【文献】
"ちょうしん"くん(M164),株式会社坂本モデル,2019年 4月 8日,URL,http://web.archive.org/web/20150628163926/http://www.sakamoto-model.co.jp/product/physical/m164/
【文献】
村田嘉利 ほか,KINECT&Azureを利用した聴診演習システムの開発,情報処理学会シンポジウムシリーズ(CD-ROM),2016年 6月29日,Vol.2016, No.1,p.308-313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した電子聴診器は、担当医等聴診器を扱う診察者が、位置情報や当接状態情報等を参照可能な環境下で、患者と対面で診療をする場合にのみ用いられるものである。
【0010】
よって、例えば、患者が遠隔地におり、担当医との対面での診療が困難である場合には、代わりの診察者による聴診条件の正確な再現が、なおも困難なものとなる。
【0011】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、診察者が、遠隔地にいる患者に対しても診療を行うことが可能な、デジタル聴診器を用いた遠隔診療システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、
患者の生体音に基づく音声情報を取得する聴診器と、前記音声情報を外部機器に伝送する伝送処理装置と、を備え、
前記聴診器は、前記伝送処理装置に前記音声情報を伝送する伝送手段を有し、
前記伝送処理装置は、前記音声情報を受信する受信手段と、前記音声情報を前記外部機器で再生するための再生処理を行う再生処理手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、診察者は、患者に聴診器を使用させることで、患者が遠隔地にいる場合であっても、患者の生体音に基づく音声情報を聴取することができる。これにより、診察者は、対面診療が困難な場合であっても、診療を行うことが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記患者の身体に装着される当接位置表示手段を備え、
前記当接位置表示手段の表面には、前記患者の身体に対する前記聴診器の当接位置が表示された当接用目印が設けられていることを特徴とする。
【0015】
このような構成とすることで、診察者は、所望の音声情報を取得するための聴診器の適切な当接位置を、患者に対して正確に伝達することができ、患者に聴診器を使用させる遠隔診療であっても、診療を円滑に進めていくことが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記聴診器は、チェストピースを着脱自在とする着脱手段を有することを特徴とする。
【0017】
このような構成とすることで、診察者は、自身が愛用する、普段から使い慣れたチェストピースを使用して診療を行うことが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記音声情報を録音する録音手段を備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成とすることで、診察者は、音声情報を電子カルテに活用することが可能となる。即ち、診察者は、患者と所見を共有する際や、診療経過の確認を行うことが可能となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記伝送処理装置は、前記音声情報を解析処理する解析処理手段を備えることを特徴とする。
【0021】
このような構成とすることで、診察者は、音声情報を視覚化したグラフ情報や心雑音情報等、音声情報に関するより詳細な情報を電子カルテに活用することが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記音声情報の特定の周波数成分を取り出すフィルタ手段を備えることを特徴とする。
【0023】
このような構成とすることで、診察者は、音声情報をより明瞭に聴取することが可能となる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記聴診器は、前記フィルタ手段のフィルタ特性を切り替える切り替え手段を有することを特徴とする。
【0025】
このような構成とすることで、診察者は、複数の音声情報を取得する部位が異なっていた場合であっても、各部位に適切なフィルタ特性を適用することで、複数の音声情報をより明瞭に聴取することが可能となる。
【0026】
