(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る物品分配投入装置の容器搬送方向から見た正面図である。また
図2は、
図1の物品分配投入装置の平面配置を示す平面図であり(ただしフィーダーは不図示)、
図3は、分配シュートの上部開口部と下部排出口の配置を示す平面図である。また、
図4は、同物品分配投入装置の側面図である(ただしフィーダーは不図示)。
【0012】
本実施形態の物品分配投入装置10は、例えば麺が収容される容器Vに、乾燥卵や干エビ、干肉、葱などの具材や、粉末スープなどの物品を投入する装置である。物品分配投入装置10は、複数列で容器Vを所定方向に間欠的に搬送する容器搬送コンベヤ(容器搬送手段)12と、物品Mを振り分け、容器搬送コンベヤ12により搬送される容器Vの各々に投入する分配投入部(分配投入手段)14を備える。なお
図1において、容器Vの搬送方向は、紙面垂直方向である。
【0013】
図1に示されるように、容器Vは、例えば開口に向かって径が広がる円錐台形状を呈するカップであり、例えば搬送方向(縦方向)に沿った10の列をなして容器搬送コンベヤ12により搬送される。容器搬送コンベヤ12は、例えば横長の(搬送方向に対して垂直な方向に長い)プレート状のリテーナ16を搬送方向に所定間隔で多数並べた無端搬送コンベヤであり、リテーナ16は図示しない搬送チェーンにより移送される。各リテーナ16には、容器Vを保持するための収容孔が容器Vの複数の列に対応して設けられ、本実施形態では、10個の収容孔が設けられる。リテーナ16の収容孔の内径は、容器Vの開口部の外径(最大外径)よりも僅かに狭く、上方からこれらの収容孔に挿入された容器Vは、その外周が収容孔の内周に係合されて保持される。
【0014】
分配投入部14は、物品を供給する複数のフィーダー18と、フィーダー18から供給される物品を容器Vの数に合わせて略均等に振り分ける分配シュート20と、分配された物品を容器Vへと導く個別シュート22を備える。各フィーダー18は、例えば1種類の物品を供給し、それぞれ供給される物品を振動により一様に分散させながら搬送するための振動コンベヤ24を備える。
【0015】
分配シュート20は、漏斗状のホッパ26と、ホッパ26の排出口に設けられ、等速回転(等速移動)可能なシュート28を備える。各振動コンベヤ24の下流端は、ホッパ26の周に沿ってホッパ26の上方に配置され、各フィーダー18から供給される物品は振動コンベヤ24の下流端から落下して、漏斗状のホッパ26で受け止められる。そしてホッパ26に落下した物品は、1つに集約されてホッパ26の排出口からシュート28に供給される。
【0016】
シュート28は、ホッパ26の排出口から斜め下方に向けて延出され、この排出口を中心に分配シュート駆動部(分配シュート駆動手段)28Dにより等速回転駆動される。すなわちシュート28の下端排出口32は円弧状の軌跡に沿って移動する。
【0017】
図5は、分配シュート駆動部28Dの構成を示す正面図である。本実施形態では、例えば2台の分配投入部14が用いられ、容器搬送コンベヤ12の幅方向に並べて配置される。
図5に示されるように、各分配投入部14のシュート28は、シュート28の下方に垂直に延在する回転シャフト280に接続され、回転シャフト280の下端は、各々ギヤボックス282に連結される。ギヤボックス282は、例えばギヤ列を介して回転シャフト280を水平に配置される回転シャフト284に連結し、回転シャフト284の一端は、回転モータ286に接続される。すなわち、回転モータ286の回転力は、回転シャフト284、2個のギヤボックス282を介して2本の回転シャフト280に伝達され、これにより各シュート28は、同期して回転される。
【0018】
個別シュート22は、各分配シュート20の下方にそれぞれ1台ずつ配置される。個別シュート22は、多数の第1個別シュート22Aと、第1個別シート22Aの各々に対応してその下方に配置される第2個別シュート22Bを備える。
図1の実施形態の物品分配投入装置10では、分配投入部14が各々10本、合計20本の個別シュート22を備える。そのうちの10本(各分配投入部14の5本)は、分配投入部14の下方にあって容器搬送コンベヤ12の上流側の投入位置に位置する1つのリテーナ16に沿って配置される。すなわち同リテーナ16に保持される1行10個の容器Vの各々に物品を投入するように配置される。一方、残りの10本(各分配投入部14の残りの5本)の個別シュート22は、分配投入部14の下方にあって容器搬送コンベヤ12の下流側の投入位置に位置する1つのリテーナ16に沿って配置され、同リテーナ16に保持される1行10の容器Vの各々に物品を投入するように配置される。
