特許第6582221号(P6582221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6582221ずれ補正システム、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6582221
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ずれ補正システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/22 20140101AFI20190919BHJP
   A63F 13/44 20140101ALI20190919BHJP
   A63F 13/814 20140101ALI20190919BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20190919BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20190919BHJP
【FI】
   A63F13/22
   A63F13/44
   A63F13/814
   A63F13/54
   A63F13/35
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-165767(P2018-165767)
(22)【出願日】2018年9月5日
【審査請求日】2018年10月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】荒川 恵莉
(72)【発明者】
【氏名】金城 貴光
(72)【発明者】
【氏名】清水 一樹
(72)【発明者】
【氏名】清野 秀行
(72)【発明者】
【氏名】藤松 信也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昇悟
【審査官】 西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5062655(JP,B2)
【文献】 特開2013−202338(JP,A)
【文献】 特開2018−61776(JP,A)
【文献】 特開2002−936(JP,A)
【文献】 太鼓の達人 音と判定の調整について,[online], 2018年7月3日, [2019年6月27日検索],URL,https://web.archive.org/web/20180703181438/https://taikops4-ses.taiko-ch.net/about/control.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F9/24,13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを補正対象として当該補正対象のずれを補正情報に従って補正する補正手段を備えたずれ補正システムであって、
前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段と、
複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する複数の補正対象のそれぞれに関する補正対象ごとの補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段と、
抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段と、を備えたずれ補正システム。
【請求項2】
前記ゲーム機とネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、前記取得手段、前記抽出手段及び前記提供手段を有するサーバ装置を備え、
前記ゲームプログラムの少なくとも一部が前記サーバ装置から前記ゲーム機に提供され、
前記提供手段は、前記ゲームプログラムの少なくとも一部の提供と関連して、前記補正情報を前記補正手段に提供する、請求項1に記載のずれ補正システム。
【請求項3】
前記環境特定情報は、前記ゲーム機のハードウェア環境又はソフトウェア環境のすくなくとも一方を特定する、請求項1又は2に記載のずれ補正システム。
【請求項4】
ゲーム機にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段を備えたずれ補正システムであって、
前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段と、
複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段と、
抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段と、
前記ゲーム機のユーザの補正傾向を判別する判別手段と、を備え、
前記補正手段は、前記補正傾向及び前記補正情報に従って前記時間的なずれを補正する、ずれ補正システム。
【請求項5】
ゲーム機にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを補正対象として当該補正対象のずれを補正情報に従って補正する補正手段を備えたずれ補正システムに用いられるコンピュータプログラムであって、前記ずれ補正システムのコンピュータを、
前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段と、
複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する複数の補正対象のそれぞれに関する補正対象ごとの補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段と、
抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段として機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを補正するずれ補正システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャリブレーション音の出力タイミングと、操作検出手段によって検出された利用者の操作タイミングとのずれに基づいて、時間軸を調整するゲーム装置が開示されている。このゲーム装置は、調整された時間軸を用いてゲーム演算を行うことにより、音の出力タイミングのずれをなくしている。
【0003】
特許文献2には、プレイヤに所定の補正値設定操作を実行させ、その実行結果に基づいて補正値を設定するゲームシステムが開示されている。このゲームシステムは、プレイヤが行った操作のタイミングを操作検出手段が検出している。そして、当該操作のタイミングと、基準データにより規定された操作のタイミングとのずれ量を、補正値に応じて補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5062655号公報
【特許文献2】特許第3547374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
時間的なずれの補正の傾向は、ゲームプログラムが実行される環境毎に類似することがある。しかし、特許文献1及び2に記載の発明では、個々のゲーム機において、ユーザに所定の較正操作をさせてずれを補正している。そのため、環境に応じた傾向が、補正の際に考慮されていない。そこで、本発明は、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るずれ補正システムは、ゲーム機にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段を備えたずれ補正システムであって、前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段と、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段と、抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、ゲーム機にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段を備えたずれ補正システムに用いられるコンピュータプログラムであって、前記ずれ補正システムのコンピュータを、前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段と、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段と、抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ずれ補正システムの概略ブロック図。
図2】第1実施形態のゲーム機の概略ブロック図。
図3】ゲーム画面を示す概略図。
図4】時間的なずれを説明する概略図。
図5】補正情報のダウンロードを説明する概略シーケンス図。
図6】補正処理のフローチャート。
図7】提供処理のフローチャート。
図8】変形形態のサーバ装置の概略ブロック図。
図9】第2実施形態のずれ補正システムの概略ブロック図。
図10】補正情報のダウンロードを説明する概略シーケンス図。
図11】補正処理のフローチャート。
図12】第3実施形態のずれ補正システムの概略ブロック図。
図13】ゲームプログラムのダウンロードを説明する概略シーケンス図。
