特許第6582473号(P6582473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582473
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及び通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20190919BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20190919BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20190919BHJP
   H04W 60/00 20090101ALI20190919BHJP
【FI】
   H04M3/42 D
   H04M3/00 E
   H04L12/70 B
   H04W60/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-57026(P2015-57026)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-178469(P2016-178469A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】富永 武
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−229699(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101730039(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24−7/26
H04L12/00−12/26
12/50−12/955
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路が非常用であるか非常用以外であるかを表す前記通信経路の種類の識別を可能にする識別情報と、を関連付けた関連情報、の記録を行う記録部と、
ある端末からその端末についての前記識別情報の登録の要求があった場合に、その要求を行った端末の前記関連情報に対応する情報の記録が前記記録部にあるかを判定し、前記対応する情報の記録が前記記録部にあると判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行わない、登録処理部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記登録処理部が、前記対応する情報の記録が前記記録部にあると判定された場合には、前記要求に係る前記登録を行う、請求項1に記載された通信装置。
【請求項3】
前記通信経路が無線による通信経路である、請求項1又は請求項2に記載された通信装置。
【請求項4】
前記通信経路がPacket Data Networkによる通信経路である、請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載された通信装置。
【請求項5】
前記登録処理部が、Policy and Charging Rules Functionを有する構成を備える請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載された通信装置。
【請求項6】
前記アドレスを前記端末に割り当て、その端末との間で通信経路を確立する接続確立部をさらに備える、請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載された通信装置。
【請求項7】
前記接続確立部がProxy call session control functionをもつ構成及びPacket Data Network Gatewayを備える、請求項6に記載された通信装置。
【請求項8】
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路が非常用であるか非常用以外であるかを表す前記通信経路の種類の識別を可能にする識別情報と、を関連付けた関連情報、の記録を行うステップを含み、
ある端末からその端末についての前記識別情報の登録の要求があった場合に、その要求を行った端末の前記関連情報に対応する情報、の前記記録が行われたかを判定し、前記対応する情報の前記記録が行われたと判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行わない、
通信方法。
【請求項9】
前記対応する情報の記録が行われた判定された場合には、前記要求に係る前記登録を行う、請求項8に記載された通信方法。
【請求項10】
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路が非常用であるか非常用以外であるかを表す前記通信経路の種類の識別を可能にする識別情報と、を関連付けた関連情報、の記録を行う処理を含む処理をコンピュータに実行させ、
ある端末からその端末についての前記識別情報の登録の要求があった場合に、その要求を行った端末の前記関連情報に対応する情報、の記録が行われたかを判定し、前記対応する情報の記録が行われたと判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録をコンピュータに実行させない、
通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常時用の呼接続を提供する通信装置、通信方法及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時等の非常時は、多くのユーザが一斉に通信を試みるために、トラヒックが輻輳することで、通常のメールの送受信や通話を行うことが困難となり、通信が通常時よりも機能しない場合がある。これは多くのユーザが一斉に通信を試みた結果、ユーザデータの送受信に必要な個別トラヒックチャネルが不足するために起こる。
【0003】
この問題の解決を目指した方法として、非常時呼接続を提供するIMS網において、非常時用に用いられる端末との間で、通常時用のPDNとは別に、非常時用のPDNを確立する内容が開示されている(非特許文献1参照)。ここで、IMSはIP Multimedia Subsystemであり、PDNは、Packet Data Networkである。この方法では、緊急呼接続用の信号は、緊急時用のPDNにより流通される。
【0004】
また、非特許文献1に記述された方法においては、緊急時ベアラサービス用のPDNが、緊急用の用途以外の用途で使用されることが禁止される。そして、その禁止方法について、緊急時ベアラサービス用のPDNには、特定のIPアドレスの範囲のみが割り当てられる。さらに、Proxy call session control function(以下、「P−CSCF」という。)にそのIPアドレス帯を登録、保持しておく。これにより、P−CSCFが、端末より通常の登録要求を受信した場合に、緊急時ベアラサービス用のPDNが指定されていないか検知する。
【0005】
一方、非特許文献1の技術を前提とした技術に関する文献として、特許文献1及び特許文献2がある。
【0006】
特許文献1には、パケットデータ接続の確立中に、そのパケットデータ接続が非常パケットデータ接続である場合に、非常パケットデータ接続に割り当てられたインターネットプロトコル(以下、「IP」という。)アドレスをユーザに指定する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、ユーザが非常サービスに対して登録されているかどうか決定し、その決定に基づいてユーザを非常サービスに登録された状態に維持し、ユーザが非常サービスに登録されていることを示す指示を送信する技術が開示されている。
【0008】
一方、本発明に関連して、非特許文献2には後述のPDNによる接続を確立する手順が、非特許文献3については後述のIPアドレスの割り当てについての手順が、非特許文献4及び5には後述のREGISTERについての手順が、それぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2012/025151号
【特許文献2】国際公開第2012/110350号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】3GPP TS24.229、B.3.2.3、”Prohibited usage of PDN connection for emergency bearer services”.
