(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガイドベーン操作機構のガイドリングの穴に弱点ピンの大径部がメガネリンクの穴に弱点ピンの小径部が挿入された弱点ピンの引き抜きを行う弱点ピン引き抜き装置において、
前記弱点ピンの折損検出用貫通孔に挿通され前記弱点ピンを保持して前記ガイドリング側及び前記メガネリンク側に突出して配置された全ネジと、
前記ガイドリング側の前記全ネジを貫通する貫通孔を底部に有し開口部側が前記ガイドリングの表面に接触するカップ部材と、
前記全ネジの前記メガネリンク側の端部に螺着され前記弱点ピンの小径部を係止するための係止部と、
前記ガイドリング側の前記全ネジに螺挿されたとき前記カップ部材が前記ガイドリングの表面に接触する接触面が支点となり前記係止部が前記弱点ピンの小径部を押圧して前記全ネジを前記ガイドリングの外側に引き抜き前記弱点ピンを前記ガイドリング及び前記メガネリンクから引き抜くための螺挿ナットとを備えたことを特徴とする弱点ピン引き抜き装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、弱点ピンの折損を検出した後に、折損した弱点ピンの引き抜きや新たな弱点ピンの挿入作業には時間を要することがある。弱点ピンは大径部と小径部とを有し、大径部がガイドリング穴に小径部がメガネリンク穴に配置されているが、例えば、折損した弱点ピンの引き抜きについては、弱点ピン折損時にガイドリングの穴に配置された弱点ピン大径部に強い捻回力が働き、弱点ピン大径部とガイドリングの穴とが固着し手の力だけでは弱点ピンを引き抜けないことがある。その場合は、折損した弱点ピンをハンマで叩いたり、プライヤーで捻るなどして引き抜いていた。
【0007】
一方、新たな弱点ピンの挿入は、メガネリンク穴(小径側)及びガイドリング穴(大径側)の両方を貫通させながら挿入するため、それぞれの芯出しができていないと、新たな弱点ピンの挿入が困難となる。また、弱点ピンとそれぞれの穴との嵌め合いが固め(渋め)になっているため、両方の穴の芯を探りながら手で押し込み挿入するという作業にかなりの時間を要していた。また、弱点ピンと両方の穴との双方に薄くグリスを塗布しながら挿入することもあるが、その作業は、渋め(固い)の嵌め合いの状態で強く押し込む際に弱点ピンと両方の穴の金属どうしがかじってしまい挿入も引き抜きもできない状態になってしまうこともあった。
【0008】
さらには、ガイドリング穴に配置された弱点ピン大径部とメガネリンク穴に配置された弱点ピン小径部とを一体継接する極小径部である弱点部が折損し、ガイドリング穴に折損した弱点ピン大径部が取り残される場合があり、この場合の折損した弱点ピン大径部の折損面(破断面)にはバリが発生していることから、この折損した弱点ピン大径部の引き抜きについても時間を要していた。
【0009】
本発明の目的は、損傷した弱点ピンの引き抜きを容易に行える弱点ピン引き抜き装置及び新しい弱点ピンの引き抜き及び挿入を容易に行える弱点ピン引き抜き装置及び挿入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係る弱点ピン引き抜き装置は、ガイドベーン操作機構のガイドリングの穴に弱点ピンの大径部がメガネリンクの穴に弱点ピンの小径部が挿入された弱点ピンの引き抜きを行う弱点ピン引き抜き装置において、前記弱点ピンの折損検出用貫通孔に挿通され前記弱点ピンを保持して前記ガイドリング側及び前記メガネリンク側に突出して配置された全ネジと、前記ガイドリング側の前記全ネジを貫通する貫通孔を底部に有し開口部側が前記ガイドリングの表面に接触するカップ部材と、前記全ネジの前記メガネリンク側の端部に螺着され前記弱点ピンの小径部を係止するための係止部と、前記ガイドリング側の前記全ネジに螺挿されたとき前記カップ部材が前記ガイドリングの表面に接触する接触面が支点となり前記係止部が前記弱点ピンの小径部を押圧して前記全ネジを前記ガイドリングの外側に引き抜き前記弱点ピンを前記ガイドリング及び前記メガネリンクから引き抜くための螺挿ナットとを