(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記燃料供給用配管の容積と、前記燃料供給用配管と連通される容積タンクの容積との和を変動させることにより、前記固有振動数を前記燃料供給圧力の振動数から離れるように調整する、請求項1に記載の燃料供給システム。
【背景技術】
【0002】
メタン、エタン、プロパン等の炭素化合物を主成分とする天然ガスを燃料として用いるディーゼルエンジンを船舶の主機関に採用することが行われている。ディーゼルエンジンは高温・高圧の燃料を必要とするため、ディーゼルエンジンに燃料を供給する燃料供給システムは、燃料となる天然ガスを圧縮するポンプや加熱装置等からなる燃料供給装置を備える。
【0003】
液化天然ガス(LNG)運搬船等においては、爆発の危険を回避するために、安全規則上、LNGタンクやLNGを燃料としてディーゼルエンジンに供給する燃料供給装置は、ディーゼルエンジンと一定の距離を空けて配置される。このため、燃料供給装置とディーゼルエンジンとの間には、燃料供給装置からディーゼルエンジンへ燃料を供給する燃料供給用配管が設けられる。例えば、18万m
3の積載容量のLNG運搬船の場合、燃料供給用配管の長さは約200〜300mとなる。
【0004】
ディーゼルエンジンに供給する燃料には、エンジンに燃料を供給する燃料噴射バルブの開閉周期に応じた振動数の圧力振動が生じる。一方、一定の長さを有する配管は、その容積に応じて一定の体積を有するため、燃料のような流体を配管により所定の圧力で供給する場合、配管内の燃料の体積弾性率が定まり、体積弾性率に応じて配管内の燃料圧力の固有振動数が定まる。この固有振動数と、配管内の燃料供給圧力の振動数とが一致すると、共振によって配管に振動が生じる。この振動により、エンジンや燃料供給装置に不具合が生じるおそれがある。
【0005】
配管内の圧力変動を低減するために、燃料供給用の配管の長さを調節し、燃料の音響波の干渉によって配管内の圧力変動を低減する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LNG運搬船のような船舶では、気象、海流、波に影響されて、推進用プロペラは外乱を受け、プロペラに直結された推進用エンジンの回転数が変動し、推進用エンジンの燃料の需要が変動する。このため、エンジンに燃料を供給する燃料噴射バルブの開閉周期が変動し、燃料供給用配管内の燃料供給圧力の振動数が変動する。このとき、燃料供給圧力の振動数が、燃料供給用配管内の燃料圧力の固有振動数と一致すると、共振により燃料供給用配管に振動が生じ、エンジンや燃料供給装置に不具合が生じるおそれがある。外乱によるエンジン回転数の変動は予測できず、エンジン回転数の変動に合わせて配管の長さを調節することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、一定の長さの燃料供給用配管を用いながら、燃料供給用配管内の燃料供給圧力の振動数が外乱により変動した場合でも、燃料供給圧力の振動数が燃料供給用配管内の燃料圧力の固有振動数と一致することを防ぐことができる燃料供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、船舶のディーゼル機関の燃焼室内へ燃料を供給する燃料供給システムであって、
推進用エンジンに供給するための高圧の燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から前記推進用エンジンに燃料を搬送する燃料搬送部と、
を備え、
前記燃料搬送部は、前記燃料供給装置と前記推進用エンジンとを接続する燃料供給用配管と、
前記燃料供給用配管と接続される複数の容積タンクと、
前記燃料供給用配管と前記容積タンクのそれぞれとの接続部に設けられる制御弁と、
前記推進用エンジンに設けられた燃料弁の開閉周期によって、前記燃料が前記燃料供給用配管から前記推進用エンジンに周期的に供給されることにより変動する前記燃料供給用配管内の燃料供給圧力の振動数を算出する算出部と、
前記燃料中の音速と、前記燃料供給用配管の長さと、により定まる燃料圧力の固有振動数が前記燃料供給圧力の振動数から離れるように、前記振動数に応じて前記制御弁の開度を調節することで前記固有振動数を調整する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記振動数と、前記振動数から離れた前記固有振動数と、を対応させた第1ルックアップテーブルを有し、前記算出部で算出した前記燃料供給圧力の前記振動数から前記第1ルックアップテーブルを参照して前記固有振動数を算出する、ことを特徴とする。
前記制御部は、前記燃料供給用配管の容積と、前記燃料供給用配管と連通される容積タンクの容積との和を変動させることにより、前記固有振動数を前記燃料供給圧力の振動数から離れるように調整する、ことが好ましい。
前記燃料供給用配管と連通される前記容積タンクの合計の容積は、前記制御弁の開閉により複数のレベルに設定することができるように前記容積タンクは構成され、