本発明の好ましい形態では、前記聴診器は、前記音声情報の音量を調整する音量調整手段を有することを特徴とする。
【0027】
このような構成とすることで、診察者は、音声情報を適切な音量感で聴取することが可能となる。
【0028】
本発明の好ましい形態では、前記聴診器は、前記患者の身体への当接状態を保持する保持手段を有していることを特徴とする。
【0029】
このような構成とすることで、例えば、患者が寝たきりの状態である等、身体を動かすことが困難である場合であっても、診察者は、常時、患者の生体音に基づく音声情報を取得し、聴取することが可能となる。
【0030】
本発明は、遠隔診療方法であって、
患者の生体音に基づく音声情報を聴診器により取得し、
前記聴診器により取得された前記音声情報を伝送処理装置に伝送し、
前記伝送処理装置により受信された前記音声情報を、外部機器で再生するための再生処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、診察者が、遠隔地にいる患者に対しても診療を行うことが可能な、デジタル聴診器を用いた遠隔診療システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、
図1〜
図11を用いて、本発明の実施形態に係る遠隔診療システムについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0034】
例えば、本実施形態では遠隔診療システムの構成、動作などについて説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム、記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータに前記プログラムをインストールすることができる。ここで、前記プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD−ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0035】
図1は、遠隔診療を実施する際の、遠隔診療システムSの概要を示す図である。
図1に示すように、遠隔診療システムSは、チェストピースCが装着され、患者の生体音に基づく音声情報を取得する聴診器1と、音声情報を外部機器に伝送する伝送処理装置2と、患者用端末T1と、診察者用端末T2と、聴取手段Lと、を備えている。
なお、聴取手段Lは、本実施形態ではヘッドフォンであるが、イヤフォンやスピーカー等であっても良い。
【0036】
聴診器1は、患者用端末T1と無線通信を行う。
伝送処理装置2と、患者用端末T1と、診察者用端末T2と、は、それぞれがネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0037】
患者用端末T1と診察者用端末T2とは、それぞれ、外部の装置と通信を行うためのインターフェースである通信部や、タッチパネルや物理キー等の入力部、ディスプレイ等の出力部、音声の入出力を行う音声入出力部等を備えた、パーソナルコンピュータ等の情報通信端末や、タッチパネルを備えたスマートフォン、タブレット端末やPDA等の携帯情報端末等である。
また、患者用端末T1と診察者用端末T2とは、
図6〜
図8に示す対面での遠隔診療を実施する際に使用される遠隔診療プログラム又はウェブブラウザプログラムを、補助記憶部に記憶している。
【0038】
図2に示すように、聴診器1は、伝送処理装置2に音声情報を伝送する伝送手段101と、音声情報の特定の周波数成分を取り出すフィルタ手段102と、切り替え手段103と、音量調整手段104と、を有している。
また、伝送処理装置2は、音声情報を受信する受信手段201と、音声情報を外部機器で再生するための再生処理を行う再生処理手段202と、録音手段203と、解析処理手段204と、を有している。
【0039】
図3に示すように、聴診器1は、聴診器本体11と、聴診器本体11の上部に設けられた着脱手段12と、を有している。
【0040】
聴診器本体11には、その外面に、スイッチとして構成された切り替え手段103とダイヤル式の音量調整手段104とが設けられ、さらに、聴診器1のON/OFFを切り替える電源部11aと、外部機器への接続を行う接続部11bと、が設けられている。
【0041】
接続部11bは、伝送処理装置2等の外部機器と接続や充電を行うためのUSB端子11b1や、聴取手段Lと接続するためのフォン端子11b2により構成されている。
なお、接続部11bは、この他にもLightning端子等のAV端子やVGA端子等を含んでいても良い。
【0042】
