔵した。サンプルは、即時に、Coulter LH500 HematologyTM上で実行された。これに続いて、血液のマイクロリットル未満のアリコートを管から取り出し、結果として生じる混合物の全体積が10マイクロリットルであるように、0.1mM〜0.3mMのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および3μM〜12μMのアクリジンオレンジ(AO)を含有する、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の溶液中で5〜20倍に希釈した。溶液は、十分な希釈および染色を確保するように、数分間置かれた。次いで、希釈溶液は、10マイクロリットル容量を伴う市販の厚さ100ミクロンの細胞計数チャンバ内に配置された。チャンバの小さい高さにより、細胞は、毛管力によって引き込まれ、チャンバ底に一様な層を形成した。
【0094】
一貫した様式で、これらの画像から最大量の情報を抽出するために、自動データ分析技法が利用された。視覚撮像システムは、広い視野を利用し、蛍光染色が、形態学的差異よりもむしろ化学的差異に基づいて、白血球の種類の分離を可能にしたため、詳細な細胞内形態の識別のために高解像度を必要としなかった。所与の軸に沿ったその位置が、ある蛍光チャネル中のその強度を表す、多次元点として各細胞を表すことができるように、複数のチャネル中の蛍光強度が、画像内の各細胞について判定された。各画像について、各細胞は、2つの蛍光チャネルの平均の閾値化バージョンに基づいてカウントマスクを作成することによって、視覚画像内で識別された。
【0095】
視覚画像が、パネルBの撮像システムを用いて取得され、伝送機が、取得された視覚画像を受信機に伝送した。パネルCは、視覚画像データ分析のプロセスの選択ステップ、および視覚撮像システムの選択構成要素を図示する。各細胞チャンバが、自動蛍光顕微鏡901(Personal DeltavisionTM、 Applied Precision)のステージの上に配置され、5分間定着させられた。白血球測定については、チャンバ920全体が、4×0.13NA対物レンズ935を使用して撮像された。励起が、470±20nmフィルタ945を伴うキセノンランプ900によって行われた。顕微鏡の側面ポートに取り付けられたPhotometrics CoolsnapESTMカメラを使用して、画像が取得された。2つの連続蛍光画像が、各視野について取得され、1つは、カメラの前に配置された緑色(528±19nm)905フィルタを用いて、第2の画像は、カメラの前に配置された赤色(685±20nm)920フィルタを用いて取得される。血小板画像については、対物レンズが10×0.25NA対物レンズ904に交換され、チャンバ925全体の一部分のみが撮像された。カメラの前に配置された赤色フィルタを用いた単一の画像が、各視野について記録された。最終的に、赤血球画像については、915チャンバが撮像され、フーリエ面内にリングマスクを伴うコンデンサを通過させられたタングステン電球からの暗視野照明と併せて、4×0.13NA対物レンズ935が使用された。照明は、対物レンズの収集範囲を越える角度を含有した。Nikon D800TM大判カメラを使用して、単一のカラー画像が記録された。
【0096】
図10は、上記で説明される視覚画像のための計数マスクを図示する。図10のパネルa、パネルf、およびパネルhは、それぞれ、白血球、血小板、および赤血球について取得された広視野画像を示す。差し込み図は、より大きい画像内の囲んだ領域の拡大を示す。白血球画像では、細胞は、様々な量の赤色および緑色強度を伴う点状ドットとして出現する。血小板は、はるかに大きく明るい白血球と一緒に薄暗い物体として出現する。その一方で、赤血球は、明るい輪として出現する。赤血球は球形にされているが、赤血球の暗視野撮像は、膜において画像コントラストを提供した。したがって、赤血球は、不透明な円盤よりもむしろ輪として出現した。
【0097】
各白血球の蛍光強度は、計数マスクの各要素内で平均赤色または緑色強度を求めることによって、画像の各チャネルについて計算された。画像内の全ての細胞について赤色対緑色強度を描画することにより、図10のパネルCに示されるようなプロットを生じた。この画像は、細胞が3つの明確に異なる領域(視覚基準として提供される影付きの領域)にクラスタ化したことを図示する。1つの細胞群は、少量のRNAを示すが、細胞中の大量で高濃度のDNAを示す、低い赤色蛍光および強い緑色蛍光によって特徴付けられた。これらは、それらの静止状態で活発な転写がほとんどない、リンパ球である。別の細胞群は、高い赤色蛍光および低い緑色蛍光によって特徴付けられた。このパターンは、大量のRNA、ならびに試薬1のアクリジンオレンジで赤色に染色した顆粒を有する、顆粒球に対応した。別の細胞群、すなわち、パネルCの中心群は、適度な染色によって特徴付けられた。これらの細胞は、単球であり、適度な転写活性によって特徴付けられる。