図14】補正処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、ずれ補正システム100を説明する概略ブロック図である。このずれ補正システム100は、複数のゲーム機150に接続されるサーバ装置110を備えている。そして、ユーザは、ゲーム機150を使用して、ゲームプログラムに従ったゲームを実行できる。また、ゲーム機150は、無線LANのアクセスポイント又は基地局(不図示)を介して、インターネット及び携帯電話回線網等を含むネットワークNに接続される。
【0011】
ゲーム機150は、一例として、スマートフォン、フィーチャー・フォン、又は携帯電話である。さらに、ゲーム機150は、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯ゲーム機、据置ゲーム機、又はアーケードゲーム機であってもよい。以下では、特に言及した場合を除いて、ゲーム機150がタッチパネルを備えたスマートフォンである場合について説明する。
【0012】
サーバ装置110は、音楽ゲーム等を提供するために、ネットワークNを介して複数のゲーム機150に接続されている。これらのゲーム機150では、機種固有のハードウェア構成、採用しているOS(Operating System)、及びインストールされているアプリケーションが複数種類存在する。そのため、サーバ装置110は、複数種類のゲーム機150に対応した各種アプリケーションプログラムを配信できる。具体的に、サーバ装置110は、アプリケーションの一例としてのゲームプログラム、並びに音データ及び画像データ等の各種データを配信する配信ユニット120を備えている。ユーザは、サーバ装置110からゲーム機150にダウンロードしたゲームプログラムを実行し、例えば、音楽ゲームをプレイすることができる。代替的に、外部サーバ等を介してゲームプログラムをダウンロードしてもよい。
【0013】
さらに、サーバ装置110は、CPU(不図示)等を含む制御ユニット130と、制御データを一時的に記録するRAM(Random Access Memory)、制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)及び/又はHDD(Hard Disk Drive)を含む記録ユニット140とを有している。この制御ユニット130は、不図示のバスを介して各ユニットと接続されていて、記録ユニット140に記録されたプログラム等に基づいて、サーバ装置110全体を制御するコンピュータとして機能する。
【0014】
制御ユニット130は、記録ユニット140に記録された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行できる。さらに、制御ユニット130には、所定の指令又はデータを入力するキーボード又は各種スイッチを含む入力部、及び装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示部が、有線接続又は無線接続されている。なお、制御ユニット130は、CD(Compact Disc)、又はインターネット上のサーバ等の外部記録媒体に記録された制御プログラムに従って制御を行うこともできる。
【0015】
ずれ補正システム100は、ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを補正する。ここで、時間的なずれは、ゲームプログラムが実行される環境に起因して生じることがある。例えば、時間的なずれは、ゲーム機150における、タッチパネルの応答性、若しくはOS、GPU(Graphics Processing Unit)、又はSPU(Sound Processing Unit)の処理速度に起因して機種毎に生じる。このような機種毎の時間的なずれの傾向は、予め求めることができる。そして、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報(例えば、時間のずれ量)とを関連付けたデータを検索することによって、特定された環境のタイプから機種毎の補正情報を取得できる
【0016】
サーバ装置110の記録ユニット140は、ゲーム機150において実行されるゲームプログラム141を記録している。このゲームプログラム141は、ゲームにおいて使用される画像データ及び音データ等の各種データを含んでいる。さらに、記録ユニット140は、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データ142を記録している。代替的に、補正データ142は、ネットワークNに接続された外部サーバ等の外部記録装置に記録されていてもよい。補正データ142は、一例として、環境のタイプとしての機種名と、補正情報としての時間のずれ量とが関連付けて記録されているテーブルである。そして、補正情報を予め計測によって求めて補正データ142を準備しておけば、検索によってゲーム機150の補正情報を取得できる。
【0017】
サーバ装置110の制御ユニット130は、ゲーム機150においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段の一例としての情報取得部131を備えている。情報取得部131は、ゲーム機150から環境特定情報を取得する。一例として、この環境特定情報は、機種名、OS名(バージョン情報含む)、ID、会員No、所有者名、電話番号、性別、年齢、製造メーカ名、累積プレイ時間、ゲーム機150の使用期間、メモリ使用量、室温及びプレイ地域等のゲーム機150の使用環境、及び使用状態を含む。
【0018】
環境のタイプは、一例として、ゲーム機150の機種等のハードウェア環境、ゲーム機150のOS等のソフトウェア環境、ユーザの累積プレイ時間(熟練度)、年齢、及び性別等のユーザ環境、並びに室温及びプレイ地域等のゲーム機150のプレイ環境が含まれる。例えば、機種毎のずれ量と比較して、同一機種のゲーム機150毎のずれ量が小さい場合には、機種毎のずれ量を計測するのみで、多数のゲーム機150の補正情報を取得できる。
【0019】
制御ユニット130は、記録された補正データ142から、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段の一例としての補正情報抽出部132を有している。また、制御ユニット130は、抽出された補正情報を後述する補正手段に提供する提供手段の一例としての補正情報提供部133を有している。
【0020】
補正情報抽出部132は、情報取得部131から環境特定情報を受け取り、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を、記録ユニット140に記録された補正データ142から検索して抽出する。そして、補正情報抽出部132は、抽出した補正情報を補正情報提供部133に受け渡す。続いて、補正情報提供部133は、ネットワークNを介して接続されたゲーム機150に補正情報を提供する。代替的に、補正情報抽出部132は、外部記録装置に記録された補正データから補正情報を検索して抽出してもよい。
【0021】
図2は、ずれ補正システム100のゲーム機150を説明する概略ブロック図である。ゲーム機150は、CPUを含む制御部160と、操作部及び表示部として機能するタッチパネル171、スピーカ172及び振動モータ173を含む入出力部170とを有している。さらに、ゲーム機150は、RAM及びROMを含む記録部180と、サーバ装置110と通信する通信インターフェース181と、ユーザのゲーム操作を検出する検出部182とを有している。なお、ゲーム機150は、タッチパネル171に代えて、液晶ディスプレイ等の表示部と、コントローラ又はキーボード等の操作部とを有していてもよい。
【0022】
制御部160は、記録部180に記録された制御プログラム等に基づいて、ゲーム機150を制御するコンピュータとして機能する。この制御部160は、バスを介して各部と接続されており、各種処理についても統括的に制御する。また、制御部160は、記録部180に記録された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別などの処理動作を実行できる。さらに、制御部160は、記録部180に記録されたゲームプログラムを実行することにより、種々のゲームを実施する。具体的に、制御部160の音制御部161(例.SPU)は、記録部180に記録された音データを用いて、音を出力するようにスピーカ172を制御する。また、制御部160の画像制御部162(例.GPU)は、記録部180に記録された画像データを用いて、画像を出力するようにタッチパネル171を制御する。
【0023】
記録部180は、サーバ装置110からダウンロードしたゲームプログラム(補正情報を含む)を記録している。このゲームプログラムは、サーバ装置110からネットワークNを介してダウンロードでき、一例として、音楽ゲームを実行するためのプログラムである。ゲームプログラムには、音楽ゲームを実行する際に参照される各種のデータが含まれている。例えば、ゲームプログラムには、音データ(楽曲データ及び効果音データを含む)及び画像データ(演出画像データを含む)が含まれている。
【0024】
音データは、ゲームの対象となる楽曲をスピーカ172から再生出力させるために用いられる。ゲームプログラムには、ユーザが選択可能な複数の楽曲に対応した音データが含まれている。効果音データは、音楽ゲームのプレイ中の効果音、例えば、ユーザの操作に応じてスピーカ172から出力される効果音を再生出力するために用いられる。画像データは、ゲーム画面に表示される背景画像、各種のオブジェクト、演出画像、及びアイコンをタッチパネル171に表示させるために用いられる。
