(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態のパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する)を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が前面枠10Zに覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能となっている。
【0011】
ガラス窓10Wの下方には、上皿26と下皿27とが上下2段に並べて配置されている。パチンコ遊技機10の前面に向かって上皿26の右側方には、上皿26に貯留された遊技球を下皿27に排出する球抜きボタン26Aが備えられている。下皿27の右側方には、図示しない、所謂、ドル箱に遊技球を排出する球排出ボタン27Aが備えられると共に、球貸し状態表示モニタ27B及び球貸し操作ボタン27Cが備えられている。また、下皿27の左側方には、操作ボタン28Aが備えらている。さらに、パチンコ遊技機10の前面のうち、右下角部には操作ノブ28Bが備えられている。操作ノブ28Bを操作すると、上皿26に貯留された遊技球が、順次、遊技領域R1へと弾き出される。
【0012】
遊技領域R1は略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、遊技板表示窓11Wが貫通形成され、遊技板表示窓11Wを通して液晶表示装置24の液晶画面24Gが前方に臨んている。
【0013】
遊技板表示窓11Wの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓11Wに嵌め込まれて遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0014】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、始動入賞口14A,14B、大入賞口15、アウト口16が上から順に並べて配置され、大入賞口15の左右両側にはガイドレール12に沿って複数の一般入賞口20が配置されている。遊技領域R1を流下した遊技球が始動入賞口14A,14Bの何れかに入球すると当否判定が行われて、その当否判定結果が液晶画面24Gにて表示される。そして、当否判定結果が当りになると、複数ラウンドに亘って所定期間(例えば、10秒)、大入賞口15に遊技球が入賞可能となり、これにより大入賞口15に多くの遊技球が入球する。これら入賞口14A,14B,15,20に遊技球が入球すると、パチンコ遊技機10の裏側に備えられた払出装置50から所定数(例えば、1球入球に付き、一般入賞口20では1個、始動入賞口14A,14Bでは4個、大入賞口15で10個)の遊技球が上皿26に払い出される。なお、これら入賞口14A,14B,15,20の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口16に取り込まれ、遊技板11の下方に備えられた図示しないダクトからパチンコ遊技機10が設置された遊技ホールの遊技球循環システムに送られる。
【0015】
図2に示すように、パチンコ遊技機10の裏側には、機構板13が備えられ、この機構板13に種々の部品が組み付けられている。機構板13は、合成樹脂で構成され、全体として遊技板11より縦方向に長い矩形状になっていて、遊技板11の裏面側に重ねて取り付けられている。機構板13には、遊技板11の遊技板表示窓11Wと対向する位置に図示しない表示窓が形成され、その表示窓に液晶表示装置24が取り付けられてパチンコ遊技機10の裏側に露出している。
【0016】