【0019】
なお、本実施形態では、上流側投入位置にあるリテーナ16と下流側投入位置にリテーナ16の間には、1枚のリテーナ16が配置されるが、上流側、下流側投入位置にある2枚のリテーナ16、16同士は隣り合ってもよいし、複数のリテーナ16を間に挟んで配置されてもよい。
【0020】
それぞれの個別シュート22において、第1個別シュート22Aの上部開口部30は、回転するシュート28の下端排出口32の軌跡に沿って円弧状に連接して配置され、等速回転するシュート28から供給される物品は略均等に第1個別シュート22Aの各々に投入される。一方、第1個別シュート22Aの下端排出口34は、上述した上流側、下流側の物品投入位置に位置する2行の容器Vに沿うように配置される。すなわち、上部開口部30が搬送方向上流側に位置する第1個別シュート22Aの下端排出口34は、上流側投入位置の1行に沿って直線状に配置され、上部開口部30が下流側に位置する第1個別シュート22Aの下端排出口34は、下流側投入位置の1行に沿って直線状に配置される。
【0021】
また第2個別シュート22Bは、直線状に配列される第1個別シュート22Aの各下端排出口34の真下に各々略垂直に配置される。すなわち、第2個別シュート22Bは、上流側物品投入位置と下流側物品投入位置において、略直立して配置される。
【0022】
したがって、シュート28が1周回転するにあたって、シュート28が物品搬送方向上流側を半周移動する間に上流側の第1、第2個別シュート22A、22Bに物品が分配され、下流側を半周移動する間に下流側の第1、第2個別シュート22A、22Bに物品が分配される。
【0023】
また、
図4に示されるように、本実施形態の容器搬送装置12は、分配投入部14よりも上流側の所定位置に、リテーナ16の収容孔に容器Vが収容されているか否かを検知する容器有無センサ(検出手段)35を備える。容器有無センサ35は、例えば、1枚のリテーナ16に対応する1行を単位に、各列における容器Vの有無を検出する。また本実施形態の第2個別シュート22Bは、後述するように、投入された物品を排出するための排出機構36と第2個別シュート22Bの出口を塞ぐための開閉蓋38とを備える。
【0024】
排出機構36は、例えば第2個別シュート22Bの上部開口部40の近くに設けられる。排出機構36は容器有無センサ35からの信号に基づき、容器Vがセットされていない列がある行のリテーナ16が物品投入位置にきたときに、その列に対応する第2個別シュート22Bから、投入された物品を排出する。排出された物品は回収ボックス39で回収され、例えばフィーダー18へと戻されて再利用される。一方、開閉蓋38は、第2個別シュート22Bの下端排出口42を塞ぐことができる開閉式の蓋で、間欠移動されるリテーナ16が物品投入位置で停止されるタイミングに合わせて開閉される。容器有無センサ35からの信号は制御装置(制御手段)43に入力される。制御装置43は司令部43Aと判定部43Bを備えており、容器有無センサ35からの信号を受けて容器の有無を判定するとともに、排出機構36、開閉蓋38、および容器搬送コンベヤ12などの駆動を制御する。
【0025】
図6は排出機構36の拡大側断面図である。
図6(a)には、第1個別シュート22Aから投入される物品Mが第2個別シュート22B内を通り容器Vへと排出されるときの様子が示される。一方、
図6(b)には、第1個別シュート22Aから投入される物品Mが排出機構36により第2個別シュート22Bから回収ボックス39に排出されるときの様子が示される。
【0026】
排出機構36は、エアシリンダ360と、エアシリンダ360のロッド362に取り付けられる排出シュート364を備える。排出シュート364は、垂直面366と傾斜面368を有し、エアシリンダ360により第2個別シュート22Bに向けて進退自在である。
【0027】
第2個別シュート22Bの上半部は、例えば略矩形の断面形状を呈し、その1つの側壁には側部開口部41が設けられる。排出シュート364は側部開口部41を通して第2個別シュート22B内へと挿入または個別シュート22から引き出され、引き出された排出シュート364の下方には回収ボックス39が配置される。
【0028】
容器有無センサ35からの信号に基づき、当該個別シュート22の下にあるリテーナ16の収容孔に容器Vが収容されていると判断される場合には、