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明に係る弱点ピン挿入装置は、ガイドベーン操作機構のガイドリングの穴に弱点ピンの大径部をメガネリンクの穴に弱点ピンの小径部を挿入する弱点ピン挿入装置において、前記弱点ピンの折損検出用貫通孔に挿通され前記弱点ピンを保持して前記ガイドリング側及び前記メガネリンク側に突出して配置された全ネジと、前記メガネリンク側の前記全ネジを貫通する貫通孔を底部に有し開口部側が前記メガネリンクの表面に接触するカップ部材と、前記全ネジの前記メガネリンク側の端部に螺着され前記カップ部材の底部を係止するための係止部と、前記ガイドリング側の前記全ネジに螺挿されたとき前記カップ部材が前記メガネリンクの表面に接触する接触面が支点となり前記弱点ピンの大径側を押圧して
前記全ネジを前記ガイドリング側に移動させ前記弱点ピンを前記ガイドリング及び前記メガネリンクに挿入するための螺挿ナットとを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明に係る弱点ピン引き抜き装置は、ガイドベーン操作機構のガイドリングの穴に残存する折損弱点ピン大径部の引き抜きを行う弱点ピン引き抜き装置において、前記折損弱点ピン大径部の折損部の反対側の径が大きく前記折損部側の径が小さい異径ネジと、前記異径ネジの大径ネジと小径ネジとの間に設けられ前記折損弱点ピン大径部の折損検出用貫通孔に前記小径ネジを挿通して前記折損弱点ピン大径部を保持したときに前記折損弱点ピン大径部に接触して支持する平金具と、前記大径ネジを貫通する貫通孔を底部に有し開口部側が前記ガイドリングの表面に接触するカップ部材と、前記小径ネジの端部に螺着され前記折損弱点ピン大径部の折損部の周辺部を係止するための凹型係止部と、前記異径ネジの大径ネジに螺挿されたとき前記カップ部材が前記ガイドリングの表面に接触する接触面が支点となり前記凹型係止部が前記折損弱点ピン大径部の折損部の周辺部を押圧して前記異径ネジを前記ガイドリングの外側に引き抜き前記折損弱点ピン大径部を前記ガイドリングから引き抜くための螺挿ナットとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、螺挿ナットを全ネジに螺挿させ、カップ部材がガイドリングの表面に接触する接触面が支点となり係止部が弱点ピンの小径部を押圧して弱点ピンをガイドリング及びメガネリンクから引き抜くので、弱点ピン大径部とガイドリングの穴とが固着し手の力だけでは弱点ピンを引き抜けない場合であっても容易に弱点ピンを引き抜ける。
【0014】
請求項2の発明によれば、全ネジは弱点ピンの折損検出用貫通孔に挿通され弱点ピンを保持してガイドリング側及びメガネリンク側に突出して配置されるので、ガイドリング及びメガネリンクの芯出しが容易に行える。また、螺挿ナットを全ネジに螺挿させ、カップ部材がメガネリンクの表面に接触する接触面が支点となり弱点ピンの大径側を押圧して弱点ピンをガイドリング及びメガネリンクに挿入するので、弱点ピンとそれぞれの穴との嵌め合いが固め(渋め)であっても容易に弱点ピンを挿入できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、異径ネジの小径ネジの端部に凹型係止部を螺着し、折損弱点ピン大径部の折損部の周辺部を係止するので、損傷弱点ピン大径部の損傷面に発生しているバリを避けて折損弱点ピン大径部を掛止できる。螺挿ナットを異径ネジの大径ネジに螺挿させ、カップ部材がガイドリングの表面に接触する接触面が支点となり折損弱点ピン大径部をガイドリングから引き抜くので、損傷弱点ピン大径部の損傷面にバリが発生していても容易に損傷弱点ピン大径部を引き抜ける。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置の説明図であり、
図1(a)は本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置の構成要素の説明図、
図1(b)は本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置をガイドベーン操作機構のガイドリング及びメガネリンクの連結部に挿入されている弱点ピンに適用した場合の概略側面図である。
