特許第6582020号(P6582020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582020
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】発酵方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20190912BHJP
   A61K 39/10 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/05 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/095 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/13 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20190912BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20190912BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   C12N1/20 A
   C12N1/20 E
   A61K39/10
   A61K39/05
   A61K39/08
   A61K39/095
   A61K39/29
   A61K39/13
   A61K39/145
   A61K39/39
   A61P31/00
   A61P31/04
【請求項の数】40
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-139549(P2017-139549)
(22)【出願日】2017年7月19日
(62)【分割の表示】特願2014-555178(P2014-555178)の分割
【原出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-7676(P2018-7676A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】61/593,541
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100169579
【弁理士】
【氏名又は名称】村林 望
(72)【発明者】
【氏名】デオッテイ,フィリップ マルク エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッフィン,フィリップ
【審査官】 北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−531586(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00659879(EP,A1)
【文献】 特開昭59−181222(JP,A)
【文献】 特開昭59−184132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−1/38
A61K 39/00−39/44
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)第1の培養培地において少なくとも1つのbvg(ボルデテラ毒性遺伝子)調節条件下でボルデテラ種の細菌の試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地において前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われ、前記少なくとも1つのbvg調節条件が、第1の培養培地における少なくとも1種のbvg調節因子の存在を含み、前記bvg調節因子がナイアシンを含む、発酵方法。
【請求項2】
a)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われ、前記bvg調節因子がナイアシンを含む、発酵方法。
【請求項3】
a)第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われ、前記bvg調節因子がナイアシンを含む、発酵方法。
【請求項4】
ボルデテラ種が、百日咳菌、パラ百日咳菌及び気管支敗血症菌から成る群から選択される種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項5】
ボルデテラ種から1種以上の毒素を産生する方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項6】
ステップb)が、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満又は18未満の世代を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項7】
産業的培養においてbvg+遺伝子型のボルデテラ種を保存する方法である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項8】
産業的培養において増殖中の毒性因子の発現の消失を最小限に抑える方法である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項9】
ボルデテラ種の毒性因子の産生を増強する方法である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項10】
(i)20%以下、18%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、若しくは3%以下、
(ii)1%以上、2%以上、若しくは3%以上、又は
(iii)2%〜10%、2%〜8%、2%〜12%、2%〜6%若しくは2%〜5%
の成熟培養物が、ステップc)の始動時にbvg-遺伝子型である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項11】
第2の培養培地がStainer Scholte培地を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項12】
第2の培養培地が変法Stainer Scholte培地を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項13】
ステップb)の少なくとも一部が、
(i)50ml〜25リットル、50ml〜20リットル、50ml〜15リットル、50ml〜10リットル、若しくは50ml〜5リットル、
(ii)25リットル以下、20リットル以下、15リットル以下、10リットル以下、若しくは5リットル以下、又は
(iii)25ml以上、50ml以上、100ml以上、250ml以上、500ml以上、1リットル以上、若しくは2リットル以上
の容量の容器で実施される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項14】
ステップc)が、発酵槽で実施される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項15】
発酵槽の作業容量が、
(i)5〜10000リットル、10〜5000リットル、20〜2000リットル、若しくは50リットル〜1000リットル、
(ii)5リットル以上、10リットル以上、15リットル以上、20リットル以上、25リットル以上、50リットル以上、若しくは100リットル以上、又は
(iii)10000リットル以下、5000リットル以下、若しくは2500リットル以下
である、請求項14に記載の発酵方法。
【請求項16】
ステップc)が、
(i)32℃以上、33℃以上、34℃以上、若しくは35℃以上、
(ii)45℃以下、42℃以下、40℃以下、若しくは38℃以下、又は
(iii)32℃〜45℃、33℃〜42℃、34℃〜40℃、若しくは35℃〜38℃
の温度で実施される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップc)において機械的消泡機が使用される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項18】
ステップb)が前培養段階を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項19】
ステップb)が細胞バンキング段階を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項20】
ステップa)とステップb)の間において細胞バンキングが行われる、請求項19に記載の発酵方法。
【請求項21】
ボルデテラ種の細菌の試料を選択するステップi)を更に含み、細菌の試料が主にBvg+遺伝子型であり、ステップi)がステップa)の前に行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項22】
85%超、90%超、95%超、98%超、85%〜100%、90%〜100%、95%〜100%又は98%〜100%の細菌の試料がBvg+遺伝子型である、請求項21に記載の発酵方法。
【請求項23】
ステップb)が、少なくとも8、10、12、14、16、又は17世代を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項24】
ステップb)が、
(i)200時間以下、150時間以下、100時間以下、80時間以下、70時間以下、60時間以下、若しくは55時間以下、
(ii)10時間以上、15時間以上、20時間以上、25時間以上、30時間以上、35時間以上、若しくは40時間以上、又は
(iii)10時間〜200時間、15時間〜150時間、20時間〜100時間、25時間〜80時間、若しくは30時間〜70時間
である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項25】
ステップc)が、
(i)200時間以下、150時間以下、100時間以下、80時間以下、60時間以下、若しくは40時間以下、
(ii)5時間以上、10時間以上、15時間以上、若しくは25時間以上、又は
(iii)5時間〜200時間、10時間〜150時間、15時間〜100時間、若しくは25時間〜80時間である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ステップb)が、20℃〜45℃、22℃〜43℃、24℃〜42℃、28℃〜42℃、30℃〜42℃、又は32℃〜40℃の温度で実施される、請求項1〜25のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項27】
ステップb)が、6.5〜7.8又は6.8〜7.5のpHで実施される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項28】
ステップc)が、6.5〜7.8又は6.8〜7.5のpHで実施される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項29】
ステップb)が、10%〜50%、15%〜45%、20%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項30】
ステップc)が、0%〜50%、0%〜45%、0%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項31】
ボルデテラ種が、百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン及び線毛状凝集原から成る群から選択される少なくとも1種の毒性因子を発現する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項32】
ステップb)において、百日咳毒素が、2.8mgL-1 OD 650nm-1、2.7mgL-1 OD 650nm-1、2.6mgL-1 OD 650nm-1、2.5mgL-1 OD 650nm-1、2.4mgL-1 OD 650nm-1、2.3mgL-1 OD 650nm-1、2.2mgL-1 OD 650nm-1、2.1mgL-1 OD 650nm-1、2.0mgL-1 OD 650nm-1、1.9mgL-1 OD 650nm-1、1.8mgL-1 OD 650nm-1、1.7mgL-1 OD 650nm-1、又は1.6mgL-1 OD 650nm-1より小さい比百日咳毒素産生率で生成される、請求項31に記載の発酵方法。
【請求項33】
ステップc)の間において、百日咳毒素が、8mgL-1 650nm-1、2.9mgL-1 650nm-1、3.0mgL-1 650nm-1、3.1mgL-1 650nm-1又は3.2mgL-1 650nm-1より大きい比百日咳毒素産生率で生成される、請求項31又は32に記載の発酵方法。
