(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セキュリティ装置の解除が建物の居住者等特定の者に限定して可能とすることで、セキュリティをより一層向上することができるセキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、建物への侵入を防止する装置であって動作状態又は非動作状態を電気的に切り替え可能なセキュリティ装置と、前記セキュリティ装置を非動作状態にすることが可能なセキュリティ解除部と、建物に入ることを許可された特定の者が建物から所定範囲内に存在するかを検出する所在確認手段と、前記セキュリティ解除部に電力供給可能な電力制御装置と、を備え、前記電力制御装置は、前記所在確認手段により前記特定の者が建物から所定範囲内に存在すると検出されたときに前記セキュリティ解除部へ電力を供給することを特徴とするセキュリティシステムにある。
【0009】
第1の態様では、セキュリティ装置を非動作状態にすることが建物の居住者等の特定の者に限って可能とすることができ、セキュリティをより一層向上することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載するセキュリティシステムにおいて、前記特定の者が所有する携帯情報端末又は自動車のGPS装置、及び前記電力制御装置と通信可能なサーバ装置を備え、前記所在確認手段は、前記携帯情報端末又は前記GPS装置が前記サーバ装置に送信した位置情報に基づいて特定の者が建物から所定範囲内に存在していることを検出することを特徴とするセキュリティシステムにある。
【0011】
第2の態様では、サーバ装置に送信される位置情報に基づきセキュリティ解除部への給電が自動的に行われるので、セキュリティ解除部に電力を供給するための作業を特定の者に強いることなく、利便性を向上することができる。
【0012】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の態様に記載するセキュリティシステムにおいて、前記所在確認手段は前記電力制御装置に設けられていることを特徴とするセキュリティシステムにある。
【0013】
第3の態様では、セキュリティ解除部への電力供給の可否を電力制御装置単体で判断できる。これにより、外部のサーバ装置を用いた所在の判定を行う場合と比較して、サーバ装置との通信不良や、サーバ装置の不調に影響されずに、可用性が向上したセキュリティシステムが提供される。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載するセキュリティシステムにおいて、電気自動車に電力を供給可能な電力供給装置を備え、前記所在確認手段は、前記電力供給装置から前記電気自動車に電力が供給され
ているときに前記特定の者が建物から所定範囲内に存在していることを検出することを特徴とするセキュリティシステムにある。
【0015】
第4の態様では、電気自動車への電力供給により特定の者が建物から所定範囲内に存在していることを検出することができる。これにより、外部のサーバ装置を用いた所在の判定を行う場合と比較して、サーバ装置との通信不良や、サーバ装置の不調に影響されずに、可用性が向上したセキュリティシステムが提供される。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1の態様に記載するセキュリティシステムにおいて、
電気自動車に電力を供給可能な電力供給装置と、前記特定の者が所有する携帯情報端末又は前記
電気自動車のGPS装置、及び前記電力制御装置と通信可能なサーバ装置
とを備え、前記所在確認手段は、第1所在確認手段及び第2所在確認手段とからなり、前記第1所在確認手段は、前記携帯情報端末又は前記
電気自動車のGPS装置が前記サーバ装置に送信した位置情報に基づいて前記特定の者が建物から所定範囲内に存在していることを検出し、前記第2所在確認手段は、前記電力
供給装置から
前記電気自動車に電力
が供給
されているときに前記特定の者が建物から所定範囲内に存在していることを検出し、前記電力制御装置は、建物に電力を供給する系統電力から電力が供給されているときは前記第1所在確認手段を用い、前記系統電力から電力が供給されていないときは前記第2所在確認手段を用いることを特徴とするセキュリティシステムにある。