【0018】
この本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置は、ガイドベーン操作機構のガイドリング及びメガネリンクの連結部に挿入されている弱点ピンの引き抜きを行うものであり、
図1(a)に示すように、全ネジ11、カップ部材12、係止部13、螺挿ナット14から構成される。
【0019】
図1(b)に示すように、ガイドベーン操作機構のガイドリング15の穴に弱点ピン16の大径部16Aがメガネリンク17の穴に弱点ピン16の小径部16Bが挿入されている。本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置は、ガイドリング15及びメガネリンク17の連結部に挿入されている弱点ピン16、すなわち、ガイドリング15の穴に挿入されている弱点ピン16の大径部16A及びメガネリンク17の穴に挿入されている弱点ピン16の小径部16Bの引き抜きを行うものである。
【0020】
弱点ピン引き抜き装置の全ネジ11は、弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿通されて配置される。全ネジ11が挿通される折損検出用貫通孔は、弱点ピン16の中央部に貫通して設けられた折損検出用検出器を挿入するための貫通孔である。これにより、全ネジ11は弱点ピン16を保持してガイドリング15側からメガネリンク17側に突出して配置される。そして、カップ部材12は、ガイドリング15側の全ネジ11を貫通する貫通孔を底部に有し、開口部側がガイドリング15の表面に接触するように配置される。また、係止部13は、全ネジ11のメガネリンク17側の端部に螺着され、弱点ピン16の小径部16Bを係止する。
【0021】
螺挿ナット14は、ガイドリング15側の全ネジ11上を回転して全ネジ11に螺挿され、螺挿ナット14がガイドリング15側の全ネジ11に螺挿されたとき、カップ部材12がガイドリング15の表面に接触する接触面が支点となり、係止部13が弱点ピン16の小径部16Bを押圧して全ネジ11をガイドリング15の外側に引き抜く。これに伴い、弱点ピン16はガイドリング15及びメガネリンク17から引き抜かれる。なお、螺挿ナット14を反対方向に回転したときは螺挿ナット14は全ネジ11から螺脱される。
【0022】
図2及び
図3は、本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置にてガイドリング15及びメガネリンク17から弱点ピン16を引き抜く手順の説明図であり、
図2は前半手順の説明図、
図3は後半手順の説明図である。
図2(a)に示すように、ガイドベーン操作機構のガイドリング15の穴に弱点ピン16の大径部16Aがメガネリンク17の穴に弱点ピン16の小径部16Bが挿入されている。弱点ピン16には、折損検出用検出器を挿入するための折損検出用貫通孔が設けられている。
図2(a)の状態から、弱点ピン16の引き抜きを行うにあたっては、ガイドリング15の弱点ピン16の止めネジ18を外し、
図2(b)に示すように、全ネジ11を弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿入する。これにより、ガイドリング15側(
図2(b)の左側)及びメガネリンク17側(
図2(b)の右側)の双方に全ネジ11の端部が突出した状態となる。
【0023】
次に、
図2(c)に示すように、ガイドリング15側の全ネジ11にカップ部材12を取り付けるとともに、メガネリンク17側の全ネジ11の端部に係止部13を螺着する。カップ部材12はガイドリング15側の底部の貫通孔に挿通されて全ネジ11に取り付けられ、カップ部材12の開口部側がガイドリング15の表面に接触するように配置される。係止部13は、例えば六角ナットであり弱点ピン16の小径部16Bの表面に接触する位置まで全ネジ11にねじ込まれ全ネジ11の端部に螺着される。そして、ガイドリング15側の全ネジ11の端部に螺挿ナット14を回動自在に取り付ける。螺挿ナット14は、例えばTナットや蝶ナットなどである。