【請求項34】
毒性因子を精製して、精製された毒性因子を生成するステップd)を更に含む、請求項31〜33のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項35】
精製された毒性因子を含む免疫原性組成物を配合するステップe)を更に含む、請求項34に記載の発酵方法。
【請求項36】
免疫原性組成物に少なくとも1種の抗原を添加するステップf)を更に含む、請求項35に記載の発酵方法。
【請求項37】
抗原が百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン、線毛状凝集原、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、髄膜炎菌由来コンジュゲート糖抗原、B型肝炎表面抗原、不活化ポリオウイルス(IPV)及びインフルエンザ菌b由来コンジュゲート糖抗原から成る群から選択される、請求項36に記載の発酵方法。
【請求項38】
免疫原性組成物に薬学的に許容される賦形剤を添加するステップg)を含む、請求項35〜37のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項39】
免疫原性組成物にアジュバントを添加するステップf)を含む、請求項35〜38のいずれか1項に記載の発酵方法。
【請求項40】
アジュバントが、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含む、請求項39に記載の発酵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)は、乳児及び幼児において重篤になることがある呼吸器疾患、百日咳の原因物質である。疾患の臨床経過は、しばしば特徴的な「ゼイゼイいう」音と共に呼吸努力を伴う急な咳の発作によって特徴づけられる。重症の場合には、酸素欠乏により脳障害に至る場合があるが、最も一般的な合併症は、二次性肺炎である。
【0003】
百日咳は通常、百日咳菌によって引き起こされると考えられているが、時として、百日咳の典型的な兆候及び症状のある患者からパラ百日咳菌(B.parapertussis)が単離される。パラ百日咳菌感染は、百日咳菌より低頻度のものであり、百日咳の5〜10%パラ百日咳菌と関連付けられている(Mertsola (1985年) Eur J Clin Microbiol 4巻;123頁;Lautrop(1971年)Lancet 1巻(7711号)1195〜1198頁)。パラ百日咳菌の臨床症状は軽く、百日咳菌との血清学的交差反応性ともあいまって、パラ百日咳菌の診断は困難になっている。
【0004】
百日咳菌に対するワクチンの第1世代は全細胞ワクチンであり、全死菌から構成された。これらは、1950年代及び1960年代に多くの国で導入され、百日咳の発生率を減少させることに成功した。全細胞百日咳菌ワクチンの問題は、それに付随する高レベルの反応原性である。精製された百日咳菌タンパク質を含有する無細胞ワクチンは反応原性が低く、多くの国のワクチン接種プログラムに採用された。一般に百日咳毒素(PT)、線維状血球凝集素(FHA)及び頻繁にパータクチン(PRN)を含有する無細胞ワクチンが広く使用されており、これらは激しい百日咳を効果的に防ぐ。
【発明の概要】
【0005】
序論
第1の態様において、
a)ボルデテラ(Bordetella)種の細菌の試料を準備するステップと、
b)第1環境において少なくとも1つのbvg(ボルデテラ毒性遺伝子)調節条件下でボルデテラ種の細菌の試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の環境において前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる発酵方法が提供される。
【0006】
第2の態様において、
a)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる発酵方法が提供される。
【0007】
第3の態様において、
a)第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる発酵方法が提供される。
【0008】
第4の態様において、本方法によって得られる毒性因子が提供される。
【0009】
第5の態様において、本方法によって得られた毒性因子が提供される。
【0010】
第6の態様において、毒性因子及び薬学的に許容される賦形剤を含む免疫原性組成物が提供される。
【0011】
第7の態様において、免疫原性組成物を含むワクチンが提供される。
【0012】
第8の態様において、疾患の予防又は治療における免疫原性組成物若しくはワクチンの使用が提供される。
【0013】
第9の態様において、細菌性疾患の治療又は予防のための医薬調製における免疫原性組成物若しくは又はワクチンの使用が提供される。
【0014】
第10の態様において、患者に免疫原性組成物又はワクチンを投与するステップを含む、疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】bvg-遺伝子型及びbvg+遺伝子型百日咳菌細胞の増殖を、発酵時間に対して表すグラフである。bvg-細胞の増殖は、ひし形の点をつなぐ線で表され、bvg+細胞の増殖は、正方形の点をつなぐ線で表される。
図2】様々なレベルのbvg調節因子ナイアシンでのbvg-遺伝子型である百日咳菌細胞の割合を、世代数に対して表すグラフである。正方形の点をつなぐ線は、0.004g/Lナイアシンが使用されるときにbvg-である細胞の割合を表し、円形の点をつなぐ線は、0.021g/Lナイアシンが使用されるときにbvg-遺伝子型である細胞の割合を表し、ひし形の点をつなぐ線は、0.113g/Lナイアシンが使用されるときにbvg-である細胞の割合を表し、三角形の点をつなぐ線は、0.604g/Lナイアシンが使用されるときにbvg-である細胞の割合を表す。
図3】実施例6に記載される2つの発酵の溶存酸素プロファイルを表すグラフである。上側の線は、発酵が酸素十分なときの溶存酸素プロファイルについて記載しており、下側の線は、発酵が酸素制限されたときの溶存酸素プロファイルについて記載している。
図4】0.004g/Lナイアシンの存在下で発酵させた4つの培養物中のbvg-遺伝子型細胞の割合を、世代数に対して表すグラフである。正方形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が95%の培養物を表す。円形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が75%の培養物を表す。三角形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が25%の培養物を表す。ひし形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が5%の培養物を表す。
図5】0.6g/Lナイアシンの存在下で発酵させた4つの培養物中のbvg-遺伝子型細胞の割合を、世代数に対して表すグラフである。正方形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が95%の培養物を表す。円形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が75%の培養物を表す。三角形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が25%の培養物を表す。ひし形の点は、発酵の始動時にbvg-遺伝子型細胞の開始時割合が5%の培養物を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全般
bvg調節条件は百日咳種由来の毒性因子の発現を阻害すると一般に考えられているにもかかわらず、本発明者は、驚くべきことに、本明細書に記載の通り少なくとも1種のbvg調節条件の下で百日咳種を増殖させることによってより高収量の百日咳毒性因子が得られることを見出した。
【0017】
百日咳菌は、毒性に関して異なる表現型を示すことがある。これらの表現型は、Bvg+及びBvg-(Bvgは、ボルデテラ毒性遺伝子の発現又は欠如を示す)と呼ばれる。Bvg+表現型は、百日咳毒素(PT)、線維状血球凝集素(FHA)及びパータクチン(PRN)だけでなく他の毒素及び付着因子などの毒性因子の高発現によって特徴づけられる毒性表現型である。Bvg-表現型は、無毒性表現型であり、PT又は他の毒素/付着因子などの毒性因子を発現しない。
【0018】
表現型状態の転換は、2-成分制御系BvgASの制御下にあり、直接的又は間接的に温度、硫酸塩、ニコチン酸などの環境条件を検出し、その制御下で遺伝子の発現を制御する。特定の条件下で、センサタンパク質BvgSは自己リン酸化し、リン酸化カスケードを経由して、最終的にホスホリル基は応答制御因子BvgAに移される。活性BvgA〜P(リン酸化されている)は、毒性因子遺伝子のプロモータ領域に結合し、転写レベルを調節させる。そのような制御系により、1つの単一中心転写制御因子、BvgASのレベルで環境信号の統合が得られる。出力として、百日咳菌は、環境条件に応答して転写レベルで毒性因子の発現を制御する。
【0019】
BvgAS系の転写制御下にある遺伝子は、Bvgレギュロンを形成する。
【0020】
百日咳毒性因子の産生を阻害する化合物は、bvg遺伝子座を調節させることによってしばしば作用し、したがって、bvg調節因子と呼ばれることがある。同様に、Bvg+表現型に有利に働く条件は、bvg調節条件と呼ばれる場合がある。
【0021】
一般に、ボルデテラ細胞は、Bvg+とBvg-遺伝子型の間で変異できる。特に、培養の間に、ボルデテラ細胞は自発的な変異によってBvg-遺伝子型に変異することができる。Bvg-遺伝子型細胞は、Bvg-表現型であり、これは少量しか毒性因子を生成しない(したがって、高レベルの毒性因子を生成するよう意図される発酵方法には望ましくない)ことを意味している。Bvg-遺伝子型細胞が低レベルの毒性因子しか生成しないということは、Bvg-遺伝子型細胞に、Bvg+遺伝子型に勝る利点をもたらし、即ち毒性因子の生成に少しかエネルギーを費やさないためより速く増殖することができる。このため、ボルデテラ細胞を培養するとき、Bvg-遺伝子型を有する細胞の割合は、経時的に増加する傾向がある(Bvg-占有として公知である)。本発明の発明者は、Bvg調節条件を追加することによって、より高い割合の細胞をBvg+遺伝子型に維持できることを実証した。これらの条件は、前述したように、Bvg-表現型状態に有利に働き、そのような条件の存在により、ボルデテラは(Bvg+遺伝子型を維持しながら)Bvg-表現型を発現できる。これは、Bvg-遺伝子型細胞の競争上の優位性が除去され、最終培養物中でBvg-遺伝子型細胞の割合が低下することを意味している。発酵の増殖期の間に、Bvg+遺伝子型細胞が望ましい質量に達するまで、これらbvg調節条件の下でボルデテラを増殖させることができる。一旦ボルデテラ細胞の質量が十分に高くなったら、bvg調節条件を除去して、Bvg+遺伝子型細胞をBvg+表現型に戻し、高レベルの毒性因子を発現させることができる。
【0022】
誤解を避けるために、「Bvg+細胞」又は「bvg+細胞」とは、いずれもBvg+遺伝子型を有する細胞を指し、同様に、「Bvg-細胞」又は「bvg-細胞」とは、いずれもBvg-遺伝子型を有する細胞を指す。
【0023】
したがって、本発明の発明者は、少なくとも1つのbvg調節条件でボルデテラ種を増殖させるステップを追加することによってボルデテラ種を発酵させる方法を改善することができ、これは、Bvg+遺伝子型のボルデテラ細胞を高い割合で維持しながら、ボルデテラが高質量に増殖できることを確実にし、十分な細胞質量に達したときにbvg調節条件を除去して、高レベルで毒性因子を発現しているBvg+遺伝子型細胞を高い割合で含有する培養物を残すことができることを見出した。これは、ボルデテラ種から生成される毒性因子の収量を増加させる。そうだとしても、一般には、本明細書で定義されるbvg調節条件により毒性因子の発現は減少する。
【0024】
したがって、第1の実施形態において、
a)ボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)第1の環境において少なくとも1つのbvg(ボルデテラ毒性遺伝子)調節条件下でボルデテラ種の細菌の試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の環境で前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる発酵方法が提供される。
【0025】
ステップb)は、bvg調節条件が存在し、Bvg+遺伝子型を保存し(Bvg-細胞の占有を減少させ)ながら高発現用として十分な細胞質量を得るために、ボルデテラ培養物を増殖させるステップについて記述している。次いでbvg調節条件が存在しない条件にボルデテラ種を移し、毒性因子を発現させるべきである(ステップc)。ボルデテラ種は、発酵方法の早期にbvg調節条件に曝露でき、例えば細胞バンキングのステップの間にbvg調節条件を使用することができる。別法として、bvg調節条件は、前培養の間など、より後期に追加することもできる。
