(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技領域902に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技領域902に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、左右方向(幅方向)とは
図1の左右方向を、上下方向とは
図1の上下方向をいうものとする。
【0010】
まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内するための経路を構築する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置(図示省略)を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0014】
本実施形態にかかる遊技機1は誘導部材10を備える。以下、
図1〜
図4を参照して当該誘導部材10について詳細に説明する。
図1に示すように、誘導部材10は遊技領域902内に設けられている。遊技領域902内に進入した遊技球は、当該誘導部材10に接触する可能性がある。誘導部材10に接触した遊技球は、誘導部材10によって所定方向に誘導される。本実施形態における誘導部材10は、合成樹脂材料で一体成形されたものである。
【0015】
誘導部材10は、上記ガイドレール903に近接して配置される。ガイドレール903の内側(右側)の領域が遊技領域902となるため、誘導部材10は遊技領域902における左側に配置されているということである。具体的には、誘導部材10は、ガイドレール903側(左側)の面である隣接面11を含み、当該隣接面11がガイドレール903の内側(右側)の面に近接するようにして配置されている。本実施形態におけるガイドレール903は、板状の金属板が湾曲した状態で配置されてなるものであり、遊技領域902側が湾曲した面903aとなっているため、隣接面11は大まかに見てガイドレール903の湾曲した面903aに沿うような形状を有する。
【0016】
より具体的には、隣接面11は次のような形状を有する。本実施形態における誘導部材10は、ガイドレール903における最も左側に膨らんだ部分から下方に向かうにつれて中央側に変位する部分に近接して設置される。したがって、隣接面11はその上端よりも下端の方が中央側に位置するような形状を有する。そして、隣接面11は、その上端とガイドレール903との間の距離(最短距離)L1よりも、その下端とガイドレール903との間の距離(最短距離)L2の方が大きくなるように設定される(
図2参照)。つまり、従来であれば、ガイドレール903の誘導部材10側の面と、誘導部材10のガイドレール903側の面は、完全に平行(両者の間の距離が一定)となるように設計されるのが通常であったところ、本実施形態では、隣接面11の上端とガイドレール903の距離L1より隣接面11の下端とガイドレール903の距離L2が大きくなるようにしている。つまり、対向する面同士が完全に平行ではない。
【0017】
このように、本実施形態では、隣接面11の下端とガイドレール903の距離L2が大きいため、誘導部材10の下端側はガイドレール903との干渉しない範囲が従来に比して大きくなる。したがって、ガイドレール903の形状や取付位置等に誤差等が生じたとしても、両者が干渉し、誘導部材10を配置することができなくなってしまう事態の発生を抑制することが可能である。また、従来であれば、ガイドレール903の湾曲形状に合わせて誘導部材10(隣接面11)を成形しなければならなかった、すなわちガイドレール903によって誘導部材10(隣接面11)の形状に制約がかかってしまっていたところ、本実施形態では、隣接面11の下端とガイドレール903の距離L2が大きいため当該制約を低減することができ、同形状の誘導部材10を他の種類の遊技機(他機種)に適用することができる蓋然性が高まる。つまり、誘導部材10の汎用性が広がる。
【0018】
具体的には、
図3(a)に示すように、本実施形態における誘導部材10は、他機種において、隣接面11の下端をガイドレール903xに近づけて配置することもできる。つまり、隣接面11の上端とガイドレール903xの距離に比して下端とガイドレール903xの距離が大きいため、その分、隣接面11の下端をガイドレール903xに近づけて配置する((a)に示す姿勢よりも右側に回動させた状態で配置する)こともできる。この場合、隣接面11の下端をガイドレール903xに近づけたことによって、隣接面11の上端とガイドレール903xの距離が大きくなってしまう場合には、当該間に遊技釘等の別の部材を設け、隣接面11とガイドレール903xの間に遊技球が入り込まないようにしてもよい。