【0024】
この状態で、
図2(d)に示すように、螺挿ナット14を回動させる。カップ部材12とガイドリング15との接触面が支点となって螺挿ナット14の回動に伴い、全ネジ11がガイドリング15側に移動する。全ネジ11のガイドリング15側の移動に伴い、メガネリンク17側の係止部13が弱点ピン16をガイドリング15側に押し出す。
【0025】
さらに、螺挿ナット14を回動させると、
図3(a)に示すように、弱点ピン16はカップ部材12内に入る。弱点ピン16がカップ部材12内に入ると、
図3(b)に示すように、全ネジ11をガイドリング15及びメガネリンク17から引き抜く。引き抜いた全ネジ11は、
図3(c)に示すように、弱点ピン16が挿入されたままであり、カップ部材12、係止部13、螺挿ナット14も取り付けられたままである。そこで、全ネジ11から、カップ部材12、係止部13、螺挿ナット14を取り除き、最後に、弱点ピン16に挿通している全ネジ11を取り除き、弱点ピン16を取り出す。これにより、
図3(d)に示すように、弱点ピン16がガイドリング15及びメガネリンク17から引き抜かれた状態となる。
【0026】
本発明の第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置によれば、ガイドリング15側の全ネジ11を貫通してカップ部材12の開口部がガイドリング15の表面に接触するようにカップ部材12を配置し、全ネジ11のメガネリンク17側の端部に係止部13を螺着し、弱点ピン16の小径部16Bを係止する。そして、ガイドリング15側の全ネジ11に螺挿ナット14を螺挿させる。これにより、カップ部材12のガイドリング15の表面に接触する接触面が支点となり、係止部13が弱点ピン16の小径部16bを押圧して弱点ピン16をガイドリング15及びメガネリンク17から引き抜く。従って、弱点ピン大径部16Aとガイドリング17の穴とが固着し手の力だけでは弱点ピン16を引き抜けない場合であっても容易に弱点ピン16を引き抜ける。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態に係る弱点ピン挿入装置について説明する。この本発明の第2実施形態に係る弱点ピン挿入装置は、ガイドベーン操作機構のガイドリングの穴に弱点ピンの大径部をメガネリンクの穴に弱点ピンの小径部を挿入するものである。弱点ピン挿入装置の構成要素は、
図1(a)に示した弱点ピン引き抜き装置の構成要素と同じであり、これらの構成要素のうち、カップ部材12をメガネリンク17側に配置する点が異なるだけである。
【0028】
図4及び
図5は、本発明の第2実施形態に係る弱点ピン挿入装置にてガイドリング15及びメガネリンク17に弱点ピン16を挿入する手順の説明図であり、
図4は前半手順の説明図、
図5は後半手順の説明図である。
【0029】
図4(a)に示すように、ガイドベーン操作機構のガイドリング15の穴及びメガネリンク17の穴には弱点ピン16が挿入されていない状態から、弱点ピン16を挿入するにあたっては、
図4(b)に示すように、全ネジ11に弱点ピン16を挿通し、弱点ピン16を挿通した全ネジ11を弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿通する。これにより、ガイドリング15及びメガネリンク17の一部に弱点ピン16が位置し、ガイドリング15側(
図4(b)の左側)及びメガネリンク17側(
図4(b)の右側)の双方に全ネジ11の端部が突出した状態となる。
【0030】
次に、
図4(c)に示すように、メガネリンク17側の全ネジ11にカップ部材12を取り付けるとともに、メガネリンク17側の全ネジ11の端部に係止部13を螺着する。カップ部材12はメガネリンク17側の底部の貫通孔に挿通されて全ネジ11に取り付けられ、カップ部材12の開口部側がメガネリンク17の表面に接触するように配置される。係止部13は、カップ部材12の底部の表面に接触する位置まで全ネジ11にねじ込まれ全ネジ11の端部に螺着される。そして、ガイドリング15側の全ネジ11の端部に、螺挿ナット14が弱点ピンの大径部16Aの表面に位置するまで螺挿ナット14を累進させ回動自在に取り付ける。