【0026】
用語「発酵方法」とは、細胞を増殖させる及び/又はその細胞からタンパク質を発現させるための産業規模(例えば20リットル以上)の方法のことを指す。この場合、本開示の方法を使用して、ボルデテラ種から高濃度の毒性因子を発現させることができる。別法として、他の用途が想定され、例えば本方法を使用して、全細胞ボルデテラワクチンの作製に使用するボルデテラ種を増殖させることができる。場合によっては、発酵方法は、ボルデテラ種から1種以上の毒素を産生する方法である。一実施形態において、本方法は、産業的培養においてbvg+遺伝子型のボルデテラ種を保存する方法である。一実施形態において、本方法は、産業的培養において増殖中の毒性因子の発現の消失を防ぐ方法である。一実施形態において、本方法は、ボルデテラ種の毒性因子の産生を増強する方法である。
【0027】
用語「ボルデテラ種」とは、百日咳菌、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)及び気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)を含むがこれに限定されないボルデテラ属の種、好ましくは百日咳菌のことを指す。別段の説明がない限り、本明細書で使用する技術及び科学用語の全ては、この開示が属する当業者であれば一般に理解する意味と同一である。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes V、Oxford University Press刊、1994年(ISBN 0-19-854287-9);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.刊、1994年(ISBN 0-632-02182-9);及びRobert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.刊、1995年(ISBN 1-56081-569-8)に見ることができる。
【0028】
文脈に別段の明確な指図がない限り、単数形「a」、「an」、「the」は、複数の指示対象を含む。同様に、文脈に別段の明確な指図がない限り、単語「or」は、「and」を含むものとする。用語「複数」とは、2つ以上のことを指す。核酸又はポリペプチドに付与された全ての塩基サイズ又はアミノ酸サイズ、及び全ての分子量又は分子質量値は概算であり、説明のために規定されていることは更に理解されよう。加えて、抗原などの物質の濃度又はレベルに関して付与された数値限定は、概算であるものとする。したがって、濃度が少なくとも(例えば)200pgと示されている場合、その濃度は、少なくともおよそ(又は「約(about)」又は「約(〜)」)200pgであると理解されるものとする。
【0029】
本明細書に記載されている方法及び材料と類似の又は同等のそれらをこの開示の実践又は試験に使用することができるが、適切な方法及び材料については以下に記載する。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。したがって、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、単語「含む(comprises)」、並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」などの変形は、明示された化合物若しくは組成物(例えば、核酸、ポリペプチド、抗原)若しくはステップ、又は化合物若しくはステップの群を包含するが、その他の化合物、組成物、ステップ、又はその群をいずれも除外しないことを示すことは理解されよう。全ての実例において、本明細書における用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本発明者によってそれぞれ用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」、及び「からなる(consists of)」で場合によっては代用可能であるものとする。
【0030】
略語「例えば(e.g.)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すために本明細書において使用される。従って、略語「例えば(e.g.)」は、用語「例えば(for example)」と同義である。
【0031】
ステップa)
ステップa)は、bvg調節条件にボルデテラ種を曝露する前の発酵方法の段階について記述しており、これは、一定量の生きているボルデテラ細菌の試料を準備するステップのことを一般に指す。植菌される培地は、固体又は液体培地であり得る。一実施形態において、本方法は、ボルデテラ種の細菌の試料を選択するステップi)を更に含み、細菌の試料が主にBvg+遺伝子型であり、ステップi)はステップa)の前に行われる。場合によっては、50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、85%〜100%、90%〜100%、95%〜100%又は98%〜100%の細菌の試料が、ステップa)においてBvg+遺伝子型である。
【0032】
本開示の方法は、Bvg-遺伝子型細胞の占有を減少させ、そのためBvg+遺伝子型が支配的であるボルデテラ種の試料を使用する方法を始動するのに有利である。
【0033】
ステップa)において使用される試料は、どんな供給源から得られてもよく、例えば試料は、研究室で保有している細胞系から選択することができ、又はATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)などの機関から得られてもよい。
【0034】
ステップb)
ステップb)は、少なくとも1つのbvg調節条件にステップa)の試料を曝露するステップについて記述しており、そのような条件は、Bvg-遺伝子型細胞の占有を減少させるか又はBvg+遺伝子型を保存する任意の条件であることができる。理論に束縛されるものではないが、ボルデテラが培養において(例えば研究室又は製造施設において)インキュベートされるとき、Bvg-遺伝子型である細胞の割合は経時的に(数世代)増加する傾向がある。これは、培養中のボルデテラに対して全く利益が無い毒性因子を発現しないことにより得られる選択的利点による可能性がある。このため、毒性因子の発現を減少させる条件でボルデテラをインキュベートすることにより、Bvg-遺伝子型に転換することによる選択的利点が減少し、したがって培養中のBvg-遺伝子型細胞の占有が減少する。それによって、試料中のBvg+遺伝子型集団を維持する。
【0035】
このため、bvg調節条件は、毒性因子の発現を減少させる条件を含む。場合によっては、「bvg調節条件」は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15世代以上の増殖培養の後に、Bvg-遺伝子型細胞の割合の増加を25倍、15倍、10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、4倍、3倍、2倍、1.5倍を超えるまでに阻止する条件である。世代とは、培養物中の細菌数が倍化するのにかかる時間、百日咳菌の場合およそ4時間、のことを指すが、これは百日咳菌が増殖する条件に応じて変化する。潜在的bvg調節条件の下で細胞を少なくとも8世代増殖させ、Bordet-Gengou培地(5%血液を含有する)(Bordet J and Gengou O、Le Microbe de la coqueluche、Annales de l'Institut Pasteur 1906年;20巻:731〜41頁)に細胞を播くことによって、潜在的bvg調節条件が、実際にbvg調節条件であるかどうか決定して、単一コロニーを得ることができる。BG培地において、Bvg+遺伝子型細胞は半球形の、小さい、溶血性コロニーとして現れるが、Bvg-遺伝子型細胞は平坦な、非溶血性コロニーとして現れる。この試験の結果は、潜在的bvg調節条件を使用しない以外は同じ条件下で増殖させた細胞と比較されるべきである。Bvg-遺伝子型細胞の割合が、参照試料におけるBvg-遺伝子型細胞の割合より著しく低い場合、その条件はbvg調節条件である。
【0036】
本開示の文脈において、どんなbvg調節条件も使用でき、特定の例には、高若しくは低pH条件、低酸素条件、低温条件又はbvg調節因子の存在、がある。
【0037】
フレーズ「bvg調節因子」とは、Bvg-遺伝子型細胞の占有を減少させる適切な濃度(調節を起こさせる濃度)の化合物のことを指す。bvg調節因子の濃度は、ステップb)の全体にわたって必ずしも一定でではないが、ステップb)の全体にわたって調節を起こさせる濃度の範囲にとどまる。例えば、0.604g/Lを含めた様々な濃度で、ナイアシンはbvg調節因子である。一般に、百日咳毒素など百日咳菌由来毒素の発現を阻害する化合物は、bvg調節因子である。
【0038】
ステップb)とは、少なくとも1つのbvg調節条件が存在する発酵方法の任意の段階のことを指し、例えばこのステップは、細胞バンキング並びに/又は前培養及び/若しくは大規模発酵を含むことができる。用語「細胞バンキング」は、当業者に明らかである。一般に、細胞バンキングは、貯蔵用の細菌株を調製することを含み、細菌(上記の接種材料になり得る)のクローンを採取し、小容量の細菌が得られるまで細菌のクローンをインキュベートすることを含み得る。この容量の細菌の試料を調製し、急速冷凍し、冷凍庫に保管することができる。一般に前培養は、スターターカルチャーを採取し、細胞を複製させて、方法の次のステップ、例えば毒性因子の発現、に十分な細胞濃度にすることを含む。これは、いくつかの少量のインキュベーションを含むことがあり、例えば少量のボルデテラの試料を小型振とうフラスコで増殖させることができ、この小型振とうフラスコの内容物をより大きな振とうフラスコに移してもよい。これは、細胞を小型発酵槽で増殖させるステップを含むこともできる。
【0039】
場合によっては、前培養段階は、およそ8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18世代の百日咳の産生を含むことができる。場合によっては、前培養段階は、1時間〜200時間、2時間〜150時間、5時間〜125時間、10時間〜100時間、20時間〜50時間、1時間以上、2時間以上、5時間以上、10時間以上、20時間以上、50時間以上、200時間以下、150時間以下、125時間以下、100時間以下又は50時間以下である。場合によっては、前培養段階は、10リットル未満、8リットル未満、5リットル未満、1〜10リットル、1〜8リットル、1〜5リットル、1〜3リットル、2〜8リットル、2〜5リットル又は2〜3リットルの容器で実施される。
【0040】
ステップb)の間、ボルデテラは「第1の環境」で増殖され、第1の環境とはbvg調節条件を含む環境のことを指す。例えばこの環境は、酸素欠乏環境又は高pH環境のことを指す場合がある。用語「環境」とは、少なくとも1種のbvg調節因子を含む培地のことを指すこともある。したがって、第1の環境とは、少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地のことを指してもよく、第2の環境とは、少なくとも1種のbvg調節因子を含まない第2の培養培地のことを指すことができる。場合によっては、少なくとも1種のbvg調節条件は、第1の培養培地に少なくとも1つのbvg調節因子を含む。場合によっては、第1の培養培地と第2の培養培地は同じである。場合によっては、第1の培養培地と第2の培養培地は異なる。場合によっては、第2の培養培地は、Stainer Scholte培地を含む。別法として、第2の培養培地は、変法Stainer Scholte培地を含む。Stainer Scholte培地の組成は、Cohen and Wheeler、American Journal of Public Health(1946年)36巻:371〜376頁に記載されている。培地が、基本的に同じ濃度で基本的に同じ培地成分を含有するが、1〜5個の培地成分の濃度の修正を含む、1〜3個の培地成分が不足している、又は1〜20個の追加的な培地成分を含有する場合、それは変法Stainer Scholte培地である。
【0041】
ステップb)により、ステップc)に使用できる成熟培養物を産生する。「成熟培養物」という成句は、少なくとも1つのbvg調節条件の存在下で少なくとも5世代増殖された接種材料のことを指す。
【0042】
場合によっては、ステップb)の少なくとも一部は、50ml〜25リットル、50ml〜20リットル、50ml〜15リットル、50ml〜10リットル、50ml〜5リットル、25リットル以下、20リットル以下、15リットル以下、10リットル以下、5リットル以下、25ml以上、50ml以上、100ml以上、250ml以上、500ml以上、1リットル以上又は2リットル以上の容量の容器で実施される。