フォン端子11b2は、遠隔診療において、患者が自身の音声情報を聴取する場合や、一般的な対面診療や訪問看護等において、診察者が患者の音声情報を聴取する場合等に、ヘッドフォンやイヤフォン、スピーカー等に接続されて、用いられる。
【0043】
なお、聴診器1は、伝送手段101により、患者用端末T1や聴取手段Lと無線通信を行うことが可能な構成となっている。無線通信の規格としては、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)等の無線通信規格、メッシュネットワーク形式や、P2P(Peer to Peer)形式等、種々の無線通信の構成が採用され得る。
また、診察者や患者は、使用環境等に応じて、USB端子11b1を用いて、聴診器1と患者用端末T1と、を有線により接続しても良い。
さらに、診察者用端末T2と聴取手段Lも、同様に無線通信を行うことが可能な構成とすることができる。
【0044】
図4(a)に示すように、着脱手段12は、一対の着脱手段本体12aと、略円筒状のチェストピース収容部12bと、複数の輪状体12cと、により構成されている。
着脱手段本体12aは、聴診器本体11の内部に設けられたバネ(図示せず)により、その上部が、聴診器本体11の上面に設けられた略円筒状の集音部11cに向かって付勢されている。
チェストピース収容部12bの外面には、着脱手段本体12aの上部突起12a1(
図5参照)が嵌合する、一対の嵌合溝12b1が設けられている。
輪状体12cは、弾性を有し、その外形が、チェストピース収容部12bの内径よりもやや大きく構成されている。
また、
図4(b)に示すように、チェストピースCは、その下部が段付き形状となっている。
【0045】
チェストピースCを着脱手段12に取り付ける際、患者や診察者は、まず、
図5(a)に示すように、チェストピースCの下部の各段に輪状体12cを取り付けた後、この下部をチェストピース収容部12bに挿通する。
次いで、患者や診察者は、一対の着脱手段本体12aを、
図5(b−1)に示す状態から、
図5(b−2)に示す状態とする。即ち、患者や診察者は、一対の着脱手段本体12aの下部を、聴診器本体11側に押圧し、一対の上部突起12a1を離間させる。
次いで、患者や診察者は、チェストピース収容部12bの下面を聴診器本体11の上面に当接させ、チェストピース収容部12bの内部に集音部11cを収容する。
次いで、患者や診察者は、一対の着脱手段本体12aの聴診器本体11への押圧力を除荷することで、一対の上部突起12a1を、再度集音部11cに向かって付勢させる。
こうすることで、
図5(c)に示すように、一対の上部突起12a1が、一対の嵌合溝12b1に嵌合し、チェストピースCが、聴診器1に装着される。
【0046】
なお、
図5では、着脱手段本体12a、チェストピース収容部12b、輪状体12c及び集音部11cは、断面で示している。
また、
図5(b−1)、(b−2)及び(c)において、聴診器本体11は、その上面及び集音部11cを除き、省略している。
【0047】
チェストピースCにより取得された音声は、集音部11cを介して、聴診器本体11の内部に入力される。
聴診器本体11の内部には、マイク素子やアンプリファー等が内蔵されており、聴診器本体11の内部に入力された音声は、外部に伝送可能な音声情報として変換される。
【0048】
以下、
図6〜
図8を用いて、遠隔診療システムSを用いて遠隔診療を実施する場合について説明する。
【0049】
まず、
図6に示すように、患者Xと診察者Yとは、それぞれ患者用端末T1と診察者用端末T2とを介して対面し、相互にコミュニケーションが可能な状態とする。
【0050】
そして、患者Xは、チェストピースCが装着された聴診器1を、自身の手で保持しておく。
また、診察者Yは、患者Xの生体音に基づく音声情報を聴取するために、聴取手段Lを耳に装着しておく。
【0051】
また、
図7に示すように、患者Xは、当接位置表示手段Wを装着しておく。
当接位置表示手段Wは、本実施形態においてはTシャツであり、その表面には、患者Xの身体に対する聴診器1の当接位置が表示された、複数の当接用目印W1が設けられている。
複数の当接用目印W1は、それぞれ丸枠の中に異なる番号が記載されることにより構成されている。
【0052】
なお、当接位置表示手段Wは、装着の簡便性から衣服であることが好ましいが、身体に装着可能であれば何でも良く、特に限定されない。
また、当接用目印W1は、必ずしも上記のような構成とする必要はなく、患者X及び診察者Yが、当接位置として認識できる態様であれば、どのような構成を採用しても良い。
さらに、当接用目印W1の数は、特に限定されず、幾つであっても良く、背面に設けられていても良い。
【0053】