【0017】
第5の態様では、停電時においても、第2所在確認手段により特定の者が住宅から所定範囲内に存在するときに限り、セキュリティ解除部に電力を供給して動作可能状態とすることができ、セキュリティをより一層向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、セキュリティ装置の解除が建物の居住者等の特定の者に限って可能とすることで、セキュリティをより一層向上することができるセキュリティシステムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0021】
〈実施形態1〉
図1は本実施形態に係るセキュリティシステムの構成図であり、
図2は本実施形態に係る蓄電装置の構成図である。本実施形態では、建物の一例として一戸建て住宅に適用されたセキュリティシステムIについて説明する。また、住宅に入ることを許可された特定の者を、ここでは住宅の所有者やその家族を居住者と称する。
【0022】
本実施形態のセキュリティシステムIは、パワーコンディショナー10と、蓄電装置20と、セキュリティ装置の一例としてオートロック式扉30と、セキュリティ解除部40と、サーバ装置50と、所在確認手段60とを備えている。
【0023】
住宅には、パワーコンディショナー10が設置され、電源の一例として太陽光パネル1及び交流電力である系統電力2から電力がパワーコンディショナー10に供給されている。パワーコンディショナー10は、太陽光パネル1で発電された直流電力を交流電力に変換して家庭内負荷3に供給する。また、パワーコンディショナー10は、太陽光パネル1から得られた交流電力及び系統電力2からの交流電力を家庭内負荷3が必要とする電力量に応じて家庭内負荷3に供給する。また、パワーコンディショナー10は、蓄電装置20の充電のために、太陽光パネル1で発電された直流電力や系統電力2を直流電力に変換して蓄電装置20へ供給する。また、パワーコンディショナー10は、蓄電装置20から放電された直流電力を交流電力に変換して家庭内負荷3やオートロック式扉30に供給する。
【0024】
蓄電装置20は、セキュリティ解除部40に電力供給可能な電力制御装置の一例である。本実施形態の蓄電装置20は、詳細は後述するが、蓄電池を備え、蓄電池への充放電を制御する装置である。また、蓄電装置20は、後述する所在確認手段60による判定結果に基づいて、蓄電池からセキュリティ解除部40に電力を供給し、又は供給を停止する制御を行う。なお、本実施形態において、オートロック式扉30は交流電力で動作する一方でセキュリティ解除部40は直流電力で動作するものとしておけば蓄電装置20内の蓄電池から放電された直流電力を交流電力に変換することなくセキュリティ解除部40に供給することができる。一方、オートロック式扉30は交流電力にて動作することからセキュリティ解除部40も交流電力で動作するものとした場合は、蓄電装置20からセキュリティ解除部40へ供給される電力も交流電力とすべく蓄電装置20には直流電力を交流電力へ変換する機能を有するものとすればよい。蓄電装置20に直流電力を交流電力に変換する機能を持たせないようにしたいのであれば、蓄電装置20からセキュリティ解除部40へ供給する電力はいったんパワーコンディショナー10へ送った後に、パワーコンディショナー10内で直流電力から交流電力へ変換してセキュリティ解除部40へ供給するようにしてもよい。ただし、パワーコンディショナー10を介してセキュリティ解除部40へ供給される蓄電装置20からの電力は、パワーコンディショナー10を介して家庭内負荷3へ供給される蓄電装置20からの電力といっしょにならないように、蓄電装置20とパワーコンディショナー10間、パワーコンディショナー10内、及びパワーコンディショナー10と電力供給先間における電力伝達のための配線をそれぞれ個別に準備しておくのがよい。また、蓄電装置20は通信手段を有し、電池電圧や電池温度などの情報を外部へ送信したり、外部から送られている情報を受信することが可能になっている。
【0025】
オートロック式扉30は、住宅への侵入を防止する扉であって、施錠又は解錠が電気的に切り替え可能な装置である。オートロック式扉30が施錠された状態を施錠状態(請求項の動作状態に相当する。)、解錠された状態を解錠状態(請求項の非動作状態に相当する。)と称する。