【0025】
制御部160は、ユーザに各オブジェクトの操作、例えば、指定したタイミングでのオブジェクトのタップを案内する案内部163を有している。案内部163は、音楽の再生に同期させてユーザに操作を案内する案内画像を表示させるとともに、ユーザの操作に応じて効果音等を発生させる。なお、ゲームプログラムには、音楽ゲームを実行するために必要な各種のプログラムモジュールが含まれる。そして、制御部160には、各種のモジュールに対応した論理的装置が生成されるが、説明の便宜上、一部のモジュールの図示を省略している。
【0026】
図3は、タッチパネル171が表示する音楽ゲームの操作画面の一例を示している。操作画面には、図3中左右方向に複数の区切線101で区分された複数本のレーン102が設定される。この区切線101は、実際の操作画面には表示されないが、説明の便宜上仮想的に二点鎖線で図示している。また、図3中下側領域には、複数のレーン102と交差する方向に延びる操作領域104が表示されている。レーン102には、ユーザが操作すべきタイミングを案内する案内画像103として、音符の形を示すオブジェクトが表示されている。この案内画像103はレーン102の上端部に表示された後に、楽曲の進行に伴って図3中矢印で示す下方向Dに向かって移動する。そして、案内画像103は、ユーザがタップすべきタイミングに、操作領域104に到達する。
【0027】
このようにして、案内部163は、案内画像103を操作領域104に導くことによって、ユーザに操作すべきタイミングを案内する。そして、ユーザは、案内画像103が操作領域104と重なり合ったタイミングで、案内画像103をタップすれば高い評価を受けられる。また、ユーザが案内画像103をタップすると、案内部163はスピーカ172に効果音を出力させる。これによりユーザは、自らの操作入力を聴覚的に認識することができる。さらに、案内部163は、ユーザの操作に応じて、振動モータ173に触覚フィードバックを出力させてもよい。この触覚フィードバックは、振動、触感及び熱を含み、一例として、図2には振動を出力する振動モータ173が示されている。
【0028】
図2に戻り、制御部160は、ユーザの操作を評価し、かつ評価結果に応じてゲームを制御する評価部164を有している。また、制御部160は、ユーザの操作入力を検出し、かつ検出信号を評価部164に入力する検出部182を有している。一例として、検出部182は、静電容量方式のタッチパネル171に表示された操作領域104をユーザがタッチしたタイミングを検出し、検出信号を評価部164に入力する。そして、評価部164は、案内部163が案内画像103を操作領域104に到達させた案内タイミングと、検出部182が検出した検出タイミングとの比較に基づいて、ユーザのプレイを評価する。
【0029】
評価部164は、案内タイミングと検出タイミングとの差に基づいて、ユーザのプレイを複数段階で評価できる。一例として、評価部164は、案内タイミングと検出タイミングとの差が、所定の範囲内(例えば、通常のユーザが操作入力できる時間内)にある場合は、ユーザが正しいタイミングで操作したと評価する。そして、評価部164は、タッチパネル171に「GOOD」等の演出画像105(図3)を表示させる。一方、評価部164は、案内タイミングと検出タイミングとの差が、上記所定の範囲外にある場合は、ユーザが誤ったタイミングで操作したと評価する。そして、評価部164は、タッチパネル171に「BAD」等の演出画像105を表示させる。評価部164は、評価に応じた音声を効果音の一種としてスピーカ172から再生出力させてもよい。
【0030】
このようなゲームをプレイする場合に、ゲームの出力及び入力に時間的なずれが生じることがある。例えば、音出力タイミング、画像出力タイミング及び操作入力タイミングのうちいずれか2つの間に時間的なずれが生じることがある。この時間的なずれについて、ゲームの出力及び入力を同期された時間軸に沿って示す図4を参照して説明する。ここで、ゲームの出力には、音出力、画像出力、及び触覚出力が含まれる。また、ゲームの入力には、タッチパネル171及びコントローラ等の操作部を介したユーザの操作入力、及び検出部182による検出信号の入力が含まれる。また、時間的なずれとは、互いに同期されるべき時間軸における出力タイミング同士の間、又は互いに同期されるべき時間軸における出力タイミングと入力タイミングの間において生じるずれを意味する。
【0031】
ゲーム機150の制御部160がゲームの開始を各部に指示した場合に、実際にスピーカ172から音が再生出力される音出力タイミングと、実際にタッチパネル171に画像が表示される画像出力タイミングとの間に時間的なずれが生じることがある。例えば、ゲーム開始タイミングである仮想基準時T0にゲームを開始し、タッチパネル171に画像が出力される場合を説明する。この場合に、仮想基準時T0より前の音出力タイミング−T1に音出力が開始されかつ仮想基準時T0に画像出力が開始されると、画像出力タイミングに対して負の方向の先行ずれ(=−T1−T0)が生じる。また、仮想基準時T0より後の音出力タイミング+T1に音出力が開始されかつ仮想基準時T0に画像出力が開始されると、画像出力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=T1−T0)が生じる。
【0032】
反対に、仮想基準時T0より前の画像出力タイミング−T2に画像出力が開始されかつ仮想基準時T0に音出力が開始されると、音出力タイミングに対して負の方向の先行ずれ(=−T2−T0)が生じる。また、仮想基準時T0より後の画像出力タイミング+T2に画像出力が開始されかつ仮想基準時T0に音出力が開始されると、音出力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=T2−T0)が生じる。なお、仮想基準時T0より前において、画像出力タイミング−T2に画像出力が開始されかつ音出力タイミング−T1に音出力が開始されると、音出力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=−T2−(−T1))が生じる。また、仮想基準時T0より後において、画像出力タイミング+T2に画像出力が開始されかつ音出力タイミング+T1に音出力が開始されると、音出力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=T2−T1)が生じる。
【0033】
さらに、ユーザの操作入力タイミング、すなわち検出部182が操作入力を検出した検出タイミングと、評価部164が演出画像105を表示させる演出画像出力タイミング(この演出画像出力タイミングは、画像出力タイミングに含まれる)との間にも、機器毎に固有の時間的なずれが生じることがある。例えば、静電容量方式のタッチパネル171の場合、ユーザの指が実際にタッチパネル171に接触する前に、静電容量が変化して検出部182が操作入力を検出してしまうことがある。また、検出部182の反応速度が遅い場合には、ユーザの指が実際にタッチパネル171に接触したタイミングに対して、検出タイミングが遅延することがある。
【0034】
図4において、操作入力タイミングである仮想基準時T0’において、操作領域104に到達した案内画像103をユーザが実際にタップしたとする。ここで、仮想基準時T0’より後の演出画像出力タイミング+T4に演出画像105が表示されると、操作入力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=T4−T0’)が生じる。一方、仮想基準時T0’より前の演出画像出力タイミング−T4に演出画像105が表示されると、操作入力タイミングに対して負の方向の先行ずれ(=−T4−T0’)が生じる。
【0035】
同様に、ユーザの操作入力タイミングと、評価部164が効果音を再生出力させる効果音出力タイミング(この効果音出力タイミングは、音出力タイミングに含まれる)との間にも、機器毎に固有の時間的なずれが生じることがある。例えば、仮想基準時T0’において、操作領域104に到達した案内画像103を実際にユーザがタップしたとする。ここで、仮想基準時T0’より後の効果音出力タイミング+T5に効果音が再生出力されると、操作入力タイミングに対して正の方向の遅延ずれ(=T5−T0’)が生じる。一方、仮想基準時T0’より前の効果音出力タイミング−T5に効果音が再生出力されると、操作入力タイミングに対して負の方向の先行ずれ(=−T5−T0’)が生じる。
【0036】
ユーザが上述した時間的なずれを違和感として感じると、ゲームに対する興味を失ってしまう。そこで、ずれ補正システム100のゲーム機150は、時間的なずれを補正するための補正手段を備えている。これにより、ユーザのゲームに対する興味を保つことができる。具体的には、図2に示すようにゲーム機150の制御部160が、補正情報に従って時間的なずれを補正する補正手段として補正部166を有している。この補正部166は、サーバ装置110の補正情報提供部133から補正データ142の補正情報をダウンロードする補正処理部167を有している。
【0037】
一例として、補正情報を含む補正データ142は下記表1のようなテーブルであり、補正情報は一方の出力又は入力に対する他方の出力又は入力の時間的なずれ量である。この補正情報は、例えば、機種毎にゲームプログラムをインストールして、実際にゲームプログラムを実行した場合に生じる時間的なずれを計測することによって予め求めることができる。これにより、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。なお、正(プラス)のずれ量は一方のデータに対して他方が遅延していることを意味し、負(マイナス)のずれ量は一方のデータに対して他方が先行していることを意味する。また、時間的なずれ量は、基準となるタイミングとの間の時間差に限られず、その時間差に対応した任意のパラメータであってもよい。例えば、音楽を構成する各小節を所定の拍数(例えば32拍)に分割し、所望のタイミングに対する拍数の差をずれ量としてもよい。
