(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、帯電部材及び清掃部材の2軸の位置関係を保持し、かつ、撓み変形による負荷を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、被帯電体に対向して接触するように設けられて軸方向に延び、被帯電体に追従して回転する帯電部材と、前記帯電部材に沿って軸方向に延び且つ前記帯電部材の表面に接触するように当該帯電部材を清掃する清掃部材と、前記帯電部材及び前記清掃部材の2軸間距離を保って定変位可能に保持する保持部材と、前記保持部材に回り止めした状態で設けられ、前記帯電部材及び前記清掃部材の各軸を個別に回転可能に支持し且つ各軸の姿勢変化に追従するように変位する複数の軸受部材と、前記帯電部材を被帯電体側に押し付けるように前記保持部材を付勢する付勢部材と、を備え
、前記軸受部材は、前記帯電部材又は前記清掃部材の軸を回転可能に支持する断面円形状の凹部からなる受部を有し、当該受部の底に前記保持部材側に配置された回り止め部材と係わって回り止めされる被回り止め部を設けたことを特徴とする帯電装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る帯電装置において、前記帯電部材及び前記清掃部材のうち給電を要する被給電部材の軸方向一端側には当該被給電部材の軸端部に接触する給電部材を備えることを特徴とする帯電装置である
。
請求項
3に係る発明は、請求項
1又は2に係る帯電装置において、前記軸受部材は、前記帯電部材又は前記清掃部材の軸を回転可能に支持する断面円形状の凹部からなる受部を有し、当該受部の外周壁には部分的に外側に張り出す張出部を環状に形成し、この張出部と前記保持部材との接触部を支点として姿勢変化することを特徴とする帯電装置である。
請求項
4に係る発明は、請求項1乃至
3のいずれかに係る帯電装置において、前記軸受部材は非導電性のポリアセタールにて構成されていることを特徴とする帯電装置である。
請求項
5に係る発明は、請求項1乃至
4のいずれかに係る帯電装置において、前記保持部材は前記各軸受部材が嵌まり込む凹部を有し、前記凹部の底に回り止め部材を配置すると共に、前記凹部に前記軸受部材を嵌め込んだときに当該軸受部材に予め形成された被回り止め部
を前記回り止め部材
に係わらせて前記軸受部材を回り止めすることを特徴とする帯電装置である。
請求項
6に係る発明は、請求項1乃至
5のいずれかに係る帯電装置において、前記帯電部材、前記清掃部材、前記保持部材、前記軸受部材及び前記付勢部材が収容される帯電筐体を有し、当該帯電筐体と前記保持部材との間に前記帯電部材及び前記清掃部材を軸方向から押圧する軸方向押圧部材を設けたことを特徴とする帯電装置である。
請求項
7に係る発明は、請求項1乃至
6のいずれかに係る帯電装置において、前記帯電部材、前記清掃部材、前記保持部材、前記軸受部材及び前記付勢部材が収容される帯電筐体を備え、当該帯電筐体は前記保持部材のうち前記軸受部材を保持する側と反対側の背面に前記保持部材側に向かって開口する断面略U状のせき止め壁を有し、当該せき止め壁に前記保持部材を接触させることを特徴とする帯電装置である。
【0007】
請求項
8に係る発明は、請求項2に係る帯電装置において、前記給電部材は、前記保持部材のうち前記軸受部材を保持する側と反対側の背面に給電用導電部材を設置し、前記給電用導電部材には前記保持部材及び前記軸受部材に形成された貫通孔から突出して前記被給電部材の端面に接触する給電突部を有することを特徴とする帯電装置である。
請求項
9に係る発明は、
被帯電体に対向して接触するように設けられて軸方向に延び、被帯電体に追従して回転する帯電部材と、前記帯電部材に沿って軸方向に延び且つ前記帯電部材の表面に接触するように当該帯電部材を清掃する清掃部材と、前記帯電部材及び前記清掃部材の2軸間距離を保って定変位可能に保持する保持部材と、前記保持部材に回り止めした状態で設けられ、前記帯電部材及び前記清掃部材の各軸を個別に回転可能に支持し且つ各軸の姿勢変化に追従するように変位する複数の軸受部材と、前記帯電部材を被帯電体側に押し付けるように前記保持部材を付勢する付勢部材と、前記帯電部材及び前記清掃部材のうち給電を要する被給電部材の軸方向一端側には当該被給電部材の軸端部に接触する給電部材と、を備え、前記給電部材は、前記保持部材に配置され且つ前記軸受部材が回り止め可能な回り止め部材を兼用することを特徴とする帯電装置である。
請求項
10に係る発明は、請求項2に係る帯電装置において、前記給電部材は前記被給電部材の軸端部に接触するように部分的に突出する突出部を有し、当該突出部で前記被給電部材の軸端部の姿勢変化を許容することを特徴とする帯電装置である。
請求項
11に係る発明は、請求項2に係る帯電装置において、前記給電部材のうち被帯電体に最も接近する部位は前記帯電部材の非導電性の軸受部材よりも前記被帯電体から離れて配置されていることを特徴とする帯電装置である。
請求項
12に係る発明は、被帯電体としての静電潜像が保持可能な像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1乃至
11のいずれかに係る帯電装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、帯電部材及び清掃部材の2軸の位置関係を保持し、かつ、撓み変形による負荷を軽減すること