前記制御部は、前記合計の容積を、前記振動数に応じて前記複数のレベルの1つに調整することにより前記固有振動数を調整する、ことが好ましい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様も、船舶のディーゼル機関の燃焼室内へ燃料を供給する燃料供給システムである。当該燃料供給システムは、
推進用エンジンに供給するための高圧の燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から前記推進用エンジンに燃料を搬送する燃料搬送部と、
を備え、
前記燃料搬送部は、前記燃料供給装置と前記推進用エンジンとを接続する燃料供給用配管と、
前記燃料供給用配管と接続される複数の容積タンクと、
前記燃料供給用配管と前記容積タンクのそれぞれとの接続部に設けられる制御弁と、
前記推進用エンジンに設けられた燃料弁の開閉周期によって、前記燃料が前記燃料供給用配管から前記推進用エンジンに周期的に供給されることにより変動する前記燃料供給用配管内の燃料供給圧力の振動数を算出する算出部と、
前記燃料中の音速と、前記燃料供給用配管の長さと、により定まる燃料圧力の固有振動数が前記燃料供給圧力の振動数から離れるように、前記振動数に応じて前記制御弁の開度を調節することで前記固有振動数を調整する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記振動数と、前記振動数から前記固有振動数を離れさせるための前記制御弁の開閉の制御情報と、を対応させた第2ルックアップテーブルを有し、前記算出部で算出した前記燃料供給圧力の前記振動数から前記第2ルックアップテーブルを参照して前記制御弁の開閉の制御情報を求めて前記制御弁の開度を調整する、ことを特徴とする。
【0011】
前記推進用エンジンの回転数を計測する回転計をさらに備え、
前記算出部は、前記回転計の計測結果に基づき燃料供給圧力の振動数を算出する、ことが好ましい。
【0012】
前記燃料供給用配管内の燃料の圧力を計測する圧力計をさらに備え、
前記算出部は、前記圧力計の計測結果に基づき燃料供給圧力の振動数を算出する、ことが好ましい。
【0013】
前記燃料供給用配管内の燃料の温度を計測する温度計をさらに備え、
前記算出部は、前記温度計の計測結果に基づき燃料供給圧力の振動数を算出する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃料供給用配管と容積タンクとの接続部に設けられる制御弁の開度を調節して燃料供給用配管内の燃料の体積弾性率を変動させることで、燃料供給用配管の燃料圧力の固有振動数が算出した燃料供給圧力の振動数から離れるように調節し、共振によりエンジンや燃料供給装置に不具合が生じることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る燃料供給システムを
図1に基づいて説明する。
本実施形態は、船舶の推進用エンジンとして用いられるディーゼル機関の燃焼室内へ燃料を供給する燃料供給システムであり、液化天然ガスを運搬するLNG船において、液化天然ガスを推進用エンジンで利用するのに特に好適に用いられる。
【0017】
燃料供給システムは、燃料供給装置10と、燃料搬送部30と、等を備える。
【0018】
燃料供給装置10は、燃料を推進用エンジン20で燃焼するのに必要な圧力に昇圧するとともに必要な温度に加熱して供給する装置である。燃料供給装置10は、
図1に示すように、燃料タンク11と、昇圧ポンプ12と、熱交換器13と、等を備える。
燃料タンク11は、推進用エンジン20に供給される燃料を貯留する。燃料として、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)等を用いることができる。燃料タンク11は、昇圧ポンプ12と接続されており、燃料タンク11内の燃料は昇圧ポンプ12に供給される。
【0019】
昇圧ポンプ12は、入口側が燃料タンク11と接続され、出口側が熱交換器13と接続されている。昇圧ポンプ12は、燃料タンク11から供給される燃料を例えば20〜50MPaに昇圧し、熱交換器13に供給する。昇圧ポンプ12には、可動部(プランジャー等)が往復運動を行う形式の往復ポンプを用いることができる。推進用エンジン20が要求する燃料圧力に応じ、昇圧ポンプ12が供給する燃料量が調整される。
【0020】
熱交換器13は、入口側が昇圧ポンプ12と接続され、出口側が燃料供給用配管31と接続されている。熱交換器13は、昇圧ポンプ12から供給される昇圧後の燃料を例えば45℃に加熱する。燃料を加熱する熱源として、例えば、燃料タンク11で発生するボイルオフガスの燃焼熱を用いることができる。例えば、ボイルオフガスの燃焼熱で加熱した温水との熱交換により燃料を加熱してもよい。
熱交換器13で加熱された燃料は燃料搬送部30により推進用エンジン20に供給される。
【0021】
〔推進用エンジン〕