【0043】
場合によっては、ステップc)は、発酵槽で実施される。発酵槽の作業容量は、5〜10000リットル、10〜5000リットル、20〜2000リットル、50リットル〜1000リットル、5リットル以上、10リットル以上、15リットル以上、20リットル以上、25リットル以上、50リットル以上、100リットル以上、10000リットル以下、5000リットル以下又は2500リットル以下であり得る。
【0044】
場合によっては、ステップb)は、細胞バンキング段階を含む。別法として、ステップa)とステップb)の間において細胞バンキングが行われる。
【0045】
一実施形態において、ステップb)は、少なくとも5、6、7、8、9、10、12、14、16、又は17世代を含む。場合によっては、ステップb)は、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満又は18未満の世代を含む。場合によっては、ステップb)は、200時間以下、150時間以下、100時間以下、80時間以下、70時間以下、60時間以下、55時間以下、10時間以上、15時間以上、20時間以上、25時間以上、30時間以上、35時間以上、40時間以上、10時間〜200時間、15時間〜150時間、20時間〜100時間、25時間〜80時間又は30時間〜70時間である。
【0046】
一実施形態において、ステップb)は、20℃〜45℃、22℃〜43℃、24℃〜42℃、28℃〜42℃、30℃〜42℃、又は32℃〜40℃の温度で実施される。
【0047】
一実施形態において、ステップb)は、6.5〜7.8、6.7〜7.5、6.9〜7.3又は7.0〜7.2のpHで実施される。
【0048】
一実施形態において、ステップb)は、10%〜50%、15%〜45%、20%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される。
【0049】
ステップc)
ステップc)とは、ボルデテラが、ステップb)の少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下で増殖されるステップのことを指す。一般に、ステップb)のbvg調節条件を除去し、例えばbvg調節条件が28℃より低い温度である場合、前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下における成熟培養物のインキュベーションは、28℃を超える温度における成熟培養物のインキュベーションを含む。同様に、少なくとも1つのbvg調節条件がbvg調節因子の存在である場合、前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下における成熟培養物のインキュベーションは、前記bvg調節因子の非存在下における成熟培養物のインキュベーションを含む。例えば、ナイアシンがbvg調節因子である場合、ステップb)の第1の培養培地にこれを添加することができ、ステップc)の第2の培養培地において濃度を(調節濃度以下になるように)減少させることができる。
【0050】
一般に、ステップc)は、ステップb)の直後に行われる必要はなく、数日間又は数週間の間があってもよく、例えば、細胞が実際に発酵に使用される数週間又は数ヶ月間前に細胞バンキングが実施される状況であってもよい。場合によっては、ステップc)は、ステップb)の直後に行われる。
【0051】
ステップb)は、2つ以上のbvg調節条件の存在下で行ってもよい。この場合、これらbvg調節条件の少なくとも1つ、好ましくは全てが、ステップc)の間に除去されるべきである。
【0052】
ステップc)において、一般にボルデテラ種は、免疫原性組成物又はワクチンで用いる、精製可能な毒性因子を高レベルで発現する。ステップc)は、任意の適当な容器で実施されてもよいが、一般にステップc)の少なくとも一部は発酵槽で実施される。一実施形態において、発酵槽の作業容量は5〜10000リットル、10〜5000リットル、20〜2000リットル、50リットル〜1000リットル、5リットル以上、10リットル以上、15リットル以上、20リットル以上、25リットル以上、50リットル以上、100リットル以上、10000リットル以下、5000リットル以下又は2500リットル以下である。
【0053】
ステップc)は、半バッチ培養法であることもできる。半バッチ培養法では、新たな培地が発酵槽に継続的に添加される。一実施形態において、ステップc)は、100時間以下、80時間以下、60時間以下、40時間以下、5時間以上、10時間以上、15時間以上、25時間以上、5時間〜100時間、10時間〜80時間、15時間〜60時間、25時間〜40時間である。
【0054】
場合によっては、20%以下、18%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、1%以上、2%以上、3%以上、2%〜10%、2%〜8%、2%〜12%、2%〜10%、2%〜6%又は2%〜5%の成熟培養物が、ステップc)の始動又はステップb)の終了時にbvg-である。
【0055】
ステップc)は、32℃以上、33℃以上、34℃以上、35℃以上、45℃以下、42℃以下、40℃以下、38℃以下、32℃〜45℃、33℃〜42℃、34℃〜40℃又は35℃〜38℃の温度で実施することができる。
【0056】
場合によっては、ステップc)において機械的消泡機が使用される。
【0057】
一実施形態において、ステップc)は、200時間以下、150時間以下、100時間、80時間以下、60時間以下、40時間以下、5時間以上、10時間以上、15時間以上、25時間以上、5時間〜200時間、10時間〜150時間、15時間〜100時間又は25時間〜80時間である。一実施形態において、ステップc)は、少なくとも5、6、7、8、9、10、12、15、18、20世代又は200、175、150若しくは125世代未満の間に、第2の環境/第2の培養培地において成熟培養物をインキュベートすることを含む。
【0058】
一実施形態において、ステップc)は、6.5〜7.8、6.8〜7.5、6.9〜7.3又は7.0〜7.2のpHで実施される。
【0059】
一実施形態において、ステップc)は、10%〜50%、15%〜45%、20%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される。
【0060】
BVG調節条件
本発明の文脈において、どんなbvg調節条件も使用できる。いくつかの例を、以下に提供する。
【0061】
一実施形態において、少なくとも1つのbvg調節条件は、28℃以下、27℃以下、26℃以下、25℃以下、18℃以上、20℃以上、22℃以上、24℃以上、0℃〜28℃、0℃〜27℃、0℃〜26℃又は0℃〜25℃の温度で試料をインキュベートするステップを含む。
【0062】
一実施形態において、少なくとも1つのbvg調節条件は、1リットル当たりの溶存O2が0.100以下、0.090以下、0.080以下、0.070以下、0.001以上、0.050以上、0.010以上、0.015以上、0.020以上、0.025以上、0.010〜0.100、0.010〜0.090、0.010〜0.080又は0.010〜0.070mmolの酸素濃度で試料をインキュベートするステップを含む。
【0063】
一実施形態において、少なくとも1つのbvg調節条件は、塩基性pHで試料をインキュベートするステップを含む。場合によっては、pHは、7.2以上、7.3以上、7.4以上、9.5以下、9.0以下、8.5以下、8.0以下、7.2〜8.0、7.3〜8.0又は7.4〜8.0のpHである。
【0064】
一実施形態において、少なくとも1つのbvg調節条件は、酸性pHで試料をインキュベートするステップを含む。場合によっては、酸性pHは、7.0以下、6.8以下、6.6以下、6.4以下、6.2以下、4.5以上、5.0以上、5.5以上、6.0以上、6.5以上、5.0〜7.0、5.0〜6.9又は5.0〜6.8のpHである。
【0065】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、ナイアシンを含む。場合によっては、bvg調節因子は、0.004g/l以上、0.01g/l以上、0.1g/l以上、0.2g/l以上、0.3g/l以上、0.004g/l以上、400g/l以下、300g/l以下、200g/l以下、100g/l以下、50g/l以下、5g/l以下、0.004g/l〜500g/l、0.01g/l〜400g/l、0.1g/l〜300g/l、0.4g/l〜200g/l又は0.2g/l〜100g/lの濃度でナイアシンを含む。
【0066】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、マグネシウム塩、硫酸塩、リン酸塩及び炭酸塩からなる群から選択される無機塩を含む。場合によっては、無機塩は、硫酸塩である。硫酸塩は、0.04mM以上、0.08mM以上、1mM以上、4mM以上、8mM以上、10mM以上、50mM以下、40mM以下、35mM以下、30mM以下、25mM以下、20mM以下、15mM未満、0.04mM〜40mM、0.08mM〜1mM、4mM〜40mM、8mM〜10mM、15mM〜40mM、又は17mM〜40mMの濃度であり得る。
【0067】
場合によっては、無機塩は、リン酸塩である。リン酸塩は、0.4g/l以上、0.5g/l以上、0.6g/l以上、0.7g/L以上、20g/l以下、18g/l以下、16g/l以下、10g/l以下、5g/l以下、2g/l以下、0.4g/L〜20g/L、0.5g/L〜20g/L、0.6g/L〜20g/L又は0.7g/L〜20g/Lの濃度であり得る。
【0068】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、スクロースを含む。スクロースは、10mM以上、15mM以上、20mM以上、25mM以上、30mM以上、35mM以上、40mM以上、100mM以下、90mM以下、85mM以下、80mM以下、75mM以下、70mM以下、50mM以下、10mM〜100mM、15mM〜95mM、20mM〜90mM、25mM〜85mM又は30mM〜80mMの濃度であり得る。
【0069】
場合によっては、少なくとも1種のbvg調節因子は、酵母抽出物、トリプティックソイ寒天培地、トリプトースホスフェート、ペプトン並びに脳及び心臓組織の浸出物並びにペプトンからなる群から選択される複合培地成分を含む。複合培地成分は、1g/L以上、3g/L以上、5g/L以上、10g/L以上、40g/L以下、35g/L以下、30g/l以下、25g/l以下、20g/L以下、1g/L〜40g/l、3g/l〜40g/l、5g/l〜40g/L、又は10g/L〜40g/Lの濃度であり得る。
【0070】
場合によっては、少なくとも1種のbvg調節因子は、プロリンを含む。プロリンは、0.25g/l以上、0.4g/l以上、0.5g/l以上、0.6g/L以上、1g/L以上、2g/L以上、3g/L以上、4g/l以上、50g/L以下、30g/L以下、25g/L以下、20g/L以下、15g/L以下、0.25g/L〜50g/L、0.4g/L〜50g/L、0.5g/L〜50g/L、0.6g/L〜50g/L、1g/L〜50g/L、2g/L〜50g/L、3g/L〜50g/L、又は4g/L〜50g/Lの濃度であり得る。
【0071】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、100mM超、120mM超、150mM超、175mM超、200mM超、250mM超、2000mM未満、1000mM未満、800mM未満、100mM〜2000mM、120mM〜2000mM、150mM〜2000mM、175mM〜2000mM、又は200mM〜2000mMの濃度でナトリウムイオンを含む。
【0072】
一実施形態において、bvg調節因子は、消泡剤を含む。場合によっては、消泡剤は、ポリジメチルシロキサンである。ポリジメチルシロキサンは、5g/l以上、10g/l以上、15g/l以上、20g/l以上、25g/l以上、30g/l以上、40g/l以上、250g/l以下、230g/l以下、200g/l以下、180g/l以下、150g/l以下、5g/l〜250g/l、10g/l〜230g/l、15g/l〜200g/l、20g/l〜180g/l、25g/l〜150g/l又は25g/l〜150g/lの濃度であり得る。
【0073】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、グルタチオンを含む。グルタチオンは、0.15g/L以上、0.20g/L以上、0.25g/L以上、0.30g/L以上、0.35g/L以上、0.40g/L以上、20g/L以下、15g/l以下、12g/L以下、10g/L以下、0.15g/L〜20g/L、0.20g/L〜20g/L、0.25g/L〜20g/L、0.30g/L〜20g/L、0.35g/L〜20g/L、0.35g/L〜20g/L又は0.40g/L〜20g/Lの濃度であり得る。