に加えて、保持部材に対して軸受部材を装着するに当たり、保持部材に軸受部材を回り止めした状態で装着する作業を簡単に行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、軸受部材を介して給電する態様に比べて、軸受部材として低摩擦抵抗の材料を使用でき、軸受精度をより向上させることができる
。
請求項
3に係る発明によれば、
帯電部材又は清掃部材が撓み変形して軸の姿勢が変化しても、簡単な構成で軸受部材を追従させることができる。
請求項
4に係る発明によれば、帯電部材及び清掃部材に対して摩擦抵抗の少ない軸受構造を実現することができる。
請求項
5に係る発明によれば、保持部材に軸受部材を嵌め込むだけで軸受部材を回り止めした状態に設定することができる。
請求項
6に係る発明によれば、帯電部材及び清掃部材の軸方向に対するがたつきを防止することができる。
請求項
7に係る発明によれば、帯電部材、清掃部材に作用する軸方向荷重を帯電筐体の強度ある構造部分で受け止めることができる。
請求項
8に係る発明によれば、軸受部材を導電性部材にすることなく、被給電部材に対して給電することができる。
請求項
9に係る発明によれば、被給電部材に対して給電する構造を利用し、軸受部材の回り止めを実現することができる。
請求項
10に係る発明によれば、被給電部材に対して給電する構造を利用し、被給電部材の姿勢変化に追従させる軸受構造を提供することができる。
請求項
11に係る発明によれば、給電部材に異物等が付着したとしても、被帯電体との間でリークする事態を回避することができる。
請求項
12に係る発明によれば、帯電部材及び清掃部材の2軸の位置関係を保持し、かつ、軸撓みによる負荷を軽減すること
に加えて、保持部材に対して軸受部材を装着するに当たり、保持部材に軸受部材を回り止めした状態で装着する作業を簡単に行うことが可能な帯電装置を含む画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が形成可能な像保持体からなる被帯電体10と、この被帯電体10を帯電する帯電装置11とを備えている。
ここで、像保持体としては例えば感光体、誘電体が挙げられ、その形態はドラム状、ベルト状を問わない。
この種の画像形成装置では、例えば帯電装置11によって帯電された被帯電体10には図示外の潜像形成装置によって静電潜像が形成され、図示外の現像装置によって現像された可視像が図示外の転写装置(直接転写型のみならず、中間転写型も含む)を介して記録材に転写され、図示外の定着装置によって記録材上の未定着像が定着されるようになっている。
【0011】
本例において、帯電装置11は、
図1(a)〜(c)に示すように、被帯電体10に対向して接触するように設けられて軸方向に延び、被帯電体10に追従して回転する帯電部材1と、帯電部材1に沿って軸方向に延び且つ帯電部材1の表面に接触するように当該帯電部材1を清掃する清掃部材2と、帯電部材1及び清掃部材2の2軸間距離を保って定変位可能に保持する保持部材3と、保持部材3に回り止めした状態で設けられ、帯電部材1及び清掃部材2の各軸1a,2aを個別に回転可能に支持し且つ各軸1a,2aの姿勢変化に追従するように変位する複数の軸受部材4,5と、帯電部材1を被帯電体10側に押し付けるように保持部材3を付勢する付勢部材6と、を備えたものである。
更に、本例では、
図1(a)(b)に示すように、帯電部材1及び清掃部材2の軸方向一端側には給電部材8が設けられており、この給電部材8は帯電部材1及び清掃部材2のうち給電を要する被給電部材(本例では両者)の軸端部に接触する給電用接触部を有し、被給電部材に給電するようになっている。
尚、符号7は帯電部材1、清掃部材2、保持部材3、軸受部材4,5及び付勢部材6が収容される帯電筐体を示す。
【0012】
このような技術的手段において、本件は、被帯電体10に追従して回転する帯電部材1、当該帯電部材1に追従して回転する清掃部材2を対象とする。このため、帯電部材1と清掃部材2との2軸の位置関係を保ち、かつ、撓み変形に追従するような保持構造が必要になる。仮に、このような保持構造を備えていない場合には、両者の2軸間距離が定変位しなかったり、両者の撓み変形(軸撓み)が追従しない場合には、両者の接触状態が不安定になり、被帯電体10からの回転が安定的に伝達されないという懸念がある。
また、保持部材3としては、帯電部材1及び清掃部材2の2軸間距離を保った状態で定変位可能に両者を保持するものであれば適宜選定して差し支えない。
更に、軸受部材4,5は、保持部材3に対して回り止めしした状態で設けられており、帯電部材1、清掃部材2の各軸1a,2aを個別で滑り移動(以下摺動という)可能に支持すればよい。例えば摩擦抵抗の低い耐摩耗性の高い樹脂材料が好ましいが、代表的には摺動部材として広く利用されているPOM(ポリアセタール)を始め、PA(ポリアミド)、PTFE等が用いられる。
【0013】
また、軸受部材4,5は、帯電部材1、清掃部材2の各軸1a,2aの姿勢変化に追従するように変位することを要する。これは、例えば帯電部材1、清掃部材2が撓み変形すると、各軸1a,2aの姿勢が変化するが、これに追従できない場合には、軸受部材4,5と帯電部材1又は清掃部材2の軸1a,2aとの間の摩擦抵抗が大きくなり、回転支持が不安定になる懸念がある。
更に、付勢部材6については被帯電体10に対して帯電部材1を押し付けるように付勢するものであれば適宜選定してよいが、通常は帯電部材1の軸方向両端から付勢する方式が採用される。
また、本例では、被給電部材として帯電部材1及び清掃部材2の両者を対象にしているが、例えば清掃部材2について給電を要しない態様を採用する場合には帯電部材1のみを被強電部材として給電部材8によって給電するようにしてもよい。