推進用エンジン20は船舶に搭載されるディーゼルエンジンであり、例えば2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンを用いることができる。推進用エンジン20は燃料搬送部30から供給される燃料により駆動される。燃料搬送部30から供給される燃料の量は、燃料弁25により制御される。推進用エンジン20はシャフト21を介して推進用プロペラ22を回転させる。シャフト21には回転計23が設けられている。回転計23はシャフト21の回転数を計測し、回転数を示す回転数信号を調速機24および算出部40に出力する。
【0022】
推進用エンジン20の出力は、調速機24により調整される。調速機24には回転計23からシャフト21の回転数を示す回転数信号が入力され、調速機24はシャフト21の回転数が一定となるように推進用エンジン20の燃焼室への燃料供給量を調節する燃料供給量指令信号を燃料弁25および算出部40に出力する。
【0023】
〔燃料搬送部〕
燃料搬送部30は、燃料供給用配管31と、分岐配管32(1)、32(2)、…、32(n)と、容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)と、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)と、算出部40と、容積制御部50と、等を備える。
【0024】
燃料供給用配管31は燃料供給装置10と推進用エンジン20とを接続し、燃料供給装置10から推進用エンジン20に燃料を搬送する。
燃料供給用配管31内の燃料の圧力は、燃料弁25の開閉に応じて変動するため、燃料供給用配管31内の燃料には、燃料弁25の開閉周期に応じた振動数の振動が生じる。このため、燃料供給用配管31の長さは、設定された基準条件下で推進用エンジン20に燃料が供給されることにより生じる燃料供給圧力の振動数において共振が生じないような長さ(基準長さ)とすることが好ましい。しかし、気象、海流、波の影響により、推進用プロペラ22が外乱を受け、推進用プロペラ22の回転数が変動すると、推進用エンジン20の燃料の需要が変動し、燃料弁25の開閉周期が変動するため、燃料供給用配管31内の燃料供給圧力の振動数が変動する。燃料供給圧力の振動数が燃料供給用配管31の燃料圧力の固有振動数(燃料供給用配管31内の燃料の圧力に生じる定常波の振動数。以下単に「固有振動数」という。)に近づき、共振が生じるおそれがある。本実施形態では、後述するように、燃料供給圧力の振動数の変化によって燃料供給用配管31の共振が生じないように、固有振動数を調節することで、共振を防ぐことができる。
【0025】
容積タンク33(1)は分岐配管32(1)を介して、容積タンク33(2)は分岐配管32(2)を介して、…、容積タンク33(n)は分岐配管32(n)を介して、燃料供給用配管31と接続されている。制御弁34(1)は分岐配管32(1)に、制御弁34(2)は分岐配管32(2)に、…、制御弁34(n)は分岐配管32(n)に、設けられている。なお、分岐配管32(1)、32(2)、…、32(n)の長さは、燃料供給用配管31の長さに比べて極めて短い。
制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)は、基準条件で、所定の開度に設定されている。例えば、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)は、基準条件で、全て閉じた状態になっている。
【0026】
燃料供給用配管31には、圧力計35、温度計36が設けられている。
圧力計35は燃料供給用配管31の内部の燃料供給圧力を計測し、計測した圧力を示す圧力信号を算出部40に出力する。
温度計36は燃料供給用配管31の内部の燃料の温度を計測し、計測した温度を示す温度信号を算出部40に出力する。
【0027】
算出部40には、回転計23から回転数信号が、調速機24から燃料供給量指令信号が、圧力計35から圧力信号が、温度計36から温度信号が入力される。
算出部40は、入力される信号に基づき、燃料供給圧力の振動数を算出する。
なお、燃料供給圧力の振動数は、燃料弁25の開閉周波数に依存するが、必ずしも開閉周波数に一致せず、多様なモードの振動数を含む。そこで、例えば、算出部40に入力される信号の波形をフーリエ変換し、最大ピークとなる振動数を燃料供給圧力の振動数として決定してもよい。
また、燃料の振動により燃料供給用配管31と共振が生じうる所定の範囲における最大ピークを燃料供給圧力の振動数として決定してもよい。例えば、基準条件における固有振動数のうち、最も小さい基本振動数に近い所定の範囲(例えば基本振動数の0.5〜1.5倍の範囲)で最大ピークとなる振動数を燃料供給圧力の振動数として決定してもよい。
【0028】
燃料供給圧力の振動数を算出するのに用いる信号は任意である。例えば、算出部40は、推進用エンジン20への燃料供給によって変動する燃料供給用配管31内の燃料供給圧力を示す圧力信号に基づき、燃料供給圧力の振動数を算出することができる。
また、算出部40は、燃料弁25に出力される燃料供給量指令信号に基づき、燃料弁25の開閉周期を算出し、燃料弁25の開閉周期に応じて燃料供給用配管31内の燃料供給圧力が変動すると推定して燃料供給圧力の振動数を算出してもよい。