【0038】
【表1】
【0039】
補正処理部167は、ダウンロードしたずれ量に従ってゲームの入力又は出力のタイミングを補正する。例えば、機種名が「ゲーム機A」である場合、ゲーム機150の制御部160は「ゲーム機A」の機種名を環境特定情報としてサーバ装置110の情報取得部131に提供する。サーバ装置110の補正情報抽出部132は、情報取得部131から機種名を受け取り、補正データ142の中から「ゲーム機A」に対応するずれ量を検索する。そして、補正情報抽出部132は、検索したずれ量を補正情報として抽出する。
【0040】
続いて、補正情報提供部133は、補正情報抽出部132からずれ量を受け取り、ゲーム機150の補正処理部167に提供する。具体的に、補正情報提供部133は、ゲームプログラムの少なくとも一部の提供と関連して、補正情報を補正処理部167に提供する。例えば、補正情報提供部133は、ゲームプログラムの少なくとも一部である追加データがダウンロードされる間に、又はその前後に補正情報を補正処理部167に提供する。この追加データは、ゲームプログラムの実行に必要な、音データ、画像データ、及びシステムデータ等の更新データを含んでいる。
【0041】
代替的に、補正情報提供部133は、ゲームプログラムの少なくとも一部である初回プログラムがダウンロードされる間に、又はその前後に補正情報を補正処理部167に提供してもよい。この場合、ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムの初回ダウンロード要求と共に、又は当該初回ダウンロード要求の前後に、環境特定情報をサーバ装置110に送信する。また、補正情報提供部133は、ゲーム機150からの補正情報のダウンロード要求に応じて、補正情報を補正処理部167に提供してもよい。この場合、制御部160は、当該ダウンロード要求と共に、又は当該ダウンロード要求の前後に、環境特定情報をサーバ装置110に送信する。
【0042】
図5は、補正処理部167による補正情報のダウンロードをより詳細に説明する概略シーケンス図である。まず、ユーザが、ゲーム機150のタッチパネル171を操作して、ゲームプログラムのダウンロードを開始する操作を行う。例えば、ユーザは、タッチパネル171に表示されたダウンロードサイトを閲覧し、複数のゲームプログラムの中から所望の1つを選択し、ダウンロード開始ボタンをタップする。すると、ゲーム機150の制御部160は、ゲームプログラムの初回ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置110に送信する。サーバ装置110の制御ユニット130は、初回ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの初回プログラムを、ネットワークNを介してゲーム機150に送信する。ここで、初回プログラムがゲーム機150にプリインストールされている場合には、初回プログラムのダウンロードを省略することができる。
【0043】
初回プログラムをダウンロードした後に、ユーザは、ゲーム機150のタッチパネル171を操作して、初回プログラムのインストールを開始する。ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムをインストールして、インストールが完了すると初回プログラムを起動する。そして、制御部160は、初回プログラムに従って、必要な追加データの追加ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置110に送信する。さらに、制御部160は、ネットワークNを介して環境特定情報をサーバ装置110の情報取得部131に送信する。代替的に、制御部160は、初回ダウンロード要求を送信するときに、環境特定情報を情報取得部131に送信してもよい。
【0044】
制御部160は、ユーザに対して環境特定情報を送信する許可を求めてもよい。例えば、制御部160は、タッチパネル171に環境特定情報を送信するための送信ボタンを表示させてもよい。この場合、制御部160は、ユーザが送信ボタンをタップしたときに、環境特定情報を情報取得部131に送信する。
【0045】
サーバ装置110の補正情報抽出部132は、情報取得部131から環境特定情報を受け取る。そして、補正情報抽出部132は、記録ユニット140に記録されている補正データ142から、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を検索して抽出する。また、サーバ装置110の制御ユニット130は、追加ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録された追加データを、ネットワークNを介してゲーム機150に送信する。同時に、サーバ装置110の補正情報提供部133は、補正情報抽出部132から補正情報を受け取り、ゲーム機150の補正処理部167に送信する。このように、追加データ送信の際に補正情報を送信することによって、初回プログラム送信の際の通信負荷を低減することができる。
【0046】
ゲーム機150の制御部160は、追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。さらに、制御部160の補正処理部167は、ダウンロードした補正情報に従って補正の値を設定する。例えば、補正処理部167は、ダウンロードした画像出力に対する音出力のずれ量「プラス1秒」に従ってゲームの音出力タイミングを補正する。すなわち、補正処理部167は、音出力タイミングが1秒遅延するように音出力の開始タイミングを変更する。もしくは、補正処理部167は、音出力に対する画像出力のずれ量「マイナス1秒」に従ってゲームの画像出力タイミングを補正する。すなわち、補正処理部167は、画像出力タイミングが1秒先行するように画像出力の開始タイミングを変更する。これにより、音出力タイミング及び画像出力タイミングの開始タイミングが一致するため、時間的なずれが解消される。
【0047】
同様に、補正処理部167は、操作入力に対する演出画像出力の時間的なずれ、及び操作入力に対する効果音出力の時間的なずれを補正してもよい。なお、補正データ142が単一の補正情報、例えば、画像出力に対する音出力のずれ量又は音出力に対する画像出力のずれ量のいずれか一方のみを含んでいてもよい。また、補正情報提供部133は、補正データ142が含む複数種類の補正情報のうち、単一の補正情報、例えば、画像出力に対する音出力のずれ量又は音出力に対する画像出力のずれ量のいずれか一方のみを補正処理部167に提供してもよい。これらの場合、他の時間的なずれは、補正の対象から除外される。
【0048】
図6は、補正処理部167による補正処理をより詳細に説明する概略フローチャートである。図6に示すように、ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムがインストールされてゲームプログラムが起動されると、記録部180から環境特定情報を読み出して取得する(S101)。この記録部180には、環境特定情報が予め記録されている。代替的に、制御部160は、ユーザが入力した環境特定情報を取得してもよい。そして、制御部160は、取得した環境特定情報を、追加ダウンロード要求と共にサーバ装置110の情報取得部131に送信する(S102)。代替的に、制御部160は、追加ダウンロード要求の前後に環境特定情報のみを情報取得部131に送信してもよい。
【0049】
ゲーム機150の補正処理部167は、サーバ装置110の提供処理(図7)が終了し、補正情報提供部133から補正情報をダウンロードするまで待機する。補正情報をダウンロードすると、補正処理部167は、ダウンロードした補正情報に従って補正の値を設定する。すなわち、補正処理部167は、補正情報が示す補正の値が負の値であるか正の値であるかを判断する(S103)。補正の値が負の値である場合、補正処理部167は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを早く設定して(S104)補正処理を終了する。補正の値が正の値である場合、補正処理部167は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを遅く設定して(S105)補正処理を終了する。補正の値が負の値及び正の値のいずれでもない場合、すなわち補正の値がゼロである場合、補正処理部167は、時間的なずれがないため開始タイミングを補正しない。代替的に、補正処理部167は、追加データをダウンロードした後の所定の時点、例えば、アップデート完了時に補正の値を設定してもよい。
【0050】
図7は、サーバ装置110の制御ユニット130が補正情報を提供する提供処理をより詳細に説明する概略フローチャートである。図7に示すように、情報取得部131は、ゲーム機150から取得した環境特定情報を補正情報抽出部132に受け渡す(S201)。そして、補正情報抽出部132は、環境特定情報に基づいて環境のタイプを特定し、記録ユニット140に記録されている補正データ142を検索する(S202)。これにより、補正情報抽出部132は、特定した環境のタイプに対応する補正情報を抽出する。