また、給電部材8による給電方式は適宜選定して差し支えないが、本例では、給電部材8は被給電部材の軸端部から給電する構成であるため、軸受部材4,5を介して給電する必要がなくなる。このため、軸受部材4,5として導電性材料を用いなくて済むため、例えば軸受部材4,5として導電性POMを使用せずに、低摩擦係数の非導電性POMを使用することが可能である。
【0014】
次に、本実施の形態に係る帯電装置11の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
本例において、軸受部材4,5の代表的態様としては、帯電部材1又は清掃部材2の軸1a,2aを回転可能に支持する断面円形状の凹部からなる受部を有し、当該受部の底に保持部材3側に配置された回り止め部材12と係わって回り止めされる被回り止め部13を設けた態様が挙げられる。
軸受部材4,5は帯電部材1又は清掃部材2が支持可能な受部を有しており、保持部材3に軸受部材4,5を装着するに当たり、保持部材3側の回り止め部材12と被回り止め部13とが係わって保持部材3に対して回り止めされた状態で装着される。
本例では、帯電部材1又は清掃部材2の軸1a,2aの外径に対して軸受部材4,5の受部の内径に遊びを持たせる必要がないため、受部の内径と帯電部材1又は清掃部材2の軸1a,2aの外径とを精度良く嵌まる構造にすることが可能である。このため、受部と軸1a,2aとの間に異物が入りにくく、軸受部材4,5の軸受性能(摺動性)が損なわれにくい。
被回り止め部13は例えば突起状の回り止め部材12に対してはこれが嵌まる孔又は溝状であればよい。
本例では、給電側の軸受構造は、
図1(b)に示すように、給電部材8の給電用接触部が回り止め部材12を兼用しており、保持部材3,軸受部材4,5に被回り止め部13としての孔が形成され、回り止め部材12が被回り止め部13に嵌め込まれている。本態様では、部品点数を低減しながら、軸受部材4,5の回り止めを実現することができる。
また、本例では、非給電側の軸受構造は、
図1(c)に示すように、保持部材3の一部が突起状に形成されて回り止め部材12を兼用しており、軸受部材4,5に被回り止め部13としての孔が形成され、回り止め部材12が被回り止め部13に嵌め込まれている。
【0015】
更に、軸受部材4,5の好ましい態様としては、帯電部材1又は清掃部材2の軸1a,2aを回転可能に支持する断面円形状の凹部からなる受部14を有し、当該受部14の外周壁には部分的に外側に張り出す張出部15を環状に形成し、この張出部15と保持部材3との接触部を支点として姿勢変化する態様が挙げられる。
本例では、張出部15は受部14の外周壁の肉厚を連続的又は部分的に変化させ、例えば樽状に張り出させてもよいし、部分的な段付き部として張り出すようにしてもよく、張出部15の断面形状は適宜選定して差し支えない。そして、帯電部材1又は清掃部材2が撓み変形して軸の姿勢が変化したとしても、軸受部材4,5は受部14の外周壁に形成された張出部15を支点として保持部材3の中で姿勢変化するため、軸受部材4,5は帯電部材1又は清掃部材2の姿勢変化に追従して移動する。
更にまた、軸受部材4,5の好ましい態様としては、低摩擦係数で耐摩耗性の高い非導電性POMを用いる態様が挙げられる。
【0016】
また、保持部材3の代表的態様としては、各軸受部材4,5が嵌まり込む凹部を有し、凹部の底に回り止め部材12を配置すると共に、凹部に軸受部材4,5を嵌め込んだときに当該軸受部材4,5に予め形成された被回り止め部13と回り止め部材12とを係わらせるものが挙げられる。本態様では、保持部材3は軸受部材4,5が嵌まり込む凹部を有し、かつ、凹部内に軸受部材4,5を回り止めする回り止め部材12を配置可能とするものであればよい。この回り止め部材12は保持部材3に直接設けてもよいが、保持部材3とは別部材(例えば
図1(b)の給電部材8の一部)として配置してもよい。
更に、本例では、帯電筐体7と保持部材3との間に帯電部材1及び清掃部材2を軸方向から押圧する軸方向押圧部材(図示せず)を設けるようにしてもよい。本態様にすれば、軸方向押圧部材は帯電部材1及び清掃部材2を軸方向に対して押圧することで、両者の軸方向のがたつきが抑えられる。
また、帯電筐体7の好ましい態様としては、保持部材3のうち軸受部材4,5を保持する側と反対側の背面に保持部材3側に向かって開口する断面略U状のせき止め壁を有し、当該せき止め壁に保持部材3を接触させる態様が挙げられる。本態様では、帯電筐体7が剛性の高い断面略U字状のせき止め壁を有し、このせき止め壁にて帯電部材1、清掃部材2の軸方向荷重を受け止める。
【0017】
更に、給電部材8の代表的態様としては、
図1(b)に示すように、保持部材3のうち軸受部材4,5を保持する側と反対側の背面に給電用導電部材8aを設置し、給電用導電部材8aには保持部材3及び軸受部材4,5に形成された貫通孔(本例では被回り止め部13としての孔と兼用)から突出して被給電部材の端面に接触する給電突部8bを有する態様が挙げられる。本態様によれば、給電部材8は給電用導電部材8aと給電突部8bとを有する態様で、軸受部材4,5を導電性部材にせずに被給電部材に対して給電可能である。
更に、給電部材8の好ましい態様としては、
図1(b)に示したように、回り止め部材12を兼用する態様が挙げられるほか、被給電部材の軸端部に接触するように部分的に突出する突出部(図示せず)を有し、当該突出部で被給電部材(帯電部材1又は清掃部材2)の軸端部の姿勢変化を許容するものが挙げられる。本態様は、給電部材8の一部に突出部を一体的に設け、これと被給電部材の軸端部とを接触させ、突出部上で被給電部材の軸端部の姿勢を変化させる。このため、被給電部材の軸方向の姿勢が変化したとしても、給電部材8との接触性を維持した状態で、被給電部材の姿勢変化に追従させることが可能である。