【0026】
オートロック式扉30には、セキュリティ解除部40が設けられている。セキュリティ解除部40は、オートロック式扉30を解錠状態にすることが可能な装置である。具体的には、セキュリティ解除部40は、電子キーに記憶された認証情報を近距離無線通信等の情報伝送手段によって取得し、認証情報が予め記憶された認証情報と一致するならばオートロック式扉30を解錠させる制御を行う電子回路として構成されている。なお、セキュリティ解除部40は、このような態様に限定されず、例えば、機械式の鍵穴がこれに適合する鍵で解錠動作されたことを検知したとき、オートロック式扉30を解錠させる制御を行う電子回路であってもよい。
【0027】
また、特に図示しないがオートロック式扉30は、セキュリティ設定部が設けられている。セキュリティ設定部は、オートロック式扉30を施錠状態にすることが可能な装置である。セキュリティ設定部は、オートロック式扉30が開いた状態から閉じた状態になったときに、オートロック式扉30を施錠する制御を行う、いわゆるオートロック制御を行う電子回路である。もちろん、セキュリティ設定部は、このように自動的に施錠する構成に限定されない。例えば、セキュリティ解除部40と同様に、電子キーからの認証情報を検出したとき、又は機械式の鍵による施錠動作を検知したとき、オートロック式扉30を施錠させる制御を行う電子回路をセキュリティ設定部としてもよい。
【0028】
このようなオートロック式扉30は、セキュリティ解除部40については、パワーコンディショナー10から電力は供給されず、蓄電装置20からの電力のみが供給されるように構成されている。一方、オートロック式扉30を構成する他の部分である、施錠及び解錠する機構やセキュリティ設定部には、パワーコンディショナー10から電力が供給されている。
【0029】
サーバ装置50は、CPU、RAMなどの主記憶装置、ハードディスクなどの二次記憶装置、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置、通信手段を備えた一般的な情報処理装置である。サーバ装置50は、蓄電装置20と通信可能となっている。また、サーバ装置50は、居住者が所有する携帯情報端末51とも通信可能となっている。携帯情報端末51には、GPS機能が備わっており、サーバ装置50には、携帯情報端末51の位置を表す位置情報が送信されるようになっている。
【0030】
所在確認手段60は、居住者が住宅から所定範囲内に存在するかを検出する手段である。所定範囲内とは、住宅内を含む。また、所定範囲の大きさに特に限定はないが、居住者が住宅を視認できる程度の範囲であることが好ましい。また、所在確認手段60は、以下に説明する機能を実現するための、サーバ装置50で実行されるプログラムとして実装されている。もちろん、所在確認手段60はプログラムとして実装される場合のみならず、電子回路などハードウェアとして実装されていてもよい。
【0031】
本実施形態の所在確認手段60は、前記位置情報に基づいて居住者が住宅から所定範囲内に存在するかを検出する。具体的には、所在確認手段60は、携帯情報端末51がサーバ装置50に送信した位置情報を取得する。この位置情報を現在位置情報と称する。一方、サーバ装置50には予め、居住者の住宅の所在を表す位置情報が記憶されている。この位置情報を住宅位置情報と称する。これらの現在位置情報と住宅位置情報とを比較し、住宅位置情報から所定範囲内に現在位置情報が含まれるかを判定する。この結果、住宅位置情報から所定範囲内に現在位置情報が含まれるならば、居住者が住宅から所定範囲内に存在すると検出する。そして、所在確認手段60は、サーバ装置50の通信手段を用いて、検出結果を蓄電装置20に送信する。以後、この検出結果、すなわち居住者が住宅から所定範囲内に存在しているか否かを表す情報を、所在情報と称する。本実施形態では、所在情報が真であれば、居住者が住宅から所定範囲内に存在していることを表し、所在情報が偽であれば、居住者が住宅から所定範囲内に存在していないことを表すとする。
【0032】