【0074】
一実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、含硫黄アミノ酸を含み、これらのアミノ酸にはシステイン、シスチン、メチオニンが挙げられるが、硫黄原子を含有する任意の更なるアミノ酸(天然と非天然両方のアミノ酸)もある。これらのアミノ酸は、タンパク質又はペプチド供給源から得られてもよく、個別のアミノ酸として供給されてもよい。更なる実施形態において、少なくとも1種のbvg調節因子は、0.25mM以上、0.5mM以上、0.8mM以上、1000mM以下、500mM以下、250mM以下、100mM以下、50mM以下、25mM以下、10mM以下、0.25mM〜1000mM、0.5mM〜500mM、0.8mM〜250mM、又は0.5mM〜100mMの濃度で含硫黄アミノ酸を含む。
【0075】
更なるステップ
一実施形態において、ボルデテラ種は、百日咳毒素、線維状血球凝集素、線毛状凝集原及びパータクチンからなる群から選択される少なくとも1種の毒性因子を発現する。場合によっては、ステップb)において、百日咳毒素は、2.8 mgL-1 OD 650nm-1、2.7mgL-1 OD 650nm-1、2.6mgL-1 OD 650nm-1、2.5mgL-1 OD 650nm-1、2.4mgL-1 OD 650nm-1、2.3 mgL-1 OD 650nm-1、2.2 mgL-1 OD 650nm-1、2.1 mgL-1 OD 650nm-1、2.0 mgL-1 OD 650nm-1、1.9mgL-1 OD 650nm-1、1.8 mgL-1 OD 650nm-1、1.7 mgL-1 OD 650nm-1、又は1.6 mgL-1 OD 650nm-1より小さい比百日咳毒素産生率で生成される。場合によっては、ステップc)の間に、百日咳毒素は、8mgL-1 650nm-1、2.9mgL-1 650nm-1、3.0mgL-1 650nm-1、3.1mgL-1 650nm-1又は3.2mgL-1 650nm-1より大きい比百日咳毒素産生率で生成される。
【0076】
開示の方法は、毒性因子を精製して、精製された毒性因子を生成する更なるステップd)を含み得る。精製される毒性因子は、精製された百日咳毒素(PT)、線維状血球凝集素(FHA)、パータクチン(PRN)、凝集原2又は凝集原3であり得る。精製される毒性因子は、精製後に改変することができ、例えば百日咳毒素は、精製後に化学的に解毒できる。百日咳抗原の調製についてはEP 427462及びWO 91/12020も参照のこと。一実施形態において、ステップd)は、クロマトグラフィーを使用する細胞精製を含む。一実施形態において、クロマトグラフィー技術は、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又はイオン交換クロマトグラフィーである。場合によっては、アフィニティークロマトグラフィーは、アフィニティータグ精製カラム、抗体精製カラム、レクチンアフィニティーカラム、プロスタグランジン精製カラム又はストレプトアビジンカラムを使用する。場合によっては、HPLCは、イオン交換カラム、逆相カラム又はサイズ排除カラムを使用する。場合によっては、イオン交換カラムは、陰イオン交換カラム又は陽イオン交換カラムである。
【0077】
本方法は、精製された毒性因子を含む免疫原性組成物を配合するステップe)を更に含むことができる。
【0078】
本方法は、免疫原性組成物に少なくとも1種の更なる抗原を添加するステップf)を更に含むことができる。一実施形態において、少なくとも1種の更なる抗原は、百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン、線毛状凝集原、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、少なくとも1種の髄膜炎菌(N.meningitidis)由来コンジュゲート糖抗原、B型肝炎(Hepatitis B)表面抗原、不活化ポリオウイルス(IPV)及びインフルエンザ菌b(Haemophilus influenzae b)由来コンジュゲート糖抗原からなる群から選択される。少なくとも1種の髄膜炎菌由来コンジュゲート糖抗原は、MenC、MenY、MenA及びMenW(例えばA+C、A+Y、A+W、C+Y、C+W、Y+W、A+C+Y、A+C+W、A+Y+W、C+Y+W、A+C+Y+W)であることができ、場合によっては、MenC及び/又はMenYが含まれ、場合によっては4つ全てが含まれる。
【0079】
別法として又は上記の髄膜炎菌抗原に加えて、免疫原性組成物は、1種以上の肺炎球菌カプセルのオリゴ糖又は多糖-担体タンパク質コンジュゲートを含むことができる。
【0080】
通常、本発明の組成物において表される肺炎球菌莢膜オリゴ糖又は多糖(好ましくは後者)は、少なくとも4種の肺炎球菌の血清型から得られる抗原を含む。好ましくは、4種の血清型は、6B、14、19F及び23Fを含む。より好ましくは、少なくとも7種の血清型は、例えば血清型4、6B、9V、14、18C、19F、及び23Fから得られる組成物に含まれる。なおより好ましくは、少なくとも11種の血清型は、例えば血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23Fから得られる組成物(11価)に含まれる。なおより好ましくは、少なくとも10種の血清型は、例えば血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23Fから得られる組成物(10価)に含まれる。本発明の好ましい実施形態において、更なる抗原、例えば23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33Fなど)も本発明によって意図されるが、そのようなコンジュゲート肺炎球菌抗原のうちの少なくとも13種が含まれる。
【0081】
一実施形態において、免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。一実施形態において、発酵方法は、免疫原性組成物に薬学的に許容される賦形剤を添加するステップg)を含む。
【0082】
一実施形態において、免疫原性組成物は、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどのアジュバントを含む。一実施形態において、発酵方法は、免疫原性組成物にアジュバントを添加するステップf)を含む。アルミニウムアジュバントにDTPa及びDTPw抗原を吸着させる方法は、当技術分野において公知である。例えばWO 93/24148及びWO 97/00697を参照のこと。通常、アジュバントに吸着させる成分を適当なpHで室温に少なくとも10分間放置して、大部分の、好ましくは全ての抗原を吸着させた後に、抗原を本発明の免疫原性組成物と組合せて混合する。
【0083】
他の成分を好ましくは吸着させない(IPVなど)、又は他のアジュバントに特異的に吸着させる(B型肝炎表面抗原(HBsAg)は、好ましくは(WO93/24148に記載の通り)リン酸アルミニウムに吸着させた後に、他の成分と混合する)。
【0084】
更なる実施形態において、本方法によって得ることができる毒性因子が提供される。更なる実施形態において、本方法によって得た毒性因子が提供される。
【0085】
更なる実施形態において、毒性因子及び薬学的に許容される賦形剤を含む免疫原性組成物が提供される。一実施形態において、免疫原性組成物は、少なくとも1種の更なる抗原を含む。一実施形態において、少なくとも1種の更なる抗原は、百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン、線毛状凝集原、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、少なくとも1種の髄膜炎菌由来コンジュゲート糖抗原、B型肝炎表面抗原、不活化ポリオウイルス(IPV)及びインフルエンザ菌b由来コンジュゲート糖抗原(場合によっては、破傷風トキソイドにコンジュゲートしている)からなる群から選択される。少なくとも1種の髄膜炎菌由来コンジュゲート糖抗原は、MenC、MenY、MenA及びMenW(例えばA+C、A+Y、A+W、C+Y、C+W、Y+W、A+C+Y、A+C+W、A+Y+W、C+Y+W、A+C+Y+W)であることができ、場合によっては、MenC及び/又はMenYが含まれ、場合によっては4つ全てが含まれる。一実施形態において、ワクチンは、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、並びにPT、FHA及びPRN(DTPaワクチン)の少なくとも1種を含む。
【0086】
一実施形態において、免疫原性組成物は、アジュバントを更に含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含む。アルミニウムアジュバントにDTPa抗原を吸着させる方法は、当技術分野において公知である。例えばWO 93/24148及びWO 97/00697を参照のこと。通常、アジュバントに吸着させる成分を適当なpHで室温に少なくとも10分間放置して、大部分の、好ましくは全ての抗原を吸着させた後に、抗原を本発明の免疫原性組成物と組合せて混合する。
【0087】
他の成分を好ましくは吸着させない(IPVなど)、又は他のアジュバントに特異的に吸着させる(B型肝炎表面抗原(HBsAg)は、好ましくは(WO93/24148に記載の通り)リン酸アルミニウムに吸着させた後に、他の成分と混合する)。
【0088】
一実施形態において、免疫原性組成物を含むワクチンが提供される。
【0089】
ワクチン調製については、Vaccine Design - The Subunit and adjuvant approach Ed Powell and Newman; Pellum Pressに一般的に記載されている。都合のいいことに、本発明による混合ワクチンは、小児用ワクチンである。
【0090】
各ワクチン用量の中の多糖又はオリゴ糖コンジュゲート抗原の量は、代表的なワクチン接種を受けたヒトにおいて重大な有害副作用なしに免疫防御応答を誘導する量として選択される。そのような量は、どの特異的免疫原が利用されるかによって変化することになる。一般に、各用量は、1〜1000μgのコンジュゲート多糖又はオリゴ糖(糖の量で表示される)、好ましくは2〜100μg、より好ましくは4〜40、2〜15、又は3〜10μg、最も好ましくは約又は厳密に5μgを含むものと期待される。
【0091】
ワクチン中のタンパク質抗原の含有量は、一般的に1〜100μgの範囲、好ましくは5〜50μg、最も一般的には5〜25μgの範囲になる。
【0092】
特定のワクチンに対して最適な抗原の量は、対象における抗体力価及び他の応答の観察を含めた標準的な研究によって確認できる。対象は、初回ワクチンの接種後に、約4週間以上の間隔で1回又は2回のブースター注射を受けることができる。
【0093】
全身又は粘膜経路を介して本発明のワクチンを投与することにより、前記のワクチン調剤を使用して、感染に対して感受性の哺乳動物(好ましくはヒト)を保護又は治療することができる。これらの投与には、筋肉内、腹膜内、皮内又は皮下経路による注射が含まれ得る。
【0094】
更なる態様において、前述の通り、疾患の予防又は治療に使用する免疫原性組成物若しくはワクチンが提供される。
【0095】
更なる態様において、前述の通り、百日咳菌疾患の予防又は治療に使用する免疫原性組成物若しくはワクチンが提供される。
【0096】
更なる態様において、前述の通り、疾患の予防又は治療における免疫原性組成物若しくはワクチンの使用が提供される。
【0097】
更なる態様において、前述の通り、細菌疾患の治療又は予防のための医薬調製における免疫原性組成物若しくはワクチンの使用が提供される。
【0098】
更なる態様において、前述の通り、患者に免疫原性組成物又はワクチンを投与するステップを含む、疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【0099】
一実施形態において、疾患は百日咳菌疾患である。本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.a)ボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)第1の環境において少なくとも1つのbvg(ボルデテラ毒性遺伝子)調節条件下でボルデテラ種の細菌の試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の環境において前記少なくとも1つのbvg調節条件の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる、発酵方法。
2.bvg調節条件が、
(i)28℃以下、27℃以下、26℃以下、若しくは25℃以下、
(ii)18℃以上、20℃以上、22℃以上、若しくは24℃以上、又は