【0098】
群内の重複をより良好に区別するために、データは、ガウス混合モデルを用いてモデル化された。細胞レベルデータおよび個々のデータ点が、2次元ヒストグラムに取り込まれた。そのプロセスは、図10のパネルDに示されるように、3次元表面を生じた。パネルd内のこれらのピークを2次元ガウスモデルと適合させることによって、各クラスタ中の総白血球数の相対的割合が判定された。このモデルベースのアプローチは、たとえ器具によって測定された細胞の総数が、従来の流量計によって必要とされる細胞の総数より有意に小さくても、血液中の細胞の基礎的分布が正確に推定されることを可能にした。
【0099】
図10のパネルeは、未加工データ上のガウス適合のオーバーレイを図示する。このトップダウン図では、ピークの高さは、ガウス適合の中心に向かって増加する高さとともに、様々な陰影レベルによって示されている。各ガウス1/e輪郭は、厚い白線で印付けられる。
【0100】
血小板は、全血球計算値において判定される重要なパラメータである。アクリジンオレンジで染色されたとき、血小板蛍光は、各血小板内のより少量の核酸により、概して、他の細胞型によって提供される蛍光より薄暗い。血小板からより薄暗い蛍光を正確に検出することができる、視覚画像を取得するために、これらの測定を行うために、より大きい開口数を伴う対物レンズを使用した。血小板の視覚画像の信号対雑音比が比較的低いため、視覚画像は、最初に、全変動制約雑音除去技法を使用して、雑音除去された。雑音除去アルゴリズムは、小さくて薄暗い血小板を識別するために必要であった、画像内の鋭い縁を保存しながら雑音を取り除いた、L1ノルム最小化を利用した。雑音除去アルゴリズムを適用した後、特定の閾値を設定することによって、画像が2値化され、白血球分析について上記で説明されたものと同様に、計数マスクを使用して、血小板の数が数えられた。各粒子のサイズが、計数マスクにおいて分析され、非常に大きいサイズを伴う物体が、血小板数から(同様に蛍光赤色である)白血球を除外するように破棄された。異なる対象が異なる量の血小板蛍光を有するため(蛍光強度が血小板齢と強く相関するために)、全ての対象に対する単一の強度閾値を選択することは可能ではなかった。この課題を解決するために、各血小板画像については、計数が広範囲の閾値で行われた。これは、図10のパネルgに示されるように、計数対閾値曲線を生成した。この曲線に沿った最大値は、雑音ピクセルからの寄与を排除し、同時に、最も弱い蛍光を伴う血小板を見落とすことを回避した。
【0101】
蛍光強度はまた、赤血球集団についても計算された。各画像内の各赤血球は、テンプレート合致によって識別された。いくつかのテンプレート画像が作成され、各テンプレートは、黒色背景上の単一の赤血球から成った。赤血球は、ドデシル硫酸ナトリウムで処理された後に形状が一様であったため、赤血球集団を特徴付けるために、わずかに異なるサイズの細胞の3つのテンプレートを使用することが十分であった。赤血球の視覚画像が、視野の縁から領域を除去するように切り取られた後(視野依存性収差が有意になり得る場合、または細胞の一部分のみが可視的である場合)、各テンプレートと視覚画像との間で正規化相互相関が計算された。テンプレート細胞内の細胞が視覚画像内の細胞に類似したとき、画像間の相互相関は、画像内の細胞の場所におけるいくつかの鋭いピークから成った。
【0102】
各細胞を識別して数えるために、拡張最大値変換(MATLAB関数imextendedmax)を使用して、それらの局所近傍より高い相互相関マップの領域が画定された。各テンプレートについて、2値画像が作成され、相互相関における拡張最大値の領域が1として定義され、画像の全ての他の部分が0として定義された。全てのテンプレートからの全ての2値画像は、「または」基準を使用して組み合わせられた。しかしながら、この分析は、画像内のほぼ全ての細胞を正確に識別したが、それらの近傍より大きい相関値を有する背景の領域も識別することができた。正確に数えられた領域から、これらの背景領域を分離するために、複合2値拡張最大値マップに基づいて、計数マスクが作成された。このマスクの各構成要素について、元の画像の平均値、および相互相関マップの平均値の両方が求められた。真の細胞は、高い画像強度または高い相関値のいずれかを有することが期待された一方で、背景計数は、これらの軸の両方の上で低いことが期待された。したがって、空間を4つの四分円に区分化して、閾値画像強度および閾値相関値が設定された。次いで、低い方の左四分円内の全ての計数が除外された。画像内の各細胞の場所に「ドット」を有する、最終強度および相関フィルタにかけた2値画像、および元の暗視野画像のオーバーレイが、図10のパネルiに示されている。
【0103】