所在情報の送受信については、蓄電装置20がサーバ装置50から定期的に所在情報を取得するようにした。例えば、サーバ装置50から所定時間毎に所在情報を蓄電装置20へ送信するものでも、蓄電装置20がサーバ装置50に対して所定時間毎に要求信号を送信することに応じてサーバ装置50から所在情報を蓄電装置20へ送信するようにしてもよい。もちろん、所在情報の送受信の態様はこれに限定されず、例えば、居住者が住宅から所定範囲内に存在すると検出したとき、その旨を表す所在情報をサーバ装置50が蓄電装置20に送信するようにしてもよい。
【0033】
ここで、
図2を用いて蓄電装置20について詳細に説明する。蓄電装置20は、蓄電池21と、充放電制御部22と、電力供給選択部23と、電力供給判定部24とを備えている。これらの各部は、以下に説明するような機能を実現する電子回路として構成されている。
【0034】
蓄電池21は、充電可能なリチウムイオン二次電池、ニッケルカドニウム二次電池などが挙げられる。本実施形態では、リチウムイオン二次電池を用いた。
【0035】
充放電制御部22は、蓄電池の電圧及び充電率(SOC)に基づいて蓄電池21が充電又は放電が可能か判断する。そして、充放電制御部22は、その結果に基づいて、パワーコンディショナー10から蓄電池21に電力を供給して蓄電池21を充電し、又は、蓄電池21を放電する制御を行う。
【0036】
電力供給選択部23は、電力供給判定部24によりパワーコンディショナー10やセキュリティ解除部40に蓄電池21から放電された電力を供給する。
【0037】
電力供給判定部24は、パワーコンディショナー10やセキュリティ解除部40に蓄電池21の電力を供給するかを判定する。具体的には、電力供給判定部24は、所在確認手段60から所在情報が送信されたとき、セキュリティ解除部40へ電力供給するよう判定する。この時、蓄電池21の電力はパワーコンディショナー10へも供給可能としてもよいし、パワーコンディショナー10への電力供給は抑制(減らすあるいは供給しない)ようにしてもよい。パワーコンディショナー10への電力供給を可能とすれば、蓄電装置20に蓄電した電力の活用の自由度が向上する。一方、パワーコンディショナー10への電力供給を抑制するようにすれば、セキュリティ解除部40へ供給する電力の確保がより確実に行える。
【0038】
このような電力供給選択部23及び電力供給判定部24により、所在情報が検出されたときには、蓄電池21の電力がセキュリティ解除部40に供給される。所在情報が検出されていないときは、停電時や電力不足時、ピークシフト時など蓄電池21の電力はパワーコンディショナー10に供給可能とするが、セキュリティ解除部40には供給されない。
【0039】
図3を用いて、このような構成の蓄電装置20を備えたセキュリティシステムIの動作について説明する。
図3は、セキュリティシステムIの動作を示すフロー図である。
【0040】
まず、居住者が住宅を出て、オートロック式扉30が施錠状態になっているとする。このような施錠状態において、蓄電装置20は、定期的にサーバ装置50の所在確認手段60から所在情報を取得する(ステップS1)。
【0041】
次に、蓄電装置20は、所在情報の真偽に基づきセキュリティ解除部40への電力供給を判定する。蓄電装置20の電力供給判定部24は、所在情報が偽であるならば(ステップS2;No)、セキュリティ解除部40への電力供給をしないとの判定をする。そして、蓄電装置20の電力供給選択部23は、セキュリティ解除部40への電力供給を停止(すでに電力供給をしていた場合はそれを維持)する(ステップS3)。
【0042】
このような蓄電装置20の動作によれば、居住者が住宅から所定範囲外に離れている場合には、セキュリティ解除部40へは電力が供給されず、セキュリティ解除部40が機能しない。このようにセキュリティ解除部40が機能しないため、オートロック式扉30の施錠状態が維持される。この結果、居住者以外の者が不正な手段でオートロック式扉30を解錠状態にしようとしても、オートロック式扉30が解錠されることはない。
【0043】
一方、居住者が帰宅した場合、所在確認手段60により住宅から所定範囲内に居住者が存在することが検出される。この場合、蓄電装置20の電力供給判定部24は、真である所在情報を取得することになる。すなわち、蓄電装置20の電力供給判定部24は、所在情報が真であるならば(ステップS2;Yes)、セキュリティ解除部40への電力供給をするとの判定をする。そして、蓄電装置20の電力供給選択部23は、セキュリティ解除部40への電力供給を開始する(ステップS4)。