更にまた、給電部材8の好ましい態様としては、給電部材8のうち被帯電体10に最も接近する部位は帯電部材1の非導電性の軸受部材4よりも被帯電体10から離れて配置されている態様が挙げられる。軸受部材を介して給電する従前の方式では、導電性の軸受部材に異物が付着すると、被帯電体10との間でリークする懸念があったが、本態様では、非導電性の軸受部材4,5を使用可能であり、かつ、給電部材8と被帯電体10との間の距離をリークしない程度に離すことが可能である。
【0018】
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
−画像形成装置の全体構成−
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の要部を示す。
同図において、画像形成装置20は、例えば電子写真方式を採用した単色(本例ではブラック)の画像を形成するプロセスカーリッジ21と、このプロセスカートリッジ21で形成された画像を記録材Sに転写する転写装置22と、この転写装置22で記録材Sに転写された画像を定着する定着装置23と、を備え、図示外の記録材供給装置から供給された記録材Sを所定の搬送経路を経てプロセスカートリッジ21と転写装置22との間の転写部位を通過させ、定着装置23を経て図示外の記録材排出受けに作像済みの記録材Sを排出するようにしたものである。
【0019】
−プロセスカートリッジ−
本実施の形態では、プロセスカートリッジ21は画像形成装置本体のカートリッジ受部(図示せず)に着脱可能に装着されている。
本例では、プロセスカートリッジ21は、感光体31、この感光体31を帯電する帯電装置32及び感光体31を清掃する清掃装置35が共通の筐体に組み込まれる感光体カートリッジ30aと、この感光体カートリッジ30aに対して位置決め保持され、感光体31上の静電潜像を現像するための現像装置34が組み込まれた現像カートリッジ30bとを備えている。
更に、画像形成装置本体のカートリッジ受部には感光体31上に静電潜像を書き込む露光装置として例えばLEDアレイ33が設けられており、プロセスカートリッジ21の着脱動作に応じてセット位置から一旦退避するようになっている。
【0020】
本例において、帯電装置32は、
図2に示すように、感光体31に対向した部位が開口する帯電筐体41を有し、この帯電筐体41内に感光体31の表面に接触する帯電部材としての帯電ロール42を配設すると共に、この帯電ロール42を清掃するための清掃ロール43を配設したものである。尚、帯電装置32の詳細は後述する。
また、現像装置34は、感光体31に対向した部位が開口して例えばトナー及びキャリアを含む現像剤が収容される現像容器51を有し、この現像容器51の開口に面した部位には現像剤が保持可能な現像ロール52を配設すると共に、現像容器51の現像ロール52の背面側には現像剤が撹拌されて循環搬送可能な撹拌搬送部材53,54を配設し、更に、現像ロール52に対向した部位には現像ロール52に保持可能な現像剤の層厚が規制される層厚規制部材55を設けたものである。
更に、清掃装置35は、感光体31に対向する部位が開口する清掃容器61を有し、この清掃容器61の長手方向に沿う開口一縁部には感光体31に弾性的に接触する板状の掻き取り部材62を設けると共に、清掃容器61内には掻き取り部材62で掻き取ったトナー等の残留物を当該清掃容器61の長手方向に沿って搬送して外部に排出する搬送部材63を配設したものである。
【0021】
また、本例では、転写装置22は感光体31に対向する転写ロール71を有し、この転写ロール71に転写バイアスを印加することで感光体31と転写ロール71との間に転写電界を形成し、この転写電界によって感光体31上の画像を記録材Sに転移させるようにしたものである。
更に、定着装置23は、内部にヒータを有する加熱定着ロール81と、この加熱転写ロール81に所定の加圧力で接触して転動する加圧定着ロール82とを有し、両定着ロール81,82間の定着域にて記録材S上の画像を加熱・加圧定着するようになっている。
【0022】
−帯電ロール・清掃ロール−
本実施の形態において、
図4乃至
図6に示すように、帯電ロール42は導電性の金属製軸42aを有し、この軸42aの両端支持部を除いた個所に帯電層42bを形成したものである。
一方、清掃ロール43は導電性の金属製軸43aを有し、この軸43aの周囲に例えば清掃材としてのスポンジ材を螺旋状に巻き付けることでスポンジ層43bを形成したものである。この種のスポンジ層43bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。
本例では、清掃ロール43は帯電ロール42に所定の荷重で押圧され、スポンジ層43bが帯電ロール42の周面に沿って弾性変形して接触域を形成する。感光体31は、図示外のモータによって回転駆動され、感光体31の回転によって帯電ロール42が従動回転する。また、帯電ロール42の回転により清掃ロール43が従動回転する。
このように、清掃ロール43が従動回転すると、帯電ロール42の表面に付着したトナーや外添剤などの異物が清掃ロール43によって清掃される。そして、この異物が清掃ロール43の発泡体のセル内に取り込まれ、セル内に回収した異物が凝集して適度な大きさになると、清掃ロール43から帯電ロール42を介して感光体31に戻され、感光体31の清掃装置35によって回収されるものと推測される。