データ取得に続いて、画像は、細胞を列挙して区別するように、自動ルーチンに提出された。全ての処理は、社内で開発されたカスタムスクリプトを使用するMATLAB(The MathWorks, Natick, MA)を用いて行われた。各画像によって表される体積を判定するために、USAF1951解像度標的を使用して、撮像システムの正確な倍率が較正された。これは、細胞計数チャンバの既知の高さと組み合わせて、各画像によって測定されるサンプルの体積の計算を可能にした。
【0104】
図11は、自動血液分析器から得られた臨床結果との本発明の方法を用いて得られたCBCパラメータの画像ベースの判定の比較を図示する。全血球計算値の各構成要素について、図11は、本明細書で説明される方法を用いて得られた結果と臨床結果との間の相関を示す。図11はまた、本明細書で説明される方法を用いて得られた結果および自動臨床器具を用いて得られた結果のテューキー平均差プロットを図示する。相関プロット(図11のパネルa、パネルc、パネルe、パネルg、パネルi、およびパネルk)について、x軸が、臨床器具によって報告される値を表す一方で、y軸は、本方法によって予測される値を表す。各図中の中央の対角線は、2つの方法の間の完璧な一致を表す。中央線の上方および下方の線は、製造業者によって報告されるような、±2標準偏差として定義される、臨床測定の誤差範囲を表す。各血球数パラメータについて、予測における二乗平均平行根誤差(RMSEP)、すなわち、測定間の平均誤差の尺度が計算された。RMSEPは、以下のように定義され、
【0105】
RMSEP=sqrt(sum i=1^N(Ci−M1)^2)
【0106】
Nは、患者の数であり、Cは、i番目の患者の臨床値であり、Mは、その患者に対する本方法からの予測である。これらの誤差は、表1で提示される。
【表1-1】
【表1-2】
【0107】
単球分画を除く全てのパラメータについて、臨床測定および方法は、臨床器具の誤差限界内で一致する結果を生じた。図11のパネルeで図示されるように、単球および顆粒球は、わずかに重複し、重複の程度は、対象によってわずかに変動する。この重複は、データのガウス混合モデリングの誤差につながり得る。場合によっては、単球の数の過剰計数および顆粒球の数の過小計数につながり得る、モデリングの系統的誤差が観察された。
【0108】
本発明を用いて得られる結果が、標準臨床測定を用いて得られる結果と適合する程度をさらに査定するために、テューキー平均差プロットが作成され、図11のパネルb、パネルd、パネルf、パネルh、パネルj、およびパネルlで図示されている。これらのプロットでは、x軸が、臨床および画像ベースの測定の平均を表す一方で、y軸は、2つの測定の間の差異を表す。全てのサンプルにわたる平均差は、赤色で示され、±1.96標準偏差線(95%信頼区間を表す)は、緑色で示され、2つの方法の間の最大期待不一致を表す。各計数群に対する臨床測定からの観察された最大偏差は、特に、全血球計算値の臨床的に有意な変動と比較したときに低かった。
(実施例4)視覚画像の分析のためのコンピュータアーキテクチャ
【0109】
シークエンシングデータは、種々のコンピュータアーキテクチャを用いて、複数のコンピュータによって分析することができる。種々のコンピュータアーキテクチャは、本発明とともに使用するために好適である。図12は、本発明の例示的実施形態に関連して使用することができる、コンピュータシステム1200の第1の例示的アーキテクチャを図示する、ブロック図である。図12で描写されるように、例示的コンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサ1202を含むことができる。プロセッサの非限定的実施例は、Intel Core i7TMプロセッサ、Intel Core i5TMプロセッサ、Intel Core i3TMプロセッサ、Intel XeonTMプロセッサ、AMD OpteronTMプロセッサ、Samsung 32ビットRISC ARM 1176JZ(F)−S v1.0TMプロセッサ、ARM Cortex−A8 Samsung S5PC100TMプロセッサ、ARM Cortex−A8 Apple A4TMプロセッサ、Marvell PXA 930TMプロセッサ、または機能的に同等のプロセッサを含む。複数の実行のスレッドを並列処理に使用することができる。いくつかの実施形態では、単一のコンピュータシステム内であろうと、クラスタ内であろうと、または複数のコンピュータ、携帯電話、および/または携帯用情報端末を備えるネットワークを経由してシステムにわたって分配されようと、複数のプロセッサ、または複数のコアを伴うプロセッサを使用することができる。
【0110】