【非特許文献2】3GPP TS23.401、5.10.2、”UE requested PDN connectivity”.
【非特許文献3】3GPP TS23.401、4.3.12.8、”IP Address Allocation”.
【非特許文献4】3GPP TS23.228、”IP Multimedia Subsystem (IMS)”.
【非特許文献5】3GPP TS24.229、”IP multimedia call control protocol based on SessionInitiation Protocol (SIP) and Session Description Protocol (SDP)”.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、非特許文献1に記載された技術、及びそれを前提とする特許文献1や特許文献2に開示された技術においては、緊急時用のPDN端末のIPアドレスが、特定のアドレス範囲に限定される。さらに、その特定の範囲にあるその端末に割り当てるIPアドレスを、所定の装置(P−CSCF装置)に、予め登録しておくことが必要になる。そのため、大規模災害時など非常時において呼接続のトラヒックが増大した場合に、緊急時用のIPアドレスが不足し、非常時の呼接続に支障をきたす危険性が高い。
【0012】
本発明は、非常時において呼接続のトラヒックが増大しても、非常時用の通信経路上のアドレスを確保し、呼接続に支障がないようにすることができる可能性を高めることのできる、通信装置、通信方法及び通信プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の通信装置は、端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を対応付けた情報、の記録を行う記録部を備える。本発明の通信装置は、さらに、ある端末からその端末についての登録の要求があった場合に、その端末の通信経路上のアドレスと、その登録の要求があった通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の前記記録が前記記録部にあるかを判定する登録処理部を備える。その登録処理部は、前記対応する情報の記録が前記記録部にあると判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行わない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の通信装置等は、非常時に用いられる端末に割り当てる、通信経路上のアドレス(以下においては「NWアドレス」ということにする。)を、特定の範囲に制限しない。さらに、本発明の通信装置等は、非常時用の端末に割り当てる、前記特定の範囲にあるNWアドレスを所定の構成に予め登録しない。そのため、非常時に用いられる端末に割り当てるNWアドレスの選択の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の通信装置の構成を表わす概念図である。
図2】第二実施形態の情報処理装置の構成を表わす概念図である。
図3】第二実施形態の通信装置の処理フローを表わす概念図である。
図4】第三実施形態の通信装置の構成を表わす概念図である。
図5】第三実施形態の通信装置の処理フローを表わす概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[前提]
本発明を実施するための形態においては、以下を前提としている。
【0017】
・本通信装置と本通信装置外の端末との間で通信経路を確立した後に、その端末について本通信装置が登録する。この登録により、当該通信装置と当該端末との間の通信が可能になる。
【0018】
ここで、本通信装置と端末との間での通信経路の確立は、本通信装置と前記端末との間で通信経路及びその種類を定めることをいう。その確立は、例えば、端末や、通信経路の主要部(ゲートウェイ等)についての位置情報(アドレス等)を定める(割り振る)ことや、通信経路の種類(後述の非常用や非常用以外など)を定めることを含む。
【0019】
また、本通信装置が登録を行うことは、本通信装置が本通信装置以外の構成と連携して登録を行うことを含む。
【0020】
・本発明の通信装置と当該端末との間で接続を確立する通信経路の種類は、少なくとも非常用と非常用以外の2種類を含む。
【0021】
・端末が、非常用の通信経路についての自己に関する登録を要求する際に本通信装置に送る情報は、当該端末が要求する登録が非常用の通信経路であることの識別を可能にする情報を含む。この識別を可能にする情報が含むことは、ある情報が無いことによりその識別が可能になることを含む。
<第一実施形態>
本実施形態は、本発明の最小限の通信装置についての実施形態である。
[構成と動作]