【0051】
そして、補正情報抽出部132は、抽出した補正情報を補正情報提供部133に受け渡す(S203)。ここで、補正情報が抽出されなかった場合、補正情報抽出部132は、時間のずれがゼロであるとする情報を補正情報として補正情報提供部133に受け渡してもよい。補正情報提供部133は、補正情報抽出部132から補正情報を受け取り、ゲーム機150の補正処理部167に送信する(S204)。これにより、提供処理が終了し、補正処理部167が補正処理を再開する。
【0052】
以上説明した第1実施形態のずれ補正システム100によれば、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。そのため、時間的なずれを補正することにより、ユーザの違和感を抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0053】
第1実施形態のサーバ装置110に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御ユニット130を、環境特定情報を取得する取得手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット130を、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データ142から、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット130を、抽出された補正情報をゲーム機150の補正手段に提供する提供手段として機能させる。
【0054】
第1実施形態のゲーム機150に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御部160を、ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、ゲーム機150においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を送信する手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報をサーバ装置110から取得する手段として機能させる。
【0055】
[変形形態]
ずれ補正システム100は、ユーザが補正の値を設定する手動設定モードを有していてもよい。例えば、手動設定モードが開始されると、ゲーム機150の補正処理部167は、タッチパネル171に設定操作画面を表示させる。ユーザは、設定操作画面に表示されたテンキー、増加ボタン、又は減少ボタン等のソフトキーを操作して時間的なずれの補正の値を増減させる。例えば、ユーザが補正の値を0.1秒増加させると、補正処理部167は入力又は出力の開始タイミングを0.1秒遅く設定する。そして、ユーザが補正の値を0.1秒減少させると、補正処理部167は入力又は出力の開始タイミングを0.1秒早く設定する。
【0056】
また、ずれ補正システム100は、ユーザが手動で時間的なずれを補正する手動較正モードを有していてもよい。例えば、手動較正モードが開始されると、ゲーム機150の補正処理部167は、計時を開始するとともに、操作画面のレーン102(図3)の上端部から操作領域104に向かって案内画像103を移動させる。ユーザが操作領域104に到達した案内画像103をタップすると、補正処理部167は計時開始から操作入力を検出するまでの経過時間を記録部180に記録する。そして、補正処理部167は、当初データにおいて手動較正モードの開始から案内画像103が操作領域104に到達するまでの予定時間と、記録した経過時間とを比較する。比較の結果、両者の間に時間的なずれがある場合、補正処理部167はこのずれを補正の値として設定し、時間的なずれを補正する。また、手動較正モードが開始されると、所定のリズムを刻むビート音がスピーカ172から出力され、ユーザはこのビート音に合わせて操作領域104をタップするように、手動較正モードを構成してもよい。
【0057】
さらに、図8に示すように、ずれ補正システム100は、ゲーム機150のユーザの補正傾向を判別する判別手段として機能する判別部134を備えていてもよい。この判別部134は、サーバ装置110の制御ユニット130に設けられ、ユーザの補正傾向を判別しかつ記録ユニット140に記録する。ユーザが手動で時間のずれを補正したとき、ゲーム機150は補正の値をサーバ装置110に送信し、判別部134は受信した補正の値を記録ユニット140に記録する。一例として判別部134は、記録した補正の値を統計的手法によって処理する。判別部134は、この処理によって得られた代表値(例えば平均値、最頻値、又は中心値)を、補正傾向として記録ユニット140に記録する。そして、判別部134は、補正情報提供部133が補正情報を提供する際に、補正傾向を補正処理部167に提供する。
【0058】
補正処理部167は、判別部134から取得した補正傾向と、補正情報提供部133から受け取った補正情報とに従って時間的なずれを補正する。例えば、補正処理部167は、補正情報が示す補正の値を補正傾向と比較する。そして、補正処理部167は、両者の差を補正の値として設定する。代替的に、補正処理部167は、補正情報及び補正傾向のうち、よりずれの値が大きい(絶対値が大きい)値を補正の値として設定してもよい。さらに、補正処理部167は、補正情報が示す補正の値と補正傾向との平均値を補正の値として設定してもよい。補正処理部167が補正傾向及び補正情報に従って補正することにより、ユーザによる補正傾向を反映させることができる。そのため、ユーザの違和感をより抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0059】
この変形形態のサーバ装置110に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御ユニット130を、環境特定情報を取得する取得手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット130を、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データ142から、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット130を、抽出された補正情報をゲーム機150の補正手段に提供する提供手段として機能させる。加えて、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット130を、ゲーム機150のユーザの補正傾向を判別する判別手段として機能させる。
【0060】
この変形形態のゲーム機150に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御部160を、ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、ゲーム機150においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を送信する手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報をサーバ装置110から取得する手段として機能させる。加えて、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、記録部180から読み出した補正傾向と、サーバ装置110の補正情報提供部133から受け取った補正情報とに従って時間的なずれを補正する補正手段として機能させる。
【0061】
[第2実施形態]
図9から図11を参照して第2実施形態に係るずれ補正システム200について説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態において説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0062】
図9に示すように、第2実施形態のずれ補正システム200は、ネットワークNを介して複数のゲーム機150に接続されるサーバ装置210が補正ユニット266を備えている点で、第1実施形態と異なる。一方、第1実施形態と同様に、サーバ装置210の制御ユニット230は、情報取得部131と、補正情報抽出部132と、補正情報提供部133とを有している。制御ユニット230は、不図示のバスを介して各ユニットと接続されており、記録ユニット140に記録されたプログラム等に基づいて、サーバ装置210全体を制御するコンピュータとして機能する。
【0063】
第2実施形態のサーバ装置210は、ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを補正する補正手段の一例として補正ユニット266を備えている。この補正ユニット266は、制御ユニット230の補正情報提供部133から補正情報を受け取る補正処理部267を有している。そして、補正処理部267は、受け取った補正情報に従ってゲームの入力又は出力のタイミングを補正する。
【0064】
図10は、補正処理部267による補正情報の取得をより詳細に説明する概略シーケンス図である。まず、ユーザが、ゲーム機150のタッチパネル171を操作して、ゲームプログラムのダウンロードを開始する操作を行う。すると、ゲーム機150の制御部160は、ゲームプログラムの初回ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置210に送信する。サーバ装置210の制御ユニット230は、初回ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの初回プログラムを、ネットワークNを介してゲーム機150に送信する。
