特許第6582373号(P6582373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通ゼネラルの特許一覧

<>
  • 特許6582373-熱交換器 図000002
  • 特許6582373-熱交換器 図000003
  • 特許6582373-熱交換器 図000004
  • 特許6582373-熱交換器 図000005
  • 特許6582373-熱交換器 図000006
  • 特許6582373-熱交換器 図000007
  • 特許6582373-熱交換器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582373
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0067 20190101AFI20190919BHJP
   F24F 1/18 20110101ALI20190919BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20190919BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20190919BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20190919BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F24F1/0067
   F24F1/18
   F28D1/053 A
   F28F1/02 A
   F28F1/32 Y
   F28F1/32 V
   F28F21/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-176723(P2014-176723)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-50719(P2016-50719A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美弘
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−139166(JP,A)
【文献】 特開2003−287390(JP,A)
【文献】 特開2010−249343(JP,A)
【文献】 特開2002−318087(JP,A)
【文献】 特開2010−038439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0067
F24F 1/18
F28D 1/053
F28F 1/02
F28F 1/32
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配列され、内部に冷媒が流通する複数の扁平管と、前記扁平管に交差し空気を通過させるための隙間を設けて積層され、各前記扁平管の長さ方向と直交する方向から差し込むために一方向に開放する切欠き部を有する複数のフィンと、前記複数の扁平管の長さ方向の両端に取り付けられ内部で冷媒を分流・合流させる一対のヘッダとを備えた扁平管熱交換器ユニットを少なくとも2つ以上有する熱交換器であって、
前記切欠き部が前記扁平管の断面長手方向の幅と同じ深さを有し、
前記少なくとも2つの扁平管熱交換器ユニットが第1の扁平管熱交換器ユニットと第2の扁平管熱交換器ユニットとを含み、前記第1の扁平管熱交換器ユニットのフィンの風下側端部が前記第2の扁平管熱交換器ユニットのフィンの風上側端部に近接又は接触する状態で並べて配置され、
前記ヘッダは、前記熱交換器を前記扁平管の長さ方向から見たとき、前記フィンの前記切欠き部を有する一方の端部から外側の前記ヘッダの一方の外郭線までを距離L1とし、かつ、前記フィンの他方の端部から内側の前記ヘッダの他方の外郭線までを距離L2とするように形成され、
前記距離L2が前記距離L1よりも大きいことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機等に用いられる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機等に用いられる熱交換器では、高価格である銅材の削減及び伝熱効率を向上させる目的で、銅製である従来の円管熱交換器ユニットからアルミ製の扁平管熱交換器ユニットへの変更が検討されている(例えば、特許文献1参照)。扁平管熱交換器ユニットは、冷媒が流通する複数の扁平管と、複数の扁平管の両端に取り付けられ冷媒を分流させるヘッダと、扁平管に設けられる複数のフィンと、を備えている。
【0003】
図6は、従来例に係る扁平管熱交換器ユニット200を示しており、この扁平管熱交換器ユニット200は、平板状のフィン201を備える。フィン201は、風上側に向く方向から扁平管202を差し込むための切欠き部201aを有し、正面視において扁平管202の長さ方向と直交する方向に差し込んで配置される。そして、フィン201の空気流通方向の幅は、扁平管202及びヘッダ203よりも大きくなっている。したがって、フィン201は、側面視においてヘッダ203から空気が流通する風上方向及び風下方向に突出している。また、扁平管202は、空気流通方向(断面長手方向ともいう。)に延びた扁平な形状を有し、その内部には、空気流通方向に並ぶ複数の冷媒流路202aが平行に形成されている。なお、冷媒流路202aを有する扁平管202の断面を図6(e)に示すが、その他の図における扁平管202の断面は、冷媒流路202aを省略し、単なるハッチングとする。
【0004】
近年、熱交換器の熱交換効率を向上させる目的で、複数の熱交換器を空気流通方向に多列配置することが提案されている。
【0005】