図12で図示されるように、プロセッサ1202によって最近使用された、または頻繁に使用される、命令またはデータのための高速メモリを提供するように、高速キャッシュ1201を、プロセッサ1202に接続するか、またはそれに組み込むことができる。プロセッサ1202は、プロセッサバス1205によって、ノースブリッジ1206に接続される。ノースブリッジ1206は、メモリバス1204によってランダムアクセスメモリ(RAM)1203に接続され、プロセッサ1202によるRAM1203へのアクセスを管理する。ノースブリッジ1206はまた、チップセットバス1207によってサウスブリッジ1208に接続される。サウスブリッジ1208は、順に、周辺機器用バス1209に接続される。周辺機器用バスは、例えば、PCI、PCI−X、PCI Express、または他の周辺機器用バスであり得る。ノースブリッジおよびサウスブリッジは、多くの場合、プロセッサチップセットと称され、プロセッサ、RAM、および周辺機器用バス1209上の周辺構成要素間のデータ転送を管理する。いくつかのアーキテクチャでは、別個のノースブリッジチップを使用する代わりに、ノースブリッジの機能性をプロセッサに組み込むことができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、システム1200は、周辺機器用バス1209に取り付けられたアクセラレータカード1212を含むことができる。アクセラレータは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはある処理を加速するための他のハードウェアを含むことができる。
【0112】
ソフトウェアおよびデータは、外部記憶装置1213に記憶され、プロセッサによる使用のために、RAM1203および/またはキャッシュ1201にロードすることができる。システム1200は、システムリソースを管理するためのオペレーティングシステムを含み、オペレーティングシステムの非限定的実施例は、Linux(登録商標)、Windows(登録商標)、MACOSTM、BlackBerry OSTM、iOSTM、および他の機能的に同等なオペレーティングシステム、ならびにオペレーティングシステムの上で作動するアプリケーションソフトウェアを含む。
【0113】
本実施例では、システム1200はまた、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)および分散型並列処理に使用することができる他のコンピュータシステム等の外部記憶装置にネットワークインターフェースを提供するための周辺機器用バスに接続されたネットワークインタフェースカード(NIC)1210および1211も含む。
【0114】
図13は、複数のコンピュータシステム1302aおよび1302b、複数の携帯電話および携帯用情報端末1302c、ならびにネットワークアタッチトストレージ(NAS)1301aおよび1301bとともに、ネットワーク1300を示す略図である。いくつかの実施形態では、システム1302a、1302b、および1302cは、データ記憶を管理し、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)1301aおよび1302bに記憶されたデータのためにデータアクセスを最適化することができる。数学的モデルをデータに使用し、コンピュータシステム1302aおよび1302b、ならびに携帯電話および携帯用情報端末システム1302cにわたって分散型並列処理を使用して評価することができる。コンピュータシステム1302aおよび1302b、ならびに携帯電話および携帯用情報端末システム1302cはまた、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)1301aおよび1301bに記憶されたデータの適応データ再構成のための並列処理を提供することもできる。図13は、実施例のみを図示し、多種多様の他のコンピュータアーキテクチャおよびシステムを、本発明の種々の実施形態と併せて使用することができる。例えば、並列処理を提供するために、ブレードサーバを使用することができる。並列処理を提供するように、バックプレーンを通してプロセッサブレードを接続することができる。記憶装置もまた、バックプレーンに、または別個のネットワークインターフェースを通してネットワークアタッチトストレージ(NAS)として接続することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、別個のメモリ空間を維持し、他のプロセッサによる並列処理のために、ネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のコネクタを通してデータを伝送することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサのうちのいくつかまたは全ては、共有仮想アドレスメモリ空間を使用することができる。
【0115】