【0044】
このような蓄電装置20の動作によれば、居住者が住宅から所定範囲内にいる場合には、セキュリティ解除部40に電力が供給され、セキュリティ解除部40が動作可能な状態となる。このようにセキュリティ解除部40が動作可能となるので、セキュリティ解除部40は、居住者が所有する電子キーに反応して、オートロック式扉30を解錠状態にすることができる。
【0045】
以上に説明したように、本実施形態に係るセキュリティシステムIは、居住者が住宅から所定範囲内に存在する場合に限って、セキュリティ解除部40に電力を供給して動作可能状態とする。そして、動作可能状態にあるセキュリティ解除部40に対して電子キー等を用いることでオートロック式扉30を解錠状態にすることができる。居住者が住宅から所定範囲外に存在する場合においては、セキュリティ解除部40に電力を供給せずに動作不可状態とする。この結果、居住者以外の者が不正な手段でオートロック式扉30を解錠状態にしようとしても、オートロック式扉30が解錠されることはない。
【0046】
このように本実施形態に係るセキュリティシステムIは、オートロック式扉30を解錠状態にするためのセキュリティをより一層向上することができる。
【0047】
また、本実施形態のセキュリティシステムIは、所在確認手段60をサーバ装置50に設け、サーバ装置50に送信される居住者が所有する携帯情報端末51からの位置情報を所在確認手段60が取得する事により、サーバ装置50内で居住者の所在を判定する。このような処理によりセキュリティ解除部40への給電が自動的に行われるので、セキュリティ解除部40に電力を供給するための作業を居住者に強いることはない。すなわち、居住者にとっては、電子キーなどを用いてオートロック式扉30を解錠するという、従来技術と同じ作業のみですむ。このように本実施形態のセキュリティシステムIは、居住者にとって新たな作業を強いることなく、利便性を向上することができる。
【0048】
〈実施形態2〉
実施形態1では、所在確認手段60は、サーバ装置50に設けられ、携帯情報端末51から位置情報を取得する事で居住者が住宅から所定範囲内に存在するかを判定した。本実施形態では、実施形態1とは異なる態様の所在確認手段について説明する。
図4は、本実施形態に係るセキュリティシステムIIの構成図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
セキュリティシステムIIは、電力供給装置70を備えている。電力供給装置70は、電気自動車71に電力を供給可能な装置である。本実施形態の電力供給装置70は、充電ケーブルが接続されるコネクタ部、該コネクタ部をパワーコンディショナー10に接続する配線部、コネクタ部を接地させるアース配線等から構成されている。このような電力供給装置70によれば、充電用ケーブルで電気自動車71がコネクタ部に接続された際に、パワーコンディショナー10から電力供給装置70を介して電気自動車71に電力が供給される。
【0050】
また、本実施形態の蓄電装置20Aは、実施形態1の蓄電装置20の構成に、所在確認手段60Aが加わった構成となっている。蓄電装置20Aに設けられた所在確認手段60Aは、充電ケーブルとコネクタ部を用いて電力供給装置70が電気自動車71に接続されて、電力の供給が行われているときに、居住者が住宅から所定範囲内に存在していると検出する。一方、電力供給装置70から電気自動車71が外されて電力の供給が停止したとき、居住者は住宅から所定範囲外に存在していると検出する。この検出は、例えば、パワーコンディショナー10から電力供給装置70へ電力が供給されているか否かの情報を所在確認手段60Aが受け取ることで行うことができる。パワーコンディショナー10から電力供給装置70へ電力が供給されているときには、電力供給装置70が電気自動車71に接続されていると判断されることで、所在確認手段60Aの検出結果は、居住者が住宅から所定範囲内に存在しているものとなる。逆に、パワーコンディショナー10から電力供給装置70へ電力が供給されていないときには、電力供給装置70が電気自動車71に接続されていないと判断されることで、所在確認手段60Aの検出結果は、居住者が住宅から所定範囲内に存在していないものとなる。なお、