図1は、本実施形態の通信装置の構成を表わす概念図である。
【0022】
本実施形態の通信装置001は、接続確立部002と、記録部003と、登録処理部004と、を備える。
【0023】
接続確立部002は、通信装置001の外部の図示しないネットワークを介して、通信装置001の外部の図示しない端末と接続されている。接続確立部002は、当該端末と通信を行うための通信経路の確立を行う。接続確立部002は、前記端末に割り当てられたNWアドレスと、その端末との間で接続を確立した通信経路の種類の識別を可能にする情報(以下において「識別情報」ということにする。)を関連付けた情報を、記録部003に送る。
【0024】
記録部003は、接続確立部002から送られた情報を記録する。
【0025】
登録処理部004は、その端末から、その端末についての登録処理の要求を受けた場合は、その端末のNWアドレスとその端末が要求するその端末の登録に係る識別情報とを関連付けた情報が、記録部003に記録されているかについて判定する。そして、登録処理部004は、前記関連付けた情報が記録部003に記録されていると判定されなかった場合には、その登録を行わない。
[効果]
本発明の通信装置等は、非常時に用いられる端末に割り当てるNWアドレスを特定の範囲に制限しない。さらに、本発明の通信装置等は、非常時用の端末に割り当てる、前記特定の範囲にあるNWアドレスを所定の構成に予め登録しない。そのため、非常時に用いられる端末に割り当てるNWアドレスの選択の自由度を高めることができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、第一実施形態の通信装置における処理フローについての実施形態である。
[構成と動作]
図2は、本実施形態の情報処理装置の構成を表わす概念図である。
【0026】
本実施形態の通信装置001は、接続確立部002と、記録部003と、登録処理部004と、を備える。
【0027】
接続確立部002は通信装置001の外部のネットワーク006を介して、通信装置001の外部の端末005と接続されている。接続確立部002は、端末005との間で通信を行うための通信経路の確立を行う。その確立には、端末005へのNWアドレスの割り当てを含む。接続確立部002は、端末005に割り当てたNWアドレスと、端末005との間で接続を確立した通信経路の種類に係る識別情報とを関連付けた情報を、記録部003に送る。
【0028】
記録部003は、接続確立部002から送られた情報を記録する。
【0029】
登録処理部004は、端末005から、端末005についての登録処理の要求を受けた場合は、端末005のNWアドレスと端末005が要求する端末005の登録に係る識別情報とを関連付けた情報が、記録部003に記録されているかについて判定する。そして、登録処理部004は、前記関連付けた情報が記録部003に記録されてないと判定された場合には、その登録を行わない。
[処理フロー]
図3は、本実施形態の通信装置の処理フローを表わす概念図である。
【0030】
まず、スタートの時点において、端末005の利用者等は、通信装置001と端末005との間の通信経路を確立したい旨の要望を出す。その要求には、通信装置001と端末005との間の通信経路を確立したい通信経路の種類(非常用や非常用以外など)に関する情報が含まれる。
【0031】
接続確立部002は、端末005の利用者等からの前記要求により、通信装置001と端末005との間での通信経路を確立する。接続確立部002は、この際に、端末005にNWアドレスを割り当て、また、端末005の利用者等からの前記要求に含まれる、端末005との間で接続を確立する通信経路の種類を指定する。割り当てられた端末005についてのNWアドレスと、端末005との間で接続を確立する通信経路の種類とは、互いに関連づけられて、記録部003に送られる。(S201)
次に、記録部003は、接続確立部002から送られた、端末005についてのNWアドレスと関連付けられた、端末005との間で接続を確立する通信経路の種類に係る識別情報を記録する。(S202)
そして、登録処理部004は、端末005から、端末005についての登録の要求を受けたかについて判定する。(S203)
S203において、登録処理部004は、端末005から、端末005についての登録の要求を受けたと判定しなかった場合(S203の結果がnoの場合)にはS203に進む。
【0032】
一方、S203において、登録処理部004は、端末005から、端末005についての登録の要求を受けたと判定した場合(S203の結果がyesの場合)には次に進む。
【0033】
端末005のNWアドレスと通信経路の種類とのセットと一致する内容が記録部003に記録されているかを判定する。ここで、通信経路の種類は、端末005についての前記登録の要求に係る要求内容に含まれる情報である。(S204)