【0023】
−帯電装置の軸受機構−
本実施の形態において、
図4乃至
図6に示すように、帯電ロール42及び清掃ロール43の各軸42a,43aを軸受機構100,200を介して回転可能に支持するものである。
本例では、帯電ロール42及び清掃ロール43の軸方向一端側の軸受機構100には給電機構150が組み込まれ、帯電ロール42及び清掃ロール43に帯電バイアス、清掃バイアスが印加されるようになっている。尚、他端側の軸受機構200には給電機構150は組み込まれていない。
【0024】
−給電側の軸受機構−
先ず、
図4乃至
図14を用いて給電側の軸受機構100を説明する。
本実施の形態において、軸受機構100は、帯電筐体41の予め決められた部位に軸受機構100が組み込まれるための被装着部411を確保し、この被装着部411には帯電ロール42及び清掃ロール43の軸間距離が一定に保たれるように帯電ロール42及び清掃ロール43の各軸42a,43aが保持される位置決めホルダ110を設置すると共に、この位置決めホルダ110内に各軸42a、43aが回転可能に支持される軸受部材120,130を組込み、更に、感光体31側に向けて位置決めホルダ110が付勢される例えばコイルバネからなる付勢バネ140を設け、更にまた、位置決めホルダ110の軸受部材120,130が組み込まれた側とは反対側に給電機構150を設置するようにしたものである。
【0025】
各要素について詳述すると以下の通りである。
<帯電筐体の被装着部>
帯電筐体41の被装着部411は、例えば
図5、
図6及び
図9に示すように、位置決めホルダ110及び給電機構150が配設可能な収容室412を有し、その収容室412の一部には付勢バネ140が位置決め可能に保持される位置決めボス413を形成したものである。更に、帯電筐体41の収容室412には感光体31側から位置決めボス413側に向かって延びる案内レール414が設けられている。
<位置決めホルダ>
位置決めホルダ110は、
図4〜
図8及び
図10に示すように、例えば一般的な樹脂(例えばPOM等)製のホルダ本体111を有し、このホルダ本体111には軸受部材120,130が嵌め込まれる凹部112,113を形成したものである。
本例では、帯電ロール42側の凹部112は感光体31側が切欠かれており、清掃ロール43側の凹部113は断面略円形状に形成されており、両凹部112,113の間には帯電ロール42の帯電層42bの厚さ及び清掃ロール43のスポンジ層43bの厚さを加算した寸法に略対応した仕切り壁114が設けられている。
更に、この位置決めホルダ110の各凹部112,113の底壁には長孔115,116が形成されている。ここで、凹部112,113の深さ寸法は軸受部材120,130の軸方向長さに略対応して設けられている。
更にまた、本実施の形態では、ホルダ本体111には帯電筐体41の案内レール414に沿って摺動する図示外の案内シューが形成されており、位置決めホルダ110は被装着部411に装着される際に、案内レール414に沿って直線的に案内されながら被装着部411に装着されるようになっている。
尚、位置決めホルダ110のホルダ本体111の凹部112,113とは反対側の背面には、後述する給電機構150と位置決めするための位置決めピン118が設けられている。
【0026】
<軸受部材>
本例において、軸受部材120(130)は、
図4乃至
図8、
図11(a)(b)に示すように、摺動性のよい樹脂で耐摩耗性の高い樹脂材料、例えば非導電性のPOMにて一体成形されており、帯電ロール42(又は清掃ロール43)の軸42a(43a)が嵌まり込む断面円形状の凹部121(131)を有しており、この凹部121の底壁には位置決めホルダ110の長孔115(116)に対応した形状の長孔125(135)が形成されている。更に、本例では、凹部121(131)の底壁内面には長孔115(135)を挟んで略半球状の突起122(132)が2つ設けられている。この突起122(132)は帯電ロール42(又は清掃ロール43)の軸42a(43a)の姿勢が変化したときに、軸端部が傾いた状態でこれらの軸端部と接触するように形成されたものであり、帯電ロール42(又は清掃ロール)の軸端部と軸受部材120,130の凹部121(131)の底壁内面との間の摺動抵抗を極力低減させることを企図したものである。
【0027】
特に、本実施の形態では、軸受部材120(130)の凹部121(131)の周壁123(133)外面の略中央付近には部分的に外側に張り出す張出部としての鍔124(134)が環状に形成されている。本例では、鍔124(134)は、
図11(c)に示すように、断面矩形状(本例では台形状)に形成されており、位置決めホルダ110の各凹部112,113の内径は軸受部材120,130の各鍔124、134の外径に略等しく設定されている。
尚、本例では、鍔124(134)は、
図11(c)に示すように、周壁123(133)の他の部分に比べて部分的に張り出す構成であるが、これに限られるものではなく、例えば当該鍔124(134)の断面形状を円弧状にしてもよいし、あるいは、
図11(d)に示すように、周壁123(133)全体の肉厚を連続的に変化させ、周壁123(133)の中央付近で張り出し寸法が最大となる樽状の張出部124’(134’)としてもよい。
【0028】
<付勢バネ>
付勢バネ140は、
図4乃至
図8、
図10に示すように、位置決めボス413に位置決めされた上位で、位置決めホルダ110を感光体31側に付勢するようになっている。
【0029】
<給電機構>
本例において、給電機構150は、