ところで、パチンコ遊技機10の後面上部には、タンク31が設けられている。遊技球循環システムから供給された遊技球は、タンク31に一時的に貯留され、タンク31の右端部から横方向に延びて傾斜した傾斜樋32によって1段1列の遊技球列となってパチンコ遊技機10の右側辺部に案内される。パチンコ遊技機10の右側辺部にはケース体81が設けられ、そのケース体81の内部に本発明に係る誘導樋40が形成されている。誘導樋40に案内された遊技球は下方へと流下してケース体81の下方に配置された払出装置50へと供給される。以下、各部位について詳説する。
【0017】
ケース体81は、
図2及び
図3に示すように、前後方向に扁平で上下に細長い略直方体形状になっている。また、ケース体81は、全体が透明な樹脂から構成され、ケース体81の外側から遊技球が流下する様子を透視可能となっている。
【0018】
図3に示すように、ケース体81は、支持ベース81Sとバックプレート81B(
図2参照)とから構成され、誘導樋40の流路を挟んでバックプレート81Bと支持ベース81Sの前面壁である支持プレート81Pとが前後方向で対向している。支持プレート81Pとバックプレート81Bとは、概ね同じ形状になっていて、支持プレート81Pの後面から突出した側壁がバックプレート81Bに突き当てられた状態で、支持プレート81Pが機構板13に重ねられてビスにて固定されている。
【0019】
図5に示すように、支持ベース81Sには、左上端部に側壁を切り欠いてなる連通孔40Aが設けられ、連通孔40Aが傾斜樋32と連絡している。また、支持ベース81Sには、バックプレート81Bに向かって流路側壁81Rが起立し、ケース体81の内部を左右方向で屈曲しながら延びている。
【0020】
具体的には、流路側壁81Rの一部は、連通孔40Aの下端側の開口縁から右下がりに傾斜して僅かに延びた傾斜壁41Aと、傾斜壁41Aの終端部からさらに右下がりに傾斜して直線状に延びた傾斜壁41Bになっている。また、傾斜壁41A,41Bに対向するケース体81の側壁が流路側壁81Rの一部である傾斜壁42Bになっている。傾斜壁41Bとの屈曲部分から鉛直方向に直線状に延びた流路側壁81Rの一部は、直線壁41Cになっていて、ケース体81の右側面を構成する側壁に兼用された直線壁42Cと平行に延びている。直線壁41Cとの屈曲部分から左下がりに直線状に延びた流路側壁81Rの一部は、傾斜壁41Dになっていて、ケース体81の右側の側壁から延びた流路側壁81Rの一部である傾斜壁42Dと平行に延びている。傾斜壁41Dとの屈曲部分からケース体81の左側の側壁と一体になった流路側壁81Rの一部は、直線壁41Eになっていて、傾斜壁42Dの終端部から鉛直方向に直線状に延びた流路側壁81Rの一部である直線壁42Eと平行に延びている。直線壁41Eの終端部で側壁から分岐して右下がりに直線状に延びた流路側壁81Rの一部は、傾斜壁41Fになっていて、直線壁42Fの終端部から屈曲して右側方に直線状に延びた流路側壁81Rの一部である傾斜壁42Fと平行に延びている。傾斜壁41Fの終端部から屈曲して鉛直方向に直線状に延びた流路側壁81Rの一部は、直線壁41Gになっていて、傾斜壁42Fの終端部から湾曲して側壁と一体になった流路側壁81Rの一部である直線壁42Gと平行に延びている。そして、これら対向する流路側壁81R同士が遊技球1球分の間隔をあけて対向すると共に、支持プレート81Pとバックプレート81Bとが遊技球1球分の間隔をあけて対向することで、誘導樋40が1列構造となっている。
【0021】
誘導樋40のうち、直線壁41B,42Bに挟まれた部分が横直線部Y1になっていて、直線壁41C,42Cに挟まれた部分が縦直線部T1になっていて、傾斜壁41D,42Dに挟まれた部分が横直線部Y2になっている。また、直線壁41E,42Eに挟まれた部分が縦直線部T2になっていて、傾斜壁41F,42Fに挟まれた部分が横直線部Y3になっている。そして、縦直線部T1とその上流側及び下流側に延びる横直線部Y1,Y2によって第1湾曲部W1(