【0065】
初回プログラムをダウンロードした後に、ユーザは、ゲーム機150のタッチパネル171を操作して、初回プログラムのインストールを開始する操作を行う。ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムをインストールして、インストールが完了すると初回プログラムを起動する。そして、制御部160は、初回プログラムに従って、必要な追加データの追加ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置210に送信する。さらに、制御部160は、ネットワークNを介して環境特定情報をサーバ装置210の情報取得部131に送信する。
【0066】
その後、サーバ装置210の補正情報抽出部132は、情報取得部131から環境特定情報を受け取り、記録ユニット140に記録されている補正データ142から、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を検索して抽出する。そして、補正情報提供部133は、補正情報抽出部132から補正情報を受け取り、補正処理部267に受け渡す。また、制御ユニット230は、追加ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの追加データを補正処理部267に受け渡す。
【0067】
そして、補正処理部267は、取得した補正情報に従って、追加データに補正の値を設定して、ゲームにおける出力又は入力のタイミングを補正する。続いて、制御ユニット230は、補正された追加データを補正情報として、ネットワークNを介してゲーム機150に送信する。ゲーム機150の制御部160は、補正された追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。このように、補正された追加データを送信することによって、初回プログラム送信の際の通信負荷を低減することができる。
【0068】
第2実施形態においても、補正情報提供部133は、ゲームプログラムの少なくとも一部の提供と関連して、補正情報を補正処理部267に提供する。例えば、補正情報提供部133は、追加データの追加ダウンロード要求をサーバ装置210が受信した時に、又はその前後に補正情報を補正処理部267に提供する。また、補正情報提供部133は、初回プログラムの初回ダウンロード要求をサーバ装置210が受信した時に、又はその前後に補正情報を補正処理部267に提供してもよい。この場合、ゲーム機150の制御部160は、初回ダウンロード要求と共に、又は当該初回ダウンロード要求の前後に、環境特定情報をサーバ装置210に送信する。代替的に、補正情報提供部133は、ゲーム機150からの補正情報のダウンロード要求に応じて、補正情報を補正処理部267に提供してもよい。この場合、制御部160は、当該ダウンロード要求と共に、又は当該ダウンロード要求の前後に、環境特定情報をサーバ装置210に送信する。
【0069】
図11は、サーバ装置210の補正処理部267による補正処理をより詳細に説明する概略フローチャートである。まず、ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムがインストールされてゲームプログラムが起動されると、記録部180から環境特定情報を読み出して取得する。そして、図11に示すように、制御部160は、取得した環境特定情報を追加ダウンロード要求と共にサーバ装置210の情報取得部131に送信し、情報取得部131は環境特定情報を取得する(S301)。
【0070】
情報取得部131は、取得した環境特定情報を補正情報抽出部132に受け渡す(S302)。そして、補正情報抽出部132は、環境特定情報に基づいて環境のタイプを特定し、記録ユニット140に記録されている補正データ142を検索する(S303)。これにより、補正情報抽出部132は、特定した環境のタイプに対応する補正情報を抽出する。そして、補正情報抽出部132は抽出した補正情報を補正情報提供部133に受け渡し、補正情報提供部133は受け取った補正情報を補正処理部267に受け渡す。また、制御ユニット230は、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの追加データを補正処理部267に受け渡す(S304)。
【0071】
補正処理部267は、追加データ及び補正情報を受け取ると、補正情報に従って追加データに補正の値を設定して、ゲームにおける出力又は入力のタイミングを補正する。すなわち、補正処理部267は、補正情報が示す補正の値が負の値であるか正の値であるかを判断する(S305)。補正の値が負の値である場合、補正処理部267は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを早く設定する(S306)。補正の値が正の値である場合、補正処理部267は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを遅く設定する(S307)。補正の値が負の値及び正の値のいずれでもない場合、すなわち補正の値がゼロである場合、補正処理部267は、時間的なずれがないため開始タイミングを補正しない。
【0072】
その後、補正処理部267は、補正した追加データを補正情報提供部133に受け渡す(S308)。補正情報提供部133は、補正した追加データを受け取り、補正情報としてゲーム機150に送信する(S309)。これにより、補正処理が終了し、ゲーム機150の制御部160はダウンロードした追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。代替的に、ゲーム機150の制御部160は、初回プログラムの初回ダウンロード要求を送信するときに、環境特定情報をサーバ装置210に送信してもよい。この場合、補正処理部267は、補正情報抽出部132が抽出した補正情報に従って初回プログラムに補正の値を設定して、ゲームにおける出力又は入力のタイミングを補正する。そして、補正情報提供部133は、補正した初回プログラムを受け取り、補正情報としてゲーム機150に送信する。
【0073】
第2実施形態において、ゲーム機150は、第1実施形態と同様に補正部166を有していてもよく、補正部166を有していなくともよい。補正部166を有するゲーム機150が補正した追加データを取得した場合、ゲーム機150において補正処理が行われずにアップデートが行われる。
【0074】
以上説明した第2実施形態のずれ補正システム200によれば、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。そのため、時間的なずれを補正することにより、ユーザの違和感を抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0075】
第2実施形態のサーバ装置210に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御ユニット230を、ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット230を、環境特定情報を取得する取得手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット230を、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データ142から、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御ユニット230を、抽出された補正情報をゲーム機150の補正手段に提供する提供手段として機能させる。
【0076】
第2実施形態のゲーム機150に用いられるコンピュータプログラムは、制御部160を、ゲーム機150においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を送信する手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御部160を、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報に従って補正された追加データを、サーバ装置210から取得する手段として機能させる。
【0077】
[変形形態]
補正データ142は、ゲーム機150の記録部180に記録されていてもよい。この場合、ゲーム機150の制御部160は、環境特定情報と共に補正データ142をサーバ装置210の情報取得部131に送信する。情報取得部131は、補正データ142を記録ユニット140に記録するとともに、環境特定情報を補正情報抽出部132に受け渡す。そして、補正情報抽出部132は、記録ユニット140に記録されている補正データ142から、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を検索して抽出する。その後、補正情報提供部133は、補正情報抽出部132から補正情報を受け取り、補正処理部267に受け渡す。
【0078】