【0029】
また、算出部40は、シャフト21の回転数を示す回転数信号に基づき、燃料弁25の開閉周期を予測し、燃料供給圧力の振動数を算出してもよい。シャフト21の回転数は、気象、海流、波等の外乱による影響を推進用プロペラ22が受けたことにより変動する。シャフト21の回転数に応じて推進用エンジン20の燃料需要が変動するため、回転数信号に基づいて燃料供給圧力の振動数を予測することで、外乱により変動した燃料供給圧力の振動数において燃料供給用配管31の共振が生じないように、固有振動数を調節することができる。
【0030】
なお、燃料の温度は燃料の圧力に応じて変化するため、算出部40は、燃料供給用配管31内の温度を示す温度信号に基づき、燃料供給圧力の振動数を算出してもよい。
【0031】
算出部40は、算出した燃料供給圧力の振動数に基づき、燃料供給用配管31内の燃料圧力の好ましい固有振動数を決定し、決定した固有振動数が得られるように制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を調節するための制御信号を容積制御部50に出力する。
【0032】
ここで、固有振動数は、燃料供給用配管31内の燃料中の音速に基づいて定まる。具体的には、固有角振動数をω
n(nは自然数)とすると、固有角振動数ω
nは以下の式(1)により表される。
【0034】
式中、cは燃料中の音速であり、lは燃料供給用配管31の長さである。なお、式(1)では燃料供給用配管31を両端が開口の管とし、開口端補正および分岐配管32(1)、32(2)、…、32(n)の影響を無視している。
式(1)より、燃料供給用配管31内の燃料中の音速cを調節することで、固有角振動数を調節することができる。
【0035】
ここで、燃料の密度をρ、燃料の体積弾性率をKとすると、音速cは以下の式(2)により表される。
【0037】
式(2)より、燃料の体積弾性率を変動させることで、燃料中の音速を調整することができる。
【0038】
ここで、燃料供給配管31および燃料供給配管31と内部空間が連続する容積タンク33の内容積の合計(燃料の体積)をV、圧力をpとすると、体積弾性率Kは以下の式(3)により表される。
【0040】
式(3)より、燃料の体積を変動させることで、燃料の体積弾性率を変動させることができる。
したがって、式(1)〜(3)より、燃料の体積を変動させることで、固有角振動数を調節することができる。
【0041】
固有振動数は、燃料供給圧力の振動数によって燃料供給用配管31の共振が生じない振動数とすることが好ましい。具体的には、固有振動数が、燃料供給圧力の振動数から離れるように調節することが好ましい。
例えば、燃料供給の角振動数をωとすると、ω
k-1<ω≦ω
k(kは自然数)となるω
k-1およびω
kに対し、ω
k-1およびω
kがωから離れるようにVを調節することで、共振が生じないように固有角振動数を調節することができる。例えば、(ω
k-1+ω
k)/2≒ωとなるように、Vを調節すればよい。
ここで、式(1)において、n=1のときの固有角振動数をω
1とすると、ω
k-1=(k−1)ω
1、ω
k=kω
1である。したがって、(k−1/2)ω
1≒ωとなるように、ω
1がω/(k−1/2)に近づくようにVを調節すればよい。この場合、Vの変化量を最小限にすることができ、開閉する制御弁34の数を最小限にすることができる。また、Vの変化量が最小限となるので、Vを大きく変化させる場合よりも燃料の圧力変化の応答速度を高めることができる。
【0042】
なお、容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の容積は、すべて同一であってもよいし、異なる容積であってもよい。
例えば、容積タンク33(1)の容積は燃料供給配管31の内容積と同一、容積タンク33(2)の容積は容積タンク33(1)の容積の2倍、容積タンク33(3)の容積は、容積タンク33(1)の容積の4倍、…、容積タンク33(n)の容積は容積タンク33(1)の容積の2
n−1倍、となるようにしてもよい。すなわち、各容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の容積が、燃料供給配管31の容積vに対して2の累乗倍となるように設定してもよい。この場合、燃料供給配管31の容積をvとすると、n個の制御弁を用いて、Vをv〜2
nvの範囲で細かく調整することができる。
【0043】
また、例えば、燃料供給配管31の容積をvとしたとき、容積タンク33(1)の容積を3v、容積タンク33(2)の容積を5v、…容積タンク33(n)の容積を(2n+1)vとしてもよい。すなわち、燃料供給配管31の容積と燃料供給配管31に連通する容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の容積との和Vが、燃料供給配管31の容積vに対して、容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の数nの2乗倍となるように設定してもよい。この場合、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)を順次開くことで、Vをvの1倍、2