図4参照)が構成されると共に、縦直線部T2とその上流側及び下流側に延びる横直線部Y2,Y3によって第2湾曲部W2が構成され、ケース体81の内部で誘導樋40が蛇行形状に延びている。また、縦直線部T1,T2は、各横直線部Y1〜Y3より長く延びているので、湾曲しながらも遊技球の流下速度を上げることが可能となっている。
【0022】
図5に示すように、縦直線部T1の側方には、第1検出部61が備えられている。第1検出部61は、第1湾曲部W1によって囲まれた包囲領域R3の上端寄り部分に配置され、支持プレート81Pに形成された位置決め部83,83の間に収容されている。第1検出部61は、支持部61Sの一端部に直動片61Hを直動可能に支持してなる。直動片61Hは台形状になっていて、直動片61Hから側方に突出した楔状の一端部が押圧部61Aになっている一方、他端部が検知部61Bになっている。直動片61Hは、直線壁41Cに貫通形成された挿通孔41Hから押圧部61Aの先端部が縦直線部T1内に突出するように付勢されている。縦直線部T1を遊技球が通過すると、押圧部61Aが押されて挿通孔41H内に退避し、直動片61Hが縦直線部T1外へ移動する。これにより、検知部61Bが図示しないセンサーに検出され、縦直線部T1内の遊技球の有無が検出される。
【0023】
縦直線部T2の側方には、第2検出部62が備えられている。第2検出部62は、第2湾曲部W2によって囲まれた包囲領域R2の上端寄り部分に配置され、回転軸62Jから検知レバー62Aと付勢レバー62Fとを張り出したレバー構造となっている。回転軸62Jは、縦直線部T2の直線壁42Eに貫通形成された検知窓43Hのうち、縦直線部T2と反対側の開口縁に配置され、支持プレート81Pとバックプレート81Bとの間で水平方向に延びている。検知窓43Hは、検知レバー62Aを収容可能な大きさになっている。
【0024】
検知レバー62Aは、平板状をなして縦直線部T2の流下方向に延びている。検知レバー62Aの縦直線部T2と反対側の側面には、検知レバー62Aと直交する方向に遮蔽片62Bが突出している。遮蔽片62Bは、検知レバー62Aの幅方向全体に亘って延び、その先端部が楔形状となっている。
【0025】
付勢レバー62Fは、略菱形状をなし、検知レバー62Aと一体に回動可能となっていて、その自重が検知レバー62A及び遮蔽片62Bより重くなっている。これにより、第2検出部62が、
図5に示す検知レバー62Aが縦直線部T2内に突出した状態に付勢されている。そして、縦直線部T2を遊技球が通過すると、検知レバー62Aが遊技球に押圧されて縦直線部T2内から退避する。すると、検知レバー62Aは鉛直方向に延びて、縦直線部T2を向く側面が直線壁42Eと面一になる。
【0026】
また、包囲領域R2には、第2検出部62の回転軸62Jの下方に検知基板73が配置されている。検知基板73のうち、遮蔽片62Bの回動領域と重なる位置には、検知スイッチ72が実装されている。検知スイッチ72は、門型状のフォトセンサであり、投光部72Aと受光部72Bとが上下方向で対向するように配置されている。そして、検知スイッチ72は、
図5に示すように、検知レバー62Aが縦直線部T2内に配置されたときには、投光部72Aと受光部72Bとの間で投受光が可能なオン状態となる一方、検知レバー62Aが縦直線部T2から退避したときには、投光部72Aと受光部72Bとの間に遮蔽片62Bが配置されて投受光が遮断されるオフ状態となる。これにより、縦直線部T2内の遊技球の有無が検出される。
【0027】
ところで、縦直線部T2は、