【0019】
また、本実施形態におけるガイドレール903において隣接面11が対向する部分は所定の曲率を有する部分であるが、他機種のガイドレール903yにおける当該所定の曲率とは異なる曲率を有する部分に隣接面11を対向させて誘導部材10を配置できる蓋然性が高まる。本実施形態では、ガイドレール903における湾曲(曲率)が比較的小さい(曲がりが緩やかな)部分、具体的には左側に最も膨らんだ部分に比して湾曲が小さい部分に隣接面11を対向させて誘導部材10を配置している。かかる誘導部材10を、例えば
図3(b)に示すように、他機種のガイドレール903yにおける湾曲(曲率)が比較的大きい(曲がりが急な)部分、例えば左側に最も膨らんだ部分に対向させて配置できる可能性がある。
【0020】
仮に、本実施形態における誘導部材10の隣接面11を、ガイドレール903に沿うような形状とした場合、ガイドレール903における湾曲(曲率)が比較的小さい部分に対向して配置されるから、隣接面11の全体的な湾曲の度合い(後述する凸部111を考慮しない隣接面11の全体的な湾曲の度合い)も小さくなる。そのため、他機種において、ガイドレール903yの湾曲が大きい部分に対向して配置することができなくなってしまう蓋然性が高まる。本実施形態における誘導部材10の隣接面11は、ガイドレール903における湾曲(曲率)が比較的小さい部分に対向して配置されているものの、隣接面11の下端とガイドレールの距離が大きく、全体的な湾曲の度合いが大きい。そのため、
図3(b)に示すように、他機種のガイドレール903yにおける湾曲(曲率)が比較的大きい部分、例えば左側に最も膨らんだ部分に対向させて配置することができる蓋然性が高まる。
【0021】
なお、本実施形態における遊技機1において、複数の誘導部材30が設けられる場合、一部の誘導部材30を
図1、
図2、
図3(a)、
図4(a)に示すように設け、その他の誘導部材30を
図3(b)、
図4(b)に示すように設けた構成としてもよい。このようにすれば、従来に比して必要となる誘導部材の種類を少なくすることが可能である(誘導部材30の共通化を図ることができる)。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、少なくとも一つの誘導部材30が、隣接面11の上端とガイドレール903との間の距離(最短距離)L1よりも、隣接面11の下端とガイドレール903との間の距離(最短距離)L2の方が大きくなるように設定されたものである。
【0022】
また、本実施形態では、隣接面11の上端とガイドレール903の間の距離L1を小さくしているため、誘導部材10とガイドレール903の間に塵等が進入してしまうのを抑制することが可能である。つまり、隣接面11の下端とガイドレール903の距離L2を大きくすることで誘導部材10の取付の自由度(フレキシビリティ)を向上させつつ、隣接面11の上端とガイドレール903の間の距離L1を小さく保つことで、誘導部材10とガイドレール903の間に塵等が進入してしまうのを抑制する。隣接面11の上端とガイドレール903が接触する(距離L1が0である)構成としてもよい。
【0023】
一方、本実施形態における隣接面11は、上端から下端に向かって次第にガイドレール903から離れていく形状ではない。つまり、上から下に向かって誘導部材10(隣接面11)とガイドレール903の間の隙間が次第に大きくなっていく(単調に増加していく)形状ではない。具体的には、上端(一端)から下端(他端)にかけて、ガイドレール903との距離が近づいていく部分を一または複数有する。
【0024】
本実施形態における隣接面11は、ガイドレール903側に凸となる複数の凸部111が繋げられたような形状を有する(
図2等参照)。かかる形状の場合、凸の頂点よりも上側の部分が、上端(一端)から下端(他端)にかけてガイドレール903との距離が近づいていく部分111aに相当する。
【0025】