このとき、ヘッダ203同士の間での熱交換を防止するために、上流側扁平管熱交換器ユニット200のヘッダ203と下流側扁平管熱交換器ユニット200のヘッダ203との間に所定の隙間S3を確保する必要がある。これは、ヘッダ203同士で熱交換してしまうと扁平管熱交換器ユニット200を流れる冷媒と空気との熱交換量が減少してしまうためである。図6に示す従来例の扁平管熱交換器ユニット200を多列配置する場合は、図7に示すように、上流側扁平管熱交換器ユニット200のヘッダ203と下流側扁平管熱交換器ユニット200のヘッダ203との間に所定の隙間S3を確保しつつ、上流側扁平管熱交換器ユニット200と下流側扁平管熱交換器ユニット200のフィン201同士を接触又は近接状態で配置することが可能である。しかし、フィン201の風上側の端部には切欠き部201aによる隙間S4が存在するので、隙間S3から流入した空気Aが、フィン201間の隙間S4を経由して下流側扁平管熱交換器ユニット200に流れ込み、上流側扁平管熱交換器ユニット200における通過空気量及び熱交換効率が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−164233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、扁平管熱交換器ユニットを多列配置するものでありながら、ヘッダ同士の間に隙間を確保しながら扁平管熱交換器ユニット間の隙間からの空気の流入を抑制し、上流側扁平管熱交換器ユニットにおける通過空気量の減少を抑え熱交換効率を向上させることができる熱交換器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものである。
【0009】
(1)本発明に係る1つの態様は、上下に配列され、内部に冷媒が流通する複数の扁平管と、前記扁平管に交差し空気を通過させるための隙間を設けて積層され、各前記扁平管の長さ方向と直交する方向から差し込むために一方向に開放する切欠き部を有する複数のフィンと、前記複数の扁平管の長さ方向の両端に取り付けられ内部で冷媒を分流・合流させる一対のヘッダとを備えた扁平管熱交換器ユニットを少なくとも2つ以上有する熱交換器であって、前記切欠き部が前記扁平管の断面長手方向の幅と同じ深さを有し、前記少なくとも2つの扁平管熱交換器ユニットが第1の扁平管熱交換器ユニットと第2の扁平管熱交換器ユニットとを含み、前記第1の扁平管熱交換器ユニットのフィンの風下側端部が前記第2の扁平管熱交換器ユニットのフィンの風上側端部に近接又は接触する状態で並べて配置され、前記ヘッダは、前記熱交換器を前記扁平管の長さ方向から見たとき、前記フィンの前記切欠き部を有する一方の端部から外側の前記ヘッダの一方の外郭線までを距離L1とし、かつ、前記フィンの他方の端部から内側の前記ヘッダの他方の外郭線までを距離L2とするように形成され、前記距離L2が前記距離L1よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)の熱交換器において、前記距離L2と前記距離L1との差α(=L2−L1)は、ヘッダの表面に生じた水滴が他方のヘッダの表面とブリッジしない程度の距離である所定の距離に設定されてもよい
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、扁平管熱交換器ユニットを多列配置する熱交換器において、扁平管熱交換器ユニット間の隙間から空気が流入することを抑制し、上流側扁平管熱交換器ユニットにおける通過空気量の減少を抑え熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を含む空気調和機の構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る熱交換器が備える扁平管熱交換器ユニットの図であり、(a)は扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は扁平管熱交換器ユニットの正面図、(c)は扁平管熱交換器ユニットの側面図、(d)は扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る熱交換器が備える扁平管熱交換器ユニットの要部拡大側面断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る熱交換器における扁平管熱交換器ユニットの第1配置例を示す図であり、(a)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る熱交換器における扁平管熱交換器ユニットの第2配置例を示す図であり、(a)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図である。
図6】従来例に係る扁平管熱交換器ユニットの図であり、(a)は扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は扁平管熱交換器ユニットの正面図、(c)は扁平管熱交換器ユニットの側面図、(d)は扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図、(e)は扁平管の断面図である。
図7】従来例2に係る扁平管熱交換器ユニットの配置例を示す図であり、(a)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る熱交換器を含む空気調和機の構成を示す説明図である。図1に示すように、空気調和機1は、室内機2と室外機3とを備えて構成されている。室内機2には、後述する2つの扁平管熱交換器ユニット10を空気流通方向に並べて配置して構成される室内熱交換器4が設けられ、室外機3には、任意の熱交換器ユニットを用いて構成される室外熱交換器5の他に、圧縮機6、膨張弁7及び四方弁8が設けられている。
【0015】
暖房運転時には、室外機3の圧縮機6から吐出した高温高圧のガス冷媒が四方弁8を介して室内機2の室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で空気と熱交換した冷媒は凝縮し液化する。このように、室内熱交換器4が凝縮器として機能し、室内熱交換器4で冷媒と熱交換を行い加熱された室内空気が室内に吹き出されることによって、室内機2が設置された室内の暖房が行われる。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の膨張弁7を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となり室外熱交換器5へ流入する。室外熱交換器5(蒸発器)で外気と熱交換した冷媒はガス化する。その後、低圧のガス冷媒は、四方弁8を介して圧縮機6に吸入される。