【0031】
この状態で、
図4(d)に示すように、螺挿ナット14を回動させる。これにより、螺挿ナット14がガイドリング15及びメガネリンク17内に弱点ピン16の大径部16Aを押し込み、カップ部材12とメガネリンク17との接触面が支点となって螺挿ナット14の回動に伴い、全ネジ11がガイドリング15側に移動する。
【0032】
さらに、螺挿ナット14を回動させると、
図5(a)に示すように、弱点ピン16の大径部16Aはガイドリング15の穴に入り、弱点ピン16の小径部16Bはメガネリンク17の穴に入る。この状態で、
図5(b)に示すように、全ネジ11から螺挿ナット14を取り除き、さらに、
図5(c)に示すように、全ネジ11から、カップ部材12及び係止部13を取り除く。さらに、弱点ピン16に挿通している全ネジ11を取り除くと、
図5(d)に示すように、ガイドリング15及びメガネリンク17内に弱点ピン16が挿入された状態となる。最後に、ガイドリング15の弱点ピン16の止めネジ18を取り付ける。
【0033】
本発明の第2実施形態に係る弱点ピン挿入装置によれば、全ネジ11は弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿通され、弱点ピン16を保持してガイドリング15側及びメガネリンク17側に突出して配置されるので、ガイドリング15及びメガネリンク17の芯出しが容易に行える。
【0034】
また、カップ部材12をメガネリンク17側の全ネジ11を貫通してカップ部材12の開口部がメガネリンク17の表面に接触するように配置し、全ネジ11のメガネリンク17側の端部に係止部13を螺着し弱点ピン16の小径部16Bを係止する。そして、ガイドリング15側の全ネジ11に螺挿ナット14を螺挿させ、カップ部材12がメガネリンク17の表面に接触する接触面が支点となり、弱点ピン16の大径側16Aを押圧して弱点ピン16をガイドリング15及びメガネリンク17に挿入するので、弱点ピン16とそれぞれの穴との嵌め合いが固め(渋め)であっても容易に弱点ピン16を挿入できる。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置について説明する。
図6は本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置の説明図であり、
図6(a)は本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置の構成要素の説明図、
図6(b)は本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置をガイドベーン操作機構のガイドリング及びメガネリンクの連結部に挿入されている弱点ピンに適用した場合の概略側面図である。
【0036】
この第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置は、
図1に示した第1実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置に対し、全ネジ11に代えて異径ネジ19、係止部13に代えて凹型係止部20を設け、追加で平金具21を設けたものである。そして、ガイドリング15の穴に挿入されている弱点ピン16の大径部16A及びメガネリンク17の穴に挿入されている弱点ピン16の小径部16Bに代えて、ガイドリング15の穴に残存する折損弱点ピン大径部の引き抜きを行うものである。
図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0037】
図6(a)に示すように、本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置は、異径ネジ19、カップ部材12、凹型係止部20、螺挿ナット14、平金具21から構成される。異径ネジ19は大径ネジ19Aと小径ネジ19Bとからなり、