図4のようなパワーコンディショナー10と蓄電装置20Aとの接続とは別に、所在確認手段60Aと電力供給装置70とを接続して、充電ケーブルの電力供給がされているか否かを検出するセンサの検出結果をデータとして所在確認手段60Aへ送ることで、センサの検出結果に基づき所在確認手段60Aが居住者の有無を検出するようにしてもよい。
【0051】
このような構成の蓄電装置20Aを備えたセキュリティシステムIIの動作について説明する。なお、図面については実施形態1の
図3とほぼ同様であるので、
図3を参照しながら説明する。
【0052】
まず、居住者が住宅を出て、オートロック式扉30が施錠状態になっているとする。このような施錠状態において、蓄電装置20Aの所在確認手段60Aは、定期的に電力供給装置70から電気自動車71に電力が供給されたかを監視する。所在確認手段60Aは、定期的に電力供給装置70から電気自動車71に電力が供給されていれば、所在情報を真とし、電力が供給されていなければ、所在情報を偽とする。
【0053】
次に、蓄電装置20Aの所在確認手段60Aは、所在情報が偽であるならば(
図3のステップS2;No参照)、セキュリティ解除部40への電力供給をしないとの判定をする。そして、蓄電装置20Aの電力供給選択部23は、セキュリティ解除部40への電力供給を停止(すでに電力供給をしていた場合はそれを維持)する(
図3のステップS3参照)。
【0054】
このような蓄電装置20Aの動作によれば、居住者が住宅から所定範囲外に離れている場合には、セキュリティ解除部40へは電力が供給されず、セキュリティ解除部40が機能しない。このようにセキュリティ解除部40が機能しないため、オートロック式扉30の施錠状態が維持される。この結果、居住者以外の者が不正な手段でオートロック式扉30を解錠状態にしようとしても、オートロック式扉30が解錠されることはない。
【0055】
一方、居住者が電気自動車71に乗って帰宅し、充電用ケーブルで電気自動車71を電力供給装置70に接続した場合、所在確認手段60Aは、住宅から所定範囲内に居住者が存在することを表す所在情報を検出する。したがって、蓄電装置20Aの電力供給判定部24は、所在情報が真であるならば(
図3のステップS2;Yes参照)、セキュリティ解除部40への電力供給をするとの判定をする。そして、蓄電装置20Aの電力供給選択部23は、セキュリティ解除部40への電力供給を開始する(
図3のステップS4参照)。
【0056】
このような蓄電装置20Aの動作によれば、居住者が住宅から所定範囲内にいる場合には、セキュリティ解除部40に電力が供給され、セキュリティ解除部40が動作可能な状態となる。このようにセキュリティ解除部40が動作可能となるので、セキュリティ解除部40は、居住者が所有する電子キーに反応して、オートロック式扉30を解錠状態にすることができる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態に係るセキュリティシステムIIは、居住者が電気自動車71を自宅で充電したことを検出したときに、居住者が住宅から所定範囲内に存在すると見なす。この場合に限って、セキュリティ解除部40に電力を供給して動作可能状態とする。そして、動作可能状態にあるセキュリティ解除部40に対して電子キー等を用いることでオートロック式扉30を解錠状態にすることができる。居住者が電気自動車71を電力供給装置70から外した場合は、居住者が住宅から所定範囲外に存在すると見なし、セキュリティ解除部40に電力を供給せずに動作不可状態とする。この結果、居住者以外の者が不正な手段でオートロック式扉30を解錠状態にしようとしても、オートロック式扉30が解錠されることはない。なお、電気自動車71が搭載した蓄電池が満充電となった等の理由で電気自動車71を電力供給装置70から外した場合などは居住者が住宅内に存在することも考えられる。このような場合を考慮して、居住者が外出先から車で自宅に戻ってきた後、つまり、居住者が住宅から所定範囲外に存在する(
図3のステップS2において所在情報が偽)状態から居住者が住宅から所定範囲内に存在する(
図3のステップS2において所在情報が真)状態に変わった後は、電気自動車71を電力供給装置70から外した場合でもセキュリティ解除部40は動作可能状態に維持するようにしてもよい。
【0058】
このように本実施形態に係るセキュリティシステムIは、オートロック式扉30を解錠状態にすることが居住者によってのみ可能とすることができ、セキュリティをより一層向上することができる。