【0016】
冷房運転時には、室外機3の圧縮機6から吐出した高温高圧のガス冷媒が四方弁8を介して室外熱交換器5に流入する。室外熱交換器5(凝縮器)で外気と熱交換した冷媒は凝縮し液化する。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の膨張弁7を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となり、室内機2の室内熱交換器4へ流入する。室内熱交換器4(蒸発器)で空気と熱交換した冷媒はガス化する。このように、室内熱交換器4が蒸発器として機能し、室内熱交換器4で冷媒と熱交換を行い冷却された室内空気が室内に吹き出されることによって、室内機2が設置された室内の冷房が行われる。その後、低圧のガス冷媒は、四方弁8を介して圧縮機6に吸入される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る室内熱交換器が備える扁平管熱交換器ユニットの図であり、(a)は扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は扁平管熱交換器ユニットの正面図、(c)は扁平管熱交換器ユニットの側面図、(d)は(b)の扁平管熱交換器ユニットの切断線Xにおける断面図、図3は、図2(b)の扁平管熱交換器ユニットの切断線Xにおける拡大断面図である。図2及び図3に示すように、扁平管熱交換器ユニット10は、冷媒が流通する複数の扁平管20と、扁平管20の両端に取り付けられる一対のヘッダ30と、扁平管20と交差し空気を通過させるための隙間を設けて積層された複数のフィン40と、を備えて構成されたパラレルフロー型熱交換器である。なお、本実施形態の扁平管20、ヘッダ30及びフィン40は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
【0018】
扁平管20は、空気流通方向(断面長手方向ともいう。)に延びた扁平な形状を有し、その内部には、空気流通方向に並ぶ複数の冷媒流路21が平行に形成されている。なお、冷媒流路21を有する扁平管20の断面を図3に示すが、その他の図における扁平管20の断面は、冷媒流路21を省略し、単なるハッチングとする。
【0019】
扁平管20は、空気が通過するための隙間を設けて平行に配置され、その両端部が一対のヘッダ30に接続される。例えば、図2の(b)に示す扁平管熱交換器ユニット10では、左右方向に伸びる複数の扁平管20が一対のヘッダ30を接続している。
【0020】
ヘッダ30は、円筒形状を有しており、その内部には、ヘッダに接続される図示しない一方の接続管から流入する冷媒を複数の扁平管20に分流させたり、複数の扁平管20から流出する冷媒を合流させてヘッダに接続される図示しない他方の接続管に流出させるための冷媒流路(不図示)が形成されている。
【0021】
つまり、一方のヘッダ30に流入した冷媒は、複数の扁平管20に分流される。そして、扁平管20に流入した冷媒は、内部の冷媒流路21を流れて他方のヘッダ30で合流する。このとき、扁平管20においては、複数の扁平管20を流れる冷媒と、各々の扁平管20の間の隙間を通過する空気との間で熱交換が行われる。
【0022】
フィン40は、平板形状(板状ともいう。)を有しており、空気が通過するための隙間を設けて平行に配置されている。例えば、図2の(b)に示す扁平管熱交換器ユニット10では、上下方向に沿う複数のフィン40を左右方向に所定の隙間を設けて配置されている。
【0023】
図2の(d)及び図3に示すように、フィン40は、風上側の端部に扁平管20を差し込むために一方向(ここでは風上側であるが、風の流れが逆の場合には風下側となる。)に開放する複数の切欠き部41を有しており、これらの切欠き部41に扁平管20を差し込んだ状態でろう付けすることにより、フィン40と扁平管20とが一体的に接合される。
【0024】
図3に示すように、フィン40の切欠き部41の深さL3は、扁平管20の空気流通方向の幅L4と実質的に同じ(L3≒L4)であり、フィン40と扁平管20とが一体的に接合された状態では、フィン40の風上側端部位置と扁平管20の風上側端部位置とが略一致する。
【0025】
図3に示すように、フィン40は、扁平管熱交換器ユニット10の側面視において、その風上側端部42がヘッダ30の風上側外郭線31よりも距離L1をもって風下側に位置し、かつ、その風下側端部43がヘッダ30の風下側外郭線32よりも距離L2をもって風下側に位置するように形成される。換言すれば、ヘッダ30は、フィン40の切欠き部41を有する端部よりも外側に一方の外郭線を有し、フィン40の他方の端部よりも内側に他方の外郭線を有する。距離L2は、距離L1よりも大きくなるように設定されており、例えば、所定の距離αを距離L1に加えて距離L2とする。そして、所定の距離αは、扁平管熱交換器ユニット10を空気流通方向に複数並べて配置する際に、上流側扁平管熱交換器ユニット10(第1の扁平管熱交換器ユニット)のヘッダ30と下流側扁平管熱交換器ユニット10(第2の扁平管熱交換器ユニット)のヘッダ30との間に確保される隙間の寸法にもとづいて設定することができ、例えば、双方のヘッダ30同士が熱交換しない程度の距離(所定の距離)として、少なくとも一方のヘッダ30の表面に生じた水滴が他方のヘッダ30の表面とブリッジしない程度の距離に設定することができる。
【0026】
つぎに、上記のように構成された扁平管熱交換器ユニット10を多列配置する場合の配置例について、図4及び図5を参照して説明する。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に係る室内熱交換器における扁平管熱交換器ユニットの第1配置例を示す図であり、(a)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの切断線Xにおける断面図である。図4に示す室内熱交換器4Aでは、同じ方向を向く2つの扁平管熱交換器ユニット10を空気流通方向に並べて配置して構成されている。このとき、上流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40の風下側端部43は、下流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40の風上側端部42に近接又は接触する状態とする。