図6(b)に示すように、ガイドリング15の穴に残存している折損弱点ピン大径部16A1の折損部側に小径ネジ19Bが位置し、折損弱点ピン大径部16A1の折損部の反対側に大径ネジ19Aが位置するように配置される。すなわち、異径ネジ19は、小径ネジ19Bが折損弱点ピン大径部16A1の折損検出用貫通孔に挿通されて配置される。小径ネジ19Bを折損検出用貫通孔に挿通させるようにしたのは、折損検出用貫通孔への挿通をし易くするためである。すなわち、折損弱点ピン大径部16A1の折損部に発生しているバリにより折損検出用貫通孔が狭くなっていることがあるので、折損部にバリが発生している場合であっても折損検出用貫通孔への挿通をし易くするためである。
【0038】
異径ネジ19の大径ネジ19Aと小径ネジ19Bとの間に設けられた平金具21は、小径ネジ19Bが折損検出用貫通孔に挿通されたとき、折損弱点ピン大径部16A1の表面に接触して折損弱点ピン大径部16A1を支持する。
【0039】
これにより、異径ネジ19は折損弱点ピン大径部16A1を保持して両側に突出して配置される。そして、カップ部材12は、開口部側がガイドリング15の表面に接触するように配置される。
【0040】
また、凹型係止部20は、異径ネジ19の小径ネジ19Bの端部に螺着され、折損弱点ピン大径部16A1の折損部の周辺部を係止する。凹型係止部20により、折損弱点ピン大径部16A1の折損部の周辺部を係止するようにしたのは、折損弱点ピン大径部16A1の折損部のバリに接触するのを防止するためである。
【0041】
螺挿ナット14は、ガイドリング15側の異径ネジ19の大径ネジ19A上を回転して大径ネジ19Aに螺挿され、反対方向に回転したときは螺脱される。螺挿ナット14がガイドリング15側の大径ネジ19Aに螺挿されたとき、カップ部材12がガイドリング15の表面に接触する接触面が支点となり、凹型係止部20の周辺部が折損弱点ピン大径部16A1を押圧して大径ネジ19Aをガイドリング15の外側に引き抜く。これに伴い、折損弱点ピン大径部16A1はガイドリング15から引き抜かれる。
【0042】
図7は、ガイドリング15の穴に折損弱点ピン大径部16A1が残存する状態発生の説明図であり、
図7(a)は弱点ピン16が損傷した状態を示す概略側面図、
図7(b)はガイドリング15とメガネリンク17とを離脱し損傷弱点ピン大径部16A1がガイドリング15に取り残され、弱点ピン小径部16Bがメガネリンク17に残存する状態を示す概略側面図である。
【0043】
図7(a)に示すように、ガイドリング15の穴に配置された弱点ピン折損大径部16A1とメガネリンク17の穴に配置された弱点ピン小径部16Bとが折損すると、その損傷部にき裂ができ、弱点ピン16は損傷弱点ピン大径部16A1と弱点ピン小径部16Bとに分断される。そこで、
図7(b)に示すように、ガイドリング15からメガネリンク17を離脱すると、損傷弱点ピン大径部16A1がガイドリング15に取り残され、弱点ピン小径部16Bはメガネリンク17に取り残されることになる。メガネリンク17に取り残された弱点ピン小径部16Bは、メガネリンク17の穴と弱点ピン小径部16Bとの間の隙間に余裕があるので、ハンマーやプライヤーで容易に取り除くことができる。
【0044】
一方、ガイドリング15の穴に残存した折損弱点ピン大径部16A1は、折損弱点ピン大径部16A1とガイドリング15の嵌合面に強い捻回力が働き弱点ピン16A1とガイドリング15の穴とが固着していることから、ハンマーやプライヤーで容易に取り除くことが難しい。そこで、この折損弱点ピン大径部16A1の引き抜きは、本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置で引き抜く。
【0045】
図8及び
図9は、本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置にてガイドリング15から折損弱点ピン大径部16A1を引き抜く手順の説明図であり、
図8は前半手順の説明図、
図9は後半手順の説明図である。
図8(a)に示すように、ガイドベーン操作機構のガイドリング15の穴に折損弱点ピン大径部16A1が残存している。