図6に示すように、その下端部が前後方向で遊技球の直径の1/2倍程度、前方に屈曲したクランク屈曲部46になっている。クランク屈曲部46が位置するケース体81の下端部分は左右方向の全体に亘って前方に屈曲し、クランク屈曲部46に連続する下流側の流路はそれより上流側の流路に比べて前方に配置されている。そして、このクランク屈曲部46により段差部40D,40Dを設けることができ、その段差部40Dに遊技機構成部品を収めることが可能となっている。なお、本実施形態では、ケース体81の前面側の段差部40Dの上方に、後方に突出した機構板13の一部が収められた構成になっているが、例えば、ケース体81の前面側又は後面側の段差部40Dに検知基板73を配置した構成であってもよい。
【0028】
図5に示すように、クランク屈曲部46の終端部は、縦直線部T2と横直線部Y3との屈曲部分である屈曲部47に連絡し、遊技球列は横直線部Y3に進入する際に、前後方向で屈曲した後、左右方向で屈曲する。このクランク屈曲部46から屈曲部47までの範囲が本発明に係る減速用屈曲部G1になっていて、第1及び第2湾曲部W1,W2の他の屈曲部分より遊技球の流下速度を減速可能となっている。これにより、遊技球列が減速した状態で横直線部Y3に進入し、払出装置50に進入する際の遊技球列の流下速度を抑えることができる。
【0029】
払出装置50は、
図2及び
図3に示すように、前後方向に扁平で上下に細長い直方体形状になっていて、ケース体81と同様に、全体が透明な樹脂から構成され、払出装置50の外側から遊技球が流下する様子を透視可能となっている。
【0030】
図3に示すように、払出装置50は、支持ベース50Sとカバー体50B(
図2参照)とから構成され、ケース体81から延びる誘導樋40の流路を挟んで支持ベース50Sの前面壁である支持プレート50Pとカバー体50Bとが前後方向で対向している。支持プレート50Pとカバー体50Bとは、概ね同じ形状になっていて、支持ベース50Sの側壁がカバー体50Pの前面壁に突き当てられた状態で、支持プレート50Pが支持プレート81Pが機構板13に重ねられてビスにて固定されている。
【0031】
図7に示すように、支持プレート50Pには、カバー体50Bに向かって誘導樋40を構成する流路側壁50Rが設けられ、これにより、払出装置50の内部で上流側から順に、誘導樋40の鉛直部H1、屈曲部H2、第1傾斜部H3、第2傾斜部H4が形成されている。これら鉛直部H1、屈曲部H2、第1傾斜部H3、第2傾斜部H4は、流路側壁50R同士が遊技球1つ分の間隔をあけて対向すると共に、支持ベース50Sとカバー体50Pとが遊技球1つ分の間隔をあけて対向することで、1列構造となっている。以下、各部位について説明する。
【0032】
鉛直部H1は、鉛直方向に直線状に延びた流路側壁50Rの一部である直線壁61Aと、支持ベース50Bの側壁に兼用された直線壁62Aとから構成され、
図4に示すように横直線部Y3の終端部から連続して延びている。また、横直線部Y3の終端部から鉛直部H1までの鉛直な流路の長さは、縦直線部T1,T2より短く設定されている。
【0033】
屈曲部H2は、直線壁61A、62Bの終端部から上方又は下方に膨らむように湾曲した流路側壁50Rの一部である湾曲壁61B,62Bから構成され、鉛直部H1に対して左下方に屈曲している。
【0034】
第1傾斜部H3は、湾曲壁61B,62Bの終端部から延びて、スクリュー52と第1案内部材54とに挟まれた部分からなり、屈曲部H2から下方に屈曲して左下がりに傾斜している。
【0035】
第1案内部材54は、湾曲壁62Bの下方に配置され、支持プレート50Pから突出した回転軸54Jに回動可能に軸支されている。第1案内部材54は、回転軸54Jから下方に張り出した突部54Tを備えている。
図10に示すように、突部54Tは、その左側面が左下がりに傾斜した平坦面になっていて、第1傾斜部H3の一内側面を構成する樋内堰止側面54Aになっている。樋内堰止側面54Aは、その長さが遊技球の直径の1倍以上、2倍未満に設定されている(
図8参照)。また、突部54Tは、
図9に示すように、その右側面が略鉛直に延びた平坦面54Bになっていて、