【0059】
また、本実施形態のセキュリティシステムIIは、所在確認手段60Aを蓄電装置20Aに設け、電気自動車71への電力供給の有無に基づいて居住者の所在を判定する。このような処理によりセキュリティ解除部40への給電が自動的に行われるので、セキュリティ解除部40に電力を供給するための作業を居住者に強いることはない。さらに、外部のサーバ装置50が不要であり、セキュリティ解除部40への電力供給の可否を蓄電装置20A単体で判断できる。これにより、サーバ装置50との通信不良や、サーバ装置50の不調に影響されずに、可用性が向上したセキュリティシステムIIとなる。
【0060】
〈実施形態3〉
実施形態1では、サーバ装置50に設けられた所在確認手段60を用い、実施形態2では、蓄電装置20Aに設けられた所在確認手段60Aを用いたが、これらを併用してもよい。
図5は、本実施形態に係るセキュリティシステムIIIの構成図である。なお、実施形態1及び実施形態2と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
セキュリティシステムIIIは、実施形態1のセキュリティシステムIに、実施形態2の所在確認手段60A及び電力供給装置70を加えた構成となっている。実施形態1の所在確認手段60は実施形態3の第1所在確認手段に相当し、実施形態2の所在確認手段60Aは実施形態3の第2所在確認手段に相当する。よって、
図5では第1所在確認手段の符号を60とし、第2所在確認手段の符号を60Aとする。蓄電装置20Bに設けられた第2所在確認手段60Aは、蓄電装置20B内の蓄電池から電力供給可能なように構成されている。
【0062】
このような構成のセキュリティシステムIIIの動作について説明する。
図6は、セキュリティシステムIIIの動作を示すフロー図である。
【0063】
まず、居住者が住宅を出て、オートロック式扉30が施錠状態になっているとする。ここで、蓄電装置20Bは、系統電力2が停電しているか否かを判定する(ステップS1−1)。系統電力2が停電していなければ(ステップS1−1;No)、第1所在確認手段60を用い(ステップS1−2)、系統電力2が停電していれば(ステップS1−1;Yes)、第2所在確認手段60Aを用いる(ステップS1−3)。
【0064】
以降、所在情報の取得及び判定(ステップS1、ステップS2)、セキュリティ解除部40への電力供給の開始・停止の判定(ステップS3、ステップS4)は、実施形態1及び実施形態2で述べた処理と同様であるので説明は省略する。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態に係るセキュリティシステムIIIは、系統電力2から電力が供給されているか否かにより、第1所在確認手段60又は第2所在確認手段60Aの何れかを選択する。第1所在確認手段60は、外部のサーバ装置50や無線通信手段を用いている。このため、系統電力2が停電していると、それらを用いた第1所在確認手段60による所在の判定を行えない可能性が高い。
【0066】
しかしながら、系統電力2が停電している場合は、蓄電池21を備えて稼動する蓄電装置20に備わる第2所在確認手段60Aを用いて居住者の所在を判定する。したがって、サーバ装置50等が停電で利用できない場合においても、居住者が住宅から所定範囲内にいることを検出することができる。
【0067】
このように、本実施形態に係るセキュリティシステムIIIによれば、停電時においても、居住者が住宅から所定範囲内に存在するときのみ、セキュリティ解除部40に電力を供給して動作可能状態とすることができ、セキュリティをより一層向上することができる。
【0068】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能なものである。
【0069】