2倍、…、(n+1)
2倍に調整することができ、式(3)よりKを1倍、2
2倍、…、(n+1)
2倍に調整することができる。このため、式(2)より、燃料中の音速cを1倍、2倍、…、(n+1)倍に調整することができ、式(1)より基本角振動数ω
1を1倍、2倍、…、(n+1)倍に調整することができる。
【0044】
燃料供給配管31内の圧力損失や、分岐配管32(1)、32(2)、…、32(n)の容積等を考慮して固有振動数を調節するために、予め動特性シミュレーションや作動試験で得たデータを元にして、容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の容量や、燃料供給圧力の振動数に応じた制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を規定することが好ましい。
【0045】
なお、燃料供給圧力の振動数に対する好ましい固有振動数をあらかじめルックアップテーブルに記録しておき、燃料供給圧力の振動数を算出したときにルックアップテーブルを参照して好ましい固有振動数を決定してもよい。ルックアップテーブルを参照することで、計算の負担を軽減し、効率よく処理を行うことができる。
【0046】
容積制御部50は、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を調節する開度信号を制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)に出力し、決定された固有振動数が得られるように制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を調節する。具体的には、燃料供給用配管31および燃料供給用配管31に接続されている容積タンクの容積の和が、決定された好ましい固有振動数に対応する燃料の体積に最も近くなるように、制御弁を開く。
【0047】
例えば、燃料供給用配管31の容積と、容積タンク33(1)の容積との和が、決定された好ましい固有振動数に対応する燃料の体積に最も近い場合には、制御弁34(1)を開く。あるいは、燃料供給用配管31の容積と、容積タンク33(1)および容積タンク33(2)の容積との和が、決定された好ましい固有振動数に対応する燃料の体積に最も近い場合には、制御弁34(1)および制御弁34(2)を開く。
このように、燃料供給用配管31および燃料供給用配管31に接続されている容積タンクの容積の和が、決定された好ましい固有振動数に対応する燃料の体積に最も近くなるように、制御弁を開くことで、燃料供給圧力の振動数によって燃料供給用配管31の共振が生じることを防ぐことができる。
【0048】
また、例えば、全ての制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)が閉じているとき(基準条件下)の最小の固有振動数(基本振動数)をf
0、制御弁34(1)のみを開いたときの基本振動数をf
1、制御弁34(1)および制御弁34(2)のみを開いたときの基本振動数をf
2、制御弁34(1)、34(2)、…、34(k)(kはn以下の自然数)を開いたときの基本振動数をf
kとしたとき、燃料供給圧力の振動数をfとすると、f≦f
0/2の場合は全ての制御弁を閉じておき、f
0/2<f≦f
1/2のときは制御弁34(1)を開き、…f
k−1/2<f≦f
k/2のときは制御弁34(k)を開くように制御してもよい。
【0049】
なお、燃料供給圧力の振動数に対応して開くべき制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)をあらかじめルックアップテーブルに記録しておき、燃料供給圧力の振動数を算出したときにルックアップテーブルを参照して制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を調節する開度信号を出力してもよい。
【0050】
また、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を調整することで、固有振動数を微調整してもよい。制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)の開度を小さくし、制御弁34(1)、34(2)、…、34(n)を通過する燃料の流量を小さくすることで、容積タンク33(1)、33(2)、…、33(n)の容積を擬似的に小さくし、体積弾性率の微調整を行うことができる。
また、複数の容積タンクを設ける代わりに、大容量の容積タンクを1つのみ設け、制御弁の開度のみで体積弾性率の調整を行ってもよい。制御弁の開度を調整することで、燃料供給用配管31に接続されている容積タンクの容積を擬似的に調整し、体積弾性率の微調整を行うことができる。