図7に示すように、カバー体50Bから前方に突出した規制片54Kに面当接している。これにより、第1案内部材54の回動が規制され、樋内堰止側面54Aが左下がりに傾斜した状態に保持される。突部54Tの先端部には、切欠き部54Cが備えられ、後述する第2案内部材55の先端部が係合している。
【0036】
スクリュー52は、湾曲壁61Bの下方に配置されている。スクリュー52は、円柱状の回転スリーブ52Sを有し、その回転スリーブ52Sの回転軸52Jが樋内堰止側面54Aと略平行でかつ鉛直方向に対して傾斜して、スクリュー52が樋内堰止側面54Aに対して斜め上方から対向している。また、スクリュー52には、回転スリーブ52Sの外周面から側方に張り出した螺旋ブレード52Rが備えられている。螺旋ブレード52Rは、回転スリーブ52Sに対して反時計回りの螺旋を描き、第1傾斜部H3の下流側に向かうほど、回転軸52Jからの張り出し量が大きくなっている。そして、第1傾斜部H3の内部に張り出した状態に配置され、樋内堰止側面54Aと協働して遊技球を堰き止め可能になっている。また、螺旋ブレード52Rは、湾曲面52Mが、第1傾斜部H3の遊技球の流下方向に対して右下がりに傾斜しているので、遊技球が第1案内部材54側に寄せて配置され、堰き止めた遊技球の流下圧力がスクリュー52より第1案内部材54に大きく掛かるようになっている。なお、湾曲面52Mが本発明の「当接傾斜面」に相当する。
【0037】
また、誘導樋40のうち、屈曲部H2から第2傾斜部H4に亘る範囲には、支持プレート50Pの後面を後方に突出させた段差部56が設けられている。段差部56は、
図9に示すように、スクリュー52側に延びる平坦面56Aと、第1案内部材54側に延びて平坦面56Aと支持プレート50Pの後面とを連絡する傾斜面56Bとを備えている。これにより、遊技球がさらに第1案内部材54側に案内されやすくなっている。なお、平坦面56Aと湾曲面56Bとの間は、緩やかな湾曲面で連絡されている。
【0038】
図7に示すように、スクリュー52の上方で鉛直部H1の左側方には、ステッピングモータ51が配置されている。ステッピングモータ51は、その回転軸51Jがスクリュー52の回転軸52Jと同軸になるように配置されている。そして、出力シャフト51Sがスクリュー52に係合して、スクリュー52が回転駆動可能となっている。これにより、払出条件が成立すると、ステッピングモータ51が駆動してスクリュー52が回転し、螺旋ブレード52Rの下端部が第1傾斜部H3内を通過して遊技球が払い出される。
【0039】
第2傾斜部H4は、湾曲壁61Bの延長線上で湾曲して延びてから鉛直に延びた流路側壁50Rの一部である湾曲壁61Cと、第2案内部材55及びその下方で湾曲壁61Cに対向して延びた直線壁62Dとから構成されている。
【0040】
第2案内部材55は、直線壁62Dの上方に配置され、支持プレート50Pから突出した回転軸55Jに回動可能に軸支されている。第2案内部材55は、回転軸55Jから側方に張り出した第1突部55Aと第2突部55Bとを備えている。
図10に示すように、第1突部55Aは、回転軸55Jから上方に突出し、その左側面が左下がりに傾斜した平坦面になっていて、第2傾斜部H4の一内側面を構成する樋内側面55Mになっている。樋内側面55Mは、その長さが遊技球の直径の1倍以上、2倍未満に設定されている(
図8参照)。第2突部55Bは、回転軸55Jのうち、第1突部55Aより後方位置から右側方に突出して延びている。第2突部55Bには、その先端部に後方に突出した支持軸55Cが設けられ、その支持軸55Cがカバー体50Bに軸支されている。これにより、第2案内部材55の回動が規制され、樋内側面55Mが
図7に示す左下がりに傾斜した状態に保持される。
【0041】
第2傾斜部H4には、検知スイッチ53が設けられている。検知スイッチ53は、検知スイッチ72と同様の構造になって、