そして、サーバ装置210の制御ユニット230は、追加ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの追加データを補正処理部267に受け渡す。続いて、補正処理部267は、取得した補正情報に従って、追加データに補正の値を設定して、ゲームにおける出力又は入力のタイミングを補正する。その後、制御ユニット230は、補正された追加データを、ネットワークNを介してゲーム機150に送信する。ゲーム機150の制御部160は、補正された追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。
【0079】
[第3実施形態]
図12から図14を参照して第3実施形態に係るずれ補正システム300について説明する。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態において説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0080】
図12に示すように、第3実施形態のずれ補正システム300は、サーバ装置110に接続されるゲーム機350の制御部360が情報取得部331と、補正情報抽出部332と、補正情報提供部333とを備えている点で、第1実施形態と異なる。この制御部360は、バスを介して各部と接続されており、記録部180に記録されたプログラム等に基づいて、ゲーム機350全体を制御するコンピュータとして機能する。また、第3実施形態のゲーム機350は、時間的なずれを補正するための補正手段の一例として補正部166を備えている。具体的に、補正部166は、補正情報に従って時間的なずれを補正する補正処理部167を有している。
【0081】
ゲーム機350の記録部180は、ゲーム機350で実行されかつ画像データ及び音データ等の各種データを含むゲームプログラムを記録している。さらに、第3実施形態の記録部180は、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データを記録している。そして、ゲーム機350の制御部360の補正情報提供部333は、記録部180から取得した補正情報を補正処理部167に提供する。
【0082】
具体的に、補正情報提供部333は、ゲームプログラムの少なくとも一部の提供と関連して、補正情報を補正処理部167に提供する。例えば、補正情報提供部333は、初回プログラムがダウンロードされる間に、又はその前後に補正情報を補正処理部167に提供する。この場合、情報取得部331は、環境特定情報を初回プログラムの初回ダウンロード要求と同時に、又は当該初回ダウンロード要求の前後に、補正情報抽出部332に提供する。さらに、補正情報提供部333は、追加データがダウンロードされる間に、又はその前後に補正情報を補正処理部167に提供してもよい。この場合、情報取得部331は、環境特定情報を追加データの追加ダウンロード要求と同時に、又は当該追加ダウンロード要求の前後に、補正情報抽出部332に提供する。
【0083】
図13は、ゲームプログラムのダウンロードをより詳細に説明する概略シーケンス図である。まず、ゲーム機350の制御部360は、ゲームプログラムの初回ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置110に送信する。サーバ装置110の制御ユニット130は、初回ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの初回プログラムを、ネットワークNを介してゲーム機350に送信する。
【0084】
ゲーム機350の制御部360は、初回プログラムをインストールして、インストールが完了すると初回プログラムを起動する。そして、制御部360は、初回プログラムに従って、必要な追加データの追加ダウンロード要求を、ネットワークNを介してサーバ装置110に送信する。サーバ装置110の制御ユニット130は、追加ダウンロード要求を受信すると、記録ユニット140に記録されたゲームプログラムの少なくとも一部である追加データを、ネットワークNを介してゲーム機350に送信する。そして、ゲーム機350の制御部360は、追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。
【0085】
さらに、制御部360は、記録部180から環境特定情報を情報取得部331に受け渡し、補正情報抽出部332は情報取得部331から環境特定情報を受け取る。そして、補正情報抽出部332は、記録部180に記録されている補正データから、環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を検索して抽出する。続いて、補正情報提供部333は、補正情報抽出部332から補正情報を受け取り、補正処理部167に受け渡す。その後、制御部360の補正処理部167は、補正情報提供部333から受け取った補正情報に従って、補正の値を設定する。
【0086】
図14は、ゲーム機350の補正処理部167による補正処理をより詳細に説明する概略フローチャートである。まず、ゲーム機350の制御部360は、サーバ装置110からダウンロードした追加データを用いて初回プログラムをアップデートする。そして、図14に示すように、制御部360は、記録部180から環境特定情報を読み出す(S401)。続いて、制御部360は読み出した環境特定情報を情報取得部331に受け渡し、情報取得部331は取得した環境特定情報を補正情報抽出部332に受け渡す(S402)。次に、補正情報抽出部332は、環境特定情報に基づいて環境のタイプを特定し、記録部180に記録されている補正データを検索する(S403)。これにより、補正情報抽出部332は、特定した環境のタイプに対応する補正情報を抽出する。
【0087】
そして、補正情報抽出部332は抽出した補正情報を補正情報提供部333に受け渡し、補正情報提供部333は補正情報を補正処理部167に受け渡す(S404)。補正処理部167は、補正情報提供部333から補正情報を受け取ると、補正情報に従って補正の値を設定する。代替的に、補正処理部167は、アップデート前に、追加データ又は初回プログラムにおいて補正の値を設定してもよい。また、補正処理部167は、初回プログラムをダウンロードした後に補正の値を設定してもよい。
【0088】
具体的に、補正処理部167は、補正情報が示す補正の値が負の値であるか正の値であるかを判断する(S405)。補正の値が負の値である場合、補正処理部167は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを早く設定して(S406)、補正処理を終了する。補正の値が正の値である場合、補正処理部167は、補正の値に対応する時間だけ入力又は出力の開始タイミングを遅く設定して(S407)、補正処理を終了する。補正の値が負の値及び正の値のいずれでもない場合、すなわち補正の値がゼロである場合、補正処理部167は、時間的なずれがないため開始タイミングを補正しない。
【0089】
以上説明した第3実施形態のずれ補正システム300によれば、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。そのため、時間的なずれを補正することにより、ユーザの違和感を抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0090】
第3実施形態のゲーム機350に用いられるコンピュータプログラムは、コンピュータとしての制御部360を、ゲーム機350にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御部360を、ゲーム機350においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段として機能させる。また、当該コンピュータプログラムは、制御部360を、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段として機能させる。さらに、当該コンピュータプログラムは、制御部360を、抽出された補正情報を補正手段に提供する提供手段として機能させる。
【0091】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0092】
例えば、ずれ補正システム100,200,300は、検出部182が検出信号を評価部164に入力する検出タイミングと、操作入力タイミングとの時間的なずれを補正してもよい。この場合、補正データには、複数の環境のタイプのそれぞれに対応する両者の時間的なずれが記録されている。そして、補正情報抽出部132,332は、この補正データから、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する。一例として、補正情報は、操作入力タイミングと検出タイミングとの時間的なずれの量であり、補正情報提供部133,333は、抽出されたずれの量を補正処理部167,267に提供する。そして、補正処理部167,267は、補正情報に従って補正の値を設定する。これにより、実際にユーザが操作入力をしたタイミングに対する、評価部164に入力された検出タイミングの時間的なずれを補正できる。
【0093】
また、ずれ補正システム100,200,300は、案内画像103が操作領域104に到達する案内タイミング(この案内タイミングは、画像出力タイミングに含まれる)と、検出タイミングとの時間的なずれを補正してもよい。例えば、ユーザが老人である場合に、案内タイミングに対して検出タイミングが一定の傾向で遅れるという、ユーザ固有の時間的なずれが生じることがある。そこで、ずれ補正システム100は、検出タイミングと案内タイミングの時間的なずれの量を含む補正データを用いて、この時間的なずれを補正してもよい。この場合、実際にテストプレイを行って、ユーザの年齢に応じた時間的なずれを計測することによって、予め補正データを作成することができる。なお、検出タイミングと案内タイミングの時間的なずれが、ユーザの年齢以外の環境のタイプに起因する場合には、その環境のタイプと対応する補正情報が関連付けて記録された補正データを用いることができる。