図14は、共有仮想アドレスメモリ空間を使用する、マルチプロセッサコンピュータシステムのブロック図である。本システムは、共有メモリサブシステム1402にアクセスすることができる、複数のプロセッサ1401a−fを含む。本システムは、複数のプログラマブルハードウェアメモリアルゴリズムプロセッサ(MAP)1403a−fをメモリサブシステム1402に組み込む。各MAP1403a−fは、メモリ1404a−fと、1つまたはそれを上回るフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)1405a−fとを備えることができる。MAPは、構成可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズムまたはアルゴリズムの部分を、それぞれのプロセッサと密接に協調して処理するためにFPGA1405a−fに提供することができる。本実施例では、各MAPは、これらの目的でプロセッサの全てによって大域的にアクセス可能である。1つの構成では、各MAPは、関連メモリ1404a−fにアクセスするためにダイレクトメモリアクセス(DMA)を使用することができ、それぞれのマイクロプロセッサ1401a−fから独立し、かつそれらとは非同期的に、タスクを実行することを可能にする。この構成では、MAPは、アルゴリズムのパイプライン化および並列実行のために、結果を別のMAPに直接供給することができる。
【0116】
上記のコンピュータアーキテクチャおよびシステムは実施例にすぎず、一般プロセッサ、コプロセッサ、FPGAおよび他のプログラマブル論理デバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ならびに他の処理および論理要素の任意の組み合わせを使用するシステムを含む、多種多様の他のコンピュータ、携帯電話、および携帯用情報端末アーキテクチャおよびシステムを、例示的実施形態に関連して使用することができる。ランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)、ならびに他のローカルまたは分散型データ記憶デバイスおよびシステムを含む、任意の種々のデータ記憶媒体を、例示的実施形態に関連して使用することができる。
【0117】
例示的実施形態では、コンピュータシステムは、上記または他のコンピュータアーキテクチャおよびシステムのうちのいずれかで実行する、ソフトウェアモジュールを使用して実装することができる。他の実施形態では、システムの機能は、部分的または完全に、ファームウェア、図14で参照されるようなフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のプログラマブル論理デバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の処理および論理要素で実装することができる。例えば、図12で図示されるアクセラレータカード1212等のハードウェアアクセラレータカードの使用を通したハードウェア加速を伴って、セットプロセッサおよびオプティマイザを実装することができる。
(実施形態)
【0118】
以下の非限定的実施形態は、本発明の例証的実施例を提供するが、本発明の範囲を限定しない。
【0119】
実施形態1.いくつかの実施形態では、本発明は、a)体液を受容するように構成されるスライドであって、スライドは、i)第1のチャンバであって、第1のチャンバは、体液中の第1の被分析物を検出することが可能な第1の試薬を含有する、第1のチャンバと、ii)第2のチャンバであって、第2のチャンバは、体液中の第2の被分析物を検出することが可能な第2の試薬を含有する、第2のチャンバとを備える、スライドと、b)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムとを備える、デバイスを提供する。
【0120】
実施形態2.伝送機をさらに備え、伝送機は、取得された視覚データを受信機に伝送するように構成される、実施形態1に記載のデバイス。
【0121】
実施形態3.伝送は、無線である、実施形態2に記載のデバイス。
【0122】
実施形態4.体液は、尿である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のデバイス。
【0123】
実施形態5.体液は、血液である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のデバイス。
【0124】
実施形態6.第1の被分析物は、赤血球である、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0125】
実施形態7.第2の被分析物は、白血球である、実施形態6に記載のデバイス。
【0126】
実施形態8.スライドおよび撮像システムは、共通の筐体に含有される、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のデバイス。
【0127】
実施形態9.スライドは、可撤性である、実施形態8に記載のデバイス。
【0128】
実施形態10.スライドはさらに、スライドの表面を横断してチャネルを備え、チャネルは、第1のチャンバおよび第2のチャンバと接続している、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のデバイス。