図9に示すように、スクリュー52の下方で、投光部53Aと受光部53Bとで第2傾斜部H4を前後方向で挟み込むように配置されている。支持プレート50Pの受光部53Bと対向する位置には、長穴56Hが貫通形成されていて、これにより、スクリュー52を通過した遊技球を検出可能となっている。
【0042】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。傾斜樋32により1列1段に引き伸ばされた遊技球列は、連通孔40Aから誘導樋40へと進入する。
【0043】
遊技球列が第1湾曲部W1に進入すると、横直線部Y1の傾斜壁41Bにより流下速度が上がり、勢いよく縦直線部T1へと流下していく。すると、鉛直落下により流下速度が上がり、遊技球列が流下速度を上げた状態で横直線部Y2へと進入する。そして、第2湾曲部W2に進入して縦直線部T2へと至ると、再び、鉛直落下により流下速度が上がり、遊技球列が勢いよく払出装置50に向かって流下していく。
【0044】
縦直線部T2の下端部に至ると、クランク屈曲部46及び屈曲部47により遊技球列の流下速度が抑えられ、遊技球列が横直線部Y3を減速した状態で流下して払出装置50に進入する。これにより、遊技球列がスムーズに払出装置50へと進入することができ、払出装置50の球詰まりを減少させることが可能となる。
【0045】
図8に示すように、遊技球列が払出装置50に進入すると、鉛直部H1を流下して屈曲部H2へと進入する。すると、遊技球列が湾曲壁62Bに受け止められて、湾曲壁62Bに沿って左下方に案内される。また、このとき、遊技球は、段差部56の傾斜面56Bに案内されて平坦面56Bに乗り上がる。そして、湾曲壁62Bの終端部から落下して第1傾斜部H3に進入し、第1傾斜部H3内に張り出したスクリュー52と樋内堰止側面54Aとの間で遊技球列の先頭の遊技球が堰き止められる。
【0046】
ここで、本実施形態では、スクリュー52が遊技球の流下圧力の全てを受け止めるのではなく、その流下圧力の一部が、誘導樋40の一内側面である樋内堰止側面54Aによって受け止められるのでスクリュー52の負担が軽減され、スクリュー52の小型化が可能になる。また、スクリュー52の湾曲面52Mにより遊技球が第1案内部材54側に寄せて配置されるので、この点においても、スクリュー52の負担が軽減される。
【0047】
さらに、樋内堰止側面54A及びスクリュー52の回転軸52Jが重力方向に対して傾斜し、スクリュー52が樋内堰止側面54Aに対して斜め上方から対向しているので、堰き止めた遊技球の流下圧力をスクリュー52より樋内堰止側面54Aに多く負担させることができ、スクリュー52の耐久性を高くしたり、スクリュー52の小型化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、スクリュー52が配置された第1傾斜部H3の上流の流路が、第1傾斜部H3に対して屈曲した屈曲部H2になっている。これにより、遊技球の流下速度を抑えることができると共に、遊技球の流下圧力が湾曲壁62Bで受け止められるので、スクリュー52及び樋内堰止側面54Aへの負荷を軽減することが可能である。これに加え、本実施形態では、スクリュー52から最も近い第2湾曲部W2の縦直線部T2の下端部にクランク屈曲部46を配置すると共に、クランク屈曲部46に屈曲部47を連絡して減速用屈曲部G1としたので、遊技球の流下圧力の一部が減速用屈曲部G1によって受け止められ、遊技球によるスクリュー52及び樋内堰止側面54Aへの負荷を軽減することが可能である。
【0049】