図4乃至
図8に示すように、帯電筐体41の被装着部411と位置決めホルダ110との間に設置される断面U字状の導電性の給電ブロック151を有している。この給電ブロック151は位置決めホルダ110との間に縦壁152が接触するように配置されており、この縦壁152の一部に位置決め孔153を開設する一方、給電ブロック151の付勢バネ140側には位置決めホルダ110の付勢バネ140側の端部に沿って折曲した折曲片154を設け、位置決めホルダ110に予め形成された位置決めピン118を位置決め孔153に挿入させ、かつ、位置決めホルダ110の付勢バネ140側の端部に給電ブロック151の折曲片154を接触配置することで、給電ブロック151と位置決めホルダ110とを所定の位置関係で組み付けるようにしたものである。尚、給電ブロック151の折曲片154の先端付近には被装着部411に設けられた位置決めボス413に対向した部位に引っ掛かりボス155が設けられ、位置決めボス413に位置決めされた付勢バネ140が給電ブロック151の引っ掛かりボス155に引っ掛かり、折曲片154を介して位置決めホルダ110を付勢するようになっている。
更に、給電ブロック151の縦壁152には位置決めホルダ110側に向かって突出する給電突部156,157が設けられている。この給電突部156,157はいずれも位置決めホルダ110の長孔115,116及び軸受部材120,130の長孔125,126に対応した断面略長方形状に形成され、その突出寸法hは、位置決めホルダ110の凹部112,113の底壁の厚さをd1、軸受部材120,130の凹部121,131の底壁の厚さをd2、更に、軸受部材120,130の突起122、132の高さ寸法をd3としたときに、h>d1+d2+d3を満たすようになっている。
これにより、給電突部156,157は位置決めホルダ110の長孔115,116及び軸受部材120,130の長孔125,135に嵌まることで、位置決めホルダ110に対し軸受部材120,130が回り止めされた状態で組み込まれる。
更に、本例では、給電突部156,157は軸受部材120,130に支持される帯電ロール42の軸端部、清掃ロール43の軸端部に接触配置されるようになっている。
特に、本実施の形態では、給電突部156,157の略中央には断面略円形状の微小突部158が設けられており、この微小突部158が帯電ロール42の軸端部、清掃ロール43の軸端部との接触部として機能するようになっている。
尚、
図7及び
図8において、符号170は給電用の接続端子であり、給電機構150は、接続端子170から供給される電力を付勢バネ140、給電ブロック151を経由して帯電ロール42、清掃ロール43へと供給するようになっている。
【0030】
−押圧バネ−
本実施の形態では、位置決めホルダ110と帯電筐体41との間に押圧バネ160が設けられている。この押圧バネ160は、給電ブロック151の縦壁152に沿って延びる押圧板161を有し、この押圧板161に対して帯電筐体41の側方壁側に弾性板162を屈曲配置し、この弾性板162を押圧板161側に更に接近するように弾性変形させることで給電ブロック151及び位置決めホルダ110を一体的に押圧し、帯電ロール42、清掃ロール43の軸方向に向かって押圧するようになっている。
尚、この押圧バネ160の押圧板161には位置決めホルダ110の位置決めピン118を嵌め込む位置決め孔165が設けられ、一方、弾性板162の先端には折曲片からなる引っ掛かり片166が設けられ、この引っ掛かり片166は帯電筐体41に予め形成された凹所415に引っ掛けられるようになっている。このため、この押圧バネ160は所定に位置決め配置され、位置決めホルダ110を給電ブロック151と共に押圧するようになっている。
【0031】
−給電側の軸受機構の組付手順−
次に、給電側の軸受機構の組付手順について説明する。
今、
図12(a)に示すように、帯電筐体41の被装着部411に対し、
図12(b)に示すように、被装着部411の位置決めボス413に付勢バネ140を仮装着しておき、位置決めホルダ110と給電機構150とを予め組み付けた状態にした後、被装着部411の案内レール414に沿って位置決めホルダ110及び給電機構150を一体として感光体31側から位置決めボス413側へと押し込むようにすればよい。
位置決めホルダ110が所定の位置まで押し込まれると、給電機構150の引っ掛かりボス155が付勢バネ140に接触した後に付勢バネ140に引っ掛けられる。
このとき、本例では、押圧バネ160の引っ掛かり片166が被装着部411の凹所415に引っ掛かり、位置決めホルダ110、給電機構150は所定の位置に組み込まれる。
この後、
図13(a)に示すように、位置決めホルダ110の凹部112,113に軸受部材120,130を嵌め込むようにすればよい。このとき、軸受部材120,130を嵌め込むに当たり、回り止め部材としての給電突部156,157に長孔125,135が嵌まる位置に合わせることが必要である。
この状態において、
図13(b)に示すように、位置決めホルダ110に組み込まれた各軸受部材120,130の凹部121,131に帯電ロール42の軸42a、清掃ロール43の軸43aを嵌め込むようにすればよい。
【0032】
−給電側の軸受機構の作用−
(1)帯電ロール・清掃ロールの回転動作
給電側の軸受機構100は付勢バネ140によって位置決めホルダ110を所定の付勢力で感光体31側に付勢していることから、帯電ロール42は感光体31に対して定荷重で付勢されている。