S204において、端末005のNWアドレスと通信経路の種類とのセットと一致する内容が記録部003に記録されていると判定した場合(S204の結果がyesの場合には、S205に進む。
【0034】
S204において、端末005のNWアドレスと通信経路の種類とのセットと一致する内容が記録部003に記録されていると判定しなかった場合には終了する。
【0035】
次に、登録処理部004は、端末005についての登録を行う。(S005)
そして、処理を終了する。
[効果]
本実施形態の通信装置は、端末の利用者等からの要求により、ある種類の通信経路についてその端末との間での通信経路の確立を行う際に、NWアドレスと、前記通信の種類の識別を可能にする情報と、を対応付けた情報、を記録部に記録する。そのNWアドレスは、その端末に対し、その種類の通信経路を確立するために、通信装置がその端末に割り当てるNWアドレスである。
【0036】
そして、本実施形態の通信処理装置は、ある端末からその端末についての通信経路の登録の要求があった場合に、判定を行う。その判定は、その端末のNWアドレスと、その登録の要求があった通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の記録が記録部にあるかの判定である。そして、本実施形態の通信処理装置は、その関連付けた情報、に対応する情報の記録が記録部にあると判定された場合は、その通信経路を登録する。
【0037】
本実施形態の通信装置は、種類が非常用である通信経路を確立し登録する端末に割り当てるNWアドレスを、通信経路の確立前に、特定の範囲に制限し所定の装置に登録しておくことを行わない。そのため、端末についての非常用の通信経路の確立の要求が多数あったとしても、端末に割り当てるNWアドレスの割り当ての制限がない。仮に、非常用の通信経路を確立する端末に割り当てるNWアドレスの範囲の登録が、通信経路の確立前に必要であった場合を考える。そのような場合は、非常用の通信経路を確立する端末に割り当てるNWアドレスの範囲にあるNWアドレスがすべて他の端末に割り当てられている場合があり得る。その場合は、通信装置は、その端末から非常用のPDN経路の確立の要求があっても、その端末に非常用の通信経路のNWアドレスを割り当てることができない。本実施形態の通信装置は、通信経路の確立前にNWアドレスの範囲を特定の範囲に制限しないので、そのようなことがないのである。
【0038】
そのため、本実施形態の通信装置は、大規模災害時など非常時呼接続に用いられる端末に割り当てるNWアドレスの選択の自由度を高めることができる。
<第三実施形態>
本実施形態は、非常時呼接続を提供する、無線ネットワークを用いたIMSに適用できる通信装置についての実施形態である。
[構成と動作]
図4は、本実施形態の通信装置の構成を表わす概念図である。
【0039】
本実施形態の通信装置301は、接続確立部302と、記録部303と、登録処理部304と、を備える。
【0040】
接続確立部302は、P−CSCF311と、PGW312とを備える。ここで、「P−CSCF」は、3GPPの技術仕様書において説明されている、IMSにおけるプロキシ・呼セッション制御機能(Proxy call session control function)をもつ構成である。また、「PGW」は、Packet Data Network Gatewayであり、IMSにおいて、コア・ネットワーク外のPDNとの接続点となるゲートウェイ装置である。PGWは、後述のUEに対するIPアドレスの割り当てなどを行うとともに、3GPPアクセスおよび非3GPPアクセスを収容する。
【0041】
登録処理部304は、PCRF313を備える。ここで、PCRFは、3GPPの技術仕様書において説明されている、IMSにおける、Policy and Charging Rules Functionを有する構成である。PCRFは、PGWにおいて適用する、QoSなどのポリシー制御や課金制御ルールを決定するポリシー制御装置である。上記PGWは、PCRFからの通知情報に基づき、パケット単位にポリシー制御を実施する。
【0042】
PGW312は、通信装置301の外の、無線ネットワーク306を介して、通信装置301の外のUE305と接続されている。ここで、「UE」は、3GPPの技術仕様書において説明されている、IMSにおける通信端末であるUser Equipmentである。PGW312は、通信装置301の外の、AS316に接続されている。ここで、AS316は、UE305と通信装置との間でのPSNによる通信が可能になった場合にUE305に対し、アプリケーションを提供する、Application Serverである。「AS」については3GPPの技術仕様書において説明されている。
【0043】