そして、遊技領域R1を流下した遊技球のいくつかが、入賞口14A,14B,15,20の何れかに入球するか又は球貸し操作ボタン27Cが操作されると、払出条件の成立により、払出装置50のステッピングモータ51が回転駆動される。すると、スクリュー52が回転し、螺旋ブレード52Rの下端部からスクリュー52の回転量に応じた数の遊技球が排出されて、図示しない流下樋を通って上皿26又は下皿27へと払い出される。ここで、本実施形態では、螺旋ブレード52Rが遊技球の流下方向の下流側に向かうほど、スクリュー52の回転軸52Jからの張り出し量が大きくなっているので、螺旋ブレード52Rをスムーズに遊技球同士の間に進入させることがき、球詰まりを低減することができる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、誘導樋40が、1列構造をなしてパチンコ遊技機10の横方向に湾曲した第1及び第2の湾曲部W1,W2を備え、第1及び第2の湾曲部W1,W2の中間部分が、鉛直方向に直線状に延びた縦直線部T1,T2となり、第1及び第2の湾曲部W1,W2の両端部分が、斜め横方向に直線状に延びた横直線部Y1〜Y3になっている。これにより、誘導樋40全体が従来の角柱構造のものに比べて前後方向で薄くなり、誘導樋40以外の部品の大型化に伴う遊技機の前後方向の厚さの増加を抑えることが可能になる。
【0051】
また、誘導樋40は、湾曲しながらも縦直線部T1,T2を有しているので、従来の半円を交互に連ねた蛇行形状のものに比べて流下速度を上げることができ、誘導樋を2列構造から1列構造に変更した際の遊技球の流量の低下を抑えることができる。
【0052】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0053】
(1)前記実施形態では、クランク屈曲部46が本発明の縦直線部に設けられていたが、横直線部に設けられた構成であってもよい。
【0054】
(2)前記実施形態では、誘導樋40に第1及び第2の湾曲部W1,W2が設けられた構成になっていたが、第1湾曲部W1を廃止して第2湾曲部W2のみが設けられた構成であってもよい。
【0055】
(3)また、本発明に係る湾曲部は2つに限るものでなく、それ以上であってもよい。クランク屈曲部においても、1つに限るものではなく、各湾曲部に必要に応じて設けてもよい。
【0056】
(4)前記実施形態では、誘導樋40のうち、スクリュー52が備えられた第1傾斜部H3が傾斜した構成になっていたが、鉛直方向に延びた構成であってもよい。
なお、上記実施形態には、以下、[1]〜[9]の発明が含まれている。
[1]遊技球を下方に向けて案内する誘導樋を後面側に備えた遊技機において、
前記誘導樋は、複数の遊技球を1列に並べて流下させる1列構造をなし、
前記誘導樋の少なくとも一部を遊技機の横方向に湾曲させて湾曲部を設け、前記湾曲部の中間部分を鉛直方向又は略鉛直方向に直線状に延ばして縦直線部としかつ、前記湾曲部の両端部分を横方向又は斜め横方向に直線状に延ばして前記縦直線部より短い横直線部とすると共に、前記湾曲部の一部を遊技機の前後方向でクランク状に屈曲させてクランク屈曲部を設けた遊技機。
[1]の遊技機では、誘導樋が、1列構造をなして遊技機の横方向に湾曲した湾曲部を備えている。そして、湾曲部の中間部分が、鉛直方向又は略鉛直方向に直線状に延びた縦直線部となり、湾曲部の両端部分が、横方向又は斜め横方向に直線状に延びた横直線部になっている。これにより、誘導樋全体が従来の角柱構造のものに比べて前後方向で薄くなり、誘導樋以外の部品の大型化に伴う遊技機の前後方向の厚さの増加を抑えることが可能になる。また、誘導樋は、湾曲しながらも縦直線部を有しているので、従来の半円を交互に連ねた蛇行形状のものに比べて流下速度を上げて、誘導樋を2列構造から1列構造に変更した際の遊技球の流量の低下を抑えることができる。さらに、湾曲部の一部を遊技機の前後方向でクランク状に屈曲させてクランク屈曲部を設けたことで、誘導樋に段差部を設けることができ、スペースの有効活用を図ることができる。
[2]前記縦直線部及び前記横直線部を有する前記湾曲部を複数備えて前記誘導樋が蛇行して延び、前記複数の湾曲部の少なくとも1つに前記クランク屈曲部が設けられた[1]に従属の遊技機。