【0028】
このように2つの扁平管熱交換器ユニット10を並べて配置して構成される室内熱交換器4Aにおいては、上流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30と下流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30との間に所定の距離α(α=L2−L1)の隙間を確保しつつ、上流側扁平管熱交換器ユニット10と下流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40同士を接触又は近接状態で配置することができるだけでなく、図7(b)に記載されている従来の扁平管熱交換器ユニット200で発生していた隙間S4が生じることもない。そのため、ヘッダ30同士の熱交換を防止するために、上流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30と下流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30との間に隙間を確保しても、この隙間から流入しようとする空気は、扁平管熱交換器ユニット10の両側端に位置するフィン40によって流入が阻止される。これにより、ユニット10間の隙間から空気が流入することを抑制し、上流側扁平管熱交換器ユニット10における通過空気量の減少を抑え熱交換効率を向上させることができる。さらに、フィン40が風下側において上下方向に連通しているので、下流側扁平管熱交換器ユニット10であっても、凝縮水の排水性を向上させることができる。特にこの点は、コルゲートフィンを用いた扁平管熱交換器に比べてより顕著な効果である。
【0029】
図5は、本発明の実施形態に係る室内熱交換器における扁平管熱交換器ユニットの第2配置例を示す図であり、(a)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの平面図、(b)は多列配置された扁平管熱交換器ユニットの要部側面断面図である。図5に示す室内熱交換器4Bでは、2つの扁平管熱交換器ユニット10を背中合わせの状態で空気流通方向に並べて配置して構成されている。このとき、上流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40の風下側端部43は、下流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40の風上側端部43(標準配置時の風下側端部)に近接又は接触する状態とする。
【0030】
このように2つの扁平管熱交換器ユニット10を空気流通方向に並べて配置して構成される室内熱交換器4Bにおいても、上流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30と下流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30との間に隙間(L2+L2)を確保しつつ、上流側扁平管熱交換器ユニット10と下流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40同士を接触又は近接状態で配置してフィン全体の表面積を増加させることができるだけでなく、フィン40同士の間に切欠き部41による隙間が生じることを回避できる。
【0031】
以上に述べた本発明の実施形態によれば、室内熱交換器4は、上下に配列され、内部に冷媒が流通する複数の扁平管20と、扁平管20に交差し空気を通過させるための隙間を設けて積層され、各扁平管20の長さ方向と直交する方向から差し込むために一方向に開放する切欠き部41を有する複数のフィン40と、複数の扁平管20の長さ方向の両端に取り付けられ内部で冷媒を分流・合流させる一対のヘッダ30とを備えた扁平管熱交換器ユニット10を少なくとも2つ以上有し、切欠き部41が扁平管20の断面長手方向の幅と同じ深さを有し、ヘッダ30は、室内熱交換器4を扁平管20の長さ方向から見たとき、フィン40の切欠き部41を有する一方の端部から外側のヘッダ30の一方の外郭線までを距離L1とし、かつ、フィン40の他方の端部から内側のヘッダ30の他方の外郭線までを距離L2とするように形成され、距離L2が距離L1よりも大きいので、室内熱交換器4において扁平管熱交換器ユニット10を多列配置する場合に、上流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30と下流側扁平管熱交換器ユニット10のヘッダ30との間に所定の隙間を確保してヘッダ30同士間での熱交換を防ぎつつ、上流側扁平管熱交換器ユニット10と下流側扁平管熱交換器ユニット10のフィン40同士を接触又は近接状態で配置してフィン全体の表面積を増加させることができるだけでなく、フィン40同士の間に切欠き部41による隙間が生じることも回避でき、その結果、ユニット10間の隙間から空気が流入することを抑制し、上流側扁平管熱交換器ユニット10における通過空気量の減少を抑え熱交換効率を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0033】
例えば、上述の実施形態では、扁平管熱交換器ユニットを2列に配置した室内熱交換器を示したが、3以上の扁平管熱交換器ユニットを多列配置するようにしてもよい。また、本実施形態では室内熱交換器を例に示したが、室外熱交換器においても本発明は適用できる。さらに、本実施形態は風上側及び風下側を逆とした場合でも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1…空気調和機、2…室内機、3…室外機、4…室内熱交換器、5…室外熱交換器、6…圧縮機、7…膨張弁、8…四方弁、10…扁平管熱交換器ユニット、20…扁平管、21…冷媒流路、30…ヘッダ、40…フィン、41…切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7