【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の地盤構造探査方法は、
地面を起振して生じる地盤振動を非接触で検出して地盤構造を探査するための地盤構造探査方法であって、地盤振動を発生させる起振手段と、少なくとも非接触で振動を検出する複数のセンサからなるセンサ群と、少なくとも吸音材からなり地面近傍まで延設された雑音低減手段と、を用い、前記起振手段により地盤振動を発生させる起振工程と、前記雑音低減手段によって囲まれた空間内に配置された前記センサ群によって、前記起振工程により発生させた地盤振動を非接触で検出する振動検出工程と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、センサ群の周囲を囲む雑音低減手段の大きさを最小探査波長から大きく離すことができるので、共鳴を生じることなく、均一で低レベルの背景雑音下にセンサ群を設置でき、精度の良い地盤構造探査を行うことができる。
【0010】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記振動検出工程は、前記複数のセンサの最小離間距離を測定対象とする振動の最小の波長の1/3より小さく、前記複数のセンサの最大離間距離を測定対象とする振動の最大の波長の1/3より大きく設定したセンサ群を用いて振動を検出することを特徴としている。
この特徴によれば、複数のセンサの離間距離は雑音低減手段内で自由に設定できるので、測定対象振動の最小波長から最大波長まで確実に検出できるように複数のセンサを配列できる。
【0011】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記振動検出工程は、前記複数のセンサを整列配置したセンサアレイからなるセンサ群を用いて振動を検出することを特徴としている。
この特徴によれば、複数のセンサは雑音低減手段内で任意の測線に沿って自由に整列配置して地盤探査することができる。
【0012】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記振動検出工程は、前記センサアレイを2列以上配置したセンサ群を用いて振動を検出することを特徴としている。
この特徴によれば、雑音低減手段内で2列以上からなるセンサアレイを任意の測線に沿って配置することによって地盤探査の精度を向上させることができる。
【0013】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記雑音低減手段は、前記センサ群を一括して取り囲むことを特徴としている。
この特徴によれば、雑音低減手段内での共鳴を防ぎ、センサ群全体を低い背景雑音下に配置できる。
【0014】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記振動検出工程によって検出された地盤振動を解析処理する解析手段をさらに用い、前記検出された地盤振動の高周波表面波を抽出してその高次モードを含む表面波分散曲線を求め、該高次モード表面波分散曲線をインバージョン解析して1次元S波速度層構造を求める解析処理工程を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、地盤の1次元S波速度層構造を非破壊で求めることができる。
【0015】
本発明の地盤構造探査方法は、
前記解析処理工程は、前記1次元S波速度層構造を求める解析を連続して実施し、空間的に補間して2次元S波速度層構造あるいは3次元S波速度層構造を求めることを特徴としている。
この特徴によれば、地盤の2次元、3次元S波速度層構造を非破壊で求めることができる。
【0016】
前記課題を解決するために、本発明の地盤構造探査装置は、
地面を起振して生じる地盤振動を非接触で検出して地盤構造を探査するための地盤構造探査装置であって、地盤振動を発生させる起振手段と、該起振手段により生じる前記地盤振動を非接触で検出する複数のセンサからなるセンサ群と、地面近傍まで延設された雑音低減手段と、を備え、前記センサ群は前記雑音低減手段によって囲まれた空間内に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、センサ群の周囲を囲む雑音低減手段の大きさは最小探査波長から大きく離すことができるので、共鳴を生じることなく、均一で低レベルの背景雑音下にセンサ群を設置でき、精度の良い地盤構造探査を行うことができる。
【0017】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記雑音低減手段は、吸音材からなり前記センサ群の周囲を囲む壁部及び天井部を備え、底部に開口部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、吸音材によって雑音低減手段内の反響を低減でき、均一で低レベルの背景雑音下でセンサ群は地盤からの振動を確実に検出することができる。
【0018】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記雑音低減手段は、防音材からなり前記吸音材の外部を覆う防音部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、吸音材の外部を覆う防音材により起振手段からセンサ群への直達音を遮断でき、均一で低レベルの背景雑音下にセンサ群を設置することができる。
【0019】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記センサ群は、複数のセンサを縦方向及び横方向に2次元配列されることを特徴としている。
この特徴によれば、雑音低減手段はその中にセンサ群を2次元配列できるので、精度の高い地盤構造を探査することができる。
【0020】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記センサ群は、前記複数のセンサを縦方向及び横方向に配列するとともに、地面から異なる高さに配置して3次元配列されることを特徴としている。
この特徴によれば、雑音低減手段はその中にセンサ群を3次元配列できるので、精度の高い地盤構造を探査することができる。
【0021】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記センサ群と前記雑音低減手段との間には第1防振部材が配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、起振手段からセンサへの直達音だけでなく、雑音低減手段を介して伝達する振動も減衰させて、探査精度を向上させることができる。
【0022】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記複数のセンサは、集音手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、複数のセンサは微弱な振動を確実に検出できる。
【0023】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記起振手段は、地面近接まで延設された雑音減衰手段によって囲まれた空間内に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、起振手段からセンサ群への直達音を減衰させて、探査精度を向上させることができる。
【0024】
本発明の地盤構造探査装置は、
少なくとも前記雑音低減手段を支持する支持部材及び該支持部材を移動可能とする移動手段を有する搬送手段をさらに備えることを特徴としている。
この特徴によれば、少なくとも雑音低減手段によって囲まれた空間内に配置されるセンサ群を容易に移動し、広範囲の地盤構造を効率的に探査することできる。
【0025】
本発明の地盤構造探査装置は、
少なくとも前記雑音低減手段と前記搬送手段との間に第2防振部材が配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送手段からセンサ群へ伝達する振動を減衰させて、探査精度を向上させることができる。
【0026】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記支持部材と前記移動手段との間に第3防振部材が配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、地面から搬送手段を介してセンサ群へ伝達する振動を減衰させて、探査精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記雑音低減手段は、該雑音低減手段と地面との距離を調整するための位置調整手段が配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、雑音低減手段は、搬送手段によって移動される際に地面に接触しないように位置を調整できるとともに、振動測定時には地面との距離を最適な位置に調整することができる。
【0028】
本発明の地盤構造探査装置は、
前記センサ群は、該センサ群と地面との距離を調整するためのセンサ位置調整手段が配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、センサ群は、搬送手段によって移動される際に地面に接触しないように位置を調整できるとともに、振動測定時には地面との距離を最適な位置に調整することできる。