この状態において、感光体31が回転駆動すると、感光体31に接触している帯電ロール42が従動回転し、更に、帯電ロール42に接触している清掃ロール43が従動回転する。
このとき、給電側の軸受機構100では、軸受部材120,130は位置決めホルダ110の凹部112,113に回り止めされた状態で組み込まれている。本例では、給電機構150の給電突部156,157と位置決めホルダ110の長孔115,116及び軸受部材120,130の長孔125,135とが係わり合って軸受部材120,130を回り止めした状態に保っている。
このため、軸受部材120,130は回り止めされた状態で、帯電ロール42、清掃ロール43の各軸42a,43aを回転可能に支持する。この状態においては、軸受部材120,130は低摩擦係数で耐摩耗性の高いPOMを用いているため、軸受部材120,130の凹部121,131の内周面と帯電ロール42、清掃ロール43の各軸42a,43aとの間の摩擦抵抗は極めて少なく、帯電ロール42、清掃ロール43の回転動作は安定している。
【0033】
(2)位置決めホルダによる2軸間距離の維持
位置決めホルダ110は、
図5に示すように、凹部112,113に軸受部材120,130を組込み、この軸受部材120,130で帯電ロール42、清掃ロール43の各軸42a,43aを支持するようにしたものである。
このとき、位置決めホルダ110は凹部112,113の中心間位置が一定であるため、基本的には帯電ロール42、清掃ロール43の2軸間距離を一定に保つ。
また、位置決めホルダ110は付勢バネ140によって感光体31側に付勢されているが、例えば帯電ロール42や清掃ロール43が撓み変形した場合には、付勢バネ140の付勢力に抗して移動することがある。しかしながら、位置決めホルダ110は凹部112,113の中心間距離を一定に保ったままホルダ本体111が一体的に移動するため、帯電ロール42、清掃ロール43は一定の変位量で移動する。このため、帯電ロール42と清掃ロール43との2軸間距離が変化することはない。
【0034】
(3)帯電ロール・清掃ロールの撓み変形時の軸受部材の挙動
本例では、帯電ロール42、清掃ロール43は自重によって撓み変形する。特に、帯電ロール42、清掃ロール43の外径や素材が異なる場合にはその撓み変形量もまちまちになる可能性が高い。
このような状態において、帯電ロール42,清掃ロール43が撓み変形すると、軸受部材120,130で保持されている帯電ロール42の軸42a、清掃ロール43の軸43aの姿勢が変化する。
このとき、軸受部材120,130は位置決めホルダ110の凹部112,113内に組み込まれているが、軸受部材120,130は、
図11に示すように、位置決めホルダ110の凹部112,113の内周面に対し鍔124,134が接触した状態で組み込まれている。
このため、帯電ロール42、清掃ロール43の軸42a,43aが姿勢変化すると、軸受部材120,130は鍔124,134と位置決めホルダ110の凹部112,113の内周面との接触部を支点として軸受部材120,130は姿勢を変化させることが可能である。
よって、帯電ロール42,清掃ロール43が撓み変形したとしても、軸受部材120,130はその姿勢変化に追従して移動することができるため、軸受部材120,130と帯電ロール42,清掃ロール43の各軸42a,43aとの間の負荷が嵩む懸念はない。このため、軸受部材120,130のところで異音が生じたり、帯電ロール42や清掃ロール43の従動回転動作が損なわれる懸念はほとんどない。
【0035】
(4)給電機構による給電動作
本例では、給電用の接続端子170から供給される電力は、
図5に示すように、付勢バネ140を介して給電ブロック151に伝達され、給電突部156,157を経由して帯電ロール42の軸端部、清掃ロール43の軸端部に供給される。
これにより、帯電ロール42には帯電バイアスが、清掃ロール43には清掃バイアスが印加される。
また、本例では、帯電ロール42、清掃ロール43は各軸端部から給電を受けているため、軸受部材120,130を経由して帯電ロール42、清掃ロール43に給電する必要がない。このため、軸受部材120,130としては導電性の樹脂材料を使用せずに、非導電性の樹脂材料を利用することが可能であり、低摩擦係数の耐摩耗性の高い樹脂材料を選択し易くなる点で好ましい。
更に、本例では、押圧バネ160が給電ブロック151、位置決めホルダ110を帯電ロール42、清掃ロール43側に押圧することから、給電突部156,157と帯電ロール42、清掃ロール43の各軸端部との接触状態を安定させることができる。
更にまた、本例では、給電突部156,157の一部に微小突部158を有しており、この微小突部158が帯電ロール42の軸端部、清掃ロール43の軸端部との接触部として機能するようになっている。このため、帯電ロール42,清掃ロール43が撓み変形し、各軸42a,43aが姿勢変化したとしても、微小突部158と各軸端部との間の接触状態は良好に保たれる。
【0036】
<給電側の軸受機構の周辺における帯電筐体構造>
(1)本例では、給電側の軸受機構100の周辺における帯電筐体41は、位置決めホルダ110のうち軸受部材120,130を保持する側と反対側の背面に位置決めホルダ110側に向かって開口する断面略U状のせき止め壁420を有し、せき止め壁420に位置決めホルダ110を接触させるようにしている。このせき止め壁420は曲げ剛性の高い断面形状であるため、帯電ロール42、清掃ロール43からの軸方向荷重を受け止めたとしても、せき止め壁420が破損するという懸念は少ない。