(iii)0℃〜28℃、0℃〜27℃、0℃〜26℃若しくは0℃〜25℃
の温度で試料をインキュベートすることを含む、上記1に記載の発酵方法。
3.bvg調節条件が、
(i)1リットル当たりの溶存O2 0.100mmol以下、0.090mmol以下、0.080mmol以下、若しくは0.070mmol以下、
(ii)1リットル当たりの溶存O2 0.001mmol以上、0.050mmol以上、0.010mmol以上、0.015mmol以上、0.020mmol以上、若しくは0.025mmol以上、又は
(iii)1リットル当たりの溶存O2 0.010〜0.100mmol、0.010〜0.090mmol、0.010〜0.080mmol若しくは0.010〜0.070mmol
の酸素濃度で試料をインキュベートすることを含む、上記1又は2に記載の発酵方法。
4.bvg調節条件が、塩基性pHで試料をインキュベートすることを含む、上記1〜3のいずれかに記載の発酵方法。
5.塩基性pHが、
(i)7.2以上、7.3以上若しくは7.4以上、
(ii)9.5以下、9.0以下、8.5以下若しくは8.0以下、又は
(iii)7.2〜8.0、7.3〜8.0若しくは7.4〜8.0
のpHである、上記4に記載の発酵方法。
6.bvg調節条件が、酸性pHで試料をインキュベートすることを含む、上記1〜5のいずれかに記載の発酵方法。
7.酸性pHが、
(i)7.0以下、6.8以下、6.6以下、6.4以下若しくは6.2以下、
(ii)4.5以上、5.0以上、5.5以上、6.0以上若しくは6.5以上、又は
(iii)5.0〜7.0、5.0〜6.9若しくは5.0〜6.8
のpHである、上記6に記載の発酵方法。
8.第1の環境が、第1の培養培地である、上記1〜7のいずれかに記載の発酵方法。
9.第2の環境が、第2の培養培地である、上記1〜8のいずれかに記載の発酵方法。
10.少なくとも1つのbvg調節条件が、第1の培養培地における少なくとも1種のbvg調節因子の存在を含む、上記8に記載の発酵方法。
11.a)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる、発酵方法。
12.a)第1の培養培地中にボルデテラ種の細菌の試料を準備するステップと、
b)少なくとも1種のbvg調節因子を含む第1の培養培地中で試料を少なくとも5世代インキュベートし、それによって成熟培養物を生成するステップと、
c)第2の培養培地で前記少なくとも1種のbvg調節因子の非存在下で成熟培養物をインキュベートするステップと
を含み、ステップc)がステップb)の後に行われる、発酵方法。
13.ボルデテラ種が、百日咳菌、パラ百日咳菌及び気管支敗血症菌から成る群から選択される種である、上記1〜12のいずれかに記載の発酵方法。
14.ボルデテラ種から1種以上の毒素を産生する方法である、上記1〜13のいずれかに記載の発酵方法。
15.ステップb)が、40未満、35未満、30未満、25未満、20未満又は18未満の世代を含む、上記1〜14のいずれかに記載の発酵方法。
16.産業的培養においてbvg+遺伝子型のボルデテラ種を保存する方法である、上記1〜15のいずれかに記載の発酵方法。
17.産業的培養において増殖中の毒性因子の発現の消失を最小限に抑える方法である、上記1〜16のいずれかに記載の発酵方法。
18.ボルデテラ種の毒性因子の産生を増強する方法である、上記1〜17のいずれかに記載の発酵方法。
19.bvg調節因子がナイアシンを含む、上記10〜18のいずれかに記載の発酵方法。
20.ナイアシンが、
(i)0.004g/l以上、0.01g/l以上、0.1g/l以上、0.2g/l以上、0.3g/l以上、若しくは0.004g/l以上、
(ii)400g/l以下、300g/l以下、200g/l以下、100g/l以下、50g/l以下、若しくは5g/l以下、又は
(iii)0.004g/l〜500g/l、0.01g/l〜400g/l、0.1g/l〜300g/l、0.4g/l〜200g/l若しくは0.2g/l〜100g/l
の濃度である、上記19に記載の発酵方法。
21.bvg調節因子が、マグネシウム塩、硫酸塩、リン酸塩及び炭酸塩から成る群から選択される無機塩を含む、上記10〜20のいずれかに記載の発酵方法。
22.無機塩が硫酸塩である、上記21に記載の発酵方法。
23.硫酸塩が、
(i)0.04mM以上、0.08mM以上、1mM以上、4mM以上、8mM以上若しくは10mM以上、
(ii)50mM以下、40mM以下、35mM以下、30mM以下、25mM以下、20mM以下若しくは15mM以下、又は
(iii)0.04mM〜40mM、0.08mM〜1mM、4mM〜40mM、8mM〜10mM、15mM〜40mM、若しくは17mM〜40mM
の濃度である、上記22に記載の発酵方法。
24.無機塩がリン酸塩である、上記21に記載の発酵方法。
25.リン酸塩が、
(i)0.4g/l以上、0.5g/l以上、0.6g/l以上、若しくは0.7g/L以上、
(ii)20g/l以下、18g/l以下、16g/l以下、10g/l以下、5g/l以下、若しくは2g/l以下、又は
(iii)0.4g/L〜20g/L、0.5g/L〜20g/L、0.6g/L〜20g/L若しくは0.7g/L〜20g/L
の濃度である、上記24に記載の発酵方法。
26.bvg調節因子がスクロースを含む、上記10〜25のいずれかに記載の発酵方法。
27.スクロースが、
(i)10mM以上、15mM以上、20mM以上、25mM以上、30mM以上、35mM以上若しくは40mM以上、
(ii)100mM以下、90mM以下、85mM以下、80mM以下、75mM以下、70mM以下若しくは50mM以下、又は
(iii)10mM〜100mM、15mM〜95mM、20mM〜90mM、25mM〜85mM若しくは30mM〜80mM
の濃度である、上記26に記載の発酵方法。
28.bvg調節因子が、酵母抽出物、トリプティックソイ寒天培地、トリプトースホスフェート、脳及び心臓組織の浸出物並びにペプトンから成る群から選択される複合培地成分を含む、上記10〜27のいずれかに記載の発酵方法。
29.複合培地成分が、
(i)1g/L以上、3g/L以上、5g/L以上、若しくは10g/L以上、
(ii)40g/L以下、35g/L以下、30g/l以下、25g/l以下、若しくは20g/L以下、又は
(iii)1g/L〜40g/l、3g/l〜40g/l、5g/l〜40g/L、若しくは10g/L〜40g/L
の濃度である、上記28に記載の発酵方法。
30.bvg調節因子がプロリンを含む、上記10〜29のいずれかに記載の発酵方法。
31.プロリンが
(i)0.25g/l以上、0.4g/l以上、0.5g/l以上、0.6g/L以上、1g/L以上、2g/L以上、3g/L以上、若しくは4g/l以上、
(ii)50g/L以下、30g/L以下、25g/L以下、20g/L以下、若しくは15g/L以下、又は
(iii)0.25g/L〜50g/L、0.4g/L〜50g/L、0.5g/L〜50g/L、0.6g/L〜50g/L、1g/L〜50g/L、2g/L〜50g/L、3g/L〜50g/L、若しくは4g/L〜50g/L
の濃度である、上記30に記載の発酵方法。
32.bvg調節因子が、
(i)100mM超、120mM超、150mM超、175mM超、200mM超、若しくは250mM超、
(ii)2000mM未満、1000mM未満、若しくは800mM未満、又は
(iii)100mM〜2000mM、120mM〜2000mM、150mM〜2000mM、175mM〜2000mM、若しくは200mM〜2000mM
の濃度でナトリウムイオンを含む、上記10〜31のいずれかに記載の発酵方法。
33.bvg調節因子が消泡剤を含む、上記10〜32のいずれかに記載の発酵方法。
34.消泡剤がポリジメチルシロキサンである、上記33に記載の発酵方法。
35.ポリジメチルシロキサンが、
(i)5g/l以上、10g/l以上、15g/l以上、20g/l以上、25g/l以上、30g/l以上、若しくは40g/l以上、
(ii)250g/l以下、230g/l以下、200g/l以下、180g/l以下、若しくは150g/l以下、又は
(iii)5g/l〜250g/l、10g/l〜230g/l、15g/l〜200g/l、20g/l〜180g/l、25g/l〜150g/l若しくは25g/l〜150g/l
の濃度である、上記33又は34に記載の発酵方法。
36.bvg調節因子がグルタチオンを含む、上記10〜35のいずれかに記載の発酵方法。
37.グルタチオンが、
(i)0.15g/L以上、0.20g/L以上、0.25g/L以上、0.30g/L以上、0.35g/L以上、若しくは0.40g/L以上、
(ii)20g/L以下、15g/l以下、12g/L以下、若しくは10g/L以下、又は
(iii)0.15g/L〜20g/L、0.20g/L〜20g/L、0.25g/L〜20g/L、0.30g/L〜20g/L、0.35g/L〜20g/L、0.35g/L〜20g/L若しくは0.40g/L〜20g/L
の濃度である、上記36に記載の発酵方法。
38.bvg調節因子が、少なくとも1種の含硫黄アミノ酸を含む、上記10〜37のいずれかに記載の発酵方法。
39.bvg調節因子がシステインを含む、上記38に記載の発酵方法。
40.bvg調節因子がメチオニンを含む、上記39に記載の発酵方法。
41.含硫黄アミノ酸が、
(i)0.25mM以上、0.5mM以上、若しくは0.8mM以上、
(ii)1000mM以下、500mM以下、250mM以下、100mM以下、50mM以下、25mM以下、若しくは10mM以下、又は
(iii)0.25mM〜1000mM、0.5mM〜500mM、0.8mM〜250mM、若しくは0.5mM〜100mM
の濃度である、上記38〜40のいずれかに記載の発酵方法。
42.(i)20%以下、18%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、若しくは3%以下、
(ii)1%以上、2%以上、若しくは3%以上、又は
(iii)2%〜10%、2%〜8%、2%〜12%、2%〜10%、2%〜6%若しくは2%〜5%
の成熟培養物が、ステップc)の始動時にbvg-遺伝子型である、上記1〜41のいずれかに記載の発酵方法。
43.第2の培養培地がStainer Scholte培地を含む、上記9〜42のいずれかに記載の発酵方法。
44.第2の培養培地が変法Stainer Scholte培地を含む、上記9〜42のいずれかに記載の発酵方法。
45.ステップb)の少なくとも一部が、
(i)50ml〜25リットル、50ml〜20リットル、50ml〜15リットル、50ml〜10リットル、若しくは50ml〜5リットル、
(ii)25リットル以下、20リットル以下、15リットル以下、10リットル以下、若しくは5リットル以下、又は
(iii)25ml以上、50ml以上、100ml以上、250ml以上、500ml以上、1リットル以上、若しくは2リットル以上
の容量の容器で実施される、上記1〜44のいずれかに記載の発酵方法。
46.ステップc)が、発酵槽で実施される、上記1〜45のいずれかに記載の発酵方法。
47.発酵槽の作業容量が、
(i)5〜10000リットル、10〜5000リットル、20〜2000リットル、若しくは50リットル〜1000リットル、
(ii)5リットル以上、10リットル以上、15リットル以上、20リットル以上、25リットル以上、50リットル以上、若しくは100リットル以上、又は
(iii)10000リットル以下、5000リットル以下、若しくは2500リットル以下
である、上記46に記載の発酵方法。
48.ステップc)が、
(i)32℃以上、33℃以上、34℃以上、若しくは35℃以上、
(ii)45℃以下、42℃以下、40℃以下、若しくは38℃以下、又は
(iii)32℃〜45℃、33℃〜42℃、34℃〜40℃、若しくは35℃〜38℃
の温度で実施される、上記1〜47のいずれかに記載の方法。
49.ステップc)において機械的消泡機が使用される、上記1〜48のいずれかに記載の発酵方法。
50.ステップb)が前培養段階を含む、上記1〜49のいずれかに記載の発酵方法。
51.ステップb)が細胞バンキング段階を含む、上記1〜50のいずれかに記載の発酵方法。
52.ステップa)とステップb)の間において細胞バンキングが行われる、上記1〜49のいずれかに記載の発酵方法。
53.ボルデテラ種の細菌の試料を選択するステップi)を更に含み、細菌の試料が主にBvg+遺伝子型であり、ステップi)がステップa)の前に行われる、上記1〜52のいずれかに記載の発酵方法。
54.85%超、90%超、95%超、98%超、85%〜100%、90%〜100%、95%〜100%又は98%〜100%の細菌の試料がBvg+遺伝子型である、上記53に記載の発酵方法。
55.ステップb)が、少なくとも8、10、12、14、16、又は17世代を含む、上記1〜54のいずれかに記載の発酵方法。
56.ステップb)が、
(i)200時間以下、150時間以下、100時間以下、80時間以下、70時間以下、60時間以下、若しくは55時間以下、