図8(a)の状態から、折損弱点ピン大径部16A1の引き抜きを行うにあたっては、ガイドリング15の弱点ピン16の止めネジ18を外し、
図8(b)に示すように、異径ネジ19を弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿入する。これにより、ガイドリング15の双方に異径ネジ19の端部が突出した状態となる。
図8(b)では図の左側に異径ネジ19の大径ネジ19Aが突出し、左側に異径ネジ19の小径ネジ19Bが突出した状態を示している。そして、異径ネジ19の大径ネジ19Aと小径ネジ19Bとの間に平金具21を設ける。これにより、平金具21は、折損弱点ピン大径部16A1の表面に接触して折損弱点ピン大径部16A1を支持する。
【0046】
次に、
図8(c)に示すように、異径ネジ19の大径ネジ19Aにカップ部材12を取り付けるとともに、異径ネジ19の小径ネジ19Bの端部に凹型係止部20を螺着する。
カップ部材12は底部の貫通孔に挿通されて異径ネジ19の大径ネジ19Aに取り付けられ、カップ部材12の開口部側がガイドリング15の表面に接触するように配置される。凹型係止部20は、折損弱点ピン大径部16A1の損傷部の表面に接触する位置まで異径ネジ19の小径ネジ19Bにねじ込まれ小径ネジ19Bの端部に螺着される。そして、異径ネジ19の大径ネジ19Aの端部に螺挿ナット14を回動自在に取り付ける。
【0047】
この状態で、
図8(d)に示すように、螺挿ナット14を回動させる。カップ部材12とガイドリング15との接触面が支点となって螺挿ナット14の回動に伴い、異径ネジ19が図の左側に移動すると、凹型係止部20が折損弱点ピン大径部16A1を異径ネジ19の大径ネジ19A側に押し出す。
【0048】
さらに、螺挿ナット14を回動させると、
図9(a)に示すように、折損弱点ピン大径部16A1はカップ部材12内に入る。折損弱点ピン大径部16A1がカップ部材12内に入ると、
図9(b)に示すように、異径ネジ19をガイドリング15から引き抜く。引き抜いた異径ネジ19は、
図9(c)に示すように、折損弱点ピン大径部16A1が挿入されたままであり、カップ部材12、平金具21、凹側係止部20、螺挿ナット14も取り付けられたままである。そこで、異径ネジ19から、平金具21、凹側係止部20、螺挿ナット14を取り除き、最後に、折損弱点ピン大径部16A1に挿通している異径ネジ19を取り除き、折損弱点ピン大径部16A1を取り出す。これにより、
図9(d)に示すように、折損弱点ピン大径部16A1がガイドリング15から抜かれた状態となる。
【0049】
本発明の第3実施形態に係る弱点ピン引き抜き装置によれば、異径ネジ19を貫通してカップ部材12の開口部がガイドリング15の表面に接触するようにカップ部材12を配置し、異径ネジ19の小径ネジ19Bの端部に凹型係止部20を螺着し、折損弱点ピン大径部16A1の損傷部の周辺部を係止する。従って、損傷弱点ピン大径部19A1の損傷面に発生しているバリを避けて折損弱点ピン大径部19A1を掛止できる。螺挿ナット14を異径ネジ19の大径ネジ19Aに螺挿させ、カップ部材12がガイドリング15の表面に接触する接触面が支点となり、折損弱点ピン大径部19A1をガイドリング15から引き抜くので、損傷弱点ピン大径部19A1の損傷面にバリが発生していても容易に損傷弱点ピン大径部19A1を引き抜ける。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】全ネジ11は弱点ピン16の折損検出用貫通孔に挿通され、弱点ピン16を保持してガイドリング15側及びメガネリンク17側に突出して配置され、カップ部材12は開口部側がガイドリング15の表面に接触するように全ネジ11に取り付けられ、全ネジのメガネリンク17側の端部には弱点ピン16の小径部16Bを係止する係止部13が螺着され、螺挿ナット14はガイドリング側の全ネジ11に螺挿されたとき、カップ部材12がガイドリング15の表面に接触する接触面が支点となり、係止部13が弱点ピン16の小径部16Bを押圧して全ネジ11をガイドリング15の外側に引き抜き、弱点ピン11をガイドリング15及びメガネリンク17から引き抜く。