次に、
図8に示すように、患者Xは、自身の手で保持している聴診器1を動かし、チェストピースCを当接用目印W1に当接する。
このとき、診察者Yは、複数の当接用目印W1の内、音声情報を取得したい部位に対応する所望の当接用目印W1の番号を伝達することで、患者Xに、チェストピースCを、この所望の当接用目印W1に当接させる。
なお、
図7では、診察者Yが、患者Xに、番号1が記載された当接用目印W1にチェストピースCを当接させる指示をした場合を示している。
【0054】
聴診器1により取得された音声情報は、伝送手段101により、ネットワークNを介して、伝送処理装置2に伝送される。
伝送処理装置2は、伝送された音声情報を、受信手段201により受信し、再生処理手段202により再生処理を行う。
【0055】
伝送処理装置2により再生処理された音声情報は、ネットワークNを介して診察者用端末T2に伝送された後、聴取手段Lを介して再生されることで、診察者Yに聴取される。
【0056】
切り替え手段103は、フィルタ手段102のフィルタ特性を切り替える。
音量調整手段104は、聴診器1により取得された音声情報の音量を調整する。
【0057】
本実施形態では、聴取手段Lを介して再生される音声情報を、診察者Yが、より明瞭な状態で聴取可能とするために、適宜切り替え手段103や音量調整手段104を用いることができる。
【0058】
詳述すれば、例えば、フィルタ手段102のフィルタ特性が、肺音を明瞭にするものであり、チェストピースCが心音を聴取する部位に対応する当接用目印W1に当接されている場合、診察者Yは、患者Xに指示し、切り替え手段103により、フィルタ手段102のフィルタ特性を、心音を明瞭にするもの切り替える。
なお、フィルタ手段102は、チェストピースCから取得した音声をそのまま聴取可能な、所謂パススルーフィルタや、周囲の環境音を低減する所謂ノイズリダクションフィルタ等を有していても良い。また、フィルタ手段102は、聴診器本体11に、適宜アップデート用のプログラムを読み込ませることで、例えば、内科用や小児科用、循環器科用、呼吸器科用等、各専門医が求めるフィルタ特性が追加されていくような構成としても良い。
【0059】
また、例えば、音声情報の音量が小さく、聴取が困難な場合、診察者Yは、患者Xに指示し、音量調整手段104により、音声情報の音量を増大させる。
【0060】
録音手段203は、聴診器1により取得された音声情報を録音する。
なお、本実施形態では、録音手段203は、伝送処理装置2が有している構成としているが、聴診器1が有していても良い。
【0061】
解析処理手段204は、聴診器1により取得された音声情報の解析処理を行う。
詳述すれば、解析処理手段204は、取得された複数の音声情報を周波数解析することにより、グラフ化処理や心雑音情報の取得処理等を行う。
心雑音情報とは、特定の音声情報における心雑音の周波数や、心雑音が発生するタイミング、心雑音の継続時間等の情報である。
【0062】
本実施形態では、取得された音声情報は、録音手段203により録音され、又は、解析処理手段204により解析処理されることで、診療に役立てることができる。
【0063】
詳述すれば、取得された複数の音声情報は、録音手段203により、伝送処理装置2が有する記憶部(図示せず)に格納される。
そして、診察者Yは、例えば診療後に患者Xと所見を共有する際や、診療経過の確認を行う際等所望のタイミングで、伝送処理装置2から所望の音声情報を呼び出し、診察者用端末T2上で、この音声情報を再生することができる。
【0064】
また、診察者Yは、音声情報を視覚化したグラフ情報や心雑音情報も、伝送処理装置2から呼び出し、診察者用端末T2上で、これらの情報を表示することができる。
【0065】
即ち、録音手段203により録音された音声情報や、解析処理手段204により解析処理された音声情報は、電子カルテの一部として、診療に役立てることができる。
【0066】
この他にも、録音手段203により、聴診器1をICレコーダーのように活用することができる。これにより、診察者Yは、聴診器1を使用して、患者Xの生体音に基づく音声情報の他、診療時の会話の内容についても録音し、これをテキスト化等により電子カルテの一部とすることができる。
【0067】
また、解析処理手段204は、音声情報から異常な波形を検出し、患者Xや診察者Yに異常を警告する構成とすることができる。これにより、患者Xは、診察者Yによる遠隔診療を受けていないときであっても、自ら聴診器1による聴診を行い、異常が警告された場合に、診察者Yに音声情報の伝送等をすることにより、診察者Yから所見を求めることができる。
【0068】
図9に、電子カルテKの診察者用端末T2上での表示例を示す。