図6(a)のように、エアシリンダ360のロッド362が引っ込められ、排出シュート364は第2個別シュート22B内から引き出される。このとき、排出シュート364の先端側に設けられた垂直面366は、側部開口部41を塞ぎ第2個別シュート22の通路を形成する。すなわち、通常の状態において垂直面366は、第2個別シュートの壁面の一部を構成する。
【0029】
一方、容器有無センサ35からの信号に基づき当該個別シュート22の下にあるリテーナ16の収容孔に容器Vが収容されていないと判断される場合には、
図6(b)のように、エアシリンダ360のロッド362が引き出され、排出シュート364が第2個別シュート22B内へと挿入される。このとき、排出シュート364の先端側に設けられた垂直面366は、垂直面366に正対する第2個別シュート22Bの側壁に当接し、傾斜面368は第2個別シュート22Bの通路を遮断する。このとき傾斜面368の下端辺は、回収ボックス39の上方に位置し、第2個別シュート22Bの通路を遮断する傾斜面368に落下する物品Mは回収ボックス39へと導かれ、第2個別シュート22Bから排出される。
【0030】
図7は、本実施形態における20個の第2個別シュート22Bの配置を示す平面図である。
図7では、第2個別シュート22Bにそれぞれ設けられた排出機構36が、交互に第2個別シュート22Bに挿入され、あるいは第2個別シュート22Bから退避された状態が示される。
【0031】
次に
図8を参照して、本実施形態で採用される開閉蓋38の構成について説明する。
図8は、第2個別シュート22Bの下半部と開閉蓋38の駆動機構380の構成を示す側面図である。
【0032】
第2個別シュート22Bの下端部には、斜めに下端排出口42が形成される。開閉蓋38は、第2個別シュート22Bに設けられたピボット382周りに回動自在に軸支される。開閉蓋38には、ロッド384の一端が回動自在に軸支され、ロッド384の他端は、リンク部材386の一端に回動自在に軸支される。リンク部材386は、固定部に回動自在に軸支され、その他端はバネ等の付勢部材388により、ロッド384を介して開閉蓋38が下端排出口42を閉じる方向へ回動するように付勢される。また、付勢部材388が係合するリンク部材386の端部は、モータ駆動部390により回動されるレバー392にも係合され、付勢部材388は同端部をレバー392に向けて付勢する。
図8(a)には、開閉蓋38により下端排出口42が塞がれた状態が示される。
図8(a)の状態からレバー392が時計回りに回動されると、付勢部材388に抗してリンク部材386が反時計回りに回転され、ロッド384を介して開閉蓋38が、ピボット382を中心に反時計回りに回動される。これにより
図8(b)のように、下端排出口42が開かれる。なお、開閉蓋38を閉じるときには、レバー392が反時計回りに回動され、リンク部材386が付勢部材388により時計回りに回動される。
【0033】
次に、
図1〜
図8を参照して、本実施形態の物品分配投入装置10の作動について説明する。商品の生産が開始されると、例えば麺が収容された容器Vがリテーナ16に保持されて多列で間欠的に物品分配投入装置10へ向けて搬送され、先頭の容器が容器有無センサ35により検出される。容器有りの信号が制御装置43に入力されると、制御装置43はフィーダー18、分配シュート20の運転を開始するとともに、全ての排出シュート364を第2個別シュート22B内へと挿入する。すなわちフィーダー18からの物品Mの供給は、運転開始時には安定していないため、運転開始から先頭容器Vが第2個別シュート22Bの下まで搬送されるまでの所定時間に関しては、容器Vへの物品Mの投入は行わず、分配投入部14へ投入された物品Mは全て排出シュート364により回収ボックス39へ排出される。
【0034】
先頭容器Vが第2個別シュート22Bの下方に搬送されると、排出シュート364が第2個別シュート22Bから退避され、容器Vへの物品Mの投入動作が開始される。なお、先頭の容器Vの何れかの列において容器無し信号が入力される場合には、その列に対応する排出シュート364は、第2個別シュート22B内に挿入されたままとされ、同列への物品Mの排出が回避される。その後は、容器有無センサ35からの信号に基づき、第2個別シュート22Bに対する各排出シュート364の進退が制御され、容器Vが存在しない列への物品Mの排出が回避される。そして、同列に対応する第2個別シュート22Bへ投入された物品Mは回収ボックス39で回収される。なお、フィーダー18からの物品Mの供給および分配シュート20の回転は一定速度で継続される。
【0035】