上述の実施形態では、電力制御装置の一例として、蓄電池を有し、その蓄電池の電力をセキュリティ解除部へ供給する蓄電装置を用いたが、このような態様に限定されない。すなわち、居住者の所在に基づいて蓄電装置からセキュリティ解除部への電力供給を許可するか否かとするものであるが、セキュリティ解除部への電力供給を蓄電装置以外のもので行うものとしてもよい。例えば、電力制御装置として、上述した居住者の所在確認の判定結果に基づきパワーコンディショナーからの電力をセキュリティ解除部へ供給制御する装置としてもよい。この場合は、所在確認手段の判定結果に基づきパワーコンディショナーからの電力をセキュリティ解除部へ供給することを許可あるいは禁止するスイッチを備え、当該スイッチがパワーコンディショナーとセキュリティ解除部との間に設けられた電力制御装置とすることで可能である。なお、上述した実施形態のように、蓄電装置を備えたセキュリティシステムの場合にはセキュリティ解除部への電力供給を蓄電装置から行うものとし、その電力供給を、居住者の所在に基づいて制御するものでは、スイッチのような構成を設けることなく、停電時にも確実にセキュリティ解除部への電力供給制御を行えるといったメリットがある。
【0070】
また、上述の実施形態では、居住者の所在に基づいてセキュリティ解除部へ電力供給することでセキュリティ解除部を有効(動作可能)とするものとしたが、居住者の所在に基づいてセキュリティ解除部への入力を許可するものとしてもよい。例えば、セキュリティ装置(セキュリティ解除部を含む)にはパワーコンディショナーから電力が常時供給されているものとする。セキュリティ装置にタッチパネルが設けられ、このタッチパネルから所定の解除コードを入力することでセキュリティ解除部はセキュリティ解除をするものとする。ここで、居住者の所在確認の判定結果に応じてタッチパネルからの入力を制御する制御手段を設けることで、居住者の所在が確認されていると判定されるときには、制御手段によりタッチパネルからの入力を有効とするようにし、居住者の所在が確認されていないと判定されるときには、制御手段によりタッチパネルの表示をオフ状態に維持することでタッチパネルからの入力を無効とするようにする。このようにすることでもセキュリティを向上することができる。なお、上述した実施形態のように、蓄電装置を備えたセキュリティシステムの場合にはセキュリティ解除部への電力供給を蓄電装置から行うものとし、その電力供給を、居住者の所在に基づいて制御するものでは、制御手段のような構成を設けることなく、停電時にも確実にセキュリティ解除部への電力供給制御を行えるといったメリットがある。
【0071】
また、上述の実施形態では、携帯情報端末等の位置情報や電気自動車への電力供給状態に基づいて居住者の所在確認(推定)をするものとしたが、居住者特有の生活パターンに基づき居住者の所在確認をするようにしてもよい。例えば、所在確認手段を住宅内の電気機器(例えば照明)と接続しておいて各電気機器が使用されているか否かを所在確認手段にて確認できるようにしておくとともに、居住者が帰宅した際の行動に伴う電気機器(例えば照明)の使用順序をあらかじめ所在確認手段に登録しておき、居住者が帰宅した際の行動パターンに基づいて使用される各部屋の照明の使用順序が所定の順番で行われたことが検出された際に居住者が所在するものと認識するものとしてもよい。
【0072】
例えば、上述の実施形態では、セキュリティ装置の一例としてオートロック式扉30を用いたが、これに限定されない。例えば、建物の出入口等に侵入検出センサーを設け、この侵入検出センサーで検出された信号に基づいて警報を発する警報手段とを備え、侵入検出センサー及び警報手段が機能する動作状態と、機能しない非動作状態とを電気的に切り替えることが可能な装置構成をセキュリティ装置としてもよい。
【0073】
また、所在確認手段60は、上述したように、携帯情報端末51から位置情報を取得することにより居住者の所在を判定するものに限定されない。例えば、Bluetooth(登録商標)など近距離無線通信により、携帯情報端末51が蓄電装置20に近接したことを検出したとき、居住者が住宅から所定範囲内に存在すると判定してもよい。また、GPS装置を有する自動車から位置情報を取得するようにしてもよい。GPS装置を有するのであればここでいう“自動車”には自動二輪車、自動三輪車、自動四輪車などいずれも含む。
【0074】
また、蓄電装置20に、携帯情報端末51のように非接触で蓄電装置に近接したことを検出する態様に限定されず、物理的な接触を伴う機器を用いて居住者の所在を判定してもよい。例えば、蓄電装置20に機械式の鍵穴を設け、これに適合する鍵で解錠動作されたことを検知したとき、居住者が住宅から所定範囲内に存在すると判定する所在確認手段を用いてもよい。