PーCSCF311及びPGW312は、非特許文献2に記述された方法により、UEとの間でPDNの接続の確立を行う。その確立には、UE305へのIPアドレスの割り当て及びUE305との間で確立するPDNの種類の指定を含む。そして、PGW312は、UE305に割り当てたNWアドレスと、UE305との間で確立したPDNの種類に係る識別情報とを関連付けた情報を、記録部303に送る。ここで、PDNの種類は、典型的には、非常用と通常用の2種類を含む。
【0044】
記録部303は、接続確立部302から送られた情報を記録する。
【0045】
UE305が登録処理部304のPCRF313に対しREGISTER要求を行い、そのREGISTER要求をPCRF313が受け取った場合には、PCRF313は記録部303にアクセスする。REGISTERは、UE305についての、第一実施形態及び第二実施形態で説明した、端末の登録の一種であり、その手続きついては、非特許文献4及び非特許文献5に記載されている。その際のアクセスの経路は任意であるが、例えば、PGW312経由で行う。そして、そのREGISTER要求を行ったUE305のIPアドレスと、そのREGISTER要求が登録を要求するPDNの種類に係る識別情報とを関連付けた情報が、記録部303に記録されているかを判定する。
【0046】
上記判定において、REGISTER要求が登録を要求するPDNの種類に係る識別情報を関連付けた情報が、記録部303に記録されている場合には、そのREGISTER要求に係るREGISTERの処理を行う。
[処理フロー]
図5は本実施形態の通信装置の処理フローを表わす概念図である。
【0047】
まず、P−CSCF311及びPGW312は、UE305との間でPDNによる接続を確立する。P−CSCF311及びPGW312は、この際に、UE305についてのNWアドレスと、UE305との間で接続を確立するPDNの種類を指定する。指定されたUE305についてのIPアドレスと、UE305との間で接続を確立するPDNの種類とを関連づけた情報は、記録部303に送られる。(S201)
次に、記録部303は、PGW312から送られた、UE305についてのNWアドレスと関連付けられた、UE305との間で接続を確立するPDNの種類に係る識別情報を記録する。(S202)
その後、PCRF313は、UE305から、UE305についてのREGISTERの要求を受けたかについて判定する。(S203)
S203において、PCRF313は、UE305から、UE305についてのREGISTERの要求を受けたと判定しなかった場合にはS203に進む。
【0048】
一方、S203において、PCRF313は、UE305から、UE305についてのREGISTERの要求を受けたと判定した場合には次に進む。
【0049】
UE305のIPアドレスとPDNの種類とのセットと一致する内容が記録部303に記録されているかを判定する。ここで、PDNの種類は、UE305についての前記REGISTERの要求に係る要求内容に含まれる情報である。(S204)
S204において、UE305のIPアドレスとPDNの種類とのセットと一致する内容が記録部303に記録されていると判定した場合には、S205に進む。
【0050】
S204において、UE305のIPアドレスとPDNの種類とのセットと一致する内容が記録部303に記録されていると判定しなかった場合には終了する。
【0051】
次に、PCRF313は、UE305についてのREGISTERの処理を行う。(S205)
そして、通信装置301は、本処理を終了する。
[効果]
本実施形態の通信装置は、UEの利用者等からの要求により、ある種類のPDN経路についてそのUEとの間でのPDN経路の確立を行う際に、IPアドレスと、前記PDN経路の種類の識別を可能にする情報と、を対応付けた情報、を記録部に記録する。そのIPアドレスは、そのUEに対し、その種類のPDN経路を確立するために、通信装置が割り当てるIPアドレスである。
【0052】
そして、本実施形態の通信処理装置は、あるUEからそのUEについてのPDN経路のREGISTERの要求があった場合に、判定を行う。その判定は、そのUEのIPアドレスと、そのREGISTERの要求があったPDN経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の記録が記録部にあるかの判定である。そして、本実施形態の通信処理装置は、その関連付けた情報、に対応する情報の記録が記録部にあると判定された場合は、そのPDN経路のREGISTERを行う。
【0053】
本実施形態の通信装置は、種類が非常用であるPDN経路を確立しREGISTERを行うUEに割り当てるIPアドレスを、PDN経路の確立前に、特定の範囲に制限しP−CSCF装置に登録しておくことを行わない。そのため、UEに対する非常用のPDN経路の確立の要求が多数あったとしても、そのUEに割り当てるIPアドレスの割り当ての制限がない。仮に、非常用のPDN経路を確立するUEに割り当てるIPアドレスの範囲の登録が、PDN経路の確立前に必要であった場合を考える。そのような場合は、非常用のPDN経路を確立するUEに割り当てるIPアドレスの範囲にあるIPアドレスのすべてが他のUEに割り当てられている場合があり得る。その場合は、通信装置は、そのUEから非常用のPDN経路の確立の要求があっても、そのUEに非常用のPDN経路のIPアドレスを割り当てることができない。本実施形態の通信装置は、PDN経路の確立前に、非常用のPDN経路についてそのUEに割り当てるIPアドレスの範囲を特定の範囲に制限しないので、そのようなことがないのである。