一方、何らかのトラブルが発生して容器搬送コンベヤ12が停止した場合、フィーダー18および分配シュート20の運転も停止される。フィーダー18および分配シュート20の停止は、分配シュート20が所定の原点位置に到達した時点で行われる。本実施形態では、分配シュート20の排出口が、容器搬送コンベヤ12で多列搬送される容器Vの1つの行の一方の端にある容器Vの上方に位置するときを分配シュート20が原点位置に到達したものと見做す。
【0036】
以上のように、本発明の第1実施形態によれば、多列で供給される容器内に物品を分配しながら充填する物品分配投入装置において、容器が存在しない場合には、容器への投入前に物品を回収することができる。これにより回収した物品の再利用が可能となり、容器が歯抜け状態で供給される場合にも対応が可能となる。
【0037】
次に
図9を参照して本発明の第2実施形態の物品分配投入装置について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の容器有無センサに替えてウエイトチェッカを検出手段として用いる。なお、その他の構成に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の構成に関しては同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0038】
図9に示されるように、第2実施形態では、容器搬送装置12の分配投入部14よりも上流側の所定位置にあるリテーナ16の下方に、各列の容器Vに対応して複数のロードセル((重量)検出手段)46が配置される。ロードセル46は、例えば昇降機構48により昇降自在であり、間欠搬送される容器Vを保持するリテーナ16が、ロードセル46の上方で停止すると上昇され、各容器Vをそれぞれ僅かに持ち上げてその重量を計測する。
【0039】
各ロードセル46からの信号は、制御装置43へと送られ、判定部43Bでは、その重量から各列の状態が判定される。司令部43Aは、同判定に基づき、
図6、8等に示される排出機構36、開閉蓋38などの駆動を制御する。すなわち、重量が0の場合には、当該列に容器は無いと判定し、容器Vの重量分しか検出されない場合などには、麺が適正に充填されていないと判定する。そして、検出重量が規定重量(容器と麺の合計重量)よりも軽い場合には、第1実施形態と同様に排出機構36を駆動して物品Mの同列への供給を停止し、同列に対応する個別シュート22に投入された物品Mは回収ボックス39で回収される。
【0040】
次に
図10を参照して本発明の第3実施形態の物品分配投入装置について説明する。第3実施形態では、第1実施形態の容器有無センサに替えてカメラを検出手段として用いる。なお、その他の構成に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の構成に関しては同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0041】
図10に示されるように、第3実施形態では、容器搬送装置12の分配投入部14よりも上流側の所定位置にあるリテーナ16の上方に、各列の容器Vに対応して複数のカメラ((画像)検出手段)50が配置される。カメラ50は、間欠搬送される容器Vを保持するリテーナ16がカメラ50の下方で停止すると、リテーナ16に保持される各容器Vを上方から撮影する。
【0042】
各カメラ50で撮影された画像は、制御装置43に送られ、判定部43Bにおいて、各列の容器の有無の他、容器内の麺の有無、容器内に混入された異物や麺の傷の有無などの異常が画像処理を通して判定される。そして、画像から同列に容器がない、あるいは同列の容器には異常があると判断されると、第1実施形態と同様に排出機構36を駆動して物品Mの同列への供給を停止し、同列に対応する個別シュート22に投入された物品Mは回収ボックス39で回収される。
【0043】
以上、第2、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、搬送される容器のより詳細な状態を把握して対応することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、容器搬送コンベヤは間欠運転されたが、容器搬送コンベヤは連続運転されてもよい、また、本実施形態では分配シュート、個別シュートが2セット(2行分)設けられたが、列数が少ない場合には1セットでもよく、列数が多い場合には3セット以上用意してもよい。また、本実施形態において、分配シュートは等速回転されて物品を一様に分配したが、分配シュートを等速で往復移動させて物品を分配する構成としてもよい。また個別シュートを単位に間欠的に分配シュートを移動させる構成とすることもできる。