(ii)10時間以上、15時間以上、20時間以上、25時間以上、30時間以上、35時間以上、若しくは40時間以上、又は
(iii)10時間〜200時間、15時間〜150時間、20時間〜100時間、25時間〜80時間、若しくは30時間〜70時間
である、上記1〜55のいずれかに記載の発酵方法。
57.ステップc)が、
(i)200時間以下、150時間以下、100時間以下、80時間以下、60時間以下、若しくは40時間以下、
(ii)5時間以上、10時間以上、15時間以上、若しくは25時間以上、又は
(iii)5時間〜200時間、10時間〜150時間、15時間〜100時間、若しくは25時間〜80時間である、上記1〜56のいずれかに記載の方法。
58.ステップb)が、20℃〜45℃、22℃〜43℃、24℃〜42℃、28℃〜42℃、30℃〜42℃、又は32℃〜40℃の温度で実施される、上記1及び3〜57のいずれかに記載の発酵方法。
59.ステップb)が、6.5〜7.8又は6.8〜7.5のpHで実施される、上記1〜3及び8〜58のいずれかに記載の発酵方法。
60.ステップc)が、6.5〜7.8又は6.8〜7.5のpHで実施される、上記1〜59のいずれかに記載の発酵方法。
61.ステップb)が、10%〜50%、15%〜45%、20%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される、上記1〜2及び4〜60のいずれかに記載の発酵方法。
62.ステップc)が、0%〜50%、0%〜45%、0%〜35%の溶存酸素の存在下で実施される、上記1〜61のいずれかに記載の発酵方法。
63.ボルデテラ種が、百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン及び線毛状凝集原から成る群から選択される少なくとも1種の毒性因子を発現する、上記1〜62のいずれかに記載の発酵方法。
64.ステップb)において、百日咳毒素が、2.8mgL-1 OD 650nm-1、2.7mgL-1 OD 650nm-1、2.6mgL-1 OD 650nm-1、2.5mgL-1 OD 650nm-1、2.4mgL-1 OD 650nm-1、2.3mgL-1 OD 650nm-1、2.2mgL-1 OD 650nm-1、2.1mgL-1 OD 650nm-1、2.0mgL-1 OD 650nm-1、1.9mgL-1 OD 650nm-1、1.8mgL-1 OD 650nm-1、1.7mgL-1 OD 650nm-1、又は1.6mgL-1 OD 650nm-1より小さい比百日咳毒素産生率で生成される、上記63に記載の発酵方法。
65.ステップc)の間において、百日咳毒素が、8mgL-1 650nm-1、2.9mgL-1 650nm-1、3.0mgL-1 650nm-1、3.1mgL-1 650nm-1又は3.2mgL-1 650nm-1より大きい比百日咳毒素産生率で生成される、上記53又は65に記載の発酵方法。
66.毒性因子を精製して、精製された毒性因子を生成するステップd)を更に含む、上記63〜65のいずれかに記載の発酵方法。
67.精製された毒性因子を含む免疫原性組成物を配合するステップe)を更に含む、上記66に記載の発酵方法。
68.免疫原性組成物に少なくとも1種の抗原を添加するステップf)を更に含む、上記67に記載の発酵方法。
69.抗原が百日咳毒素、線維状血球凝集素、パータクチン、線毛状凝集原、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、髄膜炎菌由来コンジュゲート糖抗原、B型肝炎表面抗原、不活化ポリオウイルス(IPV)及びインフルエンザ菌b由来コンジュゲート糖抗原から成る群から選択される、上記68に記載の発酵方法。
70.免疫原性組成物に薬学的に許容される賦形剤を添加するステップg)を含む、上記67〜69のいずれかに記載の発酵方法。
71.免疫原性組成物にアジュバントを添加するステップf)を含む、上記67〜70のいずれかに記載の発酵方法。
72.アジュバントが、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含む、上記71に記載の発酵方法。
【実施例】
【0100】
[実施例1]
20L-規模発酵での百日咳菌bvg+及びbvg-変異体による増殖及び毒性因子産生
百日咳菌の振とうフラスコ培養物を、Bordet-Gengou培地(5%ヒツジ血液を含有)に播いて、溶血性(bvg+)及び非溶血性(bvg-)コロニーを検出することができる。1つの単一bvg+コロニー及び1つの単一bvg-コロニーをこれらのプレートから単離し、使用して、20L-規模発酵を実行した。
【0101】
新鮮培地(1g/Lジメチル-□-シクロデキストリン及び10g/L酸性カゼイン加水分解物の添加、40mg/LのL-システインによる40mg/LのL-シスチンの置きかえ、並びに高濃度のNa-L-グルタミン酸(11.84g/L)、還元グルタチオン(150mg/L)及びアスコルビン酸(400mg/L))の使用によりStainer及びScholte(J. Gen. Microbiol. 63巻:211〜220頁(1971年)から変更した)7.5mlを含有する第1の振とうフラスコ前培養を109CFUの百日咳菌で植菌し、35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートして、第1の前培養を生成した。第1の前培養を使用して、新鮮培地100mlを含有する第2の振とうフラスコ前培養を植菌した。第2の前培養を35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートし、使用して、新鮮培地を各々1L含有する2つの振とうフラスコを植菌した。35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-4時間)増殖させた後、第3の前培養の振とうフラスコ2つをプールした。第3の前培養を停止してすぐに、プールした前培養を使用して発酵槽を植菌した。並行して、BG(Bordet Gengou)培地(5%血液を含有する)に適当な希釈率を播くことによって第3の前培養の終了時におけるbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した。この割合は、20L-発酵におけるbvg-細胞の初期割合を表した(表1)。
【0102】
20L-発酵槽(Biolafitte(商標))を使用した。培地10Lを、発酵槽へ無菌的に移した。以下の条件を使用して、100%-溶存酸素(DO)レベルを調整した:温度(35℃)、上部圧(0.4bar)、空気流量(1分間当たりにスパージ空気4.6L)及び攪拌速度(50rpm又は1分間当たりの回転数)。
【0103】
植菌は、プールされた前培養1.5Lの添加によってなされた。
【0104】
発酵の間、温度(35℃)及び上部圧(0.4bar)を一定のレベルに維持した。機械的消泡機を使用して、発酵中の発泡を制御した。予め定義された曲線に従って、発酵中の空気流量を徐々に増加させた。溶存酸素のレベルを25%に設定し、DOが25%以下に下がったときに攪拌を増加させることによって制御した。最小攪拌速度を50rpmに設定した、最大攪拌速度を550rpmに設定した。50%(w/v又は重量/容量)酢酸の添加によってpHを7.2に制御した。
【0105】
発酵中に、650nmの光学密度としてbvg-及びbvg+培養物の増殖をモニターした(OD650nm図1)。発酵終了時(グルタミン酸の枯渇の結果として酸素消費量が低下し、その結果撹拌速度が減少する時間と定義される)に、標準的なELISAによって培養上清中の百日咳毒素(PT)産生を決定し、5%血液を含有するBG培地に適当な希釈率の発酵ブロスを播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した(表1)。この割合は、20L-発酵におけるbvg-細胞の最終割合を表した(表1)。
【0106】
bvg+分離株を用いる発酵と比較して、bvg-分離株を用いる発酵はより速く増殖したが、PT産生は極めて低かった。しかし、最大バイオマス濃度は、2つの分離株の間で異ならなかった。
【表1】
【0107】
[実施例2]
百日咳菌の20L-規模発酵におけるbvg-細胞の蓄積
bvg+とbvg-細胞の比が99:1を表す109CFUの百日咳菌で第1の前培養を植菌したことを除いて、実施例1に記載の通り百日咳菌の20L-発酵を実行した。
【0108】
20L-発酵の開始及び終了時に、5%血液を含有するBG培地に適当な希釈率の発酵ブロスを播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した(表2)。世代数が増加するにつれて、bvg-細胞の割合は増加した。
【表2】
【0109】
[実施例3]
振とうフラスコ連続培養におけるbvg-細胞の占有に対する調節化合物の効果
実施例1に記載の修正によりStainer及びScholte(J. Gen. Microbiol. 63巻:211〜220頁(1971年))から変更した培地で4系列の培養を並行して実行し、表3に記載の通り、各系列はMgSO4(10mM)及び/又はナイアシン(0g/L又は0.604g/L)を含有した。各系列に対して、新鮮培地7.5mlを含有する第1の振とうフラスコを、bvg+とbvg-細胞の比が99:1を表す109CFUの百日咳菌で植菌した。以降の振とうフラスコ培養物は全て、新鮮培地100mlを含有した。全ての培養物を、35℃(+/-1℃)で24時間(+/-1時間)インキュベートした。3及び4回目の継代の終了時に、5%血液を含有するBG培地に適当な希釈率の培養物を播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した(表3)。
【0110】
調節濃度のMgSO4又はナイアシンの非存在下で(系列A)、bvg-細胞は速やかに蓄積した。MgSO4(20mM;系列C)又はナイアシン(0.604g/L;系列B)のいずれか又は両方の添加により、bvg-細胞の蓄積は著しく低下した。
【表3】
【0111】
[実施例4]
振とうフラスコ連続培養におけるbvg-細胞の占有に対する調節化合物ナイアシンの用量効果
百日咳菌の振とうフラスコ連続培養におけるbvg-細胞の占有に対するナイアシンの用量効果を評価した。実施例1に記載の修正によりStainer及びScholte(J. Gen. Microbiol. 63巻:211〜220頁(1971年))から変更した培地で、4系列の培養を並行して実行した。培地は、以下の修正も含んだ:10g/Lカゼイン加水分解物で得られるのと同等の濃度の12種類のアミノ酸(L-アスパラギン酸、グリシン、L-バリン、L-メチオニン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-ヒスチジン、L-アラニン、L-チロシン、L-セリン及びL-リシン)の混合物による酸性カゼイン加水分解物の置きかえ、高濃度のNa-L-グルタミン酸(20g/L)及びL-プロリン(1.04g/L)、並びにNaClの欠如。表4に記載の通り、各系列は異なる濃度のナイアシンを含有した。各系列に対して、新鮮培地100mlを含有する第1の振とうフラスコを、bvg+とbvg-細胞の比が94:6を表すおよそ4x109CFUの百日咳菌で植菌した。以降の振とうフラスコは全て、新鮮培地100mlを含有し、初期細胞濃度およそ4x108CFU/mlの先の培養物で植菌した。全ての培養物を、35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートした。各継代の終了時に、5%血液を含有するBG培地に適当な希釈率の培養物を播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した(表4)。各継代における世代数を、光学密度測定(OD650nm)に基づいて算出した。世代数の関数としてのbvg-細胞の占有を、図2に表す。
【0112】
低濃度のナイアシンは、bvg-細胞の占有を制御するのに有効でなかった。しかし、ナイアシンを高濃度(0.604g/L)で添加した場合、15世代までbvg-占有は全く観察されなかった。
【表4】
【0113】
[実施例5]
20L-規模発酵におけるbvg-細胞の占有を制御するための調節化合物ナイアシンの使用
百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。発酵COQ255の始めの2回の前培養におけるbvg-占有を制御するための高濃度のナイアシン(0.604g/L)の存在を除いて、2つの発酵は同一であった、一方、発酵COQ255の次の2回の前培養は低濃度のナイアシン(0.004g/L)を含有した。発酵COQ254においては、4回全ての前培養を0.004g/Lナイアシンの存在下で実行した。本方法の各ステップにおけるナイアシン濃度を表5に示す。各前培養ステップにおける培地希釈により、20L-発酵槽内の初期ナイアシン濃度は0.004g/L、すなわち調節濃度未満であり、PT産生が可能であった。
【表5】
【0114】