図9(a)は、電子カルテK全体の表示例、
図9(b)は、音声情報表示部K3の拡大表示例である。
【0069】
図9に示すように、電子カルテKには人体の模式
図K1が表示され、当接用目印W1に対応する位置に、押下操作が可能な音声情報選択部K2が複数表示されている。
【0070】
診察者Yは、特定の音声情報選択部K2を押下操作することで、特定の音声情報に関する情報が表示される音声情報表示部K3が表示される。
【0071】
音声情報表示部K3には、例えば、特定の音声情報を視覚化したグラフ情報K3aや心雑音情報K3b、診察者YによるコメントK3cが表示される他、再生ボタンK3dが表示されている。
診察者Yは、再生ボタンK3dを押下操作することで、特定の音声情報を再生することができる。
【0072】
なお、このような診察者用端末T2上の表示は、当然に、患者用端末T1上にも表示することができる。
【0073】
本実施形態によれば、診察者Yは、患者Xに聴診器1を使用させることで、患者Xが遠隔地にいる場合であっても、患者Xの生体音に基づく音声情報を聴取することができる。これにより、診察者Yは、対面診療が困難な場合であっても、診療を行うことが可能となる。
【0074】
また、当接位置表示手段Wにより、診察者Yは、所望の音声情報を取得するための聴診器1の適切な当接位置を、患者に対して正確に伝達することができ、患者Xに聴診器1を使用させる遠隔診療であっても、診療を円滑に進めていくことが可能となる。
【0075】
また、聴診器1が着脱手段12を有することで、診察者Yは、自身が愛用する、普段から使い慣れたチェストピースCを使用して診療を行うことが可能となる。
【0076】
また、伝送処理装置2が録音手段203を有することで、診察者Yは、音声情報を電子カルテKに活用することが可能となる。即ち、診察者Yは、患者Xとの所見の共有や、診療経過の確認等を行うことが可能となる。
【0077】
また、伝送処理装置2が解析処理手段204を有することで、診察者Yは、音声情報を視覚化したグラフ情報や心雑音情報等、音声情報に関するより詳細な情報を電子カルテKに活用することが可能となる。
【0078】
また、聴診器1がフィルタ手段102を有することで、診察者Yは、音声情報をより明瞭に聴取することが可能となる。
【0079】
また、聴診器1が切り替え手段103を有することで、診察者Yは、複数の音声情報を取得する部位が異なっていた場合であっても、各部位に適切なフィルタ特性を適用することで、複数の音声情報をより明瞭に聴取することが可能となる。
【0080】
また、聴診器1が音量調整手段104を有することで、診察者Yは、音声情報を適切な音量感で聴取することが可能となる。
【0081】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0082】
例えば、本実施形態では、遠隔診療を実施する場合を示したが、本システムは、一般的な対面診療や訪問看護を実施する場合であっても、当然に適用することができる。
対面診療や訪問看護を実施する場合、必ずしも患者用端末T1は要せず、また、診察者Yが、切り替え手段103と、音量調整手段104等を操作することができる。
【0083】
また、
図10に示すように、聴診器1は、患者Xの身体への当接状態を保持する保持手段Hを有していても良い。
【0084】
保持手段Hは、例えば、両端に面ファスナーや差し込みバックル等の連結手段(図示せず)が設けられることで、所定の大きさの輪を形成可能に構成された帯状体であり、聴診器1の一側面に、部分的に固定されている。
【0085】
このように構成された聴診器1は、
図11に示すように、保持手段Hを患者Xの胸部や腰部の周囲に巻き付けることで、チェストピースCを、音声情報を取得したい部位に当接させた状態で、患者Xに装着される。
【0086】
これにより、例えば、患者Xが寝たきりの状態である等、身体を動かすことが困難である場合であっても、診察者Yは、常時、患者Xの生体音に基づく音声情報を取得し、聴取することが可能となる。
【0087】
なお、聴診器1は、保持手段Hに複数取り付けられていても良く、各聴診器1のチェストピースCが異なる部位に当接するようにすることで、心音と肺音等、異なる部位から取得される音声情報を、同時に取得可能な構成とすることもできる。
【解決手段】患者Xの生体音に基づく音声情報を取得する聴診器1と、音声情報を外部機器に伝送する伝送処理装置2と、を備え、聴診器1は、伝送処理装置2に音声情報を伝送する伝送手段101を有し、伝送処理装置2は、音声情報を受信する受信手段201と、音声情報を外部機器で再生するための再生処理を行う再生処理手段202と、を有することを特徴とする。