隣接面11の一端(本実施形態では上端)から他端(本実施形態では上端)に向かって誘導部材10(隣接面11)とガイドレール903の間の隙間が次第に大きくなっていく構成とすると、(両者の間の隙間はその長さ方向に均等であると思うのが通常であるため)誘導部材10やガイドレール903の位置がずれているのではないか、成形不良ではないか、といった製造上の不良が生じているかのような印象を与えてしまうおそれがある。また、意匠性の面でも印象が良くない。これに対し、本実施形態の隣接面11のように、ガイドレール903との距離が近づいていく部分111aが一または複数個所設けられていれば、隣接面11が一つの装飾態様として認識される。つまり、製造上の不良が生じているのではないかという印象を与えたり、意匠性が低いというような印象を与えたりする(意匠性の低下)のを抑制することが可能である。特に、本実施形態の隣接面11のように、ガイドレール903側に凸となる複数の凸部111が繋げられたような形状とすれば、意図した装飾態様であることが明確になるため、上記のような印象を与えてしまうのを抑制することが可能である。
【0026】
なお、上記のような印象を与えるおそれが低いのであれば、隣接面11の形状を、上端から下端に向かって次第にガイドレール903から離れていく形状としてもよい。
【0027】
また、本実施形態の隣接面11における凸部111は、図示されるように外縁が滑らかな曲線(曲面)であるものであるが、ガイドレール903側に突出し、一部がガイドレール903との距離が近づいていく部分111aとなるのであれば、その形状は適宜変更可能である。例えば、先端が尖った凸部111としてもよい。
【0028】
以下、誘導部材10のその他の構成について説明する。
図5、
図6等に示すように、誘導部材10は、取付部12、球接触部13および支持部14を有する。取付部12は、遊技盤90に密着する板状の部分であって、誘導部材10の上側および下側に設けられている。上側の取付部12および下側の取付部12には、誘導部材10をボルト等によって遊技盤90に固定するための貫通孔である取付孔121が形成されている。
【0029】
球接触部13は、その上面に流下する遊技球が接触(衝突)する部分である。具体的には、本実施形態における球接触部13は、上側の取付部12の下側縁より前方に突出する板状の部分である。当該球接触部13の上面は、遊技機1全体の幅方向中央側に向かって次第に低くなるよう傾斜している。そのため、球接触部13の上面に到達した遊技球は、当該面によって幅方向中央に向かうよう誘導される。球接触部13の幅の長さ(遊技機1全体でいえば前後方向の長さ)は遊技球一個分の直径より大きく、二個分の直径よりも小さい。
【0030】
支持部14は、球接触部13を下側から支持する部分である。支持部14は、球接触部13の下側の面の側縁よりも内側の箇所で当該球接触部13に繋がっている。具体的には、球接触部13と支持部14の繋がった箇所は、球接触部13の幅方向外側(遊技機1全体でいえば前後方向外側)の側縁よりも内側に存在する。球接触部13に繋がる支持部14の上端縁は、球接触部13の長手方向(遊技機1全体でいえば幅方向)に沿う形状を有する。本実施形態では、球接触部13の幅方向略中央(すなわち、誘導部材10が遊技球を誘導する方向に直交する方向における略中央)に支持部14の上端縁が位置するように両部が繋がっている(
図5(b)等参照)。
【0031】
上述したように、球接触部13は、流下する遊技球が衝突する部分である。そのため、遊技中には連続的に流下する遊技球が衝突することによる衝撃が加わる。本実施形態では、球接触部13は、その下方から支持部14によって支えられているため、当該衝撃によって破損してしまうおそれが低くなる。つまり、支持部14の上端縁が球接触部13の幅方向外側に繋がっている構成であると、遊技球が衝突しやすい球接触部13の幅方向中央側の耐衝撃性に劣ることとなる。本実施形態は、それを抑制するため、誘導部材10の構造を、球接触部13の下側の面の幅方向外側の側縁よりも内側の箇所で支持部14が球接触部13に繋がった構造としたものである。本実施形態のように、球接触部13の幅方向略中央に支持部14が繋がっていれば、当該抑制する効果が高い。
【0032】
また、本実施形態における支持部14は、下から上に向かうにつれて後方に変位する湾曲した部分(湾曲部141)を有する(
図5(b)、
図6等参照)。具体的には、球接触部13の幅方向(遊技機1全体でいう前後方向)でみて、支持部14の下端は球接触部13の幅方向外側(遊技機1全体でいえば前側)の側縁寄りに位置しており、そこから上端に向かうにつれて球接触部13の幅方向内側に向かうように一部が湾曲している。湾曲部141の上端からはそのまま真っすぐ上方に延びて、球接触部13の下面に到達する。
【0033】