同じ凍結細胞バンクを使用して、bvg+とbvg-細胞の比が99:1を表すおよそ1x109CFUの百日咳菌で、新鮮培地(実施例1に記載の修正によりStainer及びScholte(J. Gen. Microbiol. 63巻:211〜220頁(1971年))から変更した)30mlを含有する振とうフラスコからなる両方の発酵の第1の前培養を植菌した。第1の前培養を35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートし、使用して、新鮮培地1Lを含有する第2の振とうフラスコ前培養を植菌した。第2の前培養を35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-2時間)インキュベートし、使用して、新鮮培地1Lを含有する第3の振とうフラスコを植菌した。35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートした後、第3の前培養を使用して、新鮮培地を各々1L含有する2つの振とうフラスコを植菌した。35℃(+/-1℃)、150rpmで13時間(+/-1時間)増殖させた後、第4の前培養由来の2つの振とうフラスコをプールした。第4の前培養を停止してすぐに、プールした前培養を使用して発酵槽を植菌した。並行して、5%血液を含有するBGに適当な希釈率を播くことによって第4の前培養の終了時におけるbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した。この割合は、20L-発酵におけるbvg-細胞の初期割合を表した(表6)。一連の前培養の世代数(18世代、OD650nm測定から算出される)は、工業規模(およそ2,000L発酵ブロス)での発酵を実行するのに使用可能な世代数を表している。
【0115】
20L-発酵槽(Biolafitte)を使用した。培地10Lを、発酵槽へ無菌的に移した。以下の条件を使用して、100%-溶存酸素(DO)レベルを調整した:温度(35℃)、上部圧(0.4bar)、空気流量(1分間当たりにスパージ空気4.6L)及び攪拌速度(50rpm)。
【0116】
植菌は、プールされた前培養1.5Lの添加によってなされた。
【0117】
発酵の間、温度(35℃)及び上部圧(0.4bar)を一定に維持した。機械的消泡機を使用して、発酵中の発泡を制御した。予め定義された曲線に従って、発酵中の空気流量を徐々に増加させた。溶存酸素のレベルを25%に設定し、DOが25%未満に下がったときに攪拌を増加させることによって制御した。最小攪拌速度を50rpmに設定した、最大攪拌速度を550rpmに設定した。50%(w/v)酢酸の添加によってpHを7.2に制御した。
【0118】
発酵中に、650nm(OD650nm)の光学密度として増殖をモニターした。発酵終了時(グルタミン酸の枯渇の結果として酸素消費量が低下し、その結果撹拌速度が減少する時間と定義される)に、ELISAによって培養上清中の百日咳毒素(PT)産生を決定し、5%血液を含有するBG培地に適当な希釈率の発酵ブロスを播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した(表6)。この割合は、20L-発酵におけるbvg-細胞の最終割合を表した(表6)。
【0119】
始めの2回の前培養ステップにおいて高濃度のナイアシンを添加することにより、20L-発酵の開始時にbvg-細胞の割合が低くなった。それの発酵において、bvg-占有に対する制御を行わなかった(0.004g/Lナイアシン、PT発現を可能にする)が、bvg-細胞の低い初期割合が発酵終了時に反映され、発酵ブロス中のPT力価が有意に増加した。bvg-細胞がbvg+細胞より速く増殖するという観察と一致して、発酵COQ255は少し遅かった。最終バイオマス濃度は、2つの発酵の間で同程度だった:bvg+:bvg-比の観点で、細菌集団の組成だけが影響を受けた。これは、比PT産生の増加によって例示される(表6)。
【表6】
【0120】
[実施例6]
PT産生を阻害する条件である低溶存酸素
百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。実施例2に記載の通り前培養ステップを実行した。同じ一連の前培養を使用して、2つの20L-発酵槽を植菌した。最大攪拌速度を第1の発酵において550rpm(COQ238、酸素十分条件)に及び第2の発酵において280rpm(COQ239、酸素制限条件)に設定したことを除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した。酸素消費の急停止から明らかなように、炭素源が完全に枯渇したときに発酵は停止した。
【0121】
両方の発酵の溶存酸素プロファイルを図3で比較している(ヘンリーの法則を使用して、温度、上部圧、及び相対的溶存酸素のオンライン測定から算出した絶対溶存酸素)。バイオマス及びPT収量を、表7に示す。酸素供給制限(COQ239)は、最終バイオマスとPT濃度の両方に対して負の効果を有した。培養物の増殖速度も、酸素制限条件下で負の影響を受けた。
【表7】
【0122】
[実施例7]
PT産生を阻害するための酵母抽出物の使用
百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。Na-L-グルタミン酸濃度(20g/L)を除いて、実施例2に記載の通り前培養ステップを実行した。培地組成に対する以下の変更を除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した:発酵COQ199において、20g/Lの濃度で培地に酵母抽出物を添加し、一方発酵COQ182において、10g/Lの濃度でカゼイン加水分解物を添加した。両方の発酵において、泡制御装置によるポリジメチルシロキサン乳液の自動添加によって発泡を制御した。酸素消費の急停止から明らかなように、炭素源が完全に枯渇したときに発酵は停止した。
【0123】
バイオマス及びPT収量を表8に示す。酵母抽出物(COQ199)の使用は、カゼイン加水分解物(COQ182)よりもバイオマス濃度に対して正の効果を有し、PT産生に対して負の効果を有した(参照条件と比較して43%低下する)。
【表8】
【0124】
[実施例8]
PT産生を阻害するための高プロリン濃度及び低ナトリウム濃度の使用
百日咳菌の20L-発酵を3つ並行して実行した。実施例4に記載の通り、培地組成を除いて、実施例2に記載の通り前培養ステップを実行した。培地組成を除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した:発酵COQ280において、1g/Lの最終濃度になるようにプロリンを添加し、一方発酵COQ278において、プロリン濃度は12g/Lであった。2つの条件の間で炭素源の量を同程度に保つため、グルタミン酸(グルタミン酸ナトリウムとして与えられる)濃度を、発酵COQ280における20g/Lから発酵COQ278における7g/Lへと減少させた。発酵COQ281において、プロリン及びグルタミン酸濃度はCOQ278と同一であったが、COQ280と比較してグルタミン酸ナトリウムの減少に対して補償するために、4g/Lの濃度でNaClを添加した。酸素消費の急停止から明らかなように、炭素源が完全に枯渇したときに発酵は停止した。
【0125】
バイオマス及びPT収量を表9に示す。プロリンが高濃度で存在するとき(COQ278)、PT産生の有意な減少が観察された(COQ280と比較して58%低下する)。NaClを添加して、低下したグルタミン酸ナトリウム濃度を補償した場合、この効果は部分的に軽減された(COQ281;COQ280と比較して37%低下する)。これらの観察は、高プロリン濃度と低ナトリウム濃度の両方がPT産生に対して負の効果を有し、これらの効果が加法的である(すなわち重複しない)ことを示している。
【表9】
【0126】
[実施例9]
PT産生を阻害するための高リン酸濃度の使用
百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。実施例8に記載の通り前培養ステップを実行した。培地組成に対する以下の変更を除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した:発酵COQ280において、0.5g/Lの濃度でKH2PO4を添加し、一方発酵COQ279において、KH2PO4濃度は0.8g/Lであった。酸素消費の急停止から明らかなように、炭素源が完全に枯渇したときに発酵は停止した。
【0127】
バイオマス及びPT収量を表10に示す。リン酸が高濃度で存在するとき、PT産生の有意な減少が観察された(COQ280と比較して32%低下する)。
【表10】
【0128】
[実施例10]
PT産生を阻害するための高リン酸濃度、高プロリン濃度、及び低ナトリウム濃度の組合せ 百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。実施例8に記載の通り前培養ステップを実行した。培地組成に対する以下の変更を除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した(表11に詳述される):発酵COQ269において、培地は、高リン酸(KH2PO4 0.8g/L)、低ナトリウム(グルタミン酸ナトリウム7g/L及びNaClなし)、及び高プロリン(12g/L)濃度の組合せを含有した。酸素消費の急停止から明らかなように、炭素源が完全に枯渇したときに発酵は停止した。
【0129】
バイオマス及びPT収量を表11に示す。高リン酸塩、低ナトリウム、及び高プロリン濃度(COQ269)の存在下で、バイオマス収量に対する負の影響は全く観察されなかった。しかし、PT産生は激しく減少した(COQ280と比較して84%低下する)。
【表11】
【0130】
[実施例11]
PT産生を阻害するための高システイン濃度の使用
百日咳菌の20L-発酵を2つ並行して実行した。実施例2に記載の通り前培養ステップを実行した。培地組成の以下の変更を除いて、実施例1に記載の通り20L-発酵を実行した:発酵COQ280において、0.04g/Lの濃度でL-システインを添加し、一方発酵COQ396において、L-システイン濃度は0.2g/Lであった。炭素源が完全に枯渇したとき(酸素消費が急停止したとき)に発酵は停止した。
【0131】
バイオマス及びPT収量を表12に示す。L-システインが高濃度で存在するとき、PT産生の有意な減少が観察された(COQ280と比較して32%低下する)。
【表12】
【0132】
[実施例12]
ナイアシンを用いるbvg-占有の長期間制御
実施例3及び4は、比較的低い割合のbvg-細胞(多くとも6%)から開始したとしても、0.6g/Lナイアシンを使用して、限られた世代数に渡ってbvg-細胞の占有を制御できることを示している。より多い世代数及びより広範囲なbvg-細胞の初期割合へとこの観察を広げるために、後述するように、4つの振とうフラスコ連続培養物について2つの群を実行した。
【0133】
最初に、Stainer及びScholte(J. Gen. Microbiol. 63巻:211〜220頁(1971年))から(実施例4に記載の通り)変更され、0.004g/Lナイアシンを含有する新鮮培地100mlに、1つのbvg+分離株及び1つのbvg-分離株を別々に植菌した。2つの振とうフラスコを、35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートした。細胞を、遠心分離によって回収し、新鮮培地を用いて2回洗浄し、新鮮培地に再懸濁した。次いで、2種類の細胞懸濁液の異なる混合物を調製して、93.8%、72.1%、4.2%、又は4%のbvg-細胞を含有する懸濁液を得た。これら4つの混合した細胞懸濁液の各々を使用して、0.004g/Lナイアシン又は0.6g/Lナイアシンのいずれかを含む新鮮培地100mlを含有する2つの別々の振とうフラスコを植菌した。35℃(+/-1℃)、150rpmで24時間(+/-1時間)インキュベートした後、各培養物を使用して、同じナイアシン濃度を含有する新鮮培地100mlを含有する振とうフラスコを植菌した。合計世代数がおよそ90〜100になるように、8つの振とうフラスコ培養物の各々に対して、その手順を合計17回繰り返した。各継代(およそ5世代)の終了時に、BG培地に適当な希釈率の培養物を播くことによってbvg+及びbvg-細胞の割合を測定した。結果は、ナイアシン0.004g/Lを含む4つの連続培養物について図4に、ナイアシン0.6g/Lを含む4つの連続培養物について図5に表す。
【0134】
これらの結果は、bvg-細胞の初期割合とは無関係に、0.004g/Lではなく0.6g/Lナイアシンの使用が、この細胞の占有を効果的に制御できることを実証している。この制御は100世代まで有効であり、この世代数は一般に、新たに単離された百日咳菌株から開始する産業規模の発酵を植菌するための作業細胞バンク及び十分なバイオマス(一連の前培養)を生成するのに必要な世代数に相当することも示している。
図1
図2
図3
図4
図5