【0129】
実施形態11.スライドはさらに、ポートを備え、ポートは、体液を受容し、体液を少なくとも1つのチャンバまでチャネルに通過させるように構成される、実施形態10に記載のデバイス。
【0130】
実施形態12.スライドはさらに、第3のチャンバを備え、第3のチャンバは、体液中の第3の被分析物を検出することが可能な第3の試薬を含有する、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0131】
実施形態13.第3の被分析物は、血小板である、実施形態12に記載のデバイス。
【0132】
実施形態14.スライドはさらに、少なくとも1つの対照チャンバを備え、対照チャンバは、対照被分析物を含有する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0133】
実施形態15.スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のデバイス。
【0134】
実施形態16.いくつかの実施形態では、本発明は、a)体液を受容するように構成される、スライドと、b)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、c)少なくとも1マイルの距離にわたって取得された視覚データを無線で伝送するように構成される、伝送機とを備える、デバイスを提供する。
【0135】
実施形態17.デバイスは、わずか2,000gの質量を有する、実施形態16に記載のデバイス。
【0136】
実施形態18.撮像システムは、スライドの少なくとも2つの異なる部分から視覚データを取得する、実施形態16〜17のいずれか1つに記載のデバイス。
【0137】
実施形態19.スライドおよび撮像システムは、共通の筐体に含有される、実施形態16〜18のいずれか1つに記載のデバイス。
【0138】
実施形態20.スライドは、可撤性である、実施形態19に記載のデバイス。
【0139】
実施形態21.体液は、唾液である、実施形態16〜20のいずれか1つに記載のデバイス。
【0140】
実施形態22.体液は、血液である、実施形態16〜21のいずれか1つに記載のデバイス。
【0141】
実施形態23.撮像システムは、体液中の被分析物を検出するように構成される、実施形態16〜22のいずれか1つに記載のデバイス。
【0142】
実施形態24.被分析物は、赤血球である、実施形態23に記載のデバイス。
【0143】
実施形態25.被分析物は、白血球である、実施形態23に記載のデバイス。
【0144】
実施形態26.被分析物は、血小板である、実施形態23に記載のデバイス。
【0145】
実施形態27.スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、実施形態16〜26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0146】
実施形態28.いくつかの実施形態では、本発明は、体液を分析するための方法であって、a)体液をスライドに提供するステップであって、スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、ステップと、b)第1のチャンバ中で、第1の試薬を用いて、体液中の第1の被分析物を検出するステップと、c)第2のチャンバ中で、第2の試薬を用いて、体液中の第2の被分析物を検出するステップと、d)撮像システムによって、スライドから視覚データを取得するステップと、e)伝送機によって、取得された視覚データを受信機に伝送するステップとを含む、方法を提供する。
【0147】
実施形態29.約1マイクロリットル〜約5マイクロリットルの体液が、スライドに提供される、実施形態28に記載の方法。
【0148】
実施形態30.伝送は、無線である、実施形態28〜29のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態31.伝送機および受信機は、少なくとも1マイル離れている、実施形態30に記載の方法。
【0150】
実施形態32.体液は、唾液である、実施形態28〜31のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態33.体液は、血液である、実施形態28〜31のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態34.第1の被分析物は、赤血球である、実施形態28〜31のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態35.第2の被分析物は、白血球である、実施形態34に記載の方法。
【0154】
実施形態36.スライドはさらに、第3のチャンバを備え、本方法はさらに、第3のチャンバ中で、第3の試薬を用いて、体液中の第3の被分析物を検出するステップを含む、実施形態35に記載の方法。