このように、支持部14が湾曲部141を有する構造とすれば、当該湾曲部141がクッション機能を発揮するから、球接触部13に発生する遊技球衝突時の衝撃を吸収する性能を高めることが可能である。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態におけるガイドレール903は、本発明における「遊技部材」の一例である。ガイドレール903以外の遊技部材(遊技機1を構成する部材であればどのようなものであってもよい)に対し、誘導部材10が近接して配置される構成にも同様の技術思想が適用可能である。例えば、遊技領域902とその外側の領域を区画する区画部材に近接して誘導部材10が配置される構成にも同様の技術思想が適用可能である(この場合、区画部材が本発明における遊技部材に相当することとなる)。
【0036】
また、上記実施形態における誘導部材10が設けられる位置はあくまで一例である。また、誘導部材10の遊技盤90に対する取付構造もあくまで一例である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1の発明にかかる遊技機は、湾曲した面を有する遊技部材と、遊技領域内に進入した遊技球が接触可能な位置に設けられる誘導部材と、を備え、前記誘導部材は、前記遊技部材の湾曲した面に近接する隣接面を有し、前記隣接面の一端と前記遊技部材の距離よりも、前記隣接面の他端と前記遊技部材の距離が大きくなるように設定されていることを特徴とする。
手段2の発明にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、前記遊技部材は、遊技球を前記遊技領域に誘導する経路を構築するガイドレールであることを特徴とする。
手段3の発明にかかる遊技機は、手段1または手段2に記載の遊技機において、前記隣接面は、前記一端から前記他端にかけて、前記遊技部材との距離が近づいていく部分を一または複数個所含むことを特徴とする。
手段4の発明にかかる遊技機は、手段3に記載の遊技機において、前記隣接面は、前記遊技部材側に凸となる複数の凸部が連続的に繋げられた形状を有することを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段5の発明にかかる遊技機は、手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機において、前記誘導部材は、上側の面に流下する遊技球が接触する球接触部と、前記球接触部を下側から支持する支持部と、を有し、前記支持部は、前記球接触部の下側の面の側縁よりも内側の箇所で当該球接触部に繋がっていることを特徴とする。
手段6の発明にかかる遊技機は、手段5に記載の遊技機において、前記球接触部は、遊技球を所定の方向に誘導する形状を有し、前記支持部は、前記球接触部の下側の面における前記所定の方向に直交する方向における略中央で当該球接触部に繋がっていることを特徴とする。
手段7の発明にかかる遊技機は、手段5または手段6に記載の遊技機において、前記区画部の少なく前記支持部は、湾曲した部分を有することを特徴とする。
手段1および手段2に記載の発明では、誘導部材の隣接面の一端と遊技部材(ガイドレール)の距離よりも、隣接面の他端と遊技部材(ガイドレール)の距離が大きくなるように設定されている。したがって、遊技部材(ガイドレール)の形状や取付位置等に誤差等が生じたとしても、両者が干渉し、誘導部材を配置することができなくなってしまう事態の発生を抑制することが可能である。
手段3に記載の発明のように、隣接面が、一端から他端にかけて、遊技部材との距離が近づいていく部分を一または複数個所含むようにすれば、一端から他端にかけて遊技部材の距離が離れていく部分しかない構成とした場合と比較し、誘導部材と遊技部材の隙間(均等でない隙間)が目立たなくなり、遊技機の意匠性の低下を抑制することが可能である。例えば、手段4に記載の発明のように、遊技部材側に凸となる複数の凸部が連続的に繋げられた形状を有する隣接面とすれば、意匠性の低下を抑制する効果が高い。
手段5に記載の発明のように、球接触部の下側の面の側縁よりも内側の箇所で当該球接触部に支持部が繋がっている構成とすれば、球接触部に衝突する遊技球の衝撃を支持部も負担することとなるから、衝突の衝撃によって球接触部が損傷してしまうのを抑制することが可能である。手段6に記載の発明のように、球接触部の下側の面における略中央で当該球接触部に支持部が繋がっている構成とすれば、球接触部の損傷を抑制する効果が高い。
手段7に記載の発明のように、湾曲した部分を有する支持部とすれば、支持部による衝撃を吸収する性能を高めることが可能である。