[2]の遊技機では、誘導樋が、縦直線部及び横直線部を有する湾曲部を複数備えた蛇行形状になっているので、半円を複数備えた蛇行形状の従来の誘導樋に比べて流下速度を上げることができる。
[3]前記誘導樋の下端部に配置され、前記誘導樋の一内側面である樋内堰止側面と協働して遊技球を堰き止めることが可能であると共に、電気的駆動源から動力を受けて作動し、その作動量に応じた数の遊技球の通過を許容する堰止部材が備えられ、
前記堰止部材のうち遊技球と当接する部分には、遊技球の流下方向に対して傾斜し、堰き止めた遊技球の流下圧力を前記樋内堰止側面に向ける当接傾斜面が備えられている[1]又は[2]に従属の遊技機。
[4]堰き止めた遊技球の流下圧力が前記堰止部材より前記樋内堰止側面に大きくかかるように構成された[3]に従属の遊技機。
[3]及び[4]の遊技機では、誘導樋の下端部で遊技球を堰き止める堰止部材が遊技球の流下圧力の全てを受け止めるのではなく、その流下圧力の少なくとも一部が、誘導樋の一内側面である樋内堰止側面によって受け止められるので堰止部材の負担が軽減され、堰止部材の小型化が可能になる。
[5]前記誘導樋のうち、前記堰止部材より上流側でかつ前記堰止部材に最も近い前記湾曲部の前記縦直線部の下端部に前記クランク屈曲部を配置して、前記クランク屈曲部からそれに連続する前記湾曲部の屈曲部分までを減速用屈曲部とし、他の前記湾曲部の屈曲部分より遊技球の流下速度を減速可能とした[3]又は[4]に従属の遊技機。
[5]の遊技機では、縦直線部から流下する遊技球の流下速度を減速用屈曲部で減速させることが可能であると共に、遊技球の流下圧力の一部が減速用屈曲部によって受け止められるので、遊技球による堰止部材及び樋内堰止側面への負荷を軽減することが可能である。
[6]前記誘導樋のうち、前記堰止部材が配置された部分の上流側の流路を、前記堰止部材が配置された部分の流路に対して傾斜又は屈曲させた[3]乃至[5]の何れか1に従属の遊技機。
[6]の遊技機では、堰止部材が配置された部分より上流側の流路を、前記流路に対して傾斜又は屈曲させたので、遊技球の流下速度を抑えることができると共に、遊技球の流下圧力の一部が堰止部材より上流部分で受け止められるので、遊技球による堰止部材及び樋内堰止側面への負荷を軽減することが可能である。
[7]前記堰止部材は、回転スリーブから螺旋ブレードが張り出した構造のスクリューであり、前記回転スリーブが遊技球の流下方向に沿って延びかつ前記螺旋ブレードが前記誘導樋の内部に張り出した状態に配されて、前記電気的駆動源としてのモータから動力を受けて回転駆動され、前記螺旋ブレードに前記当接傾斜面が備えられている[3]乃至[6]の何れか1に従属の遊技機。
[7]の構成によれば、スクリューの回転量に応じた数の遊技球をスクリューより下方に流下させることができる。
[8]前記樋内堰止側面及び前記スクリューの回転軸が互いに略平行でかつ重力方向に対して傾斜し、前記スクリューが前記樋内堰止側面に対して斜め上方から対向している[7]に従属の遊技機。
[8]の構成によれば、樋内堰止側面及びスクリューの回転軸が重力方向に対して傾斜し、スクリューが樋内堰止側面に対して斜め上方から対向しているので、堰き止めた遊技球の流下圧力を堰止部材より樋内堰止側面に多く負担させることができ、堰止部材の耐久性を高くしたり、堰止部材の小型化を図ることができる。
[9]遊技球の流下方向の下流側に向かうほど、前記スクリューの回転中心からの前記螺旋ブレードの張り出し量が大きくなっている[7]又は[8]に従属の遊技機。
[9]の構成では、遊技球の流下方向の下流側に向かうほど、スクリューの回転中心からの螺旋ブレードの張り出し量が大きくなっているので、螺旋ブレードをスムーズに遊技球同士の間に進入させることがき、球詰まりを低減することができる。