【0094】
さらに、補正データは、補正情報を予め計測することによって作成する他に、ゲーム機150,350における実際の補正の値を収集することによって作成してもよい。例えば、ユーザがゲーム機150,350においてゲームの入力又は出力の時間的なずれを補正した場合に、ゲーム機150,350の補正処理部167は記録部180に補正したずれ量を補正の値として記録する。そして、ゲーム機150,350の制御部160,360は、ゲームプログラムの起動時等に、補正の値を補正情報としてサーバ装置110,210に送信する。サーバ装置110,210の制御ユニット130,230は、環境特定情報によって特定される環境のタイプを、収集した補正情報と関連づけて補正データとして記録ユニット140に記録する。一例として、制御ユニット130,230は、収集した補正の値、又は収集した補正の値の代表値(平均値、最頻値、又は中心値)を補正情報として、補正データを作成する。
【0095】
この場合、環境特定情報は、ゲーム機150,350のユーザを特定する情報であってもよい。また、制御ユニット130,230は、環境特定情報によって特定されるユーザを、補正の値と関連づけて補正データとして記録ユニット140に記録する。これにより、補正処理部167,267は、ユーザ毎の補正傾向及び補正情報に従って時間的なずれを補正できる。そのため、個々のユーザによる補正傾向を反映させることができ、ユーザの違和感をより抑制できる。
【0096】
また、補正データは、補正情報を算出することによって作成してもよい。例えば、環境特定情報によって複数の環境のタイプが特定される場合、補正データは、各環境のタイプに対応する補正情報が示す値の平均値を算出して得た値を補正情報として含んでいてもよい。また、環境特定情報によって複数の環境のタイプが特定される場合、補正データは、各環境のタイプに対応する補正情報が示す値を合計して得た値を補正情報として含んでいてもよい。
【0097】
また、ユーザによる操作入力は、タッチパネル171のタップには限定されない。例えば、銃を模したコントローラを操作するシューティングゲームであって、オブジェクトが操作領域104に到達したタイミングで、タップに代えて、ユーザがコントローラのトリガを操作するシューティングゲームに本発明を適用できる。この場合、ゲーム機150には、コントローラと、スピーカ172内蔵ディスプレイとが有線又は無線接続される。代替的に、ゲーム機150とコントローラとが一体的に構成されていてもよく、スピーカ172とディスプレイとが別体で構成されていてもよい。また、サーバ装置110、210が提供するゲームの種類は、音楽ゲームやシューティングゲームに限定されるものでなく、レースゲームや格闘ゲームなどの各種のゲームであってよい。
【0098】
さらに、第2実施形態において、サーバ装置210の情報取得部131と、補正情報抽出部132と、補正情報提供部133とに代えて、第3実施形態のゲーム機350の情報取得部131と、補正情報抽出部132と、補正情報提供部133とを用いてもよい。この場合、サーバ装置210の補正処理部267は、ゲーム機350の補正情報提供部333から補正情報を取得する。
【0099】
以下、上述した各実施形態及び各変形例から導き出される各種の態様を記載する。なお、各態様の理解を容易にするため、添付図面に図示された参照符号を括弧書きにて付記する。ただし、参照符号は、本発明を図示の形態に限定する意図で付記するものではない。
【0100】
本発明の一例としてのずれ補正システム(100,200,300)は、ゲーム機(150,350)にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段(167,267)を備えたずれ補正システムであって、前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段(131,331)と、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段(132,332)と、抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段(133,333)と、を備える。
【0101】
上記ずれ補正システムによれば、提供された補正情報を用いて、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。このように時間的なずれを補正することにより、ユーザの違和感を抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0102】
また、ずれ補正システム(100,200)は、前記ゲーム機(150)とネットワーク(N)を介して接続されるサーバ装置(110,210)であって、前記取得手段(131)、前記抽出手段(132)及び前記提供手段(133)を有するサーバ装置を備え、前記ゲームプログラムの少なくとも一部が前記サーバ装置から前記ゲーム機に提供され、前記提供手段は、前記ゲームプログラムの少なくとも一部の提供と関連して、前記補正情報を前記補正手段(167,267)に提供する。これにより、通信量が少ないとき、例えば、追加データを送信するときに補正情報を送信することによって、ダウンロードの際の通信負荷を低減することができる。
【0103】
前記環境特定情報は、前記ゲーム機(150,350)のハードウェア環境又はソフトウェア環境のすくなくとも一方を特定する。これにより、機種毎の時間的なずれと比較して、同一機種のゲーム機毎の時間的なずれが小さい場合には、機種毎の補正情報を準備するのみで、多数のゲーム機の補正情報を取得できる。
【0104】
前記ゲーム機(150,350)のユーザの補正傾向を判別する判別手段(168)を備え、前記補正手段(167,267)は、前記補正傾向及び前記補正情報に従って前記時間的なずれを補正する。これにより、ユーザ毎の補正傾向及び補正情報に従って補正できるため、個々のユーザによる補正傾向を反映させることができ、ユーザの違和感をより抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【0105】
本発明の他の例としてのコンピュータプログラムは、ゲーム機(150,350)にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段(167,267)を備えたずれ補正システム(100,200,300)に用いられるコンピュータプログラムであって、前記ずれ補正システムのコンピュータを、前記ゲーム機において前記ゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段(131,331)と、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された前記環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段(132,332)と、抽出された前記補正情報を前記補正手段に提供する提供手段(133,333)として機能させる。
【0106】
上記コンピュータプログラムによれば、提供された補正情報を用いて、環境に応じた補正の傾向を考慮して、ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行できる。このように時間的なずれを補正することにより、ユーザの違和感を抑制して、ゲームに対する興趣を高めることができる。
【符号の説明】
【0107】
100 ずれ補正システム
110 サーバ装置
131 取得手段(情報取得部)
132 抽出手段(補正情報抽出部)
133 提供手段(補正情報提供部)
150 ゲーム機
167 補正手段(補正処理部)
134 判別手段(判別部)
200 ずれ補正システム
210 サーバ装置
267 補正手段(補正処理部)
300 ずれ補正システム
331 取得手段(情報取得部)
332 抽出手段(補正情報抽出部)
333 提供手段(補正情報提供部)
350 ゲーム機
N ネットワーク
【要約】
【課題】ゲームプログラムが実行される環境に応じた補正を合理的に実行する。
【解決手段】ゲーム機150にてゲームプログラムに従って実行されるゲームの入力又は出力の少なくともいずれか一方に発生する時間的なずれを、補正情報に従って補正する補正手段166を備えたずれ補正システム100は、ゲーム機150においてゲームプログラムが実行される環境のタイプを特定する環境特定情報を取得する取得手段131と、複数の環境のタイプのそれぞれと、各環境のタイプに対応する補正情報とが関連付けて記録された補正データから、取得された環境特定情報によって特定される環境のタイプに対応する補正情報を抽出する抽出手段132と、抽出された補正情報を補正手段に提供する提供手段133と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
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図6
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図10
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図14