(2)本例では、給電機構150の給電ブロック151は、位置決めホルダ110の感光体31側の位置よりも更に感光体31から離れた位置に配置可能であるため、感光体31と給電ブロック15との間でリークするという懸念も極めて少ない。
【0037】
−非給電側の軸受機構−
非給電側の軸受機構200は例えば
図15に示すようになっている。
同図において、軸受機構200は、帯電筐体41の予め決められた部位に軸受機構200が組み込まれるための被装着部416を確保し、この被装着部416には帯電ロール42及び清掃ロール43の軸間距離が一定に保たれるように帯電ロール42及び清掃ロール43の各軸42a,43aが保持される位置決めホルダ210を設置すると共に、この位置決めホルダ210内に各軸42a、43aが回転可能に支持される軸受部材120,130を組込み、更に、感光体31側に向けて位置決めホルダ210が付勢される例えばコイルバネからなる付勢バネ140を設けたものである。
本例において、位置決めホルダ210の基本滴構成は、給電側の位置決めホルダ110と略同様に、例えば一般的な樹脂(例えばPOM等)製のホルダ本体211を有し、このホルダ本体211には軸受部材120,130が嵌め込まれる凹部212,213を仕切り壁214を介して形成したものである。
本例では、位置決めホルダ210の凹部212,213の底壁内面には軸受部材120,130の回り止め機構としての回り止め部材215,216が一体的に形成されている。
一方、位置決めホルダ210のホルダ本体211のうち凹部212,213とは反対側の裏面には被装着部416との間を埋めるスペーサ部材217,218が設けられている。
本例では、軸受部材120,130及び付勢バネ140は給電側の軸受機構100で用いられた各要素と略同様である。
尚、帯電筐体41の被装着部416には、被装着部411と略同様に、付勢バネ140の位置決めボス417が設けられ、また、図示外の案内レールが設けられている。
【0038】
次に、被給電側の軸受機構200の組付手順について説明する。
今、
図15に示すように、帯電筐体41の被装着部416に対し、被装着部416の位置決めボス417に付勢バネ140を仮装着しておき、位置決めホルダ210を予め組み付けた状態にした後、被装着部416の図示外の案内レールに沿って位置決めホルダ210感光体31側から位置決めボス417側へと押し込むようにすればよい。
位置決めホルダ210が所定の位置まで押し込まれると、付勢バネ140に接触して感光体31側に定荷重で付勢される。
この後、位置決めホルダ210の凹部212,213に軸受部材120,130を嵌め込むようにすればよい。このとき、軸受部材120,130を嵌め込むに当たり、回り止め部材215,216に長孔125,135が嵌まる位置に合わせることが必要である。
この状態において、位置決めホルダ210に組み込まれた各軸受部材120,130の凹部121,131に帯電ロール42の軸42a、清掃ロール43の軸43aを嵌め込むようにすればよい。
また、非給電側の軸受機構200によれば、給電機構150による作用を除いて、給電側の軸受機構100と略同様である。
更に、本実施の形態では、
図16に示すように、帯電筐体41の被装着部416の一部に引っ掛け孔418を開設し、例えばスペーサ部材218を引っ掛け孔418に引っ掛けるようにすれば、スペーサ部材218が抜け止め部材としても機能する。
【0039】
本実施の形態に係る帯電装置の性能を評価する上で以下の比較の形態1に係る帯電装置について説明する。
◎比較の形態1
図17は比較の形態1に係る帯電装置の軸受構造の概要を示す説明図である。
同図において、帯電装置32’は、図示外の感光体に接触する帯電ロール42と、この帯電ロール42に接触する清掃ロール43と、これらの両端の軸42a,43aを回転可能に支持する軸受機構500と、これらを収容する帯電筐体41と、を備えている。
本例では、軸受機構500は、基本的に給電側、非給電側と略同様な構成を採用しており、樹脂製の軸受ブロック501に各軸42a,43aが嵌め込まれる軸受部502,503を形成し、当該軸受部502,503にて各軸42a,43aを回転可能に支持すると共に、付勢バネ504にて軸受ブロック501を感光体側に付勢することで感光体に帯電ロール42を接触させるようにしたものである。
特に、本態様では、各軸受部502,503には各軸42a,43aとの間に遊び代としてのガタ505を予め設定することで、帯電ロール42、清掃ロール43の撓み変形による軸42a,43aの姿勢変化を吸収するようにしたものである。
また、給電側の軸受機構500としては、少なくとも軸受ブロック501を導電性の樹脂材料で構成し、付勢バネ504側から軸受ブロック501の各軸受部502,503を介して帯電ロール42、清掃ロール43の各軸42a,43の周面接触部へと至る給電経路にて電力を供給するようしたものである。
【0040】
本比較の形態によれば、以下のような作用を奏する。
帯電ロール42,清掃ロール43は軸受ブロック501の軸受部502,503にて回転可能に支持される。
本例では、軸受部502,503には遊び代としてのガタ505があるため、帯電ロール42、清掃ロール43が撓み変形し、各軸42a,43aが姿勢変化したとしても、その姿勢変化分を吸収することができる。
しかしながら、前述した遊び代としてのガタ505が存在することから、帯電ロール42、清掃ロール43の2軸間距離はばらつくという懸念がある。
ここで、遊び代としてのガタ505を極力少なく設定すると、その分、2軸間距離のばらつき量は抑えられるものの、帯電ロール42,清掃ロール43の撓み変形に伴う姿勢変化の吸収代が少なくなり、異音が発生したり、従動回転性に支障をきたすという懸念がある。