【0155】
実施形態37.第3の被分析物は、血小板である、実施形態36に記載の方法。
【0156】
実施形態38.スライドはさらに、スライドの表面を横断してチャネルを備え、チャネルは、第1のチャンバおよび第2のチャンバと接続している、実施形態28〜37のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態39.デバイスはさらに、ポートを備え、ポートは、体液を受容し、体液を少なくとも1つのチャンバまでチャネルに通過させるように構成される、実施形態28〜38のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態40.取得された視覚データを画像に変換するステップをさらに含む、実施形態28〜39のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
実施形態41.いくつかの実施形態では、本発明は、a)デバイスであって、i)体液を受容するように構成されるスライドと、ii)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムと、iii)伝送機であって、伝送機は、取得された視覚データを無線で伝送する、伝送機とを備える、デバイスと、b)伝送機から無線で伝送された視覚データを受信する、受信機であって、伝送機および受信機は、少なくとも1マイルの距離にわたって通信するように構成される、受信機とを備える、システムを提供する。
【0160】
実施形態42.デバイスは、わずか2,000gの質量を有する、実施形態41に記載のシステム。
【0161】
実施形態43.撮像システムは、スライドの少なくとも2つの異なる部分から視覚データを取得するように構成される、実施形態41〜42のいずれか1つに記載のシステム。
【0162】
実施形態44.スライド、撮像システム、および伝送機は、共通の筐体に含有される、実施形態41〜43のいずれか1つに記載のシステム。
【0163】
実施形態45.体液は、唾液である、実施形態41〜44のいずれか1つに記載のシステム。
【0164】
実施形態46.体液は、血液である、実施形態41〜44のいずれか1つに記載のシステム。
【0165】
実施形態47.スライドは、少なくとも2つのチャンバを備える、実施形態41〜46のいずれか1つに記載のシステム。
【0166】
実施形態48.スライドはさらに、スライドの表面を横断してチャネルを備え、チャネルは、第1のチャンバおよび第2のチャンバと接続している、実施形態41〜47のいずれか1つに記載のシステム。
【0167】
実施形態49.撮像システムは、体液中の被分析物を検出するように構成される、実施形態41〜48のいずれか1つに記載のシステム。
【0168】
実施形態50.被分析物は、赤血球である、実施形態49に記載のシステム。
【0169】
実施形態51.被分析物は、白血球である、実施形態49に記載のシステム。
【0170】
実施形態52.被分析物は、血小板である、実施形態49に記載のシステム。
【0171】
実施形態53.スライドは、わずか5マイクロリットルの体液を保持する、実施形態41〜52のいずれか1つに記載のシステム。
【0172】
実施形態54.受信機は、取得された視覚データに基づいて画像を生成するように構成される、コンピュータシステムと通信している、実施形態41〜53のいずれか1つに記載のシステム。
【0173】
実施形態55.a)デバイスであって、i)体液を受容するように構成されるスライドであって、スライドは、第1のチャンバと、第2のチャンバとを備える、スライドと、ii)スライドから視覚データを取得するように構成される、撮像システムとを備える、デバイスと、b)体液中の第1の細胞型を検出することが可能な第1の試薬と、c)体液中の第2の細胞型を検出することが可能な第2の試薬とを備える、キット。
【0174】
実施形態56.スライドはさらに、スライドの表面を横断してチャネルを備え、チャネルは、第1のチャンバおよび第2のチャンバと接続している、実施形態55に記載のキット。
【0175】
実施形態57.スライドはさらに、ポートを備え、ポートは、体液を受容し、体液を少なくとも1つのチャンバまでチャネルに通過させるように構成される、実施形態55〜56のいずれか1つに記載のキット。
【0176】
実施形態58.記第1の細胞型は、赤血球である、実施形態55〜57のいずれか1つに記載のキット。
【0177】
実施形態59.第2の細胞型は、白血球である、実施形態58に記載のキット。
【0178】
実施形態60.スライドはさらに、第3のチャンバを備え、キットは、体液中の第3の細胞型を検出することが可能な第3の試薬を備える、実施形態59に記載のキット。
【0179】
実施形態61.第3の細胞型は、血小板である、実施形態60に記載のキット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14