【0054】
そのため、本実施形態の通信装置は、大規模災害時など非常時呼接続に用いられる端末に割り当てるIPアドレスの選択の自由度を高めることができる。
【0055】
さらに、本実施形態の通信装置は無線通信を利用しているという特徴がある。無線通信は、有線通信のように地震等の災害発生により断線することがないので、災害発生後においても通信が確立できる可能性がより高い。そのため、非常時呼接続に支障がなくできる可能性を一層高めることができる。
【0056】
以上好ましい実施形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【0057】
また、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報の記録を行う記録部と、
ある端末からその端末についての登録の要求があった場合に、その端末の通信経路上のアドレスと、その登録の要求があった通信経路の種類についてその識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の記録が前記記録部にあるかを判定し、前記対応する情報の記録が前記記録部にあると判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行わない、登録処理部と、
を備える、通信装置。
(付記2)
前記登録処理部が、前記対応する情報の記録が前記記録部にあると判定された場合には、前記要求に係る前記登録を行う、付記1に記載された通信装置。
(付記3)
前記通信経路が無線による通信経路である、付記1又は付記2に記載された通信装置。
(付記4)
前記通信経路が、Packet Data Networkの通信経路である、付記1乃至3のうちのいずれか一に記載された通信装置。
(付記5)
前記登録処理部が、Policy and Charging Rules Functionを有する構成を備える付記1乃至4のうちのいずれか一に記載された通信装置。
(付記6)
前記アドレスを前記端末に割り当て、その端末との間で通信経路を確立する接続確立部をさらに備える、付記1乃至5のうちのいずれか一に記載された通信装置。
(付記7)
前記接続確立部がProxy call session control functionをもつ構成及びPacket Data Network Gatewayを備える、付記6に記載された通信装置。
(付記8)
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を対応付けた情報の記録を行うステップを含み、
ある端末からその端末についての登録の要求があった場合に、その端末の通信経路上のアドレスと、その登録の要求があった通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の前記記録が行われたかを判定し、前記対応する情報の前記記録が行われたと判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行わない、通信方法。
(付記9)
前記対応する情報の記録が行われた判定された場合には、前記要求に係る前記登録を行う、付記8に記載された通信方法。
(付記10)
端末との間で通信経路を確立する際に、その端末に割り当てられた通信経路上のアドレスと、前記通信経路の種類の識別を可能にする情報、の記録を行う処理を含む処理をコンピュータに実行させ、
ある端末からその端末についての登録の要求があった場合に、その端末の通信経路上のアドレスと、その登録の要求があった通信経路の種類の識別を可能にする情報と、を関連付けた情報、に対応する情報の前記記録が行われたかを判定し、前記対応する情報の前記記録が行われたと判定しなかった場合は、前記要求に係る前記登録を行う処理をコンピュータに実行させない、通信プログラム。
(付記11)
前記対応する情報の記録が行われた判定された場合には、前記要求に係る前記登録を含む処理をコンピュータに実行させる、付記10に記載された通信プログラム。
【符号の説明】
【0058】
001、301 通信装置
002、302 接続確立部
003、303 記録部
004、304 登録処理部
005 端末
006 ネットワーク
305 UE
306 無線ネットワーク
311 PーCSCF
312 PGW 313 PCRF
316 AS
図1